(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記半導体チップ収容部は、前記第3絶縁層側に開口されていると共に、前記配線層の一部である半導体チップ搭載部によって底面が形成された凹部である請求項1乃至3の何れか一項記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
〈第1の実施の形態〉
[第1の実施の形態に係る半導体装置の構造]
まず、第1の実施の形態に係る半導体装置の構造について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置を例示する断面図である。
図1を参照するに、半導体装置10は、大略すると、第1絶縁層21と、配線層22と、第2絶縁層23と、配線層24と、第3絶縁層25と、配線層26と、第4絶縁層27と、配線層28と、ソルダーレジスト層29と、受動素子40と、接着層50と、半導体チップ60とを有する。
【0014】
なお、半導体装置10において、便宜上、
図1における第1絶縁層21側を下(下面)、ソルダーレジスト層29側を上(上面)として説明を行う。
【0015】
半導体装置10において、下側の最外層には第1絶縁層21が形成されている。第1絶縁層21の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層21の厚さは、例えば20〜40μm程度とすることができる。第1絶縁層21は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0016】
配線層22は、第1絶縁層21上(第1絶縁層21の一方の面)に形成されている。配線層22の一部は、接着層50を介して半導体チップ60が搭載される半導体チップ搭載部を構成している。配線層22の一部である半導体チップ搭載部は、電気的に独立していても構わない(何れの部材や配線等とも電気的に接続されていなくても構わない)。配線層22の材料としては、例えば、銅(Cu)等を含む金属を用いることができる。配線層22の厚さは、例えば、10〜40μm程度とすることができる。なお、配線層22は、本発明に係る配線層の代表的な一例である。
【0017】
配線層22の一部は第1絶縁層21に形成された複数の開口部21x内に露出している。開口部21x内に露出している配線層22は、他の半導体装置等と電気的に接続される電極パッドとして機能する(後述の
図5参照)。以降、第1絶縁層21に形成された複数の開口部21x内に各々露出する配線層22を第1電極パッド22と称する場合がある。第1電極パッド22の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜200μm程度とすることができる。第1電極パッド22のピッチは、例えば200〜400μm程度とすることができる。
【0018】
必要に応じ、第1電極パッド22の露出面を覆うように金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。第1電極パッド22上に、はんだボール等の外部接続端子を形成しても構わない。
【0019】
第2絶縁層23は、第1絶縁層21上に配線層22を覆うように形成されている。第2絶縁層23の材料としては、第1絶縁層21と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第2絶縁層23の厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。第2絶縁層23は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0020】
第2絶縁層23には、ビアホール23x及び半導体チップ収容部23yが形成されている。ビアホール23xは、第3絶縁層25側に開口されていると共に、配線層22の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部である。半導体チップ収容部23yは、第3絶縁層25側に開口されていると共に、配線層22の一部である半導体チップ搭載部によって底面が形成された矩形状の凹部である。
【0021】
半導体チップ収容部23yには、シリコン等を主成分とし、回路形成面側に複数の電極パッド61が形成された半導体チップ60がフェイスアップ状態で(回路形成面を第1絶縁層21とは反対側に向けて)収容されている。半導体チップ60の裏面(回路形成面と反対側の面)は、接着層50を介して、半導体チップ収容部23yの底部に露出する配線層22の一部である半導体チップ搭載部に接合されている。接着層50としては、例えば、ダイアタッチフィルム等を用いることができる。
【0022】
半導体チップ60の側面と半導体チップ収容部23yの内側面との間には、所定のクリアランスが形成されている。なお、半導体チップ60の回路形成面側の一部分が第2絶縁層23の上面から突出しているが、半導体チップ60の全てが半導体チップ収容部23y内に収まるように(第2絶縁層23の上面から突出する部分がないように)収容しても構わない。
【0023】
このように、半導体チップ60を内蔵することにより、半導体チップ60を半導体装置10の何れかの表面に搭載する場合に比べて、半導体装置10は上下対称に近い構造となり、半導体装置10に生じる反りを低減できる。
【0024】
より詳しく説明すると、半導体チップ60がシリコンを主成分とする場合、その熱膨張係数は3.4ppm/℃程度、ヤング率は200GPa程度である。一方、第1絶縁層21や他の絶縁層がエポキシ系樹脂を主成分とする場合、その熱膨張係数は8〜150ppm/℃程度であり、ヤング率は0.03〜13GPa程度である。
【0025】
熱膨張係数が小さくヤング率の高い半導体チップ60を半導体装置10の何れかの表面に搭載すると、半導体チップ60が搭載されている側は熱応力等により変形し難くなり、半導体チップ60が搭載されていない側は熱応力等により変形し易くなる。そのため、半導体装置10に反りが生じることになる。
【0026】
一方、本実施の形態では、半導体装置10は、熱膨張係数が小さくヤング率の高い半導体チップ60を厚さ方向の中央部近傍に配置した構造であり、上下方向で物性値(熱膨張係数やヤング率)のバランスがとれている。これにより、半導体チップ60を半導体装置10の何れかの表面に搭載する場合に比べて、半導体装置10に生じる反りを低減できる。
【0027】
半導体装置10には、2つの電極41を有する受動素子40が搭載されている。受動素子40は、例えば、キャパシタ等である。より詳しくは、受動素子40は、例えば、半導体チップ60の電源を安定化するために設けられたデカップリング用のキャパシタ等であり、例えば、電極41の一方は電源に接続され他方は基準電位(GND)に接続される。
【0028】
受動素子40は、第1絶縁層21、第2絶縁層23、及び第3絶縁層25に埋設されている埋設部と、第1絶縁層21の下面(他方の面)から突出している突出部とを備えている。換言すれば、受動素子40は第1絶縁層21及び第2絶縁層23を貫通し、受動素子40の上面(端面)は第3絶縁層25内に位置している。又、受動素子40の下面は、第1絶縁層21の下面(他方の面)から突出している。なお、受動素子40の上面は第2絶縁層23の上面と面一であっても構わない。
【0029】
受動素子40の突出部の突出量(受動素子40の下面の第1絶縁層21の下面(他方の面)からの距離)は、以下のようにして決定できる。すなわち、半導体装置10の第1電極パッド22側に他の半導体装置を積層してPOP構造の半導体装置を作製する場合がある(後述の
図5参照)。その際、第1電極パッド22には、所定の径を有するはんだボール等が搭載され、半導体装置10の第1絶縁層21の下面(他方の面)と他の半導体装置の対向面との間隔は、搭載されるはんだボール等の径により決定される。
【0030】
ここで、通常使用するはんだボールの径は200μm〜600μm程度であるため、半導体装置10の第1絶縁層21の下面(他方の面)と他の半導体装置の対向面との間隔は、150μm〜500μm程度となる。そこで、受動素子40の突出部の突出量を半導体装置10の第1絶縁層21の下面(他方の面)と他の半導体装置の対向面との間隔未満の値に設定する。これにより、半導体装置10の第1絶縁層21の下面(他方の面)と他の半導体装置の対向面との間隔を有効活用できる。
【0031】
又、受動素子40を完全に半導体装置10に内蔵する場合、受動素子40の厚さに応じて絶縁層を厚くする必要が生じ、その分、半導体装置10は厚くなってしまう。しかし、本実施の形態に係る半導体装置10では、受動素子40の一部をあえて、突出部として露出させることで、絶縁層の厚さを抑えているため、半導体装置10を薄型化できる。
【0032】
配線層24は、第2絶縁層23上に形成されている。配線層24は、第2絶縁層23を貫通し配線層22の上面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層23の上面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層24は、ビアホール23x内に露出した配線層22と電気的に接続されている。
【0033】
換言すれば、配線層24を構成するビア配線(ビアホール23x内に充填されたビア配線)は、第1電極パッド22と電気的に接続されている。配線層24の材料や厚さは、例えば、配線層22と同様とすることができる。なお、複数のビアホール23x内に充填された各ビア配線は、本発明に係る複数の第2ビア配線の代表的な一例である。
【0034】
第3絶縁層25は、第2絶縁層23上に配線層24、受動素子40の第2絶縁層23から露出する部分、半導体チップ60の回路形成面及び側面を被覆するように形成されている。第3絶縁層25の材料としては、第1絶縁層21と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第3絶縁層25の厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。第3絶縁層25は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0035】
配線層26は、第3絶縁層25上に形成されている。配線層26は、ビアホール25x内に充填されたビア配線、ビアホール25y内に充填されたビア配線、及びビアホール25z内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層25の上面に形成された配線パターンを含んで構成されている。
【0036】
ビアホール25xは、第3絶縁層25を貫通し配線層24を露出している。ビアホール25yは、第3絶縁層25を貫通し受動素子40の電極41を露出している。ビアホール25zは、第3絶縁層25を貫通し半導体チップ60の電極パッド61を露出している。
【0037】
配線層26は、ビアホール25x内に露出した配線層24と電気的に接続された部分を含む。又、配線層26は、ビアホール25y内に露出した受動素子40の電極41と電気的に接続された部分、及びビアホール25z内に露出した半導体チップ60の電極パッド61と電気的に接続された部分を含む。配線層26の材料や厚さは、例えば、配線層22と同様とすることができる。
【0038】
受動素子40と半導体チップ60とは、配線層26を各々構成するビアホール25y内に充填されたビア配線、第3絶縁層25上に形成された配線パターン、及びビアホール25z内に充填されたビア配線を介して電気的に接続されている。
【0039】
つまり、第3絶縁層25に形成されたビア配線(ビアホール25y内に充填されたビア配線、及びビアホール25z内に充填されたビア配線)は、受動素子40と半導体チップ60とを電気的に接続する経路の一部をなす。なお、第3絶縁層25に形成されたビア配線(ビアホール25y内に充填されたビア配線、及びビアホール25z内に充填されたビア配線)は、本発明に係る第1ビア配線の代表的な一例である。
【0040】
又、受動素子40は、配線層26を各々構成するビアホール25y内に充填されたビア配線、第3絶縁層25上に形成された配線パターン、及びビアホール25x内に充填されたビア配線と電気的に接続されている。更に、ビアホール25x内に充填されたビア配線は、配線層24を各々構成する第2絶縁層23上に形成された配線パターン、及びビアホール23x内に充填されたビア配線を介して第1電極パッド22と電気的に接続されている。
【0041】
つまり、受動素子40は、第1電極パッド22と電気的に接続されており、第2絶縁層23に形成されたビア配線(ビアホール23x内に充填されたビア配線)は、受動素子40と第1電極パッド22とを電気的に接続する経路の一部をなす。
【0042】
又、図示はされていないが、半導体チップ60は、配線層26を各々構成するビアホール25z内に充填されたビア配線、第3絶縁層25上に形成された配線パターン、及びビアホール25x内に充填されたビア配線と電気的に接続されている。更に、ビアホール25x内に充填されたビア配線は、配線層24を各々構成する第2絶縁層23上に形成された配線パターン、及びビアホール23x内に充填されたビア配線を介して第1電極パッド22電気的に接続されている。
【0043】
つまり、半導体チップ60と第1電極パッド22とは電気的に接続されており、第2絶縁層23に形成されたビア配線(ビアホール23x内に充填されたビア配線)は、半導体チップ60と第1電極パッド22とを電気的に接続する経路の一部をなす。
【0044】
第4絶縁層27は、第3絶縁層25上に配線層26を覆うように形成されている。第4絶縁層27の材料としては、第1絶縁層21と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第4絶縁層27の厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。第4絶縁層27は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0045】
配線層28は、第4絶縁層27上に形成されている。配線層28は、第4絶縁層27を貫通し配線層26の上面を露出するビアホール27x内に充填されたビア配線、及び第4絶縁層27の上面に形成された配線パターンを含んで構成されている。配線層28は、ビアホール27x内に露出した配線層26と電気的に接続されている。配線層28の材料や厚さは、例えば、配線層22と同様とすることができる。
【0046】
ソルダーレジスト層29は、第4絶縁層27上に配線層28を覆うように形成されている絶縁層である。ソルダーレジスト層29の厚さは、例えば30〜60μm程度とすることができる。ソルダーレジスト層29は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。ソルダーレジスト層29は開口部29xを有し、開口部29x内には配線層28の一部が露出している。
【0047】
開口部29x内に露出する配線層28は、他の半導体装置や半導体チップ、マザーボード等の実装基板、或いは電子部品等(図示せず)と電気的に接続される電極パッドとして機能する。以降、開口部29x内に露出する配線層28を第2電極パッド28と称する場合がある。第2電極パッド28の平面形状は例えば円形であり、その直径は例えば100〜350μm程度とすることができる。第2電極パッド28のピッチは、例えば400〜500μm程度とすることができる。
【0048】
必要に応じ、第2電極パッド28の露出面を覆うように金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。第2電極パッド28上に、はんだボールやリードピン等の外部接続端子を形成しても構わない。
【0049】
このように、半導体装置10は、能動素子である半導体チップ60を内蔵すると共に、第1絶縁層21の下面(他方の面)から一部が突出するように受動素子40を搭載している。但し、半導体装置10は、受動素子40を含む複数種類の受動素子を搭載してもよく、必ずしも全ての受動素子が第1絶縁層21の下面(他方の面)から突出していなくてもよい。つまり、半導体装置10は、第1絶縁層21等に完全に埋設されている受動素子を有していてもよい。
【0050】
又、半導体装置10は、POP構造の半導体装置の小型化及び薄型化を妨げない高さの低い(厚さの薄い)受動素子を、第1絶縁層21等に埋設することなく、第1絶縁層21の下面(他方の面)に実装してもよい。
【0051】
半導体装置10が搭載可能な受動素子の一例としては、キャパシタ、インダクタ、抵抗、サーミスタ、水晶振動子等を挙げることができる。なお、受動素子は、2つの電極を有する形態には限定されない。
【0052】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
図2〜
図4は、第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を例示する図である。なお、
図2〜
図4において、Cは最終的にダイサー等により切断する位置(以下、「切断位置C」とする)を示している。
【0053】
つまり、以下の工程は、半導体装置10となる複数の領域を有する構造体を作製し、その構造体を切断位置Cで切断して複数の半導体装置10を得る工程である。但し、後述する支持体100上に1個の半導体装置10を作製する工程としても構わない。
【0054】
まず、
図2(a)に示す工程では、絶縁層110の両面に金属箔120及び130が各々形成された支持体100を準備し、金属箔120上に第1絶縁層21及び金属箔22Aを順次積層(ラミネート)する。支持体100としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた絶縁層110の両面に、金属箔120及び130として銅箔が各々形成された所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。
【0055】
第1絶縁層21の材料としては、例えばエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。第1絶縁層21の厚さは、例えば20〜40μm程度とすることができる。第1絶縁層21は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0056】
金属箔22Aとしては、例えば、銅箔を用いることができる。金属箔22Aの厚さは、例えば、10〜40μm程度とすることができる。なお、金属箔22Aは、後工程でパターニングされて配線層22となる部分である。
【0057】
次に、
図2(b)に示す工程では、金属箔22Aをパターニングして半導体チップ搭載部及び第1電極パッドとなる部分を含む配線層22を形成する。そして、配線層22が形成されていない領域に、第1絶縁層21及び金属箔120を貫通し底面が絶縁層110内に達する凹部100xを形成する。配線層22は、例えば、金属箔22Aの上面を選択的に被覆するレジスト層(図示せず)を形成し、レジスト層(図示せず)に被覆されていない部分の金属箔22Aをエッチングにより除去することで形成できる。
【0058】
凹部100xは、例えば、ルータ加工等により形成できる。なお、凹部100xは、後工程で受動素子40が挿入される部分である。従って、凹部100xは、受動素子40よりも若干大きめの寸法に形成する。凹部100xは、例えば、受動素子40が挿入された際に、受動素子40の周囲に数10μm程度のクリアランスができる程度の寸法に形成することができる。
【0059】
次に、
図2(c)に示す工程では、凹部100x内に、マウンタ等を用いて2つの電極41を有する受動素子40を挿入する。受動素子40は、例えば、上面が凹部100xから突出するように挿入することができる。なお、受動素子40を挿入する前に凹部100xの内底面や内側面に予め接着剤を設けてもよい。
【0060】
続いて、第1絶縁層21上(第1絶縁層21の一方の面)に、受動素子40の少なくとも一部及び配線層22を被覆するように、例えば絶縁性樹脂をラミネートし、第2絶縁層23を形成する。この際、例えば、受動素子40の上面が第2絶縁層23の上面から突出するように第2絶縁層23を形成することができる。なお、受動素子40の上面が第2絶縁層23の上面と面一となるように第2絶縁層23を形成してもよい。又、受動素子40の上面が第2絶縁層23に覆われるように第2絶縁層23を形成してもよい。
【0061】
第2絶縁層23の材料としては、第1絶縁層21と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第2絶縁層23の厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。第2絶縁層23は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0062】
次に、
図2(d)に示す工程では、第2絶縁層23に、第2絶縁層23を貫通し配線層22の上面を露出させるビアホール23xを形成する。ビアホール23xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。レーザ加工法により形成したビアホール23xは、第3絶縁層25が形成される側に開口されていると共に、配線層22の上面によって底面が形成された、開口部の面積が底面の面積よりも大となる円錐台状の凹部となる。
【0063】
続いて、第2絶縁層23上に配線層24を形成する。配線層24は、ビアホール23x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層23の上面に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層24は、ビアホール23x内に露出した配線層22と電気的に接続される。配線層24の材料や厚さは、例えば、配線層22と同様とすることができる。配線層24は、セミアディティブ法やサブトラクティブ法等の各種の配線形成方法を用いて形成できる。
【0064】
次に、
図3(a)に示す工程では、第2絶縁層23に半導体チップ収容部23yを形成する。半導体チップ収容部23yを形成するには、例えば、第2絶縁層23上に、半導体チップ収容部23yを形成する部分(配線層22の半導体チップ搭載部と平面視で重複する部分)以外を被覆するレジスト層(図示せず)を設ける。そして、レジスト層から露出する第2絶縁層23(半導体チップ搭載部上の第2絶縁層23)をエッチングによって除去すればよい。エッチングの一例としては、例えば、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いたブラスト処理を挙げることができる。
【0065】
なお、半導体チップ収容部23yとなる部分には配線層22の半導体チップ搭載部が形成されているため、配線層22の半導体チップ搭載部がエッチングストッパとして機能し、配線層22の半導体チップ搭載部上の第2絶縁層23のみが除去される。これにより、半導体チップ収容部23yは、第3絶縁層25が形成される側に開口されていると共に、配線層22の半導体チップ搭載部によって底面が形成された矩形状の凹部となる。
【0066】
半導体チップ収容部23yは、後工程で半導体チップ60が収容される凹部である。従って、半導体チップ収容部23yは、半導体チップ60よりも若干大きめの寸法に形成する。半導体チップ収容部23yは、例えば、半導体チップ60が収容された際に、半導体チップ60の周囲に数10μm程度のクリアランスができる程度の寸法に形成することができる。
【0067】
なお、
図3(a)に示す工程の後、
図3(a)に示す構造体(受動素子40を搭載した配線基板)の電気検査等を実行しても良い。これにより、不良の配線基板を排除することが可能となり、後工程で不良の配線基板に半導体チップ60が搭載されて不良の半導体装置が製造されるおそれを低減できる。
【0068】
次に、
図3(b)に示す工程では、半導体チップ収容部23yに、回路形成面側に複数の電極パッド61が形成された半導体チップ60をフェイスアップ状態で(回路形成面を第1絶縁層21とは反対側に向けて)収容する。例えば、半導体チップ60の裏面に予めダイアタッチフィルム等を用いて接着層50を形成しておくことにより、半導体チップ60を接着層50を介して半導体チップ収容部23y内に固定することができる。
【0069】
半導体チップ60の側面と半導体チップ収容部23yの内側面との間には、所定のクリアランスが形成される。なお、
図3(b)では、半導体チップ60の回路形成面側の一部分が第2絶縁層23の上面から突出しているが、半導体チップ60の全てが半導体チップ収容部23y内に収まるように(第2絶縁層23の上面から突出する部分がないように)収容しても構わない。
【0070】
次に、
図3(c)に示す工程では、
図2(c)及び
図2(d)に示す工程を繰り返すことにより、第2絶縁層23上に配線層24、第3絶縁層25、配線層26、第4絶縁層27、及び配線層28を順次積層する。
【0071】
すなわち、第2絶縁層23上に配線層24、受動素子40の上面、及び半導体チップ60の回路形成面及び側面を被覆する第3絶縁層25を形成する。そして、第3絶縁層25を貫通し配線層24の上面を露出するビアホール25x、第3絶縁層25を貫通し受動素子40の電極41を露出するビアホール25y、第3絶縁層25を貫通し半導体チップ60の電極パッド61を露出ビアホール25zを形成する。第3絶縁層25の材料としては、第1絶縁層21と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第3絶縁層25の厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。第3絶縁層25は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0072】
更に、第3絶縁層25上に配線層26を形成する。配線層26は、ビアホール25x内に充填されたビア配線、ビアホール25y内に充填されたビア配線、及びビアホール25z内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層25の上面に形成された配線パターンを含んで構成される。
【0073】
配線層26は、ビアホール25x内に露出した配線層24と電気的に接続された部分を含む。又、配線層26は、ビアホール25y内に露出した受動素子40の電極41と電気的に接続された部分、及びビアホール25z内に露出した半導体チップ60の電極パッド61と電気的に接続された部分を含む。配線層26の材料や厚さは、例えば、配線層22と同様とすることができる。
【0074】
更に、第3絶縁層25上に配線層26を被覆する第4絶縁層27を形成した後に、第4絶縁層27を貫通し配線層26の上面を露出するビアホール27xを形成する。第4絶縁層27の材料としては、第1絶縁層21と同様の絶縁性樹脂を用いることができる。第4絶縁層27の厚さは、例えば、30〜60μm程度とすることができる。第4絶縁層27は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0075】
更に、第4絶縁層27上に、ビアホール27xを介して配線層26に接続される配線層28を形成する。配線層28は、ビアホール27x内を充填するビア配線、及び第4絶縁層27上に形成された配線パターンを含んで構成される。配線層28は、ビアホール27x内に露出した配線層26と電気的に接続される。配線層28の材料や厚さは、例えば、配線層22と同様とすることができる。
【0076】
このようにして、支持体100上に所定のビルドアップ配線層が形成される。本実施の形態では、4層のビルドアップ配線層(配線層22、配線層24、配線層26、及び配線層28)を形成したが、n層(nは1以上の整数)のビルドアップ配線層を形成してもよい。
【0077】
次に、
図4(a)に示す工程では、第4絶縁層27上に、配線層28の一部を露出する開口部29xを有するソルダーレジスト層29を形成する。ソルダーレジスト層29は、例えば液状又はペースト状の感光性のエポキシ系やアクリル系の絶縁性樹脂を、配線層28を被覆するように第4絶縁層27上にスクリーン印刷法、ロールコート法、又は、スピンコート法等で塗布することにより形成できる。或いは、例えばフィルム状の感光性のエポキシ系やアクリル系の絶縁性樹脂を、配線層28を被覆するように第4絶縁層27上にラミネートすることにより形成してもよい。
【0078】
開口部29xは、塗布又はラミネートした絶縁性樹脂を露光及び現像することにより形成できる(フォトリソグラフィ法)。予め開口部29xを形成したフィルム状の絶縁性樹脂を、配線層28を被覆するように第4絶縁層27上にラミネートしても構わない。なお、ソルダーレジスト層29の材料として、非感光性の絶縁性樹脂を用いてもよい。この場合には、第4絶縁層27上にソルダーレジスト層29を形成して硬化させた後、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法や、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いたブラスト処理により開口部29xを形成すればよい。
【0079】
必要に応じ、開口部29x内に露出する配線層28(第2電極パッド28)上に、例えば無電解めっき法等により金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。
【0080】
次に、
図4(b)に示す工程では、
図4(a)に示す支持体100を除去する。支持体100を除去するには、まず、金属箔130を除去する。金属箔130が銅箔である場合には、例えば塩化第二鉄水溶液や塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液、塩化アンモニウム銅水溶液、過酸化水素水・硫酸系のエッチング液等を用いたウェットエッチングにより除去できる。なお、第2電極パッド28が銅により形成されている場合には第2電極パッド28をマスクする必要がある。
【0081】
続いて、絶縁層110を除去する。絶縁層110は、例えば、アルミナ砥粒等の研磨剤を用いてブラスト処理することで除去できる。なお、金属箔120がエッチングストッパとして機能するため、金属箔120を残して絶縁層110のみが除去される。次いで、金属箔120を除去する。金属箔120が銅箔である場合には、金属箔130と同様の方法で除去できる。これにより、第1絶縁層21の下面(他方の面)が下方に露出し、第1絶縁層21の下面(他方の面)から受動素子40の一部が突出する。
【0082】
次に、
図4(c)に示す工程では、第1絶縁層21に、第1絶縁層21を貫通する開口部21xを形成し、開口部21x内に配線層22の一部を露出させて第1電極パッド22を形成する。開口部21xは、例えばCO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。
【0083】
必要に応じ、開口部21x内に露出する配線層22(第1電極パッド22)上に、例えば無電解めっき法等により金属層を形成してもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。以上の工程で、半導体装置10となる複数の領域(切断位置Cで囲まれた領域)を有する構造体が作製された。
【0084】
図4(c)に示す工程の後、複数の領域(切断位置Cで囲まれた領域)を有する構造体をダイサー等により切断位置Cで切断して個片化することにより、
図1に示す半導体装置10が複数個完成する。
【0085】
[第1の実施の形態に係る半導体装置の応用例]
次に、第1の実施の形態に係る半導体装置の応用例として、POP構造の半導体装置について説明する。
図5は、POP構造の半導体装置を例示する断面図である。
図5を参照するに、半導体装置10Aは、半導体装置10に他の半導体装置70を搭載したPOP構造の半導体装置である。なお、
図5において、半導体装置10は、
図1等とは上下が反転した状態で描かれている。
【0086】
半導体装置70の電極パッド(図示せず)は、接合部80を介して半導体装置10の第1電極パッド22と電気的に接続されている。接合部80としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0087】
半導体装置10の第2電極パッド28には、外部接続端子90が形成されている。外部接続端子90は、他の半導体装置や半導体チップ、マザーボード等の実装基板、或いは電子部品等(図示せず)と電気的に接続される端子である。外部接続端子90としては、例えば、はんだボール等を用いることができる。はんだボールの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとSbの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。
【0088】
前述のように、通常使用するはんだボールの径は200μm〜600μm程度であるため、半導体装置10と半導体装置70の各々の対向面の間隔は150μm〜500μm程度となる。そのため、受動素子40の突出部の突出量は、半導体装置10と半導体装置70の各々の対向面の間隔未満の値に設定されている。
【0089】
受動素子40の部品高さ(受動素子40の半導体装置10の厚さ方向の寸法)としては種々のものが存在するが、例えば、数100μmのものも存在する。従来の半導体装置では、このような部品高さの高い受動素子を半導体装置の表面に実装していたため、その突出量は数100μmにも達していた。
【0090】
そのため、従来、POP構造の半導体装置を実現するためには、積層される半導体装置間の間隔を確保するために、数100μm以上の径を有するはんだボール等が必要となり、POP構造の半導体装置の総厚が厚くなる問題があった。又、積層される各半導体装置に、数100μm以上の径を有するはんだボール等を搭載可能な電極パッドを設ける必要があるため、POP構造の半導体装置の幅が広くなる問題があった。
【0091】
一方、前述のように、半導体装置10では、受動素子40の突出量は、通常使用するはんだボールの径により決定される半導体装置10と半導体装置70の各々の対向面の間隔未満の値に設定されている。これにより、従来の、POP構造の半導体装置の総厚が厚くなる問題や、POP構造の半導体装置の幅が広くなる問題を回避できる。
【0092】
又、受動素子40が第1絶縁層21から突出しているため、受動素子40の全体を埋設するために絶縁層の層数を必要以上に増やしたり、絶縁層を必要以上に厚くしたりする必要がないため、半導体装置10自体も薄型化及び小型化できる。その結果、POP構造の半導体装置の薄型化及び小型化を実現できる。
【0093】
又、受動素子40の埋設部の端面は何れかの絶縁層により被覆され、受動素子40の電極41は、直接、埋設部の端面を被覆する絶縁層に形成されたビア配線を介して、埋設部の端面を被覆する絶縁層の一方の面に形成された配線パターンと電気的に接続されている。なお、本実施の形態では、埋設部の端面を被覆する絶縁層は第3絶縁層25である。又、埋設部の端面を被覆する絶縁層に形成されたビア配線は配線層26を構成するビア配線であり、埋設部の端面を被覆する絶縁層の一方の面に形成された配線パターンは配線層26を構成する配線パターンである。
【0094】
又、半導体チップ60の回路形成面は第3絶縁層25により被覆されている。そして、半導体チップ60の電極パッド61は、直接、第3絶縁層25に形成されたビア配線(配線層26を構成するビア配線)を介して、第3絶縁層25の一方の面に形成された配線パターン(配線層26を構成する配線パターン)と電気的に接続されている。
【0095】
このように、受動素子40の電極41や半導体チップ60の電極パッド61と直接ビア配線が接続されるため、ビア配線の狭ピッチ化に対応することができる。
【0096】
〈第1の実施の形態の変形例1〉
第1の実施の形態の変形例1では、高さの異なる受動素子を搭載する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例1において、既に説明した実施の形態と同一構成部品についての説明は省略する。
【0097】
図6は、第1の実施の形態の変形例1に係る半導体装置を例示する断面図である。
図6を参照するに、半導体装置10Bには、受動素子40の他に、2つの電極41Bを有する受動素子40Bが搭載されている。受動素子40Bは、受動素子40とは高さ(半導体装置10Bの厚さ方向の長さ)が異なる部品である。
【0098】
受動素子40Bは、第1絶縁層21及び23及に埋設されている埋設部と、第1絶縁層21の下面(他方の面)から突出している突出部とを備えている。換言すれば、受動素子40Bは第1絶縁層21を貫通し、受動素子40Bの上面は第2絶縁層23内に位置している。
【0099】
又、受動素子40Bの下面は、第1絶縁層21の下面(他方の面)から突出している。なお、受動素子40Bの上面は第1絶縁層21の上面と面一であっても構わない。又、受動素子40Bの突出部の突出量(受動素子40Bの下面の第1絶縁層21の下面(他方の面)からの距離)は、受動素子40の突出部の突出量と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0100】
このように、本実施の形態に係る半導体装置は様々な高さの受動素子を搭載することができ、受動素子は少なくとも第1絶縁層に埋設されている埋設部と第1絶縁層の下面(他方の面)から突出している突出部とを備えている。又、受動素子の埋設量(受動素子の上面の第1絶縁層の下面(他方の面)からの距離)及び突出量(受動素子の下面の第1絶縁層の下面(他方の面)からの距離)は、POP構造の半導体装置の薄型化及び小型化を実現可能な範囲で適宜選択できる。
【0101】
以上、好ましい実施の形態及びその変形例について詳説したが、上述した実施の形態及びその変形例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及びその変形例に種々の変形及び置換を加えることができる。