【実施例】
【0102】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において「%」は特に断りのない限り「質量%」である。なお、例1〜8、例11〜18、例31〜32および例41〜42は実施例、例9および例19は比較例である。
【0103】
[例1:組成物(A)の製造]
(例1−1)
300mLの3つ口丸底フラスコに、水素化ホウ素ナトリウム粉末の14.1gを取り入れ、AK−225(製品名、旭硝子社製)の350gを加えた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、内温が10℃を超えないように化合物(12a)の100g、メタノールの15.8g、AK−225の22gを混合した溶液を滴下漏斗からゆっくり滴下した。全量滴下した後、さらにメタノールの10gとAK−225の10gを混合した溶液を滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、再び氷浴で冷却し、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。反応終了後、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、固形分をフィルタによりろ過し、エバポレータで濃縮した。回収した濃縮液を減圧蒸留し、化合物(11a)の80.6g(収率88%)を得た。
CF
2=CFO−CF
2CF
2CF
2COOCH
3 ・・・(12a)、
CF
2=CFO−CF
2CF
2CF
2CH
2OH ・・・(11a)。
【0104】
化合物(11a)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.2(1H)、4.1(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−85.6(2F)、−114.0(1F)、−122.2(1F)、−123.3(2F)、−127.4(2F)、−135.2(1F)。
【0105】
(例1−2−1)
還流冷却器を接続した500mLのナスフラスコに、例1−1で得た化合物(11a)の300g、トリフルオロエタノール(以下、TFEOとも記す。)の13.5gを取り入れ、炭酸カリウム粉末の9.34gを加えた。窒素雰囲気下、65℃で1時間撹拌した後、7時間かけて100℃まで昇温し、さらに3時間撹拌した。NMRで化合物(11a)のビニルエーテル基が完全に消失したことを確認した。塩酸水溶液を加えて、過剰の炭酸カリウムを処理し、水とAK−225を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、高粘度のオリゴマーの279gを得た。再び、AK−225の110gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数(n+1)の平均値を
19F−NMRの積分値から求めた。下式(10a−1)中、(n+1)の平均値が7〜10のフラクションを合わせた化合物(10a−1i)の47g、(n+1)の平均値が13〜16のフラクションを合わせた化合物(10a−1ii)の19gを得た。
CF
3CH
2−O−(CF
2CFHO−CF
2CF
2CF
2CH
2O)
n+1−H ・・・(10a−1)。
【0106】
(例1−2−2)
還流冷却器を接続した100mLのナスフラスコに、TFEOの6.64gを取り入れ、炭酸カリウム粉末の7.32gを加えた。窒素雰囲気下、75℃で撹拌しながら、例1−1で得た化合物(11a)の19.87gを加え、1時間撹拌した。続いて120℃まで昇温し、化合物(11a)の113.34gを内温が130℃以下になるように制御しながら、ゆっくりと滴下した。全量滴下した後、120℃に保ちながらさらに1時間撹拌し、加熱を止めて室温に下がるまで撹拌を続けた。塩酸水溶液を加えて、過剰の炭酸カリウムを処理し、水とAK−225を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、高粘度のオリゴマーを得た。再び、AK−225の150gで希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数(n+1)の平均値を
19F−NMRの積分値から求めた。上式(10a−1)中、(n+1)の平均値が7〜10のフラクションを合わせた化合物(10a−1i)の48.5g、(n+1)の平均値が13〜16のフラクションを合わせた化合物(10a−1ii)の13.2gを得た。
【0107】
化合物(10a−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):4.1(2H)、4.8(16H)、6.7〜6.9(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl
3) δ(ppm):−74.2(3F)、−84.3〜−85.1(16F)、−89.4〜−90.5(16F)、−120.2(14F)、−122.0(2F)、−126.6(14F)、−127.0(2F)、−145.1(8F)。
単位数(n+1)の平均値:8。
【0108】
化合物(10a−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):4.1(2H)、4.8(28H)、6.7〜6.9(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl
3) δ(ppm):−74.2(3F)、−84.3〜−85.1(28F)、−89.4〜−90.5(28F)、−120.2(26F)、−122.0(2F)、−126.6(26F)、−127.0(2F)、−145.1(14F)。
単位数(n+1)の平均値:14。
【0109】
(例1−3)
還流冷却器を接続した300mLのナスフラスコに、例1−2で得た化合物(10a−1i)の113.33g、フッ化ナトリウム粉末の5.0g、AK−225の150gを取り入れ、CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFの84.75gを加えた。窒素雰囲気下、50℃で13時間撹拌した後、70℃で3時間撹拌した。加圧ろ過器でフッ化ナトリウム粉末を除去した後、過剰のCF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFとAK−225を減圧留去した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で高極性の不純物を除去し、下式(9a−1)中、単位数(n+1)の平均値が8である、化合物(9a−1i)の100.67g(収率80%)を得た。
CF
3CH
2−O−(CF
2CFHO−CF
2CF
2CF
2CH
2O)
n+1−C(=O)CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3 ・・・(9a−1)。
【0110】
化合物(9a−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.4(16H)、4.9(2H)、6.0−6.2(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−75.2(3F)、−80.0(1F)、−81.9(3F)、−82.7(3F)、−84.7〜−85.0(16F)、−86.0(1F)、−90.5〜−93.0(16F)、−121.1(2F)、−121.5(14F)、−128.0(16F)、−130.3(2F)、−132.5(1F)、−145.3(8F)。
単位数(n+1)の平均値:8。
【0111】
(例1−4)
オートクレーブ(ニッケル製、内容積1L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにR−113(CF
2ClCFCl
2)の750gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20体積%に希釈したフッ素ガス(以下、20%フッ素ガスと記す。)を、25℃、流速3.2L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、例1−3で得た化合物(9a−1i)の130gをR−113の448gに溶解した溶液を、22時間かけて注入した。
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、R−113中に0.015g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の8mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。20分撹拌した後、再びベンゼン溶液の4mLを、40℃を保持しながら注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに7回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.6gであった。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。次いで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、下式(7a−1)中、単位数(n)の平均値が7である、化合物(7a−1i)の152.1g(収率99%)を得た。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O−C(=O)CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3 ・・・(7a−1)。
【0112】
化合物(7a−1i)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−80.0(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.0(30F)、−86.7〜87.8(6F)、−89.2(34F)、−126.5(32F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0113】
(例1−5)
500mLのテトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルコキシビニルエーテル)共重合体(以下、PFAと記す。)製丸底ナスフラスコに、例1−4で得た化合物(7a−1i)の120gおよびAK−225の240gを入れた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、メタノールの6.1gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。窒素でバブリングしながら12時間撹拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、下式(4a−1)中、単位数(n)の平均値が7である、前駆体(4a−1i)の108.5g(収率100%)を得た。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2C(=O)OCH
3 ・・・(4a−1)。
【0114】
前駆体(4a−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.0(30F)、−88.2(3F)、−89.2(34F)、−119.8(2F)、−126.5(30F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0115】
(例1−6)
300mLのナスフラスコに、例1−5で得た前駆体(4a−1i)の92.5gおよびH
2NCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3の6.51gを入れ、12時間撹拌した。NMRから、前駆体(4a−1i)の98%が化合物(1−3a−1i)に変換していることを確認した。また、H
2NCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3のすべてが反応しており、副生物であるメタノールが生成していた。このようにして、下式(1−3a−1)中、単位数(n)の平均値が7である、化合物(1−3a−1i)を97%含む組成物(A)を得た。化合物(1−3a−1i)の数平均分子量は、2,900であった。結果を表1に示す。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2C(=O)NHCH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−3a−1)。
【0116】
化合物(1−3a−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.9(3F)、−89.3(34F)、−120.8(2F)、−126.6(28F)、−127.2(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0117】
[例2:組成物(B)の製造]
(例2−1)
還流冷却器を接続した200mLのナスフラスコに、例1−2−1で得た化合物(10a−1ii)の114.72g、フッ化ナトリウム粉末の8.1g、AK−225の101.72gを取り入れ、CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFの95.18gを加えた。窒素雰囲気下、50℃で12時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。加圧ろ過器でフッ化ナトリウム粉末を除去した後、過剰のCF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFとAK−225を減圧留去した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で高極性の不純物を除去し、上式(9a−1)中、単位数(n+1)の平均値が14である、化合物(9a−1ii)の94.57g(収率77%)を得た。
【0118】
化合物(9a−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.4(28H)、4.9(2H)、6.0−6.2(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−75.2(3F)、−80.0(1F)、−81.9(3F)、−82.7(3F)、−84.7〜−85.0(28F)、−86.0(1F)、−90.5〜−93.0(28F)、−121.1(2F)、−121.5(26F)、−128.0(28F)、−130.3(2F)、−132.5(1F)、−145.3(14F)。
単位数(n+1)の平均値:14。
【0119】
(例2−2)
オートクレーブ(ニッケル製、内容積3L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにR−113の2,350gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、25℃、流速4.2L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、例2−1で得た化合物(9a−1ii)の213gをR−113の732gに溶解した溶液を、29時間かけて注入した。
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、R−113中に0.009g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の4mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。20分撹拌した後、再びベンゼン溶液の5mLを、40℃を保持しながら注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに7回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.4gであった。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。次いで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、上式(7a−1)中、単位数(n)の平均値が13である、化合物(7a−1ii)の250.1g(収率99%)を得た。
【0120】
化合物(7a−1ii)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−80.3(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.2(54F)、−86.9〜88.0(6F)、−89.4(58F)、−126.6(56F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0121】
(例2−3)
500mLのPFA製丸底ナスフラスコに、例2−2で得た化合物(7a−1ii)の110gおよびAK−225の220gを入れた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、メタノールの3.5gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。窒素でバブリングしながら12時間撹拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、上式(4a−1)中、単位数(n)の平均値が13である、前駆体(4a−1ii)の103g(収率100%)を得た。
【0122】
前駆体(4a−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.0(54F)、−88.2(3F)、−89.2(58F)、−119.8(2F)、−126.5(54F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0123】
(例2−4)
300mLのナスフラスコに、例2−3で得た前駆体(4a−1ii)の100.5gおよびH
2NCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3の4.38gを入れ、12時間撹拌した。NMRから、前駆体(4a−1ii)の98%が化合物(1−3a−1ii)に変換していることを確認した。また、H
2NCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3のすべてが反応しており、副生物であるメタノールが生成していた。このようにして、上式(1−3a−1)中、単位数(n)の平均値が13である、化合物(1−3a−1ii)を97%含む組成物(B)を得た。化合物(1−3a−1ii)の数平均分子量は、4,900であった。結果を表1に示す。
【0124】
化合物(1−3a−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.9(3F)、−89.3(58F)、−120.8(2F)、−126.6(52F)、−127.2(2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0125】
[例3:混合物(C)の製造]
(例3−1)
500mLの3つ口ナスフラスコに、塩化リチウムの0.92gをエタノールの91.6gに溶解させた。これに例1−5で得た前駆体(4a−1i)、すなわち化合物(6a−1i)の120.0gを加えて氷浴で冷却しながら、水素化ホウ素ナトリウムの3.75gをエタノールの112.4gに溶解した溶液をゆっくり滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。AK−225の100mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、下式(5a−1)中、単位数(n)の平均値が7である、化合物(5a−1i)の119.0g(収率100%)を得た。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2OH ・・・(5a−1)。
【0126】
化合物(5a−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.8(1H)、4.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.7(3F)、−89.3(34F)、−123.7(2F)、−126.6(28F)、−127.8(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0127】
(例3−2)
500mLの3つ口ナスフラスコ内にて、水素化ナトリウムの2.26gをテトラヒドロフラン(以下、THFと記す。)の22.6gに懸濁した。これに例3−1で得た化合物(5a−1i)の118.5gをAC−2000(製品名、旭硝子社製)の212.4gで希釈した溶液を滴下し、さらに臭化アリルの15.7gを滴下した。油浴で70℃として5時間撹拌した。得られた反応粗液を水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をシリカゲルカラムに通し、回収した溶液をエバポレータで濃縮し、ヘキサンで3回洗浄し、下式(3Ha−1)中、単位数(n)の平均値が7である、前駆体(3Ha−1i)の99.9g(収率83%)を得た。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2O−CH
2CH=CH
2 ・・・(3Ha−1)。
【0128】
前駆体(3Ha−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.8(2H)、4.1(2H)、5.2(2H)、5.9(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.7(3F)、−89.3(34F)、−120.5(2F)、−126.6(28F)、−127.6(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0129】
(例3−3)
100mLのポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)製密閉式耐圧容器に、例3−2で得た前駆体(3Ha−1i)の49.0g、ジ−tert−ブチルペルオキシドの0.26g、トリクロロシランの23.7gおよびHFE−7300(製品名、3M社製)の24.5gを入れ、120℃で8時間撹拌した。減圧濃縮して未反応物や溶媒等を留去した後、滴下ロートを備えたフラスコに入れ、HFE−7300の50gを入れて室温で撹拌した。オルト蟻酸トリメチルとメタノールの混合溶液15.0g(オルト蟻酸トリメチル:メタノール=25:1[moL:moL])を滴下し、60℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.05gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、下式(1−1Ha−1)中、単位数(n)の平均値が7である、化合物(1−1Ha−1i)と、下式(1−2Ha−1)中、単位数(n)の平均値が7である、化合物(1−2Ha−1i)との混合物(C)の49.5g(収率97%)を得た。化合物(1−1Ha−1i)と化合物(1−2Ha−1i)とのモル比は、NMRより93:7であった。混合物(C)の数平均分子量は、2,900であった。結果を表1に示す。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−1Ha−1)、
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH(CH
3)−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−2Ha−1)。
【0130】
化合物(1−1Ha−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.7(2H)、1.7(2H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.7(3F)、−89.3(34F)、−120.8(2F)、−126.6(28F)、−127.6(2F)。
化合物(1−2Ha−1i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.1(3H)、1.8(1H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−87.7(3F)、−89.3(34F)、−120.8(2F)、−126.6(28F)、−127.6(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0131】
[例4:混合物(D)の製造]
(例4−1)
500mLの3つ口ナスフラスコに、塩化リチウムの0.57gをエタノールの57.0gに溶解させた。これに例2−3で得た前駆体(4a−1ii)、すなわち化合物(6a−1ii)の128.0gを加えて氷浴で冷却しながら、水素化ホウ素ナトリウムの2.33gをエタノールの69.9gに溶解した溶液をゆっくり滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。AK−225の100mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、上式(5a−1)中、単位数(n)の平均値が13である、化合物(5a−1ii)の127.3g(収率100%)を得た。
【0132】
化合物(5a−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.1(1H)、4.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.7(3F)、−89.3(58F)、−123.7(2F)、−126.6(52F)、−127.8(2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0133】
(例4−2)
500mLの3つ口ナスフラスコ内にて、水素化ナトリウムの1.40gをTHFの14.0gに懸濁した。これに例4−1で得た化合物(5a−1ii)の127.0gをAC−2000の211.5gで希釈した溶液を滴下し、さらに臭化アリルの9.71gを滴下した。油浴で70℃として5時間撹拌した。得られた反応粗液を水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をシリカゲルカラムに通し、回収した溶液をエバポレータで濃縮し、ヘキサンで3回洗浄し、上式(3Ha−1)中、単位数(n)の平均値が13である、前駆体(3Ha−1ii)の103.4g(収率81%)を得た。
【0134】
前駆体(3Ha−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.8(2H)、4.1(2H)、5.2(2H)、5.9(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.7(3F)、−89.3(58F)、−120.5(2F)、−126.6(52F)、−127.6(2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0135】
(例4−3)
100mLのPTFE製密閉式耐圧容器に、例4−2で得た前駆体(3Ha−1ii)の51.0g、ジ−tert−ブチルペルオキシドの0.16g、トリクロロシランの12.6gおよびHFE−7300の30.6gを入れ、120℃で8時間撹拌した。減圧濃縮して未反応物や溶媒等を留去した後、滴下ロートを備えたフラスコに入れ、HFE−7300の50gを入れて室温で撹拌した。オルト蟻酸トリメチルとメタノールの混合溶液9.1g(オルト蟻酸トリメチル:メタノール=25:1[moL:moL])を滴下し、60℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.05gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、上式(1−1Ha−1)中、単位数(n)の平均値が13である、化合物(1−1Ha−1ii)と、上式(1−2Ha−1)中、単位数(n)の平均値が13である、化合物(1−2Ha−1ii)との混合物(D)の51.1g(収率98%)を得た。化合物(1−1Ha−1ii)と化合物(1−2Ha−1ii)とのモル比は、NMRより93:7であった。混合物(D)の数平均分子量は、4,900であった。結果を表1に示す。
【0136】
化合物(1−1Ha−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.7(2H)、1.7(2H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.7(3F)、−89.3(58F)、−120.8(2F)、−126.6(52F)、−127.6(2F)。
化合物(1−2Ha−1ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.1(3H)、1.8(1H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(54F)、−87.7(3F)、−89.3(58F)、−120.8(2F)、−126.6(52F)、−127.6(2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0137】
[例5:化合物(E)の製造]
(例5−1)
50mLのナスフラスコに、例1−4で得た化合物(7a−1i)の10.5gおよびCsFの0.32gを入れ、80℃まで昇温しエステルの熱分解を行い、副生成物である低沸点成分を系外に除去するため、80℃に保ったまま10mmHgまで減圧し、1時間保持した。一部を抜き取ってNMRにて分析したところ、化合物(8a−1)の生成を確認した。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2C(=O)F ・・・(8a−1)。
【0138】
(例5−2)
続いて、テトラグライムの8.0g、CsFの1.12gをナスフラスコに添加後、窒素雰囲気下、50℃で1時間撹拌した。50℃に保ったまま、臭化アリルの0.80gを滴下した。温度を80℃まで昇温し、窒素雰囲気下、12時間反応させた。反応終了後、フッ素系溶媒であるHFE−7300と水により抽出、洗浄を行い、2層分離後の有機相を回収した。有機相に5%の水酸化ナトリウム水溶液を加え30分間撹拌させた後、2層分離後の有機相を回収した。回収した有機相の溶媒を減圧留去し、0.5μm孔径のメンブランフィルタに通して前駆体(3Fa−1)の2.3g(収率24%)を得た。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O−CH
2CH=CH
2 ・・・(3Fa−1)。
【0139】
前駆体(3Fa−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):4.5(2H)、5.3(2H)、5.9(2H。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−86.1(2F)、−87.7(3F)、−89.3(34F)、−126.1(2F)、−126.6(30F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0140】
(例5−3)
25mLのナスフラスコに、例5−2で得た前駆体(3Fa−1)の2.3g、白金/1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.005gおよびトリクロロシランの0.55gを入れ、60℃で4時間撹拌した。減圧濃縮して未反応物や溶媒等を留去した後、滴下ロートを備えたフラスコに入れ、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの5gを入れて室温で撹拌した。オルト蟻酸トリメチルとメタノールの混合溶液0.75g(オルト蟻酸トリメチル:メタノール=25:1[moL:moL])を滴下し、60℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.05gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物(1−1Fa−1)(以下、化合物(E)とも記す。)の2.0g(収率83%)を得た。化合物(E)の数平均分子量は、3,000であった。結果を表1に示す。
CF
3CF
2−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2OCH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−1Fa−1)。
【0141】
化合物(1−1Fa−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.7(2H)、1.8(2H)、3.6(9H)、4.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.1(30F)、−86.2(2F)、−87.7(3F)、−89.3(34F)、−126.1(2F)、−126.5(30F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0142】
[例6:組成物(F)の製造]
(例6−1)
還流冷却器を接続した50mLのナスフラスコに、例1−1で得た化合物(11a)の5.01g、メタノールの5.06gを取り入れ、水酸化カリウムのペレット0.54gを加えた。窒素雰囲気下、25℃で終夜撹拌した後、塩酸水溶液を加えて、過剰の水酸化カリウムを処理し、水とAK−225を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することで、メタノール付加体の5.14gを得た。再び、還流冷却器を接続した50mLナスフラスコにメタノール付加体の1.0g、水酸化カリウムのペレットの0.13gを加え、100℃に加熱しながら、化合物(11a)の10.86gを滴下した。100℃を保ったまま更に9時間撹拌した後、塩酸水溶液を加えて、過剰の水酸化カリウムを処理し、水とAK−225を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、高粘度のオリゴマーの11gを得た。再び、AK−225で2倍に希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数(n+1)の平均値を
19F−NMRの積分値から求めた。下式(10a−2)中、(n+1)の平均値が7〜10のフラクションを合わせた化合物(10a−2i)の4.76gを得た。
CH
3−O−(CF
2CFHO−CF
2CF
2CF
2CH
2O)
n+1−H ・・・(10a−2)。:
【0143】
化合物(10a−2i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.7(3H)、4.0(2H)、4.4(14H)、6.0〜6.2(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.7〜−87.0(16F)、−89.4〜−91.6(16F)、−121.5(14F)、−123.4(2F)、−128.0(16F)、−145.3(8F)。
単位数(n+1)の平均値:8。
【0144】
(例6−2)
還流冷却器を接続した100mLのナスフラスコに、例6−1で得た化合物(10a−2i)の11.35g、フッ化ナトリウム粉末の2.05g、AK−225の78gを取り入れ、CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFの9.82gを加えた。窒素雰囲気下、40℃で24時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。加圧ろ過器でフッ化ナトリウム粉末を除去した後、過剰のCF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFとAK−225を減圧留去した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で高極性の不純物を除去し、下式(9a−2)中、単位数(n+1)の平均値が8である、化合物(9a−2i)の9.48g(収率75%)を得た。
CH
3−O−(CF
2CFHO−CF
2CF
2CF
2CH
2O)
n+1−C(=O)CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3 ・・・(9a−2)。
【0145】
化合物(9a−2i)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):3.7(3H)、4.7(14H)、5.2(2H)、6.7−6.9(8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl
3) δ(ppm):−79.0(1F)、−81.1(3F)、−81.9(3F)、−83.7〜−85.0(16F)、−86.0(1F)、−89.0〜−92.0(16F)、−119.8(2F)、−120.2(14F)、−126.6(16F)、−129.3(2F)、−131.5(1F)、−145.0(8F)。
単位数(n+1)の平均値:8。
【0146】
(例6−3)
オートクレーブ(ニッケル製、内容積500mL)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにR−113の312gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、25℃、流速2.0L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、例6−2で得た化合物(9a−2i)の8.4gをR−113の84gに溶解した溶液を、3.6時間かけて注入した。
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、R−113中に0.015g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の9mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。15分撹拌した後、再びベンゼン溶液の6mLを、40℃を保持しながら注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに3回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.33gであった。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。次いで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、下式(7a−2)中、単位数(n)の平均値が7である、化合物(7a−2i)の8.8g(収率99%)を得た。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O−C(=O)CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3 ・・・(7a−2)。
【0147】
化合物(7a−2i)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−80.0(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.1(30F)、−86.7〜87.8(3F)、−89.3(30F)、−91.3(2F)、−126.5(32F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0148】
(例6−4)
50mLのナスフラスコに、例6−3で得た化合物(7a−2i)の8.8g、フッ化ナトリウム0.99g、およびAK−225の10.3gを入れた。窒素雰囲気下、メタノールの2.1gを加え、50℃で2時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。加圧ろ過器でフッ化ナトリウムを除去した後、反応混合物をエバポレータで濃縮し、前駆体(4a−2)の8.5g(収率99%)を得た。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2C(=O)OCH
3 ・・・(4a−2)。
【0149】
前駆体(4a−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.0(30F)、−89.2(30F)、−91.3(2F)、−119.8(2F)、−126.5(28F)、−127.8(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0150】
(例6−5)
6mLのスクリュー瓶に、例6−4で得た前駆体(4a−2)の2.02gおよびH
2NCH
2CH
2CH
2S(OCH
3)
3の0.18gを入れ、12時間撹拌した。NMRから、前駆体(4a−2)の97%が化合物(1−3a−2)に変換していることを確認した。また、H
2NCH
2CH
2CH
2Si(OCH
3)
3のすべてが反応しており、副生物であるメタノールが生成していた。このようにして化合物(1−3a−2)を96%含む組成物(F)を得た。化合物(1−3a−2)の数平均分子量は、2,900であった。結果を表1に示す。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2C(=O)NHCH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−3a−2)。
【0151】
化合物(1−3a−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.6(2H)、1.6(2H)、2.8(1H)、3.3(2H)、3.5(9H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(30F)、−89.3(30F)、−91.3(2F)、−120.8(2F)、−126.6(28F)、−127.2(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0152】
[例7:混合物(G)の製造]
(例7−1)
50mLの2つ口ナスフラスコ内にて、水素化アルミニウムリチウムの0.07gをTHFの2.7gに懸濁させた。氷浴で冷却しながら、例6−4で得た前駆体(4a−2)、すなわち化合物(6a−2)の6.1gをAC−6000(製品名、旭硝子社製)の6.0gで希釈した溶液をゆっくりと滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。AK−225の15mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、化合物(5a−2)の5.9g(収率97%)を得た。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2OH ・・・(5a−2)。
【0153】
化合物(5a−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.0(1H)、4.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(30F)、−89.3(28F)、−91.4(2F)、−123.7(2F)、−126.6(28F)、−128.7(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0154】
(例7−2)
50mLの2つ口ナスフラスコ内にて、水素化ナトリウムの0.11gをTHFの1.1gに懸濁した。これに例7−1で得た化合物(5a−2)の5.9gをAC−6000の10gで希釈した溶液を滴下し、さらに臭化アリルの1.1gを滴下した。油浴で70℃として5時間撹拌した。AK−225の5mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をシリカゲルカラムに通し、回収した溶液をエバポレータで濃縮し、ヘキサンで3回洗浄し、前駆体(3Ha−2)の3.8g(収率63%)を得た。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2O−CH
2CH=CH
2 ・・・(3Ha−2)。
【0155】
前駆体(3Ha−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.8(2H)、4.1(2H)、5.2(2H)、5.9(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(30F)、−89.3(30F)、−91.4(2F)、−120.5(2F)、−126.6(28F)、−128.6(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0156】
(例7−3)
50mLのPTFE製密閉式耐圧容器に、例7−2で得た前駆体(3Ha−2)の3.6g、ジ−tert−ブチルペルオキシドの0.03g、トリクロロシランの1.1gおよびHFE−7300の3.6gを入れ、120℃で8時間撹拌した。減圧濃縮して未反応物や溶媒等を留去した後、滴下ロートを備えたフラスコに入れ、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの5gを入れて室温で撹拌した。オルト蟻酸トリメチルとメタノールの混合溶液1.0g(オルト蟻酸トリメチル:メタノール=25:1[moL:moL])を滴下し、60℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.05gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物(1−1Ha−2)と化合物(1−2Ha−2)との混合物(G)の3.0g(収率81%)を得た。化合物(1−1Ha−2)と化合物(1−2Ha−2)とのモル比は、NMRより90:10であった。混合物(G)の数平均分子量は、4,900であった。結果を表1に示す。
【0157】
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−1Ha−2)、
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH(CH
3)−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−2Ha−2)。
【0158】
化合物(1−1Ha−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.7(2H)、1.7(2H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(30F)、−89.3(30F)、−91.4(2F)、−120.7(2F)、−126.6(28F)、−128.6(2F)。
化合物(1−2Ha−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.1(3H)、1.8(1H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(30F)、−89.3(30F)、−91.4(2F)、−120.7(2F)、−126.6(28F)、−128.6(2F)。
単位数(n)の平均値:7。
【0159】
[例8:混合物(H)の製造]
(例8−1)
300mLのオートクレーブに、DC−1100(製品名、日油社製、ポリエーテル)の99.2g、水酸化カリウムの1.1gを入れ、溶媒としてtert−ブタノールの50.4gを加えた。80℃に加熱して充分に撹拌した後、下式(15b)で表される化合物(15b)の26.1gを加え、80℃で7時間反応させた。冷却した後にAK−225の480gと混合し、希塩酸(2%)水溶液の300gを加えて、撹拌した。撹拌後、AK−225層を回収し、溶媒を留去して、濃縮物の113.1gを得た。得られた濃縮物から超臨界抽出によって不純物を除去して精製し、下式(14b−1)で表される化合物(14b)の75.0g(収率30.2%)を得た。
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2=CF ・・・(15b)、
CF
3CF
2CF
2−O−CHFCF
2O−(CH
2CH
2O)
x1−1(CH
2CH
2CH
2CH
2O)
x2+1−H ・・・(14b−1)。
【0160】
化合物(14b−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.7(33H)、3.4−3.9(78H)、4.1(2H)、5.9(1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−80.5(3F)、−85.0〜−87.5(2F)、−90.3(2F)、−130.3(2F)、−144.9(1F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2+1)の平均値:8。
【0161】
(例8−2)
還流冷却器を接続した200mLの3つ口フラスコに、例8−1で得た化合物(14b−1)の74.2g、フッ化ナトリウムの5.1g、AK−225の160.6gを加え、氷浴につけて撹拌した。充分に撹拌したところで、下式(13b)で表される化合物(13b)の48.1gを加え、氷浴下7時間反応させた後に、室温に戻した。反応液はフィルタでろ過した後に、溶媒を留去し、得られた濃縮物を再度ろ過し、化合物(9b−1)の99.5g(収率98.1%)を得た。
CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF(CF
3)COF ・・・(13b)、
CF
3CF
2CF
2−O−CHFCF
2O−(CH
2CH
2O)
x1−1(CH
2CH
2CH
2CH
2O)
x2+1−C(=O)CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3 ・・・(9b−1)。
【0162】
化合物(9b−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.7(32H)、3.4〜3.8(76H)、4.1(2H)、4.5(2H)、5.9(1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−79〜80.5(4F)、−80.4〜−83.5(11F)、−84.5〜−85.5(3F)、−90.3(2F)、−130.3(4F)、−131.9(1F)、−144.8(1F)−145.6(1F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2+1)の平均値:8。
【0163】
(例8−3)
オートクレーブ(ニッケル製、内容積1L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、0℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および−10℃に保持した冷却器を直列に設置した。また−10℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにR−113の748.0gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、25℃、流速2.7L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、例8−2で得た化合物(9b−1)の27.5gをR−113の572.6gに溶解した溶液を、24時間かけて注入した。
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15Pa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、R−113中に0.015g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の12mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。ついで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、化合物(7b−1)の49.7g(収率93%)を得た。
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2O)
x1−1(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
x2+1−C(=O)CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2CF
3 ・・・(7b−1)。
【0164】
化合物(7b−1)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R113、基準:CFCl
3) δ(ppm):−77.4〜−79.0(1F)、−79.8(3F)、−81.5(11F)、−83.0ppm(32F)、−84.5〜−86.5(3F)、−88.4(52F)、−125.5(32F)、−129.5(2F)、−129.8(2F)、−131.1(1F)、−145.4(1F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2+1)の平均値:8。
【0165】
(例8−4)
500mLのPFA製丸底ナスフラスコに、例8−3で得た化合物(7b−1)の42.7gおよびAK−225の106.8gを入れた。氷浴で冷却しながら撹拌し、窒素雰囲気下、メタノールの3.5gを滴下漏斗からゆっくり滴下した。窒素でバブリングしながら12時間撹拌した。反応混合物をエバポレータで濃縮し、化合物(6b−1)の36.6g(収率97.1%)を得た。
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2O)
x1−1(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
x2−CF
2CF
2CF
2C(=O)OCH
3 ・・・(6b−1)。
【0166】
化合物(6b−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:R113、基準:TMS) δ(ppm):3.8(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:R113、基準:CFCl
3) δ(ppm):−81.4(3F)、−82.9(30F)、−84.2(2F)、−88.5(52F)、−118.8(2F)、−125.5(30F)−129.8(2F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2)の平均値:7。
【0167】
(例8−5)
50mLの2つ口ナスフラスコに、水素化アルミニウムリチウムの0.51gをTHFの10.1gに懸濁させた。氷浴で冷却しながら、例8−4で得た化合物(6b−1)の36.0gをAC−6000の40.0gで希釈した溶液をゆっくりと滴下した。その後、氷浴を取り外し、室温までゆっくり昇温しながら撹拌を続けた。室温で12時間撹拌後、液性が酸性になるまで塩酸水溶液を滴下した。AK−225の15mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をエバポレータで濃縮し、シリカゲルカラムクロマトフィによる精製により、化合物(5b−1)の3.9g(収率11%)を得た。
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2O)
x1−1(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
x2−CF
2CF
2CF
2CH
2OH ・・・(5b−1)。
【0168】
化合物(5b−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.9(1H)、3.9−4.0(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−82.0(3F)、−84.1(30F)、−85.2(2F)、−89.5(52F)、−123.7(2F)、−126.6(30F)、−130.1(2F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2)の平均値:7。
【0169】
(例8−6)
25mLの2つ口ナスフラスコに、水素化ナトリウムの0.10gをTHFの1.4gに懸濁した。これに例8−5で得た化合物(5b−1)の3.9gをAC−6000の7.3gで希釈した溶液を滴下し、さらに臭化アリルの0.57gを滴下した。油浴で70℃として5時間撹拌した。AK−225の5mLを添加し、水で1回、飽和食塩水で1回洗浄し、有機相を回収した。回収した有機相をシリカゲルカラムに通し、回収した溶液をエバポレータで濃縮し、ヘキサンで3回洗浄し、前駆体(3Hb−1)の2.4g(収率61%)を得た。
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2O)
x1−1(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
x2−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH=CH
2 ・・・(3Hb−1)。
【0170】
化合物(3Hb−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.7−3.9(2H)、4.1(2H)、5.2(2H)、5.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−82.1(3F)、−84.1(30F)、−84.8(2F)、−89.5(52F)、−120.8(2F)、−126.6(30F)、−130.5(2F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2)の平均値:7。
【0171】
(例8−7)
50mLのPTFE製密閉式耐圧容器に、例8−6で得た前駆体(3Hb−1)の2.4g、ジ−tert−ブチルペルオキシドの0.007g、トリクロロシランの1.5gおよびHFE−7300の7.2gを入れ、120℃で8時間撹拌した。減圧濃縮して未反応物や溶媒等を留去した後、滴下ロートを備えたフラスコに入れ、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの5gを入れて室温で撹拌した。オルト蟻酸トリメチルとメタノールの混合溶液0.8g(オルト蟻酸トリメチル:メタノール=25:1[moL:moL])を滴下し、60℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.05gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物(1−1Hb−1)と化合物(1−2Hb−1)との混合物(H)の3.3g(収率88%)を得た。化合物(1−1Hb−1)と化合物(1−2Hb−1)とのモル比は、NMRより93:7であった。混合物(I)の数平均分子量は、3,500であった。結果を表1に示す。
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2O)
x1−1(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
x2−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−1Hb−1)、
CF
3CF
2CF
2−O−CF
2CF
2O−(CF
2CF
2O)
x1−1(CF
2CF
2CF
2CF
2O)
x2−CF
2CF
2CF
2CH
2OCH
2CH(CH
3)−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−2Hb−1)。
【0172】
化合物(1−1Hb−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.7(2H)、1.7(2H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−82.1(3F)、−84.1(30F)、−85.1(2F)、−89.5(52F)、−120.4(2F)、−126.6(30F)、−130.7(2F)。
化合物(1−2Hb−1)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):1.1(3H)、1.7(1H)、3.6(11H)、3.8(2H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−82.1(3F)、−84.1(30F)、−85.1(2F)、−89.5(52F)、−120.4(2F)、−126.6(30F)、−130.7(2F)。
単位数(x1−1)の平均値:12。
単位数(x2)の平均値:7。
【0173】
[例9:化合物(I)の製造]
(CF
2O)単位と(CF
2CF
2O)単位との組み合わせからなる含フッ素エーテル化合物を、米国特許第5258110号明細書、米国特許第3847978号明細書等に記載の方法にしたがって合成した。得られた含フッ素エーテル化合物の酸フロリド(−COF)末端を、アルコールとの反応によってエステル化し、アミノプロピルシラン化合物を反応させて、末端を加水分解性のトリメトキシシリル基に変換し、化合物(I)を得た。
【0174】
[例31:混合物(J)の製造]
(例31−1)
還流冷却器を接続した1Lの三口フラスコに、メタノールの37.61gを取り入れ、炭酸カリウム粉末の54.02gを加えた。窒素雰囲気下、120℃で撹拌しながら、例1−1で得た化合物(11a)の2,400gをゆっくりと滴下した。全量滴下した後、120℃に保ちながらさらに1時間撹拌し、加熱を止めて室温に下がるまで撹拌を続けた。塩酸水溶液を加えて、過剰の炭酸カリウムを処理し、水とAK−225を加えて分液処理を行った。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、2,406gの高粘度のオリゴマーを得た。再び、AK−225で2倍に希釈し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)に展開して分取した。各フラクションについて、単位数(n+1)の平均値を
19F−NMRの積分値から求めた。上式(10a−2)中、(n+1)の平均値が13〜16のフラクションを合わせた化合物(10a−2ii)の514.4g(収率21%)を得た。
【0175】
化合物(10a−2ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.7(3H)、4.0(2H)、4.4(26H)、6.0〜6.2(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−84.7〜−87.0(28F)、−89.4〜−91.6(28F)、−121.5(26F)、−123.4(2F)、−128.0(28F)、−145.3(14F)。
単位数(n+1)の平均値:14。
【0176】
(例31−2)
還流冷却器を接続した300mLの三口フラスコに、例31−1で得た化合物(10a−2ii)の192.6g、フッ化ナトリウム粉末の24.35gを取り入れ、CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFの80.3gを加えた。窒素雰囲気下、40℃で24時間撹拌した後、室温で終夜撹拌した。加圧ろ過器でフッ化ナトリウム粉末を除去した後、過剰のCF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COFを減圧留去した。シリカゲルクロマトグラフィ(展開溶媒:AK−225)で高極性の不純物を除去し、上式(9a−2)中、単位数(n+1)の平均値が14である、化合物(9a−2ii)の195.4g(収率94%)を得た。
【0177】
化合物(9a−2ii)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重アセトン、基準:TMS) δ(ppm):3.7(3H)、4.7(26H)、5.2(2H)、6.7−6.9(14H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重アセトン、基準:CFCl
3) δ(ppm):−79.0(1F)、−81.1(3F)、−81.9(3F)、−83.7〜−85.0(28F)、−86.0(1F)、−89.0〜−92.0(28F)、−119.8(2F)、−120.2(26F)、−126.6(28F)、−129.3(2F)、−131.5(1F)、−145.0(14F)。
単位数(n+1)の平均値:14。
【0178】
(例31−3)
オートクレーブ(ニッケル製、内容積1L)を用意し、オートクレーブのガス出口に、20℃に保持した冷却器、NaFペレット充填層、および0℃に保持した冷却器を直列に設置した。また0℃に保持した冷却器から凝集した液をオートクレーブに戻す液体返送ラインを設置した。
オートクレーブにClCF
2CFClCF
2OCF
2CF
2Cl(以下、CFE−419と記す。)の750gを投入し、25℃に保持しながら撹拌した。オートクレーブに窒素ガスを25℃で1時間吹き込んだ後、20%フッ素ガスを、25℃、流速3.6L/時間で1時間吹き込んだ。次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブに、例31−2で得た化合物(9a−2ii)の107.0gをCFE−419の370gに溶解した溶液を、17.3時間かけて注入した。
【0179】
次いで、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、オートクレーブの内圧を0.15MPa(ゲージ圧)まで加圧した。オートクレーブ内に、CFE−419中に0.05g/mLのベンゼンを含むベンゼン溶液の4mLを、25℃から40℃にまで加熱しながら注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉めた。15分撹拌した後、再びベンゼン溶液の4mLを、40℃を保持しながら注入し、注入口を閉めた。同様の操作をさらに3回繰り返した。ベンゼンの注入総量は0.17gであった。
さらに、20%フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながら、1時間撹拌を続けた。次いで、オートクレーブ内の圧力を大気圧にして、窒素ガスを1時間吹き込んだ。オートクレーブの内容物をエバポレータで濃縮し、上式(7a−2)中、単位数(n)の平均値が13である、化合物(7a−2ii)の122.5g(収率97%)を得た。
【0180】
化合物(7a−2ii)のNMRスペクトル;
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−80.0(1F)、−82.0〜−82.5(6F)、−84.1(54F)、−86.7〜87.8(3F)、−89.3(54F)、−91.3(2F)、−126.5(56F)、−130.4(2F)、−132.4(1F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0181】
(例31−4)
リービッヒ冷却管を装着した100mLの三口フラスコに、例31−3で得た化合物(7a−2ii)の60.0g、およびフッ化カリウム0.15gを入れた。窒素雰囲気下、80℃で2時間撹拌した。さらに減圧にして、副生するCF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)C(=O)Fを留去した。加圧ろ過器でフッ化カリウムを除去し、化合物(8a−2)の54.6g(収率98%)を得た。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2C(=O)F ・・・(8a−2)。
【0182】
化合物(8a−2)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):3.9(3H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):24.0(1F)、−56.2(3F)、−84.7(54F)、−89.1(54F)、−90.1(2F)、−119.1(2F)、−126.5(52F)、−127.3(2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0183】
(例31−5)
還流冷却器を接続した100mLの三口フラスコに、例31−4で得た化合物(8a−2)の54.5gおよびヨウ化リチウムの2.5gを入れ、180℃にて10時間撹拌した。反応粗液から固形分をろ別することによって、53.2gの生成物を得た。これは目的とする化合物(18a−1)と副生成物である化合物(21a−1)(式(1)におけるBが式(2−9)で表される化合物)との混合物であり、そのモル比は、NMRより90:10であった。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2I ・・・(18a−1)。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2H ・・・(21a−1)。
【0184】
化合物(18a−1)と化合物(21a−1)との混合物のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):6.1(0.1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−59.8(1.8F)、−82.0(1.8F)、−84.7(52F)、−89.1(54F)、−90.1(2F)、−117.6(1.8F)、−126.5(52F)、−133.3(0.2F)、−138.0(0.2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0185】
(例31−6)
30mLのSUS製オートクレーブに、例31−5で得た化合物(18a−1)と化合物(21a−1)との混合物の30.0g、アゾ系開始剤V−59(商品名、和光純薬工業社製)の0.058g、およびCFE−419の5.0gを入れた。反応器を密閉し、反応器内圧が−0.099MPa(G)になるまで脱気した後、エチレンを反応器内圧が1.50MPa(G)になるまで圧入した。その後、80℃にて5時間攪拌した。反応粗液からCFE−419と留去することによって、30.2gの生成物を得た。これは目的とする化合物(19a−1)と化合物(21a−1)との混合物であり、そのモル比は、NMRより90:10であった。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2I ・・・(19a−1)。
【0186】
化合物(19a−1)と化合物(21a−1)との混合物のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.7(1.8H)、3.2(1.8H)、5.9(0.1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(54F)、−89.3(54F)、−91.3(2F)、−116.2(1.8F)、−126.5(52F)、−127.6(1.8F)、−133.3(0.2F)、−138.0(0.2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0187】
(例31−7)
還流冷却器を接続した50mLのナスフラスコに、例31−6で得た化合物(19a−1)と化合物(21a−1)との混合物の29.2g、10質量%水酸化カリウムの8.8g、および1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの14.6gを入れ、80℃にて5時間撹拌した。3回の水洗後、有機相を回収し、エバポレータで濃縮することによって、28.2gの生成物を得た。これは目的とする前駆体(16a−1)と化合物(21a−1)との混合物であり、そのモル比は、NMRより90:10であった。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH=CH
2 ・・・(16a−1)。
【0188】
前駆体(16a−1)と化合物(21a−1)との混合物のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):5.7−6.0(2.8H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(54F)、−89.3(54F)、−91.3(2F)、−115.2(1.8F)、−126.5(52F)、−128.1(1.8F)、−133.3(0.2F)、−138.0(0.2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0189】
(例31−8)
50mLのPTFE製密閉式耐圧容器に、例31−7で得た前駆体(16a−1)と化合物(21a−1)との混合物の2.0g、白金/1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.015g、トリクロロシランの0.13g、および1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの2.0gを入れ、室温で24時間撹拌した。減圧濃縮して未反応物や溶媒等を留去した後、滴下ロートを備えたフラスコに入れ、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの5gを入れて室温で撹拌した。オルト蟻酸トリメチルとメタノールの混合溶液0.75g(オルト蟻酸トリメチル:メタノール=25:1[moL:moL])を滴下し、60℃にて3時間反応させた。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.1gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物(1−4a−1)、化合物(21a−1)、および副生成物である化合物(20a−1)(式(1)におけるBが式(2−7)で表される化合物)との混合物(J)の1.9g(収率93%)を得た。化合物(1−4a−1)、化合物(21a−1)、および化合物(20a−1)のモル比は、NMRより75:10:15であった。混合物(J)の数平均分子量は、4,800であった。結果を表1に示す。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−4a−1)、
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2CH
3 ・・・(20a−1)。
【0190】
混合物(J)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.8(1.5H)、1.1(0.45H)、2.1(1.8H)、3.6(8.1H)、5.9(0.1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(54F)、−89.3(54F)、−91.3(2F)、−117.8(1.8F)、−126.6(52F)、−127.8(1.8F)、−133.3(0.2F)、−138.0(0.2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0191】
[例32:混合物(K)の製造方法]
(例32−1)
50mLのナスフラスコに、例32−5で得た化合物(18a−1)と化合物(21a−1)の混合物の10.0g、アゾ系開始剤V−60(商品名、和光純薬工業社製)の0.015g、アリルトリブチルスズの3.73g、および1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの10.0gを入れ、90℃にて6時間攪拌した。反応粗液をヘキサンで3回、アセトンで3回洗浄し、下層を回収した。回収した下層をシリカゲルカラムに通し、回収した溶液をエバポレータで濃縮することによって、9.0gの生成物を得た。これは目的とする前駆体(17a−1)と化合物(21a−1)との混合物であり、そのモル比は、NMRより90:10であった。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2CH=CH
2 ・・・(17a−1)。
【0192】
前駆体(17a−1)と化合物(21a−1)との混合物のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):2.8(1.8H)、5.3(1.8H)、5.8−5.9(1.0H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(54F)、−89.3(54F)、−91.4(2F)、−114.4(1.8F)、−126.6(52F)、−127.4(1.8F)、−133.3(0.2F)、−138.0(0.2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0193】
(例32−2)
50mLのPTFE製密閉式耐圧容器に、例32−1で得た前駆体(17a−1)と化合物(21a−1)との混合物の2.0g、白金/1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体のキシレン溶液(白金含有量:2%)の0.011g、トリメトキシシランの0.53g、および1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンの2.0gを入れ、80℃で12時間撹拌した。反応終了後、溶媒等を減圧留去し、残渣に0.1gの活性炭を加えて1時間撹拌した後、0.5μm孔径のメンブランフィルタでろ過し、化合物(1−5a−1)と化合物(21a−1)との混合物(K)の2.0g(収率98%)を得た。化合物(1−5a−1)および化合物(21a−1)のモル比は、NMRより90:10であった。混合物(K)の数平均分子量は、4,800であった。結果を表1に示す。
CF
3−O−(CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CF
2O)
n−CF
2CF
2O−CF
2CF
2CF
2CH
2CH
2CH
2−Si(OCH
3)
3 ・・・(1−5a−1)。
【0194】
混合物(K)のNMRスペクトル;
1H−NMR(300.4MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:TMS) δ(ppm):0.7(1.8H)、1.7(1.8H)、2.1(1.8H)、3.6(8.1H)、5.9(0.1H)。
19F−NMR(282.7MHz、溶媒:重クロロホルム、基準:CFCl
3) δ(ppm):−56.2(3F)、−84.1(54F)、−89.3(54F)、−91.3(2F)、−115.5(1.8F)、−126.6(52F)、−127.8(1.8F)、−133.3(0.2F)、−138.0(0.2F)。
単位数(n)の平均値:13。
【0195】
[例11〜19、例41〜42:表面処理層を有する基材の製造および評価]
例1〜9および例31〜32で得られた各化合物、混合物または組成物を用いて基材の表面処理を行い、例11〜19および例41〜42とした。各例について下記のドライコーティング法とウェットコーティング法とをそれぞれ用いて表面処理層を有する基材を製造した。基材としては化学強化ガラスを用いた。得られた表面処理層を有する基材について、下記の方法で評価した。結果を表2に示す。
【0196】
(ドライコーティング法)
ドライコーティングは、真空蒸着装置(ULVAC社製、VTR−350M)を用いて行った(真空蒸着法)。例1〜9および例31〜32で得られた各化合物、混合物または組成物の0.5gを真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに充填し、真空蒸着装置内を1×10
−3Pa以下に排気した。化合物、混合物または組成物を配置したボートを昇温速度10℃/分以下の速度で加熱し、水晶発振式膜厚計による蒸着速度が1nm/秒をこえた時点でシャッターを開けて基材の表面への成膜を開始させた。膜厚が約50nmとなった時点でシャッターを閉じて基材の表面への成膜を終了させた。化合物、混合物または組成物が堆積された基材を、200℃で30分間加熱処理し、その後、含フッ素溶媒であるAK−225(製品名、旭硝子社製)にて洗浄することにより、表面処理層を有する基材を得た。
【0197】
(ウェットコーティング法)
例1〜9および例31〜32で得られた各化合物、混合物または組成物と、媒体としてのノベック−7200(製品名、3M社製)とを混合して、固形分濃度0.05%のコーティング液を調製した。基材を該コーティング液にディッピングし(ディップコート法)、30分間放置後、基材を引き上げた。基材を200℃で30分間乾燥させ、含フッ素溶媒であるAK−225(製品名、旭硝子社製)にて洗浄することにより、表面処理層を有する基材を得た。
【0198】
(評価方法)
<水接触角およびn−ヘキサデカン接触角の測定方法>
表面処理層を有する基材の、表面処理された表面に置いた、約2μLの蒸留水あるいはn−ヘキサデカンの接触角を、接触角測定装置DM−500(協和界面科学社製)を用いて測定した。基材の表面処理された面における異なる5箇所で測定を行い、その平均値を算出した。接触角の算出には2θ法を用いた。
【0199】
<初期の水およびn−ヘキサデカン接触角>
ドライコーティング法およびウェットコーティング法でそれぞれ表面処理した基材(表面処理層を有する基材)について、初期の水接触角およびn−ヘキサデカン接触角を前記測定方法で測定した。
【0200】
<耐摩擦性>
例11〜19で製造した表面処理層を有する基材について、JIS L 0849に準拠して往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、セルロース製不織布(ベンコットM−3:旭化成社製)を荷重1kgで10万回往復させた後、水接触角およびn−ヘキサデカン接触角を測定した。
摩擦回数を増大させたときの撥水性(水接触角)および撥油性(n−ヘキサデカン接触角)の低下が小さいほど摩擦による性能の低下が小さく、耐摩擦性に優れる。
【0201】
<指紋汚れ除去性>
人工指紋液(オレイン酸とスクアレンとからなる液)を、シリコンゴム栓の平坦面に付着させた後、余分な油分を不織布(ベンコットM−3:旭化成社製)にて拭き取ることによって、指紋のスタンプを準備した。該指紋スタンプを例11〜19および例41〜42で製造した表面処理層を有する基材上に乗せ、1Kgの荷重にて10秒間押しつけた。この時に、指紋が付着した箇所のヘーズをヘーズメータ(東洋精機社製)にて測定した。この時の値を初期値とした。次に、指紋が付着した箇所について、ティッシュペーパを取り付けた、往復式トラバース試験機(ケイエヌテー社製)を用い、荷重500gにて拭き取りを行った。拭き取り一往復毎にヘーズの値を測定し、10往復拭き取るまでの間に、ヘーズが目視で確認できない数値に達したら合格とした。
【0202】
【表1】
【0203】
【表2】
【0204】
表2の結果に示されるように、本化合物を用いた例11〜18および例41〜42の表面処理層を有する基材は、初期の水接触角およびn−ヘキサデカン接触角に優れ、特にドライコーティング法で形成した表面処理層を有する基材は、10万回摩擦したときでも、接触角の低下が小さかった。単位(α)と単位(β)とからなるポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有する本化合物は、基材の表面に良好な初期の撥水撥油性を付与できるとともに、指紋汚れ除去性が良好で、耐摩擦性に優れ、繰り返し摩擦によっても撥水撥油性が低下しにくく、効率的に製造が可能であることが確認できた。
【0205】
例11および例12の結果から、数平均分子量が高い本化合物を用いた例12の方が、接触角の低下がより小さいことが確認された。
(CF
2O)単位と(CF
2CF
2O)単位とからなるポリ(オキシペルフルオロアルキレン)鎖を有する含フッ素エーテル化合物を用いた例19の表面処理層を有する基材は、初期の水接触角およびn−ヘキサデカン接触角がやや劣り、ドライコーティング法で形成した表面処理層を有する基材は、摩擦による接触角の低下が大きかった。