(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記カッターポンプに供給される上記スラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径が、2.5〜6.0mmである請求項1に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
上記解砕工程が、上記粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを貯蔵するスラリータンクから導出されたスラリーを上記カッターポンプで解砕し、解砕された固形物を含むスラリーを、排出又は上記スラリータンクに戻して循環させることを含み、上記カッターポンプを避けて迂回できるカッターポンプバイパス流路を設けることにより、上記カッターポンプで解砕される回数を制御して上記排出される解砕された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径を調整する請求項1又は請求項2に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
上記バイパス流路に上記スラリーを通すことが、上記スラリータンクと上記カッターポンプの間、及び/又は上記カッターポンプと上記洗浄工程で使用される洗浄機へ導入又は上記スラリータンクに戻して循環させる分岐点との間に配設されるロータリーポンプによって駆動される請求項3に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
上記ロータリーポンプが、上記カッターポンプと上記分岐点と間に配設され、上記カッターポンプを通過後上記ロータリーポンプに供給されるスラリー中の固形物の平均粒子径が、1.5〜2.4mmである請求項4に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
さらに、上記ロータリーポンプを避けて迂回できるロータリーバイパス流路を設けることにより、上記ロータリーポンプで処理される回数を制御して上記排出される解砕された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径を調整する請求項4又は請求項5に記載の精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に関して詳しく説明する。
アルカリセルロースは、好ましくは、原料パルプとアルカリ金属水酸化物溶液を接触させる工程と、得られた接触物を脱液する脱液工程とを含む一般的な製造方法によって得ることができる。
原料パルプとアルカリ金属水酸化物溶液とを接触させる工程としては、原料パルプにアルカリ金属水酸化物溶液を直接滴下又は噴霧する方法の他、原料パルプをアルカリ金属水酸化物溶液に浸漬後、圧搾して余剰のアルカリ金属水酸化物溶液を除く方法等が挙げられる。
原料パルプには、木材パルプ、リンターパルプ等が挙げられ、シート状、粉砕した粉末状等、形状に限定されることなく使用できる。また、パルプの重合度は目標とするセルロースエーテルの粘度に応じて適宜選択可能である。
アルカリ金属水酸化物溶液は、アルカリセルロースが得られれば特に制限されないが、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの水溶液、特に好ましくは経済的観点から水酸化ナトリウム水溶液である。また、アルカリ金属水酸化物溶液の濃度は、好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは30〜40質量%である。アルカリ金属水酸化物水溶液の濃度が20質量%より低い場合には、エーテル化反応が十分に進行しない場合がある一方、60質量%を超えると、調整されたアルカリセルロースの組成が不均一となってしまい、均一な解重合が行われない場合がある。
接触により得られるアルカリセルロース生成物は、アルカリセルロース、アルカリ金属水酸化物及び水から少なくとも構成される。
【0010】
エーテル化剤との反応に供する最適なアルカリセルロース生成物の組成は、原料パルプにアルカリ金属水酸化物溶液を直接滴下又は噴霧する方法では、アルカリセルロース中のセルロースに対するアルカリ金属水酸化物の質量比が、好ましくは0.1〜0.6、更に好ましくは0.2〜0.45であり、アルカリセルロース中のセルロースに対する水の質量比が、好ましくは0.3〜1.5、更に好ましくは0.45〜1.0である。原料パルプをアルカリ金属水酸化物溶液に浸漬後、圧搾して余剰のアルカリ金属水酸化物溶液を除く方法では、アルカリセルロース中のセルロースに対するアルカリ金属水酸化物の質量比が、好ましくは0.1〜1.0、更に好ましくは0.2〜0.8であり、アルカリセルロース中のセルロースに対する水の質量比が、好ましくは0.1〜2.0、更に好ましくは0.3〜1.0である。アルカリセルロース中のセルロースに対するアルカリ金属水酸化物量及び水量が上記の範囲より小さいと、エーテル化反応が十分に進行せず、工業的に非効率となる場合がある。一方、アルカリセルロース中のセルロースに対するアルカリ金属水酸化物量及び水量が上記の範囲より大きいと、反応時に生成される不純物量が多くなり、所望のヒドロキシプロピル基置換度のものが得られない場合がある。
【0011】
アルカリセルロースの調製後は、反応機内の不活性ガス(好ましくは窒素又はヘリウム)置換を行う。これによって次に行われるエーテル化反応時に反応器内の酸素濃度を低下させ、安全にエーテル化反応を行うことが可能である。また、不活性ガス置換を行い反応器内の酸素量を一定基準以下に保つことで、粘度にばらつきのない精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造が可能である。
【0012】
アルカリセルロースとエーテル化剤との反応は、反応器内で十分に混合して行われる。
エーテル化剤は、ヒドロキシプロポキシ基が置換されれば特に制限はないが、経済的な観点から酸化プロピレンが好ましい。
エーテル化剤は、アルカリセルロース中のセルロースに対するモル比で0.3〜3.0の範囲で反応を行うことが好ましい。酸化プロピレン等のエーテル化剤の添加量が0.3未満又は3.0を超えると、ヒドロキシプロポキシ基が所定量置換されない場合がある。
【0013】
アルカリセルロースとエーテル化剤との反応温度は、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは50℃〜70℃である。反応温度が30℃より低いと、エーテル化反応に長時間を有するため、経済的に不利になる場合がある。一方、80℃より高いと、所望以上のヒドロキシプロポキシ基が置換される場合がある。反応時間は1〜5時間程度が好ましい。エーテル化剤の添加方法は、所定量を一度に反応器内に添加する方法、数回に分けて反応器内に添加する方法、時間を定めて連続的に添加する方法等のいずれの方法でも実施可能である。
【0014】
黄変の原因となる物質は特定できていないが、エーテル化反応工程後の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、エーテル化反応前のアルカリセルロースと比較して黄変しているため、エーテル化反応工程中に黄変の原因物質が生成していると考えられる。
黄変の原因物質は、水に可溶であるため、精製工程(洗浄、必要応じて脱水及び/又は圧搾)において水に抽出することで除去可能である。
【0015】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基含有量は、好ましくは5〜16質量%、特に好ましくは7〜13質量%である。含有量が5質量%未満の場合、ヒドロキシプロピルセルロースの膨潤率が低くなり、錠剤等に使用した場合に崩壊性が不十分となる場合がある。一方、含有量が16質量%を超える場合には、ヒドロキシプロピルセルロースが最後には水溶性となってしまう場合がある。なお、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル基含有量は、日本薬局方第16改正に収載されている方法で測定できる。
【0016】
エーテル化反応後は、ニーダータイプの混合機又は縦型の混合機等の公知の装置に水及び全量中和するのに必要な酸の一部の酸を張りこみ、そこへエーテル化反応生成物を投入し一定時間混合して部分中和して粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを部分析出させる。その後、残りの酸で完全中和して粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを部分析出させる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの見掛比重を制御するには、部分中和法が好適である。
中和温度は、特に限定されず、加熱しない室温であっても加熱をして30〜80℃としても良く、水として35〜65℃の熱水を用いることが好ましい。
【0017】
低置換ヒドロキシプロピルセルロースの中和用の水の量は、エーテル化反応生成物中のセルロースに対する質量比で、好ましくは2〜50倍、更に好ましくは2〜20倍、特に好ましくは4〜10倍である。中和用の水の量が2倍未満であると、生成物の溶液が高粘性となるため、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを均一に混合することが難しくなるとともに、中和後の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの固形粒子表面のほとんどが、ゲル状となってしまう場合がある。一方、中和時に用いられる水の量が50倍を超えると、中和に必要な装置が大きくなってしまうとともに、脱水した精製品の含水率が高くなる場合がある。
【0018】
また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの部分中和に用いられる酸の量は、全アルカリ金属水酸化物溶液を中和するのに要する酸を100質量%とすると、好ましくは3〜40質量%、特に好ましくは8〜30質量%である。全アルカリ金属水酸化物溶液を中和するのに要する酸の3質量%未満であると、残存するアルカリ金属水酸化物が多く、セルロースエーテルの部分析出量が少なすぎて、中和終了後に粒子表面がゲル状となってしまう場合がある。そのため、黄変原因物質の物質移動が阻害され洗浄が困難となるため好ましくない。また、40質量%を超えるとセルロースエーテルの部分析出量が多く、原料パルプに起因する繊維がそのまま製品に残存するため粉体の流動性に乏しくなってしまう場合がある。
一部の酸の投入後の混合時間は、好ましくは5〜120分間、特に好ましくは10〜80分間である。部分中和時間が5分未満であると低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが部分中和されていない場合があり、120分を超えると低置換ヒドロキシプロピルセルロース製造時間の延長に繋がる場合がある。
部分中和を行った後に、残りの酸を全量投入して一定時間混合することにより、完全中和して粗低置換ヒドロキシプロピルセルロースを析出させる。酸の投入後の混合時間は、好ましくは5〜60分間、特に好ましくは10〜30分間である。酸の投入後の混合時間が5分未満であると、酸が均一に混合されない場合があり、60分間を超えると低置換ヒドロキシプロピルセルロース製造時間の延長に繋がる場合がある。
【0019】
全アルカリ金属水酸化物溶液を中和するのに使用する酸としては、特に制限されることなく、どのような酸でも用い得るが、例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸等の有機酸と、塩酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。その酸の使用濃度は、特に制限されることなく自由に選択可能であるが、好ましくは10〜50質量%、特に好ましくは20〜40質量%である。
【0020】
本発明の製造方法に用いる装置の一例を
図1に示す。全アルカリ金属水酸化物溶液を中和した後の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、スラリータンク12等の容器で、スラリー化水中に分散させスラリーとする。このときのスラリー化水の温度は、好ましくは20〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。また、スラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの濃度は、好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは3〜8質量%である。スラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの濃度が2%未満であると、精製処理を行うスラリーが大量となり、精製工程に時間がかかってしまう場合がある。一方、15%を超えると、ポンプによるスラリーの吐出ができなくなる場合がある。スラリー化を行った後、抜き出しバルブ13を「開」としてカッターポンプ1aを介して、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行う。解砕後のスラリーは、流量調整バルブ15から一部を洗浄機16に送液し、残りは戻りバルブ17を「開」とし、循環流路18よりスラリータンク12等の容器に送液させ、さらにカッターポンプ1aを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。洗浄機への導入又はスラリータンクに戻しての循環は、分岐点14を介して行われる。洗浄機16に送られたスラリーは濾過されてケーキとなり、このケーキ上に洗浄用熱水を散布し、再び濾過を行い洗浄される。その後、洗浄されたケーキは連続式圧搾機を用いて圧搾を行う。
【0021】
スラリータンク12等の容器内は、重力により低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子の沈降現象が生じやすく、スラリー抜き出し配管等の配管の閉塞につながる恐れがある。配管の閉塞を防ぐためには、スラリータンク12等の容器内部を撹拌装置11等による撹拌を行い、均一分散状態とする方法、戻りバルブ17を「開」とし、循環流路18によりポンプを介し均一分散状態としたまま循環する方法のいずれかの方法を採ることが好ましい。
特に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのように保水性に優れるセルロースは、精製工程(洗浄、必要に応じて脱水及び/又は圧搾)において、スラリー全量を処理するまでに時間がかかる場合が多い。そのため、精製工程における処理が終了するまで、系内を均一分散状態に保つことが好ましい。
系内を均一分散状態に保つためにミキサー等による撹拌を行う場合、最小動力でスラリーが均一分散状態となるような撹拌条件で撹拌をすることが好ましい。動力を過度に上昇させると、撹拌によるせん断力により低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子を過度に解砕してしまう可能性があり、好ましくない。
【0022】
スラリーを循環させる系において、カッターポンプ1aを介したカッターポンプの運転時間を調整し、ポンプ通過による解砕回数を変化させることで、スラリータンク12等の容器内の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物平均粒子径を調整することができる。
また、戻りバルブ17を「閉」として、流量調整バルブ15からカッターポンプ1aで吐出したスラリーの全量を洗浄機16に送液することも可能である。しかし、本発明のように洗浄機処理速度が経時的に変化する可能性がある場合、ポンプの吐出量と洗浄機処理速度を調整することによる連続的な洗浄は困難である。また、洗浄機の処理能力によってはポンプのスラリー吐出量が過剰となってしまい、連続的な洗浄ができない。これらの場合、例えば、流量調整バルブ15と洗浄機16に間に、一時的にスラリーを保管するタンク(図示せず)を設けて連続的な洗浄を維持してもよい。
【0023】
カッターポンプに供給されるスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、好ましくは2.5〜6.0mm、特に好ましくは3.0〜4.0mmである。平均粒子径が2.5mm未満であると、スラリータンク等の容器内のスラリー量、カッターポンプの吐出量又は洗浄機処理速度といった運転条件によっては、カッターポンプによる解砕で固形物の粒子が過度に解砕される可能性があり、精製工程での濾過抵抗が大きくなりさらに時間がかかってしまう場合がある。また、平均粒子径が6.0mmを超えると、固形物の中に粗大粒子の割合が増え、精製工程における固形物内部の黄変原因物質の抽出除去が困難となる場合がある。
なお、スラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径として、篩法による積算重量粒度分布における積算値50%粒子径を用いる。
【0024】
カッターポンプは、好ましくは一台で固形物の解砕、混合、分散、搬送といった機能を持つことを特徴とするポンプを用いる。
カッターポンプから吐出されるスラリーの流量は、スラリータンク等の容器内のスラリー量及び洗浄機処理速度によって大きく変化するが、配管内を流れるスラリーの流量を配管断面積で除した値であるスラリーの線速として、好ましくは0.2〜5.0m/s、特に好ましくは0.5〜2.0m/sである。線速が0.2m/s未満だと、所定の流量を出すために配管径を非常に大きくする必要がある場合があり、その場合は、スラリーの比重によっては、配管の中で沈降が生じてしまう場合がある。一方、線速が5.0m/sを超えると工業的に安定な運転をすることができない場合がある。
【0025】
精製工程において、固形物内部の黄変原因物質の抽出除去性を向上させるためには、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が、平均で1回以上カッターポンプを通過して解砕されることが必要である。スラリーを循環させる場合、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物がカッターポンプを通過する平均の回数は、スラリータンク等の容器内のスラリー量、カッターポンプ吐出量及び吐出時間といった運転条件から調整することが可能である。
【0026】
スラリータンク等の容器内のスラリー量、カッターポンプの吐出量又は洗浄機処理速度といった運転条件によっては、精製工程の最中にカッターポンプによる解砕で低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形粒子が過度に微細化してしまうことがある。過度の微細化を防ぐためには、系内にロータリーポンプを1台以上、好ましくは1〜2台配設する。
【0027】
解砕工程は、好ましくは低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを貯蔵するスラリータンクから導出されたスラリーをカッターポンプで解砕し、解砕された固形物を含むスラリーを、洗浄機等へ排出又は前記スラリータンクに戻して循環させることを含み、カッターポンプを避けて迂回できるカッターポンプバイパス流路を設けることにより、カッターポンプで解砕される回数を制御して洗浄機等へ排出される解砕された粗低置換度セルロースエーテルの平均粒子径を調整できる。
バイパス流路にスラリーを通すことは、好ましくはスラリータンクとカッターポンプの間、及び/又はカッターポンプと洗浄工程で使用される洗浄機へ導入又はスラリータンクに戻して循環させる分岐点と間に配設されるロータリーポンプによって駆動される。
また、好ましくはロータリーポンプを避けて迂回できるロータリーバイパス流路を設けることにより、ロータリーポンプで処理される回数を制御して洗浄機等へ排出される解砕された低置換度セルロースエーテルの平均粒子径を調整できる。ロータリーポンプは、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物に過度なせん断力を与えることがないため、固形粒子の微細化を抑制することができるが、全く微細化されないというわけではないからである。
【0028】
1台のカッターポンプと1台のロータリーポンプの組み合わせの例を
図2に示す。ロータリーポンプはスラリータンクの後でカッターポンプの前に配設する例を説明する。
全アルカリ金属水酸化物溶液を中和した後の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、スラリータンク22等の容器で、スラリー化水中に分散させスラリーとする。スラリー化を行った後、抜き出しバルブ23を「開」とし、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路2fをスラリーが通過するようにし、同時に、配管流路切り替えバルブ2bを切り替え、カッターポンプ2aにスラリーが通過するようにする。その後、カッターポンプ2aを介してスラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行う。
カッターポンプ2aにて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が解砕されたスラリーは、流量調整バルブ25から一部を洗浄機26に送液し、残りは戻りバルブ27を「開」とし、循環流路28よりスラリータンク22等の容器内に送液させ、さらにカッターポンプ2aを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。洗浄機への導入又はスラリータンクに戻しての循環は分岐点24を介して行われる。
【0029】
スラリータンクを通して循環を行う場合、カッターポンプ2aを平均で1回以上通過した低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物は、カッターポンプ2aの解砕によって過度の微細化の可能性がある。微細化を抑制するためには、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプ2dにスラリーが通過するようにし、同時に、配管流路切り替えバルブ2bを切り替え、カッターポンプバイパス流路2cをスラリーが通過するようにし、切り替えを行った後、系内スラリーはロータリーポンプ2dを介しての送液を行う方法が好ましい。
ロータリーポンプ2dで送液されたスラリーは、流量調整バルブ25から、一部を洗浄機26に送液し、残りは循環流路28よりスラリータンク22等の容器に送液させ、さらにロータリーポンプ2dを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。
洗浄機26に送られたスラリーは濾過されてケーキとなり、上記と同様に、そのケーキ上に洗浄用熱水を散布し、再び濾過を行い洗浄される。洗浄されたケーキは公知の方法で圧搾される。
【0030】
カッターポンプ2a送液時、もしくはロータリーポンプ2d送液時に、戻りバルブ27を「閉」として、流量調整バルブ25からポンプ吐出スラリーの全量を洗浄機に送液することも可能である。しかし、本発明のように洗浄機処理速度が経時的に変化する場合、ポンプの吐出量と洗浄機処理速度を調整することによる連続的な洗浄は困難である。また、洗浄機の処理能力によってはポンプのスラリー吐出量が過剰となってしまい、連続的な洗浄ができない。これらの場合、例えば、流量調整バルブ25と洗浄機26に間に、一時的にスラリーを保管するタンク(図示せず)を設けて連続的な洗浄を維持してもよい。
【0031】
配管流路切り替えバルブ2b及び2eを切り替え、カッターポンプ2a及びロータリーポンプ2dにスラリーが通過するようにポンプを直列に配設し、送液する方法も可能である。しかし、この場合はカッターポンプによる解砕による低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形粒子の微細化を生じることに留意する。
【0032】
カッターポンプ2aとロータリーポンプ2dの前後関係を逆にして、ロータリーポンプ2dをカッターポンプ2aの後で、洗浄機26への導入又はスラリータンク22に戻して循環させる分岐点24の前に配設して、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの製造を行うことも可能である。
【0033】
本発明におけるロータリーポンプは、定量性がある容積式のポンプを用いる。このポンプは、遠心ポンプのように低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物に過度なせん断力を与えることがないため、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形粒子の微細化を抑制することができる。
【0034】
ロータリーポンプから吐出されるスラリーの流量は、スラリータンク等の容器内のスラリー量及び洗浄機処理速度によって大きく変化するが、配管内を流れるスラリーの流量を配管断面積で除した値であるスラリーの線速が、好ましくは0.2〜2.5m/s、特に好ましくは0.5〜1.8m/sである。線速が0.2m/s未満だと、所定の流量を出すために配管径を非常に大きくする必要があり、スラリーの比重によっては、配管の中で沈降が生じてしまう場合がある。また、線速が2.5m/sを超えると、配管内での乱流による過剰なせん断力により低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子が微細化してしまう可能性があるため、好ましくない。
特に、ロータリーポンプをカッターポンプの前後に配設する場合、ロータリーポンプの吐出時の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子にかかるせん断力は、ロータリーポンプ1台を配設した場合と比較して増加する。そのため、ロータリーポンプによるスラリー吐出時に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子が、微細化してしまう可能性が高くなってしまう。
【0035】
ロータリーポンプを系内に2台以上配設する場合は、各ロータリーポンプは同一特性であることが好ましい。特性が異なるロータリーポンプを配設する場合、運転条件によっては、正転逆流状態や締切運転状態となる場合があり好ましくない。
【0036】
1台のカッターポンプと2台のロータリーポンプの組み合わせの例を
図3に示す。ロータリーポンプは、スラリータンクの後でカッターポンプの前、及び/又はカッターポンプの後で洗浄機への導入又はスラリータンクに戻して循環させる分岐点の前に配設することができる。以下に、ロータリーポンプをカッターポンプの前後に配設する場合を詳細に説明する。
全アルカリ金属水酸化物溶液を中和した後の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、スラリータンク32等の容器で、スラリー化水に分散させスラリーとする。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ33を「開」、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路3f及び3iにスラリーが通過するようにし、同時に、配管流路切り替えバルブ3bを切り替え、カッターポンプ3aにスラリーが通過するようにする。その後、カッターポンプ3aを介して、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行う。
カッターポンプ3aにて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が解砕されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液し、残りは戻りバルブ37を「開」とし、循環流路38よりスラリータンク32等の容器内に送液させ、さらにカッターポンプ3aを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。洗浄機への導入又はスラリータンクに戻しての循環は分岐点34を介して行われる。
【0037】
精製工程の途中で、カッターポンプ3aを1回以上通過した低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物は、カッターポンプ3aの解砕による過度の微細化の可能性がある。微細化を抑制するためには、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプ3d及び3gにスラリーが通過するようにし、同時に、配管流路切り替えバルブ3bを切り替え、カッターポンプバイパス流路3cをスラリーが通過するように切り替える。切り替えを行った後、系内スラリーはロータリーポンプ2台を介して送液を行う方法が好ましい。
ロータリーポンプ3d及び3gで送液されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液し、残りは循環流路38よりスラリータンク32等の容器内に送液させ、さらにロータリーポンプ3d及び3gを介してスラリーを循環させる方法が好ましい。
洗浄機36に送られたスラリーは濾過されてケーキとなり、上記と同様に、そのケーキ上に洗浄用熱水を散布し、再び濾過を行い洗浄される。洗浄されたケーキは公知の方法で圧搾される。
【0038】
カッターポンプ3a送液時もしくはロータリーポンプ3d及び3g送液時に、戻りバルブ37を「閉」として、流量調整バルブ35からポンプ吐出スラリーの全量を洗浄機36に送液することも可能である。しかし、本発明のように洗浄機処理速度が経時的に変化する場合、ポンプの吐出量と洗浄機処理速度を調整することによる連続的な洗浄は困難である。また、洗浄機の処理能力によっては、ポンプのスラリー吐出量が過剰となってしまい連続的な洗浄ができない。これらの場合、例えば、流量調整バルブ35と洗浄機36に間に、一時的にスラリーを保管するタンク(図示せず)を設けて連続的な洗浄を維持してもよい。
【0039】
配管流路切り替えバルブ3b及び3e及び3hを切り替え、カッターポンプ3a及びロータリーポンプ3d及び3gをスラリーが通過するようにポンプを直列に配設し、送液する方法も可能である。しかし、この場合はカッターポンプによる解砕によって低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形粒子の微細化を生じることに留意する。
【0040】
系内に1台以上ロータリーポンプを配設する場合に関して、カッターポンプ通過後のロータリーポンプに供給されるスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、好ましくは1.5〜2.4mm、特に好ましくは1.8〜2.1mmである。平均粒子径が1.5mm未満であると、ロータリーポンプによるスラリー吐出によって、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子が微細化してしまう可能性があり、濾過時の抵抗が大きくなり、精製工程に時間がかかってしまう場合がある。一方、平均粒子径が2.4mmを超えると、カッターポンプによる解砕が不十分である可能性があり、精製工程における固形物内部の黄変原因物質の抽出除去が、不十分となる場合がある。
【0041】
カッターポンプによる解砕工程を経た後の洗浄工程へ導入されるスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、好ましくは1.0〜2.4mm、特に好ましくは1.6〜2.1mmである。平均粒子径が1.0mm未満であると、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の粒子が微細化しているため、濾過時の抵抗が大きくなり時間がかかってしまう場合がある。一方、平均粒子径が2.4mmを超えると、カッターポンプによる解砕が不十分である場合があり、精製工程における固形物内部の黄変原因物質の抽出除去が不十分となる場合がある。
【0042】
カッターポンプによる解砕工程を経て排出された低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーは、洗浄工程において水で洗浄される。例えば、洗浄機に送られ、濾過されてケーキとなり、そのケーキ上に洗浄用熱水を散布し、再び濾過を行い洗浄される。洗浄機は、濾過と洗浄用熱水の散布という操作を連続的に行うことができれば特に制限はないが、真空濾過装置を備えた洗浄機が好ましい。散布用の洗浄用熱水の温度は、好ましくは60〜100℃である。熱水の温度が60℃未満であると、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが膨潤するため、洗浄が困難になる場合がある。
【0043】
洗浄されたケーキは、公知の方法で必要に応じて脱水及び/又は圧搾される。脱水は、好ましくは連続式遠心濾過装置を用いることができる。圧搾は、好ましくは連続式圧搾機を用いることができる。連続式圧搾機は、連続的にケーキを圧搾することが可能であれば、圧搾方式に特に制限はない。
【0044】
洗浄後のケーキ又は圧搾後のケーキは、乾燥工程で乾燥される。乾燥は、好ましくは乾燥機を用いることができる。乾燥機は、ケーキを連続的に乾燥することが可能であれば、熱源の形態に特に制限はない。乾燥は、好ましくは60〜100℃で行うことができる。乾燥温度が60℃未満であると、乾燥に長い時間が必要となる場合があり、100℃を超えると、過度の熱により乾燥後の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが黄変する場合がある。乾燥後、必要に応じて粉砕されて精製低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを製造する。
【実施例】
【0045】
以下に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
内部撹拌構造を有する反応器に、粉末状パルプを仕込み、次に撹拌条件下、35質量%水酸化ナトリウム水溶液を6分間添加し、引き続き20分間撹拌することで、水酸化ナトリウム15.0質量%、セルロース54.3質量%、水分30.7質量%の組成のアルカリセルロースを製造した。
その後、反応器内の窒素置換を行った。窒素置換後、反応器を60℃に保ちながら、アルカリセルロース100質量部(14.7kg)に対して酸化プロピレン9.8質量部を加え90分間エーテル化反応させ、粗反応生成物109.8質量部を得た。引き続き反応機内の窒素置換を行った後、反応品を取り出した。
双軸ニーダーに、40℃の温水277質量部と33質量%の酢酸水溶液3.1質量部を入れ、これに粗反応生成物100質量部を分散させた。次いで、温度を40℃に保持しながら、粗反応生成物の一部を10分間混合して部分中和させた。その後、同一温度を保持しながら33質量%酢酸水溶液58.9質量部を8分間かけて入れ、酢酸が均一になるまで混合を行い、反応生成物を析出させ、析出物として8.96kgを得た。
以下、
図1に例示される構成の装置を用いて実験を行った。
スラリータンク12に析出物100質量部(8.96kg)を入れ、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを5.0質量%スラリーとなるように60℃のスラリー化水123.2質量部に撹拌装置11を用いて分散させた。
スラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、目開きの異なる5つの篩を用いて、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物がその目開きを通過する割合によって求めた積算重量粒度分布における積算値50%粒子径として別途測定したところ、3.5mmであった。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ13を「開」とし、カッターポンプ1a(三和ハイドロテック社製)を介して、スラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行った。カッターポンプ1aの送液中の流量は0.00056m
3/sであり、スラリーの線速は0.93m/sであった。
解砕後のスラリーは、流量調整バルブ15から一部を洗浄機16に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ17を「開」とし、循環流路18よりスラリータンク12内に送液させた後、更にカッターポンプ1aを介してスラリーを循環させた。
洗浄機16に送液したスラリーは、濾過及び洗浄用熱水の散布を連続的に行い洗浄した。スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにカッターポンプ1aから吐出したスラリーの低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.2mmであった。
精製工程にかかる時間の目安として、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにカッターポンプ1aから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を評価した。真空ポンプを備えた吸引フラスコに、ナイロンフィルター(145メッシュ)を間にかませたガラス製フィルターホルダーを設置した。次に、フィルターホルダーファンネル部に、60℃に温調したスラリーを160g入れ、スラリーを吸引濾過して80gの濾液が得られるまでの時間を測定したところ300秒間であった。また、真空度はマノメータにて測定したところ、−6.0kPaであった。
スラリーは洗浄された後、圧搾して送風乾燥機による乾燥を行い、高速回転衝撃粉砕機で粉砕を行い篩にて分級を行った後、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末を得た。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末の黄変確認試験として、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末をセルに仕込んだ後、粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.3であった。
【0046】
<実施例2>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースエーテル反応品を得るまでは、実施例1と同様の操作を行った。
次に、双軸ニーダーに40℃の温水277質量部と33質量%の酢酸水溶液3.1質量部を入れ、これに粗反応生成物100質量部(32.7kg)を分散させた。次いで、温度を40℃に保持しながら粗反応生成物の一部を10分間部分中和させた。その後、同一温度を保持しながら33質量%酢酸水溶液58.9質量部を10分間かけて入れ、酢酸が均一になるまで10分間混合を行い、反応生成物を析出させ、析出物として143.4kgを得た。
以下、
図2に例示される構成の装置を用いて実験を実施した。
スラリータンク22に析出物100質量部(143.4kg)を入れ、粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを5.0質量%スラリーとなるように、60℃のスラリー化水123.2質量部に撹拌装置21を用いて分散させた。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.5mmであった。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ23を「開」、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路2fにスラリーが通過するように切り替え、同時に配管流路切り替えバルブ2bを、カッターポンプ2aにスラリーが通過するように切り替えた。その後、カッターポンプ2aを介してスラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行った。カッターポンプ2aの送液中の流量は0.00069m
3/sであり、スラリーの線速は1.16m/sであった。
解砕後のスラリーは、流量調整バルブ25から一部を洗浄機26に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ27を「開」とし、循環流路28よりスラリータンク22内に送液させた後、更にカッターポンプ2aを介してスラリーを循環させた。
カッターポンプ2aを介して30分間スラリー循環させた後、配管流路切り替えバルブ2eを切り替え、ロータリーポンプ2d(ナカキン社製)にスラリーが通過するようにし、同時に配管流路切り替えバルブ2bを切り替え、カッターポンプバイパス流路2cをスラリーが通過するようにした。その後、ロータリーポンプ2dを介してスラリーの送液を行った。
ロータリーポンプ2dで送液するように切り替えた直後のロータリーポンプ2dから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.9mmであった。
ロータリーポンプ2dで送液されたスラリーは、流量調整バルブ25から一部を洗浄機26に送液した。また、残りのスラリーは循環流路28よりスラリータンク22内に送液させた後、更にロータリーポンプ2dを介してスラリーを循環させた。
ロータリーポンプ2dの送液中の流量は0.00064m
3/sであり、スラリーの線速は1.07m/sであった。
洗浄機26に送液したスラリーは濾過及び洗浄用熱水の散布を連続的に行い洗浄した。スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ2dから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は1.6mmであった。
また、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ2dから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、230秒間であり、真空度は−5.8kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.0であった。
【0047】
<実施例3>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例2と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.4mmであった。
ロータリーポンプとカッターポンプの前後関係を実施例2と逆にして、ロータリーポンプをカッターポンプの後に配設する以外は、実施例2と同様の方法で行った。
カッターポンプ送液中の流量は0.00064m
3/sであり、スラリーの線速は1.07m/sであった。
カッターポンプを介して30分間スラリー循環させた後、ロータリーポンプによる送液に切り替えた。ポンプを切り替えた直後のロータリーポンプから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.9mmであった。
ロータリーポンプ送液中の流量は0.00061m
3/sであり、スラリーの線速は1.02m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.6mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、220秒間であり、真空度は−6.2kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.1であった。
【0048】
<実施例4>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例2と同様の操作を行った。その後は、実施例1と同様の装置を用いて同様の操作を行ってスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、2.5mmであった。
ロータリーポンプとカッターポンプの前後関係を実施例2と同じにして、導入されるスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒径が実施例2より小さい以外は、実施例2と同様の方法で行った。
カッターポンプ送液中の流量は0.00053m
3/sであり、スラリーの線速は0.88m/sであった。
カッターポンプを介して20分間スラリー循環させた後、ロータリーポンプによる送液に切り替えた。ポンプを切り替えた直後のロータリーポンプから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.6mmであった。
ロータリーポンプ送液中の流量は0.00067m
3/sであり、スラリーの線速は1.11m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.3mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、350秒間であり、真空度は−6.0kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、8.3であった。
【0049】
<実施例5>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例2と同様の操作を行った。その後は、実施例1と同様の装置を用いて同様の操作を行ってスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.7mmであった。
これ以降は、
図3に例示される構成の装置を用いて実施し、ロータリーポンプは同一特性のものを使用した。
スラリー化を行った後、抜き出しバルブ33を「開」、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプバイパス流路3f及び3iにスラリーが通過するように切り替え、同時に、配管流路切り替えバルブ3bを、カッターポンプ3aにスラリーが通過するように切り替えた。その後、カッターポンプ3aを介してスラリー中の低置換ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物を解砕しながら送液を行った。
カッターポンプ3aにて低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物が解砕されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ37を「開」とし、循環流路38よりスラリータンク32内に送液させた後、更にカッターポンプ3aを介してスラリーを循環させた。
カッターポンプの送液中の流量は0.00061m
3/sであり、線速は1.02m/sであった。
カッターポンプ3aを介して30分間スラリー循環させた後、配管流路切り替えバルブ3e及び3hを切り替え、ロータリーポンプ3d及び3gにスラリーが通過するようにし、同時に配管流路切り替えバルブ3bを切り替え、カッターポンプバイパス流路3cをスラリーが通過するようにした。その後、ロータリーポンプ3d及び3gを介してスラリーの送液を行った。
ロータリーポンプ3d及び3gで送液されたスラリーは、流量調整バルブ35から一部を洗浄機36に送液した。また、残りのスラリーは戻りバルブ37を「開」とし、循環流路38よりスラリータンク3内に送液させた後、更にロータリーポンプ3d及び3gを介してスラリーを循環させた。
ロータリーポンプ3d及び3gで送液するように切り替えた直後のロータリーポンプ3gから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.9mmであった。
ロータリーポンプ3d及び3gの送液中の流量は共に0.00065m
3/sであり、スラリーの線速は1.09m/sであった。
洗浄機36に送液したスラリーは濾過及び洗浄用熱水の散布を連続的に行い洗浄した。スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ3gから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.3mmであった。
また、実施例1と同様にしてスラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプ3gから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、380秒であり、真空度は、−6.0kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、7.8であった。
【0050】
<比較例1>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例1と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.1mmであった。
カッターポンプの替わりに遠心ポンプを用いた以外は、実施例1と全く同様の装置にて同様の操作を行った。
遠心ポンプ送液中の流量は0.0013m
3/sであり、スラリーの線速は2.01m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときに遠心ポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.1mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときに遠心ポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、400秒間であり、真空度は実施例1と同様測定し、−6.1kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、9.1であった。
【0051】
<比較例2>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例1と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.0mmであった。
カッターポンプの替わりにロータリーポンプを用いた以外は、実施例1と全く同様の装置にて同様の操作を行った。
ロータリーポンプ送液中の流量は0.00067m
3/sであり、スラリーの線速は1.11m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、2.4mmであった。
更に、実施例1と同様にしてスラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリーを濾過するのにかかる時間を測定したところ、210秒間であり、真空度は実施例1と同様測定し、−6.1kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、9.7であった。
【0052】
<比較例3>
粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含むスラリーを得るまでは、実施例3と同様の操作を行った。
実施例1と同様にしてスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径を測定したところ、3.3mmであった。
カッターポンプの替わりに遠心ポンプを用いた以外は、実施例3と全く同様の装置にて同様の操作を行った。
遠心ポンプ送液中の流量は0.0013m
3/sであり、スラリーの線速は2.10m/sであった。
遠心ポンプを介して40分間スラリー循環させた後、ロータリーポンプによる送液に切り替えた。ポンプを切り替えた直後のロータリーポンプから吐出したスラリー中の粗低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は、1.6mmであった。
ロータリーポンプの送液中の流量は0.00064m
3/sであり、スラリーの線速は1.07m/sであった。
また、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー中の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む固形物の平均粒子径は1.4mmであった。
更に、実施例1と同様にして、スラリー全量の9割を洗浄機に送液し終えたときにロータリーポンプから吐出したスラリー濾過するのにかかる時間を測定したところ、250秒間であり、真空度は実施例1と同様測定し、−6.0kPaであった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末表面の黄色度をSMカラーコンピューターSM−T(スガ試験機社製)にて測定したところ、9.5であった。
【0053】
【表1】