(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2に記載の対物系(27)において、前記少なくとも1つの測定デバイス(16)は、前記対物系(27)のビーム経路の方向で最終光学コンポーネント(26)の後に配置されることを特徴とする対物系。
請求項2又は3に記載の対物系(17)において、前記位置決めデバイス(30)は、前記少なくとも1つの測定デバイス(16)が前記対物系(27)のビーム経路内の少なくとも1つの測定位置と、完全に前記対物系(27)のビーム経路外に配置される留置位置との間で変位可能であるよう構成されることを特徴とする対物系。
請求項2〜4のいずれか1項に記載の対物系(27)において、前記対物系(27)を較正するアクチュエータ(36)を特徴とし、該アクチュエータ(36)は、前記少なくとも1つの測定デバイス(16)にデータ伝送可能に接続することができる対物系。
請求項2〜7のいずれか1項に記載の対物系(27)において、前記位置決めデバイス(39)及び/又は前記対物系(27)に作用する可変力を補償する少なくとも1つの変位可能なカウンタウェイト(52)を特徴とする対物系。
変位可能なウェーハホルダ(13)を備える請求項10に記載の投影露光装置(1)において、少なくとも1つの測定デバイス(16)を位置決めする位置決めデバイス(30)が、前記ウェーハホルダ(13)とは無関係に変位可能であることを特徴とする投影露
光装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、投影露光装置の少なくとも1つのコンポーネントを特性評価する測定システムを改良するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴により達成される。本発明の本質は、少なくとも1つの測定デバイスを位置決めする位置決めデバイスを投影露光装置の対物系に変位可能に接続することにある。位置決めデバイスは、特にいわゆる「計測ステージ」である。これは特に、例えば光信号を電気信号に変換する電気光学検出器を備えた複数の測定デバイスの配置に役立つ。測定デバイスは、空間分解放射線検出器、特に2次元空分解放射線検出器、例えば1つ又は複数のCCDカメラを備えることができる。これは特に、横方向像オフセットを測定する手段及び/又は瞳透過測定用の手段及び/又は波面測定用の手段及び/又は分光測定用の手段を備えることができる。
【0007】
対物系に位置決めデバイスを配置すると、対物系に対する少なくとも1つの測定デバイスの特に安定した、したがって再現可能な配置が可能となる。さらに、この種の配置は、投影露光装置の他の構成要素の変位とは無関係な、特にウェーハマウントの変位とは無関係な、少なくとも1つの測定デバイスの位置決め、特にシフトを可能にする。本発明による配置のさらに別の利点は、対物系における位置決めデバイスの配置が、ウェーハ平面で、すなわち投影光学ユニットの像面で利用可能な空間の利用の改善を可能にすることである。
【0008】
位置決めデバイスは、少なくとも1変位自由度を有する。これは特に、対物系の光軸に対して横方向に変位可能である。位置決めデバイスを用いて、少なくとも1つの測定デバイスは、特に、対物系のビーム経路内の少なくとも1つの測定位置と、対物系の完全にビーム経路外に配置されることが好ましい留置位置(parking position)との間で変位可能である。この場合、少なくとも1つの測定位置及び留置位置は、1mmよりも大きく、特に1cmよりも大きく、特に5cmよりも大きく相互に離間させることができる。
【0009】
光軸に対して横方向の変位性の代替として、又はそれに加えて、少なくとも1つの測定デバイスは、位置決めデバイスにより対物系の光軸と平行な方向に変位させることができる。特に有利な一実施形態では、位置決めデバイスは回転自由度も有することができる。これは特に、対物系の光軸と平行な軸を中心とした少なくとも1つの測定デバイスの回転を可能にすることができる。
【0010】
好ましくは、測定システムは、測定放射線を発生させる少なくとも1つの放射源を備える。放射源はEUV放射源であり得る。特に、物体視野内の構造を像視野に配置したウェーハに結像するのに用いるのと同じ放射源が関与し得る。その代替として、測定システムは、測定放射線を発生させる別個の放射線を備えることもできる。測定放射線は、特に、物体視野に配置した構造を像視野に配置したウェーハに結像するのに用いる波長域と重ならない波長域にあり得る。測定システムの放射源が発生させた放射線の波長は、特に、ウェーハのパターニングに用いる感光性コーティングに影響しない波長域にある。この場合、ウェーハの露光が測定放射線の散乱に影響されないので、これは特に有利である。測定システムの放射源は、特に1つ又は複数の発光ダイオード(LED)であり得る。発光ダイオードは、同じ又は異なる波長を有する光を発生させることができる。放射源からの放射線は、結像光学ユニットにより結合することができる。この場合、結像光学ユニットは、1つ又は複数の光導波路を備え得る。
【0011】
好ましくは、少なくとも1つの測定デバイスは、瞳付近又は視野付近に配置される。これは特に、対物系の瞳面の領域又は中間像面の領域に配置することができる。この種の配置は、行う測定のタイプによっては有利である。特に有利な一実施形態では、位置決めデバイスは、対物系の光軸と平行な方向の測定デバイスの変位を可能にする。
【0012】
測定システムは、特定の測定レチクルをさらに備えることができる。測定レチクルは、レチクルホルダに配置することができる。これは、ウェーハに結像される構造を有するレチクルを取り付けるために設けられるのと同じレチクルホルダであってもよい。この代替として、別個の測定レチクルホルダを設けることもできる。測定レチクルホルダ及びレチクルホルダは、特に相互に独立して変位可能であり得る。結果として、測定システムの柔軟性がさらに高まる。ホルダは「ステージ」とも呼ぶ。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、投影露光装置の対物系を改良することである。
【0014】
この目的は、請求項2の特徴により達成される。本発明の本質は、計測ステージを対物系のフレームに取り付けることである。計測ステージは、特に対物系フレームに直接接続される。計測ステージは、計測ステージに配置した少なくとも1つの測定デバイスを変位させるために少なくとも1変位自由度を有する。変位自由度は、直線自由度(linear degree of freedom)及び/又は回転自由度であり得る。計測ステージは、特に、対物系の光軸に対して横方向に、特に垂直に及び/又は対物系の光軸と平行な方向に変位可能であり、且つ/又は対物系の光軸と平行な軸を中心に回転可能である。これらの利点は、上述の測定システムの利点に対応する。
【0015】
好ましくは、複数の測定デバイスを計測ステージに配置することができる。
【0016】
位置決めデバイス、特に計測ステージ、及び/又は測定デバイスは、対物系の要素と考えることができる。これらは、対物系のフレームに接続されているが対物系の外部に位置する別個の要素と考えることもできる。
【0017】
位置決めデバイスは、少なくとも1つの測定デバイスが対物系の光学コンポーネントの配置範囲外に位置するように構成されることが好ましい。測定デバイスは、対物系のビーム経路の方向で対物系の最終光学コンポーネントの後に配置され得ることが好ましい。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの測定デバイスは、対物系のビーム経路内に配置される少なくとも1つの測定位置と、対物系の完全にビーム経路外に配置される留置位置との間で変位可能である。
【0019】
好ましくは、対物系を較正するためのアクチュエータを設ける。アクチュエータは、計測ステージに配置した少なくとも1つの測定デバイスに特にデータ伝送可能に接続することができる。この場合、計測ステージは、特に対物系を較正するための対物系マニピュレータの構成要素を形成する。換言すれば、対物系は、計測ステージに配置した少なくとも1つの測定デバイスの形態の較正デバイスと、アクチュエータとを有し得る。
【0020】
好ましくは、位置決めデバイスは磁場と相互作用しない。これは特に、そのドライブが外部磁場変化に反応しないよう具現される。この種の変化は、例えばウェーハマウントの駆動により引き起こされ得る。逆に、位置決めデバイス、特にそのドライブは、磁場を生成しないよう、特に外部磁場に影響を及ぼさないよう具現される。これは特に、位置決めデバイスがピエゾアクチュエータ又はピエゾドライブをドライブとして有することにより達成され得る。この種のピエゾドライブにより、非常に大きな駆動力を発生させることができる。これらはさらに、非常に精密に駆動することができる。最後に、この種のドライブは真空に適している。結果として、真空適合ドライブが含まれる。請求項7に記載の計測ステージを有する対物系が真空室に配置されるので、これは特に有利である。真空室内のこの種の配置は、対物系をEUV投影露光装置で用いることができるための必要条件である。
【0021】
好ましくは、対物系は、位置決めデバイス及び/又は対物系に作用する可変力を補償するための少なくとも1つの変位可能なカウンタウェイトを有する。したがって、カウンタウェイトは補償ウェイトとも呼ぶ。カウンタウェイトは、位置決めデバイスの変位及び/又は位置決めデバイス上の1つ又は複数の測定デバイスの配置の変更に起因して可変であり得る対物系フレームに対する力を少なくとも部分的に補償することを可能にする。これは、特に回転自由度を有する位置決めデバイスの場合に有利である。補償ウェイトは、計測ステージの安定性を高める。さらに、それにより、計測ステージの変位に起因した対物系フレームの変形、ひいては計測ステージによる対物系の光学的品質の低下の危険を低減、特に防止することが可能である。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、物体視野を像視野に投影する投影光学ユニットと、投影露光装置とを改良することである。
【0023】
これらの目的は、請求項9及び10の特徴により達成される。これらの利点は、対物系に関して説明した利点に対応する。
【0024】
好ましくは、測定デバイスは、対物系のビーム経路に対して対物系の最終光学コンポーネントと像視野、特にウェーハステージとの間に配置される。測定デバイスを対物系から独立しているコンポーネントと考える場合、これを対物系と像視野、特にウェーハステージとの間に配置することが好ましい。
【0025】
好ましくは、投影露光装置は、変位可能なウェーハホルダを備え、1つ又は複数の測定デバイスを有する計測ステージは、ウェーハホルダとは無関係に変位可能である。それにより、投影露光装置の柔軟性が高まる。ウェーハホルダとは無関係に変位可能な計測ステージは、特に、投影露光装置の少なくとも1つのパラメータの並行測定と、投影露光装置によるウェーハの露光とを可能にする。特に、それにより、投影露光装置のスループットが向上する。
【0026】
本発明のさらに別の目的は、投影露光装置の少なくとも1つのコンポーネントを特性評価する方法を改良することである。
【0027】
この目的は、請求項12の特徴により達成される。これらの利点は、上述の利点に対応する。
【0028】
好ましくは、投影露光装置を特性評価するパラメータは、ウェーハの露光と同時に測定される。パラメータの測定は、特に最大限の像視野の縁部領域で行うことができる。特に、ウェーハの露光のために露出した視野外の領域を、投影露光装置を特性評価するのに用いることができる。
【0029】
本発明のさらに他の目的は、投影露光装置を用いてコンポーネントを製造する方法、及び当該方法により製造したコンポーネントを特定することである。これらの目的は、請求項14に記載の方法及び請求項15に記載のコンポーネントにより本発明に従って達成される。
【0030】
これらの主題の利点は、すでに上述した利点に対応する。
【0031】
本発明のさらなる詳細及び利点は、図面を参照した複数の例示的な実施形態の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
最初に、マイクロリソグラフィ用の投影露光装置1のコンポーネントを
図1を参照して例として説明する。この場合、
図1に示す投影露光装置1は、単なる例として理解すべきである。個々のコンポーネント、特にその数及び/又は配置は、
図1に示す実施形態から逸脱することもできる。投影露光装置1は照明系2を備え、照明系2は、照明源3と物体面6内の物体視野5の露光用の照明光学ユニット4とを有する。この場合、物体視野5に配置したレチクル7が露光され、当該レチクルは、ごく一部として図示するレチクルホルダ8により保持される。
【0034】
投影露光装置1は、物体視野5を像面11内の像視野10に結像する投影光学ユニット9をさらに備える。レチクル7の構造は、像面11内の像視野10の領域に配置したウェーハ12の感光層に結像され、上記ウェーハは、同じく概略的に示すウェーハホルダ13により保持される。投影露光装置1は、像面11にウェーハ12を変位可能に配置するために1つ又は複数のウェーハホルダ13を有し得る。ウェーハホルダ13は、特にいわゆるツインステージとして具現することができる。この種のツインステージは、ウェーハ12を収容する2つ以上のウェーハレセプタクルを有し得る。この種のツインステージの詳細に関しては、例えば欧州特許第1 197 801号明細書を参照されたい。
【0035】
レチクルホルダ8はレチクルステージとも呼ぶ。ウェーハホルダ13はウェーハステージとも呼ぶ。この場合、ステージは、例えばレチクル7、ウェーハ12、又は詳細に後述する測定デバイス16等の要素を取り付ける、すなわち位置決めする、特に変位可能なデバイスを示す。
【0036】
投影露光装置1、特に放射源3、照明系2、投影光学ユニット9、及びウェーハホルダ13は、真空排気可能なチャンバ29内に配置される。
【0037】
放射源3は、特に、EUV放射線14を放出するEUV放射源である。EUV放射源3の放出使用放射線の波長は、5nm〜30nmの範囲、特に13.5nmである。リソグラフィで用いられ、適当な光源、例えば300nm未満の波長を有するDUV放射源又は200nm未満、特に193nmの波長を有するVUV放射源を利用可能な、他の波長も可能である。放射源3は、プラズマ源、例えばGDPP源又はLPP源であり得る。シンクロトロンベースの放射源を放射源3として用いることもできる。この種の放射源に関する情報は、例えば米国特許第6,859,515号明細書において当業者が発見することができる。
【0038】
EUV放射線14は照明光又は結像光とも呼ぶ。
【0039】
コレクタ15が、EUV放射源3からのEUV放射線14を集光するために設けられる。
【0040】
照明光学ユニットは、複数の視野ファセット23を有する視野ファセットミラー17を備える。視野ファセットミラー17は、物体面6に対して光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される。照明光14は、視野ファセットミラー17から照明光学ユニット4の瞳ファセットミラー18へ反射される。瞳ファセットミラー18は、複数の瞳ファセット24を有する。瞳ファセットミラー18を用いて、視野ファセットミラー17の視野ファセット23を物体視野5に結像させる。視野ファセットミラー17の視野ファセット23毎に、瞳ファセットミラー18の瞳ファセット24が1つずつ関連付けられる。結果として、それぞれ1つの視野ファセット23と1つの瞳ファセット24との間に光チャネルが形成される。ファセットミラー17、18の少なくとも一方のファセット23、24は、切り替え可能に具現することができる。これらは、ファセットミラー17、18に特に傾斜可能に配置することができる。この場合、ファセット23、24の一部のみ、例えば30%以下、50%以下、又は70%以下を傾斜可能に具現することが可能である。ファセット23、24の全部を傾斜可能に具現するようにすることもできる。切り替え可能なファセット23、24は、特に視野ファセット23である。視野ファセット23の傾斜により、各瞳ファセット24へのその割り当て、したがって光チャネルの形成を変えることができる。傾斜可能なファセット23、24を有するファセットミラー17、18のさらなる詳細に関しては、独国特許第10 2008 009 600号明細書を参照されたい。
【0041】
さらに、照明光学ユニット4は、ミラー20、21、及び22を有するいわゆる伝達光学ユニット19を備える。伝達光学ユニット19の最終ミラー23は、斜入射用のミラー(「斜入射ミラー」)である。瞳ファセットミラー18及び伝達光学ユニット19は、照明光14を物体視野5へ伝達するための後続光学ユニットを形成する。特に瞳ファセットミラー18を投影光学ユニット9の入射瞳に配置する場合、伝達光学ユニット19を省くことができる。
【0042】
位置関係をより単純に説明するために、デカルトxyz座標系を図示する。この場合、z軸は投影光学ユニット9の光軸25の方向に延びる。明確化を理由として、光軸25は図の1つ1つに示さない。物体面6及び像面11はそれぞれ、光軸25に対して垂直に、したがってxy平面と平行に延びる。
【0043】
レチクルホルダ8は、投影露光中にレチクル7を物体面6においてy方向と平行な変位方向に変位させることができるよう制御下で変位可能である。ウェーハホルダ13は、これに対応して、ウェーハ12が像面11においてy方向と平行な方向に変位可能であるよう制御下で変位可能である。結果として、レチクル7及びウェーハ12は、第1に物体視野5に対して、第2に像視野10に対して走査され得る。変位方向は走査方向とも呼ぶ。レチクル7及びウェーハ12の走査方向のシフトは、相互に同期して行われ得ることが好ましい。
【0044】
視野ファセットミラー17の構成の詳細に関しては、例えば独国特許第10 1007 041 004号明細書の特に
図3を参照されたい。
【0045】
投影光学ユニット9は、
図1に具体的に示さない複数の投影ミラー26を備える。投影光学ユニット9は、少なくとも3つ、特に少なくとも4つ、特に少なくとも5つの投影ミラー26を備える。これは、特に少なくとも6つ、7つ、又は8つの投影ミラー26を有してもよい。4つのミラー26
1〜26
4を有する投影光学ユニット9を、
図2〜
図5及び
図8〜
図11に例として示す。この場合、光路における最終ミラーは、結像光14用の通過開口を有する。投影ミラー26は、投影露光装置1の対物系27の一部である。投影ミラー26は、特に対物系27の光学コンポーネントを形成する。対物系27は、さらに他の光学コンポーネント、例えばフィルタ及び/又は絞りを有し得るが、これらは図示しない。光学コンポーネントは、対物系フレーム28により保持される。対物系フレーム28は、対物系27の光学コンポーネントを取り付けるための対物系マウントを概して形成する。
【0046】
本発明によれば、測定デバイス16を保持するための、概して位置決めデバイスと呼ぶ計測ステージ30が対物系フレーム28に配置される。特に、複数の測定デバイス16を計測ステージ30に配置することができる。計測ステージ30は、対物系フレーム28に接続される。これは、特に対物系フレーム28に直接接続される。計測ステージ30は、対物系フレーム28に特に少なくとも3点で接続される。接続のタイプは、対物系フレーム28及び計測ステージ30に用いる材料に応じて変わる。例として、接着結合、ねじ接続、はんだ付け、レーザ溶接、又は電子ビーム溶接が、対物系フレーム28への計測ステージ30の接続に可能である。非磁性接続が好ましい。
【0047】
計測ステージ30は、対物系フレーム28に対して変位可能である。これは、測定デバイス16を変位させるために少なくとも1変位自由度を有する。これは、光軸25に対して特に横方向に、特に垂直に変位可能である。したがって、これは、対物系27における結像光14のビーム経路内の測定位置に移動させることができる。これは、結像光14のビーム経路から出すこともできる。これは特に、対物系27における結像光14の完全にビーム経路外に位置する留置位置に変位させることができる。これは、ビーム経路の特定の縁部領域に目標通りに特に配置することができる。これは、ウェーハ12の露光に用いない縁部領域に特に配置することができる。この場合、対物系27が像面11のレベルで露光すべき像視野10よりも光軸25に対して垂直な方向に突出した最大視野サイズを有することを利用することが可能である。像視野10よりも突出した縁部領域は、ウェーハ12の露光に用いられない。
【0048】
光軸25に対して横方向の計測ステージ30の変位性は、特に少なくとも1mm、特に少なくとも1cm、特に少なくとも5cmであり得る。
【0049】
計測ステージ30は、測定デバイス16を光軸25に対して横方向に、特に垂直に変位させるxyアジャスタ34を備える。さらに、計測ステージ30は、測定デバイス16を光軸25の方向に変位させるzアジャスタ31を有し得る。したがって、測定デバイス16は、計測ステージ30により投影光学ユニット9の光軸25の方向に変位可能である。結果として、測定デバイス16を瞳付近に、特に瞳面の領域に、又は視野付近に、特に像面11又は中間像面の領域に配置することが可能である。この場合、瞳付近の測定デバイス16の配置は、以下の条件を満たす配置を意味すると理解されたい。
P(16)=D(SA)/(D(SA)+D(CR))>0.5、特にP(16)>0.7
【0050】
この場合、D(SA)は、測定デバイス16の場所で物体視野から出射するビームのサブ開口直径であり、D(CR)は、測定デバイス16の領域における光学系の基準面で測定した有効物体視野の主光線の最大距離である。基準面は、光学系の対称面又は子午面であり得る。パラメータP(16)の定義は、国際公開第2009/024164号明細書に示すものに対応する。視野面では、P(16)=0が当てはまる。瞳面では、P(16)=1が当てはまる。視野付近の測定デバイス16の配置は、P(16)<0.5、特にP(16)<0.3となる配置を意味すると理解されたい。
【0051】
計測ステージ30は、測定デバイス16を対物系27のビーム経路の方向で投影ミラー26が配置される範囲外に配置するよう構成することができる。特に、計測ステージ30は、測定デバイス16を対物系27のビーム経路の方向で最後の投影ミラー26の後、すなわち最終投影ミラー26とウェーハステージ13との間に配置するよう構成することができる。したがって、測定デバイス16は、ビーム経路の方向で対物系27の外部に配置されると考えることができる。
【0052】
計測ステージ30は回転軸受32も有し得る。回転軸受32を用いて、測定デバイス16は、回転軸33を中心に回転可能である。回転軸33は、特に光軸25と平行である。測定デバイス16の回転を可能にする回転軸受32は、シフト較正に加えて回転較正も可能にする。これにより、ゼルニケフィールドオフセット(Zernike field offsets)を求めることが可能となる。さらに、較正法のよりよい調整、すなわちより高い精度がそれにより達成される。
【0053】
xyアジャスタ34、zアジャスタ31、及び回転軸受32は、計測ステージ30、特に測定デバイス16を変位させる駆動デバイス35の一部である。駆動デバイス35は特に真空適合ドライブである。さらに、駆動デバイス35は、磁場と相互作用しないことが好ましい。結果として、駆動デバイス35は特に、外部磁場又はその変化に反応しない。逆に、駆動デバイス35は磁場を生成しない。結果として、駆動デバイスは特に、ウェーハホルダ13の部品と、特にそのドライブと相互作用しない。
【0054】
駆動デバイス35は、特に1つ又は複数のピエゾドライブ58を備える。駆動デバイス35、特にピエゾドライブ58は、非常に高い分解能を特徴とする。最大30pmの分解能を達成することができる。さらに、最大600Nの保持力を駆動デバイス35により発生させることができる。駆動デバイス35は、特に、無限長の作動距離を提供する。
【0055】
図17に例として示すように、zアジャスタ31は3つのピエゾドライブ58を有することができる。zアジャスタ31の3つのピエゾドライブ58により、測定デバイス16を配置する平面を明確に画定することができる。原理上、単一のピエゾドライブ58を有するzアジャスタ31を形成することも可能である。xyアジャスタ34は、2つのピエゾドライブ58を備えることが好ましい。この場合、特に、ピエゾドライブ58の一方は、x方向に計測ステージ30を調整する役割を果たすことができる。他方のピエゾドライブ58は、特に、y方向に計測ステージ30を調整する役割を果たす。
【0056】
回転軸受32もピエゾドライブ58を有することができる。測定デバイス16を配置する回転軸受32、特に回転テーブル59のピエゾドライブ58を用いて、測定デバイス16は回転軸33を中心に回転可能である。
【0057】
対物系27に計測ステージ30を配置する結果として、当該ステージを使用目的に合わせて最適化することができる。ウェーハホルダ13からの計測ステージ30の分離が、特に、測定デバイス16の変位中の高い走査速度を回避することを可能にする。さらに、較正のための回転自由度を実現することが可能である。さらに、測定デバイス16の非常に高い剛性、したがってその配置の特に高い安定性を達成することが可能である。これは、特にいわゆる「視線」(LOS)測定に有利である。最後に、対物系27への計測ステージ30の配置は、対物系27の測定中の故障の影響を低減する。
【0058】
対物系27は、それを較正するためのアクチュエータ36をさらに有することができる。アクチュエータ36は、測定デバイス16の少なくとも1つに特にデータ伝送可能に接続される。したがって、対物系27はフィードバックを得る。
【0059】
測定デバイス16の詳細に関しては、例えば米国出願公開第2011/0013171号明細書を参照されたい。
【0060】
測定デバイス16を有する計測ステージ30は、投影露光装置1の少なくとも1つのコンポーネントを特性評価する測定システム37の一部である。測定システム37は、測定放射線を発生させる少なくとも1つの測定放射源38をさらに備える。
図2、
図3、
図6、及び
図7に示す実施形態では、測定放射源38は、投影露光装置1の照明系2の放射源3と同一である。これらの例示的な実施形態では、EUV放射線14は、レチクル7をウェーハ12に、すなわち物体視野5を像視野10に投影する役割を果たすと共に、測定放射線39としての役割を果たす。したがって、これらの例示的な実施形態では、測定放射線39は照明光と同じ波長を有する。
【0061】
測定システム37は、特別な測定レチクル40をさらに備える。
図2に示すように、測定レチクル40は、測定レチクルステージとも呼ぶ別個の測定レチクルマウント41に配置することができる。測定レチクル40は、特に物体面6に配置される。測定レチクルマウント41は、レチクルホルダ8とは無関係に変位可能であることが好ましい。これは光軸25に対して横方向に、特に垂直に変位可能である。これは、光軸25と平行な軸を中心に回転可能でもあり得る。原理上、これは光軸25の方向に変位可能であり得る。
【0062】
測定レチクル40の種々の実施形態を
図15a及び
図15bに例として示す。測定レチクル40は、特にクロムマスクとして具現することができる。これは、格子構造60及び/又はリング構造56を有することができる。詳細に関しては、例えば米国特許第7,333,216号明細書を参照されたい。測定レチクル40は、測定レチクルマウント41により変位可能である。これは、特に物体面6において、特に光軸25に対して垂直な方向に変位可能である。これは特に、光軸25と平行な軸を中心に回転可能でもあり得る。
【0063】
測定レチクル40は、レチクル7と交互に投影露光装置1のビーム経路に導入することができる。その代替として、測定レチクル40を、レチクル7と並行して、すなわち同時に、測定放射線39で照明することができる。
【0064】
測定レチクル40及び/又は計測ステージ30の回転性は、特に、波面(Z2、Z3)の歪み成分を求めるために提供される測定技術の、例えば波面測定技術及び/又は迷光測定技術の較正に有利である。この場合、測定レチクル40は、較正中に異なる較正位置で測定される。これらの位置は、物体面6における測定レチクル40及び/又は像面11における測定デバイス16の並進及び/又は回転に関して異なる。例として、相互に対して90°それぞれ回転させた測定レチクル40の4つの位置が測定のために可能である。特に、測定デバイス16に対する測定レチクル40の相対配置を、較正のために変更する。測定レチクル40及び測定デバイス16を、続いて特に相互に対して回転させる。
【0065】
図2に示すものに実質的に対応する
図3に示す実施形態では、測定レチクル40がレチクルホルダ8上にレチクル7と同様に配置される。別個の測定レチクルマウント41を省くことができる。この場合、測定レチクル40は、レチクル7と共に変位可能であり得る。これは、特にレチクル7に対して固定的に配置することもできる。
【0066】
図4に示す例示的な実施形態では、放射源3とは異なる別個の測定放射源38を設ける。この場合、例えば発光ダイオード(LED)が測定放射源38としての役割を果たす。測定放射源38は、複数のLEDを有することもできる。この場合、LEDは、特に1つ又は複数の行及び/又は列で配置される。これら全てが、同じ波長を有する測定放射線39を放出することができる。これらは、異なる波長を有する測定放射線39を放出することもできる。
【0067】
測定放射源38からの測定放射線39は、結像光学ユニット42により測定レチクル40へ指向させる。結像光学ユニット42は、特に拡散デバイス43、例えば拡散スクリーン又は拡散ロッドを備えることができる。この例示的な実施形態では、測定放射源38を真空排気可能なチャンバ29外に配置することができる。これは、特に真空気密窓44を通して放射線を真空排気可能なチャンバ29へ送り込むことができる。原理上、測定放射源38は、結像光学ユニット42と共に真空排気可能なチャンバ29内に配置することもできる。
【0068】
結像光学ユニット42は、測定放射源38、特に1つ又は複数のLEDからの測定放射線39を測定レチクル40に伝達するための、特にファイバ、例えば光ファイバの形態の光導波路も有することができる。別個の結像光学ユニット42を用いて、特に光ファイバユニットを用いて、測定放射線を特定の所望の開口数で測定レチクル40へ単純な方法で案内することが可能である。
【0069】
測定放射線39の波長域は、照明放射線14の波長域とは異なり得る。測定放射線39の波長は、特に可視域にあり得る。測定放射線39は、特に、ウェーハ12のコーティングに影響しない波長域にある。それにより、測定放射線39、特にその散乱がウェーハ12の露光に望ましくない影響を及ぼさないことを確実にすることができる。
【0070】
測定放射源38は、測定レチクルマウント41に一体化されることも特に有利であり得る。測定放射線39を発生させる測定放射源38及びその配置の詳細に関しては、例えば独国特許第10 2010 038 697.9号明細書を参照されたい。
【0071】
別個の測定放射源38を備えた実施形態では、測定放射線39を照明光14とは無関係に遮断することができる。逆に、当然ながら、照明光14を測定放射線39とは無関係に遮断することも可能である。それにより、放射源3を保護することができる。
【0072】
図4に示すものに実質的に対応し、説明に関してはこれを参照する
図5に示す実施形態では、測定レチクル40をレチクルホルダ8とは別個の測定レチクルマウント41に配置する。この例示的な実施形態では、測定レチクルマウント41は、対物系27に、特に対物系フレーム28に配置され、特にそれに接続される。計測ステージ30に従って、この場合、測定レチクルマウント41は、xyアジャスタ45も備え、有利にはzアジャスタ46及び/又は回転軸受47も備える。xyアジャスタ45、zアジャスタ46、及び回転軸受47は、この場合もドライブ48の一部である。これに関する詳細に関しては、計測ステージ30のドライブ35の説明を参照されたい。
【0073】
この例示的な実施形態では、測定システム37は偏向ミラー49を備える。偏向ミラー49は、計測ステージ30に固定的又は調整可能に接続される。これは、対物系27に、特に対物系フレーム28に直接配置することもできる。
【0074】
図6及び
図7に示すように、対物系27への計測ステージ30の配置は、いわゆる浸漬スキャナの場合にも行うことができる。浸漬スキャナは特に、VUV領域の、特に193nmの波長の照明光14を発生させる放射源3を備える。異なる波長域からの照明光14も同様に可能である。浸液50を、投影光学ユニット9の対物系27と露光対象のウェーハ12との間に配置する。例えば水が浸液としての役割を果たす。
【0075】
計測ステージ30は、少なくとも部分的に浸液50外に配置することができる。測定デバイス16は、浸液50内又は浸液50との境界面に配置した検出器51を備える。特に、量子変換器がこの場合に含まれ得る。
【0076】
これらの実施形態は、真空排気可能なチャンバ29を有しない。
図6に示すように、測定レチクル40は、レチクル7と共にレチクルホルダ8に配置することができる。その代替として、
図7に示すように、測定レチクル40を別個の測定レチクルマウント41によりビーム経路に導入することも同様に可能である。測定レチクルマウント41は、さらに対物系27に、特に対物系フレーム28に配置することができる。
【0077】
図8〜
図11に示す実施形態によれば、位置決めデバイス、特に計測ステージ30は、補償ウェイト52を備える。補償ウェイト52は、計測ステージ30に、及び/又は対物系27、特に対物系フレーム28に作用する可変力を補償する役割を果たす。計測ステージ30及び対物系27、特に対物系フレーム28に作用するてこ作用は、特に、計測ステージ30の変位及び計測ステージ30上の測定デバイス16の配置に応じて変わる。
【0078】
補償ウェイト52は、特に、測定デバイス16のそれぞれに対する変位可能なカウンタウェイトとして具現される。これは特に、回転軸33に関する測定デバイス16を有する計測ステージ30の重量配分の釣り合いをとる役割を果たす。補償ウェイト52により、特に、測定デバイス16を有する計測ステージ30の重心の位置が、回転軸33がこの重心を通って延びるように精密に調整されることが確実になり得る。
【0079】
図8に示す実施形態では、補償ウェイト52を計測ステージ30に一体化する。
図9及び
図10に示す実施形態では、補償ウェイト52を計測ステージ30に別個に配置する。これは、回転軸33に対する計測ステージ30の変位に関して特に等しく且つ逆に変位可能である。これは、測定デバイス16に対して計測ステージ30の反対側に、又は計測ステージ30に隣接して測定デバイス16の同じ側に配置することができる。
【0080】
補償ウェイト52の変位性を明確化するために、
図9〜
図11は、計測ステージ30及び補償ウェイト52の2つの異なる位置をそれぞれ実線及び点線を用いて示す。
【0081】
図11に示す実施形態では、補償ウェイト52を光軸25の方向で対物系27のうち計測ステージ30とは反対側に配置する。これは特に、光軸25に対して横方向に対物系27に作用する力の補償に有利である。
【0082】
測定デバイス16は、いずれの場合も1つ又は複数の格子53及び/又は絞り54を有することができる。1つ又は複数の格子53及び/又は1つ又は複数の絞り54は、特に測定レチクル40の構造に適合させる。
【0083】
さらに、測定デバイス16は、いずれの場合も電磁放射線の空間分解検出用のセンサデバイス55、特にCCDカメラを備える。センサデバイス55は、光軸25の方向に格子53及び/又は絞り54から離れて配置される。
【0084】
好ましくは、センサデバイス55と格子53との間の距離を必要に応じて変えることができる。例として、
図12に示すように、格子53とセンサデバイス55との間の大きな距離が、単一測定チャネルでの連続測定に有利であり得る一方で、
図13に例として示すように、格子53とセンサデバイス55との間の小さな距離が、並べて配置した複数の測定チャネルでの並行測定に有利である。格子53とセンサデバイス55との間の距離の選択は、特に、対物系27の開口数及び/又は測定レチクル40の構造の詳細に応じて変わる。この距離は、特に100マイクロメートル〜10センチメートルの範囲にある。この場合、格子53とセンサデバイス55との間の距離は、特に、格子53が生成した回折パターンの少なくとも第1極大がセンサデバイス55の領域で重ならないよう選択される。特に収差Z5〜Z81の測定の場合、連続測定を行う。特に収差Z2〜Z36の測定の場合、並行測定を行う。
【0085】
1つの測定チャネルを備え格子とカメラとの間の距離が大きな実施形態は、瞳の拡大結像を、したがってより高次のゼルニケ次数、特にZ5〜Z81を正確に求めることも可能にするが、
図13に示すように並べて配置した複数の測定チャネルの並行測定は、像視野10全体にわたる波面を測定すること、したがって歪み及び像面(image shell)を求めることを可能にする。原理上、格子とカメラとの間の間隔が異なる測定デバイス16を単一の計測ステージ30に配置することが可能である。
図12及び
図13に例として示す測定システム37は、特に本発明による計測ステージ30により単一の測定システム37に統合することができる。
【0086】
投影露光装置1の、特に対物系27の少なくとも1つのコンポーネントを特性評価するために、計測ステージ30を測定放射線39のビーム経路に、特に照明視野に移動させる。これは特に、ウェーハホルダ13とは無関係に移動させる。これは特に、ウェーハホルダ13よりも大幅に遅く移動させることができる。それにより、測定デバイス16の障害を回避することができる。
【0087】
瞳透過測定のために、測定デバイス16は、計測ステージ30により瞳付近に配置され得る。計測ステージ30による測定データの記録のために、続いて瞳を横切る、すなわち走査することができる。
【0088】
照明光14でのウェーハ12の露光のために、測定デバイス16を、光軸25に対して側方に、すなわち横方向に、投影光学ユニット9のビーム経路外に移動させることができる。その代替として、測定デバイス16は、特にウェーハ12へのレチクル7の結像に用いられない露光視野の縁部領域に配置することができる。この場合、対物系27の特性評価は、ウェーハ12の露光と並行して、すなわち同時に行うことができる。この場合、ウェーハ12のコーティングに影響しない波長を有する測定放射線39を発生させる別個の測定放射源38を設けることが有利であり得る。対物系27の特性評価及びウェーハ12の照明を並行して行うために、計測ステージ30を用いて、特に、対物系27の像視野がウェーハ12に結像した像視野10よりも構成に応じて多少大きいことを利用することが可能である。この縁部領域の放射線14は、ウェーハ12へのレチクル7の結像を損なわせることなく対物系27の特性評価に用いることができる。
【0089】
対物系27の特性評価をウェーハ12の露光と並行して、すなわち同時に行うことができるので、ウェーハ12の露光を対物系27の特性評価のために中断する必要がない。異なるウェーハ12の露光間に、内側視野領域の、特に像視野11の測定を行うことも可能である。
【0090】
対物系27に計測ステージ30を配置する結果として、安全裕度の形態の調整パラメータをほとんど考慮にいれる必要がないので、視野縁部におけるより大きな領域を対物系27の特性評価に用いることが可能である。使用可能な領域が大きくなることにより、より多くの異なる測定技術を、例えばより大きな構造での波面測定も実現することが可能である。
【0091】
迷光計測に関する用途では、計測ステージ30の及び/又は測定レチクルマウント41による測定レチクル40の回転性が特に有利である。計測ステージ30による測定デバイス16の回転及び/又は測定レチクルマウント41での測定レチクル40の回転の結果として、測定不可能な、いわゆる「禁止」空間周波数を回避することが可能である。
【0092】
散乱範囲Δxに対する迷光強度Iの依存を、
図14に例として示す。約10μmの範囲より下では、いわゆる短距離フレア(short-range flare)を測定する波面測定技術を利用する。約10μmの範囲より上では、いわゆる中距離フレア(mid-range flare)を測定するために迷光強度を測定する技術を利用する。
【0093】
計測ステージ30は、いわゆる短距離フレア及び中距離フレアの領域で迷光測定を同時に行うことを可能にする。特に、迷光範囲での遷移が途切れない波面測定技術及び迷光技術が可能である。この目的で、波面測定技術用の構造及び迷光測定技術用の構造が、測定レチクル40に設けられ、対応の構造が測定デバイス16にも設けられる。さらに、測定デバイス16は、この目的で、測定対象の迷光範囲と対物系27の開口数で割った測定波長との比の大きさの少なくとも2倍である分解能を有する。
【0094】
投影露光装置1の少なくとも1つのコンポーネントの特性評価の例示的な例として、本発明による測定システム37を用いた瞳分解迷光測定を以下で説明する。この場合、迷光は、理想的な完全対物系27のビーム経路から逸脱した照明光14及び/又は測定放射線39の部分を意味すると理解されたい。この場合、迷光範囲は、光軸25に対して垂直な方向のこの逸脱の尺度である。
【0095】
本願では、測定レチクル40は、
図15bに示すリング構造を有する。これは、特に、測定放射線39の出力領域を形成する複数のリング構造56を有する。リング構造56は、この場合は異なる直径を有する。
【0096】
迷光を検出するために、
図16bに例として示し1つ又は複数のピンホール57を有する絞り54を瞳付近に設ける。絞り54のピンホール57の数は、測定レチクル40のリング構造56の数に正確に対応することが好ましい。ピンホール57は、それらの実施形態に関して、特にそれらのサイズに関して、特に測定レチクルのリング構造56のサイズに適合させる。絞り54は、特に視野面の領域に配置される。測定放射線39は、CCDカメラ又は他の何らかの空間分解検出器により検出される。この場合、検出はほぼ瞳分解的に行われる。瞳における迷光範囲が小さく、したがって散乱がほぼ瞳維持的(pupil-maintaining)であるので、この測定法は、瞳を照明に対応した形状にする必要なく、瞳面の場所の関数として迷光を求めることを可能にする。結果として、完全に充填された瞳で、任意の所望の照明設定における迷光を十分な近似で測定し求めることが可能である。
【0097】
本発明による測定システム27により、例えば、投影ミラー26の汚染及び/又は変形に起因した、特に熱的効果に起因した投影露光装置1の、特に投影光学ユニット9の結像品質の低下を検出し認識することが可能である。
【0098】
種々の図に示す実施形態の詳細、特に測定レチクル40の配置、測定放射源38の実施形態、及び補償ウェイト52の配置は、当然ながら、任意の所望の様式で相互に組み合わせることができる。
(34条補正、下線は補正箇所)