(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のフィールドプレートと前記ゲートとの間を前記第1のスペーサ層を貫いて通る1以上の導電性バイアを更に備え、当該バイアが前記第1のフィールドプレートと前記ゲートとの電気的な接続を提供する、請求項8に記載のトランジスタ。
前記少なくとも1つの導電性経路は前記活性領域の外側を通る経路、導電性バス、及び導電性バイアの少なくとも1つを有し、前記ゲートと前記ソース電極との間の一部の前記活性領域上のみにある、請求項17に記載のトランジスタ。
前記第2のフィールドプレートは前記第2のスペーサ層上の少なくとも1つの導電性経路を通って前記ソースと電気的に接続される、請求項19に記載のトランジスタデバイス。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に基づくゲート−ソースフィールドプレートの配置は、バンドギャップの広い材
料から形成されたトランジスタ構造など、多くの様々なトランジスタ構造とともに使用す
ることができる。トランジスタは一般に、そのうちの1つがチャネル層である複数の半導
体層を有する活性領域、該活性領域と接触して形成されたソースおよびドレイン金属電極
、ならびに該活性領域内の電場を調節するためにソース電極とドレイン電極との間の活性
領域上に形成されたゲートを含む。この活性領域の上方の、ゲートとドレインとの間の活
性領域の表面の少なくとも一部分の上に、第1のスペーサ層が形成される。第1のスペー
サ層は、1つの誘電層または複数の誘電層の組合せを含むことができ、ある実施形態では
、エピタキシャル成長層などの他の材料を含むことができる。一実施形態では、第1のス
ペーサ層がゲートを覆い、かつゲートとドレイン電極との間、およびゲートとソース電極
との間の活性領域の一番上の表面を覆う。後述する他の実施形態では、このスペーサ層が
、活性領域の表面の全体ではない部分を覆うことができる。他の実施形態では、このスペ
ーサ層が、ゲートとソースおよびドレインとの間の活性領域の一番上の表面だけを覆い、
ゲートを覆わない。
【0013】
この第1のスペーサ層上に第1の導電性フィールドプレートが形成され、第1のスペー
サ層は、このフィールドプレートとその下の活性領域との間の分離を提供する。第1のフ
ィールドプレートは、スペーサ層上を、ゲートの縁からドレイン電極に向かって距離L
fs
だけ延び、スペーサ層上をソース電極に向かって距離L
fsだけ延びる。第1のフィールド
プレートは、ソース電極またはゲートに電気的に接続することができる。本発明に基づく
様々な実施形態では、追加のスペーサ層/フィールドプレート対をさらに含むことができ
る。
【0014】
このフィールドプレート配置は、デバイス内のゲートのソース側とドレイン側の両方の
ピーク電場(electric field)を低減させることができ、その結果、破壊電圧が増大し、
トラッピングが低減する。電場の低減はさらに、漏れ電流の低減、信頼性の向上など、別
の利点を生むことができる。ゲートのソース側とドレイン側のフィールドプレートはとも
に、ゲートのソース側の電場が低減されるように配置され、このことは、より負にバイア
スされたゲート条件を必要とする用途の性能および堅牢性(robustness)を向上させる。
これは、クラスCおよびより高次の他の動作クラス(例えば、E、F)を含む。同様にド
レイン側にフィールドプレートを有することによって、トランジスタはさらに、ドレイン
側のピーク電場の低減を経験する。
【0015】
本発明に基づくゲート−ソースプレート配置を利用することができる1つのタイプのト
ランジスタが、高電子移動度トランジスタ(HEMT)であり、これは一般にバッファ(
buffer)層と、このバッファ層上のバリア(barrier)層とを含む。バッファ層とバリア
層との間のヘテロ界面に2次元電子ガス(2DEG)チャネル層が誘導される。ソース電
極とドレイン電極との間のバリア層上にゲート電極が形成される。このHEMTはさらに
、前述の多重スペーサ層/フィールドプレート配置を含む。
【0016】
本発明に基づくゲート−ソースフィールドプレートの配置を利用することができる他の
タイプのトランジスタが、電界効果トランジスタ、特に金属半導体電界効果トランジスタ
(MESFET)であり、これは一般にバッファ層と、このバッファ層上のバリア層とを
含む。ソース電極とドレイン電極との間のチャネル層上にゲートが形成され、このMES
FETはさらに、前述の多重スペーサ層/フィールドプレート配置を含む。
【0017】
ある要素または層が、別の要素または層「上にある」、「に接続されている」、「に結
合されている」または「と接触している」と記述されているとき、その要素または層は、
直接にその別の要素または層上にあり、接続されており、結合されており、または接触し
ていることができ、あるいは介在要素または層が存在することができることが理解される
。対照的に、ある要素が、別の要素または層「上に直接にある」、「に直接に接続されて
いる」、「に直接に結合されている」または「と直接に接触している」と記述されている
とき、介在要素または層は存在しない。同様に、第1の要素または層が、第2の要素また
は層に「電気的に接続されている」または「電気的に結合されている」と記述されている
ときは、第1の要素または層と第2の要素または層との間を電流が流れることを可能にす
る電気経路がある。この電気経路は、コンデンサ、結合されたインダクタ、および/また
は導電性要素間に直接の接触がなくとも電流が流れることを可能にする他の要素を含むこ
とができる。
【0018】
図1および2は、本発明に基づくHEMTの一実施形態10を示し、このHEMTは、
III族窒化物に基づくことが好ましいが、他の材料システムを使用することもできる。
III族窒化物は、窒素と、周期表のIII族の元素、通常はアルミニウム(Al)、ガ
リウム(Ga)およびインジウム(In)との間に形成された半導体化合物を指す。この
用語はさらに、AlGaN、AlInGaNなどの3元化合物および第3級化合物を指す
。
【0019】
HEMT10は基板12を含み、基板12は、炭化シリコン、サファイヤ、スピネル(
spinel)、ZnO、シリコン、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、あるいはIII族窒化
物材料の成長を助ける能力を有する他の任意の材料または材料の組合せから製作すること
ができる。基板12とHEMT10の次の層との間の格子不整合を低減させるために、基
板12上に核生成層(nucleation layer)14を形成することができる。核生成層14の
厚さは約1000オングストローム(Å)でなければならないが、他の厚さを使用するこ
ともできる。核生成層14は、多くの様々な材料を含むことができ、適当な材料はAl
z
Ga
1-zN(0≦z≦1)であり、金属有機化学蒸着(MOCVD)、水素化物蒸気相エ
ピタキシ(HVPE)、分子線エピタキシ(MBE)などの周知の半導体成長技法を使用
して基板12上に形成することができる。
【0020】
基板12は、多くの様々な材料から製作することができ、適当な基板は4Hポリタイプ
の炭化シリコンであるが、3C、6Hおよび15Rポリタイプを含む他の炭化シリコンポ
リタイプを使用することもできる。炭化シリコンは、サファイヤよりもIII族窒化物に
はるかに近い結晶格子整合を有し、その結果、より高い品質のIII族窒化膜を与える。
炭化シリコンはさらに、非常に高い熱伝導率を有し、そのため、炭化シリコン上のIII
族窒化物デバイスの全出力電力は、基板の熱放散によって限定されない(サファイヤ上に
形成された一部のデバイスでは、それによって限定されることがある)。さらに、炭化シ
リコン基板のアベイラビリティ(availability)は、市販デバイスを可能にするデバイス
分離能力および低い寄生容量を提供する。SiC基板は、本件特許出願人から入手可能で
あり、それらを製作する方法は、科学文献ならびに特許文献3、4および5に記載されて
いる。
【0021】
核生成層14の形成は、基板12に対して使用される材料によって異なり、様々な基板
上に核生成層14を形成する方法が知られている(特許文献6および7参照)。炭化シリ
コン基板上に核生成層を形成する方法も、開示されている(特許文献8、9および10)
。
【0022】
HEMT10はさらに、核生成層14上に形成された高抵抗率のバッファ層16を含む
。バッファ層16は、ドープまたは非ドープのIII族窒化物材料層を含むことができ、
好ましいバッファ層16は、Al
xGa
yIn
(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、x+
y≦1)などのIII族窒化物材料から形成される。その一部にFeがドープされた厚さ
約2μmのGaNなどの他の材料を、バッファ層16に対して使用することもできる。
【0023】
バッファ層16上にバリア層18が形成され、バッファ層16は、バリア層18と核生
成層14との間に挟まれる。バッファ層16と同様に、バリア層18も、ドープまたは非
ドープのIII族窒化物材料層を含むことができる。バリア層は、1つまたは複数のAl
xGa
1-xN層から形成することができ、xは0〜1の範囲をとり、xは、バリア層18を
徐々に変化する層とすることができるように深さの関数とすることができる。バッファ層
16とバリア層18との間のヘテロ界面に2DEGチャネル層26が誘導され、バッファ
層16、2DEGチャネル層26およびバリア層18は、全体としてHEMT活性領域を
形成する。
【0024】
例示的なHEMT構造が、開示されている(特許文献11、2、12、13および14
)。窒化物ベースの他のHEMT構造は、特許文献1および15に示されている。バッフ
ァ層およびバリア層16、18は、核生成層14を成長させるために使用した方法と同じ
方法を使用して形成することができる。デバイス間の電気分離は、メサエッチ(mesa etc
h)または活性HEMTの外側でのイオンインプリメンテーション(ion implementation
)よって達成される。
【0025】
バリア層18と接触してソースおよびドレイン金属電極20、22が形成され、ソース
電極20とドレイン電極22との間のバリア層18上にゲート24が形成される。ゲート
24が適当なレベルにバイアスされると、バッファ層16とバリア層18との間の2DE
Gチャネル層26を通って、ソース電極20とドレイン電極22との間に電流が流れるこ
とができる。ソースおよびドレイン電極20、22の形成は、これまでに挙げた文献に詳
述されている。
【0026】
ソースおよびドレイン電極20、22は、これらに限定はされないが、チタン、アルミ
ニウム、金またはニッケルの合金を含むさまざまな材料から形成することができる。ゲー
ト24も、これらに限定はされないが、金、ニッケル、白金、チタン、クロム、チタンタ
ングステン合金またはケイ化白金(platinum silicide)を含むさまざまな材料から形成
することができる。ゲート24は、多くのさまざまな長さ(L
g)を有することができ、
適当なゲート長は0.1から2.0ミクロン(μm)だが、他のゲート長を使用すること
もできる。本発明に基づく一実施形態では、好ましいゲート長(L
g)は約0.5ミクロ
ンである。
【0027】
ゲート24の上、ならびにゲート24とソースおよびドレイン電極20、22との間の
バリア層18の表面の少なくとも一部分の上に、第1の非電導性スペーサ層28が形成さ
れる。
図2に示されるように、スペーサ層28は、ゲート24とソースおよびドレイン電
極22、24との間のバリア層18全体を覆う。スペーサ層28は、1つの誘電層または
複数の誘電層の組合せを含むことができる。SiN、SiO
2、Si、Ge、MgO
X、M
gN
X、ZnO、SiN
X、SiO
X、これらの合金または層配列など、さまざまな誘電材
料を使用することができる。スペーサ層は多くの様々な厚さを有することができ、厚さの
適当な範囲は、約0.03から0.5ミクロンである。
図1に最もよく示されるように、
ゲート24は、ゲートコンタクト30のところで接触される。
【0028】
ゲート24の上のスペーサ層28上に第1のフィールドプレート32が形成され、この
第1のフィールドプレートは、スペーサ層28上をドレイン電極22に向かって距離L
fd
だけ延び、ソース電極20に向かって距離L
fsだけ延びる。スペーサ層28は、第1のフ
ィールドプレート32とバリア層18およびゲート24との間の分離を提供するために配
置されるものであり、そのため、スペーサ層28は、ゲート18と、第1のフィールドプ
レート32の下のバリア層18とだけを覆えばよい。しかし、製造を容易にするため、ス
ペーサ層は一般にバリア層18全体を覆う。L
fdは様々な距離とすることができ、距離の
適当な範囲は、0.1から5ミクロンである。同様に、L
fsも様々な距離とすることがで
き、距離の適当な範囲は、0.1から2ミクロンである。他の実施形態では、フィールド
プレートを不連続とすることができ、希望に応じて穴(hole)または中断(interruption
)を有することができる。
【0029】
フィールドプレート32は、多くの様々な導電材料を含むことができ、適当な材料は、
標準メタライゼーション(standard metallization)法を使用して付着させた金属である
。本発明に基づく一実施形態では、フィールドプレート30は、フィールドプレート30
が電気的に接続される後述のフィーチャ(feature)と同じ金属を含む。
【0030】
第1のフィールドプレート32は、ソース電極20またはゲート24に電気的に接続す
ることができる。
図1は、第1のフィールドプレート32がソース電極20に接続された
本発明に基づく一実施形態を示し、選択可能な2つの接続構造が示されている。第1のフ
ィールドプレート32とソース電極20との間に延びる第1の導電性バス34を、スペー
サ層26上に形成することができる。様々な数のバス34を使用することができるが、使
用されるバス34の数が多いほど、それらのバスによって導入されうる不必要な静電容量
も大きくなる。バス34は、ソース電極20と第1のフィールドプレート32との間で電
流が効果的に広がるように十分な数なければならないが、その一方で、できるだけHEM
T活性領域を覆わないようにしなければならない。適当なバス34の数は、
図1に示すよ
うに3とすることができる。
【0031】
HEMT10の活性領域の外側を通り、ソース電極20に接続された第1の導電性経路
36によって、第1のフィールドプレート32をソース電極20に電気的に接続すること
もできる。
図1に示されるように、経路36は、ゲートコンタクト30とは反対側の縁の
HEMTの活性領域の外側を通る。本発明に基づく代替実施形態では、この導電性経路が
、ゲートコンタクト30と同じ側のHEMT10の活性領域の外側を通ることができ、あ
るいはHEMT10は、HEMT10の一方または両方の側を通る2つ以上の導電性経路
を含むことができる。一実施形態では、導電性経路34、36を、ソース電極20と同じ
材料から製作することができ、他の実施形態では、これらを異なる材料から製作すること
ができ、ソース電極20の形成後に製造プロセス中の異なるステップで形成することがで
きる。
【0032】
第1のフィールドプレート32は、多くの様々な方法によってゲート24に電気的に接
続することもでき、ここでは適当な2つの方法を説明する。第1の方法では、HEMT1
0の活性領域の外側を第1のフィールドプレート32とゲート24との間を通る第2の導
電性経路38によって、フィールドプレートをゲート24に接続することができる。導電
性経路38は、ゲートコンタクト30に接続し、またはゲートコンタクト30とは反対側
のゲート24の部分など、HEMT活性領域の外側のゲート24の部分に接続することが
できる。あるいは、2つ以上の導電性経路を使用して、フィールドプレート32とゲート
24を接続することもできる。
【0033】
代替の接続構造は、導電性バイア(via)(図示せず)の形態の導電性経路を含み、こ
れは、第1のフィールドプレート32から第1のスペーサ層28を貫いてゲート24まで
通るように形成することができる。これらのバイアは、ゲート24と第1のフィールドプ
レート32との間の電気的な接続を提供し、最初にエッチングなどによって第1のスペー
サ層28に穴を開け、次いで別個のステップでまたは第1のフィールドプレート32の形
成時にそれらの穴に導電材料を充填することによって形成することができる。ゲート24
からフィールドプレート32に広がる有効な電流を提供するために、これらのバイアは、
第1のフィールドプレート32から下に周期的に配置することができる。
【0034】
図3は、
図1および2のHEMT10と似ているが、第1のフィールドプレート32の
少なくとも一部分の上に形成された第2の非電導性スペーサ層42をさらに含むHEMT
40を示し、図示された好ましい第2のスペーサ層42は、第1のフィールドプレートと
、第1のスペーサ層28の露出した表面とを覆っている。第2のスペーサ層42は、第1
のスペーサ層28と同じ材料または同じ材料の複数の層から形成することができ、0.0
5から2ミクロンの範囲の全厚を有することができる。
【0035】
次いで、第2のスペーサ層42上に第2のフィールドプレート44を付着させることが
できる。本発明に基づく様々な第2のフィールドプレートは、様々な被覆範囲を提供する
ことができ、図示された第2のフィールドプレート44はゲート24と部分的に重なり合
う。本発明に基づく他の第2のフィールドプレートは、ゲート24の縁と第2のフィール
ドプレートの開始縁との間に空間を有することができる。第2のフィールドプレート44
の他の部分は、ゲート24の縁からドレインコンタクト22に向かって距離L
fd2だけ延
び、距離L
fd2は、0.2から5ミクロンの範囲とすることができる。第2のスペーサ層
42が第1のフィールドプレート32およびスペーサ層28を完全には覆わない実施形態
では、第1のフィールドプレート32と第2のフィールドプレート44との間の電気的な
分離を提供するため、第2のスペーサ層42は、第1のフィールドプレート32を十分に
覆わなければならない。
【0036】
第2のフィールドプレート44はソース電極20またはゲート24に接続することがで
き、多くの様々な接続構造を使用することができる。第2のスペーサ層42上に、第2の
フィールドプレート44とソース電極20との間に延びる第2の導電性バスを形成するこ
とができる。ソース電極20から第2のフィールドプレート44の中へ電流が効果的に広
がるが、不必要な静電容量が導入されるほどには活性領域を覆わない、様々な数のバスを
使用することができる。第2のフィールドプレート44も、HEMT40の活性領域の外
側を通り、ソース電極20に接続された第3の導電性経路によってソース電極20に電気
的に接続することができる。
【0037】
第2のフィールドプレート44の付着およびソース電極20へのその接続の後に、窒化
シリコンなどの誘電性パッシベーション層(図示せず)によってこの活性構造を覆うこと
ができる。誘電性パッシベーション層を形成する方法は、これまでに挙げた文献に詳述さ
れている。
図1および2のHEMT10、ならびに後述するHEMTおよびMESFET
も、スペーサ層(1つまたは複数)およびフィールドプレート(1つまたは複数)の形成
後に誘電性パッシベーション層によって覆うことができる。
【0038】
図4は、HEMT10のフィーチャと同様の多くのフィーチャを有する本発明に基づく
HEMTの他の実施形態60を示しており、これらの同様のフィーチャに対しては同じ参
照符号が使用されている。HEMT60は、基板12、核生成層14、バッファ層16、
バリア層18、ソース電極20、ドレイン電極22、ゲート24および2DEGチャネル
層26を含む。前述のものと同様、ゲート24の幅L
gは0.1から5ミクロンである。
【0039】
しかし、HEMT60は、ゲート24を覆わず、その代わりにゲート24とソースおよ
びドレインコンタクト20、22との間のバリア層18を覆うスペーサ層62を含む。他
の実施形態では、このスペーサ層が、前述のとおり、バリア層18の表面を完全には覆わ
ない。その被覆範囲は、第1のフィールドプレート64とバリア層18との間の電気的な
分離を提供するのに十分でなければならない。第1のフィールドプレート64はゲート2
4と一体に形成され、スペーサ層62上をドレインコンタクト22に向かって、0.2か
ら5ミクロンの範囲である距離L
fdだけ延び、ソースコンタクト20に向かって、0.2
から2ミクロンの範囲である距離L
fsだけ延びる。HEMT60では、ゲート24との第
1のフィールドプレートの一体成形によって、第1のフィールドプレートがゲート24に
電気的に接続される。フィールドプレート64はゲートと完全に一体とすることができ、
あるいは、ゲート24とフィールドプレート64との間で電流を効果的に広げるために十
分な導電性経路が使用可能である限りにおいて、コンタクトのソース側またはドレイン側
あるいはその両方の側のその一体接続中に穴による中断を有することができる。
【0040】
HEMT60では、デバイスメタライゼーションの前に第1のスペーサ層62を形成す
ることができ、それらの場合には、スペーサ層がエピタキシャル材料、例えば様々なII
I族元素を有するAl、GaまたはIn合金などのIII族窒化物材料を含むことができ
、適当なスペーサ層材料はAl
xGa
1-xN(0≦x≦1)である。バリア層18のエピタ
キシャル成長の後、同じエピタキシャル成長法を使用して、第1のスペーサ層62を成長
させることができる。次いで、ゲート24、ソース電極20およびドレイン電極22のた
めの開口を形成するため、第1のスペーサ層62がエッチングされる。メタライゼーショ
ンの間に、バリア層18と電気的に接触したゲート24が形成され、スペーサ層62上を
延びるゲートと一体の第1のフィールドプレート64が形成される。この同じメタライゼ
ーションステップの間に、ソースおよびドレイン電極20、22を形成することができる
。
【0041】
他の実施形態では、最初に活性領域上に第1のゲート24をメタライゼーションによっ
て形成することができ、ゲート24とソースおよびドレインコンタクト20、22との間
の活性領域上に、誘電材料のスペーサ層を形成することができる。次いで、ゲート24と
一体のフィールドプレート64を形成することができる。ソース電極20とゲート電極2
2の両方に向かってフィールドプレート64を延ばすことによって、HEMT60は、図
1および2のHEMT10と同じ動作上の利点を経験する。
【0042】
図5は、
図4に示されたHEMT60と同様のHEMTの他の実施形態70を示し、こ
のHEMTは、基板12、核生成層14、バッファ層16、バリア層18、ソース電極2
0、ドレイン電極22、ゲート24、2DEGチャネル層26、第1のスペーサ層62お
よび第1のフィールドプレート64を有する。しかし、HEMT70はさらに、第2の誘
電スペーサ層72および第2のフィールドプレート74を有し、第2のスペーサ層は、第
1のフィールドプレート64と第2のフィールドプレート74との間の電気的な分離を提
供するのに十分な量だけ、第1のフィールドプレート64を覆う。図示されるように、こ
のスペーサ層は、第1のフィールドプレート64と、第1のスペーサ層62の露出面とを
覆う。第2のフィールドプレート74は、HEMTの活性領域の外側を通る前述の導電性
経路を含む様々な方法を使用して、ソースコンタクト20またはゲートに電気的に接続す
ることができる。
【0043】
HEMT40および70(ならびに後述するHEMTおよびMESFET)はさらに、
第2のフィールドプレート72および第2のスペーサ層74の上に、追加のスペーサ層/
フィールドプレート対を含むことができる。
図5は、第3のスペーサ層76(破線で描か
れている)および第3のフィールドプレート78(破線で描かれている)を含むHEMT
70上の追加の対を示しており、スペーサ層76は、第2のフィールドプレート74と第
3のフィールドプレート78との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけ、第2の
フィールドプレート74を覆う。第3のフィールドプレート78(および後続の任意のフ
ィールドプレート)も、前述の方法によってソース電極またはゲートに電気的に結合する
ことができる。
【0044】
好ましい一実施形態では、一番上のフィールドプレートがソース電極に接続され、その
下の中間フィールドプレートをソース電極またはゲートに接続することができる。例えば
、本発明に基づくトランジスタは3つのフィールドプレートを有することができ、一番上
のフィールドプレートがソース電極に接続され、その下の残りのフィールドプレートがソ
ース電極またはゲートに接続される。
【0045】
この多重フィールドプレート配置は、デバイス内のピーク電場をさらに低減させること
ができ、その結果、破壊電圧が増大し、トラッピングが低減する。これにより、ゲートに
接続されたフィールドプレートによって否定的な影響を受けることがある利得および安定
性を向上させることができる。本発明に従って配置されたとき、ソースに接続されたフィ
ールドプレートの遮蔽効果がC
gdを低減させることができ、このことが入力−出力分離を
強化する。
【0046】
図6は、
図1および2のHEMT10と同様の本発明に基づくHEMTの他の実施形態
80を示し、
図7は、
図5のHEMT70と同様の本発明に基づくHEMTの他の実施形
態90を示す。HEMT80および90はそれぞれ、基板12、核生成層14、バッファ
層16、バリア層18、ソース電極20、ドレイン電極22および2DEGチャネル層2
6を含む。HEMT80は、ゲート82、第1の誘電スペーサ層84および第1のフィー
ルドプレート86を有するが、
図1および2のゲート24とは異なり、ゲート82がバリ
ア層18の中に落ち込んでいる。第1のスペーサ層84は、ゲート82とフィールドプレ
ート86との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけゲート82およびバリア層を
覆い、フィールドプレートは、ゲートの一方の側のスペーサ層84上をドレイン電極20
に向かって延び、もう一方の側をソース電極22に向かって延び、延びる距離はともに前
述の範囲内にある。前述のとおり、追加のスペーサ層/フィールドプレート対を含め、そ
れらを電気的に接続することができる。HEMT80は第2の対88(破線で示されてい
る)を有する。
【0047】
HEMT90は、ゲート92、スペーサ層94および一体型のフィールドプレート96
を有し、ゲート92はバリア層18の中に落ち込んでいる。スペーサ層94は、
図5に示
された前述のスペーサ層62と同じ材料から形成することができ、フィールドプレート9
6とバリア層との間の電気的な分離を提供するのに十分な量だけ、バリア層18を覆うこ
とができる。他の実施形態では、ゲートの下面を部分的に落ち込ませることができ、また
はゲートの様々な部分を、バリア層18内の様々な深さまで落ち込ませることができる。
前述のとおり、追加のスペーサ層/フィールドプレート対を含め、それらを電気的に接続
することができる。HEMT90は第2の対98(破線で示されている)を有する。
【0048】
図8は、
図1および2に示されたHEMT10と同様の本発明に基づくHEMTの他の
実施形態100を示し、このHEMTは、基板12、核生成層14、バッファ層16、バ
リア層18、ソース電極20、ドレイン電極22、ゲート24、2DEG26および第1
のスペーサ層28を有する。しかし、HEMT100は、単一の第1のフィールドプレー
トを有する代わりに、ソースフィールドプレート102とドレインフィールドプレート1
04とに分離された第1のフィールドプレートを有する。ソースフィールドプレート10
2は、ゲート24のソース側と部分的に重なり合い、スペーサ層28上をソース電極20
に向かって、前述の距離の範囲内にある距離L
fsだけ延びる。ドレインフィールドプレー
ト104は、ゲート24と部分的に重なり合い、スペーサ層28上をドレインコンタクト
22に向かって、前述の距離の範囲内にある距離L
fdだけ延びる。ソースおよびドレイン
フィールドプレート102、104はそれぞれ、ソースコンタクト20またはゲート24
に(前述の方法を使用して)接続することができ、あるいは、一方をソースコンタクト2
0に接続し、もう一方をゲート24に接続することができる。
【0049】
様々な実施形態では、ソースおよびドレインフィールドプレート102、104が、ゲ
ート24と部分的に重なり合う必要がなく、一方または両方のフィールドプレートが、ゲ
ートの縁とそのフィールドプレートの縁との間に隔たりを有することができる。ゲートの
重なりは、否定的な影響を性能に与えうる追加の静電容量を導入する可能性がある。ソー
スおよびドレインフィールドプレートが電場を効果的に低減させるためには、ゲートの縁
とフィールドプレートとの間の隔たりが比較的に小さくなければならず、このことは、製
造中にいくつかの困難を生じさせる可能性がある。フィールドプレート102、104を
ゲート24と部分的に重なり合わせることによって、この小さな隔たりの許容範囲内の条
件を満たす必要なしにHEMTを製造することができる。部分的に重なり合うフィールド
プレートを使用するのか、または重なり合わないフィールドプレートを使用するのかを決
定する際には、製造の容易さと静電容量の低減との間のバランスを考慮する。
【0050】
本発明の構造を、様々な材料システムから製作された他のタイプのトランジスタで使用
することもできる。
図9は、本発明に基づく炭化シリコンベースのMESFETの一実施
形態110を示す。MESFET110は、その上に炭化シリコンバッファ114および
炭化シリコンチャネル層116が形成された炭化シリコン基板112を含み、バッファ1
14は、チャネル層116と基板112との間に挟まれている。バッファ114およびチ
ャネル層116は全体としてMESFETの活性領域を形成する。チャネル層116と接
触してソースおよびドレイン電極118、120が形成され、ソース電極118とドレイ
ン電極120との間のチャネル層116上にゲート122が形成される。この好ましい実
施形態では、ゲート122がチャネル層116の中に落ち込んでいるが、これら2つの間
に十分な電気的接触が得られる限り、落ち込みなしにゲート122がチャネル層116の
表面にあってもよい。ゲート122を部分的に落ち込ませて、ゲート122の下面の一部
分だけがチャネル層116の中に落ち込むようにすることもできる。
【0051】
ゲート122の上、ならびにゲート122とソースおよびドレイン電極118、120
との間のチャネル層116の表面に、非電導性(誘電性)スペーサ層124が形成される
。
図1および2に示された前述のスペーサ層28と同様に、スペーサ層124は、誘電体
などの1つの非電導性材料層、または様々な誘電体などの複数の様々な非電導性材料層を
含むことができる。
【0052】
ゲート122の上のスペーサ層124上に、第1のフィールドプレート126が形成さ
れ、第1のフィールドプレート126は、スペーサ層124上をソース電極118に向か
って距離L
fsだけ延び、ドレイン電極120に向かって距離L
fdだけ延び、これらの距離
はともに前述の距離の範囲内にある。フィールドプレート126も、前述の接続構造と同
じ構造を使用してソース電極118またはゲート122に接続することができる。この第
1のフィールドプレートも、前述の2片(two piece)ドレインフィールドプレート/ソ
ースフィールドプレート配置など、2つ以上のフィールドプレートを含むことができる。
【0053】
第1のフィールドプレート126および第1のスペーサ層124の上に、第2の非電導
性スペーサ層128(破線で示されている)を形成することができ、これは、
図3に示さ
れた前述の第2のスペーサ層42と同様である。同様に、第2のスペーサ層128上に第
2のフィールドプレート130(破線で示されている)が提供され、これも、
図3に示さ
れた前述の第2のフィールドプレート44と同様であり、同様に接続される。
【0054】
図10は、本発明に基づく炭化シリコンMESFETの他の実施形態140を示し、こ
のMESFETは、基板112、バッファ114、チャネル層116、ソース電極118
、ドレイン電極120を含む
図9のMESFET110と同様のフィーチャを有する。ソ
ース電極118とドレイン電極120との間のチャネル層116上に、落ち込んだゲート
142が形成されているが、これは、チャネル層116の表面に形成することもできる。
MESFET140はさらにスペーサ層144を含み、これはゲート142と重なり合わ
ず、ゲート142とソースおよびドレイン電極118、120との間のチャネル層116
の表面の少なくとも一部分を覆う。ゲート142と一体のフィールドプレート146が形
成され、これは、スペーサ層144上をソース電極118に向かって距離L
fsだけ延び、
ドレイン電極120に向かって距離L
fdだけ延び、これらの距離はともに前述の距離の範
囲内にある。スペーサ層144は誘電材料とすることができ、デバイスメタライゼーショ
ンの前にスペーサ層144が形成される場合には、このスペーサ層は、前述のエピタキシ
ャル材料を含むことができる。
【0055】
図11は、ゲート−ソースフィールドプレートを持たないGaNベースのHEMT(デ
バイスA)の動作特性と、長さ0.2ミクロンのゲート−ソースフィールドプレートを有
するGaNベースのHEMT(デバイスB)の動作特性とを比較した表130を示す。デ
バイスAおよびBの測定値は、1デシベル(dB)圧縮に駆動された4ギガヘルツ(GH
z)、Vg=−7V、10時間の200CクラスC動作におけるパワーデグラデーション
(power degradation)に関してとられたものである。測定値はデバイスAの破壊を示し
ており、一方、デバイスBは同じ条件下で破壊を経験しない。
【0056】
このフィールドプレート配置は、HEMTおよびMESFET以外の他のトランジスタ
に適用することができ、その一例が金属酸化物半導体ヘテロ構造電界効果トランジスタ(
MOSHFET)であることが理解される。MOSHFETでは、ゲートとMOSHFE
T活性領域との間にスペーサ層を形成することができる。ゲートの下からスペーサ層を部
分的に除去して、ゲートが薄いスペーサ(絶縁体)層上にあり、フィールドプレートがよ
り厚いスペーサ(絶縁体)層上にあるようにすることができる。ゲートはこの絶縁体層を
介して依然として活性領域と「接触」していると考えられ、このMOSHFET配置はゲ
ート漏れを低減させるように設計される。
【0057】
以上の実施形態は、マイクロ波およびミリメートル波周波数におけるパワーが向上した
ワイドバンドギャップトランジスタを提供する。このトランジスタは、より高い入力−出
力分離により、高利得、高電力およびより安定な動作を同時に示す。より低い周波数にお
ける高電圧用途向けに、この構造をより大きな寸法に拡張することができる。
【0058】
いくつかの好ましい構成に関して本発明を詳細に説明したが、他の変形構成も可能であ
る。多くの様々なデバイスで、このフィールドプレート配置を使用することができる。こ
のフィールドプレートはさらに、多くの様々な形状を有することができ、多くの様々な方
法でソースコンタクトに接続することができる。例えば、接続が、バスまたは導電性経路
による接続の代わりに、フィールドプレートとソースコンタクトとの間で連続した接続と
なるように、フィールドプレートは、HEMT活性領域の上から延びることができる。し
かしこの配置は、極端に高い静電容量を構造に導入する可能性がある。したがって、本発
明の趣旨および範囲を、上述の本発明の好ましい構成に限定してはならない。