(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状磁性コア及びコイルを収容するケースユニットであって、前記環状磁性コアを収容する環状空間を有するとともに前記コイルが巻回される環状部と、前記環状部から一方に延びる複数の脚部とを備えた第一ケースと、前記第一ケースの前記環状部と前記脚部との間に進入するとともに、前記環状部の一部を前記一方側から覆うように前記第一ケースと係合する第二ケースとを有し、
前記第一ケースの各脚部に設けられた第一固定部と前記第二ケースの第二固定部とは、重ねられた状態で被装着体に固定されることを特徴とするケースユニット。
請求項1に記載のケースユニットにおいて、前記第一固定部及び前記第二固定部にそれぞれ貫通孔又は切欠きが設けられており、互いの貫通孔又は切欠きを重ね合せて締結部品により前記被装着体に固定されることを特徴とするケースユニット。
請求項1又は2に記載のケースユニットにおいて、前記第一ケースの各脚部は、前記環状部から突出する側方突出部と、前記側方突出部から一方に延びる延長部と、前記延長部の先端に設けられた前記固定部とを有することを特徴とするケースユニット。
請求項1〜4のいずれかに記載のケースユニットにおいて、前記第一ケースの前記側方突出部は、前記第二ケースの筒部が進入する溝部を有することを特徴とするケースユニット。
請求項1〜5のいずれかに記載のケースユニットにおいて、前記第一ケースの前記環状部は入れ子式に係合可能な第一ドーナツ状部材及び第二ドーナツ状部材により構成されており、前記脚部は前記第一ドーナツ状部材に設けられていることを特徴とするケースユニット。
請求項6又は7に記載のケースユニットにおいて、前記第一ドーナツ状部材は下端が開口し、前記第二ドーナツ状部材は上端が開口し、前記第一ドーナツ状部材を上にして前記第二ドーナツ状部材と係合することを特徴とするケースユニット。
請求項6又は7に記載のケースユニットにおいて、前記第一ドーナツ状部材は上端が開口し、前記第二ドーナツ状部材は下端が開口し、前記第一ドーナツ状部材を下にして前記第二ドーナツ状部材と係合することを特徴とするケースユニット。
請求項1〜11のいずれかに記載のケースユニットにおいて、前記第二ケースの前記筒部に、前記第一ケースの前記脚部を受承する中心軸線方向の凹部が設けられていることを特徴とするケースユニット。
【背景技術】
【0002】
近年急速に普及しつつあるハイブリッド車や電気自動車には大出力の電気モータが設けられており、この駆動に用いる電力変換装置には、高電圧・大電流に耐えるリアクトル等の電子部品が用いられている。電子部品は、コイルと、コイルが巻装された絶縁性樹脂製のボビンと、前記ボビン内に配置された磁性コアとを含むコイル部品を金属製ケースに収容してなる。金属製ケース内には、コイル部品を固定するポッティング樹脂(モールド樹脂)が充填されている。金属製ケースは、冷却器として機能する金属製台座やヒートシンク、フレーム、基板等(以下まとめて「被装着体」と呼ぶ)に、ボルト等の固定手段により、車体の機械振動により容易に脱落しないように強固に固定される。
【0003】
コイルには数百ボルトというバッテリ電圧が通電されるため、電子部品自体の破壊や漏電又は感電を防ぐために、コイルとコア及び金属製ケースとの間に高い電気的絶縁性が求められる。そのため、ポッティング樹脂として、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の絶縁性樹脂が用いられている。
【0004】
コイル部品をポッティング樹脂により金属製ケース内に固定した電子部品内では、ポッティング樹脂と金属製ケースとの熱膨張係数の差による熱応力や、電子部品にかかる機械振動等により、ポッティング樹脂内や金属製ケースとの界面に亀裂が生じ、十分な放熱効果が得られないばかりか、コイル部品の固定が損なわれる恐れがあった。
【0005】
これに対して、特開2010-34228号は、
図23に示すように、コイル501とコイル501が配置された環状の磁性コア502とを具えた組立体510と、組立体510を収納する金属製ケース512とを具え、金属製ケース512と組立体510との間にポッティング樹脂514が充填されており、金属製ケース512は、底面及び側壁を有する開口箱状であり、側壁の内周面にポッティング樹脂514に接触する凹凸部512aが形成されているリアクトル500を提案した。金属製ケース512の側壁に設けられた凹凸部512aにより金属製ケース512とポッティング樹脂514との接触面積が大きくなり、両者の密着性が高まり、ポッティング樹脂514に亀裂が生じても、金属製ケース512から組立体510が脱落しにくくなる。
【0006】
しかし特開2010-34228号に開示の構造では、金属製ケース512とポッティング樹脂514との密着性を高くするには、金属製ケース512の側壁の凹凸を大きくしたり多くしたりする必要があり、金属製ケース512の形状が複雑化して製造コストが上がる。また、ポッティング樹脂514により組立体(コイル部品)510を固定することには変わりなく、ポッティング樹脂514内に亀裂が生じたり、ポッティング樹脂514と金属製ケース512との間の隙間が生じたりした場合、コイル部品510の固定が損なわれるだけでなく、放熱性が低下するという根本的な問題は解決されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の第一の目的は、簡易な構造で組立が容易でありながら、コイル部品を確実に固定することができるケースユニットを提供することである。
【0008】
本発明の第二の目的は、コイル部品を固定するポッティング樹脂に亀裂が生じるのを抑制できるケースユニットを提供することである。
【0009】
本発明の第三の目的は、かかるケースユニットを用いた車載用等に好適な電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、環状磁性コア及びコイルを収容するケースユニットを、環状磁性コアの回りにコイルを巻回するための第一ケースと、コイルを固定するポッティング樹脂を充填する第二ケースにより構成し、第一ケースと第二ケースをともに被装着体に固定する構造とすることにより、簡易な構造で組立が容易でありながら、コイル部品を確実に固定でき、かつポッティング樹脂に亀裂が生じるのを抑制できるケースユニットが得られることを発見し、本発明に想到した。
【0011】
すなわち、環状磁性コア及びコイルを収容する本発明のケースユニットは、
前記環状磁性コアを収容する環状空間を有するとともに前記コイルが巻回される環状部と、前記環状部から一方に延びる複数の脚部とを備えた第一ケースと、前記第一ケースの前記環状部と前記脚部との間に進入するとともに、前記環状部の一部を前記一方側から覆うように前記第一ケースと係合する第二ケースを有し、前記第一ケースの各脚部に設けられた第一固定部と前記第二ケースの第二固定部とは、重ねられた状態で被装着体に固定されることを特徴とする。
【0012】
前記第一固定部及び前記第二固定部にそれぞれ貫通孔又は切欠きが設けられており、互いの貫通孔又は切欠きを重ね合せて締結部品により前記被装着体に固定されるのが好ましい。
【0013】
前記第一ケースの各脚部は、前記環状部からその外方へ突出する側方突出部と、前記側方突出部から下方に延びる延長部と、前記延長部の先端に設けられた前記固定部とを有するのが好ましい。
【0014】
前記第一ケースの複数の脚部のうちの一つは、前記環状部からその外方へ突出する側方突出部と、前記環状部の上面から前記側方突出部と一体的に突出する上方突出部と、前記側方突出部から下方に延びる延長部と、前記延長部の先端に設けられた前記固定部とを有し、
前記上方突出部に前記コイルの導線の端部が挿通する少なくとも1つの貫通孔又は切欠きが設けられているのが好ましい。
【0015】
前記第一ケースの前記側方突出部は、前記第二ケースの前記筒部が進入する溝部を有するのが好ましい。
【0016】
前記第一ドーナツ状部材は開口端を有する第一環状空間を有し、
前記第二ドーナツ状部材は開口端を有する第二環状空間を有し、
前記第一ドーナツ状部材と前記第二ドーナツ状部材の係合により前記第一環状空間と前記第二環状空間が一体的に結合し、前記環状磁性コアを収容する閉鎖環状空間が構成されるのが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態では、前記第一ドーナツ状部材は下端が開口し、前記第二ドーナツ状部材は上端が開口し、前記第一ドーナツ状部材を上にして前記第二ドーナツ状部材と係合する。
【0018】
本発明の別の実施形態では、前記第一ドーナツ状部材は上端が開口し、前記第二ドーナツ状部材は下端が開口し、前記第一ドーナツ状部材を下にして前記第二ドーナツ状部材と係合する。
【0019】
前記第一ドーナツ状部材と前記第二ドーナツ状部材とは入れ子式に係合するのが好ましい。
【0020】
前記第二ケースは、前記筒部を含む第一部材と、底板部を含む第二部材とで構成されており、
前記第一部材は絶縁性樹脂で形成されており、前記第二部材は金属で形成されているのが好ましい。
【0021】
前記第一部材の前記筒部の下端に環状底部が一体的に設けられており、
前記第一部材の前記環状底部は前記第二部材の前記底板部に固定されており、もって前記底板部は前記環状底部の中央開口部に露出しているのが好ましい。
【0022】
前記第二ケースの前記筒部に、前記第一ケースの前記脚部を受承する中心軸線方向の凹部が設けられているのが好ましい。
【0023】
前記第二部材は前記底板部と一体的な固定部を有するのが好ましい。
【0024】
上記ケースユニットを用いた本発明の電子部品は、
前記第一ケースの前記環状部に収容された環状磁性コアと、前記第一ケースの前記環状部に巻回されたコイルとを含むコイル部品と、
前記コイル部品を収容した第二ケースと、
前記コイル部品を前記第二ケースに固定するために、前記第二ケース内に充填されたポッティング樹脂とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明のケースユニットは、(a) 環状磁性コアを収容するとともにコイルが巻回される環状部と、環状部から下方に延びる複数の脚部とを備えた第一ケースと、(b) 底部から延びる筒部を有し、筒部が環状部を覆うように第一ケースと係合する第二ケースとを具備し、(c) 環状部と脚部との間に筒部が進入するように第二ケースが第一ケースと係合する構造を有するので、構造が簡単で組立が容易でありながら、環状磁性コアにコイルが巻回されたコイル部品を確実に固定することができる。
【0026】
このような構造のケースユニットを用いた本発明の電子部品は、(a) 第一ケースの環状部に収容された環状磁性コアと、第一ケースの環状部に巻回されたコイルとを含むコイル部品と、(b) コイル部品を収容した第二ケースと、(c) コイル部品を第二ケースに固定するために、第二ケース内に充填されたポッティング樹脂とを備えているので、ポッティング樹脂に生じる亀裂の発生を低減することができる。本発明の電子部品は、繰り返し機械振動を受ける車載用電力変換装置に用いても脱落することがなく、信頼性の高い。このような電子部品は、優れた放熱性及び固定性のために高電圧大電流のリアクトル、トランス、チョークコイル等の電源回路装置に用いるのに好適であり、特にハイブリッド車や電気自動車等に搭載するのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態について添付図面を参照して以下詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で追加及び変更が可能である。また各実施形態の説明は特に断りがなければ他の実施形態にも適用される。いずれの実施形態においても、同じ構成部位には同じ参照番号を付与する。なお、以下の説明における上下は図面における上下を意味し、相対的なものであるので、例えば「上方」を「下方」と言い換えても構造が異なる訳ではない。
【0029】
[1] 第一の実施形態
(A) ケースユニット
図1は本発明の第一の実施形態によるケースユニット1を示す。ケースユニット1は、環状磁性コアを収容するとともにコイルが巻回される第一ケース2と、コイルが巻回された第一ケース2を受承する第二ケース4とを具備する。
図1では説明の簡単化のためにコイルを省略している。また、図示の実施形態では、第一ケース2の環状部及び第二ケース4の筒部はいずれも円筒状であるが、これに限定されるものではなく、断面楕円形状又は四角形状以上の多角形でも良い。
【0030】
(1) 第一ケース
図2は本発明の第一の実施形態による第一ケース2を示す。この第一ケース2は、環状部を形成するように組み立てられる第一ドーナツ状部材20及び第二ドーナツ状部材30により構成されている。
【0031】
(a) 第一ドーナツ状部材
図3、
図4(a) 及び
図4(b) に示すように、第一ドーナツ状部材20は、ドーナツ状上板部21と、二重壁円筒部22と、二重壁円筒部22の外側面から一体的に中心軸線C(z方向)と平行に下方に延出する複数(図示の例では一対)の脚部23とを有する。二重壁円筒部22は、ドーナツ状上板部21から一体的に下方に同心円状に延びる外側円筒状壁22a及び内側円筒状壁22bを有し、ドーナツ状上板部21、同心円状の外側円筒状壁22a及び内側円筒状壁22bは、環状磁性コアを部分的に収容するように下端が開口した有底環状空間20aを構成する。また内側円筒状壁22bは円柱状空間20bを構成する。
【0032】
外側円筒状壁22aの外面の直径上の位置(平面視で180°離隔した位置)から一対の脚部23が一体的に延出しており、各脚部23は、外側円筒状壁22aの外面から突出する側方突出部24と、側方突出部24から中心軸線Cに平行に下方に延びる延長部23aと、延長部23aの先端部から外方に水平(中心軸線Cと垂直な方向)に延びる固定部23bとを有する。勿論、延長部23aは完全に中心軸線Cに平行である必要はなく、多少傾斜していても良い。図示の例では一対の脚部23があるが、脚部23の数を3以上としても良い。また、一対の脚部23を有する場合、二重壁円筒部22の直径上に配置されている(それらの中心角は180°である)のが好ましいが、第二ケース4に別の固定部を設ければ脚部23の中心角は180°でなくても良い。固定部23bには、被装着体に装着するボルトを通す円形の貫通孔25が設けられている。被装着体に装着可能であれば、貫通孔25の代わりに切欠きを形成しても良い。
【0033】
各脚部23の側方突出部24は、コイルを巻回した二重壁円筒部22(閉鎖二重壁円筒部200のうちの第一ドーナツ状部材20における部分)を第二ケース4に収容する場合に干渉が起こらない寸法を有する。また、延長部23aは、第二ケース4の底板部と二重壁円筒部22の底板部とが所定の間隔で隔離するような寸法を有する。図示の例では、全ての脚部23の寸法は同じであるが、必要に応じて異なっていても良い。
【0034】
各側方突出部24の下面には、延長部23aの内面に接する位置に円弧状溝26が設けられている。円弧状溝26は、後述する第二ケース4の円筒部42の上端縁を受承する形状を有する。円弧状溝26は必要に応じて設けられるが、円筒部42の上端縁を受承する円弧状溝26により、第一ケース2に対する第二ケース4の位置決めが確実になる。
【0035】
(b) 第二ドーナツ状部材
図5に示すように、第二ドーナツ状部材30は、リング状底板部31と、リング状底板部31の円環状縁部から上方に同心円状に延びる外側円筒状壁32及び内側円筒状壁33とを有し、両円筒状壁32,33の上端は開口している。第一ドーナツ状部材20と同様に、第二ドーナツ状部材30の円筒状壁32,33も二重壁円筒部を構成し、またリング状底板部31、外側円筒状壁32及び内側円筒状壁33により形成された有底環状空間30aに環状磁性コアが部分的に収容される。第二ドーナツ状部材30の内側円筒状壁33は円柱状空間30bを形成する。
【0036】
第二ドーナツ状部材30は第一ドーナツ状部材20と組み立てられるので、
図6に示すように、外側円筒状壁32の外面のほぼ中央に環状段部32aが設けられており、環状段部32aより下方は厚肉外側円筒状壁部32bとなっており、上方は薄肉外側円筒状壁部32cとなっている。また、内側円筒状壁33の内面のほぼ中央に環状段部33aが設けられており、環状段部33aより下方は厚肉内側円筒状壁部33bとなっており、上方は薄肉内側円筒状壁部33cとなっている。
【0037】
図7に示すように第一ドーナツ状部材20と第二ドーナツ状部材30とが閉鎖二重壁円筒部(環状部)200を形成するように結合されると、第一ドーナツ状部材20の有底環状空間20aと第二ドーナツ状部材30の有底環状空間30aとは一体化し、環状磁性コアを収容する閉鎖環状空間2aを形成する。このように、第一ケース2の環状部200に環状磁性コアが収容される。また、第一ドーナツ状部材20の円柱状空間20bと第二ドーナツ状部材30の円柱状空間30bとは一体化し、コイルを構成する導線が貫通する中央貫通孔2bを形成する。
【0038】
第一ドーナツ状部材20の外側円筒状壁22a及び内側円筒状壁22bが形成する空間20aに、第二ドーナツ状部材30の薄肉外側円筒状壁部32c及び薄肉内側円筒状壁部33cが隙間なく嵌入するので、組み立てた後の第一ドーナツ状部材20及び第二ドーナツ状部材30の外側円筒状壁22a及び厚肉外側円筒状壁部32bの外面、並びに内側円筒状壁22b及び薄肉内側円筒状壁部33cの内面には実質的に段差がない。
【0039】
(2) 第二ケース
図8に示すように、第二ケース4は、円形底板部41と、円形底板部41の円環状縁部から垂直に上方に延びる円筒部(筒部)42と、円形底板部41の外周の直径上に設けられた一対の固定部43,43とを有し、各固定部43にボルトを通す貫通孔44が設けられている。第二ケース4の各固定部43の貫通孔44は、第一ケース2の第一ドーナツ状部材20の各固定部23bの貫通孔25に対応する位置にある。貫通孔44の代わりに切り欠きを用いてもよい。
図9に示すように第二ケース4に第一ケース2を収容するときに第一ケース2の外側円筒状壁32と延長部23aとの間に第二ケース4の円筒部(筒部)42が入るので、各延長部23aの内面は円筒部42の外面に沿った曲面状であるのが好ましい。また、第一ドーナツ状部材20の円弧状溝26に第二ケース4の円筒部42の上端縁部が受承される。これにより、第二ケース4の円筒部42は脚部23の延長部23aと面接触し、第二ケース4の正確な位置決めができる。
【0040】
上記構成により、第二ケース4の円筒部42は第一ケース2の閉鎖二重壁円筒部200から横方向(xy方向)に所定の間隔D
1で離隔し、第二ケース4の底板部41と第一ケース2の二重壁円筒部22の下端は、脚部23の延長部23aの長さL
1と固定部23bの厚さL
2との合計から第二ドーナツ状部材30の厚肉円筒状壁32b,33bの長さL
3を引いた間隔D
2で上下方向(z方向)に離隔している。そのため、コイルを巻回した閉鎖二重壁円筒部200と第二ケース4の円筒部42及び底板部41との間に空間65が確保され、ポッティング樹脂を充填することができる。また、閉鎖二重壁円筒部200の底部(第二ドーナツ状部材30の底板部31)の底面と第二ケース4の底板部41の上面との間に、ポッティング樹脂を充填する空間70が確保される。
【0041】
(B) ケースユニットへの組立
図10に示すように、第二ドーナツ状部材30の有底環状空間30aに環状磁性コア50を入れた後で、第二ドーナツ状部材30を第一ドーナツ状部材20の有底環状空間20aに入れ、第一ケース2を組み立てる。次に、第一ケース2にコイルを巻回した後、第一ケース2を第二ケース4に収容する。このようにして、
図1及び
図9に示すケースユニット1が得られる。なお、
図1及び
図9において、図示の簡単化のためにコイルを省略している。
【0042】
第一ケース2と第二ケース4とは、貫通孔25,44同士を重ね合わせて被装着体に装着可能である。車載用途のように被装着体への強固な固定が要求される場合には、重ね合わせた貫通孔25,44にボルト等の締結部材を挿入することにより、第一ケース2及び第二ケース4をともに被装着体に確実に固定するのが好ましい。なお、重ね合わせた貫通孔25,44にブッシュを嵌め込んで締結しても良い。
【0043】
(C) 材質
第一ケース2を構成する第一ドーナツ状部材20及び第二ドーナツ状部材30は、優れた絶縁性、耐熱性、可撓性及び成形性を有する樹脂により形成するのが好ましく、具体的にはポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が好ましい。第一ドーナツ状部材20及び第二ドーナツ状部材30の成形には射出成形法を用いることができる。
【0044】
コイルからの発熱が大きい高電圧大電流用の電子部品では、放熱性の観点から第二ケース4にアルミニウム又はその合金、マグネシウム又はその合金等のような熱伝導率に優れた非磁性金属を用いることができるが、コイルと第二ケース4との間隔を十分にとる必要があり、第二ケース4を大きくせざるを得ない。その場合、コイルと第二ケース4との間に、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー等の絶縁性樹脂からなるインシュレータを配置し、コイルと第二ケース4との間隔を狭めることができる。
【0045】
しかし、絶縁性だけでなく、第二ケース4の小型化及び低コスト化のために、第二ケース4も第一ケース2と同様に絶縁性樹脂で形成するのが好ましい。絶縁性樹脂の使用により、第二ケース4とコイルとの間隔を狭くしてケースユニット1を小形化できるだけでなく、成形が容易なために製造コストを低減でき、さらにポッティング樹脂との熱膨張差が少ないので亀裂を低減できる。
【0046】
[2] 第二の実施形態
図11は本発明の第二の実施形態による第一ケース2の第一ドーナツ状部材120を示す。この第一ドーナツ状部材120は、複数(図示の例では一対)の脚部123の構造に関して第一の実施形態の第一ドーナツ状部材20と異なる。
【0047】
脚部123は、外側円筒状壁22aから突出する側方突出部124と、側方突出部124と一体的でドーナツ状上板部21から突出する上方突出部125,126と、側方突出部124から中心軸線Cに平行に下方に延びる延長部123aと、延長部123aの先端部から外方に水平に延びる固定部123bとを有する。十分な巻線領域を確保するために、各上方突出部125,126は二重壁円筒部22の内方(円柱状空間20b側)に向けて先細る形状を有する。
【0048】
一対の上方突出部125,126は、二重壁円筒部22(閉鎖二重壁円筒部200のうち第一ドーナツ状部材120における部分)に巻回するコイルより僅かに高くするのが好ましい。コイルの高さを上方突出部125,126の高さと比較することにより、コイルの巻回が適正に行われたかを判定できる。二重壁円筒部22の軸線方向及び径方向に肉厚部を形成する側方突出部124及び上方突出部125,126により、二重壁円筒部22の強度は向上する。
【0049】
一対の上方突出部125,126は異なる形状にすることができる。第一の上方突出部125は二重壁円筒部22の円柱状空間20bを部分的に覆うまで延在し、2つのガイド孔131,132を有する。ガイド孔131は円柱状空間20bに開口しており、第一ドーナツ状部材120を第二ドーナツ状部材30に結合してなる第一ケース2の中央貫通孔2bから出る巻線の一端部が挿通される。またガイド孔132は側方突出部124に設けられた凹部127に開口しており、巻線の他端部が二重壁円筒部22より外方の位置に挿通される。本実施形態ではガイド孔131,132は貫通孔であるが、側方に開口する切り欠きでも良い。ガイド孔131,132により、二重壁円筒部22に巻回された導線の端部を導出し、簡単かつ高精度に位置決めすることができる。また、コイルの両端部を所定の距離に固定することにより、コイルに高電圧が印加されても高い絶縁耐性を確保できる。なお、ガイド孔132を省略し、巻線の他端部を外側円筒状壁22aに沿って上方に延ばしても良い。
【0050】
第二の上方突出部126は中央貫通孔2bに向けてドーナツ状上板部21の途中まで延在しており、ガイド孔は設けられていない。なお、全ての脚部123に上方突出部を設ける必要はなく、例えばガイド孔131,132を有する上方突出部125だけ設けても良い。
【0051】
[3] 第三の実施形態
図12(a)〜
図12(c) は本発明の第三の実施形態による第二ドーナツ状部材130を示す。第二ドーナツ状部材130は、第二の実施形態の第一ドーナツ状部材120の上方突出部125,126と対応するように底板部131から一体的に延在する一対の下方突出部34,34を有する。各下方突出部34は、円柱状空間30bに向けて先細るように断面半円状である。下方突出部34,34により、外側円筒状壁32における導線の偏りをいっそう抑えることができる。下方突出部34,34以外の部分については、第一の実施形態の第二ドーナツ状部材30と実質的に同じであるので説明を省略する。
【0052】
[4] 第四の実施形態
上記実施形態では第一ドーナツ状部材20,120と第二ドーナツ状部材30,130はともに磁性コアを収容するキャップ状であるが、第一ドーナツ状部材20,120を磁性コア全体を収容できる大きさにしても良い。その場合、(a) 第二ドーナツ状部材30,130を第一ドーナツ状部材20,120の下端開口部を閉じる底蓋体とするか、(b) 第二ドーナツ状部材30,130を第一ドーナツ状部材20,120の上端開口部を閉じる上蓋体とする。 (b) の場合を例にとって、以下詳細に説明する。
【0053】
例えば
図13〜
図15に示す例では、上方が開口した第一ドーナツ状部材220の上に下方が開口した第二ドーナツ状部材230を係合させる。第一ドーナツ状部材220と第二ドーナツ状部材230とを組合せてなる第一ケース2は第二の実施形態と実質的に同じ外観を有する。
【0054】
第一ドーナツ状部材220は、ドーナツ状下板部221と、二重壁円筒部222と、二重壁円筒部222の外面から一体的に中心軸線C(z方向)と平行に下方に延出する複数(図示の例では一対)の脚部223とを有する。二重壁円筒部222は、ドーナツ状下板部221の円環状縁部から一体的に上方に同心円状に延びる外側円筒状壁222a及び内側円筒状壁222bを有し、ドーナツ状下板部221、同心円状の外側円筒状壁222a及び内側円筒状壁222bは、環状磁性コアを収容するように上端が開口した有底環状空間220aを構成する。また内側円筒状壁222bは円柱状空間220bを構成する。有底環状空間220aは環状磁性コアを収容する。外側円筒状壁222aは、上端に近い内面部に水平(中心軸線Cに垂直)な環状段部225aを有し、内側円筒状壁222bは上端に近い内面部に水平(中心軸線Cに垂直)な環状段部225bを有する。各脚部223の側方突出部224は、上端に面する凹部227を有する。図示の例では、第一ドーナツ状部材220のドーナツ状下板部221に、第二ドーナツ状部材230の上方突出部235,236に対応する位置に、第三の実施形態と同じ一対の下方突出部34が設けられている。
【0055】
蓋体として機能する第二ドーナツ状部材230は、ドーナツ状上板部231と、ドーナツ状上板部231から一体的に中心軸線Cに沿って下方に延びる同心円状の外側円筒状壁232及び内側円筒状壁233とを有する。ドーナツ状上板部231は、第一ドーナツ状部材220の一対の脚部223の側方突出部224,224に当接する位置に、第二の実施形態と実質的に同じ一対の上方突出部235,236を有する。
【0056】
第一ドーナツ状部材220に環状磁性コアを収容した状態で第二ドーナツ状部材230を組合せると、外側円筒状壁232は第一ドーナツ状部材220の外側円筒状壁222aの内面に接して環状段部225aに当接し、また内側円筒状壁233は第一ドーナツ状部材220の内側円筒状壁222bの内面に接して、環状段部225bに当接する。このようにして、閉鎖二重壁円筒部(環状部)に環状磁性コアを収容した第一ケース2が得られる。なお、
図15では簡単化のために環状磁性コアを省略している。
【0057】
第二ドーナツ状部材230の上方突出部235に、第二の実施形態と同様に一対のガイド孔237,238が設けられている。ガイド孔237は、第一ドーナツ状部材220の円柱状空間220bに開口しており、第一ドーナツ状部材220を第二ドーナツ状部材230に結合してなる第一ケース2の中央貫通孔2bから出る巻線の一端部が挿通される。またガイド孔238は第一ドーナツ状部材220の側方突出部224に設けられた凹部227に開口しており、巻線の他端部が二重壁円筒部
222より外方の位置に挿通される。本実施形態ではガイド孔237,238は貫通孔であるが、側方に開口する切り欠きでも良い。
【0058】
[5] 第五の実施形態
図16は本発明の第五の実施形態による第二ケース14を示す。第二ケース14は、環状底部141を一体的に有する垂直な円筒体(筒部)142と、環状底部141に固定された底板146とから構成される。円筒体142には、第一ケース2の脚部23の延長部23aを受承する垂直凹部145が設けられている。
図17に示すように、底板146は、円形部147と、その直径上両端から突出する一対の固定部43,43とを有し、各固定部43には脚部23の貫通孔25と対応する位置に円形の貫通孔44が設けられている。底板146は均一な厚さを有して良い。円筒体142を上記のような絶縁性樹脂により形成し、底板146をアルミニウム、マグネシウム、ステンレススチール、銅等の非磁性金属により形成するのが好ましい。
【0059】
円筒体142の環状底部141に底板146を固定すると、環状底部141の中央開口部から底板146の円形部147が露出するので、底板146は放熱板として効果的に機能することができる。円筒体142の垂直凹部145に第一ケース2の脚部23の延長部23aが入るように第一ケース2と第二ケース4と組み立てると、第一ケース2の貫通孔25と第二ケース14の貫通孔44とが重なり、得られたケースユニット1をボルトにより被装着体に固定することができる。
【0060】
[2] 電子部品
いずれの実施形態のケースユニットを用いても本発明の電子部品を構成することができるので、便宜上第一の実施形態のケースユニットを用いた場合について以下詳細に説明する。
図18及び
図19は電子部品100を構成するコイル部品150を示し、
図20及び
図21はコイル部品150を第二ケース4に収容した電子部品100を示す。
図18に示すように、コイル部品150ではコイル60の両端部61,62を上方(脚部23の固定部23bと反対の方向)に引き出し、端子部材(図示せず)に接続する。勿論コイル60の両端部61,62の引き出し方向は限定的でなく、例えば横方向(第一ケース2の径方向)に引き出しても良い。
【0061】
電子部品100は、
図19に示すように環状磁性コア50を収容した第一ケース2にコイル60を巻回したコイル部品150と、コイル部品150を収容する第二ケース4とを含む。電子部品100は、
図22に示すようにボルト110によりアルミフレーム等の被装着体90に固定される。
【0062】
まず、
図10に示すように第二ドーナツ状部材30の外側円筒状壁32及び内側円筒状壁33により形成された環状空間30aに、それとほぼ同じ外形の環状磁性コア50を配置し、次いで第二ドーナツ状部材30の外側円筒状壁32及び内側円筒状壁33を第一ドーナツ状部材20の外側円筒状壁22a及び内側円筒状壁22bに係合させる。これにより、
図7に示すように閉鎖二重壁円筒部(環状部)200の閉鎖環状空間2aに環状磁性コア50を収容した第一ケース2が得られる。なお、
図7では環状磁性コアを省略している。
【0063】
環状磁性コア50として、(a) 電磁鋼板の積層体コア、(b) Fe-B-Si-C系合金等の非晶質合金薄帯又はFe-B-Si-Cu-Nb系合金等のナノ結晶合金薄帯のトロイダルコア又は積層体コア、(c) Fe-B-Si-C系合金、Fe-B-Si-Cu-Nb系合金、Fe-Si系合金,Fe-Ni系合金,Fe-Al系合金,Fe-Co系合金,Fe-Cr系合金,Fe-Si-M系合金(MはCr又はAl)等の軟磁性Fe基合金の粉末とバインダー樹脂との成形体コア、(d) フェライトコア等を用いることができる。環状磁性コア50に必要に応じて磁気ギャップを設けても良い。環状磁性コア50は、扇状や柱状等の形成された磁性コアを複数の磁気ギャップを介して環状空間30aに並べて構成しても良い。磁気ギャップは耐熱樹脂、非磁性セラミック、空隙等で形成することが出来る。
【0064】
環状磁性コア50を収容した第一ケース2の閉鎖二重壁円筒部(環状部)200の外周に、導線(例えば、銅線にポリアミドイミドを被覆したエナメル線)を巻回してコイル60を構成する。コイル60を形成する導線は円形状、長方形状等の種々の断面形状のものを用いることができるが、長方形状断面の導線を用いればコイルの占積率を高めることができる。コイル60の巻数は、要求されるインダクタンスに基づいて適宜設定し、また線径も通電される電流により適宜選択する。
【0065】
磁性コア全体が絶縁性樹脂からなる第一ケース2の環状空間に収容されるので、環状磁性コアとコイル60との間に十分な絶縁性が確保され、コイル60の両端に高電圧を印加しても絶縁破壊の問題は生じない。
【0066】
本実施形態では一つのコイル60を設けたが、閉鎖二重壁円筒部200に別のモニター用のコイルを設けても良いし、複合リアクトルの場合にはインダクタ数に応じた数のコイルを設けても良い。
【0067】
第一ケース2の脚部23の側方突出部24の円弧状溝26に、第二ケース4の円筒部(筒部)42の上端縁部を挿入し、第一ケース2に第二ケース4を組み立てる。従って、コイル60は、脚部23の側方突出部24に形成された円弧状溝26より内側の領域にある必要がある。またz方向では、コイル60は第二ケース4の底板部41の上面に達しない。コイル60は第二ケース4により部分的に覆われる。第二ケース4の底板部41の底面は被装着体への実装面となる。第二ケース4を絶縁性樹脂で形成すると、コイル60と第二ケース4が近接しても十分な絶縁性が確保されるので、コイル60と被装着体との距離を短くでき、その分放熱性を高くできる。
【0068】
第一ケース2の脚部23の長さ、第二ケース4の円筒部42の高さ、及び第一ケース2の円弧状溝26の深さは、第一ケース2の脚部23の固定部23bを第二ケース4の固定部43に重ねたときに、(a) 第二ケース4の円筒部42の上端縁部が第一ケース2の円弧状溝26の奥に僅かに達しなく、かつ(b) コイル60と第二ケース4の底板部41との間に僅かな隙間70があるように設定する。第二ケース4は第一ケース2の二重壁円筒部22を完全に覆う必要はなく、少なくとも一部を覆えば良い。
【0069】
第一ケース2の固定部23bの貫通孔25と第二ケース4の固定部43の貫通孔44とをピン等の位置決め手段により仮固定した状態で、液状のポッティング樹脂80をコイル部品150の中央貫通孔2bより第二ケース4内に充填し、コイル60を浸漬する。第二ケース4に充填した液状ポッティング樹脂80を加熱硬化する。
【0070】
ポッティング樹脂80として、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができるが、更に熱伝導性に優れたアルミナ等の絶縁性フィラーを配合しても良い。フィラーを配合するとポッティング樹脂80の粘度が高くなるので、加熱状態のケースユニット1に加熱したポッティング樹脂80を充填するのが好ましい。減圧下で充填することにより、ポッティング樹脂80から気泡を取り除くことができる。
【0071】
電子部品の小型化や放熱性向上等の要求から、ポッティング樹脂80を充填する空間は十分な絶縁性を確保できる限りできるだけ狭くするのが好ましく、コイル60と第二ケース4の円筒部42及び底部41との間隔を数mm以下とするのが好ましい。このように狭い空間にポッティング樹脂80を充填するために、十分な時間をかける必要がある。
【0072】
さらに、第二ケース4内にコイル部品150を等間隔で位置決めしなければ、電子部品ごとにポッティング樹脂80を充填する空間がばらつき、電子部品の絶縁性及び放熱性が低下する。本発明のケースユニット1を用いると、コイル部品150の正確な位置決めを簡単かつ確実にできる。そのため、本発明のケースユニット1を用いた電子部品では、ポッティング樹脂80の充填にばらつきがなく、もってポッティング樹脂80の亀裂や空孔を防止できる。
【0073】
ポッティング樹脂80を十分な固定強度が確保できる高さまで充填するが、本発明のケースユニット1では第一ケース2及び第二ケース4がともに被装着体90に固定されるので、ポッティング樹脂80でコイル部品150の全体を覆う必要はなく、ポッティング樹脂80の量を少なくできる。第二ケース4の円筒部42を絶縁性樹脂により形成すれば、ポッティング樹脂80の絶縁性向上の役割は小さくてすむので、ポッティング樹脂80の量をさらに少なくできる。第二ケース4が金属からなる場合、ポッティング樹脂80の液面は、コイル60の高さの1/4以上で第二ケース4の円筒部42の上端より低い位置であれば良い。
【0074】
第一ケース2を構成する第一ドーナツ状部材20と第二ドーナツ状部材30との接合部の高さまでポッティング樹脂80を充填すれば、二重壁円筒部22の気密性が増し、Fe基合金等の磁性コアの錆びを防ぐことができる。
【0075】
図22に示すように、被装着体90には第一ケース2の貫通孔25及び第二ケース4の貫通孔44に対応して、ボルト110が挿入されるネジ孔125が設けられている。第一ケース2の脚部23の固定部23bと第二ケース4の固定部43とを重ね合せた状態で各貫通孔25,44に通したボルト110を被装着体90のネジ穴125に螺合定着する。
【0076】
通電によりコイル60が発生する熱はポッティング樹脂80及び第二ケース4を伝わって被装着体90に放熱される。以上説明したように、本発明によれば、大電圧及び大電流で動作する車載用電子部品でも、優れた絶縁性及び放熱性を発揮し、かつ被装着体に強固に固定することができる。