【課題を解決するための手段】
【0009】
撮像対象物の形状が平面状である場合は、撮像対象物の表面が、撮像装置の光軸と垂直である場合が、像の歪みが無く、鮮明な像を得ることができる。
また、撮像装置には、被写界深度内に、撮像対象物を最も鮮明に撮像できる合焦面が位置しており、アラインメントマークが配置された位置が合焦面に近いほど、鮮明な像を得ることができる。
【0010】
本発明では、表面が平面状の較正マークを用いて、光軸の傾き角度と、合焦面の位置とを求めており、光軸の傾き角度を修正し、また、基板アラインメントマークとマスクアラインメントマークとが、合焦面の位置又は合焦面に近い位置に配置されるように調整しており、本発明は、筺体と、前記筺体に設けられ、マスクアラインメントマークが形成されたマスクが配置されるマスク配置部と、前記筺体に設けられ、基板アラインメントマークが形成された処理基板が前記マスク配置部に配置された前記マスクと対面するように配置される基板配置部と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記筺体に対して前記移動対象装置を移動させるアラインメント用移動装置と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを撮像し、アラインメント用撮像結果を求める撮像装置と、前記アラインメント用撮像結果が入力される制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記静止対象装置を前記筺体に対して静止させながら、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクの像と前記処理基板の像との間が所定の位置関係になるように、前記アラインメント用移動装置を動作させ、前記移動対象装置を移動させる位置合わせ装置であって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを相対的に移動させる較正用移動装置を有し、前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とが、前記白部を外側にして隣接した環状の第一の境界線と、前記白部と前記黒部とが前記白部を内側にして隣接した環状の第二の境界線とを有する角度較正マークが設けられた較正基板が前記静止対象装置に配置され、前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記角度較正マークが位置する平面である主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記角度較正マークを撮像して角度較正撮像結果を得る角度較正撮像手順と、前記角度較正撮像結果に含まれる、前記第一の境界線の像の中心である第一の中心点と、前記第二の境界線の像の中心である第二の中心点との間の離間距離と離間方向と、前記角度較正撮像手順での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記撮像装置の光軸と前記主配置面とが成す傾き角度と傾き方向とを求める角度算出手順、とが記憶された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記第一、第二の境界線のうち、少なくとも一方を位置較正マークとし、前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像手順と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像手順での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出手順とが記憶された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記第一、第二の境界線は、半径が異なる円形であり、同心円状に配置された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記第一の境界線の像の重心が前記第一の中心点にされ、前記第二の境界線の像の重心が前記第二の中心点にされる位置合わせ装置である。
また、本発明は上記いずれかの位置合わせ装置を有し、前記筺体には、内部に真空雰囲気が形成される真空槽が用いられ、前記マスク配置部と前記基板配置部とは、前記真空槽の内部に配置された真空装置である。
また、本発明は真空装置であって、前記真空槽の内部には成膜源が配置され、前記成膜源から放出された薄膜材料は、前記マスク配置部に配置された前記マスクの開口を通過して、前記基板配置部に配置された前記処理基板の表面に到達するように構成された真空装置である。
また、本発明は、マスクアラインメントマークが形成されたマスクをマスク配置部に配置し、基板アラインメントマークが形成された処理基板を基板配置部に配置する主配置工程と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、撮像装置によって撮像し、アラインメント用撮像結果を得る主撮像工程と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクアラインメントマークの像と前記基板アラインメントマークの像とが所定の相対的な位置関係になるように、前記静止対象装置に対して前記移動対象装置を移動させる位置合わせ工程と、を有するアラインメント方法であって、前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とが、前記白部を外側にして隣接した環状の第一の境界線と、前記白部と前記黒部とが前記白部を内側にして隣接した環状の第二の境界線とを有する角度較正マークが設けられた較正基板を前記静止対象装置に配置する角度較正配置工程と、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記角度較正マークが位置する平面である主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記角度較正マークを撮像して角度較正撮像結果を得る角度較正撮像工程と、前記角度較正撮像結果に含まれる、前記第一の境界線の像の中心である第一の中心点と、前記第二の境界線の像の中心である第二の中心点との間の離間距離と離間方向と、前記角度較正撮像工程での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記撮像装置の光軸と前記主配置面とが成す傾き角度と傾き方向とを求める角度算出工程と、を有し、前記位置合わせ工程の前に、前記角度算出工程で求めた前記傾き角度と前記傾き方向から、前記傾き角度が直角になるように、前記撮像装置と前記静止対象装置とを相対的に移動させる角度修正工程と、を有する位置合わせ方法である。
また、本発明は位置合わせ方法であって、前記第一、第二の境界線のうち、少なくとも一方を位置較正マークとし、前記角度修正工程の後、前記位置合わせ工程の前に、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像工程と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像工程での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動量及びその移動方向との関係から、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出工程と、前記距離算出工程で求めた前記位置関係から、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、被写界深度の範囲内に位置させる位置修正工程と、を有する位置合わせ方法である。
また、本発明は位置合わせ方法であって、前記第一、第二の境界線は、半径が異なる円形であり、同心円状に配置された位置合わせ方法である。
また、本発明は、筺体と、前記筺体に設けられ、マスクアラインメントマークが形成されたマスクが配置されるマスク配置部と、前記筐体内に配置され、基板アラインメントマークが形成された処理基板が前記マスク配置部に配置された前記マスクと対面するように配置される基板配置部と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記筐体に対して前記移動対象装置を移動させるアラインメント用移動装置と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを撮像し、アラインメント用撮像結果を求める撮像装置と、前記アラインメント用撮像結果が入力される制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記静止対象装置を前記筐体に対して静止させながら、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクの像と前記処理基板の像との間が所定の位置関係になるように前記アラインメント用移動装置を動作させ、前記移動対象装置を移動させる位置合わせ装置であって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを相対的に移動させる較正用移動装置を有し、前記撮像装置に光を入射させる白部と、入射させない黒部とのうち、隣接して位置する前記白部と前記黒部との環状の境界線を有する位置較正マークが設けられた較正基板が前記静止対象装置に配置され、前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記位置較正マークが位置する平面である副配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像手順と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像手順での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出手順とが記憶された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記位置較正マークの前記境界線は、円形にされた位置合わせ装置である。
また、本発明は上記いずれかの位置合わせ装置を有し、前記筺体には、内部に真空雰囲気が形成される真空槽が用いられ、前記マスク配置部と前記基板配置部とは、前記真空槽の内部に配置された真空装置である。
また、本発明は真空装置であって、前記真空槽内には成膜源が配置され、前記成膜源から放出された薄膜材料は、前記マスク配置部に配置された前記マスクの貫通孔を通過して、前記基板配置部に配置された前記処理基板の表面に到達するように構成された真空装置である。
また、本発明は、マスクアラインメントマークが形成されたマスクをマスク配置部に配置し、基板アラインメントマークが形成された処理基板を基板配置部に配置する主配置工程と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、撮像装置によって撮像し、アラインメント用撮像結果を得る主撮像工程と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクアラインメントマークの像と前記基板アラインメントマークの像とが所定の相対的な位置関係になるように、前記静止対象装置に対して前記移動対象装置を移動させる位置合わせ工程と、を有するアラインメント方法であって、前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とのうち、隣接する前記白部と前記黒部との境界線を有する位置較正マークが設けられた較正基板を前記静止対象装置に配置する副位置較正配置工程と、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記位置較正マークが位置する平面である副配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る副位置較正撮像工程と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記副位置較正撮像工程での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める副距離算出工程と、前記副距離算出工程で求めた前記位置関係から、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、被写界深度の範囲内に位置させる副位置修正工程と、を有する位置合わせ方法である。
【0011】
<合焦面の位置を求める原理>
以上の構成の本発明の動作原理を説明すると、先ず、
図6(a)、(b)を参照し、同図(a)、(b)の符合26a、26bは、較正マーク30a、30bを有する較正基板を示している。較正マーク30a、30bは、較正マーク30a、30bに照射された光を反射や透過させ、撮像装置に入射させる白部31a、32bと、反射、透過又は吸収によって撮像装置に入射させない黒部32a、31bとを有しており、隣接する白部31a、32bと黒部32a、31bとの間では、境界線6a、6bが形成されている。
【0012】
その境界線6a、6bには、白部31aが黒部32aを取り囲んだ環状の境界線6a(
図6(a))と、黒部31bが白部32bを取り囲んだ環状の境界線6b(
図6(b))とがあり、それら境界線6a、6bから成る較正マーク30a、30bが、被写界深度範囲の外部位置で撮像装置によって撮像された場合は、撮像結果中の較正マーク30a、30bの像では、白部31a、32bが膨潤して黒部32a、31bを浸食している。
【0013】
撮像装置に像が形成される較正マーク30a、30bの表面が位置する平面を配置面とすると、配置面が撮像装置の光軸(撮像装置の対物レンズの光軸、以下同じ。)に対して垂直であるときは、境界線6a、6bの像は、均一に膨潤しており、
図6(c)に示すように、外側が白部31aの境界線6aから成る較正マーク30aの像30a’は膨潤した部分7aだけ大きさが小さくなり、半径は膨潤前の半径r
aよりも小さくなる。他方、
図6(d)に示すように、内側が白部32bの境界線6bから成る較正マーク30bの像30b’では膨潤した部分7bの分だけ大きさが大きくなり、半径は、膨潤前の半径r
bよりも大きくなる。
【0014】
光軸と垂直な平面のうち、ピントが最も合う合焦面は、被写界深度の深さ方向のほぼ中央に位置しており、配置面(撮像装置に像が形成される較正マーク30a、30bの表面が位置する平面)が合焦面に位置するときには、撮像結果中の較正マーク30a、30bの像には、白部31a、32bは最も膨潤しない。
【0015】
撮像する較正マーク30a、30bが、合焦面よりも撮像装置側に位置する場合と、合焦面よりも撮像装置とは反対側に位置する場合の両方で膨潤が発生するが、撮像結果中の膨潤量は、配置面と合焦面との間の距離が大きくなるほど大きくなる。
【0016】
配置面が撮像装置の光軸に対して垂直であり、撮像装置と較正基板26a、26bとの間が、光軸に沿って相対移動できる場合に、合焦面の位置を原点として相対移動の距離を横軸にとり、撮像結果中の較正マーク30a、30bの像の半径を縦軸にとり、距離に対する半径の大きさのグラフを作成すると、外側が白部31aの境界線6aから成る較正マーク30aの像30a’では、
図5(a)に示すように原点の位置で半径が極大値となり、他方、内側が白部32bの境界線6bから成る較正マーク30bの像30b’では、
図5(b)に示すように、半径は原点の位置で極小値となる。
従って、較正基板26a、26bを光軸に沿った方向に移動させ、極値となったときの、撮像装置と配置面との間の位置関係を検出すれば、合焦面の位置が分かる。
【0017】
なお、較正マーク30a、30bの厚みは薄いので、較正マーク30a、30bの表面と、較正基板26a、26bの表面とを同じ面であるとすることもできる。
較正マーク30a、30bが、撮像装置の光軸と垂直な状態では、円形の較正マーク30a、30bの像は、膨潤しても円形であるから、較正マーク30a、30bの中心点5a、5bが光軸上に位置している場合は、較正マーク30a、30bが光軸に沿って移動しても、像中の中心点5a、5bの位置は移動しない。
しかし、配置面と光軸とが垂直ではないと、環状の境界線の中心は移動する。
【0018】
<傾き角度を求める原理>
図7(a)の符合30cは、二個の環状の境界線6
1、6
2から成る較正マークを示しており、境界線6
1、6
2は円形であり、同じ中心点5cを中心にして同心に配置されており、外側の境界線6
1で外周図形が形成され、その内側の境界線6
2で内周図形が形成されている。
【0019】
この較正マーク30cの表面が位置する平面も配置面とすると、
図8(a)の符合33
A、33
O、33
Bは配置面であり、各配置面33
A、33
O、33
Bは、撮像装置14の光軸3と垂直にされ、撮像装置14から異なる三箇所の距離の位置に配置されている。
【0020】
較正基板26cと撮像装置14の間は、較正基板26cの表面に垂直な方向である較正移動方向に相対的に移動するようにされており、ここでは、光軸3と較正移動方向とが平行にされているものとすると、この較正マーク30cが設けられた較正基板26cと、撮像装置14との間は、光軸3と平行な方向に相対移動する。
【0021】
ここで、
図8(a)に示された三個の較正基板26cのうち、中央位置の較正基板26cの配置面33
Oは、合焦面と一致するようにされているものとし、他の配置面33
A、33
Bは被写界深度の範囲外であり、合焦面よりも撮像装置14に近い位置と遠い位置にそれぞれ配置されているものとする。
【0022】
二個の同心状の境界線6
1、6
2のうち、一方の境界線6
1は外側に白部31cが位置し、内側に黒部32
1が位置し、黒部32
1を取り囲む図形が形成されており、他方の境界線6
2は内側に白部32
2が位置し、外側に黒部32
1が位置し、白部32
2を取り囲む図形が形成されている。
【0023】
二個の境界線6
1、6
2のうち、外側が白部31c、内側が黒部32
1の境界線6
1を、外側白の境界線6
1と呼び、内側が白部32
2、外側が黒部32
1の境界線6
2を、内側白の境界線6
2と呼ぶと、この較正マーク30cでは、内側白の境界線6
2が内側に位置し、外側白の境界線6
1が外側に位置しているが、その逆に配置した較正マークであってもよい。
【0024】
撮像装置14は、各配置面33
A、33
O、33
Bのうち、何れの配置面33
A、33
O、33
Bに位置する較正マーク30cも撮像できるようにされており、被写界深度の範囲外の配置面33
A、33
Bに位置する較正マーク30cを撮像すると、
図7(b)に示すように、撮像結果中の較正マーク30cの像30c’では、白部31c、32
2が膨潤し、外側白の境界線6
1の像の半径は、元の半径r
1よりも小さくなり、外側白の境界線6
1の像は、中心方向に移動しており、内側白の境界線6
2の像の半径は、元の半径r
2よりも大きくなり、内側白の境界線6
2の像は、放射方向外側に移動し、その結果、像30c’では黒部32
1の幅は、元の幅W
1よりも小さい幅W
2になる。
符合7
1は、外側白の境界線6
1が放射方向内側に移動したように見せる膨潤部分であり、符合7
2は、内側白の境界線6
2が放射方向外側に移動したように見せる膨潤部分である。
【0025】
なお、この較正マーク30cでは、配置面33
A、33
O、33
Bと光軸3とが垂直なので、白部31c、32
2は各境界線6
1、6
2の全周に亘ってそれぞれ均等に膨潤し、境界線6
1、6
2の像の同心は維持されるから、中心点5c’(
図7(b))は、合焦面に位置する較正マーク30cの像の中心点5c(
図7(a))と同じ位置に観察される。
【0026】
図8(a)、(b)では、較正基板26cと撮像装置14との間は、較正基板26cの表面に垂直な方向である較正移動方向に相対的に移動するようにされている。
図8(a)では、その移動方向は光軸3と平行な方向であり、
図8(b)の符合Tは、中心点5cを通り、移動方向と平行であって、較正マーク30cの表面と垂直な垂線を示しており、較正基板26cと撮像装置14との間の相対的な移動方向は垂線Tに沿った方向であり、垂線Tと光軸3とは平行ではなく、傾き角度θ(θ>0)で交差しているものとする。
【0027】
同図(b)の符合35は合焦面を示しており、同図(b)に示された三個の較正基板26cの配置面34
A、34、34
Bは、合焦面35と傾き角度θで交差しており、中央の配置面34を有する較正基板26cは、較正マーク30cの中心点5cが合焦面35に位置し、かつ、中心点5cが光軸3と交差するように配置されており、他の配置面34
A、34
Bに位置する較正マーク30cは、被写界深度の範囲外に位置し、中央の配置面34よりも撮像装置14に近い位置と遠い位置にそれぞ配置されているものとする。
【0028】
ここで、合焦面35に着目すると、撮像装置14が撮像できる空間は、合焦面35によって、撮像装置14側と、その反対側に分けることができ、中央位置の配置面34を有する較正基板26cの較正マーク30cの境界線6
1、6
2は、中心点5cが合焦面35に位置しており、その境界線6
1、6
2の半分(図中左側)は撮像装置14側に位置し、他の半分(図中右側)は反対側に位置している。
【0029】
垂線Tと光軸3とを含む平面は、外側白の境界線6
1と二箇所で交差し、また、内側白の境界線6
2とも二箇所で交差しており、境界線6
1、6
2の全周が、撮像装置14側、又は、その反対側に位置する時は、境界線6
1、6
2の中で、一方の交差点が合焦面35から最遠の位置となり、他方の交差点が最近の位置となる。
【0030】
撮像装置14で境界線6
1、6
2を撮像すると、
図9(b)の像30c’で示されるように、図面左右の交差点位置で、白部31c、32
2が最も膨潤して観察されており、一本の境界線6
1又は6
2の撮像装置14側の部分と反対側の部分とは、中心点5c(
図7(a))を中心とした回転対称の関係にあるから、一本の境界線6
1又は6
2では、左右二箇所の交差点と合焦面35との距離は等しく、膨潤量はほぼ同じであるから、像30c’の境界線6
1、6
2の中心(ここでは重心)は同じ位置にあるように観察される。
【0031】
次に、中心点5cが光軸3と交差する配置面34に境界線6
1、6
2が位置するときを移動前とし、境界線6
1、6
2の全周のうち、移動前に、撮像装置14側に位置する部分を撮像装置側部分とし、反対側に位置する部分を反対側部分とすると、移動して、境界線6
1、6
2の全周が撮像装置14側に位置するとき(較正マーク30cが撮像装置14に近い配置面34
Aに位置するとき)は、撮像装置側部分が反対側部分よりも合焦面35から遠方になり、境界線6
1、6
2の全周が反対側に位置するとき(較正マーク30cが撮像装置14に遠い配置面34
Bに位置するとき)は、反対側部分が撮像装置側部分よりも合焦面35から遠方になる。
【0032】
白部31c、32
2の膨潤量は、合焦面35との間の距離が大きくなると大きくなるため、一本の境界線6
1又は6
2のうち、二個の交差点は、一方が合焦面35から遠方になっている方の側の部分に位置し、他方が、遠方の部分よりも合焦面に近い部分に位置しているから、二個の交差点間では、膨潤量に相違が生じる。
【0033】
外側白の境界線6
1の像では、白部31cが膨潤した部分は、中心点5cに近接する方向に移動したように見え、内側白の境界線6
2の像では、白部32
2が膨潤した部分は、中心点5cから離間する方向に移動したように見える。
【0034】
この移動は、一方の交差点の像が左方に移動すると、中心点5cを中心にして、反対側の他方の交差点の像では右方に移動することになるから、一本の境界線6
1又は6
2の二個の交差点の像の移動方向は互いに逆向きになる。
一本の境界線6
1又は6
2の二個の交差点の移動量には差があるから、一本の境界線6
1又は6
2の全体は、移動量の大きな交差点の像の移動方向に移動して見えることになる。
【0035】
外側白の境界線6
1と内側白の境界線6
2とでは、移動方向は互いに逆向きになるから、中心点5cを光軸3が通るときは、外側白の境界線6
1の像の中心点と内側白の境界線6
2の像の中心点とは、同じ中心点5cに位置しているが、互いに逆向きに移動すると、外側白の境界線6
1の像の中心点9
1と内側白の境界線6
2の像の中心点9
2とは離間する。
【0036】
離間した中心点9
1、9
2間の距離は、膨潤量が大きくなると、大きくなる。
離間した中心点9
1、9
2の相対的な位置関係は、合焦面35に対する境界線6
1、6
2の相対的な位置関係によるから、傾き角度θと、傾き方向と、中心点9
1、9
2間の距離及び位置関係と、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置と、の関係を予め測定しておき、アラインメントを行う前に、中心点9
1、9
2間の距離及び移動方向を、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置に関連づけて測定すれば、傾き角度θの大きさと傾き方向を求めることができる。
【0037】
境界線6
1、6
2の像から、像中の境界線6
1、6
2の位置を特定するためには、撮像装置14で撮像したときの白部31c、32
2と黒部32
1との間の光量の相違から算出したり、像中の位置による光量の変化量の値から求めることもできる。
【0038】
撮像結果中で、白部31c、32
2の膨潤によって変形された境界線6
1、6
2の像の形状が決定されると、その形状の図形の重心を求めることができるので、その形状の重心を中心点9
1、9
2の位置として求められ、また、半径も求められる。
【0039】
合焦面35については、傾き角度θの大きさと傾き方向とを求め、撮像装置14又は較正基板26cを配置する装置(静止対象装置)のいずれか一方又は両方を移動させ、傾き角度θをゼロにすることができる。
その後、境界線6
1、6
2の少なくともいずれか一方の半径の大きさの極値を求めることで、合焦面35の位置や、撮像装置14の被写界深度の範囲と位置を求めることができる。