特許第6119058号(P6119058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6119058
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20170417BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170417BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20170417BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20170417BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20170417BHJP
   H01L 29/868 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   H01L29/78 652D
   H01L29/78 653A
   H01L29/78 657D
   H01L29/78 658A
   H01L29/78 652T
   H01L29/78 655A
   H01L29/91 C
   H01L29/91 F
   H01L29/78 652J
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-102532(P2015-102532)
(22)【出願日】2015年5月20日
(65)【公開番号】特開2015-226060(P2015-226060A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年5月27日
(31)【優先権主張番号】10 2014 107 325.8
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シーミーニエック, ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ベルクナー, ヴォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】エステベ, ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス, デトハルト
【審査官】 小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−199041(JP,A)
【文献】 特開平09−260650(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/042333(WO,A1)
【文献】 特開2013−012590(JP,A)
【文献】 特開2012−151470(JP,A)
【文献】 特開2011−035410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、半導体本体と、前記半導体本体内において統合された少なくともつの装置セル(10、10)と、を有し、
前記少なくともつの装置セルは、
ドリフト領域(11)、ソース領域(12)、及び前記ソース領域(12)と前記ドリフト領域(11)との間に構成された本体領域(13)と、
ダイオード領域(30)、及び前記ダイオード領域(30)と前記ドリフト領域(11)との間のpn接合と、
第1側壁(110)、前記第1側壁の反対側の第2側壁(110)、及び底部(110)を有するトレンチであって、前記本体領域(13)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)と隣接しており、前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記第2側壁(110)と隣接しており、且つ、前記pn接合は、前記トレンチの前記底部(110)と隣接している、トレンチと、
前記トレンチ内において構成され、且つ、前記本体領域(13)、前記ダイオード領域(30)、及び前記ドリフト領域(11)からゲート誘電体(22)によって電気的に絶縁されたゲート電極(21)と、
を有し、
前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記底部(110)の下方において配置された下部ダイオード領域を有し、且つ、
前記下部ダイオード領域は、前記トレンチの前記底部(110)から離れた状態においてドーピング濃度の最大値を有し、
前記少なくとも2つの装置セル(10、10)の前記ダイオード領域(30)は、前記半導体本体(100)の横方向において離れている半導体装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの装置セル(10、10)の前記ダイオード領域(30)の間の距離は、
0.5マイクロメートル〜2マイクロメートル、
前記トレンチの幅の0.25倍〜1.5倍、及び
前記トレンチの下方の前記ドリフト領域(11)内における前記ダイオード領域(30)の横方向の幅の30%〜60%
から構成される群から選択される請求項に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの装置セルは、隣接しており、且つ、
一方の装置セルの前記ダイオード領域(30)は、他方の装置セルの前記本体領域(13)と隣接している請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体装置であって、半導体本体と、前記半導体本体内において統合された少なくともつの装置セル(10、10)と、を有し、
前記少なくともつの装置セルは、
ドリフト領域(11)、ソース領域(12)、及び前記ソース領域(12)と前記ドリフト領域(11)との間に構成された本体領域(13)と、
ダイオード領域(30)、及び前記ダイオード領域(30)と前記ドリフト領域(11)との間のpn接合と、
第1側壁(110)、前記第1側壁の反対側の第2側壁(110)、及び底部(110)を有するトレンチであって、前記本体領域(13)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)と隣接しており、前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記第2側壁(110)と隣接しており、且つ、前記pn接合は、前記トレンチの前記底部(110)と隣接している、トレンチと、
前記トレンチ内において構成され、且つ、前記本体領域(13)、前記ダイオード領域(30)、及び前記ドリフト領域(11)からゲート誘電体(22)によって電気的に絶縁されたゲート電極(21)と、
を有し、
前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記底部(110)の下方において配置された下部ダイオード領域を有し、且つ、
前記下部ダイオード領域は、前記トレンチの前記底部(110)から離れた状態においてドーピング濃度の最大値を有し、
前記少なくとも2つの装置セルは、隣接しており、且つ、
一方の装置セルの前記ダイオード領域(30)は、他方の装置セルの前記本体領域(13)と隣接している半導体装置。
【請求項5】
前記ドリフト領域は、前記少なくとも2つの装置セルのうちの2つの隣接する装置セルの前記ダイオード領域(30)の間において、前記ドーピング濃度の局所的な最大値を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
それぞれのダイオード領域(30)は、
前記ドリフト領域(11)との間にpn接合を形成する第1ダイオード領域(31)と、
前記第1ダイオード領域(31)よりも高度にドーピングされ、且つ、前記ソース電極(41)に接続された第2ダイオード領域(32)と、
を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体装置であって、半導体本体と、前記半導体本体内において統合された少なくとも1つの装置セル(10、10)と、を有し、
前記少なくとも1つの装置セルは、
ドリフト領域(11)、ソース領域(12)、及び前記ソース領域(12)と前記ドリフト領域(11)との間に構成された本体領域(13)と、
ダイオード領域(30)、及び前記ダイオード領域(30)と前記ドリフト領域(11)との間のpn接合と、
第1側壁(110)、前記第1側壁の反対側の第2側壁(110)、及び底部(110)を有するトレンチであって、前記本体領域(13)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)と隣接しており、前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記第2側壁(110)と隣接しており、且つ、前記pn接合は、前記トレンチの前記底部(110)と隣接している、トレンチと、
前記トレンチ内において構成され、且つ、前記本体領域(13)、前記ダイオード領域(30)、及び前記ドリフト領域(11)からゲート誘電体(22)によって電気的に絶縁されたゲート電極(21)と、
を有し、
前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記底部(110)の下方において配置された下部ダイオード領域を有し、且つ、
前記下部ダイオード領域は、前記トレンチの前記底部(110)から離れた状態においてドーピング濃度の最大値を有し、
それぞれのダイオード領域(30)は、
前記ドリフト領域(11)との間にpn接合を形成する第1ダイオード領域(31)と、
前記第1ダイオード領域(31)よりも高度にドーピングされ、且つ、前記ソース電極(41)に接続された第2ダイオード領域(32)と、
を有する半導体装置。
【請求項8】
前記第2ダイオード領域(32)は、前記トレンチの前記第2側壁と隣接している請求項6または7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記トレンチの前記底部(110)と前記ドーピング濃度の前記最大値の位置との間の距離は、200ナノメートル〜1マイクロメートルである請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記トレンチの前記底部(110)と前記ドーピング濃度の前記最大値の位置との間の距離は、250ナノメートル〜500ナノメートルである請求項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記最大ドーピング濃度は、1E18cm−3〜5E18cm−3である請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ダイオード領域(30)は、前記最大ドーピング濃度の位置と前記トレンチの前記底部(110)との間において、前記ドーピング濃度の局所的な最小値を更に有する請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記局所的な最小ドーピング濃度は、5E17cm−3〜1E18cm−3である請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ゲート誘電体(22)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)において第1厚さを有し、且つ、前記トレンチの前記第2側壁(110)において第2厚さを有し、前記第2厚さは、前記第1厚さを上回っている請求項1から13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第2厚さは、前記第1厚さの少なくとも1.5倍である請求項14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ゲート誘電体(22)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)において第1厚さを有し、且つ、前記トレンチの前記底部(110)において第3厚さを有し、前記第3厚さは、前記第1厚さを上回っている請求項1から15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第3厚さは、前記第1厚さの少なくとも1.5倍である請求項16に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記トレンチは、前記第1側壁(110)と前記底部(110)との間に丸められたコーナーを有し、且つ、
前記丸められたコーナーの半径は、前記第1側壁(110)における前記ゲート誘電体(22)の厚さの少なくとも2倍である請求項1から17のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項19】
それぞれの装置の前記ソース領域(12)及び前記ダイオード領域(30)に電気的に接続されたソース電極(41)を更に有する請求項1から18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体本体(100)は、SiC結晶を有し、且つ、
前記トレンチの前記第1側壁は、前記SiC結晶のc軸とアライメントされている請求項1から19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記半導体本体(100)の第1表面(101)と前記第1側壁(110)との間の角度は、80°〜89°である請求項20に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関し、特に、縦型トランジスタ装置と、このトランジスタ装置と並列に接続されたダイオードと、を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最大で数百ボルトの電圧阻止能力を有すると共に高電流定格を有するトランジスタであるパワートランジスタは、縦型MOSトレンチトランジスタとして実装することができる。この場合には、トランジスタのゲート電極は、半導体本体の垂直方向に延在するトレンチ内において構成することができる。ゲート電極は、トランジスタのソース領域、本体領域、及びドリフト領域から電気的に絶縁されており、且つ、半導体本体の横方向において本体領域と隣接している。ドレイン領域は、通常は、ドリフト領域と隣接しており、且つ、ソース電極は、ソース領域に対して接続されている。
【0003】
多くの用途において、トランジスタの負荷経路(ドレイン−ソース経路)に対して並列に接続されたダイオードを有することが望ましい。この目的のために、トランジスタの統合された本体ダイオードが使用されてもよい。本体ダイオードは、本体領域とドリフト領域の間のpn接合によって形成されている。トランジスタの負荷経路に対して並列に本体ダイオードを接続するべく、本体領域をソース電極に対して単純に電気的に接続してもよい。但し、この本体ダイオードは、いくつかの用途において望ましいものを下回る電流定格を有することになろう。
【0004】
パワートランジスタは、シリコン(Si)又は炭化ケイ素(SiC)などの従来の半導体材料によって実装されてもよい。SiCの特定の特性に起因し、SiCを使用することにより、(所与のオン抵抗値において)Siよりも大きな電圧阻止能力を有するパワートランジスタを実装することができる。但し、高阻止電圧は、半導体本体内において、特に、本体領域とドリフト領域の間のpn接合において、高電界を結果的にもたらすことになる。通常、このpn接合の近傍において構成されたゲート電極のセクション及びゲート誘電体のセクションが存在している。トランジスタ装置の望ましい電圧阻止能力のためにゲート誘電体の絶縁耐力が不十分である際には、問題が発生することになる。この場合には、ゲート誘電体が早期に絶縁破壊されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トランジスタのゲート電極が高電界から保護されると共にダイオードが高電流定格及び低損失を有する、トランジスタ装置と、ダイオードと、を有する半導体装置を提供するというニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、半導体装置に関する。半導体装置は、半導体本体と、半導体本体内において統合された少なくとも1つの装置セルと、を含む。少なくとも1つの装置セルは、ドリフト領域と、ソース領域と、ソース領域とドリフト領域との間に構成された本体領域と、ダイオード領域と、ダイオード領域とドリフト領域との間のpn接合と、を含む。少なくとも1つの装置セルは、第1側壁と、第1側壁の反対側の第2側壁と、底部と、を有するトレンチを更に含み、本体領域は、トレンチの第1側壁と隣接しており、ダイオード領域は、トレンチの第2側壁と隣接しており、且つ、pn接合領域は、トレンチの底部と隣接している。少なくとも1つの装置セルのゲート電極は、トレンチ内において構成され、且つ、本体領域、ダイオード領域、及びドリフト領域からゲート誘電体によって電気的に絶縁されている。ダイオード領域は、トレンチの底部から離れた状態においてドーピング濃度の最大値を含むトレンチの底部の下方において構成された下部ダイオード領域を含む。
【0007】
別の実施形態は、半導体装置の製造の方法に関する。方法は、半導体本体に対して、ドリフト領域層、ドリフト領域層と隣接する本体領域層、及び本体領域層と隣接すると共に半導体本体の第1表面を形成するソース領域層を提供するステップを含む。方法は、ダイオード領域が第1表面からソース領域層及び本体領域層を通じてドリフト領域層内に延在するように、少なくとも1つのダイオード領域を形成するステップであって、ダイオード領域とドリフト領域層とは、1つのpn接合を形成する、ステップと、第1側壁、第1側壁の反対側の第2側壁、及び底部を有する少なくとも1つのトレンチを形成するステップであって、少なくとも1つのトレンチが、第1及び第2側壁のうちの1つの側壁上において本体領域層と、第2側壁上においてダイオード領域と、且つ、底部上においてpn接合と、隣接するように、形成されるステップと、を更に含む。ゲート電極と、ゲート電極を半導体本体から電気的に絶縁するゲート誘電体とが、少なくとも1つのトレンチ内において形成される。ダイオード領域を形成した後に残っているソース領域層のセクションは、ソース領域を形成し、且つ、少なくとも1つのダイオード領域を形成した後に残っている本体領域層のセクションは、本体領域を形成する。少なくとも1つのダイオード領域を形成するステップは、トレンチの底部の下方において下部ダイオード領域を形成するステップと、トレンチの底部から離れた状態において下部ダイオード領域のドーピング濃度の最大値を形成するステップと、を有する。
【0008】
以下、図面を参照し、例について説明する。図面は、基本的原理の理解のために必要とされる態様のみが示されるように、基本的原理を示すべく機能する。図面は、縮尺が正確ではない。図面においては、同一の参照符号により、同様の特徴を表記している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態による半導体装置の垂直断面図を示す。
図2図1の半導体装置の一実施形態の水平断面図を示す。
図3図1に示されている断面以外の断面における図2の半導体装置の垂直断面図を示す。
図4】半導体装置のダイオード領域のドーピング濃度の一実施形態を示す。
図5】半導体装置のチャネル領域及びドリフト領域のドーピング濃度の一実施形態を示す。
図6】一実施形態による半導体装置を製造する方法を示す(図6A図6Jを含む)。
図7図6Bに示されている半導体装置構造を製造する方法の一実施形態を示す(図7A及び7Bを含む)。
図8】別の実施形態による半導体装置の垂直断面図を示す。
図9】更に別の実施形態による半導体装置の垂直断面図を示す。
図10A-10D】トレンチの底部において、且つ、任意選択の1つの側壁において、相対的に厚いゲート誘電体を製造する方法の一実施形態を示す。
図11A-11C】トレンチの底部において、且つ、任意選択の1つの側壁において、相対的に厚いゲート誘電体を製造する方法の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明においては、添付図面が参照されており、これらの図面は、本明細書の一部を構成し、且つ、これらの図面には、一例として、本発明を実施してもよい特定の実施形態が示されている。
【0011】
図1は、半導体装置の、具体的には、縦型半導体装置の、且つ、更に具体的には、統合されたダイオードを有する縦型トランジスタ装置の、垂直断面図を示している。半導体装置は、第1表面101を有する半導体本体100を含む。図は、垂直方向の断面における半導体装置の断面を示しており、この断面は、第1表面に対して垂直の断面である。半導体本体100は、垂直方向において、即ち、第1表面101に対して垂直の方向において、且つ、水平方向において、即ち、第1表面101に対して平行な方向において、延在している。
【0012】
図1を参照すれば、半導体装置は、半導体本体100内において統合された少なくとも1つの装置セル10、10を含む。装置セルは、以下において、トランジスタセルとも呼称されている。図1には、2つの装置セル10、10が示されている。但し、半導体装置は、1つの半導体本体100内において統合された数十個の、数百個の、数千個の、数万個の、数十万個の、或いは、場合によっては、数百万個の、装置セルなどの、3つを以上の装置セルを含んでもよい。
【0013】
図1において、2つの装置セル10、10には、異なる参照符号がラベルとして付与されており、個々の装置セル10、10の同様の特徴には、同様の参照符号がラベルとして付与されている。図1を参照すれば、それぞれのトランジスタセル10、10は、ドリフト領域11と、ソース領域12と、本体領域13と、を含む。本体領域13は、ソース領域12とドリフト領域11の間に構成されている。それぞれの装置セル10、10は、ダイオード領域30と、ダイオード領域30とドリフト領域11の間に形成されたpn接合と、を更に含む。図1の実施形態において、個々の装置セル10、10は、ドリフト領域11を共有している。即ち、個々の装置セル10、10は、1つのドリフト領域11を共通的に有する。
【0014】
図1を参照すれば、それぞれの装置セル10、10は、ゲート電極21を更に含み、ゲート電極21は、トレンチ内において構成されると共に、本体領域13、ダイオード領域30、及びドリフト領域11からゲート誘電体22によって電気的に絶縁されている。それぞれの装置セル10、10のゲート電極21を有するトレンチは、第1側壁110、第1側壁110の反対側の第2側壁110、及び底部110を有する。それぞれの装置セル10、10の本体領域13は、対応するトレンチの第1側壁110に隣接しており、ダイオード領域は、対応するトレンチの第2側壁110と隣接しており、且つ、ドリフト領域11とダイオード領域30の間のpn接合は、対応するトレンチの底部110と隣接している。
【0015】
図1を参照すれば、装置セル10などの1つの装置セルのダイオード領域30は、装置セル10などの隣接する装置セルのソース領域12及び本体領域13に隣接した半導体本体100の第1表面101から、pn接合が形成されているドリフト領域11内に、延在している。電気的に絶縁する層(絶縁層)51が、第1表面101及びゲート電極21をカバーしている。絶縁層51は、接触開口部52を有し、接触開口部52内において、絶縁層51は、個々の装置セル10、10のダイオード領域32及びソース領域12を露出させている。絶縁層51上において、且つ、接触開口部52内において、ソース電極41が形成されている。ソース電極41は、ゲート電極21から絶縁層51によって電気的に絶縁されており、且つ、個々のダイオード領域30及び個々のソース領域12をソース端子S(図1には、概略的にのみ示されている)に対して電気的に接続しているか、或いは、ソース端子Sを形成している。任意選択により、ソース電極41は、ダイオード領域30及びソース領域12に対して電気的に接触する第1ソース電極層41と、第1ソース電極層41に対して電気的に接続する第2ソース電極41と、を含む。第2ソース電極層41は、ソース端子Sに対して接続されているか、或いは、半導体装置のソース端子Sを形成している。第1電極層41は、例えば、チタニウム(Ti)、白金(Pt)、ニッケル合金、又はこれらに類似したものを含む。第2電極層41は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、又はこれらに類似したものを含む。図1に示されている実施形態においては、ソース電極41は、第1表面101においてソース領域12及びダイオード領域30と接触している平面電極である。任意選択により、半導体本体100は、接触トレンチ(図示されてはいない)を含んでおり、これは、第1表面101から少なくともダイオード領域内に延在している。この実施形態においては、ソース電極41は、トレンチ内に延在している。
【0016】
図1を参照すれば、半導体装置は、ドリフト領域11に隣接したドレイン領域14を更に含む。任意選択により、ドリフト領域11と同一のドーピング型の、但し、ドリフト領域11内において相対的に高度にドーピングされた、フィールドストップ領域(図示されてはいない)が、ドリフト領域11とドレイン領域14の間に構成される。ドレイン領域14は、(図1には、概略的にのみ示されている)ドレイン端子Dに対して電気的に接続されている。個々の装置セル10、10は、1つのドレイン領域14を共有している。即ち、個々の装置セル10、10にとって共通する1つのドレイン領域14が存在している。
【0017】
個々の装置セル10、10は、ソース電極41を介してソース端子Sに接続されたソース領域12を有することにより、ドレイン領域14を共有すると共にドレイン端子Dに接続されたドレイン領域14を有することにより、且つ、共通ゲート端子Gに対して電気的に接続されたゲート電極21を有することにより、並列に接続されている。ゲート端子Gに対するゲート電極21の接続は、図1には、概略的にのみ示されている。ゲート電極21をゲート端子Gに対して接続する1つの可能な方法については、図2及び図3を参照し、後述する。
【0018】
図1に示されている半導体装置は、統合されたダイオードを有するMOSトランジスタ装置である。トランジスタ装置は、n型装置として、或いは、p型装置として実装することができる。n型装置においては、ソース領域及びドリフト領域11は、nドーピングされる一方、本体領域13は、pドーピングされる。p型装置においては、ソース領域12及びドリフト領域11は、pドーピングされる一方、本体領域13は、nドーピングされる。トランジスタ装置は、エンハンスメント型(ノーマリーオフ)装置として、或いは、ディプリーション型(ノーマリーオン)装置として、実装することができる。エンハンスメント型装置においては、個々の装置セル10、10の本体領域13は、ゲート誘電体22と隣接している。ディプリーション型装置においては、ゲート誘電体22に沿ってソース領域12及びドリフト領域11と同一のドーピング型のチャネル領域15(図1には、破線で示されている)が存在している。それぞれの装置セル10、10のチャネル領域15は、対応するソース領域12からゲート誘電体22に沿ってドリフト領域11まで延在しており、且つ、トランジスタ装置がスイッチオフされた際に、電荷キャリアの空乏状態となる。或いは、この代わりに、ゲート誘電体22は、ゲート駆動電圧(ゲート−ソース電圧)がゼロである際に、ゲート誘電体22に沿って本体領域13内に導通チャネルを生成する固定電荷を含んでいる。
【0019】
更には、トランジスタ装置は、MOSFET又はIGBTとして実装することができる。MOSFETにおいては、ドレイン領域14は、ソース領域12及びドリフト領域11と同一のドーピング型を有する一方、IGBTにおいては、ドレイン領域14は、ソース領域12及びドリフト領域11のドーピング型とは相補的であるドーピング型を有する。又、IGBTにおいては、ドレイン領域14は、コレクタ領域とも呼称される。
【0020】
ダイオード領域30は、本体領域13と同一のドーピング型を有し、このドーピング型は、ドリフト領域11のドーピング型とは相補的であるドーピング型である。図1の装置セル10などの1つの装置セルのダイオード領域30は、図1の装置セル10などの隣接する装置セルの本体領域13と隣接していることから、それぞれの装置セルの本体領域13は、隣接する装置セルのダイオード領域30を通じてソース電極41に対して電気的に接続されている。任意選択により、それぞれのダイオード領域30は、2つの異なる方式でドーピングされた半導体領域を含み、即ち、ドリフト領域11に隣接すると共にドリフト領域11との間にpn接合を形成する第1領域31と、第1領域31をソース電極41に対して電気的に接続する第2領域32と、を含む。以下において接触領域とも呼称されている第2領域32は、第1領域31よりも高いドーピング濃度を有してもよい。図1に示されている実施形態においては、図1の装置セル101などの1つの装置セルの接触領域32は、対応するトレンチの第2側壁と隣接しており、且つ、図1の装置セル10などの隣接する装置セルの本体領域13をソース電極41に対して電気的に接続している。
【0021】
それぞれの装置セル10、10のダイオード領域30は、ドリフト領域11及びドレイン領域14を有するバイポーラダイオードを形成している。このバイポーラダイオードの回路シンボルは、図1にも示されている(図1に示されている回路シンボルの極性は、n型半導体装置に関係するものであり、p型装置においては、極性が反転される)。個々の装置セル10、10のダイオード領域30とドリフト領域11の間に形成されたダイオードは、並列に接続されており、且つ、MOSトランジスタの負荷経路(ドレイン−ソース経路)と並列に接続されている。MOSトランジスタのドレイン−ソース経路は、ドレイン端子Dとソース端子Sの間の内部経路である。個々のダイオードは、第1極性を有する電圧がMOSトランジスタのドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、逆バイアス(阻止)され、且つ、個々のダイオードは、第2極性を有する電圧がドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、順バイアス(導通)される。n型半導体装置においては、ダイオードは、正電圧がドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、逆バイアスされ、且つ、ダイオードは、負電圧(これは、ソース及びドレイン端子S、Dの間において正電圧である)がドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、順バイアスされる。個々のダイオードは、トランジスタセルの本体ダイオードに対して並列である。本体ダイオードは、個々の装置セル10、10の本体領域13及びドリフト領域11によって形成されたダイオードである。但し、本体ダイオードとは異なり、ダイオード領域30とドリフト領域11の間のダイオードの特性は、MOSトランジスタの特性とは無関係に、幅広く調節することができる。具体的には、ダイオード領域30とドリフト領域11の間のダイオードは、ダイオード領域30とドリフト領域11の間のpn接合が相対的に大きな面積を有するようにダイオード領域30を実装することにより、高電流定格を有するように実装することができる。
【0022】
図1の半導体装置は、ドレイン及びソース端子D、Sの間に負荷電圧を印加することにより、且つ、駆動電位をゲート電極Gに印加することにより、従来のMOSトランジスタと同様に動作させることができる。n型半導体装置を参照し、動作方法の1つについて簡単に説明する。又、この動作方法は、p型装置に対しても適用され、p型装置においては、以下において説明する電圧の極性が反転される。半導体装置は、個々の装置セル10、10の本体ダイオード及び付加的ダイオード(ダイオード領域30とドリフト領域11の間のダイオード)を逆バイアスする負荷電圧がドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、順動作モードとなる。この電圧は、n型装置においては、正電圧である。順動作モードにおいては、MOSトランジスタは、ゲート端子Gに印加された駆動電位を通じて、スイッチオン及びオフさせることができる。MOSトランジスタは、ゲート端子Gに印加された駆動電位がソース領域12とドリフト領域11の間において本体領域13内に導通チャネルを生成した際に、スイッチオンされ(オン状態となり)、且つ、MOSトランジスタは、本体領域13内の導通チャネルが中断された際に、スイッチオフされる(オフ状態となる)。トランジスタ装置をスイッチオン又はオフする駆動電位の絶対値は、トランジスタ装置の具体的なタイプ(エンハンスメント型装置であるのか又はディプリーション型装置であるのか)によって左右される。
【0023】
半導体装置は、本体ダイオード及び付加的ダイオードを順バイアスする電圧がドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、逆動作モードとなる。この動作モードにおいては、半導体装置は、ゲート端子Gに印加された駆動電位を通じてではなく、負荷電圧の極性を通じてのみ、制御することができる。
【0024】
半導体装置が順動作モードにあると共に半導体装置がスイッチオフされた際には、ダイオード領域30とドリフト領域11の間のpn接合及び本体領域13とドリフト領域11の間のpn接合は、逆バイアスされ、この結果、空乏領域が、pn接合において開始することにより、ドリフト領域11内において拡大することになる。負荷電圧が増大した際に、空乏領域は、ドレイン領域14の方向においてドリフト領域11内に更に深く拡大する。負荷電圧が増大すると共に空乏領域がドリフト領域11内に相対的に深く拡大した際には、pn接合における電界強度も増大する。本体領域13と第1ドリフト領域11の間のpn接合がゲート誘電体22に対して近接していることから、ゲート誘電体22は、高負荷電圧が印加された際に、即ち、高電界強度が発生した際に、損傷することになる。但し、図1の半導体装置においては、2つの隣接した装置セル10、10のダイオード領域30は、ドリフト領域11と共に、JFET(接合型電界効果トランジスタ)として機能している。このJFETは、2つの隣接したダイオード領域30の間にチャネル領域11を有する。負荷電圧が増大するのに伴って、且つ、ドリフト領域11の電位が増大するのに伴って、JFETは、チャネル領域111をピンチオフし、これにより、負荷電圧が更に増大した際に本体領域13とドリフト領域11の間のpn接合における電界の電界強度が更に増大することを防止する。
【0025】
JFETのチャネル11がピンチオフされる負荷電圧は、例えば、半導体本体100の横方向における2つの隣接したダイオード領域30の間の距離によって左右される。半導体本体100の「横方向」とは、垂直方向に対して垂直であり(この方向において、ドレイン領域14は、本体領域13及びダイオード領域30から離隔している)、且つ、第1表面101に対して本質的に平行である。この2つの隣接したダイオード領域30の間の横方向の距離は、例えば、0.5μm(マイクロメートル)〜2μm(マイクロメートル)であるか、或いは、ゲート電極21を収容しているトレンチの幅の0.25倍〜1.5倍である。トレンチの「幅」とは、第1及び第2側壁110、110の間の距離である。図1の実施形態において示されているように、トレンチがテーパー化されている場合には、幅は、第1及び第2側壁110、110の間の最大距離であるか、或いは、幅の平均値である。別の実施形態によれば、2つの隣接したダイオード領域30の間の横方向の距離は、トレンチ110の下方のドリフト領域11内における横方向のダイオード領域30の寸法(幅)の30%〜60%である。ダイオード領域がドリフト領域11内において変化する幅を有している場合には、幅は、最大幅又は平均幅である。
【0026】
それぞれの装置セル10、10は、チャネル領域を含み、チャネル領域は、ゲート誘電体22に沿った本体領域13の領域であるか、或いは、(図1において破線で示されている)任意選択のチャネル領域15である。ゲート誘電体22に沿ったチャネル領域は、トランジスタ装置がオン状態にある際に、電荷キャリアがソース領域12からドリフト領域11まで流れることができるようにする。それぞれの装置セル10、10のダイオード領域30は、チャネル領域とオーバーラップしてはいない。即ち、ダイオード領域30とドリフト領域11の間のpn接合は、個々のゲートトレンチの底部110に隣接しており、且つ、チャネル領域の方向においてゲートトレンチを超えて延在してはいない。従って、ダイオード領域30は、チャネル領域からドレイン領域14までの電荷キャリアの流れを制約してはない。
【0027】
半導体装置の電圧阻止能力は、特に、ダイオード領域30とドレイン領域14の間の距離によって左右される。この距離は、望ましい電圧阻止能力に従って製造プロセスにおいて調節することができる。経験則として、SiC半導体本体100内においては、ドレイン領域14とダイオード領域30の間の距離は、100ボルトの阻止能力当たりに0.8マイクロメートル〜1.0マイクロメートルである。
【0028】
半導体本体100は、従来の半導体材料を含んでもよく、具体的には、炭化ケイ素(SiC)又はこれに類似したものなどのバンドギャップの広い半導体材料を含んでもよい。図1に示されている装置トポロジーは、具体的には、SiC技術によって実装された半導体装置に適している。例えば、半導体本体100がSiCを含んでいる際には、ゲート誘電体22は、二酸化ケイ素(SiO)として実装されてもよい。SiOのゲート誘電体22は、高電圧装置において発生しうる高電界強度が印加された際に、劣化する場合がある。このような装置においては、ダイオード領域30及びドリフト領域11によって形成されたJFETは、半導体装置がスイッチオフされると共に高負荷電圧がドレイン及びソース端子D、Sの間に印加された際に、ゲート誘電体22を効率的に保護する。逆動作モードにおいては、ソース電極41に対して直接的に接続された付加的ダイオードは、MOSトランジスタの負荷経路に対して並列に接続された低損失を有する高効率ダイオードである。
【0029】
ドリフト領域11のドーピング濃度は、例えば、1E14cm−3〜1E17cm−3である。本体領域13のドーピング濃度は、例えば、5E16cm−3〜5E17cm−3である。ソース及びドレイン領域12、14のドーピング濃度は、例えば、1E19cm−3超である。ダイオード領域30のドーピング濃度は、例えば、1E18cm−3〜1E19cm−3である。
【0030】
図1を参照すれば、それぞれの装置セル10、10の本体領域13は、第1側壁110において、対応するゲートトレンチと隣接している。特に、ゲートトレンチが、テーパー化された側壁を有する際には、第1及び第2側壁110、110は、半導体本体100の結晶格子の異なる結晶面に対応していてもよい。一実施形態によれば、半導体本体100は、六角形のSiC結晶を含み、且つ、ゲートトレンチは、第1側壁110がSiC結晶内の11−20面に対応するように、テーパー化された側壁を有する。この場合には、個々のチャネル領域は、相対的に低い抵抗値を特徴としている。この実施形態においては、第1側壁110は、SiC半導体本体の結晶のc軸とアライメントされている。c軸(六角形の主軸)は、SiC結晶の成長面(0001面)に対して垂直である。図1には、この成長面は、示されていない。トレンチの底部110は、第1表面101に対して本質的に平行である。
【0031】
トレンチ110の第1側壁110と第1表面101の間の角度α(アルファ)は、成長面(0001面)との関係における第1表面の向きによって左右される。一実施形態によれば、第1表面101は、成長面との関係において傾斜しており、第1表面101と成長面の間の角度は、1°〜10°であってもよく、特に、2°〜8°であってもよい。この場合には、αは、80°(90°−10°)〜89°(90°−1°)であり、且つ、特に、82°(90°−8°)〜88°(90°−2°)である。特定の一実施形態によれば、第1表面101と成長面の間の角度は、トレンチ110の第1表面101と第1側壁110の間の角度αが86°となるように、4°である。c軸に対する第1側壁のアライメントが、本体領域13内のゲート誘電体22に沿ったチャネル領域内の低抵抗値を結果的にもたらすように、11−20面((11−20)面と表現されてもよい)に沿ってSiC結晶内における電荷キャリアの高い移動度が存在している。
【0032】
ゲートトレンチは、細長いトレンチとすることが可能であり、この場合に、ゲート電極21は、図1の垂直断面図においては視野外となる位置においてゲート端子電極に接続することができる。図2は、細長いゲートトレンチを含む図1の半導体装置の一実施形態の水平断面図を示している。図2は、半導体本体100の3つの異なる水平方向の層における半導体装置の特徴を示している。図2において、ゲート電極21及びゲート誘電体22は、破線で示されている。図2において観察できるように、ゲート電極21及びゲート誘電体22を有するゲートトレンチは、細長いトレンチである。任意選択の接触領域32を有するソース領域12及びダイオード領域30は、ゲートトレンチに対して平行に延在している。図2は、絶縁層51の接触開口部52、53を(破線で)更に示している。図2を参照すれば、ソース領域12とダイオード領域30、具体的には、ダイオード領域の接触領域32の上方には、第1接触開口部52が存在しており、且つ、ゲート電極21の上方には、第2接触開口部53が存在している。第2開口部53は、半導体本体100の第1横方向xにおいて第1開口部52から離隔している。個々のゲートトレンチ及び個々のダイオード領域30は、本実施形態においては、第1横方向xに対して垂直である第2横方向yにおいて離隔している。図1及び図2を参照すれば、第1接触開口部52が配置されると共に第1接触開口部52内の接触領域32及びソース領域12に電気的に接続されている領域内において、ソース電極41が絶縁層51をカバーしている。
【0033】
ゲート接続電極(ゲートランナ)42は、第1横方向xにおいてソース電極41から離隔しており、且つ、第2接触開口部53が構成されている領域内において絶縁層51をカバーしている。ゲート接続電極42は、第2接触開口部53内においてゲート電極21に電気的に接続されている。図2を参照すれば、ソース電極41及びゲート接続電極42は、本質的に平行であってもよい。
【0034】
図1に示されている垂直断面図は、図2に示されている断面A−Aにおける垂直断面図に対応している。図3は、図2に示されている断面B−Bにおける垂直断面図を示しており、この場合に、断面B−Bは、ゲート接続電極42及び第2接触開口部53を通過している。図3を参照すれば、絶縁層51は、ダイオード領域30及びソース領域12をゲート接続電極42から分離しており、且つ、ゲート接続電極42は、第2接触開口部53を通じてゲート電極21に電気的に接続されている。
【0035】
一実施形態によれば、半導体装置は、ソース端子Sに接続された1つのソース電極41と、ゲート端子Gに接続された1つのゲート接続電極42と、を含む。更なる実施形態(図示されてはいない)によれば、半導体装置は、ゲート端子Gにそれぞれが接続されたいくつかのゲート接続電極42と、ソース端子Sにそれぞれが接続されたいくつかのソース電極41と、を含み、この場合に、ゲート接続電極42及びソース電極41は、本質的に平行であり、且つ、第1横方向xにおいて交互に配置されている。
【0036】
図1及び図2を参照すれば、ダイオード領域30は、半導体本体100の垂直方向においてトレンチの底部110の下方に配置された領域を含む。半導体本体100の「垂直方向」とは、半導体本体100の第1表面101に対して垂直の方向である。この底部110下方のダイオード領域30の領域は、以下においては、「下部ダイオード領域」と呼称することとする。ダイオード領域30が第1ダイオード領域31及び第2ダイオード領域32を含む一実施形態においては、下部ダイオード領域は、第1ダイオード領域31及び第2ダイオード領域32のセクションを含んでもよい。
【0037】
一実施形態によれば、下部ダイオード領域は、下部ダイオード領域が最大ドーピング濃度を有する領域がトレンチの底部110から離隔するように、変化するドーピング濃度を垂直方向において有する。以下、図4を参照し、これについて説明する。
【0038】
図4は、図1に示されているラインI−Iに沿ったダイオード領域30のドーピング濃度N30を示している。図4において、xは、第1表面101とドーピング濃度が図4に示されている個々の位置の間の距離を表している。x0は、第1表面101の位置を表記しており、且つ、x1は、トレンチの底部110の位置を表記しており、且つ、x2は、ダイオード領域30がドリフト領域との間にpn接合を形成するダイオード領域30の下端部を表記している。図4には、ダイオード領域30を形成するドーパントのドーピング濃度のみが示されている。上述のように、これらのドーパントは、n型トランジスタ装置においては、p型ドーパントであり、且つ、p型トランジスタ装置においては、n型ドーパントである。図4を参照すれば、ダイオード領域30のドーピング濃度は、トレンチの底部110から離隔した位置において、下部ダイオード領域30内において最大値を有する。トレンチの底部1103と最大値の位置x3の間の最短距離dは、例えば、200ナノメートル(nm)〜1マイクロメートル(μm)であり、特に、250ナノメートル〜500ナノメートルである。一実施形態によれば、この下部ダイオード領域における最大ドーピング濃度は、1E18cm−3〜5E18cm−3である。
【0039】
図4を参照すれば、下部ダイオード領域内のドーピング濃度の最大値は、全体ダイオード領域30の局所的な最大値であってもよい。即ち、ダイオード領域は、ドーピング濃度の絶対的な最大値を含んでもよく、或いは、下部ダイオード領域外であると共に下部ダイオード領域30内の最大ドーピング濃度よりも高いドーピング濃度の領域の更なる局所的な最大値を含んでもよい。図4に示されている実施形態においては、ダイオード領域30は、第1表面101に近接した状態のドーピング濃度の絶対的な最大値を有する。このドーピング濃度の絶対的な最大値を有する領域は、ソース電極1がダイオード領域30に対して電気的に接続する接触領域として機能する。この領域内の最大ドーピング濃度は、例えば、1E19cm−3〜1E20cm−3である。一実施形態によれば、トレンチの底部110と(局所的な)最大ドーピング濃度を有する位置x3の間には、ドーピング濃度の(局所的な)最小値が存在している。この最小ドーピング濃度は、一実施形態によれば、トレンチの底部に隣接した領域内に存在している。一実施形態によれば、この最小ドーピング濃度は、5E17cm−3〜1E18cm−3である。
【0040】
トレンチの底部110から離隔した下部ダイオード領域のドーピング濃度の局所的な最大値を有するダイオード領域30の実装は、半導体装置が阻止している際に高電界からゲート誘電体22を効果的に保護するのに有用である。
【0041】
一実施形態によれば、ドリフト領域11は、チャネル領域11内において、局所的に増大したドーピング濃度を有する。以下、図5を参照し、これについて説明する。図5は、図1に示されているラインII−IIに沿ったドーピング濃度を示している。図5において、ソース領域12のドーピング濃度N12、本体領域13のものN13、及びドリフト領域11のものN11が示されている。図4と同様に、x0は、第1表面101の位置を表記しており、x1は、トレンチの底部110の位置を表記しており、且つ、x2は、ダイオード領域30の下端部の位置を表記している。図5を参照すれば、ドリフト領域11は、ドレイン領域14の方向においてドリフト領域11から離れた領域内よりも高いドーピング濃度を本体領域13に隣接した領域内において有する。即ち、ドリフト領域11は、本体領域13とドリフト領域11の間の境界線におけるpn接合とダイオード領域30の下端部の垂直方向の位置に対応した垂直方向の位置の間の領域内においてドーピング濃度の最大値を有する。この増大したドーピング濃度を有する領域の長さは、例えば、200ナノメートル〜1マイクロメートルである。この領域内のドーピング濃度は、例えば、チャネル領域11外のドーピング濃度の少なくとも2倍である。一実施形態によれば、チャネル領域11の相対的に高度にドーピングされたセクション内のドーピング濃度は、5E16cm−3〜1E17cm−3である。チャネル領域11外においては、ドリフト領域11のドーピング濃度は、例えば、2E16cm−3未満である。チャネル領域11の相対的に高度なドーピングは、半導体装置のオン抵抗値を低減するのに有用であり、オン抵抗値とは、半導体装置のオン状態における電気抵抗値である。一実施形態によれば、チャネル領域11の相対的に高度にドーピングされたセクションは、下部ダイオード領域がドーピング最大値を有する垂直方向の位置x3をカバーしている。
【0042】
別の実施形態によれば、ドリフト領域11は、ダイオード領域30の下方において、更に高度にドーピングされた領域11を含む。この更に高度にドーピングされた領域11は、ダイオード領域30に隣接していてもよく、且つ、横方向において、チャネル領域11の方向においてダイオード領域30を超えて延在してもよい。この更に高度にドーピングされた領域11のドーピング濃度は、チャネル領域11内の相対的に高度にドーピングされた領域のドーピング濃度に対応したものであってもよい。この更に高度にドーピング領域11は、チャネル領域11内の相対的に高度にドーピングされた領域から離隔していてもよい。
【0043】
以下、図6A図6Jを参照し、上述の半導体装置を製造する方法の一実施形態について説明する。これらの図のそれぞれは、方法の個々の方法ステップにおける半導体本体100の垂直断面図を示している。
【0044】
図6Aを参照すれば、方法は、半導体本体100に対して、ドリフト領域層111、ドリフト領域層111に隣接した本体領域層113、及び本体領域層113に隣接したソース領域層112を提供するステップを含む。ソース領域層112は、半導体本体100の第1表面101を形成している。半導体本体100は、本体領域層113の反対側においてドリフト領域層111に隣接したドレイン領域層114を更に含む。任意選択により、ドリフト領域層111と同一のドーピング型であるがドリフト領域層111よりも高度にドーピングされたフィールドストップ領域層(図示されてはいない)が、ドレイン領域層114とドリフト領域層111の間に配置される。ドリフト領域層111は、ドリフト領域11を形成し、本体領域層113は、本体領域13を形成し、ソース領域層112は、ソース領域12を形成し、且つ、ドレイン領域層114は、完成した半導体装置のドレイン領域14を形成する。個々の半導体層111〜114のドーピング型及びドーピング濃度は、個々の半導体層によって形成される装置領域のドーピング型及びドーピング濃度に対応している。これらの個々の装置領域のドーピング型及びドーピング濃度については、上述したとおりである。
【0045】
図6Aの半導体本体100は、いくつかの異なる方式でドーピングされた半導体層を有する半導体本体を製造する従来の技術を使用することにより、製造することができる。一実施形態によれば、半導体本体100を製造するステップは、ドレイン領域層114を形成する半導体基板を提供するステップと、ドレイン領域層114上において第1エピタキシャル層としてドリフト領域層111を成長させるステップと、ドリフト領域層111上において第2エピタキシャル層として本体領域層113を成長させるステップと、本体領域層113上において第3エピタキシャル層としてソース領域層112を成長させるステップと、を含む。個々のエピタキシャル層は、個別のエピタキシャルプロセスにおいて原位置ドーピングすることができる。
【0046】
第2実施形態によれば、ドリフト領域層111のドーピング濃度に対応したドーピング濃度を有する半導体基板が提供されている。本体領域層113及びソース領域層112を形成するように、注入プロセスにより、この基板に、ドーピング原子が第1表面101を通じて注入される。更には、ドレイン領域層114を形成するべく、ドーピング原子が第1表面101の反対側の第2表面102を通じて基板に注入される。
【0047】
第3実施形態によれば、ドレイン領域層114を形成する半導体基板が提供されている。エピタキシャル層をドレイン領域層114上において成長させ、この場合に、エピタキシャル層は、ドリフト領域層111のドーピング濃度に対応したドーピング濃度を有する。このエピタキシャル層は、半導体本体100の第1表面101を形成する。最後に、本体領域層113及びソース領域層112を形成するように、ドーピング原子が第1表面101を通じてエピタキシャル層に注入される。
【0048】
図6Bを参照すれば、半導体本体100の第2横方向yにおいて離隔したダイオード領域30が形成されている。ダイオード領域30を形成するステップは、ドリフト領域層111内において第1ダイオード領域31を形成するステップと、第2ダイオード領域(接触領域)32を形成するステップと、を含んでもよく、接触領域32は、第1表面111からソース領域層112及び本体領域層113を通じて第1ダイオード領域31内に延在している。第1及び第2ダイオード領域31、32を形成するステップは、従来の注入プロセスを含んでもよい。ダイオード領域30を製造する方法の一実施形態については、図7A及び図7Bを参照して後述する。
【0049】
図6Cを参照すれば、方法は、半導体本体100の第1表面101内においてトレンチを生成するステップを更に含む。トレンチは、それぞれ、第1側壁110、第1側壁110の反対側の第2側壁110、及び底部110を含む。トレンチは、本体領域層113及びソース領域層112をいくつかのセクションにサブ分割しており、ダイオード領域30の形成前に本体領域層113のドーピング濃度を有する領域は、本体領域13を形成し、且つ、ダイオード領域30の形成前にソース領域層112のドーピング濃度を有する領域は、半導体装置のソース領域12を形成する。図6Cを参照すれば、トレンチ110は、それぞれのトレンチ110の第1側壁110が1つのソース領域12及び1つの本体領域13と隣接するように、且つ、それぞれのトレンチ110の第2側壁110が、1つのダイオード領域30、特に、ダイオード領域30の接触領域32と隣接するように、形成されている。この場合には、ダイオード領域30とドリフト領域11の間に形成されたpn接合は、それぞれのトレンチ110の底部110と隣接している。トレンチ110を形成するステップは、エッチングマスク210を使用する従来のエッチングプロセスを含んでもよい。
【0050】
任意選択により、個々のトレンチの側壁110、110と底部110の間のコーナーを丸めるトレンチ110の事後処理が存在する。図6Dには、このような丸めのプロセスの結果が示されている。丸めのプロセスは、水素含有雰囲気中における熱処理を含んでもよい。例えば、この熱処理における温度は、1200℃〜1700℃であり、持続時間は、例えば、1分〜60分である。一実施形態によれば、側壁110、110と底部110の間のコーナーは、ゲート誘電体22が第1表面1101に沿って有する厚さの少なくとも2倍又はこの厚さの少なくとも4倍の半径を有するように形成されている。ゲート誘電体22は、後述するプロセスにおいて形成される。一実施形態によれば、コーナーの半径は、少なくとも300ナノメートル(nm)である。このプロセスによれば、トレンチの底部におけるコーナーのみならず、第1表面101と側壁110、110の間のコーナーも丸められる。
【0051】
一実施形態によれば、トレンチ110は、テーパー化された側壁を有するように形成されている。一実施形態によれば、半導体本体100は、SiCを有し、且つ、トレンチ110は、第1側壁110がSiC半導体結晶のc軸とアライメントするように、テーパー化された側壁を有するように形成されている。
【0052】
テーパー化された側壁を有するトレンチを形成するステップは、第1エッチングレートで垂直方向において、且つ、第1エッチングレートよりも小さな第2エッチングレートで横方向において、半導体本体をエッチングするエッチングプロセスを含んでもよい。第1表面101に相対的に近接したトレンチの側壁110、100が、底部110に相対的に近接したセクションよりも長期にわたってエッチング剤に晒されることから、トレンチは、底部110よりも第1表面101において幅が広くなる。エッチングプロセスの精度に応じて、半導体本体100の第1表面101が望ましい結晶プレーンとどれだけ正確にアライメントされるかに応じて、且つ、半導体本体100がエッチングプロセスにおいてエッチングマスク(図示されてはいない)とどれだけ正確にアライメントされるかに応じて、第1側壁110は、チャネル領域の実装が望ましい結晶プレーンに対して正確にフィットすることにもなり、或いは、フィットしないことにもなる。
【0053】
一実施形態によれば、トレンチを形成するステップは、上述の結晶面、即ち、11−20面と第1側壁110をアライメントさせるように機能する調節プロセスを含む。このプロセスは、トレンチの形成の後に、水素含有雰囲気中における熱処理を含んでもよい。熱処理においては、温度は、例えば、1200℃〜1700℃であり、且つ、持続時間は、例えば、1分〜60分である。一実施形態によれば、同一の熱処理は、トレンチのコーナーを丸めるべく、且つ、第1側壁110のアライメントを微細チューニングするべく、使用されている。
【0054】
図6Eに示されている次のプロセスステップにおいて、ゲート誘電体22が、トレンチ110の側壁110、110及び底部110上において形成されている。又、任意選択により、ゲート誘電体22は、半導体本体100の第1表面101上においても形成される。一実施形態によれば、半導体本体100は、SiCを含み、且つ、ゲート誘電体22は、二酸化ケイ素(SiO)を含む。ゲート誘電体22を形成するステップは、酸化プロセス、堆積プロセス、或いは、堆積プロセスと酸化プロセスの組合せを含んでもよい。
【0055】
図6Fを参照すれば、電極層21’が、トレンチ110内において、且つ、半導体本体100の第1表面101の上方において、形成されている。トレンチ110内に配置されている電極層21’のセクションは、個々の装置セルのゲート電極21を形成する。例えば、電極層21’は、ポリシリコン又はケイ化物などの高度にドーピングされた多結晶半導体材料を含む。
【0056】
図6Gを参照すれば、電極層21’は、第1表面101から除去されているが、トレンチ内において留まり、ゲート電極21を形成している。第1表面101の上方において電極層21’を除去するステップは、ドライエッチングプロセスなどのエッチングプロセスを含んでもよい。
【0057】
図6Hを参照すれば、絶縁層51が、第1表面101及びゲート電極21の上方において形成されている。絶縁層51は、酸化物などの従来の電気絶縁層であってもよい。絶縁層51を形成するステップは、化学気相蒸着(CVD)を含んでもよい。
【0058】
図6Iを参照すれば、接触孔52が絶縁層51内において形成されている。接触孔を形成するステップは、エッチングマスクを使用する従来のエッチングプロセスを含んでもよい。図6Iは、ダイオード領域30及びソース領域12の上方において第1接触孔52を形成するステップを示している。同様に、第2接触孔53が、図6Iの垂直断面においては視野外である領域内において、ゲート電極21の上方に形成される。
【0059】
最後に、ソース電極41が形成されている。ソース電極41は、第1接触開口部43内においてダイオード領域30及びソース領域12と電気的に接触している。任意選択により、ソース電極41は、上述の2つのサブ層41、41を含む。ソース電極41を形成するステップは、CVDプロセス、蒸発プロセス、ガルバニックプロセス、及びスパッタリングプロセスのうちの1つなどの金属堆積プロセスを含んでもよい。ソース電極41は、金属又はケイ化物などの導電性材料を含む。同様に、ゲート接続電極42も、図6Jにおいては視野外である領域内に形成され、且つ、第2接触開口部53内においてゲート電極21と接触している。
【0060】
上述の方法においては、垂直方向の位置x3(図4を参照されたい)及び下部ダイオード領域30内のドーピング最大値のドーピング濃度は、図6Bを参照して説明した注入プロセスにおいて調節することができる。具体的には、垂直方向の位置は、ドーピング最大値を形成するように注入されるイオンの注入エネルギーを調節することにより、調節することが可能であり、且つ、ドーピング濃度は、注入分量を調節することにより、調節することができる。1つのダイオード領域30を形成するステップは、半導体本体の垂直方向において変化するドーピング濃度を有するダイオード領域30を形成するように、注入エネルギー及び注入分量の観点において異なってもよいいくつかの注入プロセスを含んでもよいことに留意されたい。
【0061】
図7A及び図7Bは、ダイオード領域30を生成する方法の一実施形態を示している。図7A及び図7Bに示されている方法においては、ダイオード領域30は、第1ダイオード領域31及び第2ダイオード領域32を有するように形成されている。図7Aを参照すれば、第1ダイオード領域31を形成するステップは、注入マスク210を使用した少なくとも1つの注入プロセスを含んでもよい。この注入プロセスの注入エネルギーは、ドーピング原子がドリフト領域層111に注入されるように、調節される。
【0062】
図7Bを参照すれば、第2ダイオード領域(接触領域)32を形成するステップは、更なる注入マスクを使用した少なくとも1回の更なる注入プロセスを含む。更なる注入マスクは、第1注入マスク210の開口部の側壁に沿ってスペーサ220を形成することによって得ることができる。接触領域32を形成するステップは、異なる注入エネルギーを伴ういくつかの後続の注入プロセスを含んでもよい。更には、それぞれの注入プロセスと、図6A図6Jを参照して上述した注入プロセスの場合にも、注入されたドーピング原子を活性化するための熱処理を含む。
【0063】
少なくとも1回の注入プロセス及び少なくとも1回の更なる注入プロセスにおける注入エネルギー及び注入分量は、完成した装置の下部ダイオード領域が、望ましい垂直方向の位置x3(図4を参照されたい)においてドーピング濃度の最大値を有するように、選択されている。一実施形態によれば、最大値の位置及びドーピング濃度は、第1ダイオード領域31を形成するプロセスにおいて定義されている。別の実施形態によれば、第1ダイオード領域31を形成するプロセスと第2ダイオード領域32を形成するプロセスの両方により、ドーピング最大値の位置及びドーピング濃度を定義している。
【0064】
図7A及び図7Bに示されている実施形態においては、第2ダイオード領域32は、第1ダイオード領域31内に深く(第1ダイオード領域31の垂直方向の寸法の50%超だけ)延在している。但し、これは、一例に過ぎない。別の実施形態によれば、第2ダイオード領域32は、第1ダイオード領域31の垂直方向の寸法の50%未満だけ、或いは、場合によっては、25%未満だけ、第1ダイオード領域31内に延在している。
【0065】
更には、異なる横方向の寸法を有するように、即ち、これらの第1及び第2ダイオード領域31、32を形成するための2つの異なる注入マスクを使用することにより、第1ダイオード領域31及び第2ダイオード領域32を形成するステップは、任意選択である。一実施形態によれば、ドリフト領域11内の第1ダイオード領域31と、第1ダイオード領域31を完成した装置内のソース電極に接続する第2ダイオード領域32と、の両方を形成するべく、図7Aに示されているマスク210などの1つのマスクのみが使用されている。
【0066】
図5を参照すれば、チャネル領域11は、ドリフト領域11のその他のセクションよりも高いドーピング濃度を有する領域を有してもよい。チャネル領域の相対的に高いドーピング濃度は、半導体本体100に第1表面101を介してドーパント原子を注入することにより、得ることができる。注入マスクは、完成した装置がチャネル領域11を含む領域内においてのみドーパント原子を注入するべく、使用されてもよい。相対的に高いドーピング濃度を有するチャネル領域11のセクションの垂直方向の位置及びドーピング濃度は、このプロセスにおいて注入エネルギー及び注入分量を適切に調節することにより、調節することができる。上述の図6Dを参照して説明したプロセスステップの後にトレンチの底部110を介してドーピング原子を半導体本体100に注入することにより、更なる相対的に高度にドーピングされた領域11図1を参照されたい)を製造することができる。
【0067】
図8は、別の実施形態による半導体装置の垂直断面図を示している。この実施形態においては、ゲート誘電体22は、第1側壁110よりもトレンチの底部110において相対的に厚い。即ち、ゲート誘電体22は、第1側壁110において第1厚さを有し、且つ、底部110において第2厚さを有しており、第2厚さは、第1厚さよりも大きい。一実施形態によれば、第2厚さは、第1厚さの少なくとも1.5倍であり、第1厚さの少なくとも2倍であり、或いは、場合によっては、第1厚さの少なくとも3倍である。製造プロセスにおける変動又は不完全性に起因し、ゲート誘電体22の厚さは、第1側壁110及び底部110に沿って変化する場合がある。従って、側壁110、110又は底部110のうちの1つにおけるゲート誘電体22の「厚さ」は、それぞれ、個々の側壁/底部におけるゲート誘電体22の平均厚さ又は最小厚さとして理解されたい。
【0068】
図9に示されている別の実施形態によれば、トレンチの底部110のみならず、第2側壁110におけるゲート誘電体22は、第1側壁110におけるものよりも厚い。即ち、ゲート誘電体22は、第1側壁110における第1厚さを上回る第2側壁110における第3厚さを有する。一実施形態によれば、第3厚さは、第1厚さの少なくとも1.5倍であり、第1厚さの少なくとも2倍であり、或いは、第1厚さの少なくとも3倍である。第3厚さは、実質的に、底部110における第2厚さと等しくてもよく、或いは、第2厚さとは異なっていてもよい。一実施形態によれば、第1厚さは、40ナノメートル〜100ナノメートルである。第2厚さ及び第3厚さは、それぞれ、例えば、60ナノメートル〜300ナノメートルである。
【0069】
図10A図10Dは、トレンチ110の底部110と、任意選択により、第2側壁110と、の上部において相対的に厚いゲート誘電体22を生成する方法の一実施形態を示している。図10A図10Cは、方法の異なるプロセスシーケンスの最中/後の半導体本体100の垂直方向の断面図を示している。図10A図10Cを参照して説明する方法は、半導体本体100内のトレンチ110の形成の後に、即ち、図6A図6Dを参照して上述したプロセスシーケンスの後に、開始される。
【0070】
図10Aを参照すれば、方法は、トレンチ110の側壁110、110及び底部110上において第1誘電体層221を形成するステップを含む。又、任意選択により、この誘電体層221は、第1表面101上においても形成される。第1誘電体層221は、酸化物を含んでもよい。この第1誘電体層221を形成するステップは、酸化プロセス、堆積プロセス、或いは、酸化プロセスと堆積プロセスの組合せを含んでもよい。例えば、堆積プロセスは、CVD(化学気相蒸着)プロセスを含む。
【0071】
図10Bを参照すれば、方法は、第1保護層301によってトレンチ110を充填するステップを更に含む。例えば、保護層301は、例えば、ポリシリコン又は非晶質シリコンなどの多結晶又は非晶質半導体材料を含む。任意選択により、第2保護層302が、第2側壁110をカバーする第1誘電体層221のセクションの上方において配置されるように、第2保護層302が第1保護層301及び第1表面101の上方において形成される。第2保護層302は、任意選択であり、且つ、相対的に厚いゲート誘電体22が底部110においてのみ生成される実施形態においては、省略することができる。第2保護層302は、多結晶又は非晶質半導体材料、フォトレジスト、又はこれらに類似したものを含んでもよい。
【0072】
方法は、半導体本体100、第1保護層301、及び任意選択の第2保護層302に対して第1誘電体層221を選択的にエッチングするステップを更に含む。このプロセスにおいては、第1保護層201が、底部110において第1誘電体層221をエッチングから保護していることから、第1表面101上の、且つ、第1側壁110に沿った、第1誘電体層221をエッチングすることができる。第2保護層302が省略されている場合には、エッチングプロセスの後に、底部110においてのみ第1誘電体層221が残るように、第2側壁110に沿った第1誘電体層221もエッチングされる。第2側壁110の上方に第2保護層302が存在している場合には、底部110における第1誘電体層221が残るのみならず、第2側壁110に沿った第1誘電体層221も残ることになる。
【0073】
図10Cは、これらのプロセスステップの後の、且つ、第1保護層301及び任意選択の保護層302を除去した後の、半導体本体100を示している。図10Cにおいて、第2側壁110に沿った第1誘電体層221は、破線で示されており、その理由は、この第1誘電体層221の部分は、任意選択であり、且つ、第2保護層302が生成された場合にのみ、残るからである。
【0074】
図10Dを参照すれば、方法は、トレンチ110の側壁110、110及び底部110上の第2誘電体層222を形成するステップを更に含む。トレンチ110内において、この第2誘電体層222は、第1誘電体層221に追加されている。第1誘電体層221及び第2誘電体層222は、ゲート誘電体22を形成する。ゲート誘電体22は、第2誘電体層222のみが生成されている第1側壁110においては、相対的に厚く、第1誘電体層221及び第2誘電体層222が生成されている底部110においては、相対的に厚く、且つ、第2誘電体層222と、任意選択により、第1誘電体層221が生成される第2側壁110においては、相対的に厚くてもよい。半導体装置を製造する更なる方法ステップは、図6F図6Jを参照して上述した方法ステップに対応したものであってもよい。
【0075】
図11A図11Cは、別の実施形態によるゲート誘電体22を形成する方法を示している。図11Aを参照すれば、方法は、トレンチ110の側壁110、110及び底部110上において第1誘電体層221を形成するステップを含む。第1誘電体層221は、図10Aを参照して上述したように生成されてもよい。
【0076】
方法は、少なくとも第1側壁110に沿って第1誘電体層221を除去するステップを更に含む。又、任意選択により、第1誘電体層221は、第2側壁110に沿っても除去される。第1側壁110に沿って第1誘電体層221を除去するステップは、底部110の上方において、且つ、任意選択により、第2側壁110の上方において、第1誘電体層221上にマスク層を形成するステップを含んでもよい。
【0077】
図11Bを参照すれば、このマスク層を形成するステップは、第1誘電体層221の上方において犠牲層224を形成するステップを含んでもよい。一実施形態によれば、この犠牲層224は、例えば、ポリシリコンなどの多結晶半導体材料を含む。図11Bを参照すれば、この犠牲層224には、犠牲層224を除去することが望ましい領域内において損傷注入が適用される。図11Bを参照すれば、第1表面101に沿うと共に第1側壁110に沿った犠牲層224に対して損傷注入が適用されてもよい。底部110及び第2側壁110における犠牲層224を注入から保護するべく、傾斜注入が使用されてもよい。損傷注入プロセスにおいて使用されるイオンの例は、例えば、アルゴン又はキセノンイオンなどの希ガスイオンを含む。
【0078】
次のプロセスステップにおいて、損傷注入された犠牲層224のセクションが、損傷していない犠牲層セクションに対して損傷している犠牲層セクションを選択的にエッチングするエッチングプロセスにおいて、除去されている。図11Cは、この選択的エッチングプロセスの後の犠牲層224を示している。次いで、犠牲層224の残っているセクションは、犠牲層224によってカバーされていない第1誘電体層221のセクションをエッチングするためのエッチングマスクとして使用される。図11Dには、この結果が示されている。
【0079】
図11Dを参照すれば、第1誘電体層221は、トレンチ110の底部110及び第2側壁110において残っている。この構造は、図10Cを参照して説明した構造に対応している。従って、ゲート誘電体22を形成する更なるプロセスステップは、図10Dを参照して上述したプロセスステップに対応したものであってもよい。
【0080】
図11A図11Dを参照して説明した方法に基づいて、相対的に厚いゲート誘電体22が底部110且つ第2側壁110上において形成され、その理由は、この方法においては、第1誘電体層221が、底部110及び第2側壁110上に残るからである。但し、この方法は、トレンチ110の底部110上においてのみ第1誘電体層221を形成するように、容易に変更することができる。変更済みの方法は、犠牲層224が、第1側壁110の上方のみならず、第2側壁110の上方においても、損傷注入されるように選択された更なる損傷注入プロセスを含む。図11Bに示されている方法における注入角度とは異なる注入角度を利用した傾斜注入が使用されてもよい。例えば、β(ベータ)が、図11Bに示されている方法における第1表面101との関係における注入角度であるとすれば、変更済みの方法において更に使用される注入角度は、−βである(図11Bにおいて破線で示されている)。
【0081】
但し、底部110における犠牲層224は、変更済みの方法においては、損傷注入されない。犠牲層224が第2側壁110の上方において損傷注入される場合には、犠牲層224が底部110の上方においてのみマスク層として残るように、図11Cを参照して説明したエッチングプロセスにより、第2側壁110の上方においても犠牲層224をエッチングする。この結果、第1誘電体層221をエッチングするエッチングプロセスにより、トレンチ110の底部110上においてのみ、第1誘電体層221が残ることになる。
【0082】
本明細書において記述されている様々な実施形態の特徴は、そうではない旨が特記されていない限り、相互に組み合わせられてもよいことを理解されたい。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
半導体装置であって、半導体本体と、前記半導体本体内において統合された少なくとも1つの装置セル(10、10)と、を有し、
前記少なくとも1つの装置セルは、
ドリフト領域(11)、ソース領域(12)、及び前記ソース領域(12)と前記ドリフト領域(11)との間に構成された本体領域(13)と、
ダイオード領域(30)、及び前記ダイオード領域(30)と前記ドリフト領域(11)との間のpn接合と、
第1側壁(110)、前記第1側壁の反対側の第2側壁(110)、及び底部(110)を有するトレンチであって、前記本体領域(13)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)と隣接しており、前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記第2側壁(110)と隣接しており、且つ、前記pn接合は、前記トレンチの前記底部(110)と隣接している、トレンチと、
前記トレンチ内において構成され、且つ、前記本体領域(13)、前記ダイオード領域(30)、及び前記ドリフト領域(11)からゲート誘電体(22)によって電気的に絶縁されたゲート電極(21)と、
を有し、
前記ダイオード領域(30)は、前記トレンチの前記底部(110)の下方において配置された下部ダイオード領域を有し、且つ、
前記下部ダイオード領域は、前記トレンチの前記底部(110)から離れた状態においてドーピング濃度の最大値を有する、装置。
(態様2)
少なくとも2つの装置セルを有し、
前記少なくとも2つの装置セル(10、10)の前記ダイオード領域(30)は、前記半導体本体(100)の横方向において離れている態様1に記載の半導体装置。
(態様3)
前記少なくとも2つの装置セル(10、10)の前記ダイオード領域(30)の間の距離は、
0.5マイクロメートル〜2マイクロメートル、
前記トレンチの幅の0.25倍〜1.5倍、及び
前記トレンチの下方の前記ドリフト領域(11)内における前記ダイオード領域(30)の横方向の幅の30%〜60%
から構成される群から選択される態様2に記載の半導体装置。
(態様4)
前記トレンチの前記底部(110)と前記ドーピング濃度の前記最大値の位置との間の距離は、200ナノメートル〜1マイクロメートルである態様1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様5)
前記トレンチの前記底部(110)と前記ドーピング濃度の前記最大値の位置との間の距離は、250ナノメートル〜500ナノメートルである態様4に記載の半導体装置。
(態様6)
前記最大ドーピング濃度は、1E18cm−3〜5E18cm−3である態様1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様7)
前記ダイオード領域(30)は、前記最大ドーピング濃度の位置と前記トレンチの前記底部(110)との間において、前記ドーピング濃度の局所的な最小値を更に有する態様1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様8)
前記局所的な最小ドーピング濃度は、5E17cm−3〜1E18cm−3である態様7に記載の半導体装置。
(態様9)
前記ゲート誘電体(22)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)において第1厚さを有し、且つ、前記トレンチの前記第2側壁(110)において第2厚さを有し、前記第2厚さは、前記第1厚さを上回っている態様1〜8のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様10)
前記第2厚さは、前記第1厚さの少なくとも1.5倍である態様9に記載の半導体装置。
(態様11)
前記ゲート誘電体(22)は、前記トレンチの前記第1側壁(110)において第1厚さを有し、且つ、前記トレンチの前記底部(110)において第3厚さを有し、前記第3厚さは、前記第1厚さを上回っている態様1〜10のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様12)
前記第3厚さは、前記第1厚さの少なくとも1.5倍である態様9〜11のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様13)
前記トレンチは、前記第1側壁(110)と前記底部(110)との間に丸められたコーナーを有し、且つ、
前記丸められたコーナーの半径は、前記第1側壁(110)における前記ゲート誘電体(22)の厚さの少なくとも2倍である態様1〜12のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様14)
前記ドリフト領域は、前記少なくとも2つの装置セルのうちの2つの隣接する装置セルの前記ダイオード領域(30)の間において、前記ドーピング濃度の局所的な最大値を有する態様2〜13のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様15)
それぞれの装置の前記ソース領域(12)及び前記ダイオード領域(30)に電気的に接続されたソース電極(41)を更に有する態様1〜14のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様16)
それぞれのダイオード領域(30)は、
前記ドリフト領域(11)との間にpn接合を形成する第1ダイオード領域(31)と、
前記第1ダイオード領域(31)よりも高度にドーピングされ、且つ、前記ソース電極(41)に接続された第2ダイオード領域(32)と、
を有する態様1〜15のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様17)
前記第2ダイオード領域(32)は、前記トレンチの前記第2側壁と隣接している態様16に記載の半導体装置。
(態様18)
前記少なくとも2つの装置セルは、隣接しており、且つ、
一方の装置セルの前記ダイオード領域(30)は、他方の装置セルの前記本体領域(13)と隣接している態様1〜17のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様19)
前記半導体本体(100)は、SiC結晶を有し、且つ、
前記トレンチの前記第1側壁は、前記SiC結晶のc軸とアライメントされている態様1〜18のいずれか一項に記載の半導体装置。
(態様20)
前記半導体本体(100)の第1表面(101)と前記第1側壁(110)との間の角度は、80°〜89°である態様19に記載の半導体装置。
(態様21)
半導体装置を製造する方法であって、
ドリフト領域層(111)、前記ドリフト領域層(111)と隣接する本体領域層(113)、及び前記本体領域層(113)と隣接すると共に前記半導体本体(100)の第1表面(101)を形成するソース領域層(112)を有する半導体本体を提供するステップと、
前記ダイオード領域(30)が前記第1表面(101)から前記ソース領域層(112)及び前記本体領域層(113)を通じて前記ドリフト領域層内に延在するように、少なくとも1つのダイオード領域(30)を形成するステップであって、前記ダイオード領域(30)と前記ドリフト領域層(111)とは、1つのpn接合を形成する、ステップと、
第1側壁(110)、前記第1側壁(110)の反対側の第2側壁(110)、及び底部(110)を有する少なくとも1つのトレンチ(110)を形成するステップであって、前記少なくとも1つのトレンチ(110)が、1つの側壁上において前記本体領域層(113)と、前記第2の側壁上において前記ダイオード領域(30)と、且つ、前記底部(110)上において前記pn接合と、隣接するように、形成されるステップと、
ゲート電極(21)と、前記ゲート電極(21)を前記半導体本体(100)から電気的に絶縁するゲート誘電体(22)と、を前記少なくとも1つのトレンチ内において形成するステップと、
を有し、
前記ダイオード領域(30)を形成した後に残っている前記ソース領域層(112)のセクションは、ソース領域(12)を形成し、且つ、前記少なくとも1つのダイオード領域(30)を形成した後に残っている前記本体領域層(113)のセクションは、本体領域(13)を形成し、且つ、
前記少なくとも1つのダイオード領域(30)を形成するステップは、前記トレンチの前記底部(110)の下方において下部ダイオード領域を形成するステップと、前記トレンチの前記底部(110)から離れた状態において前記下部ダイオード領域のドーピング濃度の最大値を形成するステップと、を有する、方法。
(態様22)
前記第1表面(101)上において絶縁層(51)を形成するステップと、
それぞれのダイオード領域(30)及びそれぞれのソース領域(12)の上方において前記絶縁層(51)内に第1接触開口部(52)を形成するステップと、
それぞれの第1接触開口部(52)内において前記ソース領域(12)及び前記ダイオード領域(30)に電気的に接続されたソース電極(41)を形成するステップと、
を更に有する態様21に記載の方法。
(態様23)
それぞれのゲート電極(22)の上方において前記絶縁層(51)内に第2接触開口部(53)を形成するステップと、
それぞれの第2接触開口部(52)内において前記ゲート電極(22)に電気的に接続されたゲート接続電極(42)を形成するステップと、
を更に有する態様22に記載の方法。
(態様24)
前記半導体本体(100)は、SiC結晶を有し、且つ、
前記トレンチは、前記トレンチの前記第1側壁が前記SiC結晶のc軸とアライメントするように、形成されている態様21〜23のいずれか一項に記載の方法。
(態様25)
前記第1トレンチは、前記半導体本体(100)の前記第1表面(101)と前記第1側壁(110)との間の角度が80°〜89°となるように、形成されている態様24に記載の方法。
(態様26)
前記ゲート誘電体(22)を形成するステップは、前記トレンチの前記第1側壁(110)において第1厚さを有すると共に前記トレンチの前記第2側壁(110)において第2厚さを有するように前記ゲート誘電体(22)を形成するステップを有し、前記第2厚さは、前記第1厚さを上回っている態様21〜25のいずれか一項に記載の方法。
(態様27)
前記第2厚さは、前記第1厚さの少なくとも1.5倍である態様26に記載の方法。
(態様28)
前記ゲート誘電体(22)を形成するステップは、前記トレンチの前記第1側壁(110)において第1厚さを有すると共に前記トレンチの前記底部(110)において第3厚さを有するように前記ゲート誘電体(22)を形成するステップを有し、前記第3厚さは、前記第1厚さを上回っている態様21〜27のいずれか一項に記載の方法。
(態様29)
前記第3厚さは、前記第1厚さの少なくとも1.5倍である態様28に記載の方法。
(態様30)
前記トレンチ(110)を形成した後に、前記半導体本体に対して水素雰囲気中における熱処理を適用するステップを更に有する態様21〜29のいずれか一項に記載の方法。
【符号の説明】
【0083】
1 ソース電極
10、10 装置セル
11 ドリフト領域
12 ソース領域
13 本体領域
14 ドレイン領域
15 チャネル領域
21 ゲート電極
21’ 電極層
22 ゲート誘電体
30 ダイオード領域
31 第1ダイオード領域
32 第2ダイオード領域
41 ソース電極
42 ゲート接続電極
43 第1接触開口部
51 絶縁層
52 第1接触開口部
53 第2接触開口部
100 半導体本体
101 第1表面
102 第2表面
110 トレンチ
110 第1側壁
110 第2側壁
110 底部
111 ドリフト領域層
112 ソース領域層
113 本体領域層
114 ドレイン領域層
201 第1保護層
210 マスク
220 スペーサ
221 第1誘電体層
222 第2誘電体層
224 犠牲層
301 第1保護層
302 第2保護層
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-B】
図6C-E】
図6F-H】
図6I-J】
図7A-B】
図8
図9
図10A-C】
図10D
図11A-C】
図11D