特許第6120672号(P6120672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6120672
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】分析機器用架台
(51)【国際特許分類】
   G01F 25/00 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   G01F25/00 M
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-107472(P2013-107472)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-228361(P2014-228361A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100113468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】押谷 喜巳彦
(72)【発明者】
【氏名】松山 貴史
(72)【発明者】
【氏名】糸賀 友城
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−251113(JP,A)
【文献】 特開昭55−078215(JP,A)
【文献】 特開2001−221678(JP,A)
【文献】 実開昭58−106639(JP,U)
【文献】 特開平06−182236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 25/00
G01D 11/30
G12B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定機器が搭載される第1架台ユニットと、
ポンプが搭載される第2架台ユニットと、
前記第1架台ユニット又は前記第2架台ユニットの一方の架台ユニットに設けられ、前記一方の架台ユニットを移動可能にする移動機構と、
前記第1架台ユニット又は前記第2架台ユニットの他方の架台ユニットに設けられ、前記他方の架台ユニットが前記一方の架台ユニットに載置される載置位置及び前記他方の架台ユニットが前記一方の架台ユニットから分離する分離位置の間で前記他方の架台ユニットの高さ位置を調節可能にする高さ位置調節機構とを具備し、
前記第1架台ユニット及び前記第2架台ユニットの移動時において、前記高さ位置調節機構により前記他方の架台ユニットが前記載置位置とされ、
前記第1架台ユニット及び前記第2架台ユニットの固定時において、前記高さ位置調節機構により前記他方の架台ユニットが前記分離位置とされ
前記測定機器が、コリオリ式流量計である分析機器用架台。
【請求項2】
前記第1架台ユニットに、前記測定機器の他に、電子天秤が搭載される請求項1記載の分析機器用架台。
【請求項3】
前記第1架台ユニットの内部に前記第2架台ユニットが配置され、
前記第2架台ユニットにおけるポンプ搭載部が、前記第1架台ユニットにおける測定機器搭載部よりも下側に位置している請求項1又は2記載の分析機器用架台。
【請求項4】
前記載置位置において、前記他方の架台ユニットが、防振部材を介して前記一方の架台ユニットに載置される請求項1乃至の何れか一項に記載の分析機器用架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析機器用架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の分析装置においては、例えば特許文献1に示すように、分析装置を構成する測定機器及びポンプを単一の架台に搭載したものがある。
【0003】
しかしながら、振動源となるポンプと測定機器とを単一の架台に搭載した場合、ポンプからの振動影響により、測定機器に測定誤差が生じてしまうという問題がある。
【0004】
この問題を解決するために、測定機器が搭載される架台とポンプが搭載される架台とに分離することが考えられる。ところが、この方法では、分析装置の設置面積が大きくなるだけでなく、各架台毎に移動させる必要があり、移動作業が煩雑になってしまう。
【0005】
また、架台自体の機械的強度を上げることで、単一の架台であっても、ポンプの振動を測定機器に伝わりにくくすることが考えられている。ところが、この方法では、架台全体が重くなってしまい移動し難くなるだけでなく、高価になってしまう。
【0006】
その他、測定機器及び架台の間に防振部材を設け、ポンプ及び架台の間に防振部材を設けることも考えられるが、これでもポンプの振動影響を低減するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−131215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、測定時において測定機器がポンプからの振動影響を受けにくくするとともに、測定機器及びポンプが搭載される架台の移動を容易にすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る分析機器用架台は、測定機器が搭載される第1架台ユニットと、ポンプが搭載される第2架台ユニットと、前記第1架台ユニット又は前記第2架台ユニットの一方の架台ユニットに設けられ、前記一方の架台ユニットを移動可能にする移動機構と、前記第1架台ユニット又は前記第2架台ユニットの他方の架台ユニットに設けられ、前記他方の架台ユニットが前記一方の架台ユニットに載置される載置位置及び前記他方の架台ユニットが前記一方の架台ユニットから分離する分離位置の間で前記他方の架台ユニットの高さ位置を調節可能にする高さ位置調節機構とを具備し、前記第1架台ユニット及び前記第2架台ユニットの移動時において、前記高さ位置調節機構により前記他方の架台ユニットが前記載置位置とされ、前記第1架台ユニット及び前記第2架台ユニットの固定時において、前記高さ位置調節機構により前記他方の架台ユニットが前記分離位置とされることを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、測定機器が搭載される第1架台ユニット及びポンプが搭載される第2架台ユニットを固定する場合に、第1架台ユニットと第2架台ユニットとを互いに分離しているので、ポンプにより生じる振動を測定機器に伝わり難くすることができる。これにより、測定機器の測定誤差を低減することができる。
また、前記第1架台ユニット及び前記第2架台ユニットを移動する場合に、他方の架台ユニットに設けた高さ位置調節機構により、他方の架台ユニットを一方の架台ユニットに載置して、他方の架台ユニットが一方の架台にユニットに支持された状態としているので、一方の架台ユニットに設けられた移動機構により両者を一体として移動させることができる。これにより、分析機器用架台の移動を容易にすることができる。また、分析機器用架台を移動させる場合及び固定する場合に、他方の架台ユニットを一方の架台ユニットに対して上下移動させるだけで良く、分析機器用架台の移動前後において、測定機器とポンプとの相対位置関係を保つことができる。
さらに、第1架台ユニットの機械的強度は、測定機器が搭載できる程度で良く、また第2架台ユニットの機械的強度は、ポンプが搭載できる程度で良いため、従来のようにポンプからの振動を測定機器に伝わりにくくするために架台の機械的強度を上げる必要が無いので、分析機器用架台を軽量化できる。これにより、分析機器用架台の移動を容易にできる。また、上記の軽量化により分析機器用架台を安価にできる。
以上から、分析機器用架台を移動可能な可搬型としつつ、測定機器に与えるポンプの振動影響を低減することができる。
【0011】
前記測定機器が、コリオリ式流量計であることが望ましい。
ここで、コリオリ式流量計は、流体が流れるフローチューブを電磁オシレータ等の加振ドライバにより固有振動数で振動させ、前記加振ドライバの両側に設けられた電磁ピックオフ等の振動センサにより振動を検出して、それらの位相差を用いて質量流量を測定するものである。このコリオリ式流量計は、固有振動数で振動させたフローチューブに流体を流し、振動センサにより振動を検出するものであり、外部からの振動影響を受け易く、それによって測定誤差が生じ易い。つまり、コリオリ式流量計とポンプを単一の架台に搭載すると、ポンプからの振動影響によりコリオリ流量計の測定誤差が顕著となる。
このため、本発明の分析機器用架台の第1架台ユニットが、コリオリ式流量計を搭載するものであれば、本発明の効果が顕著となる。
【0012】
前記第1架台ユニットに、前記測定機器の他に、電子天秤が搭載されることが望ましい。この電子天秤は、例えばコリオリ式流量計等の流量計の正確度を検査するために用いられる。
これならば、電子天秤に対するポンプの振動影響を低減することができる。したがって、流量計の正確度を検査する場合には、その正確度検査を精度良く行うことができる。
【0013】
前記第1架台ユニットに、前記高さ調節機構が設けられており、前記第2架台ユニットに、前記移動機構が設けられていることが望ましい。
これならば、測定機器が搭載された第1架台ユニットが第2架台ユニットに載置された状態で移動するため、移動による振動が第1架台ユニットに直接伝わらないので、移動により生じる測定機器の測定誤差を低減することができる。
【0014】
前記第1架台ユニットの内部に前記第2架台ユニットが配置され、前記第2架台ユニットにおけるポンプ搭載部が、前記第1架台ユニットにおける測定機器搭載部よりも下側に位置していることが望ましい。
これならば、分析機器用架台の設置面積を、第1架台ユニットの設置面積とすることができ、分析機器用架台の設置面積を小さくすることができる。また、ポンプ搭載部が、測定機器搭載部よりも下側に位置しているので、重心位置を下方にすることができ、分析機器用架台の移動を容易にすることができる。
【0015】
前記載置位置において、前記他方の架台ユニットが、防振部材を介して前記一方の架台ユニットに載置されることが望ましい。
これならば、分析機器用架台を移動させるときに、移動に伴う振動が防振装置により減衰されるため、測定機器に伝わり難くすることができ、移動により生じる測定機器の測定誤差を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、第1架台ユニット及び第2架台ユニットの固定時において、第1架台ユニットと第2架台ユニットとを互いに分離しているので、測定時において測定機器がポンプからの振動影響を受け難くすることができる。また、第1架台ユニット及び第2架台ユニットの移動時において、他方の架台ユニットが一方の架台ユニットに載置されるので、第1架台ユニット及び第2架台ユニットを同時に移動させることができ、分析機器用架台の移動を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態における流量計検査システムの模式的構成図。
図2】同実施形態の分析機器用架台の斜視図。
図3】同実施形態の分析機器用架台の正面図。
図4】同実施形態の第1架台ユニットの斜視図。
図5】同実施形態の第2架台ユニットの斜視図。
図6】同実施形態の分析機器用架台の移動時及び固定時を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る分析機器用架台について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態の分析機器用架台100は、例えばエンジンの燃料消費量を測定する燃料消費量計測システムXに用いられるコリオリ式流量計X1(以下、被検査流量計X11という。)の正確度を検査する流量計検査システムZが搭載されるものである。なお、前記エンジンは、エンジンダイナモメータに接続されている。
【0020】
ここで流量計検査システムZについて、図1を参照して説明する。
【0021】
この流量計検査システムZは、図1に示すように、被検査流量計X1の燃料排出ポートに一端が接続されて、前記被検査流量計X1を通過した燃料を流す検査ラインL1を備えている。なお、検査ラインL1の他端は、被検査流量計X1に設けられた接続ポートに接続されている。
【0022】
この検査ラインL1には、前記被検査流量計X1の基準となる基準コリオリ式流量計10(以下、基準流量計10という。)及び当該基準流量計10を通過した燃料を被検査流量計X1に戻すためのメインポンプ11が設けられている。また、検査ラインL1において基準流量計10及びメインポンプ11の間には、電子天秤12による流量測定を行うための電子天秤測定ラインL2が、三方電磁弁V1を介して接続されている。この電子天秤測定ラインL2には、電子天秤12が設けられている。この電子天秤12には、電子天秤測定ラインL2により供給される燃料を貯留する容器121が載置されている。さらに、検査ラインL1における電子天秤測定ラインL2の分岐点の下流側には、燃料を一時貯留する燃料貯留タンク13が設けられている。
【0023】
上記の流量計検査システムZでは、被検査流量計X1を基準流量計10及び電子天秤12により検査するだけでなく、基準流量計10を被検査流量計X1及び電子天秤12により検査し、電子天秤12を被検査流量計X1及び基準流量計10により検査するように構成されている。
【0024】
具体的には、(1)被検査流量計X1の流量測定値と基準流量計10の流量測定値を比較して、その差が基準範囲内か否かを判断する、(2)被検査流量計X1の流量測定値と電子天秤12の流量測定値とを比較して、その差が基準範囲内か否かを判断する、(3)基準流量計10の測定流量値と電子天秤12の流量測定値とを比較して、その差が基準範囲内か否かを判断する、という3パターンの比較を行うことによって、被検査流量計X1の正確度を検査するだけでなく、基準流量計10又は電子天秤12の正確度を検査する。つまり、前記3つの流量測定値をそれぞれ相互に比較することによって、3つのうち何れか1つの流量測定値がずれていれば、そのずれた流量測定値を出力した計器の正確度が低いと判断する。なお、計器の正確度で言えば、電子天秤12の方が、コリオリ式流量計よりも高い。
【0025】
ここで、基準流量計10は、エンジン試験環境下においてエンジンダイナモの振動影響を受け易く精度が低下する。一方、電子天秤12は、燃料の温度変動及び圧力変動により精度が低下する。このように、基準流量計10の測定精度を低下させる主たる要因と、電子天秤12の測定精度を低下させる主たる要因とが異なるので、被検査流量計X1に対して、基準流量計10及び電子天秤12を用いて正確度を検査することにより、両者の弱点を補うことができるので、被検査流量計X1の正確度を精度良く検査することができる。
【0026】
例えば、被検査流量計X1の流量測定値と電子天秤12の流量測定値との差が基準範囲内であり、被検査流量計X1の流量測定値と基準流量計10の流量測定値との差が基準範囲外であり、かつ基準流量計10の流量測定値と電子天秤12の流量測定値との差が基準範囲外である場合には、基準流量計10の流量測定値がずれていると判断できる。
【0027】
また本実施形態の流量計検査システムZにおいては、上記のように被検査流量計X1の正確度を検査するだけでなく、最大流量検査及び昇温性能検査が可能なように構成されている。
【0028】
具体的に、流量計検査システムZは、検査ラインL1において基準流量計10を迂回するバイパスラインL3を備えている。このバイパスラインL3は、検査ラインL1において基準流量計10の上流側及び下流側に三方電磁弁V2、V3を介して接続されている。
【0029】
そして、最大流量検査を行う場合は、三方電磁弁V2、V3を切り替えて、燃料がバイパスラインL3を流れるようにし、また、電子天秤測定ラインL2の三方電磁弁V1を切り替えて、燃料が電磁天秤測定ラインL2に流れないようにする。この状態で、メインポンプ11及び被検査流量計X1内部のポンプX2により、被検査流量計X1を流れる燃料流量を大きくしていき、最大流量検査を行う。
【0030】
また、流量計検査システムZは、検査ラインL1において基準流量計10よりも上流側に接続された第2検査ラインL4と、当該第2検査ラインL4に設けられた熱交換器14とを備えている。熱交換器14は、第2検査ラインL4を流れる燃料を一定温度(例えば30度)に温調するものであり、一定温度の冷却水を供給循環させるための冷却用ポンプ15を有している。また、第2検査ラインL4は、前記検査ラインL1に設けられた燃料貯留タンク13に接続されている。
【0031】
そして、昇温性能検査を行う場合には、第2検査ラインL4に設けられた開閉弁V4を開けて燃料が流れるようにし、この状態で、被検査流量計X1内部の温度センサ(不図示)により、被検査流量計X1を通過した燃料が所望の温度に到達しているか否かを検査する。
【0032】
以上の流量計検査システムZが搭載される分析機器用架台100は、図2及び図3に示すように、基準流量計10及び電子天秤12等の測定機器が搭載される第1架台ユニット2と、メインポンプ11及び冷却用ポンプ15が搭載される第2架台ユニット3とを備えている。なお、図2及び図3等において、検査ラインL1を構成する配管は省略している。
【0033】
第1架台ユニット2は、図4に示すように、概略直方体形状に構成された第1メイン枠体21と、当該第1メイン枠体21に設けられ、前記基準流量計10が搭載される流量計搭載部22と、前記第1メイン枠体21に設けられ、前記電子天秤12が搭載される電子天秤搭載部23とを有している。なお、符号F1は、第1架台ユニット2に取り付けられたフィルタである。このフィルタF1は、検査ラインL1上に設けられて、燃料に混入した異物を除去するものである。
【0034】
第1メイン枠体21は、矩形状をなす下枠部211と、その下枠部211の四つ角上面にそれぞれ立設された4本の支柱部212と、その支柱部212の上端部に横架されて形成された矩形状をなす上枠部213とを有する。なお、本実施形態の各支柱部212は、複数(図4等では2本)のフレーム要素から構成されているが、1本のフレーム要素から構成されても良い。また、第1メイン枠体21の側面及び上面には、流量計検査システムを搭載した状態で外装パネルが取り付けられるが、図4等において省略している。
【0035】
流量計搭載部22は、前記第1メイン枠体21における上枠部213に設けられている。このように流量計搭載部22を上枠部213に設けることで、設置面からの振動が基準流量計10に伝わり難くしている。具体的に流量計搭載部22は、上枠部213における一対の長手側辺部213a、213bに架け渡されて設けられており、基準流量計10が搭載される平板状をなす搭載面部221を有する断面コの字形状をなすものである。また、基準流量計10は、防振ゴム等の防振部材を介して搭載面部221に搭載されている。そして、流量搭載部22は、搭載面部221に基準流量計が搭載された状態で、当該基準流量計が上枠部213から上方に基準流量計がはみ出ないように構成されている。なお、流量計搭載部22は、上辺部213における長手側辺部213a、213bの中央部よりも一方側(図3においては右側)に設けられている。
【0036】
電子天秤搭載部23は、前記第1メイン枠体21における長手方向に隣接する一対の支柱部212それぞれに横架された一対の横梁部214に架け渡されて設けられており、電子天秤12が搭載される支持部材231を有している。また、電子天秤12は、防振ゴム等の防振部材を介して支持部材231に搭載されている。なお、電子天秤搭載部23は、横梁部214における中央部よりも他方側(図3においては左側)に設けられている。これにより、上述した流量計搭載部22と、電子天秤搭載部23に搭載された電子天秤12とが干渉せず、無理なく搭載できるように構成されている。なお、横梁部214よりも下側が、第2架台ユニット3の配置空間となる。
【0037】
そして、第1架台ユニット2の下枠部211には、設置面に対する第1架台ユニット2の高さ位置を調節可能にする高さ位置調節機構4が設けられている。
【0038】
具体的に高さ位置調節機構4は、第1架台ユニット2の下枠部211の4つ角部にそれぞれ設けられたレベルアジャスタである。このレベルアジャスタ4は、下枠部211における角部に設けられたナット部材41と、当該ナット部材41に螺合してナット部材41に対して移動するアジャスタボルト42とからなる。
【0039】
第2架台ユニット3は、図5に示すように、概略直方体形状に構成された第2メイン枠体31と、当該第2メイン枠体31に設けられ、メインポンプ11及び冷却用ポンプ15が搭載されるポンプ搭載部32とを有している。なお、符号F2は、第2架台ユニット3に取り付けられたフィルタである。このフィルタF2は、検査ラインL1上に設けられて、燃料に混入した異物を除去するものである。
【0040】
第2メイン枠体31は、矩形状をなす下枠部311と、その下枠部311の四つ角上面にそれぞれ立設された4本の支柱部312と、その支柱部312の上端部に横架されて形成された矩形状をなす上枠部313とを有している。
【0041】
上枠部313は、燃料貯留タンク13が搭載されている燃料タンク搭載部としてある。また、下枠部311には、熱交換器14が搭載されている熱交換器搭載部としてある。その他、下枠部311には、収容トレイ315も搭載してある。
【0042】
ポンプ搭載部32は、前記第2メイン枠体31における長手方向に隣接する一対の支柱部312それぞれに横架された一対の横梁部314に架け渡されて設けられており、メインポンプ11及び冷却用ポンプ15が取り付けられる支持部材321を有している。また、メインポンプ11及び冷却用ポンプ15は、防振ゴム等の防振部材を介して支持部材321に搭載されている。
【0043】
本実施形態の第2架台ユニット3は、上述した第1架台ユニット2の枠内部に配置されるものであり、具体的には、第1架台ユニット2の下枠部211の内側であって、前記横梁部214よりも下側に形成される配置空間内に配置される(図2及び図3参照)。そして、第2架台ユニット3におけるポンプ搭載部32が、第1架台ユニット2における流量計搭載部22及び電子天秤搭載部23よりも下側に位置している。
【0044】
そして、第2架台ユニット3の下枠部311には、第2架台ユニット3を移動可能にする移動機構5が設けられている。また、第2架台ユニット3の下枠部311には、設置面に対する第2架台ユニット3の高さ位置を調節可能にする高さ位置調節機構6が設けられている。
【0045】
具体的に移動機構5は、第2架台ユニット3の下枠部311に設けられたキャスタである。本実施形態のキャスタ5は、前記下枠部311において例えば一対の長手側辺部の下面に設けられている(図3参照)。
【0046】
また高さ位置調節機構6は、第2架台ユニット3の下枠部311の4つ角部にそれぞれ設けられたレベルアジャスタである。このレベルアジャスタ6は、前記高さ位置調節機構4と同様、下枠部311における角部に設けられたナット部材(不図示)と、当該ナット部材に螺合してナット部材に対して移動するアジャスタボルト62とからなる。
【0047】
しかして本実施形態の分析機器用架台100においては、図6に示すように、前記第1架台ユニット2の高さ位置調節機構4により、第1架台ユニット2を、第1架台ユニット2が第2架台ユニット3に載置される載置位置P(図6の(移動時)参照)と、第1架台ユニット2が第2架台ユニット3から離間して分離する分離位置Q(図6の(固定時)参照)との間で、高さ方向に移動可能に構成されている。
【0048】
具体的に第1架台ユニット2は、高さ位置調節機構であるレベルアジャスタ4により第1架台ユニット2の高さ位置を低くすることによって、前記分離位置Qから前記載置位置Pに移動する(図6の(移動時)参照)。本実施形態では、第1架台ユニット2の高さ位置を低くすることによって、第1架台ユニット2に設けられた接触部24が、第2架台ユニット3に接触して、第1架台ユニット2が第2架台ユニット3に載置される。
【0049】
本実施形態の接触部24は、第1架台ユニット2の下枠部211に設けられたフレーム要素241により構成されている。このフレーム要素241は、下枠部211の上面に設けられており、下枠部211の内側に突出している。詳細には、接触部24が、前記下枠部211における一対の短手側辺部に設けられている。各短手側辺部には、2つのフレーム要素241が設けられている。これらフレーム要素241は、レベルアジャスタ4により第1架台ユニット2の高さ位置が低くなることにより、第2架台ユニット3の下枠部における一対の短手側辺部に接触して係合する。
【0050】
また、第2架台ユニット3の下枠部311の上面には、防振部材7が設けられている。この防振部材7は、例えばスポンジ状をなす樹脂製のものであり、前記接触部24に対応する部分に設けられている。本実施形態の防振部材7は、前記下枠部311における一対の短手側辺部の上面全体に設けられている。このように第2架台ユニット3の下枠部311の上面に防振部材7を設けることによって、前記載置位置Pにおいて、第1架台ユニット2の接触部24が、前記防振部材7を介して第2架台ユニット3の下枠部311に載置される構成となる。
【0051】
このように構成した分析機器用架台100の作用に説明する。
【0052】
第1架台ユニット2及び第2架台ユニット3を移動させる場合には、第1架台ユニット2のレベルアジャスタ4を操作して第1架台ユニット2の高さ位置を低くする。これにより、分離位置Qにあった第1架台ユニット2が載置位置Pに移動して、第1架台ユニット2の固定が解除される(図6の(移動時)参照)。なお、この操作の前後に、第2架台ユニット3のレベルアジャスタ6を操作して第2架台ユニット3の固定を解除して移動機構5により移動可能な状態にする。この状態で、第1架台ユニット2は、第2架台ユニット3に支持された状態となり、第1架台ユニット2又は第2架台ユニット3を押すと、第1架台ユニット2及び第2架台ユニット3が、第2架台ユニット3の移動機構5により移動する。ここで、第1架台ユニット2の接触部24及び第2架台ユニット3の下枠部311の間には防振部材7が設けられているので、分析機器用架台100を移動させるときに、移動に伴う振動が防振部材7により減衰されるため、基準流量計10等に伝わり難くすることができ、移動により生じる基準流量計10等の測定誤差を低減することができる。
【0053】
一方、上記操作により所望の位置(被検査流量計X1の近傍)に移動させた後に、第1架台ユニット2及び第2架台ユニット3を固定する場合には、第1架台ユニット2のレベルアジャスタ4を操作して第1架台ユニット2の高さ位置を高くする。これにより、載置位置Pにあった第1架台ユニット2が分離位置Qに移動する。これにより、第1架台ユニット2は、設置面に固定される(図6の(固定時)参照)。また、第2架台ユニット3のレベルアジャスタ6を操作して第2架台ユニット3の高さ位置を高くして、第2架台ユニット3を設置面に固定する。この固定状態において、第1架台ユニット2及び第2架台ユニット3は、互いに接触しない状態となる。なお、この状態において図6では、防振部材7が接触部24に接触していないが、防振部材7が単に接触するだけでは振動を伝達しないもの又は伝達する振動が殆ど無視できる程度のもの(例えば防振スポンジ等のスポンジ状をなすもの)である場合には、分離位置Qにおいて第1架台ユニット2の接触部24が防振部材7に接触していても良い。
【0054】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る分析機器用架台100によれば、基準流量計10及び電子天秤12が搭載される第1架台ユニット2及びメインポンプ11及び冷却用ポンプ15が搭載される第2架台ユニット3を固定する場合に、高さ位置調節機構4により、第1架台ユニット2及び第2架台ユニット3を分離しているので、メインポンプ11及び冷却用ポンプ15により生じる振動を基準流量計10及び電子天秤12に伝わり難くすることができる。なお、伝わるとしても、架台ユニット2、3間で直接伝わるのではなく、設置面を介してであり、その振動は極めて小さい。
【0055】
また、第1架台ユニット2及び第2架台ユニット3を移動する場合に、高さ位置調節機構4により、第1架台ユニット2が第2架台ユニット3に載置されて支持された状態としているので、第2架台ユニット3に設けられた移動機構5により両者を一体として移動させることができる。これにより、分析機器用架台100の移動を容易にできる。
【0056】
さらに、第1架台ユニット2の機械的強度は、基準流量計10及び電子天秤12が搭載できる程度で良く、また第2架台ユニット3の機械的強度は、メインポンプ11、冷却用ポンプ15及び燃料貯留タンク13が搭載できる程度で良いため、従来のようにポンプからの振動が測定機器に伝わりにくくするために架台の機械的強度を上げる必要が無いので、分析機器用架台100を軽量化できる。これにより、分析機器用架台100の移動を一層容易にできる。また、上記の軽量化により分析機器用架台100を安価にできる。
【0057】
以上から、分析機器用架台100を移動可能な可搬型としつつ、基準流量計10及び電子天秤12に与えるポンプの振動影響を低減することができる。
【0058】
<変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態の分析機器用架台は、流量計検査システムZが搭載されるものであったが、第1架台ユニットに測定機器、第2架台ユニットにポンプが搭載されるものであれば、種々の分析機器に適用することが可能である。
【0059】
また、前記実施形態では、第1架台ユニットにコリオリ式流量計が搭載されるものであったが、その他の熱式、差圧式等の流量計が搭載されるものであっても良いし、電子天秤12が搭載されないものであっても良い。
【0060】
さらに、前記実施形態では、第1架台ユニットの内部に第2架台ユニットが配置されるものであったが、第2架台ユニットの内部に第1架台ユニットが配置されるものであっても良い。また、第1架台ユニットの測定機器搭載部が、第2架台ユニットのポンプ搭載部よりも下側に位置しても良い。
【0061】
その上、前記実施形態では、第1架台ユニットの内部に第2架台ユニットが配置されるものであったが、第1架台ユニット及び第2架台ユニットが横並びに配置されるものであっても良い。
【0062】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0063】
100・・・分析機器用架台
2・・・第1架台ユニット
22・・・流量計搭載部
10・・・基準流量計(コリオリ式流量計)
12・・・電子天秤
23・・・電子天秤載置部
4・・・高さ位置調節機構
P・・・載置位置
Q・・・分離位置
3・・・第2架台ユニット
32・・・ポンプ搭載部
11・・・メインポンプ
16・・・冷却用ポンプ
5・・・移動機構
7・・・防振部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6