(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は工業的に幅広い用途で使用されてきているが、その要求性能は近年ますます高度化している。例えば、エポキシ樹脂を主剤とする樹脂組成物の代表的分野に半導体封止材料があるが、半導体素子の集積度の向上に伴い、パッケージサイズは大面積化、薄型化に向かうとともに、実装方式も表面実装化への移行が進展しており、半田耐熱性に優れた材料の開発が望まれている。従って、封止材料としては、低吸湿化に加え、リードフレーム、チップ等の異種材料界面での接着性・密着性の向上が強く求められている。回路基板材料においても同様に、半田耐熱性向上の観点から低吸湿性、高耐熱性、高密着性の向上に加え、誘電損失低減の観点から低誘電性に優れた材料の開発が望まれている。これらの要求に対応するため、様々な新規構造のエポキシ樹脂及び硬化剤が検討されている。更に最近では、環境負荷低減の観点から、ハロゲン系難燃剤排除の動きがあり、より難燃性に優れたエポキシ樹脂及び硬化剤が求められている。
【0003】
従って、上記背景から種々のエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤が検討されている。エポキシ樹脂硬化剤の一例として、ナフタレン系樹脂が知られており、特許文献1にはナフトールアラルキル樹脂を半導体封止材への応用が示されており、難燃性、低吸湿性、低熱膨張性等に優れることが記載されている。また、特許文献2にはビフェニル構造を有する硬化剤が提案され、難燃性向上に有効であることが記載されている。しかし、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂ともに、硬化性に劣る欠点があり、また、難燃性向上の効果についても十分ではない場合があった。
【0004】
一方、エポキシ樹脂についても、これらの要求を満足するものは未だ知られていない。例えば、周知のビスフェノール型エポキシ樹脂は、常温で液状であり、作業性に優れていることや、硬化剤、添加剤等との混合が容易であることから広く使用されているが、耐熱性、耐湿性の点で問題がある。また、耐熱性を改良したものとして、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が知られているが、難燃性に関しては不十分である。
【0005】
ハロゲン系難燃剤を用いることなく難燃性を向上させるための方策として、リン酸エステル系の難燃剤を添加する方法が開示されている。しかし、リン酸エステル系の難燃剤を用いる方法では、耐湿性が十分ではない。また、高温、多湿な環境下ではリン酸エステルが加水分解を起こし、絶縁材料としての信頼性を低下させる問題があった。
【0006】
リン原子やハロゲン原子を含むことなく、難燃性を向上させるものとして、特許文献2及び3ではビフェニル構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を半導体封止材へ応用した例が開示されている。特許文献4には、ナフタレン構造を有するアラルキル型エポキシ樹脂を使用する例が開示されている。しかしながら、これらのエポキシ樹脂は、難燃性、耐湿性又は耐熱性のいずれかにおいて性能が十分でない。
【0007】
耐熱性、耐湿性、耐クラック性の向上に着目した例として、特許文献5にはベンジル化ポリフェノール及びそのエポキシ樹脂が開示されているが、これらは難燃性に着目したものではない。また、特許文献6にはスチレン変性ノボラックの製造方法が開示されているが、エポキシ樹脂組成物として着目されたものではない。
【0008】
さらには、耐湿性、低応力性の向上に着目したエポキシ樹脂組成物の例として、特許文献7及び8にはスチレン変性フェノールノボラック樹脂及びそのエポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂組成物が開示されているが、これらもスチレン化フェノールノボラック及びエポキシ樹脂の分子量分布に関して詳細に検討した例はない。なお、分子量分布(分散)はMw/Mnで表わされる。
【0009】
一方、難燃性の向上に着目した例として、特許文献9にはスチレン変性フェノールノボラック樹脂及びそのエポキシ樹脂を用いるエポキシ樹脂組成物が開示されている。ここでは、スチレン変性量に着目し、変性量を増加させることで水酸基当量あるいはエポキシ当量を高く調整した樹脂を用いている。そのような樹脂を用いた硬化物において、エポキシ基由来の脂肪族成分の含有率を相対的に低くすることで、高度な難燃性を発現することができるとされている。しかし、ここでも多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂の分子量分布に関して詳細に検討した例はなかった。
【発明を実施するための形態】
【0022】
エポキシ樹脂硬化物においては、エポキシ基と水酸基との反応により生成するヒドロキシプロピル基が燃え易いとされているが、多価ヒドロキシ化合物に対してアラルキル基を付加させ水酸基当量を高くすることで、エポキシ基由来の易燃成分の脂肪族炭素率は低くなり、高度な難燃性を発現させることができる。また、芳香族性に富んだアラルキル基の付加により、多価ヒドロキシ樹脂の芳香族性はより一層向上し、難燃性に加え耐湿性の向上にも効果的である。
【0023】
しかし一方で、アラルキル基の変性割合を増加することによる物性改善の手法は、立体障害の増加に起因した硬化性の低下や硬化物の機械的強度を低下させる傾向があった。そこで、ベースの多価ヒドロキシ化合物の分子量分布を制御することで、硬化性や機械的強度を損なわないアラルキル基変性割合において、硬化性や機械的強度に優れ、且つ難燃性、耐湿性及び低弾性にも優れたアラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂を見出すに至った。
【0024】
本発明で使用する多価ヒドロキシ化合物は、一般式(1)で表わされる狭分散多価ヒドロキシ化合物であるので、多価ヒドロキシ化合物(1)又は狭分散多価ヒドロキシ化合物ともいう。また、ノボラック樹脂の1種でもあるので、フェノールノボラックともいう。
【0025】
狭分散多価ヒドロキシ化合物をベースとしたアラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂及びエポキシ樹脂を用いた場合、硬化性、機械的強度及び難燃性等に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。すなわち、多価ヒドロキシ化合物のn=1(2官能)成分へのアラルキル変性物の割合が増加した場合、立体障害の増加により硬化性が低下し硬化物の機械的強度も低い傾向にある。一方、より多官能成分であるn=2(3官能)及びn=3(4官能)成分の割合が高い多価ヒドロキシ化合物を用いた場合、アラルキル変性された場合においても立体障害の影響は相対的に低減されることで、硬化性、機械的強度に優れた硬化物を得ることができる。また、多官能成分が増加した場合、硬化物の架橋密度が増加することで、より熱安定性に優れた硬化物となり難燃性にも優れる傾向を示す。しかし、n=4(5官能)以上成分が増加した場合、分子量が高くなるため、流動性や成形加工性に劣る傾向にある。
【0026】
よって、これらを用いて硬化性、機械的強度及び難燃性等に優れたエポキシ樹脂組成物、特に半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られる。すなわち、それらの組成物における優れた硬化性とともに、機械的強度、高難燃性、耐湿性や低弾性に優れた物性が発現され、この材料を用いて信頼性の高い電気・電子部品類の封止、回路基板材料等が得られる。
【0027】
まず、本発明のアラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂(StPN)について説明する。本発明のアラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂は一般式(1)で表される多価ヒドロキシ化合物において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC;RI)で検出した時の面積%でn=1成分が15%以下であり、n=2およびn=3成分の合計が50%以上であり、Mw/Mnが1.2以下である狭分散多価ヒドロキシ化合物とアラルキル化剤を反応させることにより得ることができる。
【0028】
本発明のアラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂をStPNといい、これを得るために使用する一般式(1)で表される多価ヒドロキシ化合物を、多価ヒドロキシ化合物又は狭分散多価ヒドロキシ化合物という。このアラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂のアラルキルとは、式(a)で表わされる基をいう。StPNを得るために使用するアラルキル化剤とは、式(c1)又は(c2)で表わされる化合物をいう。また、アラルキル化剤をスチレンで代表することがあり、アラルキル変性多価ヒドロキシ樹脂をスチレン変性多価ヒドロキシ樹脂ということがある。
【0029】
本発明に用いる狭分散多価ヒドロキシ化合物の分子量分布の範囲としては、n=1成分の含有率が15%以下であり、より好ましくは10%以下の範囲である。また、n=2及びn=3成分の含有率の範囲は50%以上であり、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上の範囲である。n=1成分の含有率を低減させることで、硬化性、機械的強度、難燃性等の物性を向上することが出来る。さらに、分散度(Mw/Mn)の範囲は1.2以下が好ましく、より好ましくは1.1以下の範囲である。1.2を超える場合では硬化性、機械的強度等の物性に劣る傾向がある。なお、GPC面積%とwt%はほぼ比例するので、GPC面積%はwt%と見ることが可能である。
【0030】
本発明で用いる狭分散多価ヒドロキシ化合物は、フェノール類とアルデヒド類のモル比を調整することにより得られた粗多価ヒドロキシ化合物から低分子量成分を除去することにより得ることができる。
【0031】
フェノール類とアルデヒド類のモル比はフェノール類1モルに対するアルデヒド類のモル比で示され0.1〜0.9の範囲で製造されるが、モル比が小さい場合はn=1〜3成分が多く生成され、モル比が大きい場合はn=4以上の高分子量成分が多く生成し、n=1〜3成分は少なくなる。
【0032】
本発明で用いる狭分散多価ヒドロキシ化合物は、フェノール類とアルデヒド類とをリン酸類触媒の存在下、不均一系により反応させる工程により得る方法、得られた粗多価ヒドロキシ化合物からn=1成分及び/又はn=4成分以上の高分子量成分を各種溶媒の溶解性差を利用して除去する方法、アルカリ水溶液に二核体を溶解して除去する方法などによって得ることが出来きるが、その他の公知の分離方法によっても良い。
【0033】
本発明のStPNは、一般式(1)で表される狭分散多価ヒドロキシ化合物とアラルキル化剤とを付加反応させることにより得られる。この際、多価ヒドロキシ化合物とアラルキル化剤との割合としては、得られる硬化物の難燃性と硬化性のバランスを考慮すると、多価ヒドロキシ化合物1モルに対するアラルキル化剤の使用割合が0.1〜1.5モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0モル、更に好ましくは0.3〜0.8モルの範囲である。この範囲より少ない場合は、原料の多価ヒドロキシ化合物の性質が改良されないままの状態であり、この範囲より多い場合は、官能基密度が低くなり過ぎて硬化性が低下する傾向がある。
【0034】
この反応では、アラルキル化剤が多価ヒドロキシ化合物中のOH基を有する芳香族環に付加して上記式(a)で表わされるアラルキル基が置換する。式(a)において、R
3およびR
4は水素原子又はC1〜6のアルキル基を示す。アルキル基は好ましくはメチル基である。より好ましくは、R
3およびR
4の一方又は両方が水素原子又はメチル基であり、更に好ましくは、一方又は両方が水素原子である。両方が水素原子である場合は、ベンジル基であり、一方が水素原子である場合は、α−アルキル置換ベンジル基である。このベンジル基又はα−アルキル置換ベンジル基のベンゼン環には、置換基R
2が置換してもよい。アラルキル基の付加位置は、多価ヒドロキシ化合物の空位のオルソ及び/又はパラ位であるが、主としてパラ位である。
【0035】
また、本発明のStPNの150℃における溶融粘度は0.01〜10.0Pa・sの範囲のものが好ましい。作業性の面から、溶融粘度は上記範囲において低い程好ましい。
【0036】
さらには、軟化点は40〜150℃であることがよく、好ましくは50〜100℃の範囲である。ここで、軟化点は、JIS−K−2207の環球法に基づき測定される軟化点を指す。これより低いと、これをエポキシ樹脂に配合したとき、硬化物の耐熱性が低下し、これより高いと成形時の流動性が低下する。
【0037】
アラルキル化剤の使用量によりアラルキル基の付加量が調整でき、通常多価ヒドロキシ化合物のベンゼン環に対して0.1〜2.5個付加する。これは1個のフェノール環に置換するアラルキル基の平均の数(数平均)を意味する。付加量としては多価ヒドロキシ化合物のベンゼン環1モルに対して0.1〜1.5モル、0.1〜1.0モル、0.3〜0.8モルの順に好ましい。なお、両末端のフェノール環には最大4個のアラルキル基が置換でき、中間のフェノール環には最大3個のアラルキル基が置換できるので、nが1の場合は最大8個のアラルキル基が置換できる。
【0038】
式(a)において、R
2は水素又は炭素数1〜6の炭化水素基を示すが、好ましくは水素又は炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくは水素である。このR
2は反応原料として使用するアラルキル化剤によって定まる。
【0039】
一般式(1)において、nは1〜5の数を示すが、好ましくは、平均(数平均)として1.9〜3.4の範囲である。さらに好ましくは2.0〜3.0の範囲であるが、上記分散を満足する必要がある。別の観点からは、nが1〜5の成分が主成分であることがよい。主成分とは80wt%以上、好ましくは90wt%以上、より好ましくは実質的に全部であることをいう。一般式(1)において、R
1は水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
【0040】
次に、本発明のStPNの製造方法について説明する。本発明のStPNを製造する方法で用いる一般式(1)で表わされる多価ヒドロキシ化合物としては、フェノールノボラック類が適する。フェノールノボラック類は、フェノール類とアルデヒド類から得ることができる。
【0041】
この多価ヒドロキシ化合物を得るために用いられるフェノール類としては、主としてフェノールである。このフェノール類は少量他のフェノール成分を含んでもよい。例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、エチルフェノール類、イソプロピルフェノール類、ターシャリーブチルフェノール類、アリルフェノール類、フェニルフェノール類などが挙げられる。これらのフェノール類単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、少量であれば、2,6−キシレノール、2,6−ジエチルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、1−ナフトール、2−ナフトール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、1,7−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール等の他のフェノール類又はナフトール類を配合することができる。これらを配合する場合は、30wt%以下、好ましくは20wt%以下にとどめることがよい。
【0042】
多価ヒドロキシ化合物との反応に用いるアラルキル化剤は、上記式(c1)又は(c2)で表わされる化合物が使用される。式(c1)で表わされる化合物をスチレン類という。スチレン類は、スチレン又は炭素数1〜6の炭化水素基が置換したスチレンである。式(c1)において、R
3は水素又は炭素数1〜6のアルキル基であるが、好ましくは水素である。このスチレン類は少量の他の反応成分を含んでもよく、他の反応成分としては、ジビニルベンゼン、インデン、クマロン、ベンゾチオフェン、インドール、ビニルナフタレン等の不飽和結合含有成分があげられる。これらを配合する場合は、30wt%以下、好ましくは20wt%以下にとどめることがよい。
【0043】
上記式(c2)において、R
2、R
3およびR
4は、式(a)のR
2、R
3およびR
4と同意である。Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又は水酸基である。式(c1)において、R
2、R
3は、式(a)のR
2、R
3と同意である。
【0044】
上記式(c2)で表されるアラルキル化剤としては、Xがハロゲン原子の場合、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ベンジルアイオダイト、o−メチルベンジルクロライド、m−メチルベンジルクロライド、p−メチルベンジルクロライド、p−エチルベンジルクロライド、p−イソプロピルベンジルクロライド、p−tert−ブチルベンジルクロライド、p−シクロヘキシルベンジルクロライド、p−フェニルベンジルクロライド、α−メチルベンジルクロライド、α ,α−ジメチルベンジルクロライド等が挙げられ、Xがアルコキシ基の場合、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、ベンジルメチルエーテル、o−メチルベンジルメチルエーテル、m− メチルベンジルメチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル、p−エチルベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ベンジルイソプロピルエーテル、ベンジルn−プロピルエーテル、ベンジルイソブチルエーテル、ベンジルn−ブチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル等が挙げられ、Xが水酸基の場合、ベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、m −メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−エチルベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、p−tert−ブチルベンジルアルコール、p−シクロヘキシルベンジルアルコール、p−フェニルベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、α,α−ジメチルベンジルアルコール等が挙げられる。式(c1)で表されるアラルキル化剤としては、スチレン、スチレンのベンゼン環にC1〜6のアルキル基が置換したアルキルスチレン、α-アルキルスチレン類等が挙げられるが、好ましくはアルキルスチレンまたはスチレンであり、より好ましくはスチレンである。
【0045】
アラルキル化剤によるアラルキル化反応は酸触媒の存在下に行うことができ、その触媒量は10〜1000ppm(wt)の範囲で用いられ、好ましくは100〜500ppmの範囲である。これより多いと多価ヒドロキシ化合物のメチレン架橋結合が開裂し易くなり、開列反応により副生した単価フェノール成分により、硬化性および耐熱性を低下させる。一方、これより少ないと反応性が低下し、未反応アラルキル化剤を多く残存させる。また、ここでいう触媒量とは反応に用いる多価ヒドロキシ化合物およびアラルキル化剤の合計重量に対する触媒の量を意味する。
【0046】
酸触媒としては、周知の無機酸、有機酸より適宜選択することができる。例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の鉱酸や、ギ酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等の有機酸や、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化鉄、三フッ化ホウ素等のルイス酸あるいはイオン交換樹脂、活性白土、シリカ−アルミナ、ゼオライト等の固体酸等が挙げられる。
【0047】
また、この反応における反応温度は40〜120℃の範囲で行われる。これより低いと、反応性が低下し反応時間が長時間となる。また、これより高いと多価ヒドロキシ化合物のメチレン架橋結合が一部開裂し易くなり、開列反応により副生した単価フェノール成分により、硬化性および耐熱性を低下させる。
【0048】
また、この反応は通常、1〜20時間行われる。更に、反応の際には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のアルコール類や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を溶媒として使用することができる。
【0049】
この反応を実施する具体的方法としては、全原料を一括装入し、そのまま所定の温度で反応させるか、又は、多価ヒドロキシ化合物と触媒を装入し、所定の温度に保ちつつ、アラルキル化剤を滴下させながら反応させる方法が一般的である。この際、滴下時間は、5時間以下が好ましく、通常、1〜10時間である。反応後、溶媒を使用した場合は、必要により、触媒成分を取り除いた後、溶媒を留去させて本発明の樹脂を得ることができ、溶媒を使用しない場合は、直接熱時排出することによって目的物を得ることができる。
【0050】
次に、本発明のエポキシ樹脂(StPNE)について述べる。
本発明のエポキシ樹脂(StPNE)はStPNをエポキシ化することにより得ることができる。
【0051】
本発明のStPNEは、上記StPNと、エピクロルヒドリンを反応させることより製造することが有利である。StPNをエピクロルヒドリンと反応させる反応は、通常のエポキシ化反応と同様に行うことができる。
【0052】
例えば、上記StPNを過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下に、20〜150℃、好ましくは、30〜80℃の範囲で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。この際のアルカリ金属水酸化物の使用量は、StPNの水酸基1モルに対して、0.8〜1.5モル、好ましくは、0.9〜1.2モルの範囲である。また、エピクロルヒドリンはStPN中の水酸基1モルに対して過剰に用いられるが、通常、StPN中の水酸基1モルに対して、1.5〜30モル、好ましくは、2〜15モルの範囲である。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂を得ることができる。
【0053】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂及び硬化剤を含むものであるが、次の3種類がある。
1)エポキシ樹脂の一部又は全部として前記StPNEを配合した組成物。
2)硬化剤の一部又は全部として前記StPNを配合した組成物。
3)エポキシ樹脂及び硬化剤の一部又は全部として前記StPNEとStPNを配合した組成物。
【0054】
上記2)及び3)の組成物の場合、StPNを必須の成分として含む。StPNの配合量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲である。これより少ないと難燃性及び耐湿性向上の効果が小さく、これより多いと成形性及び硬化物の強度が低下する問題がある。
【0055】
硬化剤の全量としてStPNを用いる場合、通常、StPNの配合量は、StPNのOH基とエポキシ樹脂中のエポキシ基の当量バランスを考慮して配合する。エポキシ樹脂及び硬化剤の当量比は、通常、0.2〜5.0の範囲であり、好ましくは0.5〜2.0の範囲である。これより大きくても小さくても、エポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するとともに、硬化物の耐熱性、力学強度等が低下する。
【0056】
硬化剤としてStPN以外の硬化剤を併用することができる。その他の硬化剤の配合量は、StPNの配合量が、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して2〜200重量部、好ましくは5〜80重量部の範囲が保たれる範囲内で決定される。StPNの配合量がこれより少ないと低吸湿性、密着性及び難燃性向上の効果が小さく、これより多いと成形性及び硬化物の強度が低下する問題がある。この場合においても、エポキシ樹脂と硬化剤(合計)の当量比は上記の範囲とされる。
【0057】
StPN以外の硬化剤としては、一般にエポキシ樹脂の硬化剤として知られているものはすべて使用でき、ジシアンジアミド、酸無水物類、多価フェノール類、芳香族及び脂肪族アミン類等がある。これらの中でも、半導体封止材等の高い電気絶縁性が要求される分野においては、多価フェノール類を硬化剤として用いることが好ましい。本発明のStPNを必須成分とする組成物の場合、StPNの配合量は硬化剤全体中、50〜100%、好ましくは60〜100%の範囲であることがよい。以下に、StPN以外の硬化剤の具体例を示す。
【0058】
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル無水ハイミック酸、無水ドデシニルコハク酸、無水ナジック酸、無水トリメリット酸等がある。
【0059】
多価フェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、ナフトールノボラック、ポリビニルフェノール等に代表される3価以上のフェノール類がある。更には、フェノール類、ナフトール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール等の2価のフェノール類と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−キシリレンジクロライド、ビスクロロメチルビフェニル、ビスクロロメチルナフタレン等の縮合剤により合成される多価フェノール性化合物等がある。
【0060】
アミン類としては、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類がある。
上記組成物には、これら硬化剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0061】
上記組成物に使用されるエポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するもの中から選択される。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、3,3',5,5'−テトラメチル−ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、2,2' −ビフェノール、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシビフェノール、レゾルシン、ナフタレンジオール類等の2価のフェノール類のエポキシ化物、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類のエポキシ化物、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、フェノール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるフェノールアラルキル樹脂類のエポキシ化物、フェノール類とビスクロロメチルビフェニル等から合成されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂のエポキシ化物、ナフトール類とパラキシリレンジクロライド等から合成されるナフトールアラルキル樹脂類のエポキシ化物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
【0062】
上記1)及び3)の組成物の場合、StPNEを必須の成分として含む。このエポキシ樹脂組成物中には、エポキシ樹脂成分として、StPNE以外に別種のエポキシ樹脂を配合してもよい。この場合のエポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を2個以上有する通常のエポキシ樹脂はすべて使用できる。例を挙げれば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、4,4'−ビフェノール、2,2'−ビフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン等の2価のフェノール類、あるいは、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールノボラック、o−クレゾールノボラック等の3価以上のフェノール類、フェノール系アラルキル樹脂類、ビフェニルアラルキル樹脂類、ナフトール系アラルキル樹脂類又はテトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導されるグルシジルエーテル化物等がある。これらのエポキシ樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。そして、本発明のStPNEを必須成分とする組成物の場合、StPNEの配合量はエポキシ樹脂全体中、50〜100%、好ましくは60〜100%の範囲であることがよい。
【0063】
本発明のエポキシ樹脂組成物中には、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、石油樹脂、インデン樹脂、インデン・クマロン樹脂、フェノキシ樹脂等のオリゴマー又は高分子化合物を他の改質剤等として適宜配合してもよい。添加量は、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、2〜30重量部の範囲である。
【0064】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物には、無機充填剤、顔料、難然剤、揺変性付与剤、カップリング剤、流動性向上剤等の添加剤を配合できる。無機充填剤としては、例えば、球状あるいは、破砕状の溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ粉末、アルミナ粉末、ガラス粉末、又はマイカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、水和アルミナ等が挙げられ、半導体封止材に用いる場合の好ましい配合量は70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上である。
【0065】
顔料としては、有機系又は、無機系の体質顔料、鱗片状顔料等がある。揺変性付与剤としては、シリコン系、ヒマシ油系、脂肪族アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス、有機ベントナイト系等を挙げることができる。
【0066】
更に、本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。例を挙げれば、アミン類、イミダゾール類、有機ホスフィン類、ルイス酸等があり、具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−へプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール類、トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフイン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート、テトラブチルホスホニウム・テトラブチルボレートなどのテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換
ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩などがある。添加量としては、通常、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.2から5重量部の範囲である。
【0067】
更に必要に応じて、本発明の樹脂組成物には、カルナバワックス、OPワックス等の離型剤、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、シリコンオイル等の低応力化剤、ステアリン酸カルシウム等の滑剤等を使用できる。
【0068】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、有機溶剤を溶解させたワニス状態とした後に、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー等のポリエステル不織布、等の繊維状物に含浸させた後に溶剤除去を行い、プリプレグとすることができる。また、場合により銅箔、ステンレス箔、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム等のシート状物上に塗布することにより積層物とすることができる。
【0069】
本発明のエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させれば、エポキシ樹脂硬化物とすることができ、この硬化物は硬化性、難燃性、低吸湿性、低弾性等の点で優れたものとなる。この硬化物は、エポキシ樹脂組成物を注型、圧縮成形、トランスファー成形等の方法により、成形加工して得ることができる。この際の温度は通常、120〜220℃の範囲である。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。水酸基当量およびエポキシ当量の単位はg/eq.である。
【0071】
合成例1
1Lの4口フラスコに、フェノールを250g、酸触媒としてシュウ酸二水和物0.75gを仕込み、窒素ガスを導入しながら攪拌を行い、加熱を行って昇温した。37.4%ホルマリン47.4gを80℃で滴下を開始し、30分で滴下を終了した。更に反応温度を92℃に保ち3時間反応を行った。昇温を行い反応生成水を系外に除去しながら110℃まで昇温した。残存フェノールを160℃にて減圧下回収を行った。更に温度を上げて二核体の一部を回収した。得られた多価ヒドロキシ化合物の水酸基当量は104、軟化点は68℃、150℃での溶融粘度は0.07Pa・sであった。GPC測定によるn=1成分の含有率は8.1%、n=2及びn=3成分の合計の含有率は71.7%、Mw/Mn=1.10であった。この樹脂を多価ヒドロキシ化合物Aという。多価ヒドロキシ化合物AのGPCチャートを
図1に示す。
【0072】
合成例2
1Lの4口フラスコに、フェノールを250g、7.4%ホルマリン47.4g、酸触媒として89%リン酸150gを仕込み、攪拌混合により形成される白濁状態(2相混合物)のもとで加熱を行って昇温した。更に還流温度に保ち6時間反応を行った。次いで、メチルイソブチルケトンを添加して樹脂分を溶解させた後静置し、樹脂溶液相とリン酸水溶液相に分離させた。リン酸溶液相を除去した後更に水洗を行った。次いで、残存フェノールを160℃にて減圧下回収を行った。更に温度を上げて二核体の一部を回収した。得られた多価ヒドロキシ化合物の水酸基当量は103、軟化点は65℃、150℃での溶融粘度は0.06Pa・sであった。GPC測定によるn=1成分の含有率は2.0%、n=2及びn=3成分の合計の含有率は91.5%、Mw/Mn=1.04であった。この樹脂を多価ヒドロキシ化合物Bという。多価ヒドロキシ化合物BのGPCチャートを
図2に示す。
【0073】
実施例1
1Lの4口フラスコに、多価ヒドロキシ化合物成分として、合成例1で得られた多価ヒドロキシ化合物Aを104g、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸0.053g(300ppm)を仕込み120℃に昇温した。次に、120℃にて攪拌しながら、スチレン72.8g(0.7モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに、120℃にて1時間反応後、スチレン変性多価ヒドロキシ樹脂168gを得た。その水酸基当量は177、軟化点は78℃、150℃での溶融粘度は0.13Pa・sであった。この樹脂を変性多価ヒドロキシ樹脂A(StPN−A)という。StPN−AのGPCチャートを
図4に示す。
【0074】
実施例2
1Lの4口フラスコに、多価ヒドロキシ化合物成分として、合成例2で得られた多価ヒドロキシ化合物Bを103g、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸0.053g(300ppm)を仕込み120℃に昇温した。次に、120℃にて攪拌しながら、スチレン72.8g(0.7モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに、120℃にて1時間反応後、アラルキルスチレン変性多価ヒドロキシ樹脂167gを得た。その水酸基当量は176、軟化点は78℃、150℃での溶融粘度は0.13Pa・sであった。この樹脂を変性多価ヒドロキシ樹脂B(StPN−B)という。StPN−BのGPCチャートを
図5に示す。
【0075】
実施例3
1Lの4口フラスコに、多価ヒドロキシ化合物成分として、合成例1で得られた多価ヒドロキシ化合物Aを104g、水1.0gを仕込み120℃に昇温した。次に、120℃にて攪拌しながら、塩化ベンジル88.6g(0.7モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに、120℃にて1時間反応後、ベンジル変性多価ヒドロキシ樹脂160gを得た。その水酸基当量は168、軟化点は70℃、150℃での溶融粘度は0.09Pa・sであった。この樹脂を変性多価ヒドロキシ樹脂C(StPN−C)という。StPN−CのGPCチャートを
図6に示す。
【0076】
比較例1
1Lの4口フラスコに、多価ヒドロキシ化合物成分としてフェノールノボラック(昭和電工製;BRG−555(多価ヒドロキシ化合物Cともいい、
図3にGPCチャートを示す。)、GPC測定によるn=1成分の含有率;25.4%、n=2及びn=3成分の合計の含有率;32.1%、Mw/Mn=1.45、水酸基当量105、軟化点67℃、150℃での溶融粘度0.08Pa・s)を105g、酸触媒としてp−トルエンスルホン酸0.055g(300ppm)を仕込み120℃に昇温した。次に、120℃にて攪拌しながら、スチレン73g(0.7モル)を3時間かけて滴下し反応させた。さらに、120℃にて1時間反応後、スチレン変性多価ヒドロキシ樹脂170gを得た。その水酸基当量は178、軟化点は78℃、150℃での溶融粘度は0.13Pa・sであった。この樹脂を変性多価ヒドロキシ樹脂D(StPN−D)という。StPN−DのGPCチャートを
図7に示す。
【0077】
実施例4
四つ口セパラブルフラスコに実施例1で得たStPN−A150g、エピクロルヒドリン470g、ジエチレングリコールジメチルエーテル71gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液70.6gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂A(StPNE−A)168gを得た。得られた樹脂のエポキシ当量は241、軟化点は56℃、150℃における溶融粘度は0.12Pa・sであった。StPNE−AのGPCチャートを
図8に示す。
【0078】
実施例5
四つ口セパラブルフラスコに実施例2で得たStPN−B150g、エピクロルヒドリン473g、ジエチレングリコールジメチルエーテル71gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液71.0gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂B(StPNE−B)165gを得た。得られた樹脂のエポキシ当量は245、軟化点は55℃、150℃における溶融粘度は0.11Pa・sであった。StPNE−BのGPCチャートを
図9に示す。
【0079】
実施例6
四つ口セパラブルフラスコに実施例3で得たStPN−C150g、エピクロルヒドリン495g、ジエチレングリコールジメチルエーテル74gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液74.4gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂C(StPNE−C)185gを得た。得られた樹脂のエポキシ当量は236、軟化点は52℃、150℃における溶融粘度は0.08Pa・sであった。StPNE−CのGPCチャートを
図10に示す。
【0080】
比較例2
四つ口セパラブルフラスコに比較例1で得たStPN−D150g、エピクロルヒドリン468g、ジエチレングリコールジメチルエーテル70gを入れ撹拌溶解させた。均一に溶解後、130mmHgの減圧下65℃に保ち、48%水酸化ナトリウム水溶液70.3gを4時間かけて滴下し、この滴下中に還流留出した水とエピクロルヒドリンを分離槽で分離しエピクロルヒドリンは反応容器に戻し、水は系外に除いて反応した。反応終了後、濾過により生成した塩を除き、更に水洗したのちエピクロルヒドリンを留去し、エポキシ樹脂185gを得た(StPNE−D)。得られた樹脂のエポキシ当量は246、軟化点は56℃、150℃における溶融粘度は0.10Pa・sであった。StPNE−DのGPCチャートを
図11に示す。
【0081】
実施例7〜9及び例10〜11(比較)
エポキシ樹脂成分としてo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)を使用し、硬化剤として実施例1で得たStPN−A、実施例2で得たStPN−B、実施例3で得たStPN−C、比較例1で得たStPN−Dの他、フェノールノボラック(PN;PSM−4261(群栄化学工業製);OH当量103、軟化点 82℃)を使用した。充填剤としてシリカ(平均粒径18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを表1に示す配合で混練しエポキシ樹脂組成物を得た。このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃にて成形し、175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。詳細を次に示し、結果を表2に示す。
【0082】
1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定
東ソー株式会社製 TSKgelG4000HXL、TSKgelG3000HXL、TSKgelG2000HXLを直列に備えたものを使用し、カラム温度は40℃にした。また、溶離液にはテトラヒドロフランを用い、1ml/minの流速とし、検出器はRI(示差屈折計)検出器を用いた。サンプル0.1gを10mlのTHFに溶解した。標準ポリスチレンによる検量線により重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた後、分散度(Mw/Mn)を求めた。
【0083】
2)軟化点
自動軟化点測定装置(明峰社製、ASP−M4SP)を用い、JIS−K−2207に従い環球法にて測定した。
【0084】
3)溶融粘度
BROOKFIELD製、CAP2000H型回転粘度計を用いて、150℃にて測定した。
【0085】
4)水酸基当量の測定
電位差滴定装置を用い、1,4−ジオキサンを溶媒に用い、1.5mol/L塩化アセチルでアセチル化を行い、過剰の塩化アセチルを水で分解して0.5mol/L−水酸化カリウムを使用して滴定した。
【0086】
5)エポキシ当量の測定
電位差滴定装置を用い、溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、臭素化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加え、電位差滴定装置にて0.1mol/L過塩素酸−酢酸溶液を用いて測定した。
【0087】
6)ゲルタイム
175℃に加熱しておいたゲル化試験機(日新科学(株)製)のプレート上にエポキシ樹脂組成物を添加し、フッ素樹脂棒を用いて一秒間に2回転の速度で攪拌し、エポキシ樹脂組成物が硬化するまでに要したゲル化時間を調べた。
【0088】
7)熱時硬度
金型温度175℃、硬化時間90秒で成形し、型開き10秒後にショアD硬度計を用いて測定したショアD硬度の値を熱時硬度とした。
【0089】
8)ガラス転移点(Tg)、線膨張係数(CTE)
セイコーインスツル製TMA120C型熱機械測定装置により、昇温速度10℃/分の条件で、Tgを求め、α1(Tg以下のCTE)は30〜50℃の範囲の平均値を、またα2(Tg以上のCTE)はTgプラス20℃〜40℃の範囲の平均値から求めた。
【0090】
9)曲げ強度及び曲げ弾性
JISK 6911に従い、3点曲げ試験法で常温にて測定した。
【0091】
10)吸水率
25℃、相対湿度50%の条件を標準状態とし、85℃、相対湿度85%の条件で100時間吸湿させた後の重量変化率とした。
【0092】
11)難燃性
厚さ1/16インチの試験片を成形し、UL94V-0規格によって評価し、5本の試験片での合計の燃焼時間で表した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
実施例12〜14及び例15〜16(比較)
エポキシ樹脂成分として、実施例4で得たStPNE−A、実施例5で得たStPNE−B、実施例6で得たStPNE−C、比較例2で得たStPNE−Dの他、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(OCNE;エポキシ当量200、軟化点65℃)を用い、硬化剤成分として、フェノールアラルキル樹脂(PA;MEH−7800SS(明和化成製)、OH当量175、軟化点67℃)を用いた。更に、充填剤として球状シリカ(平均粒径 18μm)、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、表3に示す配合でエポキシ樹脂組成物を得た。表中の数値は配合における重量部を示す。
【0096】
このエポキシ樹脂組成物を用いて175℃で成形し、更に175℃にて12時間ポストキュアを行い、硬化物試験片を得た後、各種物性測定に供した。結果を表4に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
本発明のエポキシ樹脂及び多価ヒドロキシ樹脂は、エポキシ樹脂組成物に応用した場合、硬化性及び機械的物性に優れるとともに、難燃性、耐湿性及び低弾性にも優れた硬化物を与え、電気・電子部品類の封止、回路基板材料等の用途に好適に使用することが可能である。特に、硬化性および難燃性に優れ、優れた成形性を確保しつつ、環境負荷のある難燃剤の使用を不要とさせ又は減少させる。