(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の面及び前記第1の面の裏側に第2の面を有する磁気チョクラルスキー半導体ウエハであって、前記第1の面が、第1の垂直方向において、前記第2の面から離れて配置されている半導体ウエハを用意することと、
前記第2の面を介して半導体ウエハに粒子を注入して、第1の深さで欠陥濃度が最大になる結晶欠陥を半導体ウエハに形成することと、
第1の熱プロセスにおいて半導体ウエハを加熱して、放射線誘起ドナーを形成することと、
を含む、半導体ウエハを処理するための方法であって、
前記粒子を注入する際の注入エネルギ及び注入ドーズを選択することにより、前記放射線誘起ドナー生成後の半導体ウエハのnドープ半導体領域が、前記第2の面と前記第1の深さとの間に配置されるとともに、前記nドープ半導体領域が、前記第1の垂直方向において、前記第1の深さと前記第2の面との間に正味ドーピング濃度の極大値を有し、前記第1の深さと前記正味ドーピング濃度の極大値における深さとの間に前記正味ドーピング濃度の極小値を有するようにした、方法。
第1の面及び前記第1の面の裏側に第2の面を有する半導体ウエハであって、前記第1の面が、第1の垂直方向において、前記第2の面から離れて配置されている半導体ウエハを用意することと、
前記第2の面を介して半導体ウエハに第1の粒子を注入して、第1の深さで欠陥濃度が最大になる結晶欠陥を半導体ウエハに形成することと、
第1の熱プロセスにおいて半導体ウエハを加熱して、放射線誘起ドナーを形成することと、
前記第1の熱プロセスの前に、放射線誘起ドナーの形成を抑制するための第2の粒子を半導体ウエハに導入することと、
を含む、半導体ウエハを処理するための方法であって、
前記第1の深さ、照射ドーズ及び前記第2の粒子の濃度プロファイルを選択することにより、前記放射線誘起ドナー生成後の半導体ウエハのnドープ半導体領域が、前記第2の面と前記第1の深さとの間に配置されるとともに、前記nドープ半導体領域が、前記第1の垂直方向において、前記第1の深さと前記第2の面との間に正味ドーピング濃度の極大値を有し、前記第1の深さと前記正味ドーピング濃度の極大値における深さとの間に前記正味ドーピング濃度の極小値を有するようにした、方法。
前記正味ドーピング濃度が、第2の深さにおける第1の正味ドーピング濃度及び第3の深さにおける第2の正味ドーピング濃度を有し、前記第1の正味ドーピング濃度と前記第2の正味ドーピング濃度との間の比率が、
少なくとも1.5又は少なくとも2.0と、
20.0以下又は6.0以下と、
の少なくとも1つである、請求項3に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図において、別段の指示がない限り、同一の参照符号は、同じ意味を備えた同一のウエハ領域又はコンポーネント領域を示す。
【0012】
図1Aは、半導体ウエハ100の断面図を概略的に示す。半導体ウエハ100は、FZウェハ、CZウエハ又はMCZウエハであっても良い。
【0013】
一般に、半導体コンポーネントの実現のために典型的に使用される半導体単結晶、例えばシリコン単結晶を生成するための周知の方法は、いわゆるフロートゾーン法(FZ法)及びチョクラルスキー法(CZ法)である。それらの方法の1つを用いて製造された単結晶半導体インゴットから切り出されたディスク状半導体ウエハが、半導体コンポーネントの製造用の基部を形成する。FZ法と比較して、CZは、よりコスト効率が良いが、しかし製造方法故に、単結晶が、典型的には数10
17原子/cm
3〜数10
18原子/cm
3の範囲の高酸素濃度を有するという欠点がある。
【0014】
半導体ウエハを製造し処理するための方法の間に行われる熱プロセスは、ウエハに高濃度で存在する酸素が、いわゆる酸素析出物を形成するという効果がある。これらは、半導体結晶における酸素凝集体又は酸素欠損凝集体を意味すると理解されるべきである。これらの析出物は、とりわけ、コンポーネントを製造する方法の間に、ウエハ内に移動し得る重金属原子用のゲッタリングセンタとして働く。しかしながら、かかる析出物が、半導体コンポーネントの活性コンポーネントゾーンに存在する場合に、それらは、自由電荷キャリア用の再結合中心として働くという事実によって、且つ荷電キャリアペア用の生成中心として働くという事実によって、コンポーネント特性の障害につながり、それは、コンポーネントの逆作動中に流れる漏れ電流の増加につながる。
【0015】
上記の理由で、従来のCZウエハは、数百ボルトの絶縁耐力を有するパワーコンポーネントの実現のためには限られた適合性があるだけである。更なる処理なしでは、従来のCZウエハは、更なる(酸素欠乏)半導体層が、複雑な、従ってコストがかかるエピタキシー法によって適用される半導体基板としてのみ前記コンポーネントに適しており、それらの半導体層では、逆電圧を取るパワーコンポーネントの領域、例えばMOSFETのドリフトゾーン、又はIGBT若しくはダイオードのn型ベースが実現される。
【0016】
上記のような「磁気チョクラルスキーウエハ」は、従来のCZウエハと比較して、(非従来的な)磁気CZウエハが切り出される元となるインゴットの結晶成長中に外部磁界を印加することによって達成できる非常に低い酸素濃度を有する或る種のCZウエハである。かかる(非従来的な)CZウエハはまた、磁気チョクラルスキーウエハ又は簡潔に「MCZウエハ」と呼ばれる。非常に低い酸素濃度の結果は、従来のCZウエハと比較して、非常に低い酸素析出物濃度である。本発明の観点では、ウエハは、それが、ウエハの至る所で4×10
17原子/cm
3未満の最高格子間酸素濃度(「Oiレベル」)を有する場合に、「MCZウエハ」と見なされる。本文献に引用される格子間酸素用の全ての値は、標準新ASTM(ASTM F 121、1980−1983)に従って赤外線分光法ベースの測定用に規定される。例えば、半導体ウエハ100の半導体材料は、シリコンである。
【0017】
半導体ウエハ100は、第1の面101と、第1の面101の裏側の第2の面102とを有する平坦なディスクであり、これらの面は、両方とも平面で、互いに平行に走っていても良い。第1の面101は、第1の面101と垂直に走る第1の垂直方向v1において、第2の面102から離れて配置される。この点において、第1の垂直方向v1が、軸だけではなく、同様に方位も含むことに留意されたい。それは、第2の面102が、第1の垂直方向v1ではなく、反対方向において第1の面101から離れて配置されることを意味する。
【0018】
第1の垂直方向v1において、半導体ウエハ100は、例えば少なくとも400μmの厚さt100を有する。しかしながら、400μm未満の厚さt100が同様に用いられても良い。
【0019】
第1の粒子10は、それが、第2の面102を通して半導体ウエハ100に入り、且つ半導体ウエハ100において結晶欠陥をもたらすように、第2の面102に注入される。注入は、例えば空孔、二重空孔、又は空孔/酸素複合体のような結晶欠陥を半導体ウエハ100にもたらすが、結晶欠陥が、第2の面102に対して第1の垂直方向v1において測定されることになる第1の深さd1において最高欠陥濃度(即ち注入のブラッグピーク)を有するように、実行される。第1の深さd1が、第1の粒子10のエネルギに依存するので、所望の第1の深さd1(
図1Bを参照)は、第1の粒子10のエネルギを適切に調整することによって達成され得る。適切な第1の粒子10は、とりわけ陽子である。
【0020】
任意選択的に、第1の深さd1は、少なくとも40μm若しくは少なくとも80μm、及び/又は半導体ウエハ100が第1の垂直方向v1に有する厚さt100の少なくとも5%若しくは少なくとも10%であっても良い。
【0021】
同様に
図1Aに示されているように、注入は、第2の面102全体にわたっても良い。代替として、半導体ウエハ100の一部だけが、本明細書で説明されるように処理されても良い。
【0022】
図2は、注入が完成した後、且つ後続の第1の熱プロセス前のウエハ100の結晶損傷濃度を示す。
【0023】
半導体ウエハ100が、400℃〜570℃、特に470℃〜510℃の温度に加熱される第1の熱プロセスの後で、放射線誘起ドナーが生成される。例えば、第1の熱プロセスは、少なくとも1時間又は少なくとも3時間続いても良い。更に、第1の熱プロセスは、10時間以下又は20時間以下続いても良い。上記の意味で、「放射線誘起ドナー」、例えば陽子誘起ドナーは、半導体ウエハ100に注入された粒子、及び水素誘起複合体に帰着する後続の熱プロセスによって引き起こされた半導体結晶損傷の結果として発生するドナーである。即ち、「放射線誘起ドナー」は、非置換ドナーである。
【0024】
放射線誘起ドナーの濃度プロファイルが、異なるウエハ型用に
図3に示されている。図は、半導体ウエハ100がMCZウエハである場合に生じる第1の効果を示すためだけの性質である。この第1の効果は、第2の面102に隣接し、且つウエハ100の表面の方へのOiレベルの著しい低下に起因する、より低い酸素濃度の領域110の出現にある。高いOiレベルを備えた半導体領域では、低いOiレベルを備えた半導体領域におけるよりも多くの放射線誘起ドナーが生成されるという点で、Oiレベルは、後続の熱プロセスにおいて生成される放射線誘起ドナーの形成に影響する。MCZウエハとは対照的に、FZ又はCZウエハの場合には、より低い酸素濃度の際立った対応領域は、実質的に存在しない。
【0025】
図4及び5に示されている、本発明の発明者らによって発見された第2の効果によれば、半導体ウエハ100の照射面(ここでは第2の面102)を介して、十分に高い注入ドーズを有する第1の粒子10を半導体ウエハ100に注入し、続いて第1の熱プロセスにおいて半導体ウエハ100を加熱することは、ドナー濃度が極小値MIN’を有するドーピングプロファイルをもたらす。極小値MIN’は、照射面(ここでは第2の面102)と第1の深さd1との間に配置される。
図4は、注入ドーズが、FZにおける放射線誘起ドナーの濃度プロファイルにどのように影響するかを示す。濃度プロファイルpa1が、注入された第1の粒子10の、例えば1・10
14粒子/cm
2未満の比較的低い照射ドーズに関するのに対して、濃度プロファイルpa2は、注入された第1の粒子10の、例えば少なくとも1・10
14粒子/cm
2又は少なくとも4・10
14粒子/cm
2のより高い照射ドーズに関する。プロファイルpa1及びpa2を比較すると、上記の第2の効果が明らかになる。即ち、十分に高い照射ドーズ(プロファイルpa2)の場合に、放射線誘起ドナーの濃度は、照射された第2の面102と第1の深さd1との間に配置される極小値MIN’を有する。対照的に、照射ドーズが低すぎる(プロファイルpa1)場合には、かかる極小値は存在しない。
【0026】
同じ効果は、
図5に示されているMCZウエハの場合に生じる。濃度プロファイルpb1が、注入された第1の粒子10の、例えば1・10
14粒子/cm
2の比較的低い照射ドーズに関するのに対して、濃度プロファイルpb2は、注入された第1の粒子10の、例えば少なくとも1・10
14粒子/cm
2又は少なくとも4・10
14粒子/cm
2のより高い照射ドーズに関する。ちょうど
図4のプロファイルpa2のように、同様にプロファイルpb2は、照射された第2の面102と第1の深さd1との間に配置された極小値MIN’を有する。しかしながら、
図5がMCZウエハに関連するので、同様に「第1の効果」(第2の面102に隣接する、より低い酸素濃度の領域110)が生じる。その結果、第1及び第2の効果は、濃度プロファイルpb2が、極大値MAX’を有し、極小値MIN’が、極大値MAX’と第1の深さd1との間に配置されるように、重なる。
【0027】
しかしながら、極大値MAX’を有する放射線誘起ドナーの濃度プロファイルはまた、より低い酸素濃度の領域110が人為的に生成されるならば、FZ又は従来のCZウエハの場合にも達成することができる。その目的で、放射線誘起ドナーの形成に対して抑制的に働く第2の粒子11が、第1の熱プロセスの前又は後に半導体ウエハ100に導入されても良い(
図6を参照)。もちろん、かかる抑制的な第2の粒子11は、極大値MAX’の形成を増幅させるために、同じ目的及び同じ方法で用いられても良い。
図6において、抑制的な第2の粒子11が導入される目標領域は、110’で示されている。第1の熱ステップ中に、目標領域110’は、上記のより低い酸素濃度の領域110に実質的に変換される。
【0028】
いずれにせよ、抑制的な第2の粒子11は、第2の面102を通して半導体ウエハ100に第1の粒子を注入する前又は後に、半導体ウエハ100に導入されても良い。第1の熱プロセスの最初又は後に、即ち放射線誘起ドナーを生成する前又は後に、抑制的な第2の粒子11の濃度プロファイルが存在する。第1の深さd1、照射ドーズ、及び抑制的な第2の粒子11の濃度プロファイルは、次のように選択される。即ち、放射線誘起ドナーの濃度プロファイルが、放射線誘起ドナーが生成される第1の熱プロセスの終わりに、第1の深さd1より浅い第2の深さd2の位置で極小値MIN’及び第2の深さd2より浅い第3の深さd3の位置で極大値MAX’を有するように、選択される。これは、
図4及び5の両方に示されている。
【0029】
抑制的な第2の粒子11は、例えば水素原子又は水素カチオンからなるか又はそれを含んでも良い。例えば、水素は、第2の面102を介して半導体ウエハ100に拡散されても良い。任意選択的に、拡散は、水素プラズマにおいて半導体ウエハ100を処理することによって行われても良い(
図7を参照)。
【0030】
半導体ウエハ100に水素を導入するための更なる方法は、堆積プロセスにおいて、少なくとも1つの水素含有前駆物質12、例えばSiH
4及び/又はNH
3が用いられる場合に、窒化物層120が第2の面102に生成されるプラズマ堆積プロセスである(
図8を参照)。
【0031】
図9に更に示されているように、第2の面102を介して半導体ウエハ100に、陽子のような水素カチオン11を注入すること、及び続いて、例えば350℃〜550℃の温度に半導体ウエハ100を加熱することによって、第2の熱プロセス中に、注入された水素を拡散させることがまた可能である。第2の熱プロセスは、例えば少なくとも30分且つ/又は例えば10時間以下続いても良い。
【0032】
半導体ウエハ100に水素を導入する更なる方法が、第2の面102と第1の深さd1との間に配置されるpドープ半導体領域130に水素11カチオンを注入すること、及び続いて、例えば350℃〜550℃の温度に半導体ウエハ100を加熱することによって、第3の熱プロセス中に、注入された水素11を拡散させることである(
図10を参照)。第3の熱プロセスは、例えば少なくとも30分且つ/又は例えば10時間以下続いても良い。第3の熱プロセスの後で、元々pドープされた半導体領域130において、アクセプタ濃度N
Aは、元々pドープされた半導体領域130がpドープされたままであるように、ドナー濃度N
Dより著しく高い。
【0033】
図11は、抑制的な第2の粒子11が半導体ウエハ100に拡散された後且つ第2の熱プロセス前の濃度プロファイルpc1(破線)と、第2の熱プロセス後のプロファイルpc2(実線)を概略的に示す。
図11は、
図7及び8に関連して説明された拡散プロセスに関する。
【0034】
従って、
図12は、抑制的な第2の粒子11が半導体ウエハ100に注入された後且つ第2の熱プロセス前の濃度プロファイルpd1(破線)と、第3の熱プロセス後のプロファイルpd2(実線)を概略的に示す。
図12は、
図9及び10に関連して説明された拡散プロセスに関する。
【0035】
抑制的な第2の粒子11を半導体ウエハ100に導入するための説明された方法は、任意の方法で互いに且つまた更なる方法と組み合わされても良い。
【0036】
上記の例は、放射線誘起ドナーによってのみもたらされる或るドナープロファイルを生成するための方法に関する。任意選択的に、かかるドナープロファイルは、他のプロファイルと重ね合わされても良い。例えば、
図13に示されているように、説明された方法の初めに、特に第1の粒子10を注入する前に用いられる、提供された半導体ウエハ100は、ドリフトゾーンの所望の抵抗が半導体ウエハ100から生成されるように調整するために、n導電型の一定の基本ドーピング(一定の正味ドーピング濃度N
D0であり、ドーピングプロファイルe1を参照されたい)を有しても良い。かかる一定の基本ドーピングは、特にn導電型であっても良いが、注入された第1の粒子10及び抑制的な粒子11に起因する放射線誘起ドナーによってもたらされるドーピングプロファイルe2のオフセットN
D0をもたらす。かかる基本ドーピングは、インゴット(そこからウエハが切り出される)の製造中に、電気活性置換ドーパントを溶融物に追加することによって、達成されても良い。結果としてのドナー濃度プロファイルe3は、ドーピングプロファイルe1及びe2の重ね合わせである。
【0037】
同じ方法で、提供された半導体ウエハ100は、p導電型の一定の基本ドーピング(一定の正味ドーピング濃度N
A0であり、
図14におけるプロファイルe1を参照されたい)を有しても良い。再び、結果としてのドナー濃度プロファイルe3は、ドーピングプロファイルe1及びe2の重ね合わせである(
図15を参照)。任意選択的に、正味ドーピング濃度N
A0は、結果としてのドナー濃度e3が、第1の垂直方向v1における各深さでゼロを超えるように、調整されても良い。
【0038】
提供された半導体ウエハの一定の基本ドーピングを達成するための更なる方法は、インゴットの製造中に、インゴット(そこから半導体ウエハ100が切り出される)の格子間酸素(「Oiレベル」)の(ほぼ一定の)濃度を適切に調整することである。何故なら、ドナー濃度の達成されたオフセットが高ければ高いほど、Oiレベルが高いからである。
【0039】
半導体ウエハ100の半導体材料がシリコンを含む場合に、更なる方法は、Si30同位体が中性子吸収によってリンに変換される「中性子変換ドーピング」によってnドーピングリンを生成するために、半導体ウエハ100に中性子を照射することである。
【0040】
ここで
図16及び17を参照すると、本発明に関連して用いられる半導体ウエハ100は、露出層115(「露出ゾーン」としても知られている)及び非露出層114を任意選択的に有しても良い。非露出層114と比較すると、露出層115は、より低い酸素濃度を有する。
図16は、半導体ウエハ100の一部を示し、
図17は、垂直方向v1における格子間酸素の濃度を示す。非露出層114は、第1の面101から、第1の面101と平行に走り、且つ格子間酸素の第1の最高濃度C1を有する第1の平面Eにまで及ぶ。露出層115は、第2の面102から第1の平面Eにまで及び、且つ第1の最高格子間酸素濃度C1より低い、格子間酸素の第2の最高濃度C2を有する。任意選択的に、第1の最高濃度C1は、第2の格子間酸素濃度C2の少なくとも2倍であっても良い。
【0041】
例えば、かかる露出層115は、(特許文献1)に説明されている、露出ゾーンを生成するための方法の1つを用いて生成されても良い。
【0042】
極大値MAXが、露出領域115に配置されることを保証するために、第2の面102と第1の平面Eとの間の距離d0は、第3の深さd3より大きくても良い。任意選択的に、距離d0はまた、第2の深さd2より、又は第1の深さd1より大きくても良い。
【0043】
上記の方法のそれぞれを用いて製造されたドーピングプロファイルを有し、且つ極小値MIN及び極大値MAXの両方を有する半導体ウエハ100又は半導体ウエハ100の一部は、ドリフトゾーンを備えたパワー半導体コンポーネントの製造用に用いられても良い。特に、完成した半導体コンポーネントのドリフトゾーンは、説明された方法の1つを用いて達成されたドーピングプロファイルの極大値MAX及び極小値MINの両方を含む半導体ウエハ100の連続セクションを含んでも良い。
【0044】
かかるドーピングプロファイルの任意選択的な特性は、
図13に関連して既に説明されたドーピングプロファイルe3に基づいて典型的に説明される。第1の選択肢によれば、第1の深さd1は、少なくとも80μmであっても良い。第2の選択肢によれば、第2の深さd2と第3の深さd3との間の差d23は、少なくとも25μmであっても良い。第3の選択肢によれば、第2の深さd2は、少なくとも50μmであっても良い。第4の選択肢によれば、第3の深さd3は、少なくとも10μmであっても良い。第5の選択肢によれば、極小値MINにおけるドーピング濃度N
D1は、5・10
12cm
−3と2・10
13cm
−3との間であっても良い。第6の選択肢によれば、極大値MAXにおけるドーピング濃度N
D2は、3・10
13cm
−3と2・10
14cm
−3との間、好ましくは4・10
13cm
−3と1・10
14cm
−3との間であっても良い。次に、第7の選択肢によれば、ドナー濃度プロファイルは、第2の深さd2における第1の正味ドーピング濃度C
MAX、及び第3の深さd3における第2の正味ドーピング濃度C
MINを有しても良い。比率C
MAX÷C
MINは、例えば、少なくとも1.5又は少なくとも2.0であっても良い。代替又は追加として、比率C
MAX÷C
MINは、例えば、20.0以下又は6.0以下であっても良い。
【0045】
図18は、上記の方法の1つに従って処理されたMCZ半導体ウエハ100から製造された垂直パワー半導体コンポーネント100’を示す。
図19は、パワー半導体コンポーネント100’の正味ドーピングプロファイルの絶対値│N
D−N
A│を示す。N
Dは、合計ドナー濃度であり、N
Aは、合計アクセプタ濃度である。半導体コンポーネント100’は、約3MeVのエネルギを有する第1の粒子10として陽子を、第2の面102を介して半導体ウエハ100に注入することによって製造された。注入ドーズは、1.7・10
14陽子/cm
2だった。注入に続いて、半導体ウエハ100は、490℃の温度で5時間アニールされた。
【0046】
半導体コンポーネント100’は、半導体ウエハ100の一部だけを含む。第1の面101において、表面部116は、例えば、研削及び/又は研磨によって除去された。表面部116の除去は、第1の熱プロセスの前、第1の熱プロセスと第2の熱プロセスとの間、第2の熱プロセスと第3の熱プロセスとの間、又は第3の熱プロセスの後に行われても良い(それらのプロセスが用いられる限り)。
【0047】
本実施形態と異なり、同様に第2の面102における更なるセクションが、除去されても良い。その結果、半導体の最終的な第1の面101’及び任意選択的に最終的な第2の面102’が残る。第2の面102における更なるセクションが除去されない場合に、最終的な第2の面102’は、元々の第2の面102と同一である。
【0048】
深さd111において、半導体コンポーネント100’は、整流接合111、ここでは多量にpドープ(p+)された半導体領域117と弱くnドープ(n−)されたドリフト領域118との間に形成されたpn接合を有する。代替として、整流接合111は、d111=0の場合にはショットキー接合であっても良く、ショットキー金属電極が、最終的な第2の面102’に配置されることになり、ドリフト領域118は、ショットキー金属電極に隣接することになろう。半導体コンポーネント100’は、ドリフト領域118に隣接する多量にnドープ(n+)されたフィールドストップ領域119を更に有する。
図19から分かるように、フィールドストップ領域119は、第1の深さd1における最高結晶欠陥濃度によってもたらされた放射線誘起ドナーに戻るドーピングピークの残部であっても良い。しかしながら、極小値の位置が最終的な第1の面101’になるように、そのピークを完全に除去することも可能であろう。
【0049】
ここで、第2の深さd2における正味ドーピング濃度N
MINを更に低減するための方法が、
図18及び19に示された例に基づいて
図20〜22に関連して示される。抑制的な第2の粒子11の使用に対する追加又は代替として、抑制的な第3の粒子13が、第1の面101、最終的な第1の面101’又は任意の中間面を介して、半導体ウエハ100又はそこからの残部に導入されても良い。抑制的な粒子13は、上記の抑制的な粒子11と同じ方法で、放射線誘起ドナー形成に対して抑制的に働く。抑制的な第3の粒子13は、抑制的な第2の粒子11に関連して言及された粒子の種類の1つであっても良く、又はそれらは、上記の前駆物質12と同じ種類の前駆物質から生成されても良い。更に、抑制的な第3の粒子13又はそれらの前駆物質は、第2の粒子11及び前駆物質12用にそれぞれ説明された方法の1つで導入されても良い。
【0050】
いずれにせよ、抑制的な第3の粒子13の導入は、第1の熱プロセスの前又は後に行われても良い。
図21において、抑制的な第3の粒子13が導入される目標領域は、110’’で示されている。第1の熱ステップ中に、目標領域110’’における抑制的な第3の粒子13は、抑制的な第2の粒子11用に説明された原理に基づいて、放射線誘起ドナーの形成を減らすように働く。
【0051】
図21は、第3の粒子13を半導体ウエハ100に注入することによって抑制的な第3の粒子13が生成された後、且つ第2の熱プロセス前の濃度プロファイルpe1(破線)と、第2の熱プロセス後のプロファイルpe2(実線)と、を概略的に示す。第3の粒子13の注入は、半導体ウエハ100の表面から離れて配置される、第3の粒子13の最高濃度を可能にする。これは、第2の深さd2より大きな深さに配置される、多量にnドープされたフィールドストップゾーン(
図20及び22におけるn+)の場合に、望ましくなり得る。この場合に、第3の粒子13を半導体ウエハ100の中へと拡散させることは、拡散深さと共に減少する第3の粒子13の濃度に帰着することになろう。即ち、第3の粒子13の逓減的な影響は、第2の深さd2における所望の極小値MINの領域においてではなく、所望のフィールドストップゾーンの領域において実質的に発生することになろう。しかしながら、フィールドストップゾーンはまた、第3の粒子13の最高濃度がフィールドストップゾーン内に「隠される」ように、第2の深さd2を含んでも良い。フィールドストップゾーンが、第3の粒子から実質的にもたらされること、即ち、フィールドストップゾーンが、第3の粒子13の最高濃度に起因する正味ドーピング濃度によって実質的に定義されることもまたあり得る。
【0052】
注入された第3の粒子13の最高濃度が、ほぼ第2の深さd2に位置する場合に、極小値MIN(
図22を参照)における正味ドーピング濃度N
MINは、
図19の極小値MINにおける正味ドーピング濃度N
MINと比較して、低減される。比較を容易にするために、
図22はまた、
図19の正味ドーピング濃度(点曲線)を示す。
【0053】
図18及び20に示された半導体コンポーネント100’は、ダイオードであるにもかかわらず、本明細書で説明される半導体ウエハ100を処理するための方法はまた、他のパワー半導体コンポーネント、例えばIGBT、MOSFET、サイリスタ等の製造にも用いられ得る。
【0054】
任意選択的に、半導体コンポーネント100’は、ドリフト領域118と最終的な第1の面101’との間で互いに離れて配置された2以上のフィールドストップ領域を有しても良い。それらのフィールドストップ領域の1つは、上記の残部であっても良く、更なるフィールドストップ領域は、元々の第1の面101を通して、最終的な第1の面101’を通して、又は半導体材料が元々の第1の面101において除去される場合に存在する任意の中間の第1の面を通して、置換電気活性ドーパントを半導体に注入することによって、且つ続いて半導体ウエハ100をアニールすることによって、生成されても良い。注入及び後続の熱アニールプロセスの結果として達成されるかかるフィールドストップ領域の正味ドーピング濃度プロファイルは、フィールドストップゾーンの最高ドーピング濃度の位置と、注入されたドーパントが半導体ウエハ100に入った半導体ウエハ面との間の距離の約10%の半値全幅を有しても良い。
【0055】
本発明は、処理される半導体ウエハ100の半導体材料としてのシリコン用に説明されたが、任意の他の周知の半導体材料、例えば炭化ケイ素、ガリウムヒ素、又は窒化ガリウムが、同様に用いられても良い。
【0056】
更に、上記のドーピングプロファイルは、それらがドナー濃度N
Dに関連する限りにおいて、処理されたウエハから製造された半導体コンポーネント100’の少なくとも後々のドリフト領域118において、正味ドーピング濃度N
D−N
Aを表し得ることに留意されたい。この場合に、後でドリフト領域を形成する領域である半導体ウエハ100の領域において、アクセプタ濃度N
Aは、ほぼゼロである。
【0057】
本発明は、とりわけ、半導体ウエハを処理するための方法に関する。第1の態様が、特に磁気チョクラルスキー半導体ウエハを処理するための方法に関するのに対して、第2の態様は、任意の種類のウエハを処理するための方法に関する。放射線誘起ドナーの形成に対して抑制的に働く第2の粒子11を半導体ウエハ100に導入するステップは、第1の態様による方法においては任意選択であり、第2の態様による方法においては必須である。方法が、そのステップを用いる限り、次の特徴及び/又は方法ステップ(S1)、(S2)、(S3)、(S4)が、第1及び第2のステップの両方による方法において、単独で又は互いとの任意の組み合わせにおいて適用可能である。
【0058】
(S1)第2の粒子11は、第1の粒子10を半導体ウエハに照射する前に導入されても良い。
【0059】
(S2)第2の粒子11は、第1の粒子10を半導体ウエハに照射した後で、半導体ウエハ100に導入されても良い。
【0060】
(S3)第2の粒子11は、水素からなるか又は水素を含んでも良い。その場合に、次の特徴及び/又は方法ステップ(S3−1)、(S3−2)が、単独で又は互いとの任意の組み合わせにおいて適用可能である。
【0061】
(S3−1)水素は、第2の面102を介して、半導体ウエハ100に拡散されるか若しくは注入されても良く、又は窒化物層120が第2の面102上に堆積されるプラズマ堆積プロセス中に半導体ウエハ100に導入されても良い。
【0062】
(S3−2)水素は、pドープ半導体領域が、第2の面102と第1の深さd1との間に配置される半導体ウエハ100のpドープ半導体領域130に注入され、続いて第3の熱プロセスにおいて拡散されても良い。
【0063】
(S4)放射線誘起ドナーの形成に対して抑制的に働く第3の粒子13が、半導体ウエハ100に導入されても良い。その場合に、次の特徴及び/又は方法ステップ(S4−1)、(S4−2)、(S4−3)、(S4−4)は、単独で又は互いとの任意の組み合わせにおいて適用可能である。
【0064】
(S4−1)第3の粒子13は、水素からなるか又は水素を含んでも良い。
【0065】
(S4−2)第3の粒子13は、第2の面102と裏側の、半導体ウエハ100の面を介して、半導体ウエハ100に導入されても良い。
【0066】
(S4−3)第3の粒子13は、第1の熱プロセスの前に半導体ウエハ100に導入されても良い。
【0067】
(S4−4)導入された第3の粒子13は、第2の深さd2の位置で最高濃度を有しても良い。
【0068】
更に、第1及び第2の態様の両方による方法において、次の特徴及び/又は方法ステップ(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)が、単独で又は互いとの任意の組み合わせにおいて適用可能である。
【0069】
(S5)提供された半導体ウエハ100は、第1の面101から第1の面101と平行な第1の平面Eにまでわたり、且つ格子間酸素の第1の最高濃度C1を有する非露出層114と、第2の面102から第1の平面Eにまでわたり、且つ格子間酸素の第2の最高濃度C2を有する露出層115と、の両方を含んでも良く、第1の最高濃度C1は、第2の最高濃度C2の少なくとも2倍である。その場合に、次の特徴及び/又は方法ステップ(S5−1)、(S5−2)は、単独で又は互いとの任意の組み合わせにおいて適用可能である。
【0070】
(S5−1)第1の平面Eと第2の面102との間の距離d0は、第2の深さd2及び第3の深さd3の両方より大きくても良い。
【0071】
(S5−2)第1の平面Eと第2の面102との間の距離d0は、第1の深さd1より大きくても良い。
【0072】
(S6)第1の粒子10は、陽子であっても良い。
【0073】
(S7)第1の深さd1は、
少なくとも40μm若しくは少なくとも80μmでも良く、且つ/又は
半導体ウエハ100が、第1の垂直方向v1に有する厚さt100の少なくとも5%若しくは少なくとも10%でも良い。
【0074】
(S8)半導体ウエハ100は、少なくとも400μmの厚さt100を有しても良い。
【0075】
(S9)第2の粒子11の照射ドーズは、少なくとも1・10
14cm
−2又は少なくとも4・10
14cm
−2であっても良い。
【0076】
(S10)第2の深さd2と第3の深さd3との間の差d23は、少なくとも25μmであっても良い。
【0077】
(S11)正味ドーピング濃度│N
D−N
A│は、第2の深さd2における第1の正味ドーピング濃度C
MAX及び第3の深さd3における第2の正味ドーピング濃度C
MINを有しても良く、第1の正味ドーピング濃度C
MAXと第2の正味ドーピング濃度C
MINとの間の比率C
MAX÷C
MINは、
少なくとも1.5若しくは少なくとも2.0、且つ/又は
20.0以下若しくは6.0以下の少なくとも1つであっても良い。
【0078】
(S12)提供された半導体ウエハ100は、第1の粒子10を注入する前に、一定のpドーピング又は一定のnドーピングを有しても良い。
【0079】
「第1の」、「第2の」などの用語は、様々な要素、領域、セクションを示すために用いられ、且つまた限定するようには意図されていない。同様の用語は、説明の全体を通して同様の要素を指す。
【0080】
本明細書で用いられているように、用語「有する」、「含む(containing)」、「含む(including)」、「含む(comprising)」などは、言明された要素又は特徴の存在を示すが、しかし追加の要素も特徴も排除しないオープンエンド用語である。冠詞「a」、「an」及び「the」は、文脈が明白に別段の指示をしていない限り、単数形と同様に複数形も含むように意図されている。
【0081】
特に別段の言及がない限り、本明細書で説明される様々な実施形態の特徴が、互いに組み合わされても良いことを理解されたい。
【0082】
本明細書において、特定の実施形態が示され説明されたが、様々な代替の及び/又は等価な実装形態が、本発明の範囲から逸脱せずに、示され説明された特定の実施形態の代わりに用いられても良いことが、当業者によって理解されよう。本出願は、本明細書で論じられる特定の実施形態のどんな適応形態も変形形態もカバーするように意図されている。従って、本発明が、請求項及びそれらの均等物によってのみ限定されることが意図されている。