(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ミラー付き光導波路を厚さ方向に見たとき、前記ミラーの下辺、上辺、及び両側辺の少なくとも1つと前記開口部の内壁との間に間隙を有する請求項1又は2に記載のミラー付き光導波路。
前記開口部内の下部クラッド層に、前記傾斜面と同一平面でかつ連続するクラッド傾斜面が形成され、該クラッド傾斜面が、前記ミラーの両側辺の少なくとも一方よりも外側に延出する請求項1〜3のいずれかに記載のミラー付き光導波路。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
図1及び
図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係るミラー付き光導波路10及び光ファイバコネクタ100の説明をする。
図1及び
図2において、ミラー付き光導波路10のコアパターン24の数は2つとして説明するが、1つであってもよく、また、3以上であってもよい。
【0021】
図1及び
図2に示すように、本発明のミラー付き光導波路10は、下部クラッド層22と、下部クラッド層22に積層された複数のコアパターン24と、それぞれが複数のコアパターン24のそれぞれの光路上に形成された複数のミラー30と、複数のコアパターン24を覆うように下部クラッド層22に積層され、複数の開口部26aを有する上部クラッド層26と、それぞれが各開口部26aに充填された複数の樹脂部32とを備える。ミラー付き光導波路10は、さらに、それぞれが各開口部26aを覆う複数の蓋部28を備える。
開口部26aの形状は、略柱状であれば良く、例えば、円柱や多角柱であると好ましい。ここでいう略柱状とは、柱状の側壁が斜面になっている円錐台や多角錐台を含み、また、柱状の側壁が湾曲している形状も含む。本実施形態では、1つの開口部26a内に1つのミラー30を形成する。ミラー30が2つ以上併設された場合には、後述するように、複数のミラー30を内包する1つの開口部26aでもよいが、本実施形態のように各ミラー30に対して独立した略柱状の開口部26aを形成すると、ミラー30付近で光導波路の割れ、破断を抑制できるためより好ましい。
本発明の光ファイバコネクタ100は、ミラー付き光導波路10と、ミラー付き光導波路10を積層する基板40と、基板40に積層された光ファイバガイドパターン44とを備える。
なお、以下の説明では、下部、上部クラッド層22、26の積層方向を厚さ方向、その厚さ方向と直交し、コアパターン24を横切る方向を横方向、厚さ方向と直交し、コアパターン24が延在する方向を縦方向とする。
【0022】
(基板)
基板40は、フレキシブルプリント配線基板であって、例えば四角い板形状を有し、その表面に接着層42が形成され、また、裏面にプリント配線が形成されている。光導波路10は、接着層42を介して基板40に接着される。フレキシブルプリント配線基板は、透過性のある材料で形成された板状の基板である。
このとき両面にプリント配線が形成されていても、両面にプリント配線がなくても良い。基板としてフレキシブルプリント配線板を用いることで光信号の透過性を確保できるため好ましいが、例えばスルーホール等を基板に設け、光信号をスルーホールを介して伝搬可能な場合、FR−4やビルドアップ材等のリジッド基板、及びそれらにプリント配線を設けた基板を用いても良い。
また、下部クラッド層22が基板40に対する接着性を有する場合には、接着層42は省略してもよい。
【0023】
(下部クラッド層)
下部クラッド層22は、基板40上に配置されている。下部クラッド層22は、表面が平坦な板状に形成されている。下部クラッド層22は、寸法安定性がありかつ厚さのある材料で形成されることが好ましい。
【0024】
(コアパターン)
各コアパターン24は、矩形の断面形状を有する細長い形状を有し、発光素子(不図示)又は光ファイバ200からの光信号が伝達する光路を形成するように、下部クラッド層22に積層されている。各コアパターン24の端部は、各光ファイバ200の端部202に露出しているコア204と光学的に接続できるよう、上部クラッド層26及び下部クラッド層22から露出している。
ただし、ミラー付き光導波路10が光ファイバコネクタに適用されない場合等には、各コアパターン24の端部は、光ファイバ200に接続する必要はないから、露出している必要はない。
【0025】
(ミラー)
各ミラー30は、光路であるコアパターン24を伝達した光信号を下部クラッド層22の外に向かうように、また、下部クラッド層22の外から入射された光信号が光路を伝達するように、光路をなす各コアパターン24に形成された傾斜面31に形成されている。傾斜面31は、下部クラッド層22の積層方向(厚さ方向)と直交する方向、すなわち、コアパターン24を横切る方向(横方向)に延びる、断面がV字形状の溝により形成され、金、アルミなどの金属が蒸着されている。したがって、ミラー30は、光路を伝達した光信号及び下部クラッド層22を介して入射した光信号を反射する金属層34を有する金属ミラーである。
金属層34は、開口部26a内において露出するコアパターン24の上面、両側面、下部クラッド層22の上面、後述するクラッド傾斜面45、及び開口部26aの内壁に形成され、これにより、金属層34は、傾斜面31及びその周囲に形成されることになる。ただし、傾斜面31以外に設けられた金属層34は、適宜省略されてもよい。
【0026】
また、断面V字形状の溝は、コアパターン24及び下部クラッド層22の積層体に刻設される。そして、コアパターン24が設けられる位置では、上記した傾斜面31と、その傾斜面31と同一平面上にある、下部クラッド層22に形成された傾斜面(以下、クラッド傾斜面45という)が溝の一方の傾斜面になるとともに、コアパターン24が設けられない位置では、クラッド傾斜面45のみが溝の一方の傾斜面となる。このようにクラッド傾斜面45は、光導波路の一方の側面から他方の側面まで連続する面であり、横方向に沿って傾斜面31より長くなる。そのため、クラッド傾斜面45は、各コアパターン24において、傾斜面31の両側辺よりも横方向外側に延出する。
【0027】
(上部クラッド層)
上部クラッド層26は、コアパターン24のうち、ミラー30以外の光路を被覆するよう、下部クラッド層22に積層されている。
上部クラッド層26は、ミラー30を覆わない非被覆状態となるような略柱状の開口部26aを有する。
【0028】
(蓋部)
複数の蓋部28は、開口部26aを覆うことができる大きさを有し、例えば、板形状を有する。蓋部28は、例えば、上部クラッド層26と同じ材質や同じ製法で形成されているが、接着剤層付きフィルム材を所望する形状に加工した後、接着剤層側を上部クラッド層26側にして、開口部26aを覆うように貼り合わせてもよい。
【0029】
(樹脂部)
複数の樹脂部32は、それぞれ、複数の開口部26aに充填された樹脂である。各樹脂部32は、例えば、下部クラッド層22、コアパータン24、及び上部クラッド層26のいずれかと同じ材質であってもよいし、感光性の樹脂組成物で形成されていてもよい。
【0030】
(光ファイバガイドパターン)
光ファイバガイドパターン44は、光ファイバ200が光学的にコアパターン24の光路に接続するように、光ファイバ200が導入される溝を形成する。
【0031】
本実施形態では、開口部26a内は、上記したように樹脂を充填してもよいし、
図3に示すように、樹脂を充填せずに空隙にしてもよい。開口部26a内を空隙のままにする場合には、金属層を開口部26a内に形成してもよいが、
図3に示すように形成しないことが好ましい。金属層を形成しない場合には、傾斜面31は空気との屈折率差を利用した空気反射型のミラー30として作用する。
【0032】
図4は、
図3に示すミラー付き光導波路のミラーを上方から見た平面図である。以下、開口部26a内部に樹脂部を充填せず、かつ傾斜面に金属層を形成しない場合のミラーについてさらに詳細に説明する。
ミラー付き光導波路では、上記したように、コアパターン24に形成されたミラー30が、開口部26a内に形成されたものである。ミラー30をなす傾斜面31は、四角形であり、光導波路を厚さ方向に沿って見ると、傾斜面31の上辺31A、両側辺31B、31C、及び下辺31Dは、開口部26aの内壁にかからないように、開口部26a内部に配置される。そして、コアパターン24上面の一部、コアパターン24の側面の一部、及び下部クラッド層22の一部が開口部内に露出された構造となる。
これにより、傾斜面31からなるミラー30は、クラッド層等によって埋設されず露出し、傾斜面31の上辺31Aおよび両側辺31B、31Cは、空気層との境界となり、反射率の違いにより視認しやすくなる。また、下辺31Dは、クラッド傾斜面45に連続し、それ自体は視認しにくいが、クラッド傾斜面45の上辺46からその位置を認識することができる。すなわち、クラッド傾斜面45は、両側辺31B、31Cより横方向外側に延出し、かつその延出した部分は開口部26a内に配置されるため、その延出した部分の上辺46は、空気層との境界となり視認しやすく、上辺46と同一直線上にある傾斜面31の下辺31Dの位置も容易に認識できる。
なお、以上の説明において、下辺31Dは、傾斜面31の下部クラッド層22側の辺、側辺31B、31Cは傾斜面31の下部クラッド層22側からコアパターン24上面へつながる斜辺、上辺31Aは、傾斜面31のコアパターン24上面側の辺を示す。
【0033】
また、
図4に示すように、光導波路を厚さ方向に沿って見ると、上辺31A、両側辺31B、31C、及び下辺31Dそれぞれと、開口部26aの内壁の間には、一定の間隙があり、その距離は、3μm〜2mmであると良い。本実施形態では、間隙があることで、ミラー30の位置視認性を高めつつ、ミラー30と開口部26aの位置合わせ精度の確保が容易になり、また、解像度の観点から開口部26aの形成が容易になる。また、間隙があることで、クラッド傾斜面45の上辺46は空気層に接することができる。なお、距離が3μm以上であると、ミラー30の視認性や、開口部26a形成時の位置合わせ精度が良好となる。また、2mm以下であると、光導波路のハンドリング性が向上し、基板の平坦性も確保いやすい。
【0034】
以上の
図4を用いた説明では、開口部26a内部に樹脂部が充填されず、傾斜面に金属層が形成されない場合について説明したが、傾斜面に金属層が形成された場合も、ミラー位置は金属層により視認し易くなるため、ミラーの位置識別性が向上する。また、
図1、2に示すように、開口部に樹脂部が充填される場合も金属層により位置識別性が良好になる。例えば、上記したように傾斜面31以外にも金属層が形成され、傾斜面31の周囲に金属層34が設けられる場合、傾斜面31及びその周囲は、金属層の凹凸となり、その凹凸によりミラー30の視認性が向上する。
【0035】
なお、ミラー30の位置認識方法は、上部クラッド層側から見ても下部クラッド層側から見てもよく、厚さ方向に沿って見ると、ミラー30の位置がより正確に認識できるため好ましい。ミラーの認識は、傾斜面の上辺31A及び側辺31B、31Cの輪郭を抽出することによってできる。さらに、クラッド傾斜面45のミラー側の輪郭である上辺46を抽出することによって、下辺31Dの位置を認識することができる。
なお、以上の説明では、上辺31A、両側辺31B、31C、及び下辺31Dの全てと、開口部26aの内壁の間に、間隙がある構成を示したが、これらのうち少なくとも1つの辺と開口部26aの内壁の間に間隙があればよい。
【0036】
(製造方法)
以下、本実施形態の光導波路10及び光ファイバコネクタ100の製造方法について
図1及び
図2を参照して詳述する。
【0037】
(基板)
基板40は、公知のフレキシブルプリント配線基板の製造方法等により形成される。基板40の一方の表面には、光導波路10及び光ファイバ200を容易に固定するために、接着層42が形成されていることが好ましい。
【0038】
(下部クラッド層の形成)
まず、下部クラッド層22は、例えば、クラッド層形成用樹脂又はクラッド層形成用樹脂フィルムを用いて形成される。
クラッド層形成用樹脂としては、コアパターン24より低屈折率で、光又は熱により硬化する樹脂組成物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。クラッド層形成用樹脂に用いる樹脂組成物は、下部クラッド層22において、樹脂組成物に含有する成分が同一であっても異なっていてもよく、樹脂組成物の屈折率が同一であっても異なっていてもよい。
下部クラッド層22の形成方法は特に限定されず、例えば、クラッド層形成用樹脂の塗布又はクラッド層形成用樹脂フィルムを、接着層42が形成されたフレキシブルプリント配線基板40に積層し、ラミネート法により両者を圧接させて形成すればよい。
塗布によってクラッド層を形成する場合、その方法は限定されず、クラッド層形成用樹脂組成物を常法により塗布すればよい。
また、ラミネートを用いて製造する場合、クラッド層形成用樹脂フィルムは、例えば、クラッド層形成用樹脂組成物を溶媒に溶解して、キャリアフィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。
【0039】
(コアパターン及び光ファイバガイドパターンの形成:コアパターン形成工程)
コアパターン24の形成方法は特に限定されないが、例えば、光ファイバガイドパターン44とコアパターン24との間の位置ずれが生じないように、コア層形成用樹脂の塗布又はコア層形成用樹脂フィルムのラミネートによりコア層を形成し、エッチングにより一括形成することが好ましい。
コアパターン24と光ファイバガイドパターン44とにおいて、それぞれコア層を形成した後、同時に露光現像してコアパターン24、光ファイバガイドパターン44を同時に形成することにより、効率よく光ファイバコネクタを製造することができる。
下部クラッド層22に積層された複数のコアパターン24のそれぞれに傾斜面を形成する。複数の傾斜面は、複数のコアパターン24を横断するように、複数のコアパターン24をV字形状に切断した切断面である。これにより、各コアパターン24の切断面が傾斜面となる。
【0040】
各傾斜面と各コアパターン24の長手方向とのなす傾斜角は、用途に応じて適宜設定することができるが、好ましくは30°〜60°、より好ましくは40°〜50°、さらに好ましくは44°〜46°である。
【0041】
(ミラーの形成:ミラー形成工程)
ミラー30は、傾斜面で光信号を反射させることができれば、その形成方法は限定されない。例えば、上記で得られたコアパターン24のフレキシブルプリント配線板の反対側から切削手段を用いて光路変換用の斜面(ミラー30)を形成する。
上述のミラーの形成はレーザアブレーションやダイシングソーを用いることが好ましく、より好ましくはダイシングソーで形成する方法が良い。
また、ミラーを形成する際に、同時にクラッド傾斜面45を形成するとよい。ダイシングソーであれば、コアパターン24に傾斜面を形成する際に、下部クラッド層にダイシングブレードが、食い込むように形成するとよい。
【0042】
(上部クラッド層の形成:上部クラッド層形成工程)
上部クラッド層26は、下部クラッド層22の形成方法と同じ方法で形成することが好ましい。
上部クラッド層26の形成方法は、各ミラー30が形成される傾斜面と光路を形成しているコアパターン24とを被覆することができれば、特に限定されず、下部クラッド層22の形成方法と略同じ形成方法であってもよい。このとき、塗布によって上部クラッド層26を形成する場合、その方法は限定されず、コアパターン24をクラッド層形成用樹脂組成物で常法により塗布すればよい。
また、ラミネートを用いて製造する場合、クラッド層形成用樹脂フィルムを用いることが好ましい。このようにして、上部クラッド層形成用樹脂組成物で各ミラー30が形成される傾斜面と光路を形成しているコアパターン24とを被覆する。
【0043】
(開口部の形成:開口部形成工程)
ネガ型フォトマスクの非露光部がミラー30を覆うように位置合わせして、非露光部を有したネガ型フォトマスクを上部クラッド層26に載せ、ネガ型フォトマスクを介してキャリアフィルム側から紫外線を照射する。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液を用いて、上部クラッド層26をエッチング及び水洗浄を行い、加熱乾燥させ、硬化させて、例えば四角柱の開口部26aを形成する。
【0044】
(金属層の形成:金属層形成工程)
金属層34は、傾斜面で光信号を反射させることができれば、その形成方法は限定されない。金属層34は、コアパターン24の傾斜面及びその近傍、並びに、開口部26aの周囲にまで設けられているが、少なくともコアパターン24の傾斜面を被覆していればよい。この金属層34のうち傾斜面31を被覆している部分がミラー30を構成する。
金属層34は、所定サイズの開口を有するメタルマスクを開口部26a上に設置し、蒸着装置などを用いて、Auなどの光信号を反射させることができる金属を開口部26a内に蒸着させる。
このとき、傾斜面31の近傍以外のコアパターン24は、すでに上部クラッド層26によって覆われているので、メタルマスクを上部クラッド層26に載置しても、メタルマスクは、直接コアパターン24に接触しないから、コアパターン24を傷つける虞がほとんどない。
また、上部クラッド層26の開口部26aが、金属層形成工程におけるレジストの代わりになるので、金属層34の蒸着位置精度が向上する。
メタルマスクは、開口部26aに対して位置決めすればよいので、メタルマスクの位置合わせの精度が低くてもよいので、メタルマスクの位置合わせ作業時間を短縮することができる。
また、金属層形成工程は、上部クラッド層26の上で行うことになるので、金属層形成工程により生じる熱がコアパターン24に直接伝達されにくくなり、コアパターン24は、蒸着工程における熱衝撃の影響を受けにくくなる。
また、ミラー30は、リッジコアの構成をとるので、ミラー30の反射角度を接触式測定装置などで正確に測定することができる。
金属層34の材料としては、Au、Ag、Cu、Cr、Ti、Al、Pd、Niなどの各種金属が好適に用いられる。反射率の観点から、Au、Ag、Cu、Alがより好適に用いられる。
なお、ミラー30は、所定の反射率が得られれば、金属層34を省略してもよい。
開口部26aに樹脂部32が充填されていない場合、上記したようにミラー30の境界は、コアパターン24と空気層とになるので、ミラー30における屈折率差を大きくすることができ、金属層34が蒸着された範囲や傾斜面31の視認性を向上させることができる。さらには、金属層34に使用する金属の使用量を少なくすることができる。ミラー30における屈折率が大きく、かつ、ミラー30がリッジコアを構成しているので、ミラー30の加工における視認性が向上する。
【0045】
(樹脂部の形成:樹脂充填工程)
樹脂部32は、常法により形成することができる。樹脂部32が開口部26a内を充填しているので、埃などの異物がミラー30に付着することを防止することができる。また、ミラー30及び開口部26aが樹脂部32によって覆われているので、上部クラッド層26が被覆補強された状態となり、光導波路10の屈曲強度が向上する。
【0046】
(蓋部の形成:蓋部形成工程)
蓋部28は、例えば、上部クラッド層26と同じ形成方法で形成してもよい。蓋部28の大きさや形状は、複数の開口部26aを1つの蓋部で覆うような大きさであってもよいし、複数の蓋部28でそれぞれ複数の開口部26aを覆うような大きさであってもよい。
なお、金属層形成工程、樹脂充填工程及び蓋部形成工程は、ミラー付き光導波路の構成に応じて適宜省略してよい。
【0047】
以上のミラー付き光導波路10は、ミラー30を覆わない非被覆状態となるような開口部26aを有する上部クラッド層26を備えているので、樹脂部32を設けない場合には、コアパターンとその周囲の空気との屈折率差からミラーの視認性を向上させることが可能になる。また、ミラーに金属層を設けた後に開口部内を樹脂で充填する場合には、ミラー位置を金属層により視認し易くし、また、ミラー30の反射率も高くすることが可能になる。また、開口部26aが従来のメタルマスクの機能を発揮するので、ミラー30を高い位置精度で容易に形成することができる。さらに、開口部26aは、ミラー30が設けられた部分のみ設けられるので、ミラー形成部付近の製品の割れ、破断を抑制し、ハンドリング性の良好なミラー付き光導波路を得ることができる。
【0048】
なお、上記したコアパターンは、光伝達用のコアパターンとして使用される例を説明したが、コアパターンは光伝達用に使用されないダミーコアパターンであってもよく、また、ミラーも光反射用に使用されず、位置認識のためだけに用いられるダミーミラーであってもよい。ダミーミラーは、横方向(すなわち、光信号を伝搬するコアパターンの光軸方向に対する垂直方向)に沿って、光信号を伝搬するコアパターンの1又は2以上のミラー(光反射用ミラー)と一直線上に並べられるとよい。これにより、光反射用ミラーは、上記した位置識別できる構成にしなくても、ダミーミラーによりその位置の識別が可能になる。このときのダミーのミラーは、下辺から上辺までの高さが光反射用ミラーと同じ高さであればよく、両側辺間の幅は適宜選択すれば良い。
また、金属層付きのミラーと金属層を形成していないミラーとが混在していても良く、例えば、光反射用ミラーを金属層を形成していないミラーとし、位置認識のためだけに用いるダミーのミラーに金属層を設けても良い。
また、ダミーコアパターンは、その形状に特に制限は無いが、上記したように、光信号を伝達するコアパターンと平行に並べて設けると、例えばダイシングソー等で、光反射用ミラーを形成する際一括してダミーミラーを形成できるため、高い位置精度が得られやすい。
なお、ダミーミラーを形成する場合には光反射用のミラーを形成すると同時に切削手段を用いて形成することが好ましい。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、
図5を用いて説明する。なお、以下の各実施形態の説明では、他の実施形態と同じ構成を有する部材には同じ符号を付して説明する。
第2の実施形態のミラー付き光導波路10は、第1の実施形態と同様に、下部クラッド層22と、上部クラッド層26と、これら下部クラッド層22及び上部クラッド26によって上下から挟み込むように配置され、これらの内部に埋設されたコアパターン24と、コアパターン24に形成された光路変換用のミラー30と、ミラー30上に設けられた蓋部(不図示)と、基板(不図示)とを有する。ミラー30は、空気反射型のミラーであり、金属層34は形成されない。
また、本実施形態の光導波路10は、各コアパターン24に2つのミラー30、30が設けられ、光信号の入出力の両方を下部クラッド側から行うことができるものである。したがって、光導波路10には、光ファイバガイドパターンが設けられない。ただし、第1の実施形態と同様に、光ファイバガイドパターンが設けられるものであってもよい。
【0050】
また、第1の実施形態では、溝は、下部クラッド層にも刻設されたが、本実施形態では、下部クラッド層には刻設されず、各コアパターン24のみに設けられる断面V形の切り欠き48として形成される。各コアパターン24は、第1の実施形態と同様に、その切り欠き48の光導波路中央側の傾斜面31が光路変換用のミラー30をなす。各コアパターン24の切り欠き48及び光路変換ミラー30は、縦方向において同一位置に配置され、横方向に一列に並ぶことになる。ミラー30は、第1の実施形態と同様に、コアパターン24の軸方向に対して傾斜するものである。したがって、ミラー30で光路変換された光は、厚さ方向に平行に進行することが可能になる。また、厚さ方向に平行な光をコアパターン12に効率よく入射させることも可能になる。
切り欠き48は、第1の実施形態と同様に、例えば、コアパターン24を形成した後、上部クラッド層26をコアパターン24上に積層する前に、ダイシングソーやレーザアブレーション等によって形成するものである。
【0051】
上部クラッド層11Bは、切り欠き48に対応した位置に設けられた開口部46aを有する。開口部46aは、第1の実施形態と同様に、光導波路の外周面に連通しない柱状の開口部(すなわち、穴)である。開口部46aは、上方から見ると、横方向に一列に並ぶ複数の切り欠き48(ミラー30)が設けられた部分、及びその周囲部分と重なるように、横方向に長い矩形状を呈する。
これにより、本実施形態では、1つの開口部46aの内部には複数のミラーが配置され、その各ミラー30(傾斜面31)の上辺、両側辺及び下辺は、開口部46aの内壁と間隙をおいて配置され、その間隙の距離は、第1の実施形態と同様に3μm〜2mmとなるとよい。
【0052】
第2の実施形態でも、第1の実施形態と同様に、上部クラッド層26の上には、補強板である蓋部が積層される(不図示)。開口部46aは、上部がその補強板に閉じられるとともに、下面がコアパターン24及び下部クラッド層22よりなる中空状の空間(空隙46b)となり、その中空状の空隙46bに、複数のミラー30が配置されることになる。
【0053】
以上のような構成により、第2の実施形態でも、ミラーの外周は空気層となるため、ミラーの視認性を向上することができる。また、開口部46aは、第1の実施形態と同様に、上部クラッド層26が光導波路10の両側面に連通するように切削されないので、ミラー形成部付近の製品の割れ、破断を抑制することができる。
【0054】
[第3の実施形態]
図6〜8は、第3の実施形態に係るミラー付き光導波路を説明する図である。
第3の実施形態では、上部クラッド層26には、空気抜き路54が設けられる点が第2の実施形態と相違する。以下、第3の実施形態について第2の実施形態との相違点を説明する。なお、
図6〜8では、基板40の上に接着層がない例を示すが、接着層があってもよい。
本実施形態では、上部クラッド層26の一部が、直線状に取り除かれており、その取り除かれた部分は、上面が蓋部(補強板)28に、下面が下部クラッド層22によって覆われ、それにより、空気抜き路54を形成する。
空気抜き路54は、その長さに限定はないが50μm〜50mmであると良く、300μm以上であると、光導波路を固定する際の接着剤や、洗浄時の洗浄液の浸入をより低減できるため好ましい。また、本実施形態の空気抜き路54は、直線状であるが、曲線状であってもよい。また、空気抜き路54の高さ(厚さ方向の長さ)は、5μm〜150μmであると良い。5μm以上であれば蓋部28を積層する際に、空気抜き路54が、蓋部28又は蓋部28に形成された接着剤層によって、埋められることがなく、150μm以下であれば加工が容易となる。空気抜き路54の幅は、5μm〜500μmであると良い。5μm以上あると空気抜き路54の形成が容易となり、500μm以下であると蓋部28を積層する際に空気抜き路54が、蓋部28や接着層によって埋められることがない。また、空気抜き路54は、2つのコアパターン24の間に配置される。
【0055】
空気抜き路54は、開口部46aの端面13C側の部分から縦方向に沿って、光導波路10の端面13Cに向けて延在し、端面13Cにおいて開口する。これにより、空気抜き路54は、コアパターンと同軸方向に延在し、空気抜き路54の長さを確保しやく好ましい。また、空気抜き路54は、ミラー30によって光路が変換されるコアパターン24が設けられる側とは反対側に向けて延在することになる。
【0056】
ここで、上部クラッド層26に設けられた開口部46aは、第1の実施形態と同様に、例えば、ミラー30が形成されたコアパターン24の上にシート状の上部クラッド層を積層した後、フォトリソブラフィー加工にて、ミラー30に重なる位置の上部クラッド層26をエッチング除去することにより形成する。
【0057】
また、空気抜き路54は、形成方法は特に限定はないが、レーザアブレーションで形成しても良いし、フォトリソグラフィー加工で開口部46aを形成する際、同時にフォトリソグラフィー加工にて形成しても良い。
そして、開口部46a、空気抜き路54を形成した上部クラッド層26の上に、蓋部28を積層することにより、開口部46aの上部を塞いで中空状の空間である空隙46bを形成し、ミラー付き光導波路10を得る。
なお、第3の実施形態において、上部クラッド層26は、開口部46a及び空気抜き路54が形成できるように、フォトリソグラフィー加工可能な材料で形成されると良く、感光性樹脂組成物であるとより好ましい。
【0058】
なお、空気抜き路54は、下部クラッド層22に形成されてもよい。このとき、空気抜き路54をフォトリソグラフィー加工する場合には、下部クラッド層22は、フォトリソグラフィー加工可能な材料で形成されると良く、感光性樹脂組成物で形成されるとより好ましい。
【0059】
以上の第3の実施形態の構成では、光導波路10の内部には中空状の柱状空間(空隙46b)が設けられ、その空隙46bは空気抜き路54を介して、ミラー付き光導波路10の外部に繋がることになる。中空状の空間に接続される空気抜き路54は、1本しか設けられず、すなわち、中空状の空間(空隙46b)は、ミラー付き光導波路10の外部に一箇所のみで繋がることになる。そのため、本実施形態では、空気反射型のミラー30が配置される空間には、液状の異物や光導波路接着用の接着剤が入り込みにくくなる。また、任意の位置で、ミラー付き光導波路10の外部の空間と、光導波路10の内部の空間とを連通できるため、その利便性が高くなる。さらに、空隙46bは密閉空間ではないので、加熱等による空隙46bの熱膨張等により、空気反射型のミラー30が変形することも防止される。
【0060】
[第4の実施形態]
次に、
図9〜11を用いて、第4の実施形態について説明する。第3の実施形態における空気抜き路は、クラッドに設けられていたが、本実施形態における空気抜き路は、クラッドに設けられず、上部クラッド層26の上に設けられたスペーサ層51に設けられる。以下、第4の実施形態について第3の実施形態との相違点を説明する。
【0061】
本実施形態では、第3の実施形態と同様に、下部クラッド層22及びコアパターン24が設けられ、また切り欠き48によりコアパターン24に傾斜面31からなるミラー30が形成される。また、上部クラッド層26には第3の実施形態と同様の開口部46aが設けられる。そして、その上部クラッド層26の上にはスペーサ層51が積層され、補強板である蓋部28はスペーサ層51を介して上部クラッド層26の上に積層される。
スペーサ層51の厚みは特に限定はないが、該スペーサ層51の厚みが空気抜き路64の高さに相当するため、5μm〜150μmであると良い。
【0062】
本実施形態では、スペーサ層51の一部は、上部クラッド層26の開口部46aと一致する位置に、開口部46aと平面視形状が同じ穴からなる開口部51aが設けられており、これら開口部46a、51aによって光導波路には中空状の柱状の空隙53bが形成される。
また、スペーサ層51の一部は、線状に取り除かれており、その取り除かれた部分の上下それぞれが、蓋部28及び上部クラッド層26によって閉じられ、それにより、空気抜き路64が形成される。空気抜き路64は、本実施形態では、横方向に並ぶ2本のコアパターンの間に配置される。空気抜き路64は、中空状の空隙53b(開口部51a)から、第2の実施形態と同様に縦方向に沿って延在し、端面13Cにおいて開口する。これにより、中空状の空間53bは、空気抜き路64を介して、ミラー付き光導波路10の外部に繋がることになる。第4の実施形態では、中空状の空隙53bに接続される空気抜き路64は、1本しか設けられておらず、そのため、中空状の空隙53bは、ミラー付き光導波路10の外部に一箇所のみで繋がることになり、空気反射型のミラー30が配置される空間には、液状の異物や光導波路接着用の接着剤が入り込みにくくなる。
また、スペーサ層51に空気抜き路64を形成したことにより、空気抜き路64の高さを小さくすることができる。そのため、中空状の空隙53bへの空気の出入りが少なくなり、ミラー30の酸化等を防止できる。さらに、任意の位置で、ミラー付き光導波路10の外部の空間と、光導波路の内部の空間とを連通できるため、その利便性が高くなる。また、空隙53bは密閉空間ではないので、加熱等によってミラー30が変形することも防止される。
【0063】
なお、第4の実施形態におけるミラー付き光導波路の形成方法は例えば以下の通りである。
まず、接着層としての機能も兼ね備えるスペーサ層51付きの蓋部28を用意する。このスペーサ層51には空気抜き路64と開口部51aが形成されている。また、ミラー30を有し、かつ上部クラッド層26に開口部46aを形成した下部クラッド層22、コアパターン24、上部クラッド層26の積層体も用意する。そして、上部クラッド層26の開口部46aと、スペーサ層51の開口部51aが一致するように、スペーサ層51付きの蓋部28と、上記積層体とを貼り合わせ、中空状の空隙53bを形成するとともに、その空隙53bと空気抜き路64とを繋げ、ミラー付き光導波路10を得る。
また、開口部46aとミラー30を有する上記積層体をまず用意し、その積層体の上部クラッド層26の上に、スペーサ層51を積層し、スペーサ層51にフォトリソグラフィー加工によって、空気抜き路64と開口部51aを形成する。その後、蓋部28をスペーサ層51の上に積層して、ミラー付き光導波路10を得てもよい。
また、シート状の上部クラッド層26を積層し、上部クラッド層26を開口部46aが形成し得るパターン露光した後に、スペーサ層51を上部クラッド層26の上にさらに積層し、該スペーサ層51に空気抜き路64と開口部51aとを形成し得るパターン露光を行う。そして、エッチングによって上部クラッド層26に開口部46aを形成するとともに、スペーサ層51にも空気抜き路64と開口部51aを形成し、その後、蓋部28をスペーサ層51の上に積層して、ミラー付き光導波路10を得てもよい。
【0064】
なお、スペーサ層51に空気抜き路34と穴33を形成する方法としてフォトリソグラフィー加工を用いる場合には、感光性のスペーサ層51を用いると良く、上述のクラッド層やコア層形成用樹脂を用いることができる。
【0065】
なお、以上の第2〜第4の実施形態では、傾斜面31に金属層34が形成されてもよいし、第2の実施形態ではさらに空隙46bが樹脂部によって埋められてもよい。
また、第2〜第4の実施形態においては、コアパターンは、光伝達用のコアパターンとして使用される例を説明したが、第1の実施形態と同様に、コアパターンは光伝達用に使用されないダミーコアパターンであってもよく、また、ミラーも光反射用に使用されず、位置認識のためだけに用いられるダミーミラーであってもよい。
【0066】
さらに、第2〜第4の実施形態においても、開口部の形状は、矩形に限定されず、円柱状等、他の形状を有していてもよい。さらに、上記第3及び第4の実施形態では、細長のコアパターンが2本以上であって、1つの中空状の空間内に2つ以上のミラーが配置されたが、第1の実施形態と同様に、ミラーの数に対応して、互いに連通しない複数の中空状の空間が形成され、各光路変換ミラーは、その孤立した各空間それぞれに配置されても良い。この場合、各中空状の空間それぞれには、1本の空気抜き路が連通され、中空状の空間はその1本の空気抜き路のみによって、ミラー付き光導波路の外部に繋がる。
【0067】
また、以上の各実施形態において、平面状の下部クラッド層22の上にコアパターン24が設けられたが、下部クラッド層22には、コアパターン形成用の凹みが設けられてもよい。この場合、コアパターン24は、コア形成用材料がその凹みに充填されて形成され、上部クラッド層26は、コアパターン24が凹み内部に形成された下部クラッド層22の上に積層するように設けられる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
【0069】
実施例1
[クラッド層形成用樹脂フィルムの作製]
[(A)ベースポリマー;(メタ)アクリルポリマー(A−1)の作製]
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部及び乳酸メチル23質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を65℃に上昇させ、メチルメタクリレート47質量部、ブチルアクリレート33質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16質量部、メタクリル酸14質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部及び乳酸メチル23質量部の混合物を3時間かけて滴下後、65℃で3時間撹拌し、さらに95℃で1時間撹拌して、(メタ)アクリルポリマー(A−1)溶液(固形分45質量%)を得た。
【0070】
[重量平均分子量の測定]
(A−1)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)をGPC(東ソー株式会社製「SD−8022」、「DP−8020」及び「RI−8020」)を用いて測定した結果、3.9×10
4であった。なお、カラムは日立化成工業株式会社製「Gelpack GL−A150−S」及び「Gelpack GL−A160−S」を使用した。
【0071】
[酸価の測定]
(A−1)の酸価を測定した結果、79mgKOH/gであった。なお、酸価は(A−1)溶液を中和するのに要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
【0072】
[クラッド層形成用樹脂ワニスの調合]
(A)ベースポリマーとして、前記(A−1)溶液(固形分45質量%)84質量部(固形分38質量部)、(B)光硬化成分として、ポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製「U−200AX」)33質量部及びポリプロピレングリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業株式会社製「UA−4200」)15質量部、(C)熱硬化成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型三量体をメチルエチルケトンオキシムで保護した多官能ブロックイソシアネート溶液(固形分75質量%)(住化バイエルウレタン株式会社製「スミジュールBL3175」)20質量部(固形分15質量部)、(D)光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア2959」)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(チバ・ジャパン株式会社製「イルガキュア819」)1質量部及び希釈用有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23質量部を撹拌しながら混合した。孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋株式会社製「PF020」)を用いて加圧濾過後、減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスを得た。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂組成物を、PETフィルム(東洋紡績株式会社製「コスモシャインA4100」、厚さ50μm)の非処理面上に、前記塗工機を用いて塗布し、100℃で20分乾燥後、保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製「ピューレックスA31」、厚さ25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、本実施例では使用した第1下部クラッド層及び第2下部クラッド層(接着層)の厚さに付いては、実施例中に記載する。また、第1下部クラッド層及び第2下部クラッド層の硬化後の膜厚と塗工後の膜厚は同一であった。本実施例で用いた上部クラッド層形成用樹脂フィルムの膜厚についても実施例中に記載する。実施例中に記載する上部クラッド層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
【0073】
[コア層形成用樹脂フィルムの作製]
(A)ベースポリマーとして、フェノキシ樹脂(東都化成株式会社製「フェノトートYP−70」)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(新中村化学工業株式会社製「A−BPEF」)36質量部、及びビスフェノールA型エポキシアクリレート(新中村化学工業株式会社製「EA−1020」)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガキュア819」)1質量部及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製「イルガキュア2959」)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法及び条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法及び条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(東洋紡績株式会社製「コスモシャインA1517」、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社「ピューレックスA31」、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、本実施例では使用したコア層形成用樹脂フィルム厚さに付いては、実施例中に記載する。実施例中に記載するコア層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
【0074】
[フレキシブルプリント配線板の作製]
(サブトラクティブ法による電気配線形成)
片面銅箔付きのポリイミドフィルム((ポリイミド;宇部日東化成製「ユーピレックスVT」、厚さ:25μm)、(銅箔;三井金属鉱業社製「NA−DFF」)、厚さ:9μm)の銅箔面に感光性ドライフィルムレジスト(日立化成工業株式会製「フォテック」、厚さ:25μm)をロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製「HLM−1500」)を用い圧力0.4MPa、温度110℃、ラミネート速度0.4m/minの条件で貼り、次いで紫外線露光機(株式会社オーク製作所製「EXM−1172」)にて感光性ドライフィルムレジスト側から幅50μmのネガ型フォトマスクを介し、紫外線(波長365nm)を120mJ/cm
2照射し、未露光部分の感光性ドライフィルムレジストを35℃の0.1〜5重量%炭酸ナトリウムの希薄溶液で除去した。その後、塩化第二鉄溶液を用いて、感光性ドライフィルムレジストが除去されむき出しになった部分の銅箔をエッチングにより除去し、35℃の1〜10重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、露光部分の感光性ドライフィルムレジストを除去し、L(ライン幅)/S(間隙幅)=60/190μmの電気配線を形成しフレキシブルプリント配線基板40を得た。
【0075】
(Ni/Auめっきの形成)
その後、フレキシブルプリント配線基板40を、脱脂、ソフトエッチング、酸洗浄し、無電解Niめっき用増感剤(日立化成工業株式会社製「SA−100」)に25℃で5分間浸漬後水洗し、83℃の無電解Niめっき液(奥野製薬工業株式会社製「ICPニコロンGM−SD溶液」、pH4.6)に8分間浸漬して3μmのNi被膜を形成し、その後、純水にて洗浄を実施した。
次に、置換金めっき液(100mL;日立化成工業株式会社製「HGS−500」及び1.5g;シアン化金カリウム/Lで建浴)に85℃で8分間浸漬し、Ni被膜上に0.06μmの置換金被膜を形成した。これにより、カバーレイフィルムのない電気配線部分が、Ni及びAuのめっきに被覆されたフレキシブルプリント配線基板40を得た。
【0076】
[第1の実施形態の光導波路の作製]
上記で得られたフレキシブルプリント配線基板40のポリイミド面(電気配線形成面と反対の面)に上記で得られたクラッド層形成用樹脂フィルムから保護フィルムである離型PETフィルム(ピューレックスA31)を剥離し、平板型ラミネータとして真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製「MVLP−500」)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度50℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着し、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製「EXM−1172」)にて紫外線(波長365nm)を4J/cm
2照射し、その後、キャリアフィルムを剥離し、続いて、170℃で1時間加熱乾燥及び硬化し、下部クラッド層22を形成した。
【0077】
次に、下部クラッド層22上に、ロールラミネータ(日立化成テクノプラント株式会社製「HLM−1500」)を用い圧力0.4MPa、温度50℃、ラミネート速度0.2m/minの条件で上記コア層形成用樹脂フィルムをラミネートし、次に、開口幅が50μmネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機にて紫外線(波長365nm)を0.6J/cm
2照射し、次いで80℃で5分間露光後加熱を行った。その後、支持フィルムであるPETフィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N,N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、コアパターン24を現像形成した。続いて、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥し、コアパターン24を形成するコアパターン形成工程をした。
【0078】
上記で得られたコアパターン24のフレキシブルプリント配線板反対側からダイシングソー(株式会社ディスコ社製「DAC552」)を用いて光路変換用の斜面(ミラー30)を切削形成するミラー形成工程をした。
【0079】
次いで、厚さ70μmの上記クラッド層形成用樹脂フィルムを上記真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製、「MVLP−500」)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒ラミネートして上部クラッド層26を形成する上部クラッド層形成工程をした。
【0080】
さらに、150μm×150μmの非露光部を有したネガ型フォトマスクを介し、該非露光部をミラー30形成部に位置合わせした後に、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製「EXM−1172」)にてキャリアフィルム側から紫外線(波長365nm)を250mJ/cm
2照射した。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、上部クラッド層26をエッチングし続いて、水洗浄し、170℃で1時間加熱乾燥及び硬化し、四角柱の開口部26aを形成する開口部形成工程をして、ミラー付き光導波路とした。
【0081】
得られた光導波路を屈曲させたところ、ミラー30形成付近で割れや破断することは無かった。得られた光導波路の上部クラッド層側及びフレキシブルプリント配線板側からミラー30を見たところ良好に位置の確認ができた。
【0082】
実施例2
実施例1において、開口部26aを形成した後に、総厚50μmポリイミドテープを開口部上に貼りあわせて蓋部28を形成する蓋部形成工程をした以外は同様の方法でミラー付き光導波路を形成した。得られた光導波路を屈曲させたところ、ミラー30形成付近で割れや破断することは無かった。蓋部28を有するため、ミラー30への異物の付着は無かった。得られた光導波路の上部クラッド層側及びフレキシブルプリント配線板側からミラー30を見たところ良好に位置の確認ができた。
【0083】
実施例3
実施例1において、開口部26aを形成した後に、300μm×300μm開口させたメタルマスクを開口部26a上に設置し、蒸着装置(株式会社ファースト技研製「RE−0025」)を用いて金属層としてAuを0.5μm蒸着させる金属層形成工程をした。
その後、樹脂部形成用樹脂として70μm厚さの上記クラッド層形成用樹脂フィルムを、金属層34形成面側から、上記真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製「MVLP−500」)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒ラミネートした。さらに、800μm×800μmの露光部を有したネガ型フォトマスクを介し、該露光部を金属層34形成部に位置合わせした後に、紫外線露光機(株式会社オーク製作所製「EXM−1172」)にてキャリアフィルム側から紫外線(波長365nm)を250mJ/cm
2照射した。その後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、エッチング及び水洗浄し、170℃で1時間加熱乾燥及び硬化して、樹脂部32を形成する樹脂充填工程以外は同様の方法でミラー付き光導波路を形成した。得られた光導波路は、蒸着工程中においてもミラー30形成付近で割れや破断することは無く、樹脂部32形成後に光導波路を屈曲させても、ミラー30形成付近で割れや破断することは無かった。
得られた光導波路の上部クラッド層側及びフレキシブルプリント配線板側からミラー30を見たところ良好に位置の確認ができた。
【0084】
比較例1
実施例1において、コアパターン24を形成した後に、ミラー30を形成せず、開口部を有さない上部クラッド層を形成し、その後、上記のダイシングソー(株式会社ディスコ社製「DAC552」)を用いて光路変換用の斜面(ミラー30)を切削形成した。
得られた光導波路を屈曲させたところ、ミラー30形成付近で割れが発生した。
得られた光導波路の上部クラッド層側及びフレキシブルプリント配線板側からミラー30を見たところミラー30の境界が不明瞭であり、ミラー30の位置の確認が困難であった。
【0085】
実施例4
[第3の実施形態のミラー付き光導波路の作製]
(工程1)下部クラッド層の作製
15μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムを7cm×2cmに切断し、保護フィルムを剥離した後、真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度120℃、加圧時間30秒の条件で基板40としてのポリイミドフィルム(商品名:カプトンEN、東レ・デュポン(株)製、厚さ:25μm)に加熱圧着した。その後、紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス(株)製)でキャリアフィルム側から紫外線を4000mJ/cm
2照射し、支持フィルムを剥離した後に170℃、1時間加熱硬化して下部クラッド層22を得た。
【0086】
(工程2)コアパターンの作製
次に、下部クラッド層22上にロールラミネータ(商品名:HLM−1500、日化設備エンジニアリング(株)製)を用いて、圧力0.5MPa、温度50℃、ラミネート速度0.2m/minの条件で保護フィルムを剥離した50μm厚のコア層形成用樹脂フィルムをラミネートし、次いで、上記の真空加圧式ラミネータ(商品名:MVLP−500、(株)名機製作所製)を用いて500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件で加熱圧着した。その後、コアパターン幅60μm、長さ50mm、4chのネガ型フォトマスクを介し、上記紫外線露光機(商品名:EV−800、日立ビアメカニクス(株)製)でコア層形成用樹脂フィルム側から紫外線を800mJ/cm
2照射し、次いで、80℃で5分間加熱を行った。その後、支持フィルムを剥離し、現像液(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/N、N−ジメチルアセトアミド=8/2、質量比)を用いて、コア層をエッチングした。その後、洗浄液(イソプロパノール)を用いて洗浄し、100℃で10分間加熱乾燥させて、コアパターン24を形成した。
【0087】
(工程3)ミラーの作製
上部クラッド層11B側からダイシングソー(DAC552、株式会社ディスコ社製)を用い、傾斜面31が45°で傾く切り欠き48を形成することにより、コアパターン24にミラー30を形成した。このとき、
図6に示すように、ミラー30は一つのコアパターン24に対して2箇所(50mm間隔)形成した。
【0088】
(工程4)上部クラッド層の作製
次いで、保護フィルムを剥離した70μm厚のクラッド層樹脂フィルムをコアパターン24形成面側から上記の真空加圧式ラミネータ(株式会社名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度110℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着して、ラミネートした。さらに、開口部46a(ミラー30に重なる位置及びその周辺部)に対応した形状の遮光部と、空気抜き路54(幅100μm、長さ5mm)に対応した形状の遮光部とを有するネガ型フォトマスクを使用して紫外線(波長365nm)を350J/cm
2照射後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、上部クラッド層26をパターン化した。続いて、水洗浄し、紫外線(波長365nm)を4000mJ/cm
2照射した後に、170℃で1時間加熱硬化した。
【0089】
(工程5)蓋部の作製
その後、ポリイミドフィルム(ユーピレックスRN(宇部日東化成製)、厚み;25μm)上に接着層としての上記で得られた10μm厚のクラッド層形成用樹脂フィルムの保護フィルムを剥離して、上記と同様の条件で、真空ラミネータによって積層し、接着層付きの蓋部28を形成した。次に、蓋部28に積層したクラッド層形成用樹脂フィルムのキャリアフィルムを剥離し、ミラー30形成面側から、上記と同様の条件で、真空ラミネータによって加熱圧着した。次いで、180℃1h加熱硬化し、蓋部28を固定してミラー付き光導波路を得た。得られたミラー付き光導波路は、ミラー30と蓋部28との間の空間が、空気抜き路54を介して、ミラー付き光導波路外部の空間と、1箇所のみで繋がっていた。
[洗浄液浸入の確認]
得られたミラー付き光導波路を純水に浸漬させ洗浄を行ったところ、ミラーへの液まわりはなく、純水から取り出した後も良好に光伝搬が行われた。
得られたミラー付き光導波路を、光導波路の接着剤としてクラッド層形成用樹脂ワニスに浸漬させたところ、ミラー部への液まわりはなく、良好に光伝搬が行われた。
【0090】
実施例5
[第4の実施形態のミラー付き光導波路の作成]
上部クラッド層樹脂フィルムをラミネートするまで実施例4と同様に実施した。その後、上部クラッド層26を露光するとき、ネガ型フォトマスクを、遮光部が開口部46a(ミラー30に重なる位置及びその周辺部)に対応する部分のみに設けられたネガ型フォトマスクに変更し、上部クラッド層に紫外線(波長365nm)を350J/cm
2で照射後、キャリアフィルムを剥離した。次いで、スペーサ層51として、保護フィルムを剥離した厚み20μmのクラッド層形成用樹脂フィルムを、紫外線照射後の上部クラッド層26上に積層し、実施例2の上部クラッド層26の露光用に用いたネガ型フォトマスクを使用して紫外線(波長365nm)を350J/cm
2照射後、キャリアフィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、上部クラッド層26とスペーサ層51を同時にパターン化した。このパターン化により、上部クラッド層26に開口部46aを形成し、スペーサ層51に開口部51aと、空気抜き路64(幅100μm、長さ5mm)を形成した。続いて、水洗浄し、紫外線(波長365nm)を4000mJ/cm
2照射した後に、170℃で1時間加熱硬化した。
その後、実施例1と同様に蓋部28を積層し、ミラー付き光導波路を得た。得られたミラー付き光導波路は、ミラー30と蓋部28の間に形成された中空状の空間が、ミラー付き光導波路外部の空間と、スペーサ層51に設けられた空気抜き路64を介して1箇所のみで繋がっていた。
【0091】
[洗浄液浸入の確認]
得られたミラー付き光導波路を純水に浸漬させ洗浄を行ったところ、ミラーへの液まわりはなく、純水から取り出した後も良好に光伝搬が行われた。
得られたミラー付き光導波路を、光導波路の接着剤としてクラッド層形成用樹脂ワニスに浸漬させたところ、ミラー部への液まわりはなく、良好に光伝搬が行われた。
【0092】
参考例1
実施例4において、空気抜き路54を形成しなかった以外は同様の方法でミラー付き光導波路を作製した。得られたミラー付き光導波路は、中空状の空隙46bが、ミラー付き光導波路外部の空間と繋がっていない。
補強板15の熱硬化時に閉鎖空間である穴状の空間の体積膨張により、ミラー30が変形され、良好に光伝搬が行われなかった。
【0093】
参考例2
実施例5において、1つの中空状の空間に対して2つの空気抜き路64を、スペーサ層に形成した以外は同様の方法でミラー付き光導波路を作製した。得られたミラー付き光導波路は、ミラー30と蓋部28の間にある中空状の空間が、筐体外の空間と2箇所で繋がっていた。
【0094】
[洗浄液浸入の確認]
得られたミラー付き光導波路を純水に浸漬させ洗浄を行ったところ、光路変換ミラー部へ純水が浸入した。純水から取り出した後も良好に光伝搬が行われなかった。