(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記下部ケースの突出部の外側端部が面取りされており、かつ、前記切欠孔が設けられた領域の前記上部ケースの側壁の内側端部が面取りされていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用ケース。
前記上部ケース及び前記下部ケースは、純アルミニウム、又はアルミニウム−マグネシウム合金から形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電子部品用ケース。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0014】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。
図1に示すように、予備的事項に係る電子部品用ケースは、下部ケース100と上部ケース200とを備えている。下部ケース100は底板120及び側壁140から形成される。
【0015】
図1の部分拡大斜視図を加えて参照すると、下部ケース100の四隅に、上部ケース200をねじ止めするためのケース固定用ねじ穴300、収容される電子部品の基板(不図示)をねじ止めするための基板固定用ねじ穴320、及び電子機器の筐体などに取り付けるための上面固定用ねじ穴340がそれぞれ並んで配置されている。
【0016】
また、上面固定用ねじ穴340の近傍部分の側壁140に、電子機器の筐体などに取り付けるための側面固定用ねじ穴360が形成されている。
【0017】
一方、上部ケース200は平板状で形成され、その四隅に下部ケース100のケース固定用ねじ穴300にねじ止めするための取り付け穴220がそれぞれ開口されている。また、下部ケース100の上面固定用ねじ穴340に対応する位置の上部ケース200に切欠開口部240が形成されている。
【0018】
そして、下部ケース100の上に電子部品の基板(不図示)を配置し、電子部品の基板を下部ケース100の基板固定用ねじ穴320にねじ止めして固定する。
【0019】
さらに、
図2に示すように、電子部品の基板を取り付けた下部ケース100の上に上部ケース200を配置し、上部ケース200の取り付け穴220を通して下部ケース100のケース固定用ねじ穴300にねじ止めして固定する。このとき、上部ケース200の切欠開口部240から下部ケース100の上面固定用ねじ穴340が露出した状態となる。
【0020】
そして、電子部品用ケースは、上面固定用ねじ穴340又は側面固定用ねじ穴360を利用して、電子機器の筐体などにねじ止めされて固定される。
【0021】
予備的事項に係る電子部品用ケースでは、下部ケース100に電子部品の基板や上部ケース200をねじ止めで固定するため、下部ケース100の四隅にねじ穴を配置するための比較的厚みの厚い部分が必要となる。
【0022】
このため、下部ケース100は、ダイキャスト法によって製造されることが多い。ダイキャスト法では、溶かした金属を精密な金型に圧力をかけて流し込む事によって金属が成型される。
【0023】
これに対して、上部ケース200は、薄板状の簡易形状であるため、金属板をプレス加工することによって容易に製造することができる。
【0024】
そのようなダイキャスト法は、金属板をプレス加工する方法に比べて金型の寿命は短く、一定期間で金型を更新する必要があるため、ランニングコストが高くなる問題がある。また、ダイキャスト法は、造り方が煩雑で工程数や処理時間がかかるため、大量生産する際には不利になりやすい。また、ダイキャスト法は、金属板をプレス加工する方法に比べて寸法精度が悪く、高い精度が要求される製品には適用することが困難になる。
【0025】
また、ダイキャスト法ではそれ専用の金属しか使用できないため、ダイキャスト法で製造される下部ケース100は結合剤や不純物が比較的多く含まれるアルミニウム合金などに限定され、十分な熱伝導性をもたない。
【0026】
ダイキャスト法で使用されるアルミニウム合金としては、シリコン(Si)が9.6〜12.0%、銅(Cu)が1.5〜3.5%の比率で含有されるアルミニウム(Al)―シリコン(Si)―銅(Cu)系のものがある。
【0027】
このため、電子部品用ケースが高い放熱性を必要とする場合に、熱伝導率の優れた金属材料を使用することができないため、容易に対応できない課題がある。
【0028】
さらには、ダイキャスト法では、最終仕上げとして表面を研磨する必要があるため、プレス加工する方法に比べて余計な工数がかかる。また、ダイキャスト法で製造される金属体は、硬質陽極酸化被膜の生成による黒色化が行いにくいため、表面を研磨した後に、表面塗装やプリンティングを行う必要がある。
【0029】
また、予備的事項の電子部品用ケースでは、ねじ止めで固定することから、ねじ穴を配置するために、ある程度の厚みが厚い部分が必要になる。このため、さらなる薄型化及び軽量化に容易に対応できない課題がある。
【0030】
以下に説明する実施形態では、前述した不具合を解消することができる。
【0031】
(実施形態)
図3は実施形態の第1の電子部品用ケースの下部ケースを示す斜視図、
図4は実施形態の第1の電子部品用ケースの上部ケースを示す斜視図である。
【0032】
図3(a)は下部ケース10の表側を示しており、
図3(b)は下部ケース10の裏側を示している。
図3(a)及び(b)に示すように、下部ケース10は、長方形状の底板11とその外周に配置された側壁12とを備えている。
【0033】
底板11の四辺のうち対向する短辺の一方の中央部には側壁12は形成されておらず、電子部品のコネクタを露出させるためのコネクタ用開口部13となっている。
【0034】
また、下部ケース10の側壁12の外面に11個の係合突起14が一定間隔をあけて外側に突出して形成されている。
【0035】
また、下部ケース10の四辺のうち対向する長辺の側壁12の両端側に、電子機器の筐体などにねじ止めするための側面ねじ穴15がそれぞれ形成されている。側面ねじ穴15は合計で4個配置され、対向する側壁12に2個ずつ配置されている。
【0036】
また、下部ケース10の4つの側面ねじ穴15の近傍部分の底板11に底板ねじ穴17がそれぞれ形成されている。下部ケース10の側面ねじ穴15及び底板ねじ穴17にはねじ切り加工が施されており、それらの一方が電子機器の筐体などにねじ止めされる。
【0037】
図3(b)の部分斜視図を加えて下部ケース10の裏側を参照すると、側壁12側の面の底板11の周縁の四隅に、基板位置決め用突起16がそれぞれ配置されている。基板位置決め用突起16は、下側の径大部16aと上側の径小部16bから形成され、径大部16a及び径小部16bの各上部周縁が面取りされている。
【0038】
後述するように、電子部品の基板の基準穴に下部ケース10の基板位置決め用突起16を挿通させることにより、電子部品の基板が下部ケース10に位置決めされて配置される。
【0039】
下部ケース10は、アルミニウム系の薄板状の金属板がプレス加工によって成型されて形成される。プレス加工では、金属板に対して折り曲げ加工や絞り加工などを行って成型するため、全体にわたって板厚が同一になる。
【0040】
下部ケース10の基板位置決め用突起16は、絞り加工によって形成されるため、基板位置決め用突起16の裏側は凹部となって空洞穴Cになっている(
図3(a))。このため、ダイキャスト法と違って、基板位置決め突起16を配置するとしても、基板位置決め突起16の裏側が空洞穴Cになるので、厚みの厚い部分が形成されることがない。
【0041】
このように、下部ケース10は、金属板を曲げ加工及び絞り加工を含むプレス加工によって成型して形成される。このため、全体にわたって繋がった状態で同じ厚みで形成されるので、ダイキャスト法に比べて軽量化を図ることができる。
【0042】
また、プレス加工では、ダイキャスト法で使用される専用の金属に限定されず、熱伝導率の優れた純アルミニウム、又はアルミニウム(Al)−マグネシウム(Mg)合金などの結合剤や不純物を極力含まないアルミニウム材料を使用することができる。
【0043】
純アルミニウムでは、Siの含有率が0.25%、Cuの含有率が0.05%であり、不純物の含有率がかなり低く抑えられている。また、アルミニウム(Al)−マグネシウム(Mg)合金では、Mgが2.2〜2.8%、Siが0.25%、Cuが0.1%の比率で含まれている。
【0044】
このように、プレス加工で使用されるアルミニウム材料は、前述したダイキャスト法で使用されるアルミニウム材料よりも不純物の含有率が低いため、高い熱伝導率を有する。また。純アルミニウムは、アルミニウム−マグネシウム合金よりも不純物の含有率が低いため、より高い熱伝導率を有する。
【0045】
このため、電子部品用ケースが高い放熱性を必要とする場合に、容易に対応することができる。
【0046】
また、プレス加工では、表面仕上げが完了している金属板を加工するため、ダイキャスト法で行われる研磨による表面仕上げを行う必要がなく、工数を削減することができる。
【0047】
また、プレス加工で使用される金型は、ダイキャスト法で使用される金型よりも数倍以上寿命が長いため、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0048】
また、プレス加工は、ダイキャスト法に比べて寸法精度が優れており、高い精度が要求される製品に適用することができる。
【0049】
次に、本実施形態の第1の電子部品用ケースの上部ケースについて説明する。
図4(a)は上部ケース20の表側を示しており、
図4(b)は上部ケース20の裏側を示している。
【0050】
図4(a)及び(b)に示すように、実施形態の第1の電子部品用ケースの上部ケース20は、長方形状の天板21とその外周に配置された側壁22とを備えている。天板21の四辺のうち対向する短辺の一方の中央部には側壁22は形成されておらず、電子部品のコネクタを露出させるためのコネクタ用開口部23となっている。上部ケース20のコネクタ用開口部23は、下部ケース10のコネクタ用開口部13の位置に対応して配置される。
【0051】
また、上部ケース20の側壁22には、下部ケース10の係合突起14が係合される係合孔24が並んで配置されている。上部ケース20の係合孔24は、下部ケース10の11個の係合突起14に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0052】
また、上部ケース20の四辺のうち対向する長辺の側壁22の両端側に、側面ねじ止め用開口部25がそれぞれ配置されている。上部ケース20の側面ねじ止め用開口部25は、下部ケース10の4個の側面ねじ穴15に対応する位置に配置されている。
【0053】
下部ケース10の上に上部ケース20を配置する際に、上部ケース20の側面ねじ止め用開口部25が下部ケース10の側面ねじ穴15の外側に重なるようになっている。
【0054】
図4(b)に示すように、上部ケース20の裏側を参照すると、側壁22側の面の天板21の周縁の四隅に、基板押え用突起26がそれぞれ配置されている。上部ケース20の基板押え用突起26は、下部ケース10の4個の基板位置決め用突起16に対応する位置に配置されている。
【0055】
図4(b)の部分拡大斜視図を参照すると、基板押え用突起26は、先端の中心部から内部まで凹部26aが形成されている。後述するように、上部ケース20の基板押え用突起26によって、下部ケース10に位置決めされて配置された電子部品の基板が押えられて固定される。
【0056】
前述した下部ケース10と同様に、上部ケース20は、薄板状の金属板がプレス加工によって成型されて形成される。従って、上部ケース20の基板押え用突起26においても、絞り加工によって形成されるため、基板押え用突起26の裏側は凹部となって空洞穴C(
図4(a))になっている。
【0057】
また、上部ケース20においても、前述した下部ケース10と同様に、全体にわたって繋がった状態で同じ厚みで形成される。
【0058】
上部ケース20をプレス加工で形成する際においても、ダイキャスト法に比べて前述した下部ケース10の製造と同様な優位性を有する。
【0059】
図3(b)の下部ケース10の上に
図4(a)の上部ケース20を配置し、下部ケース10の係合突起14を上部ケース20の係合孔24に係合させることにより、第1の電子部品用ケースが形成される。
【0060】
次に、本実施形態の第1の電子部品用ケースを使用する電子部品装置について説明する。本実施形態では、第1の電子部品用ケースを記憶素子の一例であるSSD(Solid State Drive)のケースとして使用する場合を例に挙げて説明する。SSDは、記憶媒体としてフラッシュメモリが使用され、パソコンなどの主記憶装置として使用される。
【0061】
図5に示すように、第1の電子部品用ケースに収容されるSSD基板30は、配線基板32の上にフラッシュメモリモジュール34及びコントローラチップ36などが実装されている。SSD基板30の一辺の中央部にコネクタ部38が設けられている。SSD基板30の四隅には、厚み方向に貫通する基準穴30aがそれぞれ形成されている。
【0062】
そして、前述した
図3の下部ケース10及び
図4の上部ケース20を用意する。下部ケース10の内面には弾力性を有する伝熱シート(不図示)が形成されている。また、上部ケース20の内面にも同様な伝熱シート(不図示)が形成されている。
【0063】
続いて、下部ケース10の上にSSD基板30を配置する。
図6(a)を加えて参照すると、SSD基板30の基準穴30aに下部ケース10の基板位置決め用突起16の径小部16b(
図5の部分拡大斜視図)を挿通させる。
【0064】
このとき、SSD基板30は、下部ケース10の基板位置決め用突起16の径大部16bの上面周縁に当接して配置される。これにより、SSD基板30は、X−Y方向(横方向)の位置決めがなされた状態で下部ケース10に配置される。
【0065】
次いで、
図7に示すように、SSD基板30が配置された下部ケース10の上に上部ケース20を配置し、上部ケース20を下側に押し込むことにより、下部ケース10の係合突起14を上部ケース20の係合孔24の上部に係合させて固定する。
【0066】
このとき、
図6(b)を加えて参照すると、上部ケース20の基板押え用突起26がSSD基板30の基準穴30aの周囲を押える。また同時に、下部ケース10の基板位置決め用突起16の径小部16bの先端部が上部ケース20の基板押え用突起26の凹部26aに収容される。
【0067】
これにより、SSD基板30は、下部ケース10の基板位置決め用突起16と上部ケース20の基板押え用突起26とにより挟まれて固定された状態となる。その結果、SSD基板30は、X−Y方向(横方向)だけではなく、Z方向(高さ方向)への動きも止められる。
【0068】
SSD基板30は、下部ケース10の基板位置決め用突起16の径大部16aの上面縁部の高さ位置に配置される。SSD基板30の基準穴30aに下部ケース10の基板位置決め用突起16を挿通させると共に、基板位置決め用突起16の径小部16bが上部ケース20の基板押え用突起26の凹部26aに配置される。これにより、SSD基板30が下部ケース10からより外れにくい構造となる。
【0069】
これにより、
図7に示すように、本実施形態の第1の電子部品装置2aが得られる。第1の電子部品装置2aは、下部ケース10及び上部ケース20から形成される第1の電子部品用ケース1aと、その中に収容されたSSD基板30とを備える。
【0070】
このように、本実施形態では、ねじ止めを使用することなく、SSD基板30を下部ケース10の基板位置決め用突起16と上部ケース20の基板押え用突起26とで挟むことで固定することができる。
【0071】
これにより、ねじ止めを使用する方法に比べて多くの部品が不要となり、ワンタッチで簡単に組み立てを行うことができるようになる。従って、煩雑な作業がなくなって組み立て時間を短縮することができ、生産効率を向上させることができる。
【0072】
次に、本実施形態の第2の電子部品装置について説明する。第2の電子部品装置では、全体の厚みが薄くなる場合であっても、下部ケースの側壁に側面ねじ穴を露出させて配置できるように工夫されている。
【0073】
以下、理解を容易にするために、電子部品装置の具体的な寸法の一例を挙げて説明する。まず、下部ケース10の側壁12に直径が3.5mm程度の側面ねじ穴15(M3タップ)を形成する際に、底板11の内面からの側壁12の高さは最低で4.5mm程度必要である。
【0074】
前述した
図7の第1の電子部品装置2aの上部ケース20の側壁22の高さは、天板21の内面から5.8mmとなっている。また、前述した第1の電子部品装置2aの下部ケース10の側壁12の高さも底板11の内面から5.8mmとなっている。上部ケース20及び下部ケース10の各板厚は0.6mmである。
【0075】
そして、下部ケース10の上に上部ケース20を配置して係合させると、第1の電子部品装置2aの全体の厚みは、7mm(高さ(5.8mm)+板厚(0.6mm)×2)となる。
【0076】
これに対して、第1の電子部品装置2aの全体の厚みを5mmに薄型化する場合、上部ケース20の側壁22の高さを低くしても対応することは困難である。
【0077】
そこで、
図8(a)に示すように、前述した
図4(a)の上部ケース20の側面ねじ止め用開口部25の近傍領域において、側壁22の高さの途中から天板21の周縁までの領域に切欠孔25aを形成する。切欠孔25aは側壁22及び天板21を貫通して形成される。
【0078】
なお、
図8(a)の例では、薄型化を図るために、前述した
図4(b)の上部ケース20の基板押え用突起26が省略されて表側に空洞穴Cが設けられていないが、
図4(b)と同様に基板押え用突起26を形成してもよい。
【0079】
そして、
図8(b)に示すように、下部ケース10では、側面ねじ穴15が配置される領域の側壁12を高さH1が4.5mmの突出部Pとし、それ以外の領域の側壁12の高さH2を3.4mmとする。側壁12の高さH1,H2は、底板11の内面上からの高さである。
【0080】
このように、上側に突出して他の領域より高さの高い突出部Pを備えた側壁12を形成し、突出部Pが設けられた領域の側壁12に側面ねじ穴15を配置する。
【0081】
これにより、下部ケース10では、側面ねじ穴15が配置される領域の側壁12が局所的に高さH1が4.5mmと高くなっているため、この突出部Pの領域の側壁12に直径が3.5mm程度の側面ねじ穴15を形成することができる。
【0082】
そして、
図9に示すように、
図8(b)の突出部Pが設けられた側壁12を備えた下部ケース10の上に
図8(a)の上部ケース20を配置して係合する。
【0083】
このとき、
図9の部分拡大斜視図に示すように、下部ケース10の側壁12の突出部Pが上部ケース20の切欠孔25aの上部に配置されて、上部ケース20に干渉しない構造となる。下部ケース10の内面と上部ケース20の内面との距離が3.8mmとなる。そして、上部ケース20の切欠孔25aに下部ケース10の側面ねじ穴15が露出した状態となる。
【0084】
これにより、第2の電子部品装置2bが得られる。第2の電子部品装置2bは、下部ケース10及び上部ケース20から形成される第2の電子部品用ケース1bと、SSD基板30とを備える。
【0085】
なお、第2の電子部品装置2bの突出部Pを設けた下部ケース10を使用して、第1の電子部品装置2aと同様な全体の厚みが7mm程度の電子部品装置を構築してもよい。この場合は、下部ケース10の内面と上部ケース20の内面との距離が5.8mmになるようにする。この場合、下部ケース20の側壁22の高さが十分にあるため、上部ケース20に切欠孔25aを設けなくても、下部ケース10の突出部Pは上部ケース20に干渉しない。
【0086】
このように、第2の電子部品装置2bでは、下部ケース10において、側面ねじ穴15が形成される側壁12の領域のみを側面ねじ穴15を形成できる高さ(4.5mm)の突出部Pとして形成している。
【0087】
下部ケース10の上に上部ケース20を配置して係合する際に、下部ケース10の側壁12の突出部Pが上部ケース20の切欠孔25aに配置されて、上部ケース20の
天板21と干渉しない構造としている。
【0088】
以上のように、下部ケース10の側壁12の突出部Pの余分の高さ分を、上部ケース20の切欠孔25aに逃がすことにより、側面ねじ穴15を狭い側壁領域に設置することができる。
【0089】
また、
図9の部分拡大斜視図に示すように、下部ケース10の側壁12の突出部Pの外端が面取り部Txとなっている。
図10は
図8(a)の上部ケース20の裏側を示す斜視図である。
【0090】
図10の部分拡大斜視図に示すように、上部ケース20において切欠孔25aが配置された領域の側壁22の内端が面取り部22xとなっている。上部ケース20の側壁22の面取り部22xが形成された部分は、下部ケース10の側壁12の突出部Pに対応する。
【0091】
これにより、下部ケース10に上部ケース20を係合する際に、下部ケース10の側壁12の突出部Pの面取り部Txに上部ケース20の側壁22の面取り部22xが接触するとしても、ひっかかることなくスムーズに組み立てを行うことができる。
【0092】
また、本実施形態の第1、第2の電子部品用ケース1a,1bでは、下部ケース10の係合突起14を上部ケース20の係合孔24に係合させて固定する。
【0093】
このため、電子部品装置が落下したり、外部から衝撃を受ける場合であっても、上部ケース20と下部ケース10とが外れにくくなり、両者を信頼性よく強固に固定することができる。
【0094】
本実施形態の第1、第2電子部品装置2a,2bは、必要に応じて、取外用治具を使用して下部ケース10を上部ケース20から取り外すことも可能である。
【0095】
図11は、本実施形態の第1の電子部品装置2aに取外用治具が配置された様子を模式的に示す平面図である。
図11に示すように、前述した
図7のように、第1の電子部品装置2aの側壁には、上部ケース20の係合孔24に係合された下部ケース10の係合突起14が露出している。
【0096】
そして、下部ケース10を上部ケース20から取り外す際には、第1の電子部品装置1aの周囲に取外用治具40が配置される。取外用治具40は、第1の電子部品装置2aの周囲に配置される4つの押圧部材42を備えている。各押圧部材42は下部ケース10の複数の係合突起14に対応する位置に押圧ピン44をそれぞれ備えている。
【0097】
また、4つの押圧部材42には内側に延びる連結部材46がそれぞれ連結されている。各連結部材46の一方の側面に直線歯車46a(ラックギア)が設けられている。
【0098】
また、取外用治具40は、第1の電子部品装置2aの中央上方に車輪歯車48を備えており、各連結部材46の直線歯車46aが車輪歯車48にかみ合っている。
【0099】
モーターなどの駆動手段によって車輪歯車48を回転させると、それに連動して各連結部材46が内側に移動し、それに連結された押圧部材42の押圧ピン44も内側に移動する。これにより、下部ケース10の複数の係合突起14が押圧部材42の押圧ピン44よって同時に内側に押圧されて、上部ケース20の係合孔24から外れる。
【0100】
これにより、下部ケース10を上部ケース20から分離して取り外すことができる。
【0101】
このように、専用の取外用治具40を使用することにより、必要に応じてリワークすることができる。
【0102】
前述した形態では、第1、第2電子部品用ケース1a,1b
に収容される電子部品として、記憶素子であるSSD基板30を例示したが、各種の電子部品のケースとして使用することができる。