特許第6122711号(P6122711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6122711位置合わせ装置、真空装置、位置合わせ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122711
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】位置合わせ装置、真空装置、位置合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20170417BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20170417BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G01B11/26 H
   C23C14/24 G
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-135567(P2013-135567)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-10900(P2015-10900A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100102875
【弁理士】
【氏名又は名称】石島 茂男
(74)【代理人】
【識別番号】100106666
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 英樹
(72)【発明者】
【氏名】柴 智志
(72)【発明者】
【氏名】中尾 裕利
【審査官】 八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−300056(JP,A)
【文献】 特開2012−68188(JP,A)
【文献】 特開2001−359126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、
前記筺体に設けられ、マスクアラインメントマークが形成されたマスクが配置されるマスク配置部と、
前記筺体に設けられ、基板アラインメントマークが形成された処理基板が前記マスク配置部に配置された前記マスクと対面するように配置される基板配置部と、
前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記筺体に対して前記移動対象装置を移動させるアラインメント用移動装置と、
前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを撮像し、アラインメント用撮像結果を求める撮像装置と、
前記アラインメント用撮像結果が入力される制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記静止対象装置を前記筺体に対して静止させながら、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクの像と前記処理基板の像との間が所定の位置関係になるように、前記アラインメント用移動装置を動作させ、前記移動対象装置を移動させる位置合わせ装置であって、
前記静止対象装置と前記撮像装置とを相対的に移動させる較正用移動装置を有し、
前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とが、前記白部を外側にして隣接した環状の第一の境界線と、
前記白部と前記黒部とが前記白部を内側にして隣接した環状の第二の境界線とを有する角度較正マークが設けられた較正基板が前記静止対象装置に配置され、
前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記角度較正マークが位置する平面である主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記角度較正マークを撮像して角度較正撮像結果を得る角度較正撮像手順と、
前記角度較正撮像結果に含まれる、前記第一の境界線の像の中心である第一の中心点と、前記第二の境界線の像の中心である第二の中心点との間の離間距離と離間方向と、前記角度較正撮像手順での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記撮像装置の光軸と前記主配置面とが成す傾き角度と傾き方向とを求める角度算出手順、とが記憶された位置合わせ装置。
【請求項2】
前記第一、第二の境界線のうち、少なくとも一方を位置較正マークとし、
前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像手順と、
前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像手順での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出手順とが記憶された請求項1記載の位置合わせ装置。
【請求項3】
前記第一、第二の境界線は、半径が異なる円形であり、同心円状に配置された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の位置合わせ装置。
【請求項4】
前記第一の境界線の像の重心が前記第一の中心点にされ、
前記第二の境界線の像の重心が前記第二の中心点にされる請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の位置合わせ装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の位置合わせ装置を有し、
前記筺体には、内部に真空雰囲気が形成される真空槽が用いられ、
前記マスク配置部と前記基板配置部とは、前記真空槽の内部に配置された真空装置。
【請求項6】
前記真空槽の内部には成膜源が配置され、前記成膜源から放出された薄膜材料は、前記マスク配置部に配置された前記マスクの開口を通過して、前記基板配置部に配置された前記処理基板の表面に到達するように構成された請求項5記載の真空装置。
【請求項7】
マスクアラインメントマークが形成されたマスクをマスク配置部に配置し、基板アラインメントマークが形成された処理基板を基板配置部に配置する主配置工程と、
前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、撮像装置によって撮像し、アラインメント用撮像結果を得る主撮像工程と、
前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクアラインメントマークの像と前記基板アラインメントマークの像とが所定の相対的な位置関係になるように、前記静止対象装置に対して前記移動対象装置を移動させる位置合わせ工程と、
を有するアラインメント方法であって、
前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とが、前記白部を外側にして隣接した環状の第一の境界線と、
前記白部と前記黒部とが前記白部を内側にして隣接した環状の第二の境界線とを有する角度較正マークが設けられた較正基板を前記静止対象装置に配置する角度較正配置工程と、
前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記角度較正マークが位置する平面である主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記角度較正マークを撮像して角度較正撮像結果を得る角度較正撮像工程と、
前記角度較正撮像結果に含まれる、前記第一の境界線の像の中心である第一の中心点と、前記第二の境界線の像の中心である第二の中心点との間の離間距離と離間方向と、前記角度較正撮像工程での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記撮像装置の光軸と前記主配置面とが成す傾き角度と傾き方向とを求める角度算出工程と、
を有し、
前記位置合わせ工程の前に、前記角度算出工程で求めた前記傾き角度と前記傾き方向から、前記傾き角度が直角になるように、前記撮像装置と前記静止対象装置とを相対的に移動させる角度修正工程と、
を有する位置合わせ方法。
【請求項8】
前記第一、第二の境界線のうち、少なくとも一方を位置較正マークとし、
前記角度修正工程の後、前記位置合わせ工程の前に、
前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像工程と、
前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像工程での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動量及びその移動方向との関係から、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出工程と、
前記距離算出工程で求めた前記位置関係から、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、被写界深度の範囲内に位置させる位置修正工程と、
を有する請求項7記載の位置合わせ方法。
【請求項9】
前記第一、第二の境界線は、半径が異なる円形であり、同心円状に配置された請求項7又は請求項8のいずれか1項記載の位置合わせ方法。
【請求項10】
筺体と、
前記筺体に設けられ、マスクアラインメントマークが形成されたマスクが配置されるマスク配置部と、
前記筐体内に配置され、基板アラインメントマークが形成された処理基板が前記マスク配置部に配置された前記マスクと対面するように配置される基板配置部と、
前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記筐体に対して前記移動対象装置を移動させるアラインメント用移動装置と、
前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを撮像し、アラインメント用撮像結果を求める撮像装置と、
前記アラインメント用撮像結果が入力される制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記静止対象装置を前記筐体に対して静止させながら、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクの像と前記処理基板の像との間が所定の位置関係になるように前記アラインメント用移動装置を動作させ、前記移動対象装置を移動させる位置合わせ装置であって、
前記静止対象装置と前記撮像装置とを相対的に移動させる較正用移動装置を有し、
前記撮像装置に光を入射させる白部と、入射させない黒部とのうち、隣接して位置する前記白部と前記黒部との環状の境界線を有する位置較正マークが設けられた較正基板が前記静止対象装置に配置され、
前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記位置較正マークが位置する平面である副配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像手順と、
前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像手順での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出手順とが記憶された位置合わせ装置。
【請求項11】
前記位置較正マークの前記境界線は、円形にされた請求項10記載の位置合わせ装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11のいずれか1項記載の位置合わせ装置を有し、
前記筺体には、内部に真空雰囲気が形成される真空槽が用いられ、
前記マスク配置部と前記基板配置部とは、前記真空槽の内部に配置された真空装置。
【請求項13】
前記真空槽内には成膜源が配置され、前記成膜源から放出された薄膜材料は、前記マスク配置部に配置された前記マスクの貫通孔を通過して、前記基板配置部に配置された前記処理基板の表面に到達するように構成された請求項12記載の真空装置。
【請求項14】
マスクアラインメントマークが形成されたマスクをマスク配置部に配置し、基板アラインメントマークが形成された処理基板を基板配置部に配置する主配置工程と、
前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、撮像装置によって撮像し、アラインメント用撮像結果を得る主撮像工程と、
前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクアラインメントマークの像と前記基板アラインメントマークの像とが所定の相対的な位置関係になるように、前記静止対象装置に対して前記移動対象装置を移動させる位置合わせ工程と、
を有するアラインメント方法であって、
前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とのうち、隣接する前記白部と前記黒部との境界線を有する位置較正マークが設けられた較正基板を前記静止対象装置に配置する副位置較正配置工程と、
前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記位置較正マークが位置する平面である副配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る副位置較正撮像工程と、
前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記副位置較正撮像工程での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める副距離算出工程と、
前記副距離算出工程で求めた前記位置関係から、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、被写界深度の範囲内に位置させる副位置修正工程と、
を有する位置合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラインメント技術に関し、特に、アラインメントマークを鮮明に撮像するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面にパターニングされた薄膜を形成する方法には、基板の全面に薄膜を均一に形成した後、表面にレジスト膜を形成し、レジスト膜の開口下に露出する薄膜をエッチング除去して所望パターンの薄膜を得る方法(エッチング法)と、基板表面に所定パターンの貫通孔が形成されたシャドウマスクを配置し、成膜材料の微小粒子に貫通孔を通過させ、貫通孔のパターンに従った薄膜を得る方法(シャドウマスク法)と、成膜材料の液滴を吐出し、基板の所望位置に着弾させてパターニングされた薄膜を得る方式(インクジェット法)等がある。
【0003】
シャドウマスク法では、シャドウマスクのメンテナンスが必要であるが、エッチング工程が不要であることから、特に、エッチング液によって表面がダメージを受ける基板に適している。
シャドウマスク法では、形成するパターンの精度は、130ppi(pixel per inch)が限界と言われているが、近年のモバイルディスプレイに使用される有機ELディスプレイでは、300〜400ppi以上の高精細化が求められており、基板とシャドウマスクとの位置合わせ精度は、1μm以内にすることが必要になっている。
【0004】
ところで、基板とシャドウマスクとを位置合わせする際には、アラインメントパターンで反射された光を撮像装置に入射させ、撮像装置内部のレンズ装置で光学処理をし、拡大像を撮像装置上に結像させており、電気信号に変換された撮像結果が、コンピュータによって解析され、基板とシャドウマスクとが所定の位置関係に成るように移動される。
【0005】
一般に、レンズ装置では、レンズ装置の被写界深度の範囲(深度範囲)内に位置している撮像対象物に合焦し、鮮明な像を得ることができ、像の境界がくっきりしていることから、高精度の位置合わせを行うことができる。
【0006】
しかしながら、位置合わせの際には基板とシャドウマスクとを相対的に移動させるため、基板上のアラインメントマークとシャドウマスク上のアラインメントマークとは、被写界深度の深さ方向に離間しており、両方のアラインメントマークを被写界深度の範囲内に配置することが困難である。従って、鮮明な像を得ることができず、正確な位置合わせをすることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−306761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決する発明であり、鮮明な画像が得られる位置を求め、正確な位置合わせができる技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
撮像対象物の形状が平面状である場合は、撮像対象物の表面が、撮像装置の光軸と垂直である場合が、像の歪みが無く、鮮明な像を得ることができる。
また、撮像装置には、被写界深度内に、撮像対象物を最も鮮明に撮像できる合焦面が位置しており、アラインメントマークが配置された位置が合焦面に近いほど、鮮明な像を得ることができる。
【0010】
本発明では、表面が平面状の較正マークを用いて、光軸の傾き角度と、合焦面の位置とを求めており、光軸の傾き角度を修正し、また、基板アラインメントマークとマスクアラインメントマークとが、合焦面の位置又は合焦面に近い位置に配置されるように調整しており、本発明は、筺体と、前記筺体に設けられ、マスクアラインメントマークが形成されたマスクが配置されるマスク配置部と、前記筺体に設けられ、基板アラインメントマークが形成された処理基板が前記マスク配置部に配置された前記マスクと対面するように配置される基板配置部と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記筺体に対して前記移動対象装置を移動させるアラインメント用移動装置と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを撮像し、アラインメント用撮像結果を求める撮像装置と、前記アラインメント用撮像結果が入力される制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記静止対象装置を前記筺体に対して静止させながら、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクの像と前記処理基板の像との間が所定の位置関係になるように、前記アラインメント用移動装置を動作させ、前記移動対象装置を移動させる位置合わせ装置であって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを相対的に移動させる較正用移動装置を有し、前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とが、前記白部を外側にして隣接した環状の第一の境界線と、前記白部と前記黒部とが前記白部を内側にして隣接した環状の第二の境界線とを有する角度較正マークが設けられた較正基板が前記静止対象装置に配置され、前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記角度較正マークが位置する平面である主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記角度較正マークを撮像して角度較正撮像結果を得る角度較正撮像手順と、前記角度較正撮像結果に含まれる、前記第一の境界線の像の中心である第一の中心点と、前記第二の境界線の像の中心である第二の中心点との間の離間距離と離間方向と、前記角度較正撮像手順での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記撮像装置の光軸と前記主配置面とが成す傾き角度と傾き方向とを求める角度算出手順、とが記憶された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記第一、第二の境界線のうち、少なくとも一方を位置較正マークとし、前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像手順と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像手順での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出手順とが記憶された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記第一、第二の境界線は、半径が異なる円形であり、同心円状に配置された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記第一の境界線の像の重心が前記第一の中心点にされ、前記第二の境界線の像の重心が前記第二の中心点にされる位置合わせ装置である。
また、本発明は上記いずれかの位置合わせ装置を有し、前記筺体には、内部に真空雰囲気が形成される真空槽が用いられ、前記マスク配置部と前記基板配置部とは、前記真空槽の内部に配置された真空装置である。
また、本発明は真空装置であって、前記真空槽の内部には成膜源が配置され、前記成膜源から放出された薄膜材料は、前記マスク配置部に配置された前記マスクの開口を通過して、前記基板配置部に配置された前記処理基板の表面に到達するように構成された真空装置である。
また、本発明は、マスクアラインメントマークが形成されたマスクをマスク配置部に配置し、基板アラインメントマークが形成された処理基板を基板配置部に配置する主配置工程と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、撮像装置によって撮像し、アラインメント用撮像結果を得る主撮像工程と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクアラインメントマークの像と前記基板アラインメントマークの像とが所定の相対的な位置関係になるように、前記静止対象装置に対して前記移動対象装置を移動させる位置合わせ工程と、を有するアラインメント方法であって、前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とが、前記白部を外側にして隣接した環状の第一の境界線と、前記白部と前記黒部とが前記白部を内側にして隣接した環状の第二の境界線とを有する角度較正マークが設けられた較正基板を前記静止対象装置に配置する角度較正配置工程と、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記角度較正マークが位置する平面である主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記角度較正マークを撮像して角度較正撮像結果を得る角度較正撮像工程と、前記角度較正撮像結果に含まれる、前記第一の境界線の像の中心である第一の中心点と、前記第二の境界線の像の中心である第二の中心点との間の離間距離と離間方向と、前記角度較正撮像工程での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記撮像装置の光軸と前記主配置面とが成す傾き角度と傾き方向とを求める角度算出工程と、を有し、前記位置合わせ工程の前に、前記角度算出工程で求めた前記傾き角度と前記傾き方向から、前記傾き角度が直角になるように、前記撮像装置と前記静止対象装置とを相対的に移動させる角度修正工程と、を有する位置合わせ方法である。
また、本発明は位置合わせ方法であって、前記第一、第二の境界線のうち、少なくとも一方を位置較正マークとし、前記角度修正工程の後、前記位置合わせ工程の前に、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記主配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像工程と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像工程での前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動量及びその移動方向との関係から、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出工程と、前記距離算出工程で求めた前記位置関係から、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、被写界深度の範囲内に位置させる位置修正工程と、を有する位置合わせ方法である。
また、本発明は位置合わせ方法であって、前記第一、第二の境界線は、半径が異なる円形であり、同心円状に配置された位置合わせ方法である。
また、本発明は、筺体と、前記筺体に設けられ、マスクアラインメントマークが形成されたマスクが配置されるマスク配置部と、前記筐体内に配置され、基板アラインメントマークが形成された処理基板が前記マスク配置部に配置された前記マスクと対面するように配置される基板配置部と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記筐体に対して前記移動対象装置を移動させるアラインメント用移動装置と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを撮像し、アラインメント用撮像結果を求める撮像装置と、前記アラインメント用撮像結果が入力される制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記静止対象装置を前記筐体に対して静止させながら、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクの像と前記処理基板の像との間が所定の位置関係になるように前記アラインメント用移動装置を動作させ、前記移動対象装置を移動させる位置合わせ装置であって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを相対的に移動させる較正用移動装置を有し、前記撮像装置に光を入射させる白部と、入射させない黒部とのうち、隣接して位置する前記白部と前記黒部との環状の境界線を有する位置較正マークが設けられた較正基板が前記静止対象装置に配置され、前記制御装置には、前記較正用移動装置によって、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記位置較正マークが位置する平面である副配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る位置較正撮像手順と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記位置較正撮像手順での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める距離算出手順とが記憶された位置合わせ装置である。
また、本発明は位置合わせ装置であって、前記位置較正マークの前記境界線は、円形にされた位置合わせ装置である。
また、本発明は上記いずれかの位置合わせ装置を有し、前記筺体には、内部に真空雰囲気が形成される真空槽が用いられ、前記マスク配置部と前記基板配置部とは、前記真空槽の内部に配置された真空装置である。
また、本発明は真空装置であって、前記真空槽内には成膜源が配置され、前記成膜源から放出された薄膜材料は、前記マスク配置部に配置された前記マスクの貫通孔を通過して、前記基板配置部に配置された前記処理基板の表面に到達するように構成された真空装置である。
また、本発明は、マスクアラインメントマークが形成されたマスクをマスク配置部に配置し、基板アラインメントマークが形成された処理基板を基板配置部に配置する主配置工程と、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、撮像装置によって撮像し、アラインメント用撮像結果を得る主撮像工程と、前記マスク配置部と前記基板配置部とのうち、一方を移動対象装置とし、他方を静止対象装置とすると、前記アラインメント用撮像結果から、前記マスクアラインメントマークの像と前記基板アラインメントマークの像とが所定の相対的な位置関係になるように、前記静止対象装置に対して前記移動対象装置を移動させる位置合わせ工程と、を有するアラインメント方法であって、前記撮像装置に光を入射させる白部と入射させない黒部とのうち、隣接する前記白部と前記黒部との境界線を有する位置較正マークが設けられた較正基板を前記静止対象装置に配置する副位置較正配置工程と、前記静止対象装置と前記撮像装置とを、前記位置較正マークが位置する平面である副配置面に対して垂直な方向に相対的に移動させながら、前記撮像装置によって前記位置較正マークを撮像して位置較正撮像結果を得る副位置較正撮像工程と、前記位置較正撮像結果に含まれる前記位置較正マークの像の大きさと、前記副位置較正撮像工程での、前記静止対象装置と前記撮像装置との相対的な移動距離と移動方向とから、前記位置較正マークの像の大きさが極値になるときの、前記静止対象装置と前記撮像装置との間の相対的な位置関係を求める副距離算出工程と、前記副距離算出工程で求めた前記位置関係から、前記マスク配置部に配置された前記マスクの前記マスクアラインメントマークと、前記基板配置部に配置された前記処理基板の前記基板アラインメントマークとを、被写界深度の範囲内に位置させる副位置修正工程と、を有する位置合わせ方法である。
【0011】
<合焦面の位置を求める原理>
以上の構成の本発明の動作原理を説明すると、先ず、図6(a)、(b)を参照し、同図(a)、(b)の符合26a、26bは、較正マーク30a、30bを有する較正基板を示している。較正マーク30a、30bは、較正マーク30a、30bに照射された光を反射や透過させ、撮像装置に入射させる白部31a、32bと、反射、透過又は吸収によって撮像装置に入射させない黒部32a、31bとを有しており、隣接する白部31a、32bと黒部32a、31bとの間では、境界線6a、6bが形成されている。
【0012】
その境界線6a、6bには、白部31aが黒部32aを取り囲んだ環状の境界線6a(図6(a))と、黒部31bが白部32bを取り囲んだ環状の境界線6b(図6(b))とがあり、それら境界線6a、6bから成る較正マーク30a、30bが、被写界深度範囲の外部位置で撮像装置によって撮像された場合は、撮像結果中の較正マーク30a、30bの像では、白部31a、32bが膨潤して黒部32a、31bを浸食している。
【0013】
撮像装置に像が形成される較正マーク30a、30bの表面が位置する平面を配置面とすると、配置面が撮像装置の光軸(撮像装置の対物レンズの光軸、以下同じ。)に対して垂直であるときは、境界線6a、6bの像は、均一に膨潤しており、図6(c)に示すように、外側が白部31aの境界線6aから成る較正マーク30aの像30a’は膨潤した部分7aだけ大きさが小さくなり、半径は膨潤前の半径raよりも小さくなる。他方、図6(d)に示すように、内側が白部32bの境界線6bから成る較正マーク30bの像30b’では膨潤した部分7bの分だけ大きさが大きくなり、半径は、膨潤前の半径rbよりも大きくなる。
【0014】
光軸と垂直な平面のうち、ピントが最も合う合焦面は、被写界深度の深さ方向のほぼ中央に位置しており、配置面(撮像装置に像が形成される較正マーク30a、30bの表面が位置する平面)が合焦面に位置するときには、撮像結果中の較正マーク30a、30bの像には、白部31a、32bは最も膨潤しない。
【0015】
撮像する較正マーク30a、30bが、合焦面よりも撮像装置側に位置する場合と、合焦面よりも撮像装置とは反対側に位置する場合の両方で膨潤が発生するが、撮像結果中の膨潤量は、配置面と合焦面との間の距離が大きくなるほど大きくなる。
【0016】
配置面が撮像装置の光軸に対して垂直であり、撮像装置と較正基板26a、26bとの間が、光軸に沿って相対移動できる場合に、合焦面の位置を原点として相対移動の距離を横軸にとり、撮像結果中の較正マーク30a、30bの像の半径を縦軸にとり、距離に対する半径の大きさのグラフを作成すると、外側が白部31aの境界線6aから成る較正マーク30aの像30a’では、図5(a)に示すように原点の位置で半径が極大値となり、他方、内側が白部32bの境界線6bから成る較正マーク30bの像30b’では、図5(b)に示すように、半径は原点の位置で極小値となる。
従って、較正基板26a、26bを光軸に沿った方向に移動させ、極値となったときの、撮像装置と配置面との間の位置関係を検出すれば、合焦面の位置が分かる。
【0017】
なお、較正マーク30a、30bの厚みは薄いので、較正マーク30a、30bの表面と、較正基板26a、26bの表面とを同じ面であるとすることもできる。
較正マーク30a、30bが、撮像装置の光軸と垂直な状態では、円形の較正マーク30a、30bの像は、膨潤しても円形であるから、較正マーク30a、30bの中心点5a、5bが光軸上に位置している場合は、較正マーク30a、30bが光軸に沿って移動しても、像中の中心点5a、5bの位置は移動しない。
しかし、配置面と光軸とが垂直ではないと、環状の境界線の中心は移動する。
【0018】
<傾き角度を求める原理>
図7(a)の符合30cは、二個の環状の境界線61、62から成る較正マークを示しており、境界線61、62は円形であり、同じ中心点5cを中心にして同心に配置されており、外側の境界線61で外周図形が形成され、その内側の境界線62で内周図形が形成されている。
【0019】
この較正マーク30cの表面が位置する平面も配置面とすると、図8(a)の符合33A、33O、33Bは配置面であり、各配置面33A、33O、33Bは、撮像装置14の光軸3と垂直にされ、撮像装置14から異なる三箇所の距離の位置に配置されている。
【0020】
較正基板26cと撮像装置14の間は、較正基板26cの表面に垂直な方向である較正移動方向に相対的に移動するようにされており、ここでは、光軸3と較正移動方向とが平行にされているものとすると、この較正マーク30cが設けられた較正基板26cと、撮像装置14との間は、光軸3と平行な方向に相対移動する。
【0021】
ここで、図8(a)に示された三個の較正基板26cのうち、中央位置の較正基板26cの配置面33Oは、合焦面と一致するようにされているものとし、他の配置面33A、33Bは被写界深度の範囲外であり、合焦面よりも撮像装置14に近い位置と遠い位置にそれぞれ配置されているものとする。
【0022】
二個の同心状の境界線61、62のうち、一方の境界線61は外側に白部31cが位置し、内側に黒部321が位置し、黒部321を取り囲む図形が形成されており、他方の境界線62は内側に白部322が位置し、外側に黒部321が位置し、白部322を取り囲む図形が形成されている。
【0023】
二個の境界線61、62のうち、外側が白部31c、内側が黒部321の境界線61を、外側白の境界線61と呼び、内側が白部322、外側が黒部321の境界線62を、内側白の境界線62と呼ぶと、この較正マーク30cでは、内側白の境界線62が内側に位置し、外側白の境界線61が外側に位置しているが、その逆に配置した較正マークであってもよい。
【0024】
撮像装置14は、各配置面33A、33O、33Bのうち、何れの配置面33A、33O、33Bに位置する較正マーク30cも撮像できるようにされており、被写界深度の範囲外の配置面33A、33Bに位置する較正マーク30cを撮像すると、図7(b)に示すように、撮像結果中の較正マーク30cの像30c’では、白部31c、322が膨潤し、外側白の境界線61の像の半径は、元の半径r1よりも小さくなり、外側白の境界線61の像は、中心方向に移動しており、内側白の境界線62の像の半径は、元の半径r2よりも大きくなり、内側白の境界線62の像は、放射方向外側に移動し、その結果、像30c’では黒部321の幅は、元の幅W1よりも小さい幅W2になる。
符合71は、外側白の境界線61が放射方向内側に移動したように見せる膨潤部分であり、符合72は、内側白の境界線62が放射方向外側に移動したように見せる膨潤部分である。
【0025】
なお、この較正マーク30cでは、配置面33A、33O、33Bと光軸3とが垂直なので、白部31c、322は各境界線61、62の全周に亘ってそれぞれ均等に膨潤し、境界線61、62の像の同心は維持されるから、中心点5c’(図7(b))は、合焦面に位置する較正マーク30cの像の中心点5c(図7(a))と同じ位置に観察される。
【0026】
図8(a)、(b)では、較正基板26cと撮像装置14との間は、較正基板26cの表面に垂直な方向である較正移動方向に相対的に移動するようにされている。図8(a)では、その移動方向は光軸3と平行な方向であり、図8(b)の符合Tは、中心点5cを通り、移動方向と平行であって、較正マーク30cの表面と垂直な垂線を示しており、較正基板26cと撮像装置14との間の相対的な移動方向は垂線Tに沿った方向であり、垂線Tと光軸3とは平行ではなく、傾き角度θ(θ>0)で交差しているものとする。
【0027】
同図(b)の符合35は合焦面を示しており、同図(b)に示された三個の較正基板26cの配置面34A、34、34Bは、合焦面35と傾き角度θで交差しており、中央の配置面34を有する較正基板26cは、較正マーク30cの中心点5cが合焦面35に位置し、かつ、中心点5cが光軸3と交差するように配置されており、他の配置面34A、34Bに位置する較正マーク30cは、被写界深度の範囲外に位置し、中央の配置面34よりも撮像装置14に近い位置と遠い位置にそれぞ配置されているものとする。
【0028】
ここで、合焦面35に着目すると、撮像装置14が撮像できる空間は、合焦面35によって、撮像装置14側と、その反対側に分けることができ、中央位置の配置面34を有する較正基板26cの較正マーク30cの境界線61、62は、中心点5cが合焦面35に位置しており、その境界線61、62の半分(図中左側)は撮像装置14側に位置し、他の半分(図中右側)は反対側に位置している。
【0029】
垂線Tと光軸3とを含む平面は、外側白の境界線61と二箇所で交差し、また、内側白の境界線62とも二箇所で交差しており、境界線61、62の全周が、撮像装置14側、又は、その反対側に位置する時は、境界線61、62の中で、一方の交差点が合焦面35から最遠の位置となり、他方の交差点が最近の位置となる。
【0030】
撮像装置14で境界線61、62を撮像すると、図9(b)の像30c’で示されるように、図面左右の交差点位置で、白部31c、322が最も膨潤して観察されており、一本の境界線61又は62の撮像装置14側の部分と反対側の部分とは、中心点5c(図7(a))を中心とした回転対称の関係にあるから、一本の境界線61又は62では、左右二箇所の交差点と合焦面35との距離は等しく、膨潤量はほぼ同じであるから、像30c’の境界線61、62の中心(ここでは重心)は同じ位置にあるように観察される。
【0031】
次に、中心点5cが光軸3と交差する配置面34に境界線61、62が位置するときを移動前とし、境界線61、62の全周のうち、移動前に、撮像装置14側に位置する部分を撮像装置側部分とし、反対側に位置する部分を反対側部分とすると、移動して、境界線61、62の全周が撮像装置14側に位置するとき(較正マーク30cが撮像装置14に近い配置面34Aに位置するとき)は、撮像装置側部分が反対側部分よりも合焦面35から遠方になり、境界線61、62の全周が反対側に位置するとき(較正マーク30cが撮像装置14に遠い配置面34Bに位置するとき)は、反対側部分が撮像装置側部分よりも合焦面35から遠方になる。
【0032】
白部31c、322の膨潤量は、合焦面35との間の距離が大きくなると大きくなるため、一本の境界線61又は62のうち、二個の交差点は、一方が合焦面35から遠方になっている方の側の部分に位置し、他方が、遠方の部分よりも合焦面に近い部分に位置しているから、二個の交差点間では、膨潤量に相違が生じる。
【0033】
外側白の境界線61の像では、白部31cが膨潤した部分は、中心点5cに近接する方向に移動したように見え、内側白の境界線62の像では、白部322が膨潤した部分は、中心点5cから離間する方向に移動したように見える。
【0034】
この移動は、一方の交差点の像が左方に移動すると、中心点5cを中心にして、反対側の他方の交差点の像では右方に移動することになるから、一本の境界線61又は62の二個の交差点の像の移動方向は互いに逆向きになる。
一本の境界線61又は62の二個の交差点の移動量には差があるから、一本の境界線61又は62の全体は、移動量の大きな交差点の像の移動方向に移動して見えることになる。
【0035】
外側白の境界線61と内側白の境界線62とでは、移動方向は互いに逆向きになるから、中心点5cを光軸3が通るときは、外側白の境界線61の像の中心点と内側白の境界線62の像の中心点とは、同じ中心点5cに位置しているが、互いに逆向きに移動すると、外側白の境界線61の像の中心点91と内側白の境界線62の像の中心点92とは離間する。
【0036】
離間した中心点91、92間の距離は、膨潤量が大きくなると、大きくなる。
離間した中心点91、92の相対的な位置関係は、合焦面35に対する境界線61、62の相対的な位置関係によるから、傾き角度θと、傾き方向と、中心点91、92間の距離及び位置関係と、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置と、の関係を予め測定しておき、アラインメントを行う前に、中心点91、92間の距離及び移動方向を、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置に関連づけて測定すれば、傾き角度θの大きさと傾き方向を求めることができる。
【0037】
境界線61、62の像から、像中の境界線61、62の位置を特定するためには、撮像装置14で撮像したときの白部31c、322と黒部321との間の光量の相違から算出したり、像中の位置による光量の変化量の値から求めることもできる。
【0038】
撮像結果中で、白部31c、322の膨潤によって変形された境界線61、62の像の形状が決定されると、その形状の図形の重心を求めることができるので、その形状の重心を中心点91、92の位置として求められ、また、半径も求められる。
【0039】
合焦面35については、傾き角度θの大きさと傾き方向とを求め、撮像装置14又は較正基板26cを配置する装置(静止対象装置)のいずれか一方又は両方を移動させ、傾き角度θをゼロにすることができる。
その後、境界線61、62の少なくともいずれか一方の半径の大きさの極値を求めることで、合焦面35の位置や、撮像装置14の被写界深度の範囲と位置を求めることができる。
【発明の効果】
【0040】
静止対象装置の移動方向と、光軸の移動方向との間の傾き角度をゼロにすることができるので、像の歪みを無くすことができる。
合焦面の位置を求めることができるので、処理基板とマスクとを被写界深度の範囲内に配置して位置合わせを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の真空装置の一例
図2】その真空装置に較正基板を配置した状態
図3】(a):その真空装置にマスクと処理基板とを配置した状態 (b):マスクと処理基板とを位置合わせしている状態 (c):処理基板に薄膜を成長させている状態
図4】マスクアラインメントマークと基板アラインメントマークの付近の拡大図
図5】(a):外側白の円形の境界線の合焦面からの距離と半径の関係を示すグラフ (b):内側白の円形の境界線の合焦面からの距離と半径の関係を示すグラフ
図6】(a):外側白の円形の境界線から成る較正マーク (b):内側白の円形の境界線から成る較正マーク (c):外側白の較正マークの像 (d):内側白の較正マークの像
図7】(a):同心の二個の境界線から成る較正マーク (b)その較正マークの像
図8】(a):光軸と垂直な較正マークを撮像装置で撮像する状態 (b):光軸に対して垂直でない較正マークを撮像装置で撮像する状態
図9】光軸に対して垂直でない較正マークを撮像した像であって、(a):合焦面よりも撮像装置に近い状態で撮像 (b):中心点が合焦面に位置する状態で撮像 (c):合焦面よりも撮像装置から遠い状態で撮像
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1の符合10は、本発明の第一例の真空装置を示しており、真空槽11を有している。真空槽11の内部には、基板配置部23と、マスク配置部25とが配置されている。
基板配置部23の上方に位置する真空槽11の天井には、挿入孔12が複数個設けられており、各挿入孔12は、それぞれベロウズ装置18で覆われ、気密にされて、挿入孔12を通って大気が真空槽11の内部に浸入しないようにされてている。
【0043】
各ベロウズ装置18には、上端が真空槽11の外部に位置し、下端が真空槽11の内部に位置するように、支持棒17が一本ずつ気密に挿入されている。真空槽11の外部雰囲気と真空槽11の内部雰囲気とは、ベロウズ装置18によって分離されている。
【0044】
各ベロウズ装置18は、金属製の底板と、底板上に設けられた金属製の伸縮部(ベロウズ)で構成されており、ベロウズ装置18の底板には、一端と他端が真空槽11の外側と内側に位置するように、支持棒17が底板に取り付けられており、支持棒17の下部は、挿入孔12に挿入されており、基板配置部23は、支持棒17の真空槽11内に位置する下端に設けられている。
【0045】
真空槽11の底面には、マスク支持体24が立設されており、マスク配置部25は、各マスク支持体24の上端に設けられている。
この真空装置10は成膜装置であり、真空槽11の内部には成膜源16が配置されている。ここでは、成膜源16は、真空槽11の底面側に配置されており、成膜源16よりも上方の位置に基板配置部23が配置され、成膜源16と基板配置部23との間の高さに、マスク配置部25が位置するようにされている。図1の状態では、基板配置部23は、マスク配置部25よりも上方位置で真空槽11に対して静止されている。
【0046】
この真空装置10では、マスク配置部25と基板配置部23のうち、一方を静止対象装置にし、他方を移動対象装置にして、静止対象装置に対して移動対象装置を移動させるようにされている。
【0047】
真空槽11の外部には、アラインメント用移動装置21が配置されており、各支持棒17は、アラインメント用移動装置21により、ベロウズ装置18を伸縮又は変形させながら、上下方向への移動と、水平面内での移動とができるように構成されている。
【0048】
アラインメント用移動装置21は、制御装置20に接続され、制御装置20によって動作を制御されており、制御装置20から入力される信号に従って、支持棒17を移動させる。
他方、マスク配置部25は、成膜源16よりも上方位置で静止されており、従って、マスク配置部25が静止対象装置にされ、基板配置部23が移動対象装置にされている。
【0049】
次に、真空槽11の天井には、透明なガラスで封止された観察窓13が気密に設けられており、真空槽11の天井上に配置された撮像装置14によって、観察窓13を介して、真空槽11の内部を撮像できるようになっている。
【0050】
真空槽11には真空排気装置29が接続されており、真空装置10で真空処理を行う際には、真空排気装置29を動作させ、真空槽11の内部を真空排気し、真空槽11の内部に真空雰囲気を形成する。
真空槽11の内部には、真空雰囲気の形成前に、又は形成後に、マスクを搬入し、マスク配置部25上に配置し、真空雰囲気にされた真空槽11の内部に処理基板を搬入し、基板配置部23上に配置する。
【0051】
図3(a)の符合28は、マスク配置部25の上に配置されたマスクを示しており、符合27は、基板配置部23上に配置された処理基板を示している。
マスク28と処理基板27とは、マスク配置部25と基板配置部23とによって、周辺部分がそれぞれ支持されており、処理基板27は成膜源16の上方に配置され、マスク28は、成膜源16と処理基板27との間に配置されている。
【0052】
図4は、マスク28と処理基板27との部分拡大図であり、処理基板27は、ガラス板等の透明な基板本体46の表面に、遮光材料によって形成された遮光部48と、遮光部48が形成されていない部分である透光部47とが所定パターンに配置されており、処理基板27と光軸3とが交差する部分を含む位置に、遮光部48と透光部47とが所定パターンに配置された基板アラインメントマーク45が、四角形状の基板本体46の離間した二箇所以上の位置に、それぞれ形成されている。
【0053】
マスク28は、成膜材料の微粒子等を遮断する金属薄板等のマスク本体42と、マスク本体42に形成され、成膜材料の微粒子等を通過させる貫通孔43とを有しており、入射する光を反射するマスク本体42の表面には、遮光材料から成る薄膜部44が所定パターンで配置されており、薄膜部44と、薄膜部44の周囲に露出するマスク本体42の表面とで、マスクアラインメントマーク41が構成されている。
【0054】
撮像装置14は、筒体52の内部にレンズ装置53が配置されている。レンズ装置53は、光が入射する前方部分が、撮像する処理基板27やマスク28が配置される方向に向けられている。
入射した光が光学処理されながら通過する後方部分の、レンズ装置53の光軸3と交差する位置には、撮像素子54が配置されており、光学処理された光は、撮像素子54に入射する。
【0055】
撮像素子54は、信号処理回路55に接続されており、レンズ装置53によって撮像対象物を投影した像が撮像素子54上に撮像結果として形成されると、撮像結果は、撮像素子54で電気信号に変換され、信号処理回路55を介して、制御装置20に出力される。
【0056】
基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とは、互いに対面する位置に配置されており、透明な基板本体46を介して、基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とが、撮像装置14によって撮像される。
【0057】
マスク28と処理基板27との位置合わせを行う際には、マスク配置部25と基板配置部23とを相対的に近接移動させ、先ず、図3(b)に示すように、マスク28と処理基板27とを所定距離だけ離間するように配置する。
【0058】
次に、撮像装置14によって、基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とを撮像対象物として撮像し、撮像結果を制御装置20に出力する。
制御装置20は、撮像結果中に含まれる基板アラインメントマーク45の像と、マスクアラインメントマーク41の像との位置関係を認識する。
【0059】
マスク配置部25と基板配置部23とが相対移動されると、マスク配置部25に配置されたマスク28と、基板配置部23に配置された処理基板27とには、マスク配置部25と基板配置部23との相対移動と同じ相対移動がされるようになっており、制御装置20は、撮像結果中の基板アラインメントマーク45の像とマスクアラインメントマーク41の像とが、予め設定された位置関係になるように、撮像結果中で認識した像の相対位置に基づいて、マスク配置部25と基板配置部23とを相対的に移動させる。
【0060】
例えば、撮像結果に含まれるマスクアラインメントマーク41の像と基板アラインメントマーク45の像との間の相対位置関係と、予め設定されたマスクアラインメントマーク41と基板アラインメントマーク45との間の位置関係とを比較し、誤差量、誤差方向、及び誤差角度を求め、誤差を無くすように、マスク28と処理基板27とを、距離を変えずに相対的に移動させる。
【0061】
ここでは、マスク配置部25が静止対象装置であり、基板配置部23が移動対象装置であり、マスク28が静止して処理基板27が移動するが、マスク配置部25を移動対象装置にし、基板配置部23を静止対象装置にして、処理基板27を静止させてマスク28を移動させるようにしてもよい。
【0062】
このような位置合わせを行う前に、上述の傾き角度θを求め、その値がゼロになるように、静止対象装置と撮像装置14との位置関係を修正しておけば、位置合わせの際に、基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とは、互いに平行で、光軸3と垂直な平面にそれぞれ位置しており、その平面内に位置した状態で、相対的な位置が変更されるので、相対移動に伴う像のぼけは発生しない。
【0063】
また、位置合わせを行う前に、上述したように合焦面35の位置を求め、基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41との両方が撮像装置14の被写界深度の範囲内に配置されるように、マスク28が配置されるマスク配置部25と処理基板27が配置される基板配置部23の、合焦面35に対する位置を調整しておけば、位置合わせの際に撮像した境界線61、62の像が鮮明になるから、正確な位置合わせを行うことができる。
【0064】
このように、鮮明な像に基づいて、誤差を無くすように基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とを相対移動させ、誤差が所定量よりも小さくなったところで予め設定された相対位置関係になったものとして位置合わせ工程を終了させる。
【0065】
次いで、マスク配置部25と基板配置部23との間の相対位置関係を維持しながら近接させ、マスク28と処理基板27との間の距離を小さくする。
ここでは、図3(c)に示すように、マスク28と処理基板27とは密着されており、マスク28と処理基板27とが相対的に静止した状態で、マスク28の下方に位置する成膜源16から、成膜材料の粒子を放出させると、粒子はマスク28の貫通孔43を通過し、貫通孔43の底面に露出する処理基板27の表面に到達して薄膜が成長する。
【0066】
成膜材料の粒子は、成膜材料の蒸気であってもよいし、成膜材料のターゲットがスパッタリングされて放出されたスパッタリング粒子であってもよい。この場合、成膜源16を真空槽11内の天井側に配置し、マスク28と処理基板27とを、この順序で、成膜源16の下方に配置することができる。
【0067】
薄膜が所定膜厚に成長したところで、成膜材料の粒子が処理基板27の表面に到達しないようにしてマスク28と処理基板27とを離間させ、成膜された処理基板27を真空槽11の外部に搬出する。
他方、未成膜の処理基板27を真空槽11の内部に搬入し、マスク28との間で位置合わせをし、薄膜を形成する。
【0068】
このように、連続して複数の処理基板27に薄膜を形成する際には、最初の処理基板27とマスク28とを位置合わせする前に、角度修正工程と位置修正工程とを行っておくと、撮像装置14の光軸3に対してマスク28と処理基板27とが垂直になり、且つ、マスク28と処理基板27とを、撮像装置14の被写界深度の範囲内に位置させることができるから、撮像装置14によって基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とを撮像して位置合わせをする際には、境界線61、62の明確な像を得て、正確な位置合わせを行うことができる。
【0069】
図1の真空装置10では、図2に示すように、真空槽11の内部には処理基板27を配置せず、静止対象装置(ここではマスク配置部25)上に、較正マーク30cが設けられた較正基板26cを配置する。
その際、較正基板26cは、較正マーク30cが撮像装置14の撮像範囲内に位置するように配置しておき、撮像装置14によって、較正マーク30cを撮像できるようにしておく。
【0070】
撮像装置14と静止対象装置とのうち、少なくともいずれか一方には、較正用移動装置22が配置されており、較正用移動装置22によって、撮像装置14と静止対象装置との間は、較正移動方向に相対移動するようにされている。
ここでは、撮像装置14が、静止対象装置に対して、較正移動方向に移動されるようになっている。
【0071】
この真空装置10では、傾き角度θと、傾き方向と、境界線61、62の像の中心点91、92間の距離及び位置関係と、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置と、の関係は、上述したように、予め測定されており、制御装置20に設けられた記憶装置19に記憶されている。
【0072】
そして、メンテナンス作業等により、撮像装置14と静止対象装置との間の相対位置が変化した場合は、上述したように、境界線61、62の像の中心点91、92間の距離及び位置関係と、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置とを、較正マーク30cの撮像結果から測定し、傾き角度θと傾き方向とを求め、較正用移動装置22を動作させ、撮像装置14と静止対象装置との間を相対的に回転移動させ、傾き角度θをゼロにする。
【0073】
このように、境界線61、62の両方から成る較正マーク30cが角度を較正するための角度較正マークにされているのに対し、境界線61、62の一方又は両方が位置較正マークとされており、較正用移動装置22によって、マスク配置部23と基板配置部25の間が相対移動されながら、撮像装置14によって位置較正マークが撮像され、その像の大きさの極値(ここでは、半径や直径の極値)が移動量と関連づけて測定され、極値となったときの位置較正マークと撮像装置14との間の距離が求められると、その距離は、撮像装置14と合焦面35との間の距離であるから、合焦面35の撮像装置14に対する位置が分かり、合焦面35を中心にして、基板配置部23上の基板アラインメントマーク45と、マスク配置部25上のマスクアラインメントマーク41とが、被写界深度の範囲内に位置するように、位置合わせを行うときのマスク配置部25と基板配置部23の位置を設定する。
合焦面35の位置と、位置較正マークの像の大きさと、移動量とから、被写界深度の範囲を求めることもできる。
【0074】
なお、白部31aが黒部32aを取り囲む円形の境界線6a(図6(a))と、黒部31bが白部32bを取り囲む円形の境界線6b(図6(b))とが示されていたが、合焦面35の位置を求める位置較正マークには、大きさの極値を求めることができる境界線であれば、その形状は円形に限定されるものではなく、例えば、十字形状や、正方形形状であってもよい。
【0075】
また、角度較正マークについても、角度較正マークを配置面と垂直な較正移動方向に移動させれば、二個の境界線の中心が位置している状態を形成でき、上記のように、傾き角度θと、傾き方向と、境界線61、62の像の中心点間の距離及び位置関係と、撮像装置14と較正基板26cとの間の相対位置と、相対移動量とを測定することで、傾き角度θの値と傾き方向とを求めることができる。例えば、角度較正マークや位置較正マークには、十字形状や、正方形形状を用いることができる。
【0076】
なお、上記例では、角度較正や位置較正の際に、静止対象装置を静止させ、較正用移動装置22によって撮像装置14を移動させたが、撮像装置14を静止させ、静止対象装置を移動させるようにしてもよい。
【0077】
なお、上記実施例では、一台の撮像装置14を用いていたが、二箇所に配置された較正マーク30c、基板アラインメントマーク45とマスクアラインメントマーク41とを、二台の撮像装置14で撮像し、二個の撮像結果からそれぞれ傾き角度θや傾き方向を求め、また、二個の撮像装置14の撮像結果から、位置合わせを行うようにすることができる。
【0078】
上記実施例では、一個の境界線61又は62の大きさが極値を示したときの撮像装置14に対する位置較正マークの位置を、合焦面の位置としたが、外側白の境界線61と内側白の境界線62の両方で極値から合焦面の位置を別々に求め、その二個の位置の間を合焦面の位置としてもよい。例えば二個の合焦面の位置を平均して合焦面の位置とすることができる。
【符号の説明】
【0079】
3……光軸
6a、6b、61、62……境界線
10……真空装置
11……真空槽(筐体)
16……成膜源
20……制御装置
21……アラインメント用移動装置
22……較正用移動装置
25……マスク配置部
23……基板配置部
26a、26b、26c……較正基板
27……処理基板
28……マスク
30c……較正マーク
30c’……較正マークの像
31b、32a、321……黒部
31a、31c、32b、322……白部
35……合焦面
41……マスクアラインメントマーク
45……基板アラインメントマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9