(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態のクロマティックポイントセンサ(CPS)100のブロック図である。
図1に示すように、クロマティックポイントセンサ100は、光学ペン120と、CPS電子機器部(以下、単に電子機器部)160とを含む。
図1に示す実施形態では、電子機器部160は、信号演算器166と、記憶部168と、CPS波長検出器(以下、単に波長検出器)162及び広波長帯域光源164(白色光源とも呼ばれる)からなるサブシステム(光源+検出器)161とを含む。波長検出器162は、分光計の検出器アレイ163を含む。
【0030】
検出器アレイ163は、波長検出器162の測定軸に沿って配列された複数のピクセルから構成されていてもよい。なお、それら複数のピクセルは、それぞれの波長光を受光して、出力スペクトルプロファイルのデータを供給する。
【0031】
波長検出器162は、関連する信号演算手段(例えば、信号演算器166によって備えられる)を含んでいてもよい。以下に詳述するように、その関連する信号演算手段は、記憶部168に記憶され得る補正データ169を使って、検出器アレイ163により提供されるプロファイルデータから特定の誤差成分を取り除き、又は補正する。従って、幾つかの実施形態においては、波長検出器162および信号演算器166の特定の態様を統合してもよく、かつ/または区別をなくしてもよい。なお、記憶部168は、該CPSシステム100が利用可能な記憶部であればよく、該CPSシステム100と通信可能に接続されたホストシステム(例えば汎用のパーソナルコンピュータ)に備えらえた記憶部であってもよい。
【0032】
電子
機器部160は、光ファイバケーブル112を含む光路を通じて、光学ペン120に連結されている。
図1に示す実施形態には、上記光路についての任意選択による態様、または代替の態様を示す。例えば、その光路は、光ファイバセグメント112Bの接続子CONNECT−Dで接続された第1セグメント112A及び第2セグメント112Bと、第2セグメント112Bを電子機器部160に接続する連結器COUPLER−Oとを含む。光源164は、波長光のスペクトルプロファイル(入力光)を入力するために光ファイバケーブル112に接続されている。
【0033】
光学ペン120は、入出力(I/O)用の光ファイバ・サブアセンブリ105と、筐体130と、光学系部分150とを含む。入出力用の光ファイバ・サブアセンブリ105は、入出力用の光ファイバ113と、光ファイバ接続子108とを備える。入出力用の光ファイバ113は、この光ファイバ113を包んでいる光ファイバケーブル112から延長されたものである。入出力用の光ファイバ113は、開口部195を通して出力ビームを出力すると共に、反射された測定信号光(反射光)を開口部195を通して受け取る。
【0034】
動作中、ファイバ端部からの放射光は、開口部195を通して、光学系部分150により合焦する。その光学系部分150は、クロマティック共焦点センサシステムで既知のように、光軸方向の色分散を供給するレンズを含んでいる。この光軸方向の色分散とは、光軸OAに沿った焦点が光の波長に応じて異なった距離の位置に生じることを言う。より詳細に後述するように、測定動作中、ワーク170の表面位置(被測定面)190上で光の焦点が合う。光が表面位置190を反射すると、光学系部分150によって開口部195上で再び光の焦点が合う。光学系部分150によって提供される光軸方向の色分散により、1つの波長光のみが、測定距離「Z」に一致する焦点距離を有することになる。
【0035】
その測定距離Zは、光学ペン120に関連する固定の基準位置RPから表面位置190までの距離を示す。表面位置190で最もよく焦点が合う波長光が、開口部195において最もよく焦点が合う波長光にもなるように、クロマティックポイントセンサが形成されている。最も良く焦点の合った波長が、主に開口部195を通過して光ファイバケーブル112の光ファイバ113のコアに入るように、開口部195は、反射光を空間的にフィルタリングしている。以下の詳細な記載にあるように、光ファイバケーブル112は、信号光を波長検出器162に伝搬する。この波長検出器162は、表面位置190までの測定距離Zに応じた波長で、かつ、主強度を有する波長を決定するために利用される。
【0036】
通常測定の動作中、広波長帯域光源164は、信号演算器166により制御され、光ファイバの経路を通じてCPS光学ペン120に連結されている。この光ファイバの経路は、照明ファイバセグメント165I、2×1連結器COUPLER−E、CONNECTOR−E、および光ファイバケーブル112を含んでいる。上述したように、光は、長軸方向の色収差を生じさせる光学ペン120を通じて進行する。開口部195を通って光ファイバケーブル112内に最も効率よく戻ってくる光の波長は、表面位置190上で焦点の合う波長である。次に、反射された波長依存性の光強度は、光ファイバの経路を通って、電子機器部160及び連結器COUPLER−Eまで戻って行く。その結果、光の約50%が、信号ファイバセグメント165Sを通って、波長検出器162に向けられるようになる。波長検出器162は、波長依存性の光強度を受け取り、その光強度を検出器アレイ163の測定軸に沿ってピクセルの配列に渡って分布する出力スペクトル強度プロファイル(単に出力スペクトルプロファイルとも呼ばれる。)に変換する。そして、波長検出器162は、検出器アレイ163から出力されるピクセルデータに基づいて対応する出力スペクトルプロファイルデータを供給するように動作する。
【0037】
以下により詳細に述べるように、出力スペクトルプロファイルは、波長依存性のプロファイル成分と、波長非依存性のプロファイル成分とから構成される。この波長依存性のプロファイル成分は、光学ペン120の動作に起因する波長ピークを含んでいる。また、波長非依存性のプロファイル成分は、ワーク材料の成分を含んでいる。出力スペクトルプロファイルデータも、波長依存性のプロファイル成分と、波長非依存性のプロファイル成分とを含んでいる。
【0038】
図1に示すように、CPS電子機器部160は、ワーク特有の補正部167を備えている。このワーク特有の補正部167は、出力スペクトルプロファイルデータを処理し、また、以下に全容を述べる方法に従って、記憶された補正データ169及び/又はワーク特有の補正データ169WSを使って、潜在的誤差のための出力スペクトルプロファイルデータの補正をすることができる。ここで、潜在的誤差は、ワーク材料成分に関連する誤差(他の実施形態では、他に距離非依存性のプロファイル成分の誤差)等から構成される。ワーク特有の補正部167が、さらに、以下に説明する方法によって、取得され分析された出力スペクトルデータ(出力スペクトルプロファイルデータ)に基づいて、記憶されたワーク特有のスペクトルプロファイルの補正データ169WSを決定するようにしてもよい。幾つかの実施形態においては、ワーク特有の補正部167および信号演算器166についての特定の態様を統合し、かつ/または区別をなくすことが好ましい。
【0039】
ワーク材料の成分を含む波長非依存性のプロファイル成分が補正された後、プロファイルデータ(出力スペクトルプロファイルデータ)についてのサブピクセル分解能を有する距離表示座標(DIC:distance-indicating coordinate)が、信号演算器166によって計算される。そして、
図4について後でさらに述べるように、計算されたDICが、距離校正のルックアップテーブル等を介して表面位置190までの測定距離Zを決める。距離校正のルックアップテーブル等は、記憶部168に記憶されている。距離表示座標(DIC)は、さらに後述する様々な方法(例えば、プロファイルデータのピーク領域に含まれるプロファイルデータの重心を決定する方法)によって、決定され得る。距離表示座標(DIC)が校正動作中に決定される場合は、そのDICを校正距離表示座標と呼ぶ。また、距離表示座標(DIC)がワーク表面の測定動作中に決定される場合は、そのDICを測定距離表示座標と呼ぶ。サブピクセルの距離表示座標の決定に使用されるプロファイルデータについては、後でさらに詳細に説明する。
【0040】
図1は、基本的骨格として、XYZ直交座標軸を含んでいる。Z方向は、光学ペン120の光軸または距離の測定軸に平行するものとして定義されている。
図1に示すように、動作中、ワーク170は、光学ペン120の光軸OAに沿って配置される。一実施形態では、ワーク170は、移動ステージ175上に載置された状態で、位置合わせされる。有利なことには、ガイドベアリング175Bによって拘束されたX軸方向に沿って、それ(ワーク170)が移動できて、その表面175AがXY平面に名目上平行な状態になるように、その移動ステージ175自体が位置合わせされ得るようになっている。クロマティックポイントセンサ100の他の例示的な特徴および動作について、より詳細に後述する。
【0041】
以下の
図2の説明において、既知の雑音(バックグラウンド)の信号処理、及び/又は、校正動作の概要を説明する。これらは、本発明の様々な実施形態に結びついて、使用され得る。この説明の目的は、以下のことを強調することである。つまり、ここでさらに開示される本発明に係る方法は、これらの動作とは区別されるが、両立できるということである。
図2は、クロマティックポイントセンサからのプロファイルデータの線
図200である。この線
図200は、測定表面が無い場合(例えば、
図1のワーク170の表面位置190が無い場合)での、検出器アレイ163内のピクセルに関する電圧オフセットの信号レベルVoffset
pについて説明している。これより、意図的な反射光が存在せず、かつ、結果として生じる強度プロファイル中に顕著な主波長ピークが存在しないことが分かる。
図2に示すように、電圧オフセットの信号Voffset
pは、1,024個のピクセルのそれぞれの正規化電圧でプロットされる。「正規化電圧」では、1.0の値が検出器アレイ163の飽和電圧に割り当てられている。電圧オフセットの信号Voffset
pは、アレイ全体に渡って一定であるように示されているバイアスの信号レベルVbiasと、アレイ全体に渡ってピクセル座標pに依存しているように示されている雑音信号成分Vback
pとを含む。変化する雑音信号Vback
pは、クロマティックポイントセンサ内の波長依存性の疑似反射等からの背景光といった信号はもちろん、様々なピクセルpの暗電流による信号を表している。
【0042】
様々な実施形態では、検出器アレイ163のピクセル配置を校正し、又は補正するために、継続して、その信号成分Vback
p(又は、これと同様の変動を示す信号。例えば電圧オフセット信号Voffset
p)が記憶され、また、各ピクセルpから後続する全てのプロファイルデータ信号を(例えば、減算によって)補正するために使用されれば、有利である。従って、雑音信号成分Vback
pが、本発明による様々な実施形態においても既知の方法で補正されることが想定されるので、後述する様々な強度プロファイル又は独創的な信号処理動作等に関連して、これ以上、明示的に考慮することも、又は説明することも必要がない。
【0043】
時間が経っても比較的安定し得る雑音信号成分Vback
pとは対照的に、周囲温度の変化および動作中に電子機器部160の発熱に伴って生じる電圧ドリフトの結果として、座標非依存性のバイアス信号レベルVbiasは変化し得る。
【0044】
以下の
図3および
図4の説明において、より再現性のある距離測定が得られるように、プロファイルデータの距離指示サブセットに基づいて、距離表示座標(DIC)を決定することができる特定の信号処理動作について概説する。このプロファイルデータは、同時に発生するバイアス信号レベルVbiasの変化を補正することに対して動的に適合したものである。ここで概説する動作は、特許文献1により詳細に説明されている。この説明の目的は、クロマティックポイントセンサの距離測定動作を全体的に理解するために有用となるような、バックグラウンド情報を提供することである。および、以下に開示される独創的な方法が、これら動作と区別することができるが、両立することもできるということを強調することである。
【0045】
図3には、CPS測定動作中に得られたCPS検出器(例えば、検出器162)からのプロファイルデータ310(測定プロファイル信号のデータ)の線
図300が示されている。CPS測定動作中とは、特定の光学ペン又は全体システムについての校正動作中でも、通常の測定動作中でもよい。プロファイルデータ310は、プロファイル信号MSpとも称され得る。但し、MSpは、検出器アレイ(例えば、検出器アレイ163)の各ピクセルpに関連付けられる信号レベル(正規化電圧で示される)である。
図3のグラフ300は、目標表面を光学ペン120の光軸OAに沿ってある距離に位置決めされた状態にして作成されており、
図3に示すように、距離に対応する主波長のピーク領域を有する測定プロファイルデータ310が生成されている。
【0046】
図3は、測定バイアスの信号レベルMVbias(正規化電圧で示す)、ピークのピクセル座標ppc、ピーク位置のインデックス座標ppic、及び、データ閾値MVthresholdを示す。データ閾値MVthresholdは、ピーク領域内のデータの距離表示サブセットの下限を定義している。すべての「MV」値は正規化電圧である。
図3は、校正スペクトルのピーク領域内のデータの距離表示サブセットに基づいて決定される距離指示座標(DIC)も示す。米国特許第11/940,214号出願(‘214号出願)に説明されるように、いくつかの実施形態では、データ閾値MVthresholdは、インデックス特性の閾値MVthreshold(ppic)としてもよい。
【0047】
簡潔に言えば、一実施形態において、距離表示座標(例えば、プロファイルデータ310と関連して説明した距離表示座標DIC)を決定する測定動作は、以下を含み得る。
・目標表面を光軸OAに沿って位置決めし、結果として生成されるプロファイルデータ310を取り込む。
・ピークのピクセル座標ppc(すなわち、最も高い信号を有するピクセル)を決定する。
・ピーク位置のインデックス座標ppicを決定する。このインデックス座標ppicは、特定の校正データ(例えば、インデックス特性の閾値校正データ)を記憶し、及びその校正データを検索するためのインデックスである。いくつかの実施形態では、これはピークのピクセル座標ppcと同じにしてもよい。
・測定バイアスの信号レベルMVbiasを決定する。
・データ閾値MVthresholdを決定する(例えば、ピーク高さの存在する割合として決定する。又は、現在のピーク位置のインデックス座標ppicに対応するインデックス特性の閾値校正データに基づいて決定する)。
・測定ピーク領域において、データ閾値MVthresholdよりも大きな値のデータである距離表示サブセットに基づいて、サブピクセル分解能での距離表示座標(DIC)を決定する。
・距離校正の測定の場合、(例えば、干渉計により、)所望の精度で目標表面までの対応する距離を独立して決定する。そして、距離校正のテーブル内または曲線上(例えば、
図4に示す距離校正データ410により表されるような距離校正のテーブル内または曲線上)での距離校正データの位置を決定する。
・ワーク距離の通常測定の場合、記憶された距離校正データ内での対応する距離に、測定DICを相関付けることによって、測定距離Zを決定する。この距離校正データは、例えば、
図4に示す距離校正データ410により表されるような距離校正のテーブル又は曲線とする。
【0048】
上記動作では、データ閾値MVthresholdよりも上のデータである距離表示サブセットに基づいて、距離表示座標DICをサブピクセル分解能で決定することができる。いくつかの異なる方法のうちの1つによって、測定DICを決定することができる。一実施形態では、測定DICは、データの距離表示サブセットの重心XCをサブピクセル分解能で表わした座標として、決定される。例えば、1024個のピクセルを有する検出器の場合、重心XCは、次の式(1)に従って決定することができる。
【0050】
ここで、式(1)中のS
M(p)は、次の式(2)で与えられる。
【数2】
【0051】
特定の一例では、式(1)において、n=2である。式(2)は、重心の計算に使用されるデータを、距離表示サブセットのデータ内に制限することが好ましい。校正動作中に、距離表示座標DICが決定される場合は、距離表示座標DICを校正距離表示座標と呼ぶ。同様に、測定動作中に決定される場合は、距離表示座標DICを測定距離表示座標と呼ぶ。
【0052】
図4は、CPS測定距離校正データ410の
図400である。この校正データは、縦軸に表わすクロマティックポイントセンサ100等の既知の又は校正された測定距離ZOUT(ミクロン単位)を、横軸に表わす距離表示座標DIC(ピクセル単位)に相関付けるものである。
図4に示す例は、300ミクロンに指定された測定範囲MRを有する光学ペンの場合であり、この校正データは、約150〜490個のピクセルの範囲内での校正距離表示座標に対応する。しかし、クロマティックポイントセンサ100は、望まれるならば、検出器アレイ163のより大きなピクセルの範囲に渡って、校正されてもよい。基準とする距離、又は、ZOUTが「ゼロ」となる距離は、多少、恣意的なものであり、光学ペン120と関連して所望の基準距離に設定することができる。距離校正データ410は平滑な曲線を形成しているように見えるが、典型的な従来技術のCPSシステムのための、特に経済的なCPSシステムのための距離校正データ410は、小さい範囲での誤差又は不規則性を表わすことができるものであることが好ましい。
【0053】
いくつかの実施形態では、CPS測定距離校正データ410は、
図3を参照して述べたように決定され、及び/又は、使用され得る。CPS距離校正データ410の性質をさらに明確にするため、例示的な実験室用の校正方法をここで簡潔に概説する。簡潔に言えば、ミラーが、(例えば、
図1の表面190を代替するものとして)CPS光学ペンの光軸OAに沿った校正表面を提供し得る。ミラーの変位は、約0.1ミクロン又は0.2ミクロンの刻みで制御され得る。刻み毎に、実際のミラーの位置または変位が、干渉計等の参照基準を使用して取得される。実際のミラー位置毎に、それに対応するクロマティックポイントセンサの校正距離表示座標(校正DIC)は、CPS検出器によって(例えば、上述したように)提供されるミラー位置に対応した強度プロファイルデータに基づいて決定される。校正距離表示座標および対応する実際の位置は、次に、校正データ410を提供するために記憶される。
【0054】
次に、測定動作中、ワーク表面(例えば、
図1の表面190)の距離測定を提供するために、ワーク表面はCPS光学ペンの光軸OAに沿って位置決めされる。クロマティックポイントセンサの測定距離表示座標は、CPS検出器により提供される強度プロファイルデータから決定される測定距離表示座標に基づいて決定される。次に、距離校正データ410を使用して、その特定の測定距離表示座標に対応するCPS測定距離ZOUTが決定される。
【0055】
特許文献1に開示されているように、特許文献1の中で教示されている補正方法が無かったとしたら、CPS測定プロファイルのピーク領域の信号は、通常、いくつかのタイプの歪みを含んでしまう。その歪みは、光源若しくは波長検出器に、又は、それらの両方(光源+検出器のサブシステム)にとって、特有のものであり、特定されるものであり、以下に説明する通りである。もし、この特有の形状の歪みが補正されなければ、プロファイルのピーク領域におけるピーク位置の決定は、異なるCPSシステム毎に、不定なものとなり、間違ったものとなるだろう。及び/又は、その決定は、個々のCPSシステムにおいても、潜在的には、様々な測定距離毎に、不定なものとなり、間違ったものとなるだろう。特許文献1は、サブピクセル分解能での距離表示座標(DIC)の決定に先行して、サブシステム(光源+検出器)における歪み除去用の誤差の補正因子(補正ファクター)を、測定プロファイルのピーク領域の信号に対して適用することができることを教示している。なお、DICは、測定プロファイルのピーク領域の信号におけるピーク位置を表示するものである。
【0056】
特許文献1は、また、様々な実施形態において次のことも教示している。CPS距離校正データに使用されるCPS距離表示座標(DIC)は、誤差を補正された測定プロファイルの信号データに基づいていることである。その信号データは、サブシステム(光源+検出器)の影響を取り除くために、誤差を補正されている。例えば、特許文献1に教示されているように、校正に使用されるそのシステムは、誤差を補正された測定プロファイルの信号データを提供することができる。この測定プロファイルの信号データは、光源と検出器における誤差の補正因子に基づいて補正されており、また、その誤差の補正因子は、標準的な又は基準となるプロファイルの信号データのセットに関連して決定されたものである。後で同じ光学ペンを使用するとき、及び/又は、異なったサブシステム(光源+検出器)を使用するときに、そのサブシステム(光源+検出器)は、誤差を補正された測定プロファイルの信号データを提供することができる。この測定プロファイルの信号データは、そのサブシステム(光源+検出器)用に決定された誤差の補正因子に基づいて補正されており、また、その誤差の補正因子は、標準的な又は基準となる同じプロファイルの信号データのセットに関連して決定されたものである。その結果、そのCPS距離校正データが、そのサブシステム(光源+検出器)用として効果的なものとなる。
【0057】
図5、
図6A及び
図6Bは、特許文献1で教示されたサブシステム(光源+検出器)についての補正の類型を説明するのに役立つ。そのポイントは、特許文献1中の同様の図に関連して記載されているポイントと同様である。そのポイントは、以下に提供する理解を補足することができる。
【0058】
以下の数式において、説明又は文脈によって他に表示がなければ、「Z」は、ワーク表面までの実際の測定距離を指す。「ZOUT」は、決定された距離表示座標DICに基づいて、CPSによる距離測定の出力を指す。この距離指示座標DICは、
図3および
図4に関して上述したように、順次対応するプロファイル信号MSpに依存している。本発明においては、CPSが、測定距離Z毎に、Zに依存するこれら信号の特有のセットを実際に生成することが好ましい。そのため、このような各プロファイル信号のセットをMSp(Z)と称する。各プロファイル信号のセットMSp(Z)は、対応する距離表示座標DIC(Z)(例えば、式1および式2に従って決定される)を生成し、対応するCPS測定の出力ZOUT(Z)を生成する。これらの規則を使用すると、前の説明は、距離Zに関連付けられたDIC(Z)が、対応する測定プロファイルデータMSp(Z)のピーク領域の全体形状又は全体プロファイルに依存していることを示すことになる。
【0059】
本明細書において、MSpに上付き文字を導入して、以下において使用する。上付き文字RAWは、現在の測定条件による補正が未だであることを意味する。上付き文字COMPは、補正されていることを意味する。上付き文字REFは、基準条件または校正条件を意味する。上付き文字PENは、指定され又は標準的な光源強度スペクトルに基づいて光学ペン120により生成されたものを意味する。
【0060】
これら規則を使用して、以下の式(3)を導入する。
【数3】
式中、SI
PRAWは、指定された又は標準化された波長検出器の各ピクセルPに、CPS光源の広波長帯域の波長が分布された際の、その光に含まれる各波長の相対的な又は正規化された強度を表わす。KPEN
P(Z)は、指定された又は標準化された波長検出器の各ピクセルPに、CPS光源の広波長帯域の波長が分布された際の、CPSペンからCPS波長検出器に入力される測定距離Zの測定プロファイルのデータセット内に含まれる各波長の相対的な又は正規化された伝達(または減衰)を表わす。KPEN
P(Z)は、各波長(又は各波長に対応する検出器のピクセル)についてのCPSペンの距離依存性の伝達関数として考えることができる。DG
PRAWは、波長検出器の各ピクセルに関連付けられた相対的な又は正規化された信号の利得(ゲイン)を表わす。
【0061】
従って、式(3)は、与えられた測定距離Zについて、各ピクセルPでの未処理の波長検出器信号MS
PRAW(Z)が、ピクセルPに到達した波長についてのCPSペンに入力された未処理の強度SI
PRAWと、距離ZでピクセルPに到達した波長についてのCPSペンの距離依存性の伝達関数KPEN
p(Z)と、ピクセルPの信号利得DG
PRAWとを乗算したものに等しいことをおおよそ表わしている。
【0062】
特許文献1で教示されたサブシステム(光源+検出器)の補正の類型を手短に説明するため、
図5は、CPSサブシステム(光源+検出器)の未処理の強度プロファイル信号520を説明するグラフ500の線図である。その強度プロファイル信号520は、CPS光源に起因する長範囲の信号変動成分530と、他に、検出器の波長感度といったCPSシステムの処理能力についての長範囲の信号変動成分とを含む。長範囲の信号変動成分530は、波長検出器162により実際には個々に検出されないが、光源と検出器との強度プロファイルを表わす円滑な及び/又は標準的な形状に概ね対応し得ること、また、使い易い基準を提供できることが好ましい。
【0063】
図5には、測定距離表示座標510-DICに対応する代表的で理想的な測定プロファイルの信号データ510も、示されている。未処理の強度プロファイル信号520は、特許文献1に教示されているように、光学ペンをバイパスすることによって取得される。そのため、未処理の強度プロファイル信号520は、距離非依存性のプロファイル成分だけを含む距離非依存性のスペクトルプロファイルの一例になる。未処理の強度プロファイル信号520は、例えば、特許文献1に全容が示された構成の1つを使って、取得される。特許文献1の構成には、光ファイバのループ(
図1のCONNECTOR−Fに対応する)があり、接続子(
図1のCONNECTOR−Eに対応する)から入力光源に取り付けられている。そして、その接続子を通って、サブシステム(光源+検出器)161に光を戻す。未処理の強度プロファイル信号520については、サブシステム(光源+検出器)161を特徴付ける信号SDSS
PRAWのセットとして定義することができ、おおよそ次の式(4)のようになる。
【0064】
【数4】
将来の参照のため、式(4)を式(3)に代入して、次の式(5)を得る。
【0066】
未処理の強度プロファイル信号520において、式(4)及び式(5)中の光源・検出器の項であるSI
PRAWとDG
PRAWとSDSS
PRAWに反映されている変動(光源+検出器)は、以下に
図6A、6Bを参照して説明する距離表示座標を決定する工程において、誤差を誘導し得る。
【0067】
理想の測定プロファイルの信号データ510は、基準となる又は標準的な強度プロファイルに前記の項KPEN
P(Z)を乗算したものに対応する。式(5)及び式(3)に示す項KPEN
P(Z)は、上述したように、各波長(又は各波長に対応する検出器のピクセル)についてのCPSペンの距離依存性の伝達関数として考えることができる。理想の測定プロファイルの信号データ510および対応する測定距離指示座標510-DICは、信号520には含まれていないことが強調されるべきである。むしろ、これらの信号データおよび座標は、グラフ500のセグメント550についての説明を補助するために、
図6にのみ設けられている。セグメント550に基づく説明は、
図6A,6Bを参照して以下に続く。
【0068】
図6A,6Bは、
図5のグラフのセグメント550を含んでいる線
図600A,600Bであり、CPSサブシステム(光源+検出器)についての未処理の強度プロファイル信号520を含んでいる。代表的で理想的な測定プロファイルの信号データ510、及び、これに対応する理想の距離指示座標510-DICは、先に記載した通りである。
図6A,6Bは、また、標準的な又は基準となるプロファイル信号データのセットを表わす基準のプロファイル信号640も含んでいる。プロファイル信号データのセットは、特許文献1で教示され、また上述したように、校正のために使用される。(例えば、
図4のように、距離校正データ410を成立させるために使用される実際の又は補正された強度プロファイル信号に対応している。)基準となるプロファイル信号640は、
図5に示した信号変動成分530、又は、校正に使用される実際のプロファイル(例えば式(4)に表わされたように、)とおおよそ同じである。
【0069】
しかし、より一般的には、基準となるプロファイル信号640は、理想的な又は標準化されたプロファイル(例えば、平坦なプロファイル)に置き換え可能である。先に示したように、未処理の強度プロファイル信号520は、サブシステム(光源+検出器)161を特徴付ける信号SDSS
PRAWのセットに対応している。また、理想の測定プロファイルの信号データ510は、基準となる又は標準化された強度プロファイルに、項KPEN
P(Z)を乗算したものに対応している。この項KPEN
P(Z)は、検出器の各ピクセルPでの波長(又は複数の波長)を表わすための、CPSペン(例えば光学ペン120)の距離依存性の伝達関数であると考えられる。
【0070】
式(5)は、CPSサブシステム(光源+検出器)によって生成された未処理の又は標準化されていない強度プロファイルと、光学ペンについての距離依存性の伝達関数KPEN
P(Z)と、を乗算したデータMS
PRAW(Z)のセットを表わしており、光学ペンから距離Zの位置にあるワーク表面を表わすためのものである。これは、
図6Aの未処理の測定プロファイルの信号データ510Aに対応する。
図6Aに示すように、ある特定のサブシステム(光源+検出器)161での波長依存性の変動(信号520に反映させた。)は、未処理の測定プロファイルの信号データ510Aのピーク領域の形状に表れる、対応した固有の不規則性および非対称性の原因となる。この波長依存性の変動は、理想の測定プロファイルの信号データ510のピーク領域に関係する固有の方法で、未処理の信号データ510Aのピーク領域を歪ませている。ここで、理想の信号データ510のピーク領域は、基準となる又は標準化された強度プロファイルに、光学ペンの距離依存性の伝達関数項KPEN
P(Z)を乗算したものに対応している。
【0071】
当然ながら、固有の歪みを有する未処理の測定プロファイルの信号データ510Aに対して決定される距離表示座標510A-DICは、サブシステム(光源+検出器)に特有のものとなり、歪みのない理想の測定プロファイルの信号データ510に対応する距離表示座標510-DICと一致しない。例えば、Z方向への比較的小さな変化に対応して、測定プロファイルの信号データ510の位置が比較的小さくシフト(例えば、
図6Aおよび6Bでのピクセル20個分の左側へのシフト)した場合、未処理の測定プロファイルの信号データ510Aの形状が劇的に変化するということに留意する。そのため、結果として生成される距離表示座標(DIC)の相対的な位置は、Z方向の小さな変化と比較してかなり不規則に変化する。多くの従来技術において、理由も無くピーク領域が比較的狭いと仮定されている。また、それゆえに、このような形状の歪みや非対称性の重要性は、CPSの設計又は信号処理において、十分には説明されていない。(例えば、ピクセル数個分の幅のピークは、顕著な歪み又は非対称性を示すものではないと仮定されるといったこと等である。)
【0072】
図6Bは、特許文献1に含まれる技術により改良された信号処理方法の結果を示す。
図6Bでは、サブシステム(光源+検出器)161を特徴付ける信号SDSS
PRAWの変動が、基準となるプロファイル(例えば、基準となるプロファイル信号640によって代表される)に関連して、除去又は補正されている。前に定義した命名規則を使用すると、基準となるプロファイル信号640は、信号SDSS
PREFのセットに対応している。補正された測定プロファイルの信号データ510Bは、信号MS
PCOM(Z)のセットに対応している。つまり、信号MS
PCOM(Z)は次の式(6)となる。
【0074】
図6Bに示すように、MS
PCOM(Z)信号のセットに対応している補正された測定プロファイルの信号データ510Bのピーク領域は、理想の測定プロファイルの信号データ510に名目上、一致する。なぜなら、SDSS
PREF信号から構成されるプロファイルは、基準となるプロファイル信号640に名目上、一致しているからである。したがって、補正された測定プロファイルの信号データ510Bに対応する距離表示座標510B-DICは、理想の測定プロファイルの信号データ510に対応する距離表示座標510-DICと一層ぴったりと一致する。
【0075】
将来の参照のために、これらの信号に基づいて得ることができる補正因子KCOMP
Pのセットを、次の式(7)のように定義する。
【数7】
【0076】
すなわち、(例えば距離校正に使用するような)基準のセットであれば、そのプロファイル又はSDSS
PREF信号のセットは既知であるから、そのプロファイル又は未処理のSDSS
PRAW信号のセットも既知とすることができる。特許文献1に教示されているように、及び/又は、ここで開示されているように、プロファイル又は未処理のSDSS
PRAW信号のセットを測定することができ、その後、補正因子KCOMP
Pのセットを決定することができるからである。この補正因子KCOMP
Pのセットは、距離校正データ(例えば、距離校正データ410)に一致するように、未処理の測定信号値MS
PRAW(Z)を、補正された測定信号値MS
PCOM(Z)に変換する。
【0077】
式(7)の関係を使用して、式(6)を次の式(8)のように書き換えることができる。
【数8】
【0078】
式(8)と式(5)を組み合せて、次の式(9)が得られる。
【数9】
【0079】
先に示したように、本発明の目的は、材料の分光反射特性に関係付けられる誤差を補正するために、補正データを使用することである。(また、いくつかの実施形態では、他の距離非依存性のプロファイル成分に伴って生じる誤差のためでもある。)いくつかの実施形態では、CPSシステムは、ワーク特有の補正データを決定するために、特定の出力プロファイルデータを提供してそのデータを分析する場合にも利用される。以下により詳細に説明するように、そのワーク特有の補正データは、材料の分光反射特性などに伴って生じる誤差を補正するためのものである。特許文献1及び/又は前述の数式は、材料の分光反射特性に起因する誤差を考慮していない。そのような誤差の原因は、
図7を参照することで理解され得る。
【0080】
図7は、異なる種類のワーク材料の分光反射率を説明するグラフ700の線図である。これらの分光反射率は、材料成分・入射角、光源特性に応じて幾つかの波長において顕著に変化する。
図7は、アルミニウム製のミラーの分光反射率の曲線710、金製のミラーの分光反射率の曲線720及び銀製のミラーの分光反射率の曲線730を示す。全ての分光反射率の曲線は、通常の入射角で測定されたものである。図示の通り、材料の反射率は波長に依存する。特徴的な例として、通常のCPS波長検出器の検出範囲内で波長が500nmから600nmに変化すると、金の反射率が60%から95%まで変化する。そのような因子は、ある特定の適用において(例えば、精密測定が必要となる電子機器産業や半導体産業で、金が広く利用されている場合)、特に妥当であるといえることが好ましい。アルミニウム製のミラーの分光反射率の曲線710が比較的平坦であることにより、ある実施形態においては、アルミニウム製のミラーが校正動作に適したものとなることも、特記すべきである。
【0081】
他のタイプの表面材料(例えば、塗装された表面、薄いフィルム、絶縁材料、樹脂など)は、もっと複雑で予測できない分光反射率を有する。(例えば、先に
図6Aを参照して議論した歪みと同様に、)上記で議論した材料の分光反射特性が、異なる他の材料においても、結果として生じる未処理の強度プロファイルの信号中に異なる歪みを生じさせる原因になることが分かる。その歪みは、CPSシステムの校正条件に関連して、波長ピークの位置及びDICを誤らせる原因になる。
【0082】
特許文献1の開示では、材料の分光反射特性に起因する誤差について言及されていない。さらに、そのような誤差を補正するために利用できる構成についても開示されていない。そのような誤差について記載し説明するため、上述した様々な数式を変形する。特に、距離非依存性のプロファイル又はスペクトル形状について、それらの決定又は補正を表わすためには、式(4)を理解しなければならない。(例えば、式(4)中のSI
PRAW項で示される光源のスペクトルに起因するプロファイル成分、及び、DG
PRAW項で示される検出器の利得に起因するプロファイル成分である。)すなわち、光学ペンによって決定され又は与えられた距離依存性のプロファイル成分のKPEN
P(Z)項と対比すると、式(4)のその項は、ワークまでの測定距離に依存していない。材料の分光反射特性は、他の距離非依存性のプロファイル成分またはスペクトル形状の決定とみなされる。それゆえ、式(4)を変形して、ワーク表面(及び/又は、校正表面)の材料の分光反射特性を、次の式(10)にて説明する。
【0084】
式中のSDSS(MAT)
PRAW信号は、サブシステム(光源+検出器)161に関連付けられた距離非依存性の未処理の強度プロファイルを特徴付けている。このサブシステム161は、MAT材料(例えばアルミニウム、金等)で形成された個々のワーク表面(又は校正表面)と組み合せて使用される。材料の波長因子MWF(MAT)
Pは、検出器のピクセルPに対応する波長での(例えば
図7のような)材料の相対的な反射率を特徴付ける因子(正規化された因子)であるとして理解される。上記説明に基づいて、ワーク表面の材料の影響を表わすために、式(5)を変形したものが次の式(11)であることが理解される。
【0086】
また、ワーク表面の材料の影響を表わすために、式(7)を変形したものが次の式(12)であることが理解される。
【数12】
【0087】
式(12)の関係を使用して、式(6)を次の式(13)のように書き換えることができる。
【数13】
【0088】
式(11)と式(13)を組み合せて、次の式(14)が得られる。
【数14】
【0089】
先に式(8)と式(9)についての議論と類似するが、ワーク材料特有の距離非依存性のプロファイル成分補正データKCOMP(MAT)pのセットは、次のように決定される。つまり、補正データKCOMP(MAT)pのセットが距離校正データ(例えば、距離校正データ410)に一致するように、特有のワーク材料から生じた未処理の測定信号値MS(MAT)
PRAW(Z)を、補正された測定信号値MS
PCOM(Z)に変換することによる。
【0090】
特許文献1は、式(4)及び式(10)を参照して記載されている光源及び検出器のSI
PRAW項、及びDG
PRAW項を特徴付けるために、及び/又は、これらを補正するために、「バイパス」方法を教示している。しかし、特許文献1は、式(4)及び式(10)中の材料特有のMWF(MAT)
P項、又は、式(11)〜式(14)中に反映されているような付随する材料特有の因子については、扱っていない。材料の反射率特性および付随する誤差は、特許文献1では無視されている。また、特許文献1で教示されているように光学ペンをバイパスするその校正及び/又は補正の「バイパス」方法は、ワーク表面もバイパスするものである。このように、特許文献1は、ワーク表面に関する材料の反射率データを収集する方法を何も提案していないし、付随する誤差を認めるためのものでも、又はそれを修正するためのものでもない。
【0091】
仮に、測定用と見なされたワーク表面を形成している材料が何であるかを知っていれば、有効な材料固有の項MWF(MAT)
Pを決定するための1つの方法は、既知の予め決められたデータを使用して決定することである。その既知のデータとは、同一のワーク表面の材料についての波長依存性の反射率の変動を特徴付けるデータのことである。先に議論したような1つの例として、
図7は、既知の分光反射率のデータを説明するものである。この既知のデータは、異なるタイプのワーク材料における波長の関数を表わすものである。CPSシステムの波長検出器のどのピクセルがどの波長に対応するものであるかを、校正または設計によって、知っておくことが好ましい。それゆえ、
図7中の材料に対する個々の波長で示された「反射率(%)」値を使用すること、対応するピクセルPに関連させてその値を(例えば、記憶部168に)記憶させること、および、そのようなデータをそのピクセルについて材料特有のMWF(MAT)
P項として使用することなどを、その材料および検出器の各ピクセルについて、実行することができる。そのようなデータは、距離非依存性のプロファイル成分補正データを定義している。この補正データは、潜在的な測定距離誤差について出力スペクトルデータを補正するのに利用できるデータからなる。潜在的な測定距離誤差には、識別したワーク表面に対応するワーク材料成分に関連する距離非依存性のプロファイル成分の誤差が含まれる。ワーク特定の補正部167は、ワーク材料成分に関連する誤差の補正に、そのようなデータを適用することができる。
【0092】
様々な実施形態においては、未処理の強度プロファイルの信号中の材料に関する歪みを除去するために、ピーク位置及びDICを決定することに先行して、それらの距離非依存性の成分(ワーク材料の成分を含む)についての未処理の強度プロファイルの信号を補正することが望ましい。その結果、補正された強度プロファイルの信号は、DIC及びそれに対応する距離測定値の関係を決定するのに使用される校正条件に対応したものになる。
先に考慮したように、特許文献1には、光源と検出器のSI
PRAW項とDG
PRAW項とを特徴付けて、これらを補正するための「バイパス」方法が教示されている。そのため、式(10)の右側にある全ての項は、CPSシステムの電子機器部において特徴付けられて、補正される。例えば、式(10)〜式(14)を参照して上記で説明した考え方を実行すればよい。
図7に示されたデータを、「反射率(%)」の他にも、様々な方法で特徴付けてもよい。例えば、個々の材料についてのその値は、正規化されているとよい。この正規化は、反射率の最大値が1となるように、また、他の値が波長又は対応するピクセルの関数として正規化された反射率の係数になるように、行なわれるとよい。様々な項(MWF(MAT)
P、SI
PRAWおよびDG
PRAW)によって表わされる補正データは、距離非依存性の成分の様々な要素について補正するために、別々に、記憶され、及び/又は、適用されるとよい。その他の実施形態として、様々な項(MWF(MAT)
P、SI
PRAWおよびDG
PRAW)によって表わされる補正データは、距離非依存性の成分の全ての要素について同時に補正するために、関数的に組み合せられて、記憶及び/又は適用されるとよい。(例えば、補正のKCOMP(MAT)p項について先に説明したように。)
【0093】
図8は、補正データKCOMP(MAT)pを決定する方法を説明している。その補正データKCOMP(MAT)pは、距離非依存性のプロファイル成分の全ての誤差から構成される出力プロファイルデータを補正するのに使用することができる。その距離非依存性のプロファイル成分の全ての誤差は、ワーク材料成分に関連する誤差を含んでいる。
図8は、距離非依存性の光路を形成するために、先に
図1を参照して記載したCPS電子機器部160及び接続された様々な構成要素を、非拡散性のアタッチメント830と組み合わせて使用する場合について説明しているブロック
図800である。すなわち、ブロック
図800に示されたそのシステムは、光学ペンを含まない。また、そのシステムの出力スペクトルプロファイルにおいて距離依存性の波長ピークを形成しない。かなり、異なる距離の位置で異なる波長光の焦点を結ぶように形成されていない非拡散性のアタッチメント830を使用することによって、その出力スペクトルプロファイルは、名目上、距離非依存性のプロファイル成分だけを含んでいる。
【0094】
図8に示された個々の実施形態中、非拡散性のアタッチメント830は、筐体アッセンブリ832によって構成されている。この筐体アッセンブリ832は、搭載されたコリメートレンズ831(又は、おおよそ平行光化機能を有するレンズ)を含む。そのコリメートレンズ831は、材料表面170’へおおよそ平行光束を出力するのによく用いられ、校正データが望まれている典型的な材料から構成されている。様々な実施例において、その典型的な材料は、識別したワークの被測定面の材料でも、時間的に後で識別したワークの被測定面の材料に相当する材料などでもよい。
【0095】
動作中、材料は、光路を通ったCPS光源からの光890を受ける。その光路は、通常動作での光路部分および非拡散性のアタッチメント830によって構成され、光890を反射してその光路を通して波長検出器に戻す。その波長検出器は、出力プロファイルデータを出力する。その出力スペクトルプロファイルデータは、距離非依存性の出力スペクトルプロファイルデータであり、距離非依存性のプロファイル成分補正データを決定するために、CPS電子機器部160(又は、代わりにホストシステム)によって分析され得る。
図8に示された構成のために、SI
PRAW項およびDG
PRAW項によって表されたプロファイル成分は、MWF(MAT)
P項によって表されたワーク材料の成分と同様に、距離非依存性の出力プロファイル中に全く同時に存在している。それゆえ、結果として生じる距離非依存性のプロファイル成分補正データは、組み合わされたこれら全ての項について、補正する場合に使用できる。この組み合わされたこれら全ての項には、典型的な材料と同様に、ワーク材料の反射率に関連付けられた誤差が含まれている。補正データを決定するための分析に関しては、前述の数式の見地から、(例えば、距離の校正用に使われているように)基準となるセットであるためにそれらのプロファイル又はSDSS
PREF信号のセットが既知であるから、
【0096】
また、ここで記載されているように測定可能であるためにそれらのプロファイル又は未処理のSDSS(MAT)
PRAW信号のセットが既知であるから、その後、距離非依存性のプロファイル成分補正データKCOMP(MAT)pのセットは、決定され得る。その決定方法は、典型的な材料と同様のワーク材料に起因する未処理の測定信号値MS(MAT)
PRAW(Z)(出力スペクトルプロファイルデータを形成している。)を、補正された測定信号値MS
PCOM(Z)に変換する。これは、距離校正データ(例えば、距離校正データ410)と一致するようにするためである。
【0097】
図9は、距離非依存性のプロファイル成分補正データKCOMP(MAT)
Pのセットを決定する他の方法を説明するのに便利な図式を提供するものである。その補正データKCOMP(MAT)
Pのセットは、潜在的な測定距離誤差のための出力スペクトルプロファイルデータを補正するために使用できる。ここで、潜在的な測定距離誤差は、全ての距離非依存性のプロファイル成分の誤差を含んでいる。
図9は、ピーク波長の走査動作中に得られたピーク領域の信号例(信号910、920及び930)を説明するグラフ900の線図を示す。手短に言うと、走査動作においては、典型的な材料の被測定面に関連して、(複数の測定距離について、)Z軸方向に沿って光学ペン又は測定表面を走査する。この工程中、波長検出器の測定軸に沿ってZ位置に対応する波長及び/又はピクセル位置において、当該Z位置に関するスペクトルピークが生成される。個々の測定距離でのピーク波長について、共焦点系の光学配置を通じてその正確な波長(光)がおおよそ理想的に焦点を結んでいて、その結果、光学的な信号がピーク波長又そのピクセルのために光学ペンによって空間的にフィルタリングされるようになっていることが好ましい。
【0098】
このように、ピーク波長又はそのピクセルから離れている波長と違って、その波長は、光学ペンによってもたらされる距離依存性の空間的なフィルタリングを原因とする減衰していない。この意味において、その正確なピーク波長又はそのピクセルで、「距離依存性のプロファイル成分」を生成中の光学ペンの影響が生じなくなる。このように、CPSシステムを使用することによって、位置決めされた(配置された)材料に関連して、CPS光学ペンの測定範囲に沿って配置されている複数の各々の距離に対応した複数回の測定動作を実行するために、以下のことが可能となった。つまり、その複数回の測定動作が、例えばピーク領域の信号910、920及び930の波長ピーク910P、920P及び930Pのように、CPS波長検出器の測定軸に沿って配置された複数の波長ピークを含む対応する複数の出力スペクトルプロファイルデータを提供することができる。それぞれの波長ピークが、名目上、距離依存性のプロファイル成分の影響によって減衰されないことを理由に、それらが、「混合された」距離非依存性のプロファイル成分520’に沿ったサンプルのデータ位置を表わすものとみなすことができる。
【0099】
一実施形態において、
図3を参照して上述したように波長ピーク又はピークピクセルの位置によって、及び、そのピーク位置での信号値を決定することによって、当該波長ピーク又はピークピクセルでの信号値が決定される。代替として、幾つかの実施形態では、小さな残存誤差を減少させるために、前述の手順の中で帰納的方法が使用される。説明の都合上、
図9中にはたった3つの波長ピークしか示されていないが、実際には、ピーク波長の走査動作の間に、所望のピクセル数で混合された距離非依存性のプロファイル成分を特徴付けるために、より多数のピーク波長が得られるようになっていることが好ましい。望まれる場合は、混合された距離非依存性のプロファイル成分が、ほとんどの又は全ての検出器のピクセルで特徴付けられるようにすることができる。例えば、ある実施例では、ピーク波長の走査動作が、光学ペン及び典型的な材料のうちの一方を連続的に移動させる工程と、その移動中にCPSシステムを連続的に動作させる工程とを構成している。この連続的に移動させる工程は、CPS光学ペンの測定範囲に沿って配置されたそれぞれ大多数の距離を供給するために行なわれる。また、連続的に動作させる工程は、ほとんどの又は全てのピクセル位置においてピーク波長を提供する目的で、大多数の測定動作を実行するために行なわれる。
【0100】
どのケースでも、結果として生じる距離依存性のプロファイルデータは、距離非依存性のプロファイル成分補正データを決定するために、CPS電子機器部160(又は代替としてホストシステム)によって分析され得る。
図9に示された構成では、MWF(MAT)
P項で表わされたワーク材料の成分と同様に、SI
PRAW項及びDG
PRAW項によって表わされた距離非依存性のプロファイル成分は、混合された距離非依存性の出力プロファイル中に、全く同時に存在している。それゆえ、結果として生じる距離非依存性のプロファイル成分補正データは、組み合わされたこれら全ての項について、補正する場合に使用できる。この組み合わされたこれら全ての項には、典型的な材料と同様に、ワーク材料の反射率に関連付けられた誤差が含まれている。補正データを決定するための分析に関しては、先に記載した数式の見地から、(例えば、距離の校正用に使われているように)基準となるセットであるためにそれらのプロファイル又はSDSS
PREF信号のセットが既知であるから、また、上述のように測定可能であるために混合された距離非依存性のプロファイル又は未処理のSDSS(MAT)
PRAW信号の又はセット(それぞれ正確なピーク波長の信号から引き出されたものである。)が既知であるから、その後、距離非依存性のプロファイル成分補正データKCOMP(MAT)
Pのセットは、決定され得る。その決定方法は、典型的な材料と同様のワーク材料に起因する未処理の測定信号値MS(MAT)
PRAW(Z)(出力スペクトルプロファイルデータを形成している。)を、補正された測定信号値MS
PCOM(Z)に変換する。これは、距離校正データ(例えば、距離校正データ410)と一致するようにするためである。
【0101】
距離非依存性のプロファイル成分補正データのセットKCOMP(MAT)
Pは、CPS波長検出器の測定軸に沿って配置された複数のピクセル位置についての、SDSS
PREF信号のセットによって表わされる距離非依存性の校正プロファイル成分と、混合された距離非依存性のプロファイル又は未処理のSDSS(MAT)
PRAW信号のセットによって一組の割当てとして表わされる距離非依存性のプロファイル成分との間での差を特徴付けている。しかし、他の実施形態では、距離非依存性のプロファイル成分補正データのセットは、SDSS
PREF信号のセットによって表わされる距離非依存性の校正プロファイル成分と、混合された距離非依存性のプロファイル又は未処理のSDSS(MAT)
PRAW信号のセットによって、そのプロファイル成分間の正規化強度の一組の差分として、又は、ピクセル位置の連続関数などとして、表わされる距離非依存性のプロファイル成分との間での差分を特徴付け得ることが好ましい。より一般的には、幾つかの実施形態又は順次他の実施形態において、ここでの開示に基づいて、式(10)の個々の項を特徴付けるための、及び/又は、基準となるプロファイル又はSDSS
PREF信号のセットを特徴付けるための様々な方法があること、および、様々は距離非依存性のプロファイル成分又は形状の配置が決定され得て、個々に補正され得ることが好ましい。前述の数式及び方法は、説明的なものであって、かつ、例示的なものに過ぎず、これらに制限されるものではない。
【0102】
図10は、上述したようなピーク波長の走査動作を使用することによって得られたデータを説明するグラフ1000の線図である。このデータは、金製ミラーに関連付けられる距離非依存性のプロファイル成分が現れている距離非依存性のスペクトルプロファイル1020、アルミニウム製ミラーに関連付けられる距離非依存性のプロファイル成分が現れている距離非依存性のスペクトルプロファイル1020’を示している。この金製ミラーは、第1のピーク波長の走査動作用に使われる。アルミニウム製ミラーは、第2のピーク波長の走査動作用に使われる。
図10は、また、それぞれのピクセルでのプロファイル1020及び1020’間の比率を説明するための比率データ1030も示している。説明の都合上、一実施形態では、
図4を参照して記載したような距離校正データの決定用に、金製ミラーを用いている。また、金製ミラーの距離非依存性のスペクトルプロファイル1020は、それから、金製ミラー材料と組み合せたサブシステム(光源+検出器)を特徴付ける校正信号SDSS
PREFのセットを定義するものとみなされ得る。比率データ1030は、式(12)を参照して記載されているように、ワーク特有の又は材料特有の距離非依存性のプロファイル成分補正データKCOMP(ALUM)
Pのセットであるとして定義付けられ得る。
【0103】
実験の結果、仮に金製ミラーが距離校正データを確立するのに使用されたならば、及び仮にアルミニウム表面からの出力スペクトルプロファイルデータが補正データKCOMP(MAT)
Pを使って補正されなければ、300μmの測定範囲のCPSシステムによるいくつかの測定距離において、材料の反射率の影響を原因とするおおよそ1マイクロメートル(1μm)の大きさの測定誤差が結果として生じることが説明されている。これに対して、距離表示座標(DIC)から校正された測定距離への変換に先行して、アルミニウム表面からの出力スペクトルプロファイルデータが、補正データKCOMP(MAT)
Pを使って補正されるときは、測定誤差は、300μmの測定範囲のどこにおいても、ナノメートルの桁(例えば10ナノメートル)のレベルまで低減される。
【0104】
図11は、距離非依存性のプロファイル成分補正データを決定するために、ピーク波長の走査動作を利用する例示的なルーチン1100を説明するためのフロー図である。この距離非依存性のプロファイル成分補正データは、ワーク材料の反射率に関係付けられる誤差を含む誤差のために、出力スペクトルプロファイルデータを補正するために使用することができる。いくつかの実施形態では、本発明による誤差補正因子の決定方法は、CPS電子機器部の動作によって(例えば、信号演算器166の制御下で実施される、記憶部168内に存在するルーチンの実行によって)、実施され得る。CPS電子機器部は、所望であれば、誤差補正因子の決定モードをアクティブ化する手段を含み得る。この誤差補正因子の決定モードは、CPSの通常測定の動作モードとは対照的に、例えば式(10)〜式(14)を参照して説明したような考えに従って補正データを決定するために動作する。他の実施形態において、本発明による誤差補正の因子の決定方法は、CPS電子機器部に接続された対話型のホストシステム(例えば、汎用パーソナルコンピュータ)により実施されるようにすることができる。
【0105】
図11に示すように、ブロック1105において、光学ペン、光源およびCPS電子機器部を備えたCPSシステムが提供される。CPS電子機器部は、波長検出器を含んでいて、出力スペクトルプロファイルデータ及び距離校正データを供給する。ここで、出力スペクトルプロファイルデータは、光学ペンからワーク表面までの測定距離を表わすピーク波長を有する距離依存性のプロファイル成分と、ワーク表面の材料の波長依存性の反射率の変動に起因するワーク材料成分を含む距離非依存性のプロファイル成分とから構成される。また、距離校正データは、ピーク波長に対応する距離表示座標(DIC)を対応する距離測定値に変換するために使用される。
【0106】
ブロック1110において、CPS光学ペンに対して材料が測定可能に位置決めされる。ここで、位置決めされた材料は、(a)識別したワーク表面の材料、及び(b)識別したワーク表面の材料に相当する材料のうちの1つである。
【0107】
ブロック1115において、ピーク波長の走査動作が実行される。このピーク波長の走査動作は、位置決めされた材料に関連してCPS光学ペンの測定範囲に沿って配置された複数の個々の距離に応じて複数回の測定動作を実行するために、CPSシステムを使用する工程を含む。この複数回の測定動作は、CPS波長検出器の測定軸に沿って分布する複数のピーク波長を含んだ、対応する複数の出力スペクトルプロファイルデータを提供する。ブロック1125において、位置決めされた材料の測定に伴って生じる距離非依存性のプロファイル成分は、CPS波長検出器の測定軸に沿って分布する複数のピーク波長に基づいて決定される。様々な実施形態では、ブロック1115及び1125の動作が、例えば、先に
図9を参照して説明した考えに基づいて実行されてもよい。
【0108】
ブロック1130において、位置決めされた材料の測定に伴って生じる距離非依存性のプロファイル成分と、距離校正データに関連付けられた距離非依存性の校正プロファイル成分との間の差が決定される。また、位置決めされた材料と同じ材料からなる表面の測定の結果生じる出力スペクトルプロファイルデータに適用するときに、上記の決定された差を補正することができるように、距離非依存性のプロファイル成分補正データが決定される。様々な実施形態では、ブロック1130の動作が、例えば、先に
図10を参照して説明した考えに基づいて実行されてもよい。
【0109】
ブロック1135において、決定された距離非依存性のプロファイル成分補正データが、その材料及び識別した材料のうちの少なくとも一つに対応するようにして記憶される。その結果、CPSシステムによって、出力スペクトルプロファイルデータのピーク波長を決定する前に、同様の材料のワーク表面の測定によって生じる出力スペクトルプロファイルデータを補正するために、その補正データを使用することができる。結果として生じるピーク波長の距離表示座標DICが、距離表示座標DICを測定距離に変換するための距離校正データと組合せて適切に使用できるように、そのピーク波長は、補正された測定データに基づいている。言い換えると、名目上、測定距離が、他にワーク材料の変動によって生じる誤差を含まないようにするために、ピーク波長と距離表示座標DICは、補正されたデータに基づいている。一実施形態として、誤差の補正データが、ルックアップテーブルの形式で保存されていてもよい。しかし、他の実施形態として、誤差の補正データは、便利で機能的に相似する形式であればどのような形式で提供されてもよい。(例えば、多項式の関数などの形式でもよい。)
【0110】
図12は、距離非依存性のプロファイル成分補正データを使用して、クロマティックポイントセンサを動作させるための、例示的なルーチン1200を説明するためのフロー図である。この距離非依存性のプロファイル成分補正データは、ワーク材料の反射率に関係付けられる誤差を含む誤差のために、出力スペクトルプロファイルデータを補正するために使用することができる。
図12に示すように、ブロック1205において、光学ペン、光源およびCPS電子機器部を備えたCPSシステムが提供される。CPS電子機器部は、波長検出器を含んでいて、出力スペクトルプロファイルデータ及び距離校正データを供給する。ここで、出力スペクトルプロファイルデータは、光学ペンからワーク表面までの測定距離を表わすピーク波長を有する距離依存性のプロファイル成分と、ワーク表面の材料の波長依存性の反射率の変動に起因するワーク材料成分を含む距離非依存性のプロファイル成分とから構成される。また、距離校正データは、ピーク波長に対応する距離表示座標(DIC)を対応する距離測定値に変換するために使用される。
【0111】
ブロック1210において、ワークの被測定面を識別する。CPSシステムは、識別したワーク表面上で測定動作を実行して、出力スペクトルプロファイルデータを提供するために、動作する。ブロック1210の動作は、CPSの既知の動作方法に従って、及び/又は、先に本書で開示された方法によって、実行される。
【0112】
ブロック1215において、少なくともCPS電子機器部は、距離非依存性のプロファイル成分補正データを定義するために、実行される。この距離非依存性のプロファイル成分補正データは、出力スペクトルプロファイルデータを補正するのに使用できるデータから構成されている。その補正は、識別したワーク表面に対応するワーク材料成分に関連する誤差からなる、潜在的な測定距離誤差のために行なわれる。様々な実施形態及び/又は適用において、ブロック1215の動作が、先に本書で開示した方法の一つと同様の方法で、実行されてもよい。例えば、一実施形態では、距離非依存性のプロファイル成分補正データを定義する工程は、識別したワーク表面の材料についての波長依存性の反射率の変動を特徴付けるために予め定められたデータの入力工程と、その予め定められた入力データに基づく距離非依存性のプロファイル成分補正データを決定する工程とから構成されている。
【0113】
幾つかの実施形態では、識別したワーク表面に使用されている材料のタイプを特徴付けるものとして、(例えば、一般的に知られ、及び/又は、公表されている)標準的なスペクトルの反射率データによって、予め定めるデータが構成されていてもよい。他の実施形態では、距離非依存性のプロファイル成分補正データを定義する動作が、
図11を参照して先に説明したようなピーク波長の走査動作部分を実行する工程、又は、ここで開示される動作に相似の動作の工程から構成されている。他の実施形態では、距離非依存性のプロファイル成分補正データを定義する動作が、
図8を参照して先に説明したような動作を実行する工程から構成されている。その動作において、CPS電子機器部は、異なる波長光を異なる距離で合焦させるためには形成されていない光路と、典型的な材料と組み合わせられている。また、CPS電子機器部は、距離非依存性の出力スペクトルプロファイルデータを提供するために使用される。距離非依存性のプロファイル成分補正データは、その距離非依存性の出力スペクトルプロファイルデータに基づいて決定される。
【0114】
ブロック1220において、距離非依存性のプロファイル成分補正データは、所望であれば、例えば、CPS電子機器部内、又は、マシンビジョン検査システム若しくは座標測定装置の1つであるホストシステム内で実施されるような、式(10)〜式(14)を参照して説明したような考えに従って、識別したワーク表面に起因する出力スペクトルプロファイルデータを補正する場合に、適用される。なお、マシンビジョン検査システムや座標測定装置のようなホストシステムで用いる場合は、該マシンビジョン検査システムや座標測定装置で検査するワークの被検査面に対して光学ペン120が位置決め可能に搭載される。そしてホストシステムによって光学ペン120が該被検査面(材料)に対して相対移動される。
【0115】
ブロック1225において、ピーク波長に応じた距離表示座標が、ブロック1220の補正された出力スペクトルプロファイルデータに基づいて決定される。また、ブロック1230において、CPS電子機器部が、決定された距離表示座標およびCPS距離校正データに基づいて、識別したワーク表面までの測定距離を決定するように動作される。ブロック1225及び1230の動作は、既知のCPSの動作方法に従って、及び/又は、先に本書で開示されたような方法によって、実行され得る。
【0116】
本発明の好適な実施形態を示し説明したが、この開示に基づいて、図示し説明した動作の特徴および動作の順序に対する多くの変形が、当業者には明白である。したがって、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本明細書に様々な変更を行い得ることが明らかである。