(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
生地を充填して、電子レンジで加熱調理するための電子レンジ加熱用調理型において、底壁と、該底壁の外周を囲む側壁と、該側壁内に落とし込まれて前記生地の上面に最初から接した状態で使用される落とし蓋とを有し、少なくとも前記底壁及び前記落とし蓋は、基材シートと、電磁波を受けることで発熱する発熱体層と、前記生地が接触する内面側に形成された耐熱性樹脂層とを有する積層シートで構成されており、前記耐熱性樹脂層がフッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂で形成されていることを特徴とする電子レンジ加熱用調理型。
請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ加熱用調理型と、少なくとも穀粉又は澱粉を含む電子レンジ加熱用調理材料とを備えていることを特徴とする電子レンジ加熱調理キット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ケーキなどの生地を、カップ等の容器や、通常のケーキ型に充填して、電子レンジで加熱した場合には、表面に焦げ目ができず、例えばケーキであれば蒸しケーキ様になってしまうという問題があった。
【0009】
一方、特許文献1や特許文献2に示されるような、導電体や導電性材料層を設けた電子レンジ加熱用調理型を使用すれば、該導電体や導電性材料層が発熱するため、それに接した生地の表面に焦げ目を付けて、フライパン等で加熱したときのような仕上がりにできることが期待される。
【0010】
しかしながら、本発明者らが実験したところ、例えば、厚紙の内面側に、接着剤層を介して、アルミニウム層と、ポリエステルフィルム層を形成したシートで作られたケーキ型に、ケーキ生地を充填して、電子レンジで加熱調理すると、ケーキ生地のシートに接した表面のみがすぐに焦げてしまい、中心部が生焼けのケーキになってしまうという問題があった。また、ケーキ生地がシートの表面に貼り付いてしまい、ケーキを剥がしにくくなるという問題があった。
【0011】
したがって、本発明の目的は、電子レンジで加熱調理しても、表面に適度な焦げ目を付けることができ、内部まで充分に加熱されて良好な食感が得られ、しかも加熱調理後に型から剥がしやすくした電子レンジ加熱用調理型、及び該電子レンジ加熱用調理型を用いた電子レンジ加熱調理キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の電子レンジ加熱用調理型は、生地を充填して、電子レンジで加熱調理するための電子レンジ加熱用調理型において、底壁と、該底壁の外周を囲む側壁と、該側壁内に落とし込まれて前記生地の上面に最初から接した状態で使用される落とし蓋とを有し、少なくとも前記底壁及び前記落とし蓋は、基材シートと、電磁波を受けることで発熱する発熱体層と、前記生地が接触する内面側に形成された耐熱性樹脂層とを有する積層シートで構成されており、前記耐熱性樹脂層がフッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂で形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の電子レンジ加熱用調理型によれば、ケーキなどの生地を底壁と側壁とで囲まれた型の内部に充填し、落とし蓋を挿入して生地の上面に当接させ、その状態で電子レンジに入れて加熱調理することができる。これにより、生地の下面に接した底壁と、上面に接した落とし蓋の各発熱体層が発熱して、生地を上下から高温で加熱するので、ケーキなどの生地の上下表面に適度な焦げ目を付けることができると共に、生地の内部まで充分に加熱して、食感の良好な仕上がりとすることができる。
【0014】
また、落とし蓋は、生地の膨張と一緒に上昇するので、その生地の膨張が阻害されることがなく、加熱の最初から最後まで、落とし蓋が生地の上面にほどよく当接して効果的な加熱がなされる。そして、生地の上面を落とし蓋で押さえながら平らに焼き上げるので、形状の整った仕上がりとすることができる。
【0015】
更に、生地が接触する内面側には、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる耐熱性樹脂層が形成され、加熱調理後に型から容易に剥がして取り出すことができる。
【0016】
本発明の電子レンジ加熱用調理型においては、前記側壁は、発熱体層を有さないシートで形成されていることが好ましい。この態様によれば、発熱体層を有する底壁と落とし蓋とで、ケーキなどの生地の上下面に焦げ目を付けることができると共に、側壁は、発熱体層を有さないシートにして、マイクロ波の生地内部への照射を妨げることなく、生地内部も充分に加熱されるようにすることができる。
【0017】
また、前記耐熱性樹脂層が、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂を含浸させたガラスクロス又はアラミドクロスからなることが好ましい。この態様によれば、発熱体層で発熱した熱が、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂を含浸させたガラスクロス又はアラミドクロスを介して、ケーキなどの生地に穏やかに伝わるので、表面に適度な焦げ目を付けると共に、内部まで充分に加熱しやすくすることができる。
【0018】
一方、本発明の電子レンジ加熱調理キットは、上記に記載の電子レンジ加熱用調理型と、少なくとも穀粉又は澱粉を含む電子レンジ加熱用調理材料とを備えていることを特徴とする。
【0019】
本発明の電子レンジ加熱調理キットによれば、少なくとも穀粉又は澱粉を含む電子レンジ加熱用調理材料に、牛乳、卵、水等を加えて生地を調製し、この生地を電子レンジ加熱用調理型に充填して、前述したような態様で電子レンジにより加熱調理することにより、上下表面に適度な焦げ目が付いて、内部まで充分に加熱されて、食感の良好な電子レンジ加熱調理食品を簡単に作ることができる。
【0020】
本発明の電子レンジ加熱調理キットにおいては、前記電子レンジ加熱用調理材料は、穀粉、膨張剤、糖類、及び油脂を含有するケーキ用のミックス材料であることが好ましい。そしてその場合、前記油脂として、ココアバター及び/又はココアバター代用油脂を含有することが好ましい。
【0021】
また、前記電子レンジ加熱用調理材料は、穀粉、膨張剤、糖類、及び油脂を含有するお好み焼き用のミックス材料であることが好ましい。そしてその場合、更に乾燥具材を含有することが好ましい。
【0022】
また、前記電子レンジ加熱用調理材料は、穀粉及びイーストを含有するパン用又はピザ用のミックス材料であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子レンジ加熱用調理型によれば、ケーキなどの生地を底壁と側壁とで囲まれた型の内部に充填し、落とし蓋を挿入して生地の上面に当接させ、その状態で電子レンジに入れて加熱調理することができる。これにより、生地の下面に接した底壁と、上面に接した落とし蓋の各発熱体層が発熱して、生地を上下から高温で加熱するので、ケーキなどの生地の上下表面に適度な焦げ目を付けることができると共に、生地の内部まで充分に加熱して、食感の良好な仕上がりとすることができる。
【0024】
また、落とし蓋は、生地の膨張と一緒に上昇するので、その生地の膨張が阻害されることがなく、加熱の最初から最後まで、落とし蓋が生地の上面にほどよく当接して効果的な加熱がなされる。そして、生地の上面を落とし蓋で押さえながら平らに焼き上げるので、形状の整った仕上がりとすることができる。
【0025】
更に、生地が接触する内面側には、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる耐熱性樹脂層が形成され、加熱調理後に型から容易に剥がして取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の電子レンジ加熱用調理型及び電子レンジ加熱調理キットの一実施形態を説明する。
【0028】
図1に示すように、この電子レンジ加熱調理キット30は、電子レンジ加熱用調理型10と、ミックス材料を入れたミックス材料入り袋14とを備えている。電子レンジ加熱用調理型10は、側壁11と、底壁12、落とし蓋13とで構成されている。側壁11は、長手方向に2つ折りにされ、底壁12,落とし蓋13も半分に折られて、ミックス材料入り袋14と共に、図示しない包装袋に封入されて製品とされている。
【0029】
図2を併せて参照すると、側壁11は、その下辺部に複数のスリットを所定間隔で形成することにより形成された複数の短冊片15を有している。また、幅方向中央部には、一対の平行な破断線によって形成された切取り片16が形成されている。更に、長手方向に沿った一方の端部には、切り込みによって形成された一対の差込み片17が設けられている。長手方向に沿った他方の端部には、上記差込み片17に対応するスリット18が形成されており、差込み片17をスリット18に差し込むことによって、枠状(この実施形態の場合は円筒状)に組み立てることできるようになっている。また、短冊片15は、それぞれ内側に折り曲げることにより、底壁12を受ける支持部となる。多数の短冊片15によって支持することにより、生地19を充填したとき、底壁12が底抜けしないようになっている。
【0030】
底壁12,落とし蓋13は、開いて円形状とし、底壁12は、予め側壁11の内部に挿入して短冊片15上に支持させ、その上から、ミックス材料入り袋14のミックス材料を用いて調製された生地19を充填し、更に落とし蓋13を生地19の上に載せるようになっている。
【0031】
この実施形態では、底壁12,落とし蓋13は、
図3(a)に示すような積層シートで構成されている。すなわち、この積層シートは、基材シート20上に、接着剤層21、発熱体層22、第1耐熱性樹脂層23、接着剤層24、第2耐熱性樹脂層25が順次積層されて構成されている。
【0032】
ここで、基材シート20としては、特に限定されないが、例えば適当な厚さの紙シートを用いることができる。その他、合成樹脂製のシート等を用いることもできる。
【0033】
発熱体層22としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、金、銀、白金、亜鉛、鉄、スズ、などの導電性物質層、特に好ましくはアルミニウムの薄膜層が用いられる。発熱体層22は、例えば、第1耐熱性樹脂層23の片面に、上記のような導電性物質を、真空蒸着、スパッタリングなどの手段で薄膜形成することによって形成することができる。また、上記のような導電性物質の薄膜シートを貼り付けることによって形成してもよい。なお、発熱体層22は、底壁12,落とし蓋13の片面の必ずしも全面に形成されている必要はなく、メッシュ状などの所定のパターンで形成されていてもよい。
【0034】
第1耐熱性樹脂層23としては、発熱体層22の発熱に耐えられる耐熱性を有する樹脂フィルムであって、片面に発熱体層22を形成しやすいものであれば特に限定されず、例えばポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネートなどの樹脂フィルムが挙げられるが、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましく採用される。
【0035】
第2耐熱性樹脂層25としては、発熱体層22の発熱に耐えられる耐熱性を有すると共に、生地に対する離型性を有する樹脂層が採用され、具体的には、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂の層で構成される。フッ素系樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロ樹脂(PFA)などが挙げられる。シリコーン系樹脂としては、例えばシリコン樹脂などが挙げられる。
【0036】
この実施形態では、第1耐熱性樹脂層23として、ポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられ、第2耐熱性樹脂層25として、ガラスクロスにフッ素樹脂(PTFE)を含浸させて得られたフッ素樹脂含浸ガラスクロスが用いられている。なお、第2耐熱性樹脂層25としては、このフッ素樹脂含浸ガラスクロスに替えて、ガラスクロスにシリコーン系樹脂を含浸させて得られたシリコーン系樹脂含浸ガラスクロス、アラミドクロスにフッ素系樹脂を含浸させて得られたフッ素系樹脂含浸アラミドクロス、アラミドクロスにシリコーン系樹脂を含浸させて得られたシリコーン系樹脂含浸アラミドクロスなどを使用してもよい。
【0037】
なお、底壁12,落とし蓋13を構成する積層シートとしては、上記態様に限らず、例えば
図3(b)に示すような積層シートであってもよい。
【0038】
この積層シートは、基材シート20上に、接着剤層21、発熱体層22、耐熱性樹脂層26が順次積層されて構成されている。耐熱性樹脂層26としては、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂のフィルムが用いられ、発熱体層22は、耐熱性樹脂層26の片面に、前述したような導電性物質を、予め真空蒸着、スパッタリングなどの手段で薄膜形成したもので構成されている。ただし、発熱体層22は、導電性物質の薄膜シートを貼り付けることによって形成してもよい。
【0039】
その他、底壁12,落とし蓋13を構成する積層シートとしては、各種の積層構造のものが採用できる。すなわち、上記積層シートは、基材シートと、電磁波を受けることで発熱する発熱体層と、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる耐熱性樹脂層とを有し、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる耐熱性樹脂層がケーキ生地に接するように最内面に形成された積層シートであればよく、その層構成は特に限定されない。なお、発熱体層と、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる耐熱性樹脂層との間に、前述したガラスクロスやアラミドクロスのような、熱伝導性を和らげる層が介在していることがより好ましい。
【0040】
一方、側壁11としては、発熱体層22を有する積層シートを用いてもよいが、発熱体層22を有さないシートで構成することが好ましい。側壁11を、発熱体層22を有さないシートで構成することにより、側壁11を通してマイクロ波が生地19の内部に照射されるので、生地19の内部まで充分に加熱することができる。また、生地19の外周壁が加熱硬化しにくくなるので、生地19が加熱により膨張することを妨げにくくなる。更に、例えばホットケーキを電子レンジにより加熱調理したときにも、上下面だけに焦げ目が付いて、ホットケーキらしい外観にすることができる。なお、側壁11の生地19に接する内面には、底壁12,落とし蓋13と同様な剥離性のある耐熱性樹脂層が形成されていることが好ましい。
【0041】
本発明の電子レンジ加熱用調理型が適用される食品としては、電子レンジ加熱調理に適した食品であればよく、特に制限はないが、少なくとも穀粉又は澱粉を含む調理材料を用いて生地を調製して、その生地を成型して、加熱して製造される食品が好ましく、ケーキ、お好み焼き、パン、ピザなどが特に好ましい。
【0042】
一方、本発明の電子レンジ加熱調理キットは、上記に説明した電子レンジ加熱用調理型と、少なくとも穀粉又は澱粉を含む電子レンジ加熱用調理材料とを備えている。
【0043】
その調理材料は、電子レンジ加熱調理食品を構成する材料の一部又は全部が、予め混合されているミックス材料であることが好ましい。これによれば手軽な調理を実現することができる。例えばケーキの場合、穀粉、膨張剤、糖類、及び油脂を含有してなる、ケーキミックス粉などを用いることができる。また、お好み焼きの場合、穀粉、膨張剤、糖類、及び油脂を含有してなる、お好み焼きミックスなどを用いることができる。また、パン又はピザの場合には、穀粉及びイーストを含有してなる、パンミックス粉又はピザミックス粉などを用いることができる。
【0044】
上記調理材料として、その穀粉としては、例えば小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、きな粉等が挙げられるが、特に小麦粉、米粉が好ましい。
【0045】
また、穀粉に加えて、あるいは穀粉の代わりに、澱粉を用いることもできる。澱粉としては、例えばコーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、豆由来澱粉や、これらの化工澱粉が用いられる。
【0046】
また、上記調理材料として、その膨張剤は、食品に用いられる通常の膨張剤を使用することができる。
【0047】
上記調理材料として、その糖類としては、例えば砂糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、トレハロースなどやこれらが重合したオリゴ糖などが挙げられる。
【0048】
上記調理材料として、その油脂としては、例えば大豆油、菜種油、コーン油、ヒマワリ油、ベニ花油、落花生油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油、パームオレイン、パームステアリン、ヘット、ラードなどの動物油脂や、これらの分別油、硬化油、エステル交換油等ならびにこれらの油脂を使用したショートニングなどが用いられる。なお、油脂をミックス材料として他の材料と混合された形態で提供するには、常温固体のいわゆる固体脂含有指数曲線がたて型の油脂や、油脂を常法に従い粉末油脂化したものを用いることができる。
【0049】
ケーキの場合には、上記調理材料の油脂として、ココアバターやCBE(Cocoa butter Equivalent)などのココアバター代用油脂が特に好ましく用いられる。ココアバターやココアバター代用油脂を用いることにより、電子レンジで加熱調理したとき、焼色が均一で食感が良好なケーキを得ることができる。なお、ココアバター代用油脂とは、ココアバター代用脂(Cocoa butter equivalent)、ココアバター代替脂(Cocoa butter replacer)などと呼ばれ、ココアバターと物性が似ている代用油脂をいう。ココアバターやココアバター代用油脂の添加量は、水、卵、牛乳等を除いた、ケーキ用のミックス材料全体中で5〜40質量%とすることが好ましく、10〜20質量%とすることがより好ましい。
【0050】
なお、ココアバターやココアバター代用油脂は、ケーキ用のミックス材料中に含有させることもできるが、ミックス材料とは別添の袋に入れて添付してもよい。その場合には、ケーキミックス粉に牛乳、卵、水等を加えて生地を調製する際に、別添の袋からココアバターやココアバター代用油脂を取り出して混ぜるようにする。
【0051】
ケーキ用のミックス材料としては、その他に、食塩、シーズニング、香料、香辛料等の調味料や、甘味料や、各種の乳化剤や、全卵粉、卵白粉、卵黄粉などの乾燥卵粉末や、全粉乳、脱脂粉乳などの粉乳を含有させることもできる。乾燥卵粉末や、粉乳を添加することにより、卵や牛乳を使わなくても、ミックス材料に水を加えて混合するだけで、ケーキ生地を作ることができる。また、デキストリン等のオリゴ糖類・多糖類、大豆蛋白質、えんどう蛋白質、小麦グルテン等の蛋白素材、山芋粉、食物繊維、増粘剤(例えばキサンタンガム、タマリンドガム、グアガム、カードラン、ローカストビンガム、ジェランガム、サイリウムシードガム、カラギーナン、プルラン、CMC、アルギン酸ナトリウム等)、ビタミン類、ミネラル類等を適宜含むことができる。
【0052】
お好み焼きの場合には、上記調理材料は、魚介類エキス、畜肉エキス等の調味料を含むものであることが好ましい。これによれば、お好み焼きに適した風味付けができる。なお、調味料をミックス材料として他の材料と混合された形態で提供するには、粉末調味料を用いることができる。
【0053】
また、上記調理材料は、キャベツ、紅しょうが、天かす、桜エビ等のお好み焼きに適した具材を含んでいてもよい。この場合、具材は乾燥具材とすることが好ましく、これをミックス材料として他の材料と混合された形態で提供してもよい。これによれば、より簡単にお好み焼きを作ることができる。乾燥具材の添加量は適宜設定すればよいが、乾燥キャベツの場合には、お好み焼き用のミックス材料全体中で10〜80質量%とすることが好ましく、30〜50質量%とすることがより好ましい。
【0054】
お好み焼き用のミックス材料としては、その他に、食塩、シーズニング、香料、香辛料等の調味料や、甘味料や、各種の乳化剤や、全卵粉、卵白粉、卵黄粉などの乾燥卵粉末や、全粉乳、脱脂粉乳などの粉乳を含有させることもできる。また、デキストリン等のオリゴ糖類・多糖類、大豆蛋白質、えんどう蛋白質、小麦グルテン等の蛋白素材、山芋粉、食物繊維、増粘剤(例えばキサンタンガム、タマリンドガム、グアガム、カードラン、ローカストビンガム、ジェランガム、サイリウムシードガム、カラギーナン、プルラン、CMC、アルギン酸ナトリウム等)、ビタミン類、ミネラル類等を適宜含むことができる。
【0055】
パン又はピザの場合には、上記調理材料は、イーストを含むものであることが好ましい。これによれば、生地をイースト発酵することができ、また、その発酵にともなう風味付けができる。なお、イーストをミックス材料として他の材料と混合された形態で提供するには、ドライイーストを用いることができる。
【0056】
また、上記調理材料は、イースト発酵を促進するための添加剤であるイーストフードを含んでいてもよい。これによれば、水等と混合して生地を調製した後に電子レンジで加熱調理する間の短時間の調理であっても、生地を発酵させることができる。また、ぬるま湯などで生地を調製することによっても生地の発酵を促進することができ、あるいは生地の発酵をより十分なものとするために、20〜30℃で10分〜48時間発酵を行なった後に電子レンジで加熱調理してもよい。
【0057】
パン用又はピザ用のミックス材料としては、その他に、食塩、シーズニング、香料、香辛料等の調味料や、甘味料や、各種の乳化剤や、全卵粉、卵白粉、卵黄粉などの乾燥卵粉末や、全粉乳、脱脂粉乳などの粉乳を含有させることもできる。
【0058】
なお、本発明の電子レンジ加熱調理キットには、上記調理材料として、電子レンジ加熱調理食品を構成する材料の全てを必ずしも備えている必要はなく、適宜調理時にその食品を構成するのに必要な材料を添加するようにすればよい。また、上記に説明したようなミックス材料を一袋とした場合、その他の材料を1又は2以上の別添の袋に入れて添付するようにしてもよい。その場合には、ミックス材料等に水等を加えて生地を調製する際に、別添の袋から他の材料を取り出して混ぜるようにすることができる。
【0059】
次に、本発明の電子レンジ加熱調理キットを用いた調理方法について、ケーキを例にして説明する。この場合、
図1に示す実施形態において、そのミックス材料入り袋14にはケーキミックス粉等が入れられている。
【0060】
まず、ミックス材料入り袋14からケーキミックス粉等を取出し、これに牛乳、卵、水等を加え、混合してケーキ生地19を製造する。
【0061】
次いで、
図2に示すように、側壁11を枠状(円筒状)に組み立て、底壁12を側壁11内に挿入して、短冊片15上に支持させる。
【0062】
そして、ケーキ生地19を、側壁11及び底壁12からなる型内に充填し、落とし蓋13を側壁11内に挿入してケーキ生地19上面に載せる。このとき、底壁12及び落とし蓋13は、
図3(a)の例では第2耐熱性樹脂層25、
図3(b)の例では耐熱性樹脂層26が、ケーキ生地19に当接するように配置する(
図4参照)。
【0063】
この状態で、ケーキ生地19を充填した電子レンジ加熱用調理型10を電子レンジに入れて加熱調理する。加熱条件は、特に限定されないが、例えば家庭用の電子レンジの場合、500〜1000Wで、0.5〜2分程度加熱することが好ましい。
【0064】
電子レンジ加熱すると、マイクロ波により底壁12及び落とし蓋13の発熱体層22に渦電流が流れてジュール熱が発生し、それぞれの発熱体層22が発熱する。この熱は、
図3(a)の例では第1耐熱性樹脂層23,接着剤層24,第2耐熱性樹脂層25を介して、
図3(b)の例では耐熱性樹脂層26を介して、ケーキ生地19の上下面に伝わり、ケーキ生地19の上下面が高温加熱されて、焦げ目が付着する。
【0065】
また、ケーキ生地19は、底壁12及び落とし蓋13の発熱体層22の発熱による加熱と、側壁11等を通してケーキ生地19の内部に照射されるマイクロ波による加熱によって、ケーキ生地19の表面と内部とが共に効果的に加熱され、ケーキ生地19はふんわりと大きく膨張する。このとき、落とし蓋13は、ケーキ生地19の膨張に従って上昇し、ケーキ生地19の膨張を妨げることがないのみならず、ケーキ生地19の上面を平らに形成して、見栄えのよいケーキにすることができる(
図5参照)。
【0066】
こうしてケーキが焼き上がったら、落とし蓋13を取外し、ケーキ生地19を取り出す。このとき、底壁12,落とし蓋13のケーキ生地19と接する内面が、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂からなる、
図3(a)の例では第2耐熱性樹脂層25、
図3(b)の例では耐熱性樹脂層26で形成されているので、ケーキを容易に剥離させることができる。また、側壁11から取り出す際には、側壁11の切取り片16を切り取って、側壁11を上下2つに分けて、ケーキを取出しやすくすることができる。
【0067】
なお、本発明の電子レンジ加熱用調理型は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば電子レンジ加熱が可能なプラスチック製の容器に、前述したような積層シートからなる底壁12,落とし蓋13を入れて構成することもできる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0069】
実施例1
図3(a)に示した積層シートからなる円形の底壁12及び落とし蓋13を形成した。基材シート20としては紙シート、発熱体層22としてはアルミ蒸着層、第1耐熱性樹脂層23としてはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、第2耐熱性樹脂層25としてはフッ素樹脂含浸ガラスクロスを用いた。フッ素樹脂含浸ガラスクロス(第2耐熱性樹脂層25)の厚さは0.18mmであった。この底壁12,落とし蓋13を、市販の電子加熱調理用のプラスチック容器(内径11cm、深さ4cm)に入れて、電子レンジ加熱用調理型を構成した。なお、底壁12,落とし蓋13は、上記プラスチック容器の内径に適合する形状及び大きさとした。
【0070】
実施例2
上記実施例1において、第2耐熱性樹脂層25として、ガラスクロスを含有しないフッ素樹脂(PTFE)フィルムを用いて、他は実施例1と同様にして、電子レンジ加熱用調理型を構成した。上記第2耐熱性樹脂層25を構成するフッ素樹脂(PTFE)フィルムの厚さは0.08mmであった。
【0071】
実施例3
上記実施例1において、第2耐熱性樹脂層25として、フッ素樹脂含浸ガラスクロスに替えてシリコーン樹脂シート(厚さ:0.1mm)を用いて、他は実施例1と同様にして、電子レンジ加熱用調理型を構成した。
【0072】
実施例4
実施例3において、
図3(a)に示した積層シートにおける接着剤層24,第1耐熱性樹脂層23(PET層)を有さない積層シートを用い、更に、第2耐熱性樹脂層25として、フッ素樹脂含浸ガラスクロスに替えてシリコーン樹脂シート(厚さ:0.1mm)を用いて、他は実施例1と同様にして、電子レンジ加熱用調理型を構成した。
【0073】
比較例1
図3(a)に示した積層シートにおいて、接着剤層24,第2耐熱性樹脂層25を有さない積層シートを用い、他は実施例1と同様にして、電子レンジ加熱用調理型を構成した。なお、基材シート20としては紙シート、発熱体層22としてはアルミ蒸着層、第1耐熱性樹脂層23としてはポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)が用いられている。
【0074】
試験例1
下記表1に示す配合で原料を混合して、ケーキ用のミックス材料A(ケーキミックス粉)を調製した。このケーキ用のミックス材料50質量部に、卵17.5質量部、牛乳32.5質量部を混合し、ケーキ生地を調製した。このケーキ生地100gを、実施例1〜4、比較例1の各電子レンジ加熱用調理型に充填し、底壁12がケーキ生地の下面に当接し、落とし蓋13がケーキ生地の上面に当接するようにセットし(
図4参照)、電子レンジに入れて、500Wで90秒加熱した。
【0075】
【表1】
【0076】
その結果、実施例1は、ケーキの上下面に適度な焼き色がつき、内部の出来上がりも良好であった。
【0077】
実施例2は、実施例1よりも焼き色がやや劣るが、良好な出来上がりであった。
【0078】
実施例3,4は、いずれの場合においても、実施例1と同様、生地との剥離性、焼き色、内部の出来上がりともに良好であった。
【0079】
一方、比較例1は、ケーキの上下面が焦げ付いてしまい、中心部分が生焼けであった。また、底壁12,落とし蓋13がケーキに貼り付いてしまい、剥がすのが大変であった。
【0080】
試験例2
下記表2に示す試料1〜5のそれぞれの配合でケーキ生地を調製し、実施例3の電子レンジ加熱用調理型を用いて、他は試験例1と同様にしてケーキを製造した。なお、ミックス材料Aは、試験例1で用いたものと同じであり、試験例2における試料1は、試験例1において使用したケーキ生地と同じ配合のケーキ生地である。
【0081】
【表2】
【0082】
その結果、いずれの試料も上下面に焼き色が付いて、ホットケーキらしい外観となったが、細かく観察すると下記のような相違があった。
【0083】
ミックス材料Aに、卵と牛乳を加えてケーキ生地を調製した試料1は、上下の表面(底壁12,落とし蓋13との剥離面)にややテカリがあり、食感は良好であるが、やや硬めであった。
【0084】
ミックス材料Aに、サラダ油と卵と牛乳を加えてケーキ生地を調製した試料2は、上下の表面がスムーズでクッキーのようなさっくりとした質感であった。また、食感は、ややべたつくが良好であった。
【0085】
ミックス材料Aに、ココアバター代用脂と卵と牛乳を加えてケーキ生地を調製した試料3は、上下の表面がスムーズでマットな質感であった。また、ケーキらしいさっくりとした良好な食感であった。
【0086】
ミックス材料Aに、粉末油脂と卵と牛乳を加えてケーキ生地を調製した試料4は、上下の表面がテカテカなシートのような質感であった。ややふんわりとした食感であった。
【0087】
ミックス材料Aに、乾燥全卵と全粉乳と水を加えてケーキ生地を調製した試料5は、底壁12,落とし蓋13との剥離性がやや悪く、上下の表面がテカテカなシートのような質感であった。食感はやや水気が多い感じであった。
【0088】
このように、ココアバター代用脂を加えた試料3は、焼き上がりの外観も食感も最も優れていた。
【0089】
試験例3
下記表3に示す配合で原料を混合して、お好み焼き用のミックス材料Bを調製した。
【0090】
【表3】
【0091】
このお好み焼き用のミックス材料52.5gに、卵26g、牛乳25gを混合して、お好み焼き生地を調製し、これを試料6とした。また、試料1の配合に加えてショートニング10gを添加してお好み焼き生地を調製し、これを試料7とした。試料6,7のお好み焼き生地の配合を下記表4に示す。
【0092】
【表4】
【0093】
試料6又は試料7のお好み焼き生地の全量を、実施例3の電子レンジ加熱用調理型に充填し、底壁12がお好み焼き生地の下面に当接し、落とし蓋13がお好み焼き生地の上面に当接するようにセットし(
図4参照)、電子レンジに入れて、600Wで90秒加熱した。
【0094】
その結果、いずれの試料も上下面に適度な焼き色がつき、内部の出来上がりも良好であったが、細かく観察すると下記のような相違があった。
【0095】
ミックス材料Bに、卵と水を加えてお好み焼き生地を調製した試料6は、出来上がりにややべたつきがあり、硬めの食感であった。また、時間経過とともに硬くなっていく傾向があった。
【0096】
ミックス材料Bに、卵と水とショートニングを加えてお好み焼き生地を調製した試料7は、べたつきのないやわらかな仕上がりであった。また、時間が経過しても硬くなりにくかった。
【0097】
このように、油脂を配合しないお好み焼き生地よりも、配合したお好み焼き生地のほうが、焼き上がりの食感や、その食感の保存安定性に優れていた。
【0098】
試験例4
下記表5に示す配合で原料を混合して、パン用のミックス材料Cを調製した。
【0099】
【表5】
【0100】
このパン用のミックス材料45.1gに、バター1.6g、水30gを混合して、パン生地を調製し、これを試料8とした。試料8のパン生地の配合を下記表6に示す。
【0101】
【表6】
【0102】
試料8のパン生地の全量を、実施例3の電子レンジ加熱用調理型に充填し、底壁12がパン生地の下面に当接し、落とし蓋13がパン生地の上面に当接するようにセットし(
図4参照)、電子レンジに入れて、600Wで90秒加熱した。
【0103】
その結果、上下面に適度な焼き色がつき、表面がさっくりしており、内部の出来上がりも良好であった。
【0104】
試験例5
下記表7に示す配合で原料を混合して、ピザ用のミックス材料Dを調製した。
【0105】
【表7】
【0106】
このピザ用のミックス材料41gに、オリーブオイル小さじ1、ぬるま湯20gを混合して、ピザ生地を調製し、これを試料9とした。試料9のピザ生地の配合を下記表6に示す。
【0107】
【表8】
【0108】
試料9のピザ生地の全量を、実施例3の電子レンジ加熱用調理型に充填し、底壁12がピザ生地の下面に当接し、落とし蓋13がピザ生地の上面に当接するようにセットし(
図4参照)、電子レンジに入れて、600Wで90秒加熱した。
【0109】
その結果、上下面に適度な焼き色がつき、ふんわり仕上がり、内部の出来上がりも良好であった。