(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1シールド電極は前記温度調節流体チャネルを囲む、及び/又は、前記第1シールド電極は前記温度調節流体チャネルの内側ライニングを形成する、請求項1又は2に記載のチャック。
チャッククランプ電極であって、前記チャックを前記サポートテーブルに静電的に引き寄せるために前記チャッククランプ電極と前記サポートテーブルとの間に電位差を加えるためのチャッククランプ電極をさらに備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチャック。
前記チャッククランプ電極に加えられる電圧による前記温度調節流体チャネル内の温度調節流体にわたる電場の発生を減少又は防止する第2シールド電極をさらに備える、請求項6に記載のチャック。
前記第2シールド電極は、前記第2シールド電極の少なくとも一部が前記チャッククランプ電極と前記温度調節流体チャネル内の温度調節流体との間にあるように構成される、請求項7に記載のチャック。
前記第2シールド電極は、前記チャッククランプ電極を含む前記誘電部材の領域を、前記温度調節流体チャネルを含む前記誘電部材の領域から離す、請求項7又は8に記載のチャック。
前記温度調節流体チャネルの長さに沿って変動する局部加熱を、前記温度調節流体チャネルを画定する前記チャックの領域に加えるチャネルヒータをさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のチャック。
前記駆動電極にゼロの電圧が加えられているか又は接地接続されている期間中に電流を前記誘電部材に提供するために補償電極を使用することであって、前記電流は、前記オブジェクトを表面に向かって静電的に引き寄せるために電圧が前記駆動電極に加えられる期間中に存在する前記電流と実質的に同じ量の熱を放散する、ことをさらに含む、請求項13又は14に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、又は1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィは、ICや他のデバイス及び/又は構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれ、リソグラフィは、小型ICあるいは他のデバイス及び/又は構造を製造できるようにするためのより一層重要な要因になりつつある。
【0005】
[0005] パターン印刷の限界の理論推定値を、式(1)に示す解像度に関するレイリー基準によって得ることができる。
【数1】
上の式で、λは、使用される放射の波長であり、NAは、パターンを印刷するために使用される投影システムの開口数であり、k
1は、レイリー定数とも呼ばれるプロセス依存調整係数であり、CDは、印刷されたフィーチャのフィーチャサイズ(又はクリティカルディメンジョン)である。式(1)から、フィーチャの最小印刷可能サイズの縮小は、以下の3つの方法、露光波長λを短縮することによって、開口数NAを増加させることによって、あるいはk
1の値を低下させることによって達成することができる、と言える。
【0006】
[0006] 露光波長を短縮するため、したがって、最小印刷可能サイズを縮小するためには、極端紫外線(EUV)放射源を使用することが提案されている。EUV放射は、10〜20nmの範囲内、例えば13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射である。さらに、10nm未満の波長、例えば6.7nm又は6.8nmといったように5〜10nmの範囲内の波長を有するEUV放射を用いてもよいことが提案されている。そのような放射を極端紫外線又は軟X線と呼ぶこともできる。可能な放射源としては、例えば、レーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、又は電子蓄積リングによって提供されるシンクロトロン放射に基づく放射源が挙げられる。
【0007】
[0007] EUV放射は、プラズマを用いて生成することができる。EUV放射を生成するための放射システムは、プラズマを提供するために燃料を励起するレーザと、プラズマを収容する放射源コレクタモジュールと、を含んでよい。プラズマは、例えば、適切な材料(例えば、スズ)の粒子又は小滴などの燃料にレーザビームを向けることによって、あるいはXeガス又はLi蒸気などの適切なガス又は蒸気の流れにレーザビームを向けることによって生成することができる。結果として生じるプラズマは、出力放射、例えばEUV放射を放出し、これは、放射コレクタを用いて集光される。放射コレクタは、放射を受けて放射をビームに合焦させるミラー法線入射放射コレクタであってよい。放射源コレクタモジュールは、プラズマを支持するために真空環境を提供するように配置された閉鎖構造又はチャンバを含んでよい。そのような放射システムを、通常、レーザ生成プラズマ(LPP)源と呼ぶ。
【0008】
[0008] 放射ビームの断面にパターンを与えるパターニングデバイス又はパターン付き放射ビームを受ける基板を保持するためにチャックが設けられてよい。チャックは、パターニングデバイス又は基板を静電気引力によって保持するように構成されてよい。チャックは、例えば、ジョンソン−ラーベック(JR)クランプ、クーロンクランプ又はその両方を提供することができる。チャックの温度は、チャック内に形成されるチャネルの中で温度調節流体を駆動することによって制御することができる。そのような構成では、チャネル及び/又は流体と接触しているチャックの外側にある装置の内壁は時間とともに劣化することが分かった。
【0009】
[0009] 動作中にチャック内に形成される電流はチャックの抵抗加熱へと繋がり得ることも分かった。そのような加熱をチャネル内の流体によって補償することができるが、例えば、パターニングデバイス又は基板を取り外すためにチャックの電源が切られている場合、放散パワーの急激な変化を補償することは困難となり得る。
米国特許出願公開第2009/207392号明細書はリソグラフィ装置を開示しており、このリソグラフィ装置は、パターニング構造ホルダに保持されたパターニング構造から、基板ホルダに保持された基板上へと、パターンを転写するように構成されている。装置は、物体を保持するように構成された第1物体ホルダと、第1物体ホルダへの物体の移動前及び/又は移動中の物体の温度を調節するように構成された物体温度調節装置と、を含む。物体温度調節装置は、流体ダクトシステムと電気温度調節装置とを有する第2物体ホルダを含む。
国際公開第92/20093号は静電チャックアセンブリを開示しており、この静電チャックアセンブリは、上部の多層セラミック絶縁層と、多層セラミック基板上に配置された導電性の静電パターンを有する静電パターン層と、多層セラミック支持層と、その中に機械加工された背面の冷却チャネルを有するヒートシンクベースと、を含む。ヒートシンクベースは、多層セラミック支持層の底部にろう付けされている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0027]
図1は、本発明の一実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。この装置は、
‐放射ビームB(例えば、EUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
‐パターニングデバイス(例えば、マスク又はレチクル)MAを支持するように構築され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
‐基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、反射投影システム)PSと、を備える。
【0018】
[0028] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、又は制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0019】
[0029] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及び、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式又はその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定式又は可動式にすることができるフレーム又はテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを確実にし得る。
【0020】
[0030] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用することができるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することができる。
【0021】
[0031] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、並びに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させられ得る。傾斜させられたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付与する。
【0022】
[0032] 投影システムは、照明システムのように、使われている露光放射にとって、あるいは真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、又はその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。ガスは放射を吸収しすぎることがあるので、EUV放射に対しては真空を使用することが望ましい場合がある。したがって、真空壁及び真空ポンプを用いてビームパス全体に真空環境を提供することができる。
【0023】
[0033] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0024】
[0034] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルが並行して使用されてよく、又は予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0025】
[0035]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線放射ビームを受ける。EUV光を生成する方法としては、材料を、EUV範囲内の1つ以上の輝線を有する、例えばキセノン、リチウム又はスズなどの少なくとも1つの元素を有するプラズマ状態に変換することが挙げられるが必ずしもこれに限定されない。そのような一方法では、レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多い所要のプラズマを、所要の線発光元素を有する材料の小滴、流れ又は塊りなどの燃料をレーザビームで照射することによって生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起するレーザビームを提供するためである、
図1に図示されていないレーザを含むEUV放射システムの一部分であってもよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射などの出力放射を放出し、これは、放射源コレクタモジュールに配置された放射コレクタを用いて集光される。例えば、燃料励起のためのレーザビームを提供するためにCO
2レーザが使用される場合、レーザと放射源コレクタモジュールは、別個の構成要素であってもよい。
【0026】
[0036] そのような場合には、レーザはリソグラフィ装置の一部を形成するとみなされず、放射ビームは、レーザから放射源コレクタモジュールへ、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源がDPP源と称されることが多い放電生成プラズマEUVジェネレータである場合、放射源は、放射源コレクタモジュールの一体部分とすることもできる。
【0027】
[0037] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。通常、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常、それぞれσ-outer及びσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセット視野及び瞳ミラーデバイスといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性及び強度分布をもたせることができる。
【0028】
[0038] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射して、パターニングデバイスによってパターンを付与される。パターニングデバイス(例えば、マスク)MAから反射した後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPW及び位置センサシステムPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、又は静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPM及び別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えば、マスク)MA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1及びM2と、基板アライメントマークP1及びP2とを使って、位置合わせされてもよい。
【0029】
[0039] 例示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用可能である。
【0030】
[0040] 1.ステップモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、X方向及び/又はY方向に移動させられ、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。
【0031】
[0041] 2.スキャンモードにおいては、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MT及び基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率及び像反転特性によって決定されてよい。
【0032】
[0042] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えば、マスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、又はスキャンする一方で、放射ビームに付与されているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、又はスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0033】
[0043] 上述の使用モードの組合せ及び/又はバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0034】
[0044]
図2は、放射源コレクタモジュールSO、照明システムIL及び投影システムPSを含む装置100をより詳細に示している。放射源コレクタモジュールSOは、真空環境が放射源コレクタモジュールSOの閉鎖構造220内で維持できるように構築及び配置される。EUV放射放出プラズマ210は、放電生成プラズマ源によって形成されてよい。EUV放射は、ガス又は蒸気、例えばXeガス、Li蒸気又はSn蒸気によって生成されてよい。このガス又は蒸気では、電磁スペクトルのEUV範囲内の放射を放出するために非常に高温のプラズマ210が生成される。非常に高温のプラズマ210は、例えば、少なくとも部分電離プラズマを引き起こす放電によって生成される。例えば、10PaのXe、Li、Sn蒸気あるいは他のあらゆる適切なガス又は蒸気の分圧は、放射の効率的な生成のために必要とされる場合がある。一実施形態では、EUV放射を生成するために励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供される。
【0035】
[0045] 高温のプラズマ210によって放出された放射は、放射源チャンバ211から、放射源チャンバ211における開口部内又はその後方に位置決めされた任意選択のガスバリア又は汚染物質トラップ230(場合によっては、汚染物質バリア又はフォイルトラップとも呼ばれている)を介してコレクタチャンバ212へと進む。汚染物質トラップ230はチャネル構造を含んでもよい。汚染物質トラップ230は、ガスバリア、又はガスバリアとチャネル構造との組み合わせを含んでもよい。本明細書中にさらに述べる汚染物質トラップ又は汚染物質バリア230は、当該技術分野で公知であるように、少なくともチャネル構造を含む。
【0036】
[0046] コレクタチャンバ211は、いわゆるかすめ入射コレクタであり得る放射コレクタCOを含むことができる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251及び下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを通り抜けた放射は、格子スペクトルフィルタ240から反射して仮想光源点IFで合焦することができる。仮想光源点IFを一般的に中間焦点と呼び、放射源コレクタモジュールは、中間焦点IFが閉鎖構造220内の開口部221に又はその近くに配置されるように構成される。仮想光源点IFは、放射放出プラズマ210の像である。
【0037】
[0047] その後、放射は照明システムILを通り抜け、この照明システムILは、パターニングデバイスMAにて放射ビーム21の所望の角度分布並びにパターニングデバイスMAにて放射強度の所望の均一性を提供するように構成されたファセット視野ミラーデバイス22及びファセット瞳ミラーデバイス24を含んでよい。サポート構造MTによって保持されるパターニングデバイスMAにて放射ビーム21が反射すると、パターン付きビーム26が形成され、このパターン付きビーム26は、投影システムPSによって反射要素28及び30を介してウェーハステージ又は基板テーブルWTによって保持された基板W上に結像される。
【0038】
[0048] 通常、示されているものよりも多くの要素が照明光学ユニットIL及び投影システムPS内に存在してよい。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置の種類によって任意に存在してよい。さらに、図示されているものより多くのミラーがあってもよく、例えば、
図2に示す投影システムPS内に存在する反射要素より1〜6個多くの反射要素が存在してもよい。
【0039】
[0049]
図2に示すように、集光系COは、単なるコレクタ(又は集光ミラー)の一例として、かすめ入射リフレクタ253、254及び255を有する入れ子化されたコレクタとして示される。かすめ入射リフレクタ253、254及び255は、光軸Oの周りで軸対称に配置され、この種の集光系COは、DPP源と呼ばれることが多い放電生成プラズマ源と組み合わせて使用されることが好ましい。
【0040】
[0050] 代替的に、
図3に示すように、放射源コレクタモジュールSOは、LPP放射システムの一部分であってもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)又はリチウム(Li)などの燃料にレーザエネルギーを堆積させるように構成され、数十eVの電子温度を有する高電離プラズマ210を生成する。これらのイオンの逆励起及び再結合中に生成されるエネルギー放射はプラズマから放出され、近法線入射集光系COによって集光されて閉鎖構造220内の開口部221上で合焦される。
【0041】
[0051] 一実施形態では、静電気力によってリソグラフィ装置のサポートテーブル上にパターニングデバイスMA又は基板Wを保持するためにチャックが設けられている。そのようなチャックを静電チャックと呼ぶことができる。
図4は、そのようなチャック43の例を示している。図示した実施形態では、チャック43はサポートテーブルMT/WT上に取り付けられている。チャック43がパターニングデバイスMAを支持するように構成されたところでは、サポートテーブルをマスクテーブルMTと呼ぶことができる。チャック43が基板Wを保持するように構成されたところでは、サポートテーブルを基板テーブルWTと呼ぶことができる。
【0042】
[0052] 使用中、パターニングデバイスMA又は基板Wは、リソグラフィ装置の放射ビームによって加熱することができる。そのような加熱(及び/又は他の熱負荷)は、チャック43内に形成された温度調節流体チャネル48の中を通って流体を駆動させることによって補償することができる。チャネルは、例えば、ネットワークを形成するために一緒に繋がれてよい。チャックと熱交換することによってチャックの温度を制御するために、温度調節流体をチャックの材料と接触させるという所望の効果を達成させるための様々なチャネル構成が可能である。流体の流量及び/又は温度は、所望の熱交換性質を達成しかつチャックの温度を制御するように制御されてよい。
【0043】
[0053] 一実施形態では、チャック43は誘電部材45を含む。そのような実施形態におけるチャネル48は誘電部材45内に形成されてよい。
【0044】
[0054] 一実施形態では、チャック43は、駆動電極40及び42をさらに含んでおり、これらは、駆動電極と誘電部材45の第1表面47との間に電位差を加えるためのものである。電位差は、例えば、第1表面47上に電荷を蓄積させる。蓄積された電荷は、第1表面47と接触させられたパターニングデバイスMA又は基板Wを静電的に引き寄せかつ保持することができる。この効果はジョンセン・ラーベック効果として知られている。この効果に基づいて動作するチャック/クランプを、ジョンセン・ラーベック・チャック/クランプ、J−Rチャック/クランプ又はJRチャック/クランプと呼ぶことができる。一実施形態では、誘電部材45は窒化アルミニウムを含む。
【0045】
[0055] 一実施形態では、誘電体43は、駆動電極40及び42と第1表面27との間を有意な電流が通過できないような高い抵抗率を有してもよい。この場合、ジョンセン・ラーベック効果は、かなりの程度まで生じない場合があるが、駆動電極40及び42とパターニングデバイスMA又は基板Wとの間の引力は、これらの要素の間の電位差によって依然として発生し得る。駆動電極40及び42並びにパターニングデバイスMA又は基板Wは、2つのプレートのコンデンサとして機能し、帯電した2つのプレートのコンデンサと同じように互いに引き寄せられる。この原理で主に動作するチャック/クランプをクーロンクランプと呼ぶことができる。
【0046】
[0056] JRクランプは、クーロン機構によるある程度の引力を伴うが、JR効果は通常そのようなクランプでは主要である。
【0047】
[0057] JRクランプ及びクーロンクランプは、その分野では周知である。
【0048】
[0058] 一実施形態では、チャックは、パターニングデバイスMA又は基板Wがチャック43の平面に対して同一平面上に配置されるように構成されてよい。そのような構成は、チャック43に対するパターニングデバイスMA又は基板Wの強力な付着を好む傾向がある。別の実施形態では、チャック43は、パターニングデバイスMA又は基板Wが複数の突出バールに対して配置されるように構成されてよい。そのような実施形態では、サポートテーブルMT/WTとパターニングデバイスMA又は基板Wとの間の領域は、部分真空で維持されてよい。そのような構成は、例えば、サポートテーブルMT/WTとパターニングデバイスMA又は基板Wとの間で作用するファン・デル・ワールス力があまり強くないことにより、パターニングデバイスMA又は基板Wの除去を容易にする傾向がある。
【0049】
[0059] 図示した実施形態では、2つの駆動電極40及び42が設けられている。この構成を二極構成と呼ぶことができる。別の実施形態では、単一の駆動電極(単極)又は二つより多い駆動電極(多極)を設けてもよい。多極クーロン及びJRクランプは、その分野で周知である。
【0050】
[0060] 上記したように、温度調節流体チャネルを含む静電チャックでは、流体と接触するチャネル及び/又は外部装置の要素は時間とともに劣化し得る。少なくともこの劣化の一部は、温度調節流体内の電解効果によることがあることが認識されている。電解は、異なる位置におけるチャネルの内面の電位差によって生じ得る。代替的に又はそれに加えて、電解は、チャック内のチャネルの内面全て又はその一部と、流体に接触する外部装置の1つ以上の要素との間の電位差により生じ得る。異なる電位を有しかつ所定の多数の流体に接触する要素は、電解電極として機能することができる。電極によって引き起こされる電解は、流体を通って電極と電極との間を流れる電流へと繋がり得る。電流は、流体及び/又は流体自体に接触する材料の電気的に刺激された劣化を引き起こし得る。したがって、電位差は、流体と接触する機械部分を劣化させる電気化学反応を刺激する。
【0051】
[0061] 静電チャックにおける駆動電極は、上記の電位差及び/又は電流を引き起こし、それによって電解及び関連する部品の劣化を引き起こし得る。
【0052】
[0062] 一実施形態では、シールド電極は、電解効果を低下又は防止するために設けられる。シールド電極が接地接続又はアース接続されることが好ましい。
【0053】
[0063]
図4に示す実施形態では、駆動電極40及び42とチャネル48との間にシールド電極60が設けられてよい。図示した実施形態では、シールド電極60の形状は平面である。一実施形態では、シールド電極60は金属板から形成される。一実施形態ではシールド電極60は、駆動電極40及び42を含む誘電部材45の領域を、温度調節流体チャネル48を含む誘電部材45の領域から実質的に離すようにチャック43に広がる。このようにして、シールド電極60は、駆動電極40及び42に加えられる電圧を低下又は防止することができ、チャネル48の壁での電位の変化をもたらす。したがって、駆動電極40及び42による電解を低下又は防止することができる。
【0054】
[0064] 一実施形態では、チャック43は、静電気力を用いてサポートテーブルMT/WTにクランプされてもよい。このクランプは、クーロン効果、JR効果又はその両方を用いて実施されてもよい。
図4に示す実施形態では、これは、誘電部材45の第2表面49に隣接して形成されたチャッククランプ電極44を用いて達成される。図示した例では、単一のチャッククランプ電極44が設けられているが、別の実施形態では、複数のチャッククランプ電極44を設けてもよい。チャッククランプ電極44に加えられる電圧が温度調節流体内の電解へと繋がることを防止するために、チャッククランプ電極44とチャネル48との間にシールド電極62が設けられる。シールド電極62は、例えば、シールド電極60と同じように形成されてよい。シールド電極62は、例えば、チャッククランプ電極44を含む誘電部材45の領域を、チャネル48を含む誘電部材45の領域から実質的に離すように構成されてよい。
【0055】
[0065]
図4に示す実施形態では、パターニングデバイスMA又は基板Wのクランプ中、駆動電極40は負の電位かつ駆動電極42は正の電位で維持される。一実施形態では、駆動電極40及び42に供給される電位の大きさは同等である。別の実施形態では、電位は異なっていてもよい。図示した例では、クランプ電極44は正の電位で維持されているが、これは必須ではない。別の実施形態では、チャッククランプ電極は負の電位で維持されてよい。
【0056】
[0066]
図5は、別の実施形態によるチャック43を示している。
図5のチャック43は、シールド電極の構成を除けば
図4のチャック43と同じである。
図4では、2つの平面シールド電極60及び62が設けられている。
図5の実施形態では、代わりにシールド電極64がチャネル48を囲うように構成される。例えば、シールド電極64は、チャネル48を画定する誘電部材45内の穴の内面上のコーティングとして形成されてもよい。シールド電極64は、使用中、チャネル48内の流体と接触しているか、又は、使用中、チャネル48内の流体に近接していることが好ましい。したがって、
図5のシールド電極64は、チャネル内の温度調節流体を、チャネルの外側の誘電部材45の全て又は大部分から離すことに有効である。したがって、駆動電極40及び42又はチャッククランプ電極44に加えられるいずれの電圧も、温度調節流体チャネル48内の異なる位置で有意な電位差を引き起こすことはできない。実際に、一実施形態では、シールド電極は、高導電率、例えば金属性であるように構成され、この理由で導電率は等電位面又はほぼ等電位の面を規定する。
【0057】
[0067] シールド電極64が接地されていない場合、シールド電極64とチャネル48に流体を提供するチャック43の外部の装置の要素との間に電位差が残る可能性がある。この電位差は、シールド電極64、チャネル48の内面及び/又は使用中に流体と接触するあらゆる外部装置の部品の電解(電気化学反応)及び劣化をもたらし得る。したがって、
図5の例に示すように、シールド電極64を接地接続することが好ましい。
【0058】
[0068] シールド電極は、主に温度調節流体における電場効果を防止するために設けられているが、シールド電極は、誘電部材45とリソグラフィ装置の他の要素との間の望ましくない放電を減少又は防止するように構成されてよい。例えば、シールド電極は、チャック43の周縁部の電圧を低下させるように構成されてよい。これは、(例えば、
図4及び
図6の実施形態に示すように)シールド部材が誘電部材45の周縁部に到達するようにシールド部材を延ばすことによって達成することができる。シールド電極は、誘電部材45と誘電部材45を通り抜け得る穴(例えば、取り付けピン用の穴)を突き出る要素との間の放電を減少又は防止するために効果的であり得る。
【0059】
[0069] 静電クランプを提供するためにチャック内のあらゆる電極が上昇電圧で維持されている場合、抵抗加熱が誘電部材45で生じる。チャック43が一定の方法で(すなわち、駆動電極及びチャッククランプ電極に加えられる安定した一定の電圧によって)駆動された場合、放散パワーも一定となる。そのような期間の間、温度調節流体チャネル48を用いて加熱を比較的正確に補償することが可能である。しかしながら、放散パワーが突然変化するところでは、温度調節流体チャネル48を用いて正確に補償することがより困難となり得る。例えば、パターニングデバイスMA又は基板Wを取り外す及び/又は装着するために駆動電極40及び42のスイッチが切られた場合、及び/又は駆動電極40及び42のスイッチが再び入れられた場合、放散パワーに急激な変化が生じる。同様に、チャッククランプ電極44のスイッチを切ることが時々必要であり、これは、誘電部材45内の放散パワーの急激な変化ともなり得る。
【0060】
[0070]
図6は、駆動電極40及び42並びにチャッククランプ電極44のそれぞれのスイッチが切られた場合の熱放散の欠如を補償する、電流を誘電部材45に提供するための補償電極51、52及び53を含むチャック43の一実施形態を示している。補償電極51、52及び53は、駆動電極40及び42並びにチャッククランプ電極44を駆動することによって提供されたであろう加熱と同等である加熱を誘電部材45内に提供するように構成される。
【0061】
[0071] 補償電極51は、駆動電極40とシールド電極60との間に位置決めされてよい。一実施形態では、補償電極51は、駆動電極40に加えた電圧がゼロの場合、駆動電極40とシールド電極60との間の領域に放散パワーを引き起こす電圧を補償電極51に加えることができるように位置決め及び形作られる。この放散パワーは、駆動電極40のスイッチを入れた場合の放散パワーと実質的に同じである。これを達成するための一方法は、駆動電極40及びシールド電極60から等距離になるように補償電極51を位置決め、かつ、駆動電極50のスイッチを入れたときに駆動電極40に加えられる電圧の半分の大きさである電圧を補償電極51に加えることである。例えば、パターニングデバイスMA又は基板Wをチャック43にクランプするときに駆動電極40が電圧Vsで動作するように構成されている場合、駆動電極40のスイッチが切られた場合に補償電極51に加えられる電圧は、Vs/2であってよい。このように、パターニングデバイスMA又は基板Wのクランプ中に駆動電極40とシールド電極60との間の領域における電場の平均の空間的大きさは、駆動電極40のスイッチが切られているとき、例えば、パターニングデバイスMA又は基板Wの取り付け/又は取り外しのときの電場の平均の空間的大きさと同じであってよい。例えば、駆動電極40のスイッチを入れたときに駆動電極40が1kVの電圧で維持された場合、駆動電極40と補償電極51(この期間中浮遊することが可能である)との間の電位差は500Vとなる。なぜなら、補償電極51は駆動電極40と接地シールド電極60との中間に位置決めされているからである。浮遊補償電極51とシールド電極60との間の電位差も500Vとなる。したがって、電圧は、駆動電極40から浮遊補償電極51、シールド電極60へと1kV〜500V〜0Vのシーケンスをたどる。駆動電極40が0Vに切り替えられた場合(すなわち、スイッチが切られた場合)又は接地接続された場合、補償電極51は1kV/2(すなわち、500V)で維持される。したがって、電圧シーケンスは0V〜500V〜0Vとなる。したがって、電場の大きさは同じである。したがって、放散パワーは駆動電極40とシールド電極60との間の領域で一定のままである。放散パワーを一定に保つことは、チャックの正確な温度制御を容易にする。
【0062】
[0072] 別の実施形態では、補償電極は、駆動電極40及びシールド電極60から等距離にならないように位置決めされてもよい。別の実施形態では、補償電極は、駆動電極40のスイッチが切られているときはVs/2以外の電圧で維持されてもよい。
【0063】
[0073] 駆動電極40とシールド電極60との間の補償電極51の動作に関する上記の考察は、当業者に明らかになるであろう必要な変更を用いて、駆動電極42とシールド電極60との間の補償電極52及びチャッククランプ電極44とシールド電極62との間の補償電極53にも適用される。
【0064】
[0074]
図6に示す例では、補償電極は、駆動電極40及び42とシールド電極60との間及びチャッククランプ電極44とシールド電極62との間の両方に設けられているが、別の実施形態では、より少ない補償電極が設けられてもよい。例えば、補償電極53を省いてもよい。ある実施形態では、チャック43は、パターニングデバイスMA又は基板Wの変化と比べて比較的低頻度にサポートテーブルWT/MTから取り外され得るため、補償電極53は補償電極51及び52と比べてあまり重要ではないことがある。
【0065】
[0075]
図6は、電極をチャック43内で駆動する電極駆動システム50も示している。電極駆動システム50は、必要に応じて、1つ以上の電極に加えられる電圧を制御及び/又は1つ以上の電極を選択的に接地接続するように構成されてよい。例えば、電極駆動システム50は、パターニングデバイスMA又は基板Wのクランプ中に補償電極51及び52を浮遊させている間、電圧+/−Vsを駆動電極40及び42に加えるように構成されてよい。電極駆動システム50は、その後、駆動電極40及び42に加えられる電圧をゼロに切り替え、電圧+/−Vs/2を補償電極51及び52に加えてパターニングデバイスMA又は基板Wの取り付け/取り外しを可能にするように構成されてよい。同様に、電極駆動システム50は、サポートテーブルMT/WTへのチャック43のクランプ中に補償電極53を浮遊させている間、電圧Vtをチャッククランプ電極44に加えるように構成されてよい。電極駆動システム50は、チャック43がサポートテーブルMT/WTから取り外されるときに、ゼロ電圧をチャッククランプ電極44に及び電圧Vt/2を補償電極53に加えるように構成されてもよい。
【0066】
[0076] 上記の実施形態では、誘電部材45は、材料の単一の一体ブロックを形成し、チャネル48がそのブロック内に直接形成されてよい。この方法は、製造目的のために効率的であり得るが、別の実施形態では、チャック本体は、複数の異なる材料から形成されてもよい。例えば、異なる材料が層になって一緒に結合されてもよい。以下の
図7及び
図8がそのような構成の例を提供している。
【0067】
[0077] 一実施形態では、温度調節流体チャネルは、駆動電極40及び42とパターニングデバイスMA又は基板Wとの間の誘電部材45、及び/又は、チャッククランプ電極44とサポートテーブルMT/WTとの間の誘電部材45の抵抗率より高い抵抗率を有する電気絶縁要素70によって、駆動電極又はチャッククランプ電極から離される。例えば、電気絶縁要素70の抵抗率は、JRクランプの誘電部材に必要である抵抗率より高くてもよい。
【0068】
[0078]
図7では、絶縁要素70は、1つ以上のチャネル48が中に埋め込まれた材料の領域を含む。
【0069】
[0079]
図8は、絶縁要素70が駆動電極40及び42をチャネル48から離す層及びチャッククランプ電極44をチャネル48から引き離す層を含む一実施形態を示している。上記した構成では、2つの層が設けられているが、これは必須ではない。別の実施形態では、いずれかの層又は両方の層が取り除かれてもよい。
【0070】
[0080] 一実施形態では、絶縁要素70は接地(アース)接続されている。
【0071】
[0081] 絶縁要素70は、電流を減少させるか又は電流がチャネルの領域内へと流れることを防止し、それによって電解効果を減少又は回避し、抵抗加熱を減少させる。
【0072】
[0082] 上記の実施形態では、チャック43は静電的にサポートテーブルMT/WTにクランプされるが、これは必須ではない。チャック43は、別の方法でサポートテーブルMT/WTにクランプされてもよい。例えば、チャック43は、接着剤、光学的接触、ろう付け又は接合によってサポートテーブルMT/WTにクランプされてもよい。一実施形態では、チャック43はサポートテーブルMT/WTと一体的に形成される。すなわち、チャック43はサポートテーブルMT/WTの一部である。
【0073】
[0083] チャック43は、パターニングデバイスMA又は基板WをサポートテーブルMT/WTにクランプするために使用されるものと同じメカニズム(例えば、クーロン又はJR)によってサポートテーブルMT/WTにクランプされてもよいが、これは必須ではない。チャック43は、パターニングデバイスMA又は基板WをサポートテーブルMT/WTにクランプするために用いるメカニズムとは異なるものを用いてサポートテーブルMT/WTにクランプされてもよい。例えば、チャック43がクーロンクランプを用いてサポートテーブルMT/WTにクランプされる一方、パターニングデバイスMA又は基板WはJRクランプを用いてチャック43にクランプされるか、又はその逆であってもよい。
【0074】
[0084] ダイのイメージング中のチャック上の局所的熱負荷の時定数は、一般的に約0.1秒である。流体チャネルによって提供される温度調節は、一般的に、より長い時定数(例えば約10秒)を有してよい。このより長い時定数により、局所的な負荷効果は、温度調節流体によって提供される冷却によって完全に補償することはできない。熱機械効果の予測に基づいて補正係数を得るためにコンピュータモデリングを使用することが可能であるが、補正を完璧に行うことはできず、デバイス性能(例えば、オーバーレイ)は、悪影響を受けたままである。
【0075】
[0085] ウェーハのクランプ中、チャック内の熱放散は、チャネル内の流体に熱を移動させる。これは、チャネル内の流体に沿ってかつ流体に隣接したチャネルを画定するチャックの領域に沿って温度勾配をもたらす傾向がある。ウェーハがクランプされていない段階では、追加のヒータを用いて同等の加熱を提供することができ、それによって、チャックの加熱による温度勾配への寄与は一定のままである。流体とチャネルの壁との間の摩擦は流体及び壁の加熱も引き起こし得る。そのような摩擦は、チャネルに沿って圧力低下をもたらす。圧力低下のサイズは、このメカニズムによる加熱の量の指標を与えることができる。この摩擦加熱は、チャネル内の流体に沿った及びチャネルを画定するチャックの領域に沿った温度勾配にも寄与する。
【0076】
[0086] チャック内の温度勾配を一定に保つことは、熱機械効果のソフトウェアベースの補正を容易にするが、完璧な補正を可能にするには十分ではない。
【0077】
[0087] オーバーレイエラーのサイズは、クランプによる加熱の合計量が増加するにつれて増加する傾向がある。したがって、所定のオーバーレイ精度を達成するためには、総加熱を特定の最大値に限定することが必要である。この限定は、チャックの本体材料に使用することができる材料の選択肢を制限し、これは望ましくない。この限定は、加熱を補償するのに適切である様々な動作特性の選択肢、例えば、温度調節流体チャネルの所要の形状、流体の流量、流体の熱容量、流体の密度、流体の熱伝導率及び流体の動粘性率、を制限する。
【0078】
[0088] 本発明者らは、チャック内の温度勾配のサイズを減少させることは、熱機械効果のより正確な補正を容易にすることができることを認識した。補正の精度を上げることは、あるレベルのオーバーレイ精度に対して、加熱の最大可能レベル及び加熱を補償に関する他の動作特性の制限を減少させる。
【0079】
[0089] 一実施形態では、チャック内の温度勾配は、温度調節流体チャネル48を画定するチャックの領域内に局部加熱を加えるように構成されたチャネルヒータを提供することによって減少させられる。局部加熱は、チャネル48の長さに沿った位置の関数として変動するように構成される。一実施形態では、局部加熱の変動は、チャネル48の長さの選択された部分のみに沿ってチャネルヒータを提供することによって達成される。チャネルヒータが提供されないチャネルの長さの部分は、ヒータが存在するチャネルの長さの部分と比較してチャネルヒータによってあまり加熱されない。代替的に又はそれに加えて、局部加熱の変動は、チャネルヒータの単位長さ当たりの可変出力を提供するようにチャネルヒータを構成することによって達成される。
【0080】
[0090] 例示的構成が
図9及び
図10に示されている。
図9は、チャネルヒータ84及び86が追加されたことを除いては、
図4の構成に対応するチャックを示す概略側面図である。チャネルヒータは、上記のあらゆる別の実施形態に提供されてもよい。
図10は、チャネル48の形状を示す概略上面図である。矢印82は流体の進入を示している。進入の後、流体は、そこから出る前に最初は時計周りに循環し、その後逆時計周りに循環する(矢印80)。チャネルを画定するチャックの領域は、チャネルのすぐ隣であって流体が流れる空洞を画定するチャックの領域である。一実施形態では、チャック内のチャネル48の全長又はその大部分に沿ってチャネルヒータが設けられる。このタイプの実施形態では、ヒータは、局部加熱における変動を提供するためにヒータに沿った位置の関数として変動する出力を提供するように構成される。
図9及び
図10は、チャネルヒータ84及び86が、チャネル48の長さの選択された部分に沿ってのみ提供される別のタイプの実施形態を示している。チャネルヒータ84及び86が存在するチャネル48の長さに沿った領域により高いレベルの加熱が提供され、チャネル48の長さに沿った他の領域により低いレベルの局部加熱が提供されるか又は実質的に局部加熱は提供されない。
【0081】
[0091] 一実施形態では、チャネルヒータ84及び86は、使用中にチャック内の温度勾配が減少するようにチャネルの長さに沿って変動する局部加熱を提供するように構成される。一実施形態では、この温度勾配の減少は、チャネルの第1長さ(例えば、チャネルヒータ84が存在する
図10に示すチャネルの長さ)を画定するチャックの領域に、チャネル48の第2長さ(例えば、
図10の構成における、チャネルヒータ84の下流端と矢印80の出口点との間のチャネルの長さ)を画定するチャックの領域より高いレベルの加熱を提供することによって達成される。このタイプの実施形態では、チャネルの第1長さはチャネルの第2長さより上流である。このタイプの構成は、流体がチャックの中を循環するにつれて加熱する傾向により、温度勾配を減少させるのに効果的となる傾向がある。したがって、チャネル48の上流領域内(及び上流領域に隣接するチャックの一部内)の流体は、チャネル48の下流領域内(及び下流領域に隣接するチャックの一部内)の流体より冷たくなる傾向がある。この効果を補償するようにチャネルヒータ84及び86を構成することにより、チャックにおける温度勾配を減少させることが可能である。温度勾配を減少させることは、チャックに対する熱負荷による熱機械効果の補正を容易にする。したがって、デバイス性能、特にオーバーレイを改善することができる。
【0082】
[0092]
図9及び
図10に示す実施形態では、チャネルヒータ84及び86は、パターニングデバイス又は基板MA/Wに最も近いチャネル48の側面及びパターニングデバイス又は基板MA/Wと反対のチャネル48の側面の両方に設けられているが、これは必須ではない。他の実施形態では、チャネルヒータは、2つの側面のうち1つの側面のみに設けられてもよい。代替的に、基板ヒータは、チャネルを輪状又はらせん状に囲うように構成されるか又はチャネルの長さに沿って変動する所要の局部加熱を提供する他のあらゆる幾何学的形状を有してもよい。
【0083】
[0093] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターン及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、及び/又はインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツール及びその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0084】
[0094] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、又はそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0085】
[0095] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、及び静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つ又はこれらの組合せを指すことができる。
【0086】
[0096] 本発明の具体的な実施形態を上記で説明したが、当然のことながら、説明したもの以外でも本発明を行ってもよい。例えば、本発明は、上記に開示した方法を記載する1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、又はこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスク又は光ディスク)の形態であってもよい。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。