特許第6124025号(P6124025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6124025多核フェノール類を有するノボラック樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124025
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】多核フェノール類を有するノボラック樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20170424BHJP
   G03F 7/26 20060101ALI20170424BHJP
   C08G 8/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   G03F7/26 511
   C08G8/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-531597(P2014-531597)
(86)(22)【出願日】2013年8月13日
(86)【国際出願番号】JP2013071870
(87)【国際公開番号】WO2014030579
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2016年3月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-182562(P2012-182562)
(32)【優先日】2012年8月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴文
(72)【発明者】
【氏名】新城 徹也
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】染谷 安信
(72)【発明者】
【氏名】西巻 裕和
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 涼
(72)【発明者】
【氏名】坂本 力丸
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−098431(JP,A)
【文献】 特開2011−150023(JP,A)
【文献】 特開2010−170013(JP,A)
【文献】 特開2010−117629(JP,A)
【文献】 特開2006−259482(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/097457(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3つのフェノール基を有し且つ該フェノール基は第3級炭素原子に結合した構造を有するか、又は該フェノール基はメチル基が結合した第4級炭素原子に結合した構造を有する化合物と、芳香族アルデヒド又は芳香族ケトンとを酸性触媒の存在下に反応させて得られるフェノールノボラック樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物。
【請求項2】
フェノールノボラック樹脂が、下記式(1)の単位構造、式(2)の単位構造、式(3)の単位構造、式(4)の単位構造、又はそれら単位構造の組み合わせ:
【化1】

〔式(1)、式(2)、式(3)、式(4)中、Aは少なくとも3つのフェノール基を有し該フェノール基は第3級炭素原子に結合した構造を有する有機基であり、B、B、B及びBはそれぞれ式(5):
【化2】

(式(5)中、Cはハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、Cは水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、そしてCとCはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していても良い。)を示す。〕を含む請求項1に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項3】
上記Aが式(6):
【化3】

(式(6)中、Tは単結合、炭素数1乃至10のアルキレン基、又は炭素数6乃至40のアリーレン基であり、X及びXはそれぞれ水素原子又はメチル基であり、R乃至Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、R乃至Rはそれぞれ炭素数1乃至10のアルキル基又は炭素数6乃至40のアリール基であり、n1乃至n4はそれぞれ0乃至3の整数を示し、各フェノール基は上記、B、B、B及びBと適宜結合する。)で示される請求項2に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項4】
上記Aが式(7):
【化4】

(式(7)中、R乃至R11はそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、R12乃至R14はそれぞれ炭素数1乃至10のアルキル基又は炭素数6乃至40のアリール基であり、Xは水素原子又はメチル基であり、n5乃至n7はそれぞれ0乃至3の整数を示し、各フェノール基は上記、B、B、B及びBと適宜結合する。)で示される請求項2に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項5】
上記Cがアントリル基、又はピレニル基である請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項6】
更に架橋剤を含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項7】
更に酸及び/又は酸発生剤を含む請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成することによって得られるレジスト下層膜。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成して下層膜を形成する工程を含む半導体の製造に用いられるレジストパターンの形成方法。
【請求項10】
半導体基板上に請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板に請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のレジスト下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法。
【請求項12】
ハードマスクが無機物の蒸着によるものである請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板加工時に有効なリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物、並びに該レジスト下層膜形成組成物を用いるレジストパターン形成法、及び半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から半導体デバイスの製造において、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィーによる微細加工が行われている。前記微細加工はシリコンウェハー等の被加工基板上にフォトレジスト組成物の薄膜を形成し、その上に半導体デバイスのパターンが描かれたマスクパターンを介して紫外線などの活性光線を照射し、現像し、得られたフォトレジストパターンを保護膜としてシリコンウェハー等の被加工基板をエッチング処理する加工法である。ところが、近年、半導体デバイスの高集積度化が進み、使用される活性光線もKrFエキシマレーザ(248nm)からArFエキシマレーザ(193nm)へと短波長化されてきている。これに伴い、照射における活性光線の基板からの乱反射や定在波の影響が大きな問題となり、フォトレジストと被加工基板の間に反射防止膜(BottomAnti−ReflectiveCoating、BARC)を設ける方法が広く検討されるようになってきた。
【0003】
また、レジストパターンの微細化が進行するにつれ、解像度の問題や現像後に形成されたレジストパターンが倒壊するという問題が生じ、これを解決するため、レジストの薄膜化が望まれる。しかし、このレジストの薄膜化によって、基板加工に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、そのため、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成されるレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなレジスト膜厚の薄膜化を目的に、レジスト下層膜を少なくとも2層形成し、該レジスト下層膜をエッチングマスクとして使用するリソグラフィープロセスが知られている。ここで、リソグラフィープロセス用のレジスト下層膜としては、ドライエッチング工程におけるエッチングガス(例えばフルオロカーボン)に対して高い耐エッチング性を有することが必要である。
【0004】
さらに、レジストパターンの微細化に伴い、エッチングマスクとなるレジスト下層膜においては、ドライエッチング工程の際にウイグリング(wiggling)と呼ばれるレジスト下層膜の不規則なパターンの曲がりが発生することで、半導体基板加工時に所望のパターン形成を阻害する可能性が生じる。したがって、エッチングマスクとなるレジスト下層膜では、微細パターンにおいてもウイグリングの発生を抑制できるようなウイグリング耐性の高い下層膜材料が要求されるようになっている。加えて、レジスト下層膜では、半導体基板表面上に形成された段差や凹凸部を充分に被覆できるような平坦化性や埋込性を有するレジスト下層膜形成組成物が要求されている。
【0005】
上記レジスト下層膜用のポリマーとして例えば以下のものが例示されている。
ポリビニルカルバゾールを用いたレジスト下層膜形成組成物が例示されている(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3を参照)。
フルオレンフェノールノボラック樹脂を用いたレジスト下層膜形成組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
フルオレンナフトールノボラック樹脂を用いたレジスト下層膜形成組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
フルオレンフェノールとアリールアルキレンを繰り返し単位とする樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物が開示されている(例えば、特許文献6、特許文献7参照)。
カルバゾールノボラックを用いたレジスト下層膜形成組成物が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
多核フェノールノボラックを用いたレジスト下層膜形成組成物が開示されている(例えば、特許文献9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−293850号
【特許文献2】特開平1−154050号
【特許文献3】特開平2−22657号
【特許文献4】特開2005−128509
【特許文献5】特開2007−199653
【特許文献6】特開2007−178974
【特許文献7】米国特許第7378217号
【特許文献8】国際公開パンフレットWO2010/147155
【特許文献9】特開2006−259249
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、半導体装置製造のリソグラフィープロセスに用いるためのレジスト下層膜形成組成物を提供することである。また本発明は、フルオロカーボンのようなエッチングガスに対して高いドライエッチング耐性を有し、ドライエッチング工程におけるレジスト下層膜のウイグリングを抑制することで、半導体基板加工の微細化を達成できることにある。さらに、段差や凹凸部を有する半導体基板表面に対して良好な平坦化性や埋込性を発現するために、レジスト溶剤への溶解性が高く、スピンコート可能な塗布型のレジスト下層膜形成組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は第1観点として、少なくとも3つのフェノール基を有し且つ該フェノール基は第3級炭素原子に結合した構造を有するか、又は該フェノール基はメチル基が結合した第4級炭素原子に結合した構造を有する化合物と、芳香族アルデヒド又は芳香族ケトンとを酸性触媒の存在下に反応させて得られるフェノールノボラック樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物、
第2観点として、フェノールノボラック樹脂が、下記式(1)の単位構造、式(2)の単位構造、式(3)の単位構造、式(4)の単位構造、又はそれら単位構造の組み合わせ:
【化1】
〔式(1)、式(2)、式(3)、式(4)中、Aは少なくとも3つのフェノール基を有し該フェノール基は第3級炭素原子に結合した構造を有する有機基であり、B、B、B及びBはそれぞれ式(5):
【化2】
(式(5)中、Cはハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、Cは水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、そしてCとCはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していても良い。)を示す。〕を含む第1観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
第3観点として、上記Aが式(6):
【化3】
(式(6)中、Tは単結合、炭素数1乃至10のアルキレン基、又は炭素数6乃至40のアリーレン基であり、X及びXはそれぞれ水素原子又はメチル基であり、R乃至Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、R乃至Rはそれぞれ炭素数1乃至10のアルキル基又は炭素数6乃至40のアリール基であり、n1乃至n4はそれぞれ0乃至3の整数を示し、各フェノール基は上記、B、B、B及びBと適宜結合する。)で示される第2観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
第4観点として、上記Aが式(7):
【化4】
(式(7)中、R乃至R11はそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、R12乃至R14はそれぞれ炭素数1乃至10のアルキル基又は炭素数6乃至40のアリール基であり、Xは水素原子又はメチル基であり、n5乃至n7はそれぞれ0乃至3の整数を示し、各フェノール基は上記、B、B、B及びBと適宜結合する。)で示される第2観点に記載のレジスト下層膜形成組成物、
第5観点として、上記Cがアントリル基、又はピレニル基である第2観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第6観点として、更に架橋剤を含む第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第7観点として、更に酸及び/又は酸発生剤を含む第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物、
第8観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成することによって得られるレジスト下層膜、
第9観点として、第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物を半導体基板上に塗布し焼成して下層膜を形成する工程を含む半導体の製造に用いられるレジストパターンの形成方法、
第10観点として、半導体基板上に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、
第11観点として、半導体基板に第1観点乃至第7観点のいずれか一つに記載のレジスト下層膜形成組成物により下層膜を形成する工程、その上にハードマスクを形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該下層膜をエッチングする工程、及びパターン化された下層膜により半導体基板を加工する工程を含む半導体装置の製造方法、及び
第12観点として、ハードマスクが無機物の蒸着によるものである第11観点に記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のレジスト下層膜形成組成物により、フルオロカーボンのようなエッチングガスに対して高いドライエッチング耐性を持つ、優れたレジスト下層膜を提供することができる。
【0010】
レジストパターンの微細化に伴いレジストパターンが現像後に倒れることを防止するためにレジストの薄膜化が行われている。そのような薄膜レジストでは、レジストパターンをエッチングプロセスでその下層膜に転写し、その下層膜をマスクとして基板加工を行うプロセスやレジストパターンをエッチングプロセスでその下層膜に転写し、さらに下層膜に転写されたパターンを異なるエッチングガスを用いてその下層膜に転写するという行程を繰り返し、最終的に基板加工を行うプロセスがある。本発明のレジスト下層膜及びその形成組成物はこのプロセスに有効であり、本発明のレジスト下層膜を用いて基板を加工する時は、加工基板(例えば、基板上の熱酸化ケイ素膜、窒化珪素膜、ポリシリコン膜等)に対して十分にエッチング耐性を有するものである。
【0011】
そして、本発明のレジスト下層膜は、平坦化膜、レジスト下層膜、レジスト層の汚染防止膜、ドライエッチ選択性を有する膜として用いることができる。これにより、半導体製造のリソグラフィープロセスにおけるレジストパターン形成を、容易に、精度良く行うことができるようになる。特に、ドライエッチング工程におけるレジスト下層膜のウイグリング(不規則なパターンの曲がり)の発生を抑制することができる。さらに、段差や凹凸部を有する半導体基板表面を凹凸やボイドなく被覆することが可能な良好な平坦化性や埋込性を有する。
【0012】
本発明によるレジスト下層膜形成組成物によるレジスト下層膜を基板上に形成し、その上にハードマスクを形成し、その上にレジスト膜を形成し、露光と現像によりレジストパターンを形成し、レジストパターンをハードマスクに転写し、ハードマスクに転写されたレジストパターンをレジスト下層膜に転写し、そのレジスト下層膜で半導体基板の加工を行うプロセスがある。このプロセスでハードマスクは有機ポリマーや無機ポリマーと溶剤を含む塗布型の組成物によって行われる場合と、無機物の真空蒸着によって行われる場合がある。無機物(例えば、窒化酸化ケイ素)の真空蒸着では蒸着物がレジスト下層膜表面に堆積するが、その際にレジスト下層膜表面の温度が400℃前後に上昇する。本発明では用いられるポリマーが式(1)、式(2)、式(3)、式(4)又はそれらの組み合わせからなるノボラック樹脂であるため極めて耐熱性が高く、蒸着物の堆積によっても熱劣化を生じない。さらに、本レジスト下層膜形成組成物はレジスト溶剤への溶解性が高く、スピンコート性に優れた塗布型組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図2】実施例3の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図3】実施例4の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図4】実施例6の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図5】実施例7の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図6】実施例8の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図7】実施例9の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図8】実施例10の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図9】実施例11の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図10】比較例1の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図11】比較例2の平坦化性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図12】実施例1の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図13】実施例3の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図14】実施例4の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図15】実施例6の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図16】実施例7の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図17】実施例8の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図18】実施例9の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図19】実施例10の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図20】実施例11の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図21】比較例1の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
図22】比較例2の埋込性試験結果を示す断面SEM写真(倍率10万倍)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明は、少なくとも3つのフェノール基を有し且つ該フェノール基は第3級炭素原子に結合した構造を有するか、又は該フェノール基はメチル基が結合した第4級炭素原子に結合した構造を有する化合物と、芳香族アルデヒド又は芳香族ケトンとを酸性触媒の存在下に反応させて得られるフェノールノボラック樹脂を含むレジスト下層膜形成組成物である。
本発明において上記のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は上記樹脂と溶剤を含む。そして、必要に応じて架橋剤、酸、酸発生剤、界面活性剤等を含むことができる。この組成物の固形分は0.1乃至70質量%、または0.1乃至60質量%である。固形分はレジスト下層膜形成組成物から溶剤を除いた全成分の含有割合である。固形分中に上記ポリマーを1乃至100質量%、または1乃至99.9質量%、または50乃至99.9質量%、または50乃至95質量%、または50乃至90質量%の割合で含有することができる。
本発明に用いられるポリマーは、重量平均分子量が600乃至1000000、又は600乃至200000である。
【0015】
フェノールノボラック樹脂が、下記式(1)の単位構造、式(2)の単位構造、式(3)の単位構造、式(4)の単位構造、又はそれら単位構造の組み合わせを含む。
式(1)、式(2)、式(3)、式(4)中、Aは少なくとも3つのフェノール基を有し且つ該フェノール基は第3級炭素原子に結合した構造を有するか、又は該フェノール基はメチル基が結合した第4級炭素原子に結合した構造を有する有機基であり、B、B、B及びBはそれぞれ式(5)を示す。
式(5)中、Cはハロゲン基、ニトロ基、アミノ基若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、Cは水素原子、又はハロゲン基、ニトロ基、アミノ基、若しくはヒドロキシ基で置換されていても良い炭素数1乃至10のアルキル基、炭素数6乃至40のアリール基又は複素環基を表し、そしてCとCはそれらが結合する炭素原子と一緒になって環を形成していても良い。
【0016】
上記アルキル基としては炭素数1乃至10のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、1−メチル−シクロプロピル基、2−メチル−シクロプロピル基、n−ペンチル基、1−メチル−n−ブチル基、2−メチル−n−ブチル基、3−メチル−n−ブチル基、1,1−ジメチル−n−プロピル基、1,2−ジメチル−n−プロピル基、2,2−ジメチル−n−プロピル基、1−エチル−n−プロピル基、シクロペンチル基、1−メチル−シクロブチル基、2−メチル−シクロブチル基、3−メチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロプロピル基、2,3−ジメチル−シクロプロピル基、1−エチル−シクロプロピル基、2−エチル−シクロプロピル基、n−ヘキシル基、1−メチル−n−ペンチル基、2−メチル−n−ペンチル基、3−メチル−n−ペンチル基、4−メチル−n−ペンチル基、1,1−ジメチル−n−ブチル基、1,2−ジメチル−n−ブチル基、1,3−ジメチル−n−ブチル基、2,2−ジメチル−n−ブチル基、2,3−ジメチル−n−ブチル基、3,3−ジメチル−n−ブチル基、1−エチル−n−ブチル基、2−エチル−n−ブチル基、1,1,2−トリメチル−n−プロピル基、1,2,2−トリメチル−n−プロピル基、1−エチル−1−メチル−n−プロピル基、1−エチル−2−メチル−n−プロピル基、シクロヘキシル基、1−メチル−シクロペンチル基、2−メチル−シクロペンチル基、3−メチル−シクロペンチル基、1−エチル−シクロブチル基、2−エチル−シクロブチル基、3−エチル−シクロブチル基、1,2−ジメチル−シクロブチル基、1,3−ジメチル−シクロブチル基、2,2−ジメチル−シクロブチル基、2,3−ジメチル−シクロブチル基、2,4−ジメチル−シクロブチル基、3,3−ジメチル−シクロブチル基、1−n−プロピル−シクロプロピル基、2−n−プロピル−シクロプロピル基、1−i−プロピル−シクロプロピル基、2−i−プロピル−シクロプロピル基、1,2,2−トリメチル−シクロプロピル基、1,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、2,2,3−トリメチル−シクロプロピル基、1−エチル−2−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−1−メチル−シクロプロピル基、2−エチル−2−メチル−シクロプロピル基及び2−エチル−3−メチル−シクロプロピル基等が挙げられる。
【0017】
上記アリール基としては、炭素数6乃至40のアリール基であり、例えばフェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、o−クロルフェニル基、m−クロルフェニル基、p−クロルフェニル基、o−フルオロフェニル基、p−フルオロフェニル基、o−メトキシフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ニトロフェニル基、p−シアノフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基及び9−フェナントリル基が挙げられる。
上記複素環基としては窒素、硫黄、酸素原子を含む5乃至6員環の複素環からなる有機基が好ましく、例えばピロール基、フラン基、チオフェン基、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラゾール基、イソオキサゾール基、イソチアゾール基、ピリジン基、トリアジン基、トリアジントリオン基等が挙げられる。
【0018】
上記式(1)の単位構造、式(2)の単位構造、式(3)の単位構造、式(4)の単位構造、又はそれら単位構造中の組み合わせにおいて、Aは式(6)で示すことができる。式(6)中、Tは単結合、炭素数1乃至10のアルキレン基、又は炭素数6乃至40のアリーレン基であり、X及びXはそれぞれ水素原子又はメチル基であり、R乃至Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、R5乃至R8はそれぞれ炭素数1乃至10のアルキル基又は炭素数6乃至40のアリール基であり、n1乃至n4はそれぞれ0乃至3の整数を示し、各フェノール基は上記、B、B、B及びBと適宜結合する。
アルキル基及びアリール基は上述の基が挙げられる。そして、アルキレン基は上記アルキル基から誘導されるアルキレン基が挙げられる。また、アリーレン基は上記アリール基から誘導されるアリーレン基が挙げられる。
【0019】
上記式(1)の単位構造、式(2)の単位構造、式(3)の単位構造、式(4)の単位構造、又はそれら単位構造中の組み合わせにおいて、Aは式(7)で示すことができる。式(7)中、R乃至R11はそれぞれ水素原子又は炭素数1乃至10のアルキル基であり、R12乃至R14はそれぞれ炭素数1乃至10のアルキル基又は炭素数6乃至40のアリール基であり、Xは水素原子又はメチル基であり、n5乃至n7はそれぞれ0乃至3の整数を示し、各フェノール基は上記、B、B、B及びBと適宜結合する。ここで、アルキル基、アリール基は上述の例示を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いられる上記Aは多核フェノール類であり、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を少なくとも1つ以上有するフェニル基を1分子中に少なくとも3つ以上有する化合物である。
【0021】
本発明に用いられるノボラック樹脂としては、多核フェノール類とアルデヒド類又はケトン類とを縮合して得られるノボラック樹脂であり、多核フェノール類は単独で用いることも2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0022】
本発明のポリマー製造に用いられる多核フェノール類としては、例えば1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシメチルフェニル)エタン、1,1,3,3−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−2,5−ジメチル−p−キシレン、α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニルメチル)−ナフタレン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0023】
本発明のポリマーの製造に用いられるアルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、カプロンアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、7−メトキシ−3、7−ジメチルオクチルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、3−メチル−2−ブチルアルデヒド、グリオキザール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒド、等の飽和脂肪族アルデヒド類、アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和脂肪族アルデヒド類、フルフラール、ピリジンアルデヒド等のヘテロ環式アルデヒド類、ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、9−アントリルアルデヒド、フェナントリルアルデヒド、サリチルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、トリルアルデヒド、(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、アセトキシベンズアルデヒド、1−ピレンカルボキシアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等が挙げられる。特に芳香族アルデヒドを好ましく用いることができ、さらに好ましくは9−アントリルアルデヒド、1−ピレンカルボキシアルデヒドである。
また、本発明のポリマーの製造に用いられるケトン類としてはジアリールケトン類であり、例えばジフェニルケトン、フェニルナフチルケトン、ジナフチルケトン、フェニルトリルケトン、ジトリルケトン、9−フルオレノン等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いられるポリマーは多核フェノール類とアルデヒド類又はケトン類とを縮合して得られるノボラック樹脂である。この縮合反応では多核フェノール類に含まれ反応に関与するフェニル基1当量に対して、アルデヒド類又はケトン類を0.1乃至10当量の割合で用いることができ、好ましくは0.1乃至2当量である。
【0025】
上記縮合反応で用いられる酸触媒としては、例えば硫酸、リン酸、過塩素酸等の鉱酸類、p−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸一水和物、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、蟻酸、シュウ酸等のカルボン酸類が使用される。酸触媒の使用量は、使用する酸類の種類によって種々選択される。通常、カルバゾール類、又はカルバゾール類と水酸基含有芳香族化合物の合計の100質量部に対して、0.001乃至10000質量部、好ましくは、0.01乃至1000質量部、より好ましくは0.1乃至100質量部である。
【0026】
上記の縮合反応は無溶剤でも行われるが、通常溶剤を用いて行われる。溶剤としては反応を阻害しないものであれば全て使用することができる。例えば1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類が挙げられる。また、使用する酸触媒が例えば蟻酸のような液状のものであるならば溶剤としての役割を兼ねさせることもできる。
縮合時の反応温度は通常40℃乃至200℃である。反応時間は反応温度によって種々選択されるが、通常30分乃至50時間程度である。
以上のようにして得られる重合体の重量平均分子量Mwは、通常500乃至1000000、又は600乃至200000である。
【0027】
本発明に用いられるフェノールノボラック樹脂は例えば以下に例示することができる。
【化5】
【化6】
【0028】
【化7】
【化8】
【0029】
本発明のレジスト下層膜形成組成物は架橋剤成分を含むことができる。その架橋剤としては、メラミン系、置換尿素系、またはそれらのポリマー系等が挙げられる。好ましくは、少なくとも2個の架橋形成置換基を有する架橋剤であり、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグワナミン、ブトキシメチル化ベンゾグワナミン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、メトキシメチル化チオ尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素等の化合物である。また、これらの化合物の縮合体も使用することができる。
【0030】
また、上記架橋剤としては耐熱性の高い架橋剤を用いることができる。耐熱性の高い架橋剤としては分子内に芳香族環(例えば、ベンゼン環、ナフタレン環)を有する架橋形成置換基を含有する化合物を好ましく用いることができる。
この化合物は下記式(9)の部分構造を有する化合物や、下記式(10)の繰り返し単位を有するポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【化9】
上記R15、R16、R17、及びR18はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、これらのアルキル基は上述の例示を用いることができる。また、n15は1乃至4の整数であり、n16は1乃至(5−n15)の整数であり、(n15+n16)は2乃至5の整数を示す。n17は1乃至4の整数であり、n18は0乃至(4−n17)であり、(n17+n18)は1乃至4の整数を示す。オリゴマー及びポリマーは繰り返し単位構造の数が2乃至100、又は2乃至50の範囲で用いることができる。
式(9)及び式(10)の化合物、ポリマー、オリゴマーは以下に例示される。
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
上記化合物は旭有機材工業(株)、本州化学工業(株)の製品として入手することができる。例えば上記架橋剤の中で式(11−24)の化合物は旭有機材工業(株)、商品名TM−BIP−Aとして入手することができる。
架橋剤の添加量は、使用する塗布溶剤、使用する下地基板、要求される溶液粘度、要求される膜形状などにより変動するが、全固形分に対して0.001乃至80質量%、好ましくは0.01乃至50質量%、さらに好ましくは0.05乃至40質量%である。これら架橋剤は自己縮合による架橋反応を起こすこともあるが、本発明の上記のポリマー中に架橋性置換基が存在する場合は、それらの架橋性置換基と架橋反応を起こすことができる。
【0034】
本発明では上記架橋反応を促進するための触媒として、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウムp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、5−スルホサリチル酸、4−フェノールスルホン酸、カンファースルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸等の酸性化合物又は/及び2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他有機スルホン酸アルキルエステル等の熱酸発生剤を配合する事が出来る。配合量は全固形分に対して、0.0001乃至20質量%、好ましくは0.0005乃至10質量%、さらに好ましくは0.01乃至3質量%である。
【0035】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、リソグラフィー工程で上層に被覆されるフォトレジストとの酸性度を一致させる為に、光酸発生剤を添加する事が出来る。好ましい光酸発生剤としては、例えば、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類、フェニル−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類、ベンゾイントシレート、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸系光酸発生剤類等が挙げられる。上記光酸発生剤は全固形分に対して、0.2乃至10質量%、好ましくは0.4乃至5質量%である。
【0036】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜材料には、上記以外に必要に応じて更なる吸光剤、レオロジー調整剤、接着補助剤、界面活性剤などを添加することができる。
【0037】
更なる吸光剤としては例えば、「工業用色素の技術と市場」(CMC出版)や「染料便覧」(有機合成化学協会編)に記載の市販の吸光剤、例えば、C.I.Disperse Yellow 1,3,4,5,7,8,13,23,31,49,50,51,54,60,64,66,68,79,82,88,90,93,102,114及び124;C.I.Disperse Orange 1,5,13,25,29,30,31,44,57,72及び73;C.I.Disperse Red 1,5,7,13,17,19,43,50,54,58,65,72,73,88,117,137,143,199及び210;C.I.Disperse Violet 43;C.I.Disperse Blue 96;C.I.Fluorescent Brightening Agent 112,135及び163;C.I.Solvent Orange 2及び45;C.I.Solvent Red 1,3,8,23,24,25,27及び49;C.I.Pigment Green 10;C.I.Pigment Brown2等を好適に用いることができる。上記吸光剤は通常、リソグラフィー用レジスト下層膜材料の全固形分に対して10質量%以下、好ましくは5質量%以下の割合で配合される。
【0038】
レオロジー調整剤は、主にレジスト下層膜形成組成物の流動性を向上させ、特にベーキング工程において、レジスト下層膜の膜厚均一性の向上やホール内部へのレジスト下層膜形成組成物の充填性を高める目的で添加される。具体例としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジノルマルブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、オクチルデシルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジノルマルブチルマレート、ジエチルマレート、ジノニルマレート等のマレイン酸誘導体、メチルオレート、ブチルオレート、テトラヒドロフルフリルオレート等のオレイン酸誘導体、またはノルマルブチルステアレート、グリセリルステアレート等のステアリン酸誘導体を挙げることができる。これらのレオロジー調整剤は、リソグラフィー用レジスト下層膜材料の全固形分に対して通常30質量%未満の割合で配合される。
【0039】
接着補助剤は、主に基板あるいはレジストとレジスト下層膜形成組成物の密着性を向上させ、特に現像においてレジストが剥離しないようにするための目的で添加される。具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフエニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフエニルジメトキシシラン、フエニルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ビニルトリクロロシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環式化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。これらの接着補助剤は、リソグラフィー用レジスト下層膜材料の全固形分に対して通常5質量%未満、好ましくは2質量%未満の割合で配合される。
【0040】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜材料には、ピンホールやストレーション等の発生がなく、表面むらに対する塗布性をさらに向上させるために、界面活性剤を配合することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフエノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフエノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロツクコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等のノニオン系界面活性剤、エフトツプEF301、EF303、EF352((株)トーケムプロダクツ製、商品名)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ(株)製、商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム(株)製、商品名)、アサヒガードAG710、サーフロンSー382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子(株)製、商品名)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらの界面活性剤の配合量は、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜材料の全固形分に対して通常2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。これらの界面活性剤は単独で添加してもよいし、また2種以上の組合せで添加することもできる。
【0041】
本発明で、上記のポリマー及び架橋剤成分、架橋触媒等を溶解させる溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトシキ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等を用いることができる。これらの有機溶剤は単独で、または2種以上の組合せで使用される。
さらに、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を混合して使用することができる。これらの溶剤の中でプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びシクロヘキサノン等がレベリング性の向上に対して好ましい。
【0042】
本発明に用いられるレジストとはフォトレジストや電子線レジストである。
本発明におけるリソグラフィー用レジスト下層膜の上部に塗布されるフォトレジストとしてはネガ型、ポジ型いずれも使用でき、ノボラック樹脂と1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとからなるポジ型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、アルカリ可溶性バインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、酸により分解してアルカリ溶解速度を上昇させる基を有するバインダーと酸により分解してフォトレジストのアルカリ溶解速度を上昇させる低分子化合物と光酸発生剤からなる化学増幅型フォトレジスト、骨格にSi原子を有するフォトレジスト等があり、例えば、ロームアンドハース社製、商品名APEX−Eが挙げられる。
【0043】
また本発明におけるリソグラフィー用レジスト下層膜の上部に塗布される電子線レジストとしては、例えば主鎖にSi−Si結合を含み末端に芳香族環を含んだ樹脂と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物、又は水酸基がN−カルボキシアミンを含む有機基で置換されたポリ(p−ヒドロキシスチレン)と電子線の照射により酸を発生する酸発生剤から成る組成物等が挙げられる。後者の電子線レジスト組成物では、電子線照射によって酸発生剤から生じた酸がポリマー側鎖のN−カルボキシアミノキシ基と反応し、ポリマー側鎖が水酸基に分解しアルカリ可溶性を示しアルカリ現像液に溶解し、レジストパターンを形成するものである。この電子線の照射により酸を発生する酸発生剤は1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、1,1−ビス[p−メトキシフェニル]−2,2,2−トリクロロエタン、1,1−ビス[p−クロロフェニル]−2,2−ジクロロエタン、2−クロロ−6−(トリクロロメチル)ピリジン等のハロゲン化有機化合物、トリフェニルスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩等のオニウム塩、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシレート等のスルホン酸エステルが挙げられる。
【0044】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜材料を使用して形成したレジスト下層膜を有するレジストの現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びコリンである。
【0045】
次に本発明のレジストパターン形成法について説明すると、精密集積回路素子の製造に使用される基板(例えばシリコン/二酸化シリコン被覆、ガラス基板、ITO基板などの透明基板)上にスピナー、コーター等の適当な塗布方法によりレジスト下層膜形成組成物を塗布後、ベークして硬化させ塗布型下層膜を作成する。ここで、レジスト下層膜の膜厚としては0.01乃至3.0μmが好ましい。また塗布後ベーキングする条件としては80乃至350℃で0.5乃至120分間である。その後レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料を塗布型下層膜上に成膜した後、レジストを塗布し、所定のマスクを通して光又は電子線の照射を行い、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを得ることができる。必要に応じて光又は電子線の照射後加熱(PEB:PostExposureBake)を行うこともできる。そして、レジストが前記工程により現像除去された部分のレジスト下層膜をドライエッチングにより除去し、所望のパターンを基板上に形成することができる。
【0046】
上記フォトレジストでの露光光は、近紫外線、遠紫外線、又は極端紫外線(例えば、EUV、波長13.5nm)等の化学線であり、例えば248nm(KrFレーザー光)、193nm(ArFレーザー光)、157nm(Fレーザー光)等の波長の光が用いられる。光照射には、光酸発生剤から酸を発生させることができる方法であれば、特に制限なく使用することができ、露光量1乃至2000mJ/cm、または10乃至1500mJ/cm、または50乃至1000mJ/cmによる。
また電子線レジストの電子線照射は、例えば電子線照射装置を用い照射することができる。
【0047】
本発明では、半導体基板にレジスト下層膜形成組成物により該レジスト下層膜を形成する工程、その上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンにより該レジスト下層膜をエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜により半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0048】
今後、レジストパターンの微細化が進行すると、解像度の問題やレジストパターンが現像後に倒れるという問題が生じ、レジストの薄膜化が望まれてくる。そのため、基板加工に充分なレジストパターン膜厚を得ることが難しく、レジストパターンだけではなく、レジストと加工する半導体基板との間に作成されるレジスト下層膜にも基板加工時のマスクとしての機能を持たせるプロセスが必要になってきた。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性レジスト下層膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜、レジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜や半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持つリソグラフィー用レジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0049】
一方、微細なレジストパターンを得るために、レジスト下層膜ドライエッチング時にレジストパターンとレジスト下層膜をレジスト現像時のパターン幅より細くするプロセスも使用され始めている。このようなプロセス用のレジスト下層膜として従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、レジストに近いドライエッチング速度の選択比を持つレジスト下層膜が要求されるようになってきている。また、このようなレジスト下層膜には反射防止能を付与することも可能であり、従来の反射防止膜の機能を併せ持つことができる。
【0050】
本発明では基板上に本発明のレジスト下層膜を成膜した後、レジスト下層膜上に直接、または必要に応じて1層乃至数層の塗膜材料をレジスト下層膜上に成膜した後、レジストを塗布することができる。これによりレジストのパターン幅が狭くなり、パターン倒れを防ぐ為にレジストを薄く被覆した場合でも、適切なエッチングガスを選択することにより基板の加工が可能になる。
【0051】
即ち、半導体基板にレジスト下層膜形成組成物により該レジスト下層膜を形成する工程、その上にケイ素成分等を含有する塗膜材料によるハードマスク又は蒸着によるハードマスク(例えば、窒化酸化ケイ素)を形成する工程、更にその上にレジスト膜を形成する工程、光又は電子線の照射と現像によりレジストパターンを形成する工程、レジストパターンによりハードマスクをハロゲン系ガスでエッチングする工程、パターン化されたハードマスクにより該レジスト下層膜を酸素系ガス又は水素系ガスでエッチングする工程、及びパターン化されたレジスト下層膜によりハロゲン系ガスで半導体基板を加工する工程を経て半導体装置を製造することができる。
【0052】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物は、反射防止膜としての効果を考慮した場合、光吸収部位が骨格に取りこまれているため、加熱乾燥時にフォトレジスト中への拡散物がなく、また、光吸収部位は十分に大きな吸光性能を有しているため反射光防止効果が高い。
【0053】
本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜形成組成物では、熱安定性が高く、焼成時の分解物による上層膜への汚染が防げ、また、焼成工程の温度マージンに余裕を持たせることができるものである。
【0054】
さらに、本発明のリソグラフィー用レジスト下層膜材料は、プロセス条件によっては、光の反射を防止する機能と、更には基板とフォトレジストとの相互作用の防止或いはフォトレジストに用いられる材料又はフォトレジストへの露光時に生成する物質の基板への悪作用を防ぐ機能とを有する膜としての使用が可能である。
【実施例】
【0055】
<合成例1>
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(製品名:TEP−DF、旭有機材工業(株)製)8.65g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)5.00g、メタンスルホン酸0.21gにプロピレングリコールモノメチルエーテル20.79gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン35gで希釈し、希釈液をメタノール/水(50質量%/50質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂9.4gを得た(式(8−1)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は3600であった。
<合成例2>
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(製品名:TEP−DF、旭有機材工業(株)製)6.06g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)7.00g、メタンスルホン酸0.29gにプロピレングリコールモノメチルエーテル20.02gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン20gで希釈し、希釈液をメタノール/水(80質量%/20質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂9.1gを得た(式(8−20)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は4800であった。
<合成例3>
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(製品名:TEP−DF、旭有機材工業(株)製)3.89g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)9.00g、メタンスルホン酸0.38gにプロピレングリコールモノメチルエーテル19.90gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン20gで希釈し、希釈液をメタノール/水(80質量%/20質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂11.2gを得た(式(8−22)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は5700であった。
<合成例4>
α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン(製品名:TEP−TPA、旭有機材工業(株)製)10.30g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)5.00g、メタンスルホン酸0.21gにプロピレングリコールモノメチルエーテル23.27gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン39gで希釈し、希釈液をメタノール/水(50質量%/50質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂10.0gを得た(式(8−5)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は4900であった。
<合成例5>
α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン(製品名:TEP−TPA、旭有機材工業(株)製)7.21g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)7.00g、メタンスルホン酸0.29gにプロピレングリコールモノメチルエーテル23.27gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン22gで希釈し、希釈液をメタノール/水(80質量%/20質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂10.2gを得た(式(8−26)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は7900であった。
【0056】
<合成例6>
α,α,α’,α’−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン(製品名:TEP−TPA、旭有機材工業(株)製)4.64g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)9.00g、メタンスルホン酸0.38gにプロピレングリコールモノメチルエーテル21.02gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン21gで希釈し、希釈液をメタノール/水(80質量%/20質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂10.9gを得た(式(8−28)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は7400であった。
<合成例7>
1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン(製品名:TEOC−DF、旭有機材工業(株)製)9.87g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)5.00g、メタンスルホン酸0.21gにプロピレングリコールモノメチルエーテル22.62gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン38gで希釈し、希釈液をメタノール/水(50質量%/50質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂6.9gを得た(式(8−2)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は1700であった。
<合成例8>
1,1,2,2−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン(製品名:TEOC−DF、旭有機材工業(株)製)4.69g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)9.50g、メタンスルホン酸0.40gにプロピレングリコールモノメチルエーテル21.88gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン36gで希釈し、希釈液をメタノール/水(70質量%/30質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂11.5gを得た(式(8−25)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は2000であった。
<合成例9>
1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(製品名:TEP−DF、旭有機材工業(株)製)4.35g、9−アントリルアルデヒド9.00g、メタンスルホン酸0.42gにプロピレングリコールモノメチルエーテル20.65gを加え、窒素雰囲気下、24時間還流撹拌した。反応終了後、溶液をメタノール/水(60質量%/40質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂9.9gを得た(式(8−29)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は1300であった。
<合成例10>
トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン9.00g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)21.28g、メタンスルホン酸0.89gにプロピレングリコールモノメチルエーテル57.89gを加え、窒素雰囲気下、25時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン63gで希釈し、希釈液をメタノール中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂20.1gを得た(式(8−18)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は3200であった。
<合成例11>
トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン5.99g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)4.50g、メタンスルホン酸0.19gにプロピレングリコールモノメチルエーテル16.01gを加え、窒素雰囲気下、14時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン9gで希釈し、希釈液をメタノール/水(80質量%/20質量%)中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂4.9gを得た(式(8−19)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は2300であった。
【0057】
<合成例12>
1,5−ジヒドロキシナフタレン5.56g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)8.00gを加え、窒素雰囲気下、24時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン35gで希釈し、希釈液をメタノール中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂9.3gを得た(式(12−1)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は3100であった。
【化12】
【0058】
<合成例13>
2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル]プロパン(製品名:TEP−BOCP、旭有機材工業(株)製)8.14g、1−ピレンカルボキシアルデヒド(丸善化学工業(株)製)6.50g、メタンスルホン酸0.27gにプロピレングリコールモノメチルエーテル22.37gを加え、窒素雰囲気下、23時間還流撹拌した。反応終了後、テトラヒドロフラン37gで希釈し、希釈液をメタノール/水(50質量%/50質量%)の混合溶媒中より再沈殿させた。得られた沈殿物をろ過、洗浄し、60℃で減圧乾燥することで、ノボラック樹脂10.4gを得た(式(12−2)のポリマーを含む)。GPCより標準ポリスチレン換算で測定される重量平均分子量は3500であった。
【化13】
【0059】
<実施例1>
合成例1で得た3.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル19.2g、シクロヘキサノン8.2gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例2>
合成例2で得た3.3gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル20.8g、シクロヘキサノン8.9gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例3>
合成例3で得た3.2gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル20.1g、シクロヘキサノン8.6gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例4>
合成例4で得た3.5gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル22.3g、シクロヘキサノン9.5gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例5>
合成例5で得た3.2gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル20.2g、シクロヘキサノン8.7gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例6>
合成例6で得た3.2gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル20.0g、シクロヘキサノン8.6gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例7>
合成例7で得た2.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル12.6g、シクロヘキサノン5.4gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例8>
合成例8で得た3.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル18.9g、シクロヘキサノン8.1gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例9>
合成例9で得た3.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル18.9g、シクロヘキサノン8.1gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例10>
合成例10で得た3.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル18.9g、シクロヘキサノン8.1gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<実施例11>
合成例11で得た1.4gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル13.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5.6gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0060】
<比較例1>
合成例12で得た2.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル12.6g、シクロヘキサノン5.4gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
<比較例2>
合成例13で得た2.0gのポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテル11.6g、シクロヘキサノン5.4gに溶解させた後、多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜形成組成物の溶液を調製した。
【0061】
(パターンの曲がり耐性の測定)
実施例1乃至実施例11、比較例1及び比較例2で調製した各レジスト下層膜形成組成物の溶液をスピンコーターにてそれぞれ酸化ケイ素被膜付きシリコンウエハー上に塗布した。ホットプレート上で400℃2分間焼成しレジスト下層膜(膜厚200nm)を形成した。レジスト下層膜上にシリコンハードマスク形成組成物溶液を塗布し、240℃で1分間焼成しシリコンハードマスク層(膜厚45nm)を形成した。その上にレジスト溶液を塗布し、100℃で1分間焼成しレジスト層(膜厚120nm)を形成した。マスクを用いて波長193nmで露光し、露光後加熱PEB(105℃で1分間)を行った後、現像してレジストパターンを得た。その後、フッ素系ガス(成分はCF)でドライエッチングを行い、レジストパターンをハードマスクに転写した。その後、酸素系ガス(成分はO/CO)でドライエッチングを行い、レジストパターンを本件レジスト下層膜に転写した。その後、フッ素系ガス(成分はC/C/O/Ar)でドライエッチングを行い、シリコンウエハー上の酸化ケイ素被膜の除去を行った。その後、酸素系ガス(成分はO/N)でドライエッチングを行い、酸化ケイ素被膜上に残存したレジスト下層膜形成組成物を除去した。各工程時のそれぞれのパターン形状を電子顕微鏡で観察した。パターン幅が狭まるにしたがいウイグリング(wiggling)という不規則なパターンの曲がりが発生しやすくなるが、上記の実施例のレジスト下層膜形成組成物を用いて上述工程を行いパターンの曲がり(wiggling)を生じ始めるパターン幅を電子顕微鏡で観測した。パターンの曲がりが発生することで忠実なパターンに基づく基板加工ができなくなるため、パターンの曲がりが発生する直前のパターン幅(限界加工線幅幅)により基板加工をする必要がある。パターンの曲がりが発生し始めるパターン幅は、その値が細ければ細いほど微細な基板の加工が可能となる。解像度の測定には測長走査型電子顕微鏡(日立製作所製)を用いた。酸化ケイ素被膜上に残存したレジスト下層膜形成組成膜を除去し、レジストパターンが段階的に転写された酸化ケイ素被膜の加工線幅を測定した。この時の酸化ケイ素被膜に形成されたパターンが曲がり始める加工線幅を表1に示す。
〔表1〕
【0062】
以上の結果より、実施例1乃至10のレジスト下層膜形成組成物は、比較例1及び比較例2よりも酸化ケイ素被膜に形成されたパターンの曲がりが発生する限界加工線幅が細く、より微細な基板加工が達成された。すなわち、実施例1乃至実施例10のレジスト下層膜形成組成物は、パターンの曲がり(wiggling)を抑制するために有用な効果を示すことが確認された。
【0063】
(溶解性試験)
実施例1乃至実施例11、比較例1及び比較例2で調製した各レジスト下層膜形成組成物の溶液を一般的なレジスト溶剤であるプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、シクロヘキサノン(CYH)中に滴下し、レジスト下層膜形成組成物中のポリマー(ノボラック樹脂成分)の沈殿物が析出するか否かについて観察した。析出が観察されなかった場合は、ノボラック樹脂の溶解性を「良好」とし、析出が観察された場合は、ノボラック樹脂の溶解性を「不良」とした。このノボラック樹脂溶液の溶解性試験の結果を表2に示す。
〔表2〕
以上の結果より、実施例1乃至11のレジスト下層膜形成組成物は、比較例1よりもレジスト溶剤への溶解性が高いことが確認された。
【0064】
(平坦化性試験)
実施例1乃至実施例11、比較例1及び比較例2で調製した各レジスト下層膜形成組成物の溶液をスピンコーターにより、ラインアンドスペース(パターン幅75nm、ピッチ幅340nm、パターン高さ80nm)を有するSiO付きウエハー基板上に膜厚90nmとなるように塗布し、ホットプレート上で400℃2分間焼成し、下層膜を形成した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1乃至実施例11、比較例1及び比較例2で得たリソグラフィー用下層膜形成組成物を塗布したラインアンドスペースを有するSiO付きウエハー基板の断面形状を観察し、下層膜によるラインアンドスペースパターンに対する平坦化性を評価した。下層膜がラインアンドスペースパターンに対して凹凸なく塗布された場合を「良好」とし、わずかな凹凸が観察される場合を「やや不良」とし、凹凸が観察される場合を「不良」とした。この平坦化性試験の結果を表3に示す。
〔表3〕
【0065】
以上の結果より、実施例1乃至11のレジスト下層膜形成組成物は、比較例1よりも平坦化性に優れていることが確認された。
【0066】
(埋込性試験)
実施例1乃至実施例11、比較例1及び比較例2で調製した各レジスト下層膜形成組成物の溶液をスピンコーターにより、ホールパターン(ホール径120nm、ピッチ幅240nm、深さ400nm)を有するSiO付きウエハー基板上に膜厚200nmとなるように塗布し、ホットプレート上で400℃2分間焼成し、下層膜を形成した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1乃至実施例10、比較例1及び比較例2で得たリソグラフィー用下層膜形成組成物を塗布したホールパターンを有するSiO付きウエハー基板の断面形状を観察し、下層膜によるホールパターンに対する下層膜の埋め込み性を評価した。下層膜がホールパターンに対してボイドなく埋め込まれた場合を「良好」とし、ホールパターン内でボイドが発生した場合を「不良」とした。この埋込性試験の結果を表4に示す。
〔表4〕
以上の結果より、実施例1乃至11のレジスト下層膜形成組成物は、比較例1よりも埋め込み性に優れていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0067】
これにより本発明の多層膜によるリソグラフィープロセスに用いるレジスト下層膜材料は、従来の高エッチレート性反射防止膜とは異なり、フォトレジストに近い又はフォトレジストに比べて小さいドライエッチング速度の選択比、半導体基板に比べて小さいドライエッチング速度の選択比を持ち、さらに反射防止膜としての効果も併せ持つことが出来るレジスト下層膜を提供することができる。 また、400℃で膜を焼成し、従来品のフェノールノボラック樹脂とのドライエッチング速度比を比較することでハードマスクとしての機能を有することが判ったので400℃以上の耐熱性を示すものである。
本発明の下層膜材料は上層に蒸着でハードマスクを形成可能な耐熱性を有することが判った。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図19
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図22