特許第6123114号(P6123114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 一般財団法人電力中央研究所の特許一覧

<>
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000002
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000003
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000004
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000005
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000006
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000007
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000008
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000009
  • 特許6123114-地下水の年代測定装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123114
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】地下水の年代測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/18 20060101AFI20170424BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20170424BHJP
   E02D 19/16 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G01N33/18 106B
   B01J20/26 G
   E02D19/16
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-28341(P2013-28341)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-157090(P2014-157090A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年12月7日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度経済産業省 地層処分技術調査等事業(地層処分共通技術調査:岩盤中地下水移行評価技術高度化開発)委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】中田 弘太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 宏樹
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−112796(JP,A)
【文献】 特開2012−008070(JP,A)
【文献】 平成21年度地層処分技術調査等委託費(地層処分共通技術調査:岩盤中地下水移行評価技術高度化開発 −地下水年代測定技術調査−)報告書,財団法人電力中央研究所,2010年 3月,第132-135、154-167頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/18
B01J 20/26
E02D 19/16
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下水が通水されて前記地下水に含まれる人工有機物を吸着させる疎水性の合成吸着部材と、
前記合成吸着部材から排出される前記地下水からフルボ酸由来の14Cを検出する自然有機物検出手段と、
前記自然有機物検出手段で検出された前記フルボ酸由来の14Cを評価し、評価結果により前記地下水の年代を類推する年代導出手段とを備え
前記人工有機物は、ウラニンであり、
前記合成吸着部材は、メタクリル酸エステルからなる合成吸着樹脂であり、
前記地下水のpHは、前記合成吸着部材でのウラニンの吸着率が90%以上で、フルボ酸の吸着率が20%以下になるように維持される
ことを特徴とする地下水の年代測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下水の年代を測定する地下水の年代測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性廃棄物処分の安全評価を行うため、処分場周辺の地下水流動を把握することが必要である。地下水流動の特性を把握するため、地中の特定物質の移動状況を監視し、放射性廃棄物の地中への漏洩を求めることが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。一方で、地下水の年代を評価(推定)することにより、地下水の流動状況を把握し、放射性廃棄物の地中への移動挙動評価を行うことが考えられている。
【0003】
地下水の年代の評価は、採取した地下水の成分等を分析し、地下水と共に移動する放射性炭素(自然有機物由来の炭素)を評価することで、地下水の年代を推定することができると考えられている。地下水はボーリング孔を利用して採取することになるが、ボーリング孔は掘削液を用いて掘削されるため、ボーリング孔を利用して採取された地下水には掘削液が混入している。掘削液には、混入割合を把握するために蛍光塗料(人工的有機物)が添加されているので、地下水の年代を推定する場合には、地下水から掘削液の蛍光塗料に由来する炭素を分けて自然有機物由来の有機炭素だけを評価する必要がある。
【0004】
地下水に溶存する有機物を合成吸着樹脂に吸着させる技術は知られているが、掘削液の蛍光塗料に由来する炭素を分離した状態で、地下水と共に移動する自然有機物由来の炭素を評価する技術は確立されていないのが現状である。このため、地下水と共に移動する自然有機物由来の炭素を評価することは、地下水の年代の側定に有効であることが知られているにも拘らず、地下水の年代評価の分野の技術として確立されているとはいえないのが実情であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−32463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、地下水と共に移動する放射性炭素(自然有機物由来の炭素)を的確に評価して地下水の年代を測定することができる地下水の年代測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の地下水の年代測定装置は、地下水が通水されて前記地下水に含まれる人工有機物を吸着させる疎水性の合成吸着部材と、前記合成吸着部材から排出される前記地下水からフルボ酸由来の14Cを検出する自然有機物検出手段と、前記自然有機物検出手段で検出された前記フルボ酸由来の14Cを評価し、評価結果により前記地下水の年代を類推する年代導出手段とを備え、前記人工有機物は、ウラニンであり、前記合成吸着部材は、メタクリル酸エステルからなる合成吸着樹脂であり、前記地下水のpHは、前記合成吸着部材でのウラニンの吸着率が90%以上で、フルボ酸の吸着率が20%以下になるように維持されることを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る本発明では、疎水性の合成吸着部材に地下水を通水することで、地下水に含まれる人工有機物を吸着させ、自然有機物検出手段により、合成吸着部材から排出された地下水からフルボ酸を採取し、フルボ酸由来の14Cを検出する。地下水に含まれる自然有機物由来の14Cは地下水と共に移動しているため、14Cを評価することで地下水の年代を測定することが可能である。このため、地下水の年代導出手段により、フルボ酸由来の14C(自然有機物由来の14C)を評価することで、人工有機物由来の14Cが取り除かれた状態の14Cに基づいて地下水の年代が測定される。
また、合成吸着樹脂にウラニンが90%の吸着率で吸着し、フルボ酸は20%以下の吸着率で吸着することになる。このため、ほとんどのウラニンが合成吸着樹脂に吸着して取り除かれ、多くのフルボ酸が合成吸着樹脂を通過して採取される。
参考例として、人工有機物がエオシンであっても良い。
【0009】
このため、地下水と共に移動する放射性炭素(自然有機物由来の炭素)を的確に評価して地下水の年代を測定することが可能になる。
【0013】
上記目的を達成するための地下水の年代測定方法は、疎水性の合成吸着部材に地下水を通水し、前記合成吸着部材から排出される前記地下水からフルボ酸由来の14Cを検出し、検出されたフルボ酸由来の14Cを評価することで前記地下水の年代を導出することを特徴とする。
【0014】
これにより、フルボ酸由来の14Cに基づいて地下水の年代が測定され、地下水と共に移動する自然由来の有機物に含まれる放射性炭素を的確に評価して地下水の年代を測定することが可能になる。
【0015】
また、地下水の年代測定方法は、前記合成吸着部材としてメタクリル酸エステルからなる合成吸着樹脂を用い、合成吸着樹脂に地下水を通水して人工有機系物質を吸着させることを特徴とする。
【0016】
これにより、人工有機物由来の14Cが確実に取り除かれた状態の14Cに基づいて地下水の年代を測定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の地下水の年代測定装置は、地下水と共に移動する放射性炭素(自然有機物由来の炭素)を的確に評価して地下水の年代を測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ボーリング掘削の概念図である。
図2】本発明の一実施例に係る地下水の年代測定装置の概略構成図である。
図3】合成吸着樹脂の特徴を表す表図である。
図4】合成吸着樹脂を決定するための概略構成図である。
図5】ウラニンとフルボ酸の吸着割合とpHとの関係を説明するグラフである。
図6】メタクリル酸エステル系の吸着樹脂の特性図である。
図7】地下水の通過距離に対するウラニン及びフルボ酸の吸着状況の特性図である。
図8】ウラニン及びフルボ酸の通過量を説明するグラフである。
図9】多量の地下水を通水した際のウラニン及びフルボ酸の通過量を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に基づいてボーリング掘削における地下水の採取状況を説明する。図1にはボーリング掘削の概念を示してある。
【0020】
広域での地下水流通を評価するために、例えば、放射性廃棄物の安全評価を行うために、地下水が採取されて地下水の年代が測定される。図に示すように、ボーリング孔1は掘削液2が供給されながら掘削され、掘削液2は地中に浸透すると共に地下水3に混合される。地下水3と共に移動する放射性炭素(自然有機物由来の炭素)を評価することで、地下水3の年代を推定することができることが確認されている。
【0021】
図に示すように、地下水3には掘削液2が混入しており、掘削液2には、混入割合を把握するために蛍光塗料が添加されている。蛍光塗料には、人工的有機物である、ウラニンやエオシンが含まれるため、地下水3の年代を推定する場合には、地下水3から掘削液2の蛍光塗料(例えば、ウラニン)に由来する炭素を分けて自然有機物由来の炭素だけを評価する必要がある。
【0022】
本発明は、地下水3と共に移動する放射性炭素(自然由来の有機物に含まれる放射性炭素:フルボ酸由来の14C)を評価する際に、蛍光塗料(ウラニン)に由来する炭素を取り除いた状態でフルボ酸由来の14Cだけを評価することで地下水3の年代を測定するものである。
【0023】
特に、現場で汲み上げた地下水3から蛍光塗料(ウラニン)に由来する炭素を取り除くことが可能な技術である。
【0024】
図2図3に基づいて地下水の年代測定装置の概略を説明する。図2には本発明の一実施例に係る地下水の年代測定装置の概略構成を説明するブロック構成、図3には合成吸着樹脂の特徴を示してある。
【0025】
図2に示すように、地下水の年代測定装置は、現場で汲み上げた地下水3が通水されて地下水3に含まれる人工有機物である、例えば、ウラニンを吸着させる疎水性の合成吸着部材である合成吸着樹脂11が充填された吸着カラム12が備えられている。地下水3は、HCl等が添加されてpHが5程度に調整される。
【0026】
吸着カラム12から排出される地下水3(ウラニンが取り除かれた地下水)からフルボ酸を取り出し、フルボ酸由来の14Cを検出する自然有機物検出手段13が備えられている。そして、自然有機物検出手段13で検出されたフルボ酸由来の14Cが年代導出手段14で評価される。
【0027】
年代導出手段14では、フルボ酸由来の炭素において、12C、13C、14Cにおける14Cの比率が求められ、14Cの比率に応じて年代が評価される。そして、地下水3と共に移動するフルボ酸由来の14Cの評価結果に応じて地下水3の年代が測定される。
【0028】
年代導出手段14では、ウラニンが取り除かれた地下水3のフルボ酸由来の14Cが評価されるので、蛍光塗料(ウラニン)に由来する人工有機物の14Cが取り除かれた状態の自然有機物由来の14Cを評価することができる。このため、地下水と共に移動する放射性炭素、即ち、フルボ酸由来(自然有機物由来)の14Cを的確に評価して地下水3の年代を測定することが可能になる。
【0029】
合成吸着樹脂11としては、例えば、図3に示した種々の疎水性の樹脂を適用することが可能である。本実施例では、合成吸着樹脂11としては、図3中の樹脂Aを適用した。樹脂Aは、メタクリル酸エステル系の樹脂であり、親水性が比較的高く、疎水性の高い有機物の抽出に高い性能を発揮する樹脂である。
【0030】
尚、合成吸着樹脂11としては、樹脂Aに限らず、例えば、図3に示したように、アクリル酸エステル系の樹脂B、臭素化・芳香族系の樹脂C、芳香族系の樹脂D、アクリル系(アクリルとジビニルベンゼンの共重合物)の樹脂Eを適用することが可能である。
【0031】
図3から図7に基づいて、合成吸着樹脂11としてメタクリル酸エステル系の樹脂Aを適用した根拠を説明する。図3における樹脂の欄のカッコ内の印は、図5のグラフ中の印に対応している。
【0032】
図4には合成吸着樹脂の評価を行うための機構の概略構成、図5にはウラニンとフルボ酸の捕集率の差の割合とpHとの関係を樹脂Aから樹脂Eについて示したグラフ、図6にはウラニンとフルボ酸の捕集割合とpHとの関係を樹脂Aについて示したグラフ、図7には1Lの地下水を通過させた場合の長さ毎のウラニンとフルボ酸の通過割合を示してある。
【0033】
図4に示すように、例えば、直径rmm(例えば、5mmから10mm程度)で長さTmm(例えば、100mm程度)の通路部材16に樹脂Aから樹脂Eを充填し、所定の圧力で地下水を通水し、通水後の地下水に含まれるウラニンとフルボ酸の捕集率の差を測定した。この場合、pH2からpH6まで5種類の地下水を通水した。結果を図5に示す。
【0034】
図5に示すように、樹脂A(○)、樹脂B(△)、樹脂C(□)、樹脂D(▽)、樹脂E(◇)について、pH2からpH6の地下水においてウラニンとフルボ酸の捕集率の差の割合が高いのは(ウラニンを高い割合で捕集するのは)、樹脂A(○)となっている。そして、pH5の地下水の樹脂A(○)で、ウラニンとフルボ酸の捕集率の差が80%程度の高い値を示している。このことから、樹脂AはpH5の地下水からウラニンを高い割合で捕集することが判る。
【0035】
図6に示すように、樹脂Aは、pH2、pH3、pH4、pH5の地下水について、ウラニン(■)を100%程度捕集でき、pH6の地下水について、ウラニン(■)を80%程度捕集できることが判る。そして、pH2、pH3、pH4の地下水について、フルボ酸(●)の捕集率が80%程度、60%程度、40%程度と段階的に低下し、pH5の地下水で捕集率が20%を下回り、pH6の地下水で10%程度の捕集率となることが判る。
【0036】
このため、地下水をpH5にすることで、樹脂Aで、ウラニン(■)の吸着率が90%以上で、フルボ酸(●)の吸着率が20%以下になるように維持される
【0037】
図6に示された結果により、樹脂Aは、pH5の地下水で、ウラニン(■)を多く捕集できると共に、フルボ酸(●)の捕集率が低くなることが判る。つまり、pH5の地下水を樹脂Aに通過させることにより、ウラニン(■)を多く捕集し、多くのフルボ酸(●)を通過させることができることになる。
【0038】
図7に基づいて1LのpH5の地下水を通過させた場合の状況を説明する。図7(a)は通過距離が25mmの場合、図7(b)は通過距離が50mmの場合、図7(c)は通過距離が100mmの場合、図7(d)は通過距離が150mmの場合である。
【0039】
図7(a)から図7(d)に示すように、通過距離が25mm、50mm、100mm、150mmのいずれの場合も、1Lの地下水を通過させた際に、殆どのフルボ酸(●)が通過していることが判る。
【0040】
図7(a)に示すように、通過距離が25mmの場合、初期の状態から20%強のウラニン(■)が通過し、地下水の量が多くなると40%近くのウラニン(■)が通過することが判る。図7(b)に示すように、通過距離が50mmの場合、初期の状態から10%程度のウラニン(■)が通過し、地下水の量が多くなると20%近くのウラニン(■)が通過することが判る。
【0041】
一方、図7(c)、図7(d)に示すように、通過距離が100mm、150mmと長くなると、ウラニン(■)は殆ど通過せず、樹脂Aに吸着されることが判る。
【0042】
このため、樹脂Aでの通過距離を100mm以上とすることで、ウラニン(■)を確実に吸着して多くのフルボ酸(●)を通過させることができることが判る。
【0043】
以上の結果を踏まえて、本発明の実施例では、合成吸着樹脂11(図2参照)として、メタクリル酸エステル系の樹脂Aを適用し、ウラニン(■)を確実に吸着させ、多くのフルボ酸(●)を通過させるようにしている。
【0044】
図8図9に基づいて大量の地下水を流通させた場合の樹脂Aの性能を説明する。
【0045】
図8には1Lの地下水を、例えば、直径が100mmの樹脂Aに通過させた際の、ウラニン(■)及びフルボ酸(●)の通過割合と通過距離の関係を示してある。
【0046】
図に示すように、通過距離が25mm、50mm、100mm、150mmのいずれの場合も、1Lの地下水を通過させた際に、90%以上のフルボ酸(●)が通過していることが判る。
【0047】
通過距離が25mmの場合、40%程度のウラニン(■)が通過し、通過距離が50mmの場合、30%程度のウラニン(■)が通過していることが判る。そして、通過距離が100mm、150mmになると、ウラニン(■)は殆ど通過しない(吸着される)ことが判る。
【0048】
これにより、例えば、直径が100mmの樹脂Aに地下水を流通させても、即ち、地下水の通過面積を広くしても、通過距離を100mm以上にすることで、ウラニン(■)を確実に吸着させ、多くのフルボ酸(●)を通過させることができることが判る。
【0049】
図9には2Lの地下水を樹脂Aに通過させた際の、ウラニン(■)及びフルボ酸(●)の通過割合を示してある。
【0050】
図に示すように、初期の状態から、80%から90%以上のフルボ酸(●)が通過し、ウラニン(■)が殆ど通過していないことが判る。このため、2Lの地下水を樹脂Aに通過させても、ウラニン(■)を確実に吸着させ、多くのフルボ酸(●)を通過させることができることが判る。
【0051】
上述した地下水の年代測定装置では、pH5の地下水を樹脂Aに通過させることで、ウラニンを確実に吸着させ、多くのフルボ酸を通過させることができる。ウラニンが取り除かれた地下水3のフルボ酸由来の14Cが評価されるので、蛍光塗料(ウラニン)に由来する人工有機物の14Cが取り除かれた状態のフルボ酸由来の14Cを評価することで、地下水と共に移動するフルボ酸由来(自然有機物由来)の14Cを的確に評価して地下水の年代を的確に測定することができる。
【0052】
そして、大量の地下水を流通させても(処理量を多くしても)ウラニンを確実に吸着させることができるので、現場で採取した地下水を直接通過させてフルボ酸由来の14Cを評価し、地下水の年代を採取現場で的確に測定することができる。
【0053】
上述した手法によりウラニンが取り除かれた地下水3のフルボ酸由来の14Cを評価して地下水の年代を評価した場合、従来から行われている、He等を用いた手法の結果と略同じ結果が得られていることが確認されている。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、地下水の年代を測定する地下水の年代測定装置の産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 ボーリング孔
2 掘削液
3 地下水
11 合成吸着樹脂
12 吸着カラム
13 自然有機物検出手段
14 年代導出手段
16 通路部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9