(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルが、前記第1ノズルパターンを有する高圧水蒸気噴射ノズルと前記第2ノズルパターンを有する高圧水蒸気噴射ノズルとを含み、少なくとも2つの別個独立の高圧水蒸気噴射ノズルから成る高圧水蒸気噴射ノズルである、請求項1に記載の不織布を製造する方法。
前記高圧水蒸気を噴射する工程が、前記ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルを用いて前記紙層の全体の繊維をほぐして、前記紙層の前記一方の面に、機械方向に延在して幅方向に間欠的に並ぶ凹部及び凸部を形成する、工程である、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布を製造する方法。
前記高圧水蒸気を噴射する工程において、前記高圧水蒸気の蒸気圧力が0.2MPa以上1.5MPa以下であって、かつ、サクションドラム又は前記ベルトの吸引力が-1kPa以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の不織布を製造する方法。
前記高圧水蒸気を噴射する工程後の前記紙層の水分率が0%以上40%以下であって、かつ、前記高圧水蒸気を噴射する工程前の前記紙層の水分率より少なくとも5%低い、請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布を製造する方法。
前記ベルト上に前記紙層を形成する工程の後に、前記ベルト上に形成された前記紙層の前記少なくとも2つの面のうちの一方の面に高圧水流を噴射し、前記紙層の該一方の面に、前記機械方向に延在して前記幅方向に間欠的に並ぶ溝部を形成する工程を更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布を製造する方法。
前記高圧水流を噴射する工程の後に、前記高圧水流が噴射された前記紙層が10%以上45%以下の水分率になるように、前記高圧水流が噴射された前記紙層を、第1回転円筒状ドライヤーの表面に沿わせることによって乾燥する工程を更に含む、請求項8に記載の不織布を製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による不織布を製造する方法は、水分を含んだ抄紙原料を、一方向に移動するベルト上に供給して、ベルト上に、少なくとも2つの面を有する紙層を形成する工程と、ベルト上に形成された紙層の少なくとも2つの面のうちの一方の面に、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルを用いて高圧水蒸気を噴射する工程とを含み、高圧水蒸気を噴射する工程において用いられるノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルが、少なくとも2種類のノズルパターンを有することを特徴とする、不織布を製造する方法である。紙層が有する少なくとも2つの面は、機械方向(MD方向)に対応する方向1と、方向1に交差して幅方向(CD方向)に対応する方向2と、方向1及び方向2に対して垂直をなす方向3と、方向3に対して垂直をなす一方の面と、その1つの面に対して方向3に対向する他方の面とであることが好ましい。そして、紙層が有する、その2つの面のうち、ベルトの面に接する面を紙層の裏面といい、その裏面に対して紙層の厚さ方向に対向する面を紙層の表面という。2つの面のうちの一方の面が紙層の裏面であり、かつ、2つの面のうちの他方の面が表面であってもよく、また、2つの面のうちの一方の面が紙層の表面であり、かつ、2つの面のうちの他方の面が裏面であってもよい。本発明におけるノズルとは、1又は複数の孔を有する、液体又は気体を噴出するための装置をいう。本発明におけるノズルは任意の形状でよいが、ボックス型の形状であることが好ましい。
【0011】
本発明による不織布を製造する方法によって、高圧水蒸気により、部分凸凹賦型処理を行う前に、より細かな孔径ノズルで高圧水蒸気により、紙層全体のほぐし処理を行うことにより、ほぐし処理無しに比べ少ない蒸気量で、効率的に凸凹賦型処理を行う事が可能となり、高圧水蒸気によりほぐし処理を行うことにより、紙層中の繊維交絡をほぐすと同時に水分除去効果が発現し、紙層水分率をほぼ均一に5%以上低下させることができ、また、賦型処理後の乾燥効率を高める事が可能であり(例えば、ほぐし処理が無い場合:部分賦型用蒸気吹付け部水分率14%、蒸気吹付けしない部分水分率40%、ほぐし処理を行った場合:部分賦型用蒸気吹付け部水分率10%、蒸気吹付けしない部分水分率32%、となり紙層水分率が低下し、乾燥効率が良くなる)、さらに、ほぐし処理を行った際に、不織布全面に小さな凸凹賦型が発現し、部分賦型用蒸気吹付け部では消えてしまうが、蒸気を吹付けしない部分では、小さな凸凹賦型が残存しているため、不織布が全体的に柔らかく嵩高に仕上げる事が可能であり、さらにまた、部分凸凹ノズルによる大きな賦型部とほぐしノズルによる小さな凸凹賦型部がシートの幅方向で出来ることから、ワイプスとして使用した場合、大きな汚れ(おしり拭きでは便)は大きな凸凹部に掻き取り捕集され、拭き残り等の微小な汚れは、小さな凸凹部で拭き取られ、仕上げ拭き効果が発現し、大きな汚れと小さな汚れを効率良く1枚のシートで拭き取り可能である。
【0012】
また、本発明による不織布を製造する方法によれば、紙層形成後、(高圧水流処理により繊維を交絡させて紙層の強度を持たせた後、)搬送コンベアへの搬送工程、プレス工程、回転円筒状ドライヤーに紙層を搬送する工程等の、紙層に圧力がかかり紙層厚みが低下する工程を通過し、少なくとも1つの回転円筒状ドライヤーを通過後、少なくとも2種類以上のノズルパターンを有する蒸気ノズルにて熱と圧力を同時に付与することにより、紙層にノズル跡をつけながら繊維を掻き分けることによって凸凹を形成し、嵩高にすると同時に繊維がほぐされて柔軟性も増大するとともに、紙層の水分率が低下し、その後の乾燥効率が良くなる。この時、水蒸気を吹付ける2種類以上のノズルパターンとしては、紙層全面吹付ける第1パターンと紙層の面の部分吹付ける第2パターンとに分けることができ、先ずは紙層全面吹付けの第1パターンにて、紙層全面に衝撃を与え、繊維が動き易いようにほぐす効果と紙層全面の水分率を均一に低下させ、乾燥効率を高める。次いで、紙層部分吹付けの第2パターンにて、先にほぐされた紙層の繊維を吹寄せ大きな凸凹賦型を形成し嵩高な紙層を得ることができる。紙層全面吹付けパターンにて、予め紙層の繊維交絡が軽度にほぐされているため、パターン付与が、より少ない蒸気量で可能となり、また乾燥効率も上がる為、生産時のランニングコストを低減することが可能となる。逆に紙層全面吹付けパターンは、蒸気を全面に吹付けする為に孔径が大きいと、ほぐし過ぎて部分凸凹パターン賦型が見え難くなり、アピアランス性が低下することと、吹付ける水蒸気量が多く必要となり、むしろランニングコストが高くなってしまう。よって、第1ノズルパターンは小孔径でノズル間隔が小ピッチが好ましい。第2ノズルパターンは、紙層を嵩高にする為に大孔径で、ノズル間隔大ピッチが好ましい。また、高圧飽和水蒸気による凸凹形成を効率良く行うためには、繊維が動き易いように紙層が水分を含んでいる事が重要となる。水分率が低過ぎると、紙層に水素結合力が強く発生し、凸凹を形成するための高圧蒸気エネルギーが多大に必要となり、効率が著しく低下する。しかしながら、高圧蒸気処理を行う際の紙層水分率が高いと、高圧蒸気処理で最終乾燥を兼ねている場合、高圧蒸気エネルギーが多大に必要となり、効率が著しく悪くなる。また、この時、乾燥効率を高めるために、第1回転円筒状ドライヤー温度よりも高い温度の高圧蒸気を吹き付け、高圧蒸気処理後の紙層水分率を5%以上低減するとともに、紙層温度が第1回転円筒状ドライヤー出口の紙層温度と同等以上にする事により、第2回転円筒状ドライヤーでの最終乾燥効率を有効に高めることができる。また、ある程度乾燥した(生乾き)状態での高圧蒸気処理となるため、乾燥を進めながら凸凹賦型を形成し、巻き取り時にも嵩が潰れ難い賦型状態をつくることができる。また、通常高圧水蒸気賦型により紙層強度は低下し賦型条件によっては、強度が低くなり過ぎ、生産時に切れ等が発生し易くなるというトラブルが発生するが、本発明による不織布を製造する方法では、賦型と同時に乾燥を促進(乾燥すると水素結合力が発生)するため、凹凸の賦型処理による極端なシート強度低下が起こらず、生産性を悪化させる切れ等のトラブル発生を防ぐ事が出来る。
【0013】
本発明による不織布を製造する方法によれば、高圧水蒸気による部分吹付けを先に行い、その後、高圧水蒸気による全面吹付けによる全面ほぐし処理を行った場合、水分率低減効果とシート全体的な柔らかさ向上効果は発現させることが出来るが、部分賦型処理による大きな凸凹賦型が付き難く、嵩高性が先にほぐし処理を行う場合より悪くなるので、よって、処理の順番としては、先に全面ほぐし処理を行い、次いで部分賦型処理を行う方が好ましい。
【0014】
本発明による不織布を製造する方法によって得られた不織布は、構成する繊維の繊維長を20mm以下の水中分散可能な繊維とすることで、使用後にトイレに廃棄可能な水解性を付与可能である。
【0015】
以下、図を参照しながら、本発明による不織布を製造する方法について更に詳細に説明をする。なお、本発明の不織布を製造する方法は、本発明の目的及び主旨を逸脱しない範囲で、図で表される本発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0016】
図1は、本発明による不織布を製造する方法の1実施形態で使用する不織布製造装置1を説明するための図である。繊維懸濁液などの水分を含んだ抄紙原料が原料供給ヘッド11に供給される。原料供給ヘッド11に供給された抄紙原料は、原料供給ヘッド11から紙層形成コンベア16のベルト(紙層形成ベルトともいう)に供給され、紙層形成ベルト上に堆積する。紙層形成ベルトは、蒸気が通過可能な通気性を有する支持体であることが好ましい。たとえば、ワイヤーメッシュ、毛布などを紙層形成ベルトとして使用できる。
【0017】
原料供給ヘッド11に供給された抄紙原料に用いる繊維として、たとえば繊維長20mm以下の短繊維が好ましい。このような短繊維には、たとえば針葉樹や広葉樹の化学パルプ、半化学パルプ及び機械パルプなどの木材パルプ、これら木材パルプを化学処理したマーセル化パルプ及び架橋パルプ、麻や綿などの非木材系繊維並びにレーヨン繊維などの再生繊維のようなセルロース系繊維、並びにポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維及びポリアミド繊維のような合成繊維などが挙げられる。抄紙原料に用いる繊維は、とくに木材パルプ、非木材パルプ、レーヨン繊維などのセルロース系繊維が好ましい。
【0018】
紙層形成ベルト上に堆積した抄紙原料は吸引ボックス15により適度に脱水され、紙層23が形成する。紙層23は、紙層形成ベルト上に配置された2台の高圧水流ノズル12と、紙層形成ベルトを挟んで高圧水流ノズル12に対向する位置に配置された2台の吸引ボックス15との間を通過する。高圧水流ノズル12は紙増23に高圧水流を噴射する。吸引ボックス15は高圧水流ノズル12から噴射された水を吸引して回収する。高圧水流ノズル12から高圧水流が紙層23に噴射され、紙層23の表面に溝部が形成される。
【0019】
高圧水流ノズル12は、紙層23の幅方向(CD)に並んだ複数の高圧水流を紙層23に向けて噴射する。その結果、紙層23の表面には、紙層23の幅方向(CD)に間欠的に並び、機械方向(MD)に延びる複数の凹部が形成される。
【0020】
紙層23が高圧水流を受けると、紙層23に溝部が形成されるとともに紙層23の繊維同士が交絡し、紙層23の強度が高くなる。
【0021】
高圧水流ノズル12が高圧水流を紙層23に噴射すると、高圧水流は、紙層23及び紙層形成ベルトを通過する。これにより紙層23の繊維は、高圧水流が紙層形成ベルト41を通過する所定の部分に向かって引き込まれることになる。その結果、紙層23の繊維が、高圧水流が紙層形成ベルトを通過する所定の部分に向かって集まり、これにより繊維同士が交絡することになる。
【0022】
紙層23の繊維同士が交絡することにより紙層23の強度は高くなる。これにより、後の工程で、高圧水蒸気を紙層23に噴射しても、紙層23に孔が開いたり、紙層23が破れたり、及び吹き飛んだりすることが少なくなる。また、抄紙原料に紙力増強剤を添加しなくても紙層23の湿潤強度を増加させることができる。
【0023】
高圧水流によって紙層23の表面に溝部が形成される。高圧水流が噴射された面の反対側の面には、紙層形成ベルトのパターンに対応するパターン(不図示)が形成される。
【0024】
その後、
図1に示すように、紙層23は、吸引ピックアップ17によって紙層搬送コンベア18に搬送される。さらに、紙層23は紙層搬送コンベア19に搬送され、そして、第1回転円筒状ドライヤー20に搬送される。
【0025】
第1回転円筒状ドライヤー20の表面に紙層23を沿わせることによって、高圧水流が噴射された紙層23は乾燥される。第1回転円筒状ドライヤーとしては、たとえば、ヤンキードライヤが用いられてよい。第1回転円筒状ドライヤー20は、回転する円筒状ドライヤーでよく、第1回転円筒状ドライヤー20の表面は蒸気などにより約160℃に加熱されてよい。
【0026】
第1回転円筒状ドライヤー20は、好ましくは10〜45%、より好ましくは20〜40%の水分率になるように紙層23を乾燥する。ここで、水分率とは、紙層23の乾燥質量を100%としたときの紙層に含有している水の量である。
【0027】
紙層23の水分率が10%よりも小さいと、紙層23の繊維間の水素結合力が強くなり、後述の高圧水蒸気によって紙層23の繊維をほぐすために必要なエネルギーが非常に高くなる場合がある。また、紙層23の水分率が10%よりも小さいと、第1回転円筒状ドライヤー20の表面への紙層23の付着力が弱くなる場合がある。
【0028】
一方、紙層23の水分率が45%よりも大きくなると、後述の高圧水蒸気によって紙層23を所定の水分率以下に乾燥させるために必要なエネルギーが非常に高くなる場合がある。また、紙層23の水分率が45%よりも大きくなると、紙層中の繊維間の水素結合力が弱くなる場合がある。
【0029】
次に、
図1に示すように、第1回転円筒状ドライヤー20を通過した紙層23は、円筒状のサクションドラム13のメッシュ状の外周面上に移動する。その後、
図2及び
図3に示すように、サクションドラム13の外周面の上方に配置された、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-1及び14−2から高圧水蒸気が紙層23に噴射される。
図2に示されるノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-1は、1つのノズル(1本型ノズル)の場合である。
図3に示されるノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-2は、2つのノズル(2本型ノズル)の場合である。高圧水蒸気を噴射する紙層23の面は、高圧水流を噴射した面の反対側の面であることが好ましい。すなわち、高圧水流を噴射した面が紙層23の表面である場合、高圧水蒸気を噴射する面は紙層23の裏面であることが好ましい。高圧水流を噴射した面の反対側の面における紙層23の繊維に比べて、高圧水流を噴射した面における紙層23の繊維は強く交絡しており、高圧水蒸気によって紙層中の繊維をほぐすのに、よりエネルギーを要する場合があるからである。サクションドラム13は吸引装置を内蔵しており、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-1及び14−2から噴射された高圧水蒸気は吸引装置によって吸引される。
図2及び
図3に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-1及び14−2から噴射された高圧水蒸気を、まず、紙層23の裏面に対して全面吹き付けを実施して紙層全体の繊維をほぐして、その後、紙層23の裏面に対して部分吹き付けを実施して高圧水流によって形成された溝部よりも幅が大きい、凸部32及び凹部33が形成される。凸部32及び凹部33は機械方向(MD方向)に延在して、幅方向(CD方向)に間欠的に並ぶことができる。
【0030】
ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-1及び14−2から噴射される高圧水蒸気は、100%の水からなる水蒸気でもよいし、空気などの他の気体を含んだ水蒸気でもよい。しかし、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14-1及び14−2から噴射される高圧水蒸気は、100%の水からなる水蒸気であることが好ましい。
【0031】
高圧水蒸気の温度は、好ましくは105〜220℃である。これにより、高圧水蒸気を紙層23に噴射しているときも紙層23の乾燥は進み、紙層23は嵩が高くなるのと同時に乾燥する。紙層23が乾燥すると紙層23の繊維同士の水素結合が強くなるので、紙層23の強度は高くなり、紙層23の高くなった嵩はつぶれにくくなる。また、紙層23の強度は高くなることによって、高圧水蒸気の噴射により紙層23に穴が開いたり、紙層23が切れたりすることを防止できる。
【0032】
図4は、高圧水流ノズルのノズルパターン41、並びにノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42及びノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの2つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターン43を示す1例の図である。高圧水流ノズルのノズルパターン、並びにノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン及びノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの2つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターンはそれぞれ孔径及びノズルピッチで決定される。高圧水流ノズルのノズルパターン41は、孔が紙層の幅方向(CD方向)に列をなして1列に並んで配置される。高圧水流ノズルのノズルパターン41の孔径は、90〜150μmでよい。高圧水流ノズルのノズルパターン41の孔径が90μmよりも小さいと、高圧水流ノズルが詰まりやすくなる場合があり、孔径が150μmよりも大きいと、処理効率が悪くなる場合がある。
【0033】
図4に示すように、高圧水流ノズルのノズルパターン41のノズルピッチ(幅方向(CD方向)に隣接する2つの孔の中心間の距離)は、0.5〜1.0mmでよい。高圧水流ノズルのノズルパターン41のノズルピッチが0.5mmよりも小さいと、ノズルの耐圧が低下し、破損する場合があり、ノズルピッチが1.0mmよりも大きいと、繊維交絡が不十分となる場合がある。
【0034】
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42は、第1ノズルパターンの孔が紙層の幅方向(CD方向)に列をなして1列に並んで配置され、第2ノズルパターンの孔が紙層の幅方向(CD方向)に列をなして、機械方向(MD方向)に2列に並んで配置される。したがって、
図2に示すように、第1ノズルパターンによる、幅方向(CD方向)に並んだ複数の高圧水蒸気31は、機械方向(MD方向)に1列に並び、第2ノズルパターンによる、幅方向(CD方向)に並んだ複数の高圧水蒸気31は、機械方向(MD方向)に2列に並ぶ。なお、第1ノズルパターンの幅方向(CD方向)に並んだ1の孔列が機械方向(MD方向)に並ぶ列の数は、1に限定されず、2以上であってもよい。そして、第2ノズルパターンの幅方向(CD方向)に並んだ2の孔列が機械方向(MD方向)に並ぶ列の数は、2に限定されず、1、又は3以上であってもよい。また、複数のノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の1つのノズル(1本型ノズル)を、機械方向(MD方向)に並べることによって、幅方向(CD方向)に列をなした複数の孔列を機械方向(MD方向)に列をなすように並べてもよい。なお、幅方向(CD方向)に列をなした複数の孔列が、機械方向(MD方向)に複数で列をなすように孔を配置することによって、凹凸部を紙層に確実に形成させて、これにより、紙層の嵩を確実に高めてもよい。
【0035】
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの2つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターン43は、第1高圧水蒸気噴射ノズルが有する第1ノズルパターンの孔が紙層の幅方向(CD方向)に列をなして1列に並んで配置され、第2高圧水蒸気噴射ノズルが有する第2ノズルパターンの孔が紙層の幅方向(CD方向)に列をなして2列に並んで配置される。したがって、
図3に示すように、第1ノズルパターンによる、幅方向(CD方向)に並んだ複数の高圧水蒸気31は、機械方向(MD方向)に1列に並び、第2ノズルパターンによる、幅方向(CD方向)に並んだ複数の高圧水蒸気31は、機械方向(MD方向)に2列に並ぶ。なお、第1ノズルパターンの幅方向(CD方向)に並んだ1の孔列が機械方向(MD方向)に並ぶ列の数は、1に限定されず、2つ以上であってもよい。そして、第2ノズルパターンの幅方向(CD方向)に並んだ2つの孔列が機械方向(MD方向)に並ぶ列の数は、2つに限定されず、1つ、又は3つ以上であってもよい。また、複数のノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の2つのノズル(2本型ノズル)を、機械方向(MD方向)に並べることによって、幅方向(CD方向)に列をなした複数の孔列を機械方向(MD方向)に並ぶようにしてもよい。なお、幅方向(CD方向)に並んだ複数の孔列が、機械方向(MD方向)に複数並ぶように孔を配置することによって、凹凸部を紙層に確実に形成させて、これにより、紙層の嵩を確実に高めてもよい。
【0036】
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第1ノズルパターンの孔径は200〜400μmであることが好ましい。ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第1ノズルパターンの孔径が200μmよりも小さいと、エネルギー量が少な過ぎ、紙層がほぐせないという場合があり、孔径が400μmよりも大きいと、エネルギー量が大き過ぎ、紙層をほぐし過ぎることと蒸気量が多く必要となり非効率となるという場合がある。ノズルパターン42の第1ノズルパターンのノズルピッチ(幅方向(CD方向)に隣接する2つの孔の中心間の距離)は、1mm〜20mmであることが好ましい。
図4に示すように、ノズルピッチは一定の距離でもよいし、
図4に示すのとは異なり、ノズルピッチは一定の距離でなくてもよい。ノズルピッチ1mmよりも小さいと、紙層全面が処理され上手く凸凹賦型が形成され難くなる事と蒸気量が多くなり非効率という場合があり、ノズルピッチが20mmよりも大きいと、凸凹賦型間隔が広くなり過ぎ凸凹が潰れ易くなるという場合がある。
【0037】
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第2ノズルパターンの孔径は200μm〜600μmであることが好ましい。ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第2ノズルパターンの孔径が200μmよりも小さいと、エネルギー量が少な過ぎ、紙層がほぐせないという場合があり、孔径が600μmよりも大きいと、エネルギー量が大き過ぎ、紙層をほぐし過ぎることと蒸気量が多く必要となり非効率となるという場合がある。
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第2ノズルパターンのノズルピッチ(幅方向(CD方向)に隣接する2つの孔の中心間の距離)は、2〜20mmであることが好ましい。
図4のように、ノズルピッチは一定の距離でなくてもよいし、
図4とは異なり、ノズルピッチは一定の距離でもよい。ノズルピッチが2mmよりも小さいと、紙層全面が処理され上手く凸凹賦型が形成され難くなる事と蒸気量が多くなり非効率という場合があり、ノズルピッチが20mmよりも大きいと、凸凹賦型間隔が広くなり過ぎ凸凹が潰れ易くなるという場合がある。
【0038】
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの2つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターン43の第1ノズルパターンの孔径は200μm〜400μmであることが好ましい。ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの2つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターン43の第1ノズルパターンの孔径が200μmよりも小さいと、エネルギー量が少な過ぎ、紙層がほぐせないという場合があり、孔径が400μmよりも大きいと、エネルギー量が大き過ぎ、紙層をほぐし過ぎることと蒸気量が多く必要となり非効率となるという場合がある。ノズルパターン42の第1ノズルパターンのノズルピッチ(幅方向(CD方向)に隣接する2つの孔の中心間の距離)は、1mm〜20mmであることが好ましい。
図4に示すように、ノズルピッチは一定の距離でもよいし、
図4に示すのとは異なり、ノズルピッチは一定の距離でなくてもよい。ノズルピッチ1mmよりも小さいと、紙層全面が処理され上手く凸凹賦型が形成され難くなる事と蒸気量が多くなり非効率という場合があり、ノズルピッチが20mmよりも大きいと、凸凹賦型間隔が広くなり過ぎ凸凹が潰れ易くなるという場合がある。
【0039】
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第2ノズルパターンの孔径は200μm〜600μmであることが好ましい。ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42の第2ノズルパターンの孔径が200μmよりも小さいと、エネルギー量が少な過ぎ、紙層がほぐせないという場合があり、孔径が600μmよりも大きいと、エネルギー量が大き過ぎ、紙層をほぐし過ぎることと蒸気量が多く必要となり非効率となるという場合がある。
図4に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズルの1つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターン43の第2ノズルパターンのノズルピッチ(幅方向(CD方向)に隣接する2つの孔の中心間の距離)は、2〜20mmであることが好ましい。
図4のように、ノズルピッチは一定の距離でなくてもよいし、
図4に示すのとは異なり、ノズルピッチは一定の距離でもよい。ノズルピッチが2mmよりも小さいと、紙層全面が処理され上手く凸凹賦型が形成され難くなる事と蒸気量が多くなり非効率という場合があり、ノズルピッチが20mmよりも大きいと、凸凹賦型間隔が広くなり過ぎ凸凹が潰れ易くなるという場合がある。
【0040】
ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14から噴射される高圧水蒸気の蒸気圧力は、好ましくは0.2〜1.5MPaである。高圧水蒸気の蒸気圧力が0.2MPaよりも小さいと、紙層23の嵩が、高圧水蒸気31によってあまり高くならない場合がある。また、高圧水蒸気の蒸気圧力が1.5MPaよりも大きいと、紙層23に孔が開いたり、紙層23が破れたり、及び吹き飛んだりする場合がある。
【0041】
紙層23に高圧水蒸気31が噴射されると、まず、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の第1ノズルパターンによる噴射によって、紙層23の裏面の全体を吹付けて、紙層23全体の繊維がほぐれ、そして、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の第2ノズルパターンによる噴射によって、紙層23の裏面の少なくとも1つの部分を吹付けて、紙層23の嵩は高くなる。これにより、紙層23の柔軟性が高まり、紙層23の触感が改善される。
【0042】
ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14が高圧水蒸気31を噴射すると、高圧水蒸気31はサクションドラム13にあたる。高圧水蒸気31は、大部分はサクションドラム13にはね返される。これにより紙層23の繊維は、巻き上がり、そしてほぐされる。そして、ほぐされた紙層23の繊維は、高圧水蒸気31によってかき分けられる。結果として、紙層23に、第1ノズルパターンによる高圧水蒸気31の噴射よって、小さな凹部及び凸部(図示されていない。)が形成され、第2ノズルパターンによる高圧水蒸気31の噴射よって、凹部32及び凸部33が形成される。かき分けられた繊維は、高圧水蒸気31が紙層23にあたる所定の部分の幅方向側に移動して集まり、紙層23の嵩が高くなる。また、紙層23に含まれる水分は、高圧水蒸気31の熱により蒸発し、紙層23から除去される。これにより、紙層23の乾燥が進む。
【0043】
本発明による不織布の製造方法では、紙層の嵩を高くするために、高圧水蒸気によって紙層に凹凸部を形成する。したがって、高圧水蒸気によってかき分けられる繊維の量を多くするために、高圧水蒸気によって形成された凹部の幅は、高圧水流によって形成された凹部の幅よりも大きくなる。
【0044】
ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14から噴射された高圧水蒸気を吸引する、サクションドラム13に内蔵された吸引装置又はベルトにより、サクションドラム13又はベルトが紙層23を吸引する吸引力は、好ましくは−1〜−12kPaである。サクションドラム13又はベルトの吸引力が−1kPaよりも小さいと蒸気を吸いきれず吹き上がりが生ずる場合がある。また、サクションドラム13又はベルトの吸引力が−12kPaよりも大きいとサクション内への繊維脱落が多くなる場合がある。
【0045】
ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の先端と紙層23との上面との間の距離は、好ましくは1.0〜10mmである。ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の先端と紙層23の上面との間の距離が1.0mmよりも小さいと、紙層23に孔が開いたり、紙層23が破れたり、吹き飛んだりする場合がある。また、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の先端と紙層23の上面との間の距離が10mmよりも大きいと、高圧水蒸気における紙層23の表面に凹凸部を形成するための力が分散してしまい、紙層23の表面に凹凸部を形成する能率が悪くなる場合がある。
【0046】
高圧水蒸気を噴射する工程後の紙層23の水分率は、好ましくは0%以上40%以下であり、より好ましくは0%以上35%以下であり、さらに好ましくは0%以上30%以下である。高圧水蒸気を噴射した後の紙層23の水分率が40%よりも大きいと、後述の第2回転円筒状ドライヤーによる乾燥によって紙層23の水分率を5%以下にすることが難しい場合がある。この場合、さらに追加の乾燥が必要であり、不織布の製造効率が悪くなる。
【0047】
その後、
図1に示すように、第1回転円筒状ドライヤー20とは別の第2回転円筒状ドライヤー22に紙層23は搬送される。第2回転円筒状ドライヤー22は、高圧水蒸気を噴射した紙層23を、最終製造物である不織布になるまで乾燥する。第2回転円筒状ドライヤー22には、たとえば、ヤンキードライヤーが用いられる。第2回転円筒状ドライヤー22は、蒸気により約150℃に加熱されて、第2回転円筒状ドライヤーの表面に紙層23を沿わせることによって、紙層23を乾燥させる。
【0048】
第2回転円筒状ドライヤー22を通過した後の紙層23は十分に乾燥されていることが必要である。具体的には、第2回転円筒状ドライヤー22を通過した後の紙層23の水分率は、好ましくは5%以下である。なお、高圧水蒸気を噴射した直後の紙層23の水分率が5%以下である場合、高圧水蒸気を噴射した紙層23を、第2回転円筒状ドライヤー22などを使用して乾燥しなくてもよい。
【0049】
第2回転円筒状ドライヤーの表面に沿わせることによって乾燥された紙層の紙層嵩密度は、0.10g/cm
3以下であることが好ましく、0.08g/cm
3以下あることがより好ましく、0.07g/cm
3以下であることが更に好ましい。
【0050】
最後に、乾燥した紙層23(不織布)は、巻き取り機21に巻き取られて、不織布を得る。
【0051】
図5は、本発明による不織布を製造する方法の1実施態様の製造過程を断面模式的に表した図である。
図5(a)に示すように、紙層23が形成され、高圧水流処理により紙層23中の繊維同士が交絡し、この時、表面側(高圧水流処理噴射面)の方がより交絡が
進んだ紙層が形成される。さらに、表面側(高圧水流処理噴射面)には、高圧水流の通った跡が筋状に細かな凸凹賦型として発生し、紙層23の裏面は極僅かに凹凸が発生する。
【0052】
図5(b)に示すように、表面側(高圧水流処理噴射面)を第1回転円筒状ドライヤー(120℃以上)に接触させることにより、紙層23の持つ水分率を45%以下になるように一次乾燥させる。
【0053】
図5(c)に示すように、第1回転円筒状ドライヤーで水分率が45%以下になるように調整された紙層23の裏面側に先ず、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の第1ノズルパターンにて高圧水蒸気(175℃以上)を全面に吹付けて、蒸気圧力にて瞬間的に紙層を全体的にほぐすと同時に、紙層23中の水分率をほぼ均一に5%以上減らし、水分率が40%以下になるように調整する。
【0054】
図5(d)に示すように、次いでノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の第2ノズルパターンにて高圧水蒸気(175℃以上)を裏面側に部分的に吹付けて、蒸気圧力にて瞬間的に紙層を部分的にほぐすと同時に、紙層23の高圧蒸気吹付け部分の水分率を10%以上減らす。
【0055】
図5(e)に示すように、高圧水蒸気の吹付けにて、乾燥し切れなかった水分を有する紙層23は、第2回転円筒状ドライヤー(150℃以上)にて紙層水分率が5%以下になるように加熱乾燥されて巻き取られる。
【0056】
紙層23に効率良く大きな凸凹形状賦型を発現させる為に、全面吹付け(全面ほぐし)と部分吹付け(部分賦型)の2段階で行う方がより少ない蒸気量で賦型させる事が可能となる。また、ほぐしを紙層全面で行うことにより、ほぼ均一に水分率低下が起こり、水分率ムラが低減する事により、乾燥効率も良くなる。全面ほぐしの際に、小さな凸凹賦型が形成される為、部分賦型時に蒸気を吹き付けない部分も小さな凸凹賦型が存在し、全体的に嵩高な不織布を効率良く製造する事が可能となる。
【0057】
以上のように作製した不織布を所定寸法に裁断することによって、この不織布を乾燥ワイプスとして使用することができる。また、以上のように作製した不織布を所定寸法に裁断し、所定量の薬液を裁断した不織布に含浸させることによって、この不織布を湿潤ワイプスとして使用することができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明をより具体的に説明するための実施例を提供する。なお、本発明は、その目的及び主旨を逸脱しない範囲で以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
まず、実施例1〜4及び比較例1〜6で用いた評価方法及び測定方法について説明をする。高圧水蒸気吹付け前紙層水分率、高圧水蒸気吹付け後紙層水分率、巻き取り後紙層水分率、紙層目付、乾燥厚み、密度、乾燥(DRY)引張強度、乾燥(DRY)引張伸度、湿潤(WET)引張強度、湿潤(WET)引張伸度、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率及び高圧水流噴射面における汚れ除去率を、以下のように、20℃の温度及び60%の相対湿度の環境下で測定をした。
【0060】
(高圧水蒸気吹付け前紙層水分率)
第1回転円筒状ドライヤー20で乾燥した紙層を30cm×30cmのサイズにサンプリングし、第1回転円筒状ドライヤー20の出口重量(W1)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち重量(D1)を測定する。高圧水蒸気吹付け前紙層水分率は、N=10での測定値の平均値である。
高圧水蒸気吹付け前紙層水分率=(W1−D1)/W1×100(%)
【0061】
(高圧水蒸気吹付け後紙層水分率)
1つのサクションドラム13上で1台の揺動型高圧水蒸気ノズル14から紙層に高圧水蒸気を噴射した紙層を30cm×30cmのサイズにサンプリングし、揺動型高圧水蒸気ノズル14通過後の重量(W2)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち重量(D2)を測定する。高圧水蒸気吹付け後紙層水分率は、N=10での測定値の平均値である。
高圧水蒸気吹付け後紙層水分率=(W2−D2)/W2×100(%)
【0062】
(巻き取り後紙層水分率)
第2回転円筒状ドライヤー22を通過し、巻き取られた紙層を30cm×30cmのサイズにサンプリングし、巻き取り後の重量(W3)を測定し、その後サンプル片を105℃の恒温槽に1時間静置し絶乾させたのち重量(D3)を測定する。巻き取り後紙層水分率は、N=10での測定値の平均値である。
巻き取り後紙層水分率=(W3−D3)/W3×100(%)
【0063】
(紙層目付)
紙層の目付は、巻き取り時紙層水分率を測定した際の絶乾サンプル重量(D3)より算出した。紙層目付は、N=10での測定値の平均値である。
【0064】
(乾燥厚み)
15cm
2の測定子を備えた厚み計((株)大栄化学精器製作所製 型式FS-60DS)を使用して、3g/cm
2の測定荷重の測定条件で、製造した不織布の厚みを測定した。1つの測定用試料について3ヶ所の厚みを測定し、3ヶ所の厚みの平均値をプレス前乾燥厚みとした。
【0065】
(密度)
乾燥嵩密度は、紙層目付と、上述のプレスの後の紙層の乾燥厚みより算出した。
【0066】
(乾燥(DRY)引張強度)
製造した不織布から、長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向及び幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向及び幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向及び幅方向の乾燥(DRY)引張強度とした。
【0067】
(乾燥(DRY)引張伸度)
製造した不織布から、長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製した。機械方向及び幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。ここで、引張伸度とは、引張試験機で測定用試料を引っ張ったときの最大の伸び(mm)をつかみ間距離(100mm)で割り算した値である。機械方向及び幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向及び幅方向の乾燥(DRY)引張伸度とした。
【0068】
(湿潤(WET)引張強度)
製造した不織布から長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率、250%)。そして、機械方向及び幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張強度を測定した。機械方向及び幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張強度の平均値を機械方向及び幅方向の湿潤(WET)引張強度とした。
【0069】
(湿潤(WET)引張伸度)
製造した不織布から長手方向が紙層の機械方向である25mm幅の短冊状の試験片と、長手方向が紙層の幅方向である25mm幅の短冊状の試験片とを切り取って、測定用試料を作製し、測定用試料の質量の2.5倍の水を測定用試料に含浸させた(含水倍率、250%)。そして、機械方向及び幅方向の測定用試料を、最大荷重容量が50Nであるロードセルを備えた引張試験機(島津製作所(株)製、オートグラフ 型式AGS-1kNG)を使用して、それぞれ3つの測定用試料について、100mmのつかみ間距離、100mm/分の引張速度の条件で引張伸度を測定した。機械方向及び幅方向の測定用試料のそれぞれ3つの測定用試料の引張伸度の平均値を機械方向及び幅方向の湿潤(WET)引張伸度とした。
【0070】
(高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率)
以下の手順で不織布の高圧水蒸気を噴射した面(高圧水蒸気噴射面)における汚れ除去率を測定した。不織布は水分率300%(対不織布(基材質量))になるように蒸留水を含浸したWETワイプスを用いた。
(1)12.6重量%のカーボンブラック(Carbon Black、米山薬品工業(株)製)、20.8重量%の牛脂極度硬化油(日本油脂(株)製)及び66.6重量%の流動パラフィン(ナカライテスク(株)製)を含む模擬汚れペーストを作製した。汚れペースト:ヘキサン(ナカライテスク(株)製)が重量比で85:15になるように、模擬汚れペーストをヘキサンで希釈し、模擬汚れ剤を作製した。
(2)プレパラート上に模擬汚れ剤を0.05ml滴下し、20℃の温度及び60%の湿度の条件の雰囲気中で、模擬汚れ剤を滴下したプレパラートを24時間乾燥した。
(3)乾燥後、スキャナー(Calario GT-750、Epson社製)を使用して、原稿種:フィルム、タイプ:ポジフィルム、イメージ:16bitグレー、品質:画質優先、解像度:1200dpi、原稿サイズ:68.6×237mm、出力:等倍の条件でプレパラートの画像を取り込み、取り込んだ画像の画像データから、プレパラートの模擬汚れ剤が付着している部分のうちの16.9mm×16.9mmの範囲の色味を算出した。ここで、色味を以下のように算出した。所定のしきい値を設定して調補正で取り込んだ画像を2階調化した。汚れが付着している部分の階調が0(黒)、汚れが付着していない部分の階調が255(白)になるように、2階調化するためのしきい値を設定した。そして、エクセル2007(Microsoft社製)を使用して横軸が階調、縦軸が頻度のヒストグラムを作成した。0の階調の頻度を色味とした。
(4)不織布によるプレパラートに付着した模擬汚れ剤の拭き取りは、プラスチックフィルム−及びシート−摩擦係数試験方法(JIS−K−7125:1999)を応用して実施した。製造した不織布から140×190mmのサイズの測定用試料をサンプリングし、摩擦係数測定装置(テスター産業株式会社製)のテーブルに、高圧水蒸気噴射面が上になるように測定用試料を取り付けた。このとき、滑り片の移動方向が、測定用試料が拭き取る方向(機械方向(MD)または幅方向(CD))なるように測定用試料を配置した。模擬汚れ剤が付着した面が測定用試料と接触するように、模擬汚れ剤が付着したプレパラートを、測定用試料の上に載せた後、プレパラートの模擬汚れ剤が付着した面の反対側の面に滑り片及びロードセルを取り付けた。そして、150mm/分の送り速度及び60g荷重の条件で摩擦係数測定を1回行うことによって、プレパラートに付着した模擬汚れ剤を測定用試料で拭き取った。
(5)プレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取った後、上述のスキャナーを使用して同一の条件でプレパラートの画像を取り込み、取り込んだ画像の画像データから、模擬汚れ剤を拭き取る前のプレパラートにおいて色味を算出した範囲と同じ範囲の色味を算出した。
(6)プレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取る前の色味からプレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取った後の色味を引き算し、プレパラートに付着した模擬汚れ剤を拭き取る前の色味でその値を割り算することによって色味の変化率を算出した。この値を測定用試料の汚れ除去率とした。測定用試料の拭き取り性がよいと、プレパラートに付着した模擬汚れ剤は測定用試料によってきれいに拭き取られるので、色味の変化率、すなわち汚れ除去率は大きくなる。一方、測定用試料の拭き取り性が悪いと、測定用試料によって模擬汚れ剤を拭き取ったプレパラートには模擬汚れ剤が多く残っているので、色味の変化率、すなわち汚れ除去率は小さくなる。このように汚れ除去率の値によって、測定用試料の汚れを拭く取る能力を評価することができる。3つの測定用試料について、汚れ除去率を測定し、その平均値をその測定用試料の汚れ除去率とした。
【0071】
(高圧水流噴射面における汚れ除去率)
摩擦係数測定装置のテーブルに、高圧水流噴射面(高圧水流を噴射した面)が上になるように測定用試料を取り付けた以外、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率と同じ方法で高圧水流噴射面における汚れ除去率を測定した。
【0072】
以下、実施例1〜4及び比較例1〜6について詳細に説明する。
【0073】
(実施例1)
本発明による不織布を製造する方法の1実施形態で使用する不織布製造装置1を使用して不織布を製造した。70質量%の針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、繊度が1.1dtexであり、繊維長が7mmである30質量%のレーヨン(ダイワボウレーヨン(株)製、コロナ)とを含む抄紙原料を作製した。そして、原料ヘッドを使用して紙層形成ベルト(日本フィルコン(株)製 OS80)上に抄紙原料を供給し、吸引ボックスを使用して抄紙原料を脱水して紙層を形成した。このときの紙層の紙層水分率は80%であった。その後、2台の高圧水流ノズルを使用して高圧水流を紙層に噴射した。2台の高圧水流ノズルを使用して紙層に噴射した高圧水流の高圧水流交絡処理エネルギーは0.2846kW/m
2であった。ここで、高圧水流エネルギーは下記の式から算出される。
高圧水流交絡処理エネルギー(kW/m
2)=1.63×噴射圧力(kg/cm
2)×噴射流量(m
3/分)/処理速度(M/分)/60
ここで、噴射流量(立方M/分)=750×オリフィス開孔総面積(m
2)×噴射圧力(kg/cm
2)
0.495である。
【0074】
また、高圧水流ノズルの先端と紙層の上面との間の距離は10mmであった。
図6に示すように、高圧水流ノズルのノズルパターン41は、孔径が92μmであり、ノズルピッチが0.5mmであった。
【0075】
紙層は、2台の紙層搬送コンベアに搬送された後、約120℃に加熱された第1回転円筒状ドライヤー20(ヤンキードライヤー)に搬送されて、乾燥された。この第1回転円筒状ドライヤー20(ヤンキードライヤー)におけるライン速度は70m/分であった。紙層が有する水分率は40%であった。
【0076】
次に、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の1つのノズル(1本型ノズル)を使用して高圧水蒸気を、高圧水流が噴射された紙層23の表面の反対の面、すなわち紙層23の裏面に噴射した。このときの高圧水蒸気の蒸気圧力は0.7MPaであり、蒸気温度(高圧水蒸気吹付けノズル温度)は175℃であった。また、蒸気ノズルの先端と紙層の上面との間の距離は2.0mmであった。
図7に示すように、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42は、機械方向(MD方向)に順に第1ノズルパターンと、第2ノズルパターンとから構成された。第1ノズルパターンは、孔が紙層23の幅方向(CD方向)に列をなして1列を備えて配置されて、孔径が300μmであり、ノズルピッチが1.0mmの一定ピッチであった。第2ノズルパターンは、孔が紙層23の幅方向(CD方向)に列をなして機械方向(MD方向)に2つの孔列を備えて配置されて、孔径が500μmであり、ノズルピッチが幅方向(CD方向)に対して5mm−2mm−2mmサイクルの異ピッチであった。また、サクションドラムが紙層を吸引する吸引力は、−5kPaであった。サクションドラムの外周にはステンレス製の18メッシュ開孔スリーブを使用した。紙層23の水分率を5%以上減らして紙層が有する水分率を35%であった。
【0077】
そして、紙層は、約150℃に加熱した第2回転円筒状ドライヤー22(ヤンキードライヤー)に搬送され、乾燥した。第2回転円筒状ドライヤー22(ヤンキードライヤー)におけるライン速度は70m/分であった。乾燥後の紙層が有する水分率は5%であった。以上より、不織布を得た。
【0078】
(実施例2)
第1ノズルパターンの孔径を400μmにして、第1ノズルパターンのノズルピッチを1.5mmの一定ピッチとした点を除いて、実施例1と同様な製造方法で、不織布を得た。
【0079】
(実施例3)
第2ノズルパターンの孔を紙層23の幅方向(CD方向)に列をなして機械方向(MD方向)に3列を備えて配置して、第2ノズルパターンの孔径を400μmにした点を除いて、実施例1と同様な製造方法で、不織布を得た。
【0080】
(実施例4)
ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42を、機械方向(MD方向)に順に第2ノズルパターンと、第1ノズルパターンとから構成した点を除いて、実施例1と同様な製造方法で、不織布を得た。
【0081】
(比較例1)
高圧水蒸気を噴射する工程を経なかった点を除いて(高圧水蒸気を噴射しなかった点を除いて)、実施例1と同様な製造方法で不織布を得た。
【0082】
(比較例2)
第1ノズルパターン(孔径300μm、1mmの一定ピッチ、幅方向(CD方向)に列をなした1つの孔列)のみを有する高圧水蒸気ノズルを用いた点を除いて、実施例1と同様な製造方法で不織布を得た。
【0083】
(比較例3)
第1ノズルパターン(孔径300μm、1mmの一定ピッチ、幅方向(CD方向)に列をなした機械方向(MD方向)に3つの孔列)のみを有する高圧水蒸気ノズルを用いた点を除いて、実施例1と同様な製造方法で不織布を得た。
【0084】
(比較例4)
第2ノズルパターン(孔径500μm、5mm−2mm−2mmサイクルの異ピッチ、幅方向(CD方向)に列をなした機械方向(MD方向)に2つの孔列)のみを有する高圧水蒸気ノズルを用いた点を除いて、実施例1と同様な製造方法で不織布を得た。
【0085】
(比較例5)
第2ノズルパターン(孔径500μm、5mm−2mm−2mmサイクルの異ピッチ、幅方向(CD方向)に列をなした機械方向(MD方向)に3つの孔列)のみを有する高圧水蒸気ノズルを用いた点を除いて、実施例1と同様な製造方法で不織布を得た。
【0086】
(比較例6)
第2ノズルパターン(孔径500μm、5mm−2mm−2mmサイクルの異ピッチ、幅方向(CD方向)に列をなした機械方向(MD方向)に4つの孔列)のみを有する高圧水蒸気ノズルを用いた点を除いて、実施例1と同様な製造方法で不織布を得た。
【0087】
以上の実施例1〜4及び比較例1〜6の製造条件を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
以上の実施例1〜4及び比較例1〜6における、高圧水蒸気吹付け前紙層水分率、高圧水蒸気吹付け後紙層水分率、巻き取り後紙層水分率、紙層目付、乾燥厚み、密度、乾燥(DRY)引張強度、乾燥(DRY)引張伸度、湿潤(WET)引張強度及び湿潤(WET)引張伸度の評価結果を表2に示す。
【0090】
【表2】
【0091】
以上の実施例1、比較例1及び比較例6における、高圧水蒸気噴射面における汚れ除去率及び高圧水流噴射面における汚れ除去率の評価結果を表3及び
図8に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
(評価結果)
実施例1〜4で得られた不織布は、紙層の全体の繊維をほぐして、紙層の裏面に、機械方向に延在して幅方向に間欠的に並ぶ凹部及び凸部を形成するため、嵩高性を有し、柔軟性を有し、かつ、強度性を有し、さらに、優れた拭き取り性を有することがわかった。
【0094】
実施例1〜4で得られた不織布を比較例1〜3で得られた不織布と比較した。実施例1〜4で得られた不織布は、比較例1〜3で得られた不織布に対して、嵩高性を有し、柔軟性を有し、かつ、強度性を有し、さらに、優れた拭き取り性を有することが確認できた。優れた拭き取り性については、汚れ除去率の評価結果で後述する。
【0095】
実施例1で得られた不織布を、実施例2〜4で得られた不織布のそれぞれと比較した。
実施例2は、第1ノズルパターンの孔径を400μmにして、第1ノズルパターンのノズルピッチを1.5mmの一定ピッチとしたため、実施例1に比べて噴射蒸気量が多くなって、紙層23のほぐれ度合いがやや大きく、第1ノズルパターンの高圧水蒸気噴射による全面吹付けと第2ノズルパターンの高圧水蒸気噴射による部分吹付けとの区別が明確ではないという結果であった。実施例3は、第2ノズルパターンの孔を紙層23の幅方向(CD方向)に列をなして機械方向(MD方向)に3列を備えて配置して、第2ノズルパターンの孔径を400μmにしたため、第2ノズルパターンによる高圧水蒸気の噴射蒸気量が実施例1に比べてやや少なかった。結果として実施例1で得られた不織布が、実施例2で得られた不織布に対してより嵩高性を有していることがわかった。実施例4は、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の1つのノズル(1本型ノズル)のノズルパターン42を、機械方向(MD方向)に順に第2ノズルパターンと、第1ノズルパターンとから構成したため、実施例1で得られた不織布に比べて、実施例4で得られた不織布は、水分率低減による乾燥効率改善効果とシートの柔軟化効果をより奏したが、嵩出し効果はやや低減していることがわかった。
【0096】
比較例1及び比較例6で得られた不織布に対する実施例1で得られた不織布の汚れ除去率の評価結果は、表3及び
図8(人工汚れ拭き取り試験結果)から明らかなように、実施例1で得られた不織布の裏面における汚れ除去率が高く、拭き取り性が良好であった。なお、汚れ除去のメカニズムは
図9に示す。
図9に示すように、1枚の不織布上で表裏構造を変えることにより、粗汚れ拭きに優れた部分と微小汚れ拭きに優れた部分を設けることができ、1枚で粗拭きと仕上げ拭きが可能なワイプスを実現する事ができる。大きな凸凹部分は繊維が大きく起毛おり、掻き取り効果が高く、小さな凸凹部分は、小さく起毛しており汚れを拭い取る効果が高い。
【0097】
図10に示された、ノズル複合型高圧水蒸気噴射ノズル14の2つのノズル(2本型ノズル)のノズルパターン42を用いる点を除いて、実施例1と同様な製造方法で得られる不織布は、実施例1〜4で得られた不織布と同様に、紙層の全体の繊維をほぐして、紙層の裏面に、機械方向に延在して幅方向に間欠的に並ぶ凹部及び凸部を形成するため、嵩高性を有し、柔軟性を有し、かつ、強度性を有し、さらに、優れた拭き取り性を有することがわかる。
【0098】
紙層の全体のほぐしと部分凹凸賦型を融合した、1つのノズル(1本型ノズル)の方が、小設置スペースス及びノズル加熱エネルギーが少なくすむため望ましいが、紙層の全体のほぐし処理と部分凹凸賦型処理とで蒸気圧力を変える場合には、高圧水蒸気噴射ノズルを2本に分割した2つのノズル(2本型ノズル)が好ましい。