(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CuKα線を用いたX線回折分析(XRD)時、(111)面でのSiピークおよびSiCピークの強度比である(111)面でのSiピーク強度/(111)面でのSiCピーク強度は、1.0〜6.0である、請求項1又は2に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
前記負極活物質は、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族〜16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される一つをさらに含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一実施形態は、リチウム2次電池の高容量および寿命特性の向上を実現することができるリチウム2次電池用負極活物質を提供する。
【0006】
本発明の他の実施形態は、前記負極活物質を製造する方法を提供する。
【0007】
本発明のさらに他の実施形態は、前記負極活物質を含むリチウム2次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態において、結晶性Siを含むSiO
x(0.5≦x≦1.5)で表される化合物、結晶性炭素を含むSiC
y(0.5≦y≦1.5)で表される化合物を含むリチウム2次電池用負極活物質を提供する。
【0009】
前記SiC
y(0.5≦y≦1.5)で表される化合物は、結晶性炭素、非結晶性炭素、結晶性SiCおよび非結晶性SiCを含むことができる。
【0010】
CuKα線を用いたX線回折分析(XRD)時、(111)面でのSiピークおよびSiCピークの強度比である(111)面でのSiピーク強度/(111)面でのSiCピーク強度は、約1.0〜約6.0であってもよい。
【0011】
Si元素の含量は、負極活物質全体中約40〜約80重量%であってもよい。
【0012】
前記負極活物質は、O元素およびC元素を約1:3〜約3:1の重量比で含むことができる。
【0013】
前記負極活物質は、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族〜16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択された一つをさらに含むことができる。
【0014】
前記負極活物質は、約0.1μm〜約10μmの平均粒子直径を有することができる。
【0015】
前記負極活物質は、炭素コーティング層をさらに含むことができる。
【0016】
前記炭素コーティング層の厚さは、約0.01μm〜約1μmであってもよい。
【0017】
前記炭素コーティング層は、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスまたはこれらの混合物から選択される非晶質炭素であってもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、前記負極活物質を含む負極;正極活物質を含む正極;および非水電解質を含むリチウム2次電池を提供する。
【0019】
本発明のさらに他の実施形態によれば、Si元素を含む原料物質、O元素を含む原料物質、およびC元素を含む原料物質を準備する段階と;前記準備された原料物質を電極の間に位置させた後、不活性ガス雰囲気下でアーク放電させて、結晶性Siを含むSiO
x(0.5≦x≦1.5)で表される化合物、および結晶性炭素を含むSiC
y(0.5≦y≦1.5)で表される化合物を生成する段階とを含むリチウム2次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
【0020】
前記リチウム2次電池用負極活物質の製造方法において、Si、SiO
2、および炭素を原料物質として使用し、前記原料物質をアノード電極に接触させてアーク放電させることができる。
【0021】
SiおよびSiO
2の含量比は、約1:1〜約2.5:1の重量比であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
前記負極活物質を使用して、高容量であると共に、優れた寿命特性を有するリチウム2次電池を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるもので、本発明はこれによって制限されず、特許請求の範囲により定義される。
【0025】
本発明の一実施形態は、結晶性Siを含むSiO
x(0.5≦x≦1.5)で表される化合物と、結晶性炭素を含むSiC
y(0.5≦y≦1.5)で表される化合物とを含むリチウム2次電池用負極活物質を提供する。
【0026】
前記負極活物質は、ケイ素酸化物系であって、高容量を実現しながらも、炭化ケイ素化合物(SiC)および炭素(C)を含むことによって伝導性を向上させて、リチウム2次電池の寿命特性を改善することができる。
【0027】
前記SiO
x(0.5≦x≦1.5)で表される化合物は、ケイ素酸化物と結晶性シリコンとを含み、ケイ素酸化物は例えばSiO
2、SiOなどの非結晶性のケイ素酸化物であってもよい。
【0028】
前記SiC
y(0.5≦y≦1.5)で表される化合物は、具体的には、結晶性炭素、非結晶性炭素、結晶性炭化水素および非結晶性炭化水素を含むことができる。
【0029】
前記負極活物質に対して、CuKα線を用いたX線回折分析(XRD)時、(111)面でのSiピークおよびSiCピークの強度比である(111)面でのSiピーク強度/(111)面でのSiCピーク強度は、約1.0〜約6.0であってもよい。具体的には、前記ピーク強度比は、約4.5〜約6.0であってもよい。
【0030】
前記負極活物質は、Si元素の含量が負極活物質全体中約40〜約80重量%であってもよい。前記負極活物質は、前記範囲のように比較的Si元素の含量を高くしてより高容量特性を確保することができる。具体的には、前記負極活物質は、Si元素の含量が約60〜約70重量%であってもよい。
【0031】
前記負極活物質は、O元素およびC元素の重量比が約1:3〜約3:1であってもよい。
【0032】
前記負極活物質は、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族〜16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される一つ(Siではない)をさらに含むことができ、これらの具体的な元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Poまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
前記負極活物質は、約0.1μm〜約10μmの平均粒子直径を有することができる。
【0034】
前記シリコン系負極活物質の炭素系物質を含む炭素コーティング層をさらに含むことができる。前記炭素系物質の被覆層をさらに含むことによって、リチウム2次電池の初期効率および寿命特性をより向上させることができる。
【0035】
前記炭素系物質としては、結晶質炭素または非晶質炭素などの例を挙げることができ、具体的には、前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、麟片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0036】
好ましくは、前記炭素コーティング層の厚さは、約0.01μm〜約1μmであってもよい。前記炭素コーティング層の厚さが前記範囲に含まれる場合、適切な容量を実現することができる。
【0037】
前記負極活物質は、アーク放電法を用いて製造することができる。
【0038】
本発明の他の実施形態において、Si元素を含む原料物質、O元素を含む原料物質、およびC元素を含む原料物質を準備する段階と;前記準備された原料物質を電極の間に位置させた後、不活性ガス雰囲気下でアーク放電させて、前記結晶性Siを含むSiO
x(0.5≦x≦1.5)で表される化合物、および結晶性炭素を含むSiC
y(0.5≦y≦1.5)で表される化合物を生成する段階とを含むリチウム2次電池用負極活物質の製造方法を提供する。
【0039】
前記リチウム2次電池用負極活物質の製造方法により前述した負極活物質を製造することができる。
【0040】
前記原料物質として、Si、SiO
2、および炭素を使用することができる。
【0041】
本発明の一実施形態において、前記原料物質として内部にSi粉末およびSiO
2粉末の混合物201に満たされた炭素棒202を製作して使用することができる(
図2参照)。
図2(A)は、内部にSi粉末およびSiO
2粉末の混合物201で満たされた炭素棒202の縦断面を示し、
図2(B)は、内部にSi粉末およびSiO
2粉末の混合物201で満たされた炭素棒202の横断面を示す。
【0042】
Si粉末およびSiO
2粉末の混合比を調節して得ようとする負極活物質の含量比を調節することができる。具体的には、前記SiおよびSiO
2は、約1:1〜約2.5:1の重量比を有するように使用され得る。
【0043】
前記のように製作された内部にSi粉末およびSiO
2粉末の混合物201で満たされた炭素棒202をアノード電極に接触させた後、不活性雰囲気で電流を印加してアーク放電させることができる。アーク放電により前述した負極活物質粉末が製造され、アーク放電設備内に具備されたコレクタから回収することができる。
【0044】
前記のように製造された負極活物質に再び炭素系物質で表面処理して炭素コーティング層を形成する段階をさらに含むことができる。炭素系物質は、前述したとおりであり、表面処理工程は、特に限定されずに通常の表面処理方法で行うことができる。好ましくは、マグネトロンスパッタリング法、電子ビーム蒸着法、IBAD(ion beam assisted deposition、イオンビーム支援堆積法)、CVD(chemical vapor deposition、化学気相蒸着法)、ゾル−ゲル(sol−gel)法、または蒸発される粒子をイオン化して成膜させる方法などを利用することができる。
【0045】
本発明はまた、前記本発明による前記負極活物質を含む負極;正極活物質を含む正極;および非水電解液を含むリチウム2次電池を提供する。
【0046】
リチウム2次電池は、使用するセパレータと電解質の種類に応じてリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類され、形態に応じて円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じてバルクタイプと薄膜タイプに分類され得る。これらの電池の構造と製造方法は当該技術分野において広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0047】
図1は、本発明の一実施形態によるリチウム2次電池の分解斜視図である。
図1を参照すると、前記リチウム2次電池100は、円筒型で、負極112、正極114、および前記負極112と正極114との間に配置されたセパレータ113、前記負極112、正極114およびセパレータ113に含浸された電解質(図示せず)、電池容器120、そして前記電池容器120を封入する封入部材140を主な部分として構成されている。このようなリチウム2次電池100は、負極112、セパレータ113、および正極114を順次に積層した後、スパイラル状に巻き取られた状態で電池容器120に収納して構成される。
【0048】
前記負極は、集電体および前記集電体の上に形成された負極活物質層を含み、前記負極活物質層は、負極活物質を含む。前記負極活物質は、前述したとおりである。前記負極活物質層はまた、バインダーを含み、選択的に導電材をさらに含むこともできる。
【0049】
前記バインダーは、負極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また負極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としてポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化ポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレイテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0050】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0051】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0052】
前記正極は、電流集電体およびこの電流集電体に形成される正極活物質層を含む。
【0053】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。具体的にはコバルト、マンガン、ニッケルまたはこれらの組み合わせの金属とリチウムとの複合酸化物のうちの1種以上のものを使用することができ、その具体的な例としては、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用することができる。Li
aA
1−bR
bD
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0≦b≦0.5である。);Li
aE
1−bR
bO
2−cD
c(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、および0≦c≦0.05である。);LiE
2−bR
bO
4−cD
c(上記式中、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である。);Li
aNi
1−b−cCo
bR
cD
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である。);Li
aNi
1−b−cCo
bR
cO
2−αZ
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である。);Li
aNi
1−b−cCo
bR
cO
2−αZ
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である。);Li
aNi
1−b−cMn
bR
cD
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α≦2である。);Li
aNi
1−b−cMn
bR
cO
2−αZ
α(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である。);Li
aNi
1−b−cMn
bR
cO
2−αZ
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05および0<α<2である。);Li
aNi
bE
cG
dO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5および0.001≦d≦0.1である。);Li
aNi
bCo
cMn
dGeO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5および0.001≦e≦0.1である。);Li
aNiG
bO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である。);Li
aCoG
bO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である。);Li
aMnG
bO
2(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である。);Li
aMn
2G
bO
4(上記式中、0.90≦a≦1.8および0.001≦b≦0.1である。);QO
2;QS
2;LiQS
2;V
2O
5;LiV
2O
5;LiTO
2;LiNiVO
4;Li
(3−f)J
2(PO
4)
3(0≦f≦2);Li
(3−f)Fe
2(PO
4)
3(0≦f≦2);およびLiFePO
4。
【0054】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mnまたはこれらの組み合わせであり;Rは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはこれらの組み合わせであり;Dは、O、F、S、Pまたはこれらの組み合わせであり;Eは、Co、Mnまたはこれらの組み合わせであり;Zは、F、S、Pまたはこれらの組み合わせであり;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、Vまたはこれらの組み合わせであり;Qは、Ti、Mo、Mnまたはこれらの組み合わせであり;Tは、Cr、V、Fe、Sc、Yまたはこれらの組み合わせであり;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cuまたはこれらの組み合わせである。
【0055】
当然のことながら、この化合物表面にコーティング層を有するものを使用することもでき、または前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用することもできる。前記コーティング層は、コーティング元素化合物であって、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートまたはコーティング元素のヒドロキシカーボネートを含むことができる。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法)などでコーティングすることができれば如何なるコーティング方法を用いてもよく、これについては当該技術分野においてよく理解され得る内容であるため、詳しい説明は省略する。
【0056】
前記正極活物質層はまた、バインダーおよび導電材を含む。
【0057】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレイテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0058】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを使用することができ、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上を混合して使用することができる。
【0059】
前記電流集電体としては、Alを使用することができるが、これに限定されない。
【0060】
前記負極と前記正極は、それぞれ活物質、導電材および結着剤を溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は当該技術分野において広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用することができるが、これに限定されない。
【0061】
前記電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0062】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を果たす。
【0063】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系または非陽子性溶媒を使用することができる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができ、前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、メチルプロピオン酸塩、エチルプロピオン酸塩、γ−ブチロラクトン、デカノライド、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトンなどを使用することができる。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを使用することができる。また前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非陽子性溶媒としては、R−CN(Rは、C2〜C20の直鎖状、分枝状または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類スルホラン類などを使用することができる。
【0064】
前記非水性有機溶媒は、単独でまたは一つ以上を混合して使用することができる。一つ以上を混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調節することができ、これは当該技術分野において広く理解され得る。
【0065】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合して使用することが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを約1:1〜約1:9の体積比で混合して使用することにより、優れた性能を有する電解液を得ることができる。
【0066】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に加えて、前記芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、約1:1〜約30:1の体積比で混合され得る。
【0067】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記化学式1の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0069】
前記化学式1中、R
1〜R
6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のハロアルキル基である。
【0070】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、1,2−ジフルオロトルエン、1,3−ジフルオロトルエン、1,4−ジフルオロトルエン、1,2,3−トリフルオロトルエン、1,2,4−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2−ジクロロトルエン、1,3−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロトルエン、1,2,4−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2−ジヨードトルエン、1,3−ジヨードトルエン、1,4−ジヨードトルエン、1,2,3−トリヨードトルエン、1,2,4−トリヨードトルエン、キシレンまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0071】
前記非水性電解質は、電池寿命を向上させるために、ビニレンカーボネートまたは下記化学式2のエチレンカーボネート系化合物をさらに含むこともできる。
【0073】
前記化学式2中、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO
2)またはC1〜C5のフルオロアルキル基であり、前記R
7とR
8のうちの少なくとも一つは、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO
2)またはC1〜C5のフルオロアルキル基である。
【0074】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。前記ビニレンカーボネートまたは前記エチレンカーボネート系化合物をさらに使用する場合、その使用量を適切に調節して寿命を向上させることができる。
【0075】
前記リチウム塩は、前記非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム2次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。前記リチウム塩の代表的な例としては、LiPF
6、LiBF
4、LiSbF
6、LiAsF
6、LiC
4F
9SO
3、LiClO
4、LiAlO
2、LiAlCl
4、LiN(C
xF
2x+1SO
2)(C
yF
2y+1SO
2)(ここで、xおよびyは自然数である)、LiCl、LiI、LiB(C
2O
4)
2(リチウムビスオキサラトボレート(lithium bis(oxalato) borate;LiBOB)またはこれらの組み合わせが挙げられ、これらを支持電解塩で含む。前記リチウム塩の濃度は、約0.1〜約2.0M範囲内で使用することが良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれる場合、電解質が適切な電導度および粘度を有するため、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0076】
前記セパレータ113は、負極112と正極114を分離し、リチウムイオンの移動通路を提供するもので、リチウム電池で通常使用されるものであればすべて使用可能である。具体的には、電解質のイオン移動に対して低抵抗であると共に、電解液含湿能力に優れたものが使用され得る。前記セパレータとしては、例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはこれらの調合物から選択されたものを使用することができ、前記セパレータは、不織布または織布形態であってよい。前記セパレータとしては、例えば、リチウムイオン電池にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系高分子セパレータが主に使用され、耐熱性または機械的強度確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータが使用され得る。また、前記セパレータは、選択的に単層または多層構造のものが使用され得る。
【実施例】
【0077】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。かかる下記実施例は本発明の一実施例に過ぎず、本発明は下記実施例に限定されない。
【0078】
〔実施例〕
〔実施例1〕:負極活物質の製造
直径25mmの炭素棒の中を掘って内部直径22mmの空洞を形成した後、Si粉末およびSiO
2粉末を2.5:1重量比で混合した混合粉末で前記空洞を満たして原料物質を準備した。前記原料物質をアーク放電器に装着し空気を取り除いて真空状態にした後にHeガスを満たした。
【0079】
アーク放電器に40Vで約300A電流を印加してアーク放電を発生させて作られたナノ粉末を収集した。
【0080】
〔実施例2〕:負極活物質の製造
炭素棒の中にSi粉末およびSiO
2粉末の含量比を2:1重量比に混合して使用した点を除いては、実施例1と同様にナノ粉末を収集した。
【0081】
〔実施例3〕:負極活物質の製造
炭素棒の中にSi粉末およびSiO
2粉末の含量比を1.5:1重量比に混合して使用した点を除いては、実施例1と同様にナノ粉末を収集した。
【0082】
〔実施例4〕:負極活物質の製造
炭素棒の中にSi粉末およびSiO
2粉末の含量比を1:1重量比に混合して使用した点を除いては、実施例1と同様にナノ粉末を収集した。
【0083】
図4は、前記実施例3で製造されたナノ粉末についてのSEM写真である。
【0084】
〔実施例5〜8〕:リチウム2次電池の製造
前記実施例1〜4で製造されたナノ粉末を負極活物質として使用して2016コイン型半電池(coin−type half cell)を製造した。負極は、活物質:導電材:バインダーを80:10:10重量比で溶媒中に混合して負極活物質組成物を製造し、この負極活物質組成物をCu箔電流集電体にコーティングして製造した。前記導電材としてはデンカブラック(Denka black)を使用し、バインダーとしてはPI(ポリイミド)を使用し、溶媒としてはNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を使用した。対極としてリチウム金属を使用し、
図1のような形態に中間にセパレーターを挿入して巻き取り、電池容器に挿入した後に電解液を注入し封止して電池を完成した。電解液としては、1MのLiFP
6が溶解されたEC(エチレンカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)=3/3/4(体積比)に、FEC(フッ化エチレンカーボネート)添加剤が5体積%添加されたものを使用した。
【0085】
(実験例1):X線回折分析(XRD)の測定
前記実施例1〜4で得られたナノ粉末、Si、SiCおよびグラファイトのそれぞれに対してX線回折分析(XRD)を施し、XRD測定結果を
図3に示した。
【0086】
前記X線回折実験時、CuKα線を用いたX線波長1.541Åを使用し、X線回折分析器としてはXPERT−PRO(Philips社)を使用した。
【0087】
Si、SiCおよびグラファイトのXRDピークと比較して、前記実施例1〜4で得られたナノ粉末がSi結晶、SiC結晶および結晶質炭素を含んでいることを確認することができた。
図3の結果から、Siピーク強度/(111)面でのSiCピーク強度を計算して下記表1に記載した。
【表1】
【0088】
(実験例2):元素含量の測定
元素の含量を分析のために、前記実施例1〜4で得られたナノ粉末に対してXRF(extreme rubber flat、蛍光X線分析装置)分析によりSi元素およびO元素に対するXRF分析グラフを得た。
図6および
図7は、それぞれSi元素およびO元素についてのXRF分析グラフである。前記X線蛍光分析実験時に使用される機器は、WD−XRF(Philips PW2400)である。
【0089】
図6および
図7に示された各グラフのシリコンおよび酸素に該当するピークの強度比を利用してスタンダードサンプルに対する補正曲線を利用してシリコンおよび酸素の含量を把握することができる。
【0090】
炭素含量は、炭素分析器(CS)を利用して分析を進行した。
【0091】
前記のように分析された実施例1〜4による負極活物質でシリコン元素、酸素元素および炭素元素の含量を下記表2に記載した。
【表2】
【0092】
(実験例3):容量および寿命特性の評価
前記実施例5〜8で製作した各リチウム2次電池に対して、負極活物質1g当たり100mAの電流で電圧が0.001V(vs.Li)に到達するまで充電し、再び同一な電流で電圧が3V(vs.Li)に到達するまで放電した。次に、同一な電流と電圧区間で充電および放電を50回繰り返した。
【0093】
各リチウム2次電池の1番目のサイクルでの放電容量、初期充放電効率および容量維持率を下記表3に示した。容量維持率は下記数式1で定義され、初期充放電効率は下記数式2で定義される。
【0094】
[数式1]
容量維持率[%]=[50番目のサイクルの放電容量/2番目のサイクルの放電容量]×100
[数式2]
初期充放電効率[%]=[1番目のサイクルの放電容量/1番目のサイクルの充電容量]×100
【表3】
【0095】
前記実施例5〜8の各リチウム2次電池は、放電容量、初期効率および容量維持率に非常に優れていた。
【0096】
図5は、前記実施例5〜8の各リチウム2次電池に対する充放電曲線である。前記実施例5〜8の各リチウム2次電池はすべて、その容量特性が優れていることを確認することができた。特に、実施例5および実施例6のリチウム2次電池が容量特性に非常に優れている。