(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向と、前記前後方向に直交する幅方向と、前記着用者に向かう内方向及び前記内方向と反対側に向かう外方向を有する厚み方向と、を有し、
前記着用者の股間部に当てられる股下域及び前記股下域の後方に配置される後胴回り域を有する吸収体を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、第1吸収層を含む第1吸収体と、前記第1吸収体よりも外方向に配置され、第2吸収層を含む第2吸収体と、を備え、
前記第1吸収体の前記股下域の幅方向中央には、前記第1吸収層が前記内方向に凸に曲がることができるように中央曲部が形成され、
前記第1吸収体の前記中央曲部よりも前記幅方向外側には、前記第1吸収層が前記外方向に曲がることができるように一対のサイド曲部が形成され、
前記第2吸収体は、前記サイド曲部よりも前記幅方向外側に配置された一対のサイド連結部において前記第1吸収体に連結されており、
前記第1吸収層が前記外方向に凸に曲げられ、かつ前記第1吸収層が前記内方向に凸に曲げられた状態で、前記第1吸収体の前記サイド曲部と前記第2吸収体との間に空間が形成され、かつ前記第1吸収体の前記中央曲部と前記第2吸収体との間に空間が形成されるように構成されており、
前記サイド連結部間の前記幅方向の距離は、前記前後方向で変化しており、
前記股下域における前記サイド連結部間の前記距離は、前記後胴回り域における前記サイド連結部間の前記距離よりも長い、吸収性物品。
前記第1吸収体は、前記第1吸収層と前記第2吸収体との間に配置された液透過性の液透過性シート、又は前記第1吸収層と前記第2吸収体との間に配置され、かつ前記第1吸収層から前記第2吸収層に向けて液体を導く開口又は切り込みが形成された不液透過性シートを有し、
前記第1吸収体は、前記サイド曲部よりも前記幅方向外側に配置され、前記前後方向に伸縮する伸縮性部材を有しており、
前記開口又は前記切り込みの前記幅方向における中心は、前記幅方向における前記伸縮性部材と前記サイド曲部の中間点よりも前記幅方向内側に位置する、請求項1に記載の吸収性物品。
前記第1吸収体と前記第2吸収体とは、前記サイド曲部よりも前後方向外側に配置され、前記幅方向に延びる幅連結部と、前記サイド連結部と、において互いに連結されており、
前記サイド連結部と前記幅連結部とは、連なって配置されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施の形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0014】
本実施の形態に係る使い捨ておむつは、着用者の肌等に当接し、体液を吸収する第1吸収体と、第1吸収体よりも非肌当接面側に配置され、第1吸収体から透過した体液を保持する第2吸収体と、を有し、一度に大量の体液が排出された場合であっても、第1吸収体と第2吸収体とによって体液を迅速に引き込むことができるように構成されている。
【0015】
(1)使い捨ておむつの全体概略構成
図1は、本実施形態において吸収性物品を構成する使い捨ておむつ1の概略斜視図である。
図2は、本実施形態に係る使い捨ておむつ1の展開平面図である。
図3は、
図2に示すX1-X’1線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。使い捨ておむつ1は、パンツ型の使い捨ておむつである。なお、以下、
図2等の平面図においては、使い捨ておむつを構成する表面シートや外装シート等の皺が形成されない状態まで、伸縮性部材を伸長させた状態の図である。
【0016】
使い捨ておむつ1は、着用者の身体前側と身体後側とに延びる前後方向Lと、前後方向Lに直交する幅方向Wと、着用者に向かう内方向IN及び内方向と反対側に向かう外方向OUTを有する厚み方向Tと、を有する。
【0017】
使い捨ておむつ1は、
図2に示すように、使い捨ておむつ1の前後方向Lにおいて、着用者の前胴回りに当てられる前胴回り域S1と、着用者の後胴回りに当てられる後胴回り域S2と、着用者の股下に当てられ、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に位置する股下域S3と、を有する。
【0018】
前胴回り域S1の使い捨ておむつ1の一方の幅方向外側に位置する前胴回り縁部4が、後胴回り域S2の一方の幅方向外側に位置する後胴回り縁部6と接合され、かつ他方の幅方向外側に位置する前胴回り縁部4’が、他方の幅方向外側に位置する後胴回り縁部6’と接合されることによって、使い捨ておむつ1がパンツ型に形成される。パンツ型の使い捨ておむつの前胴回り域及び後胴回り域には、互いの縁部が接合された接合部3が形成されており、股下域S3は、接合部3よりも前後方向内側の域である。
【0019】
使い捨ておむつ1には、
図1に示すように、パンツ型に形成された状態で、着用者の腰回りを囲んで配置される腰回り開口部8と、着用者の脚回りを囲んで配置される一対の脚回り開口部9と、が形成される。
【0020】
使い捨ておむつ1は、吸収性本体1Aと、外装体1Bと、から構成されており、これらは互いに、接着剤や熱融着などによって接合されている。
【0021】
外装体1Bは、前胴回り域に配置される前側外装シート71と、後胴回り域に配置される後側外装シート72と、胴回り弾性部材73と、を有する。前側外装シート71と後側外装シート72は、それぞれ少なくとも2層で構成されている。胴回り弾性部材73は、前側外装シート71及び後側外装シート72の2層のシート間に配置されている。
【0022】
吸収性本体1Aは、股下域S3を跨ぎ、かつ前胴回り域S1及び後胴回り域S2に跨がって配置される。吸収性本体の前側端部及び後側端部は、外装体に接合されている。なお、吸収性本体は、着脱自在に外装体に接合されていてもよい。例えば、フックとループの係止システムにおける一方を外装体に設け、他方を吸収性本体に設け、吸収性本体を外装体に対して着脱自在に構成してもよい。このように、吸収性本体を外装体に対して着脱自在に構成することにより、吸収性本体のみを容易に着脱できる。
【0023】
吸収性本体1Aは、吸収体を有する。吸収体は、第1吸収層を含む第1吸収体10と、第1吸収体10よりも外方向に配置され、第2吸収層を含む第2吸収体20と、を備える。
【0024】
(2)第1吸収体の構成
次いで、第1吸収体の構成について説明する。第1吸収体10は、液透過性の第1表面シート11と、少なくとも一部が液透過性の第1裏面シート12と、第1表面シート11と第1裏面シートとの間に配置された第1吸収層13と、第1吸収層13等の幅方向側部を覆うサイド防漏シート14と、サイド防漏シートを覆うサイドカバーシート15と、サイド防漏シート14とサイドカバーシート15との間に配置されたサイド弾性部材16と、第1吸収層の幅方向中央に配置された弾性部材カバーシート18と、第1弾性部材と弾性部材カバーシートとの間に配置された中央弾性部材17と、を有する。
【0025】
第1表面シート11は、着用者の肌に直接的に接し得る肌当接面を形成するシートである。第1表面シート11は、第1吸収層13よりも肌当接面側に配置される。第1表面シート11は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成されている。
【0026】
第1裏面シート12は、第1吸収層13の外方向OUT側(非肌当接面側)に設けられている。第1裏面シート12は、親水性不織布や織物、開口プラスチックフィルム、開口疎水性不織布などの液透過性のシートによって形成されている。
【0027】
第1吸収層13は、粉砕パルプや高吸収性ポリマー(以下、SAPとする)などの混合粉体と、この混合粉体を包むコアラップと、で形成される。第1吸収層13は、熱可塑性繊維(短繊維,長繊維,連続) や発泡ポリウレタンを含んでいてもよい。本実施形態の第1吸収層13は、目付230g/m
2のパルプ、目付90g/m
2のSAPによって構成され、その厚みは、2.3mmである。第1吸収層13の構成は、これに限定されず、パルプ等の目付や厚みを適宜変更できる。また、第1吸収層13は、複数層で構成されていてもよいし、エアレイドシートによって構成されていてもよい。また、第1吸収層13は、コアラップを有していなくてもよい。
【0028】
また、第1吸収層13のSAPの目付けを高くし過ぎると、第1吸収層13が体液を吸収した際に、後述するサイドスリットが塞がることがあり、第1吸収体から第2吸収体に向けて体液を導くことができないことがある。よって、第1吸収層13のSAPの目付けは、200g/m
2以下であることが望ましい。
【0029】
第1吸収層13は、略略砂時計型の形状である。第1吸収層13の形状は、当該形状に限られず、長方形であってもよいし、股下域の少なくとも一部に幅方向内側にくびれたくびれ部を有する形状であってもよい。
【0030】
第1吸収層13の股下領域の幅方向中央には、第1吸収層13が内方向INに凸に曲がることができるように中央曲部としての中央スリット13Bが形成され、中央スリットよりも幅方向外側には、第1吸収層が外方向OUTに曲がることができるようにサイド曲部としての一対のサイドスリット13Aが形成されている。
【0031】
サイドスリット13A及び中央スリット13Bは、前後方向に沿って配置されている。第1吸収層13に形成されたスリット等によって、使い捨ておむつ1が着用された際に、第1吸収体10が曲がるように構成されている。各サイドスリット13Aの平面視における寸法は、幅方向の長さが15mmである。サイドスリット13Aの前後方向の長さは、130mmであり、中央スリット13Bの前後方向の長さは、190mmである。
【0032】
サイドスリット13Aは、サイド曲部を構成し、中央スリット13Bは、中央曲部を構成する。なお、本実施の形態のサイド曲部及び中央曲部は、第1吸収層13に形成されたサイドスリット13A及び中央スリット13Bであるが、サイド曲部及び中央曲部の構成は、これに限定されない。例えば、サイド曲部及び中央曲部は、第1吸収層において周囲の第1吸収層の目付よりも低い目付である低目付域、第1吸収層を厚み方向において圧搾した圧搾部及び第1吸収層において周囲の第1吸収層と目付が異なる目付境界部のうち、いずれかによって構成されていてもよい。
【0033】
圧搾部は、第1吸収層の少なくとも一部が厚み方向に圧搾されていればよく、第1吸収層全体が厚み方向に圧搾されていてもよいし、第1表面シート及び第1吸収層が厚み方向に圧搾されていてもよい。
【0034】
サイド防漏シート14は、第1吸収層13等の幅方向側部を覆う液不透過性のシート材である。サイド防漏シート14の幅方向の一端は、第1表面シートの肌当接面側に配置され、他端は、第1裏面シートの非肌当接面側に配置されている。サイド防漏シート14は、液不透過性フィルムなど(例えば、ポリエチレン)のシートによって構成されている。なお、サイド防漏シートは、設けられていなくてもよい。
【0035】
サイドカバーシート15は、サイド防漏シート14を覆う液不透過性のシート材である。サイドカバーシート15の幅方向の一端は、サイド防漏シート14の肌当接面側に配置され、他端は、サイド防漏シート14の非肌当接面側に配置されている。サイドカバーシート15は、疎水性の不織布によって構成されている。
【0036】
サイド弾性部材16は、前後方向に伸長された状態で配置されており、伸縮性部材を構成する。サイド弾性部材16は、第1吸収層13の非肌当接面側の両側部に配置されている。サイド弾性部材16は、サイド防漏シート14とサイドカバーシート15との間にHMA型接着剤を介して伸長固定されている。本実施の形態のサイド弾性部材16は、スパンデックス620dtex、2.5倍の伸張率であり、片側2本ずつ配置されている。
【0037】
サイド防漏シート14、サイドカバーシート15及びサイド弾性部材16は、吸収体の横漏れを防ぐ防漏カフを構成する。なお、本実施の形態では、防漏カフを第1吸収体に設けているが、この構成に限られない。例えば、第1吸収体に防漏カフを設けずに、第2吸収体20に防漏カフを設けてもよいし、第1吸収体と第2吸収体20の両方に防漏カフを設けてもよい。
【0038】
中央弾性部材17は、厚み方向Tにおいて中央スリット13Bに重なるように配置されている。中央弾性部材は、中央スリットと共に中央曲部を構成する。中央弾性部材17は、第1吸収層13の幅方向中央部が内方向INに凸、つまり、第1吸収層13が着用者に向けて凸に曲がるように、前後方向Lに沿って第1吸収層13に重なって配置されている。本実施の形態の中央弾性部材17は、スパンデックス620dtex、2.0倍の伸張率であり、3本配置されている。
【0039】
弾性部材カバーシート18は、第1裏面シート12の非肌当接面側に配置されている。弾性部材カバーシート18と第1裏面シート12との間に中央弾性部材が伸長固定されている。
【0040】
第1表面シート11及び第1裏面シート12には、それぞれ複数の切り込み部11D、12Dが形成されている。切り込み部11D、12Dは、サイドスリット13Aと重なる部分に形成されている。切り込み部11D、12Dは、着用時に吸収体が変形した際に、開口するように構成されている。
【0041】
第1表面シートの切り込み部11Dの形状と、第1裏面シートの切り込み部12Dの形状は、同じ形状を採用することができるため、以下、説明の便宜上、第1表面シートの切り込み部11Dを挙げて説明する。
【0042】
切り込み部11Dは、前後方向に並んで複数形成されている。複数の切り込み部11Dは、隣接する切り込み部11Dと離間しており、切り込み部11Dと切り込み部11Dの間には、第1表面シートが切断されていない領域が存在する。各切り込み部11Dは、各シートに形成された切り込みである。なお、切り込み部11Dは、着用前の状態で切断されていてもよいし、ミシン目等において着用前の状態で切断されずに、着用時に分離可能に構成されていてもよい。
【0043】
切り込み部11Dは、幅方向に延びる傾斜部を有しており、幅方向又は前後方向に往復する形状である。具体的には、各切り込み部の前側端部及び後側端部は、各切り込み部の幅方向内側に位置する。各切り込み部の前後方向中央は、各切り込み部の幅方向外側に位置する。当該各切り込み部は、幅方向外側に突出する凸形であり、幅方向に往復する部分を有する。
【0044】
また、第1表面シート11は、液透過性のシートであるため、当該第1表面シート11の下方に位置する第1吸収層13に、体液を透過させることができる。第1吸収体は、装着時にサイドスリット13Aを基点に外方向に凸状に変形するため、第1表面シートのサイドスリット13Aと重なる位置に体液が流れ込み易い。サイドスリット13Aに重なるように第1表面シート11に切り込み部11Dを形成することにより、第1表面シート11の切り込み部を介して、第1吸収層に体液をより円滑に導くことができる。
【0045】
第1裏面シート12は、液透過性のシートであるため、当該第1裏面シート12の下方に位置する第2吸収体20に、体液を透過させることができる。第1吸収体は、装着時にサイドスリット13Aを基点に外方向に凸状に変形し、第1裏面シートのサイドスリット13Aと重なる位置において体液が流れ込み易い。サイドスリット13Aに重なるように、第1裏面シート12に切り込み部12Dを形成することにより、第1裏面シートの切り込み部を介して、第2吸収体20に体液をより円滑に導くことができる。
【0046】
本実施の形態の切り込み部は、直径7.5mmの半円形であり、中心点間13mmピッチで前後方向に直線的に配置した。切り込み部の大きさや形状はこれに限定されるものではなく、長丸や四角形等でもよく、また、変形例1に示すように、くり抜かれた開口部であってもよい。また、切り込み部は、サイドスリット13A等のサイド曲部に重なって配置されていなくてもよい。
【0047】
しかし、第1裏面シート12が不液透過性のシートであって、切り込み部や開口部を介して体液を下方に移行させる場合は、切り込み部や開口部は、サイド曲部に重なる位置又は、サイド曲部の近傍に配置する。このように切り込み部や開口部を設けることにより、第1裏面シートが不液透過性のシートの場合において切り込み部や開口部を介して第2吸収体20に体液を円滑に移行できる。
【0048】
また、サイド曲部が厚み方向に圧搾された圧搾部によって構成されている場合には、圧搾部とずらして切り込み部や開口部を設けることが望ましい。圧搾部が形成された部分は、圧搾部が延びる前後方向に体液が拡散するため、圧搾部が形成されていない部分と比較して、厚み方向における拡散速度が遅くなり易い。、よって、サイド曲部が厚み方向に圧搾された圧搾部によって構成されている場合には、圧搾部と重なる位置よりも、圧搾部とずらして切り込み部等を配置することが望ましい。
【0049】
また、開口部の場合には、開口部の周縁が口開きしないように、開口部の周囲において第1表面シートと第1裏面シートを接合することが望ましい。例えば、第1表面シート又は第1裏面シートに接着剤を塗工してプレスすることにより、第1表面シートと第1裏面シートを強固に接合することが望ましい。又は、第1表面シートと第1裏面シートの開口部の周縁部を熱シールしてもよい。
【0050】
(3)第2吸収体の構成
次いで、第2吸収体20の構成について説明する。
図4は、第2吸収体20の展開平面図である。第2吸収体20は、不液透過性の第2裏面シート22と、第2裏面シート22よりも肌当接面側に配置された第2吸収層23と、を有する。
【0051】
第2吸収体20は、サイドスリット13Aよりも幅方向外側に配置された一対のサイド連結部31と、サイドスリット13Aよりも前後方向外側に配置された一対の幅連結部32において第1吸収体に連結されている。サイド連結部31は、前後方向に沿って配置されている。サイド連結部31は、サイドスリット13Aよりも幅方向外側にそれぞれ設けられている。サイド連結部31の間において第1吸収体と第2吸収体は、接合されてなく分離している。一対のサイド連結部間の第2吸収体の幅方向の長さは、一対のサイド連結部間の第1吸収体の幅方向の長さよりも長い。当該長さの測定は、使い捨ておむつの製品幅方向中心線に対して直交する幅方向に沿って製品を切断し、その切口の断面にて、第2吸収体の表面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離及び第1吸収体の裏面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離をメジャーや定規を用いて測定する。このとき、第2吸収体を製品外方向に、皺なく伸ばした状態で測定する。
【0052】
幅連結部32は、幅方向に沿って配置されている。幅連結部32は、サイドスリット13Aよりも前後方向外側にそれぞれ設けられている。幅連結部32の間において、第1吸収体10と第2吸収体20は、接合されてなく分離している。サイド連結部31と幅連結部32とは、
図4に示す展開状態では、離間しているが、第2吸収体20が折り畳まれた状態で連なって配置されるように構成されている。また、第1吸収層が外方向に凸に曲げられ、かつ第1吸収層が内方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収体のサイド曲部と第2吸収体との間に空間が形成され、かつ第1吸収体の中央曲部と前記第2吸収体との間に空間が形成されるように構成されている。よって、第1吸収体10が曲部を介して変形すると、第1吸収体10と第2吸収体20との間に空間が形成されるように構成されている。
【0053】
図3に示すように、第2吸収体20は、前後方向Lに沿った折り目を基点に折り畳まれている。第2吸収体20の幅方向両端部は、それぞれ第1吸収体10の幅方向両端部にサイド連結部31を介して接合され、サイド連結部31よりも幅方向内側において第1折り目FL1を基点に幅方向外側に向かって折り返されている。第1折り目FL1を基点に折り返された第2吸収体20は、サイド連結部31よりも幅方向外側において第2折り目FL2を基点に幅方向外側から幅方向内側に向かって折り返されている。よって、第2吸収体20は、第1吸収体10に対してたくれ部を有しており、第2吸収体20が展開することにより、第2吸収体20が袋状に変形する。
【0054】
また、第2吸収体が展開した状態において、第1折り目FL1と第2折り目FL2との間には、第2吸収体同士を接合する接合部35が設けられている。接合部は、第2吸収体20の前端部から第2吸収層23の前端部に跨がって配置され、かつ第2吸収体20の後端部から第2吸収層23の後端部に跨がって配置されている。
【0055】
なお、本実施の形態の第2吸収体20の第2折り目FL2は、サイド連結部よりも幅方向外側に位置しているが、この構成に限られず、サイド連結部よりも幅方向内側であってもよいし、サイド連結部と幅方向において略同じ位置であってもよい。また、第2吸収体20の折り目は、変形例3に示すように、サイド曲部よりも幅方向内側に配置されていてもよい。
【0056】
本実施の形態に係る第2吸収層23の幅方向の長さは、220mmであり、前後方向の長さは、400mmである。また、
図4に示す展開状態における第2吸収体20の幅方向の長さは、第1吸収体10と同じ、又は、第1吸収体10よりも長い。
【0057】
第2裏面シート22は、第2吸収層23の外方向OUT側(非肌当接面側)に設けられている。第2裏面シート22は、疎水性不織布、プラスチックフィルムなどの不液透過性のシートによって形成されている。
【0058】
第2吸収層23は、親水性不織布と、当該親水性不織布によって挟まれたSAPと、から構成されるSAPシートである。本実施形態の第2吸収層23は、SAPの1ピースあたりの重量が9.9g、SAPの目付が112.5g/m
2、厚み1.5mmとした。第2吸収層23の寸法は、幅方向の長さが220mmであり、前後方向の長さが400mmである。第2吸収層23の構成は、これに限定されず、パルプ等の目付や厚みを適宜変更できる。
【0059】
第2吸収層23は、部分的に配置されていてもよい。SAPは股下域に間欠的に配置されていてもよく、特に第1吸収体10の曲部に対応する位置に配置されていることが望ましい。応用例として第2吸収体(SAP配置)寸法を、幅120mm、長さ275mm、SAP目付を300g/m
2などとしてもよい。
【0060】
SAPの目付は、300g/m
2であり、1製品あたりのSAPの量は、9.9gであり、SAPの尿吸収倍率30倍のものを用いた場合は、約300gの尿を吸収可能となる。SAPの目付は、20〜550g/m
2が好ましい。SAPの目付が低すぎると、部分吸収のメリットが少なく、SAPの目付が高すぎると、SAPが十分に膨れることができず、吸収効率が悪く(吸収倍率が低く)なる。対象とする使用者の排泄量や排泄スピードによって、第2吸収体20の寸法や第2吸収層23の吸収容量等を調整でき、一気に多量の排泄物を貯水する場合には、第2吸収体20の寸法を大きくすることが好ましい。
【0061】
第2裏面シート22の幅方向の長さは、第2吸収層23の幅方向の長さよりも長い。第2吸収層23は、第2裏面シート上にHMA型接着剤を介して接合されている。この状態で第2裏面シート22の幅方向の両端部が、第1吸収体10に接合されている。上述のように、第2裏面シート22及び第2吸収層23は、第1折り目及び第2折り目を基点に折り畳まれている。
【0062】
このように構成された使い捨ておむつは、着用時に着用者の脚によって挟まれ、幅方向外側から幅方向内側に向かう力が掛かり、形状が変化する。
図5は、使い捨ておむつ1の着用状態を模式的に示す断面図(
図2のX1−X’1線基準)である。
図5に示すように、使い捨ておむつ1が着用されると、サイドスリット13Aを基点として第1吸収体10が外方向に凸に曲がり、かつ中央スリット13B及び中央弾性部材を基点として第1吸収体が内方向に凸に曲がる。更に、サイド弾性部材16によって第1吸収体10の幅方向両端部が上方に変形する。
【0063】
使い捨ておむつ1の幅方向Wに沿った断面形状は、波状に変形する。よって、吸収体40の股下域S3は、規則的に折り畳まれた状態となる。第1吸収層が外方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収体のサイドスリットと第2吸収体との間に空間が形成され、かつ第1吸収層が内方向に凸に曲げられた状態で、第1吸収体の中央スリット及び中央弾性部材と第2吸収体との間に空間が形成される。この結果、第2吸収体20が、第1折り目及び第2折り目を基点に展開し、サイドスリット13Aの下方に第2吸収体20が袋状に配置される。
【0064】
(4)作用・効果
第1吸収体10に排出された体液は、まず、第1吸収体10に吸収される。そして、一度に大量の体液が排出された場合や、第1吸収体10の吸収容量を超えて体液が排出された場合には、体液は、第1吸収体10を介して下方に位置する第2吸収体20に流れる。第1吸収体10がサイドスリット13Aを基点に外方向に凸に曲がるため、体液は、サイドスリット13Aに流れ込みやすい。サイドスリット13Aに流れ込んだ体液は、サイドスリット13Aに一旦たまり、前後方向に拡散すると同時に、下方に位置する第2吸収体20に流れる。
【0065】
サイドスリット13Aが形成された部分は、吸収材料が配置されていないため、迅速に第1吸収体10から第2吸収体20に体液が流れる。更に、第1表面シート及び第1裏面シートに切り込み部が形成されているため、迅速に第1吸収体10から第2吸収体20に体液が流れる。
【0066】
このようにして第1吸収体10から第2吸収体20に流れた体液は、第2吸収体20の第2吸収層23に吸収される。第2吸収体20は、第1吸収体10と一部離間し、かつたくれ部を持っている。第2吸収体20は、ポケット構造となっており、貯水機能(空間)を持っている。そのため、第2吸収体20において、瞬時に体液を吸収できない場合であっても、第1吸収体10から流れてきた体液を一旦溜めた後、徐々に吸水し保水することができる。
【0067】
このような使い捨ておむつによれば、第1吸収体10の吸収容量の限界になった場合であって、体液が第1吸収体10から第2吸収体20に流れるため、吸収容量の限界時における第1吸収体10の表面の液伝いを抑え、第2吸収体20において貯水及び吸水できる。
【0068】
また、中央弾性部材及び中央スリットによって内方向INに凸となった第1吸収体の頂面が着用者の股間部に当接する。第1吸収体の頂面が常に着用者の股間部に当接する状態を維持でき、排出された体液を迅速に引き込むことができ、肌が濡れる面積を小さくできる。また、着用者の股間部において吸収体が密着しているので、肌伝いするような尿速の遅い尿が排出された場合であっても、体液の漏れを防止できる。
【0069】
更に、第1吸収体10である程度吸収し、第2吸収体20で多量に吸収する構造であるため、吸収後において、第1吸収体10は厚くなり過ぎず、サイド曲部及び中央曲部を基点に規則的な変形を維持することができる。よって、快適な装着感を継続させることができる。
【0070】
また、第2吸収体20は、第1吸収体10と完全に一体化されていないため、排泄後に第2吸収体に重みがかかった場合において、第2吸収体は、サイド連結部で第1吸収体と外れることなく、第1吸収体と連結された状態を維持し、第2吸収体の左右のサイド連結部間の幅方向長さが、その間における第1吸収体の長さよりも長く保たれたままであるので、第2吸収体は、袋状の形態を維持できる。第1吸収体10と同じに変形せず、袋状を維持して第1吸収体10の下方に配置される。また、着用者の肌に近い第1吸収体10は、規則的な折り畳み構造を実現でき、かつ吸収後も厚みが薄い構造を実現できる。一方、着用者の肌から遠い第2吸収体20は、排泄後に吸収体が膨らむ構造となるが、着用者の肌から離れているため、着用者への吸収体の密着性や着用者の装着感の悪化を抑制できる。
【0071】
第2吸収体20は、SAPの比率が高く構成され、比較的厚みが薄い。よて、第2吸収体20は、着用時に柔軟に変形可能であり、着用時に与える違和感を抑制できる。第2吸収体20は、体液吸収前においては、比較的厚みが薄いため、身体にフィットし易い。また、使用前においては、第2吸収体20は、薄くコンパクトに収まるため、パッケージがコンパクトとなり携帯性もよい。第2吸収体20は、パルプの使用量が少なく、従来製品よりも軽くなり、着用感や使用前の携帯性を向上できる。
【0072】
また、第2吸収体20は、体液吸収後においては、大きく膨らむことがあるが、着用者の股下部より離れた方向に位置するため、着用者の違和感を抑制できる。また、第1吸収体10と第2吸収体20との間には、SAPが膨らむための空間が確保されている。第2吸収体20の面積やたくれ度合い等によって、第1吸収体10との間にできる空間容積を調整でき、この空間容積を大きくすることにより、第2吸収体20で吸収が完了するまでの(貯水)時間をかせぐことができる。また、第2吸収体20の吸収容量や第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間容積を調整することで、吸収量を調節することができる。
【0073】
また、使い捨ておむつの着用者の臀部に当たる部分には、寝姿勢や座位において体圧がかかるため、体液を貯水する空間を予め確保し難い。しかし、股下域に位置する吸収体にサイドスリット13Aが配置され、かつ股下域において体液が第2吸収体20に流れる空間が形成されているため、股下域において集中的に体液を貯水できる。よって、臀部側等に体液が流れにくく、肌が濡れる面積を小さくできる。更に、体圧のかかる臀部における液逆戻り量を抑制でき、肌快適性を保つことができる。股下域で体液の吸収を完結させやすいため、従来のように股下域から後胴回り域等に跨る大きな吸収体等が不要となり、吸収体を小型化できる。よって、材料コストを低減できる。
【0074】
更に、本実施の形態では、第1吸収体10と第2吸収体20とを接合しているが、第1吸収体10から第2吸収体20を取り外し可能なように係止部材を装備することによって、症状や使用態様に応じて吸収量を調整することができる。また、第1吸収体10から第2吸収体20を取り外し可能なように係止部材を装備することによって、外出時などにおいて、ズボンを脱がずに第2吸収体20の交換を行うことができる。
【0075】
また、
図6は、切り込み部11Dが形成された部分の第1吸収体10の幅方向断面を模式的に示した図である。第1表面シート11及び第1裏面シート12には、それぞれ切り込み部11D及び12Dが形成されている。
図7は、着用時に変形した状態を示した図である。第1吸収体10がサイドスリット13Aを基点に変形することにより、第1表面シート11及び第1裏面シート12が切り込み部11D、12Dを介して分離して、第1表面シート11及び第1裏面シート12に開口が形成される。このとき、切り込み部11Dが前後方向で連なっていないため、切り込み部11Dによって囲まれた領域(
図2のR1)が起立可能となる。
【0076】
また、切り込み部11Dが幅方向に往復する形状であり、切り込み部11Dによって囲まれた領域が形成されるため、変形時に開口が広くなる。本実施の形態の切り込み部11Dは、幅方向内側端部を基点に、切り込み部11Dによって囲まれた領域が下側に起立する。このように切り込み部11Dによれば、前後方向に沿った直線状の切り込み線よりも、開口を広くする設けることができる。よって、円滑に体液等を第2吸収体20に導くことができる。
【0077】
なお、切り込み部11Dの形状は、
図2に示す例に限定されない。例えば、曲線の波状であってもよいし、
図8に示す例であってもよい。
図8は、切り込み部及び開口部の変形例を示した図である。
【0078】
例えば、
図8(b)〜(d )に示すように、開口部や切り欠き部が幅方向に往復する形状であることにより、着用時に使い捨ておむつの幅方向に切り込み部等が倒れやすくなり、開口面積を大きく形成できる。また、開口部や切り欠き部が前後方向に往復する形状であることにより、着用時に前後方向に切り込み部等が倒れやすくなり、開口面積を大きくすることができる。また、開口部等、シートをくり貫く構成にあっては、製造時にトリムロスが生じ、ロスを回収する装置が必要となる。また、トリムを回収しきれない場合は、製品に混入するという恐れが生じる。しかし、切り込み部によれば、トリムの回収装置が不要となり、製品にトリムロスが混入することを防止できる。
【0079】
また、開口部又は切り込み部は、曲部に重なって配置されていてもよいし、曲部とずれて配置されていてもよい。また、開口又は切り込みの幅方向における中心は、曲部の幅方向における中心と一致していてもよいし、ずれていてもよい。更に、開口の幅方向における中心又は切り込みの幅方向における中心は、幅方向における第1弾性部材とスリットの中間点よりも幅方向内側に位置していてもよい。
【0080】
着用時には、曲部であるスリットよりも幅方向外側に位置する第1弾性部材が内方向に起立するように変形し、スリットを基点に外方向に凸状に変形する。よって、着用者から排出された排泄物は、下側に凸状のスリット側に移行する。このとき、開口部の幅方向における中心又は切り込みの幅方向における中心が、幅方向における第1弾性部材とスリットの中間点よりも幅方向内側に位置しているため、開口部又は切り込みによる開口が、第1弾性部材よりもスリット側に位置し、スリットを介して円滑に体液を第2吸収体に導くことができ、第1吸収体からの体液の漏れを抑制できる。
【0081】
なお、第1弾性部材が複数配置されている場合における第1弾性部材とスリットの中間点とは、最も幅方向外側に位置する第1弾性部材とスリットの中間点であればよい。
【0082】
なお、本実施の形態における長さの関係や部材同士の位置関係は、
図1に示す全て製品状態(展開状態ではない)であって、当該製品状態において長手方向、幅方向ともに伸長状態(資材の皺が伸びきるまで伸ばした状態)における長さの関係や位置関係である。
【0083】
長さの測定方法は、例えば、以下の方法によって測定できる。なお、使い捨ておむつの測定は、パッケージから取り出した状態であっても、所定の温度、湿度の条件下に置いた状態でも長さの測定値に影響が出ない。よって、任意の状態で測定可能である。吸収性本体1Aを前後方向に伸ばし、吸収性本体1Aを前後方向に伸ばした状態で測定する。外装体と吸収性本体が重なっていて、外装体の弾性材で吸収性本体が縮んでいる場合は、外装体の資材の皺が伸びきるまでと、吸収性本体1Aの資材の皺が伸びきるまでは必ずしも一致しないので、吸収性本体1Aの資材の皺が伸びきるまで伸長する。
【0084】
(5)変形例1に係る使い捨ておむつ
次いで、変形例1に係る使い捨ておむつについて、説明する。なお、以下の変形例の説明においては、上述した実施形態に係る使い捨ておむつ1と同一部分には同一の符号を付して、相違する部分を主として説明する。
【0085】
図9は、変形例1に係る使い捨ておむつを構成する吸収性本体の平面図である。変形例1に係る使い捨ておむつは、第1吸収体10と第2吸収体20とを連結するサイド連結部31の幅方向の長さが、前後方向において変化する。サイド連結部31は、第1吸収体10の非肌当接面側の面に位置し、
図9は、第1吸収体10の肌当接面側の面を示しているが、説明の便宜上、
図9において、第1吸収体10におけるサイド連結部31及び幅連結部32の位置を模式的に示す。更に、第2吸収体20は、折り畳まれた状態で第2吸収体20同士が接合されている。この第2吸収体20の接合部35の位置も、説明の便宜上、
図9において模式的に示す。
【0086】
図10は、
図9に示すX2-X’2線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。
図11は、
図9に示すX3-X’3線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。
図12は、
図9に示すX4-X’4線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。
図13は、
図9に示すX5-X’5線に沿った使い捨ておむつの幅方向断面図である。
【0087】
X2-X’2線に沿った断面における、第1吸収体10と第2吸収体20とを連結するサイド連結部31の幅方向の長さは、最も短い。よって、第2吸収体20と第1吸収体10との離間距離は、最も長い。サイド連結部31の幅方向の長さが短く、第2吸収体20と第1吸収体10との離間距
離が長いため、第2吸収体20が膨らんだ状態における第1吸収体10と第2吸収体20との空間が広く形成される。
【0088】
X3-X’3線に沿った断面における、第1吸収体10と第2吸収体20とを連結するサイド連結部31の幅方向の長さは、X2-X’2線に沿った断面よりも長い。X2-X’2線の位置と比較して、サイド連結部31の幅方向の長さが比較的長く、かつ第2吸収体20と第1吸収体10との離間距
離が短いため、X2-X’2線に沿った断面よりも、第2吸収体20が膨らんだ状態における第1吸収体10と第2吸収体20との空間が狭く形成される。
【0089】
X4-X’4線に沿った断面における、第1吸収体10と第2吸収体20とを連結するサイド連結部31の幅方向の長さは、X3-X’3線に沿った断面と同じ長さである。しかし、X4-X’4線に沿った断面においては、第1折り目を基点に折り返された第2裏面シート同士が接合部35において接合されている。よって、X3-X’3線に沿った断面よりも、第2吸収体20が膨らんだ状態における第1吸収体10と第2吸収体20との空間が狭く形成される。
【0090】
X5-X’5線に沿った断面においては、第1吸収体10と第2吸収体20は、第1吸収体10の幅方向全域において幅連結部32を介して連結されている。よって、第1吸収体10と第2吸収体20との空間が形成されない。
【0091】
変形例1に係る使い捨ておむつは、第2吸収体20と第1吸収体10との離間距離が前後方向で変化し、かつ少なくとも後胴回り域側よりも股下域の前後方向中心側において、第2吸収体20と第1吸収体10との離間距離が長くなるように構成されている。サイド連結部間の距離は、後方から前方に向かうにつれて長くなり、後方よりも股間部において空間が大きくなっている。当該長さの測定は、使い捨ておむつの製品幅方向中心線に対して直交する幅方向に沿って製品を切断し、その切口の断面にて、第2吸収体の表面シート側におけるサイド連結部間(サイド連結部の幅方向内側同士)の距離をメジャーや定規を用いて測定する。このとき、第2吸収体を製品外方向に、皺なく伸ばした状態で測定する。
【0092】
例えば、比較的後胴回り域に近い側は、着用者が寝姿勢において体圧がかかり、第1吸収体10と第2吸収体20の離間距離を長く設けた場合であっても、第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間を確保できず、貯水し難い。また、比較的後胴回り域に近い側において、第1吸収体10と第2吸収体20の間の離間距離を長くし過ぎると、着用者が立った姿勢において、見た目のすっきり感を損なったり、使い捨ておむつがだぶついて着用感を損なったりすることがある。よって、後胴回り域側のサイド連結部間の距離は、短い方が望ましい。変形例1に係る使い捨ておむつによれば、後胴回り域における着用感の悪化を抑制しつつ、股下域における吸収性能を確保することができる。
【0093】
一方、股下域の前後方向中心側は、着用者から体液が多量に排出される領域であり、第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間を広く形成することが望ましい。よって、股下域の前後方向中心側においてサイド連結部31を比較的短くし、第1吸収体10と第2吸収体20の離間距離を長く設けることにより、一度に大量の体液が排出された場合であっても、一時的に貯水することが可能となり、漏れを防ぐことができる。
【0094】
(6)変形例2に係る使い捨ておむつ
次いで、変形例2に係る使い捨ておむつについて、説明する。
図14は、変形例2に係る使い捨ておむつを構成する吸収性本体の平面図である。変形例2に係る使い捨ておむつは、第2吸収体の平面視における寸法が、第1吸収体の平面視における寸法よりも小さく構成されている。第2吸収体は、変形前の状態で折り畳まれてなく、たくれ部を有していない。
【0095】
第1吸収体は、着用時に中央曲部及びサイド曲部を基点に変形し、略W字に折り畳まれ、変形前と比較して第1吸収体の幅が短くなる。このように第1吸収体の幅が短くなることにより、相対的に第2吸収体の幅が第1吸収体よりも長くなり、第1吸収体と第2吸収体との間に空間が形成される。
【0096】
また、変形例2に係る使い捨ておむつは、股下域の前後方向中央のみに第2吸収体を設けているため、股下域全域にわたって第2吸収体を配置する構成と比較して、材料コストを低減できる。また、股下域の前胴回り域側及び後胴回り域側には、第2吸収体が配置されていないため、着用者の腹側に対応する部分や背側に対応する部分の厚みを抑え、見た目をすっきりさせることができる。
【0097】
(7)変形例3に係る使い捨ておむつ
次いで、変形例3に係る使い捨ておむつについて、説明する。
図15は、変形例3に係る使い捨ておむつを示す断面図(
図2のX1−X’1線基準)である。変形例3に係る使い捨ておむつは、実施の形態の使い捨ておむつと、第2吸収体20の第1折り目FL1及び第2折り目FL2の位置が異なっている。
【0098】
第1折り目FL1及び第2折り目FL2は、サイド曲部を構成するサイドスリット13Aよりも幅方向内側に配置されている。例えば、サイド曲部よりも幅方向外側に第1折り目FL1及び第2折り目FL2を配置すると、着用者の鼠蹊部付近に第2折り目FL2が当たり、着用時に脚に挟まれた際の圧力によって第2吸収体20が展開し難くなることがある。その結果、第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間が形成され難くなることがある。
【0099】
変形例3に係る使い捨ておむつは、サイド曲部より幅方向外側に折り目が存在しせず、サイド曲部よりも幅方向内側に位置するため、サイド曲部間において第2吸収体20が幅方向に押圧された際に、第2吸収体20が展開され易い。よって、第1吸収体10から移行してきた体液を一時的に貯える空間をより確実に形成でき、第1吸収体10から第2吸収体20への体液の移行を円滑に行うことができる。
【0100】
更に、サイド曲部と第2折り目を厚み方向に重ねて配置してもよい。サイド曲部の直下に第2折り目を配置することにより、サイド曲部を起点に第1吸収体10が変形した際に、第2折り目部分を外方向や幅方向外側に押圧する力が作用し、第2吸収体20がより展開し易くなる。
【0101】
(8)その他の実施形態
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0102】
例えば、上述した実施形態では、パンツ型の使い捨ておむつとして説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、オープン型の使い捨ておむつであってもよいし、失禁用パッド及びパンツタイプの生理用ナプキンなどに適用してもよい。
【0103】
実施の形態の使い捨ておむつは、第2吸収体のサイド連結部間の幅方向の長さが、第1吸収体のサイド連結部間の幅方向の長さよりも長く、第1吸収体と第2吸収体との間に空間が形成されるように構成されているが、本発明に係る使い捨ておむつは、第2吸収体のサイド連結部間の幅方向の長さが、第1吸収体のサイド連結部間の幅方向の長さと同じ又は短く構成されていてもよい。このような構成によっても、着用時に第1吸収体がサイド曲部及び中央曲部を基点に変形することにより、第1吸収体の幅方向の長さが短くなり、第1吸収体と第2吸収体との間に空間を形成できる。
【0104】
また、第1吸収体10と第2吸収体20とを直接連結せずに、他のシート材等を介して間接的に連結してもよい。
【0105】
また、第1吸収体10と第2吸収体20の展開時における寸法は、適宜設定することができる。例えば、第1吸収体10の前後方向の長さは、第2吸収体20の前後方向の長さと同じであってもよいし、第2吸収体20の前後方向の長さよりも長くてもよいし、第2吸収体20の前後方向の長さよりも短くてもよい。例えば、第1吸収体10の幅方向の長さは、第2吸収体20の幅方向の長さと同じであってもよいし、第2吸収体20の幅方向の長さよりも長くてもよいし、第2吸収体20の幅方向の長さよりも短くてもよい。第1吸収体10と第2吸収体20の前後方向の長さの関係及び幅方向の長さの関係を適宜組み合わせることができる。
【0106】
また、第1吸収体10と第2吸収体20の連結部の位置は、適宜設定することができる。例えば、第1吸収体10と第2吸収体20は、サイド連結部31のみで連結されていてもよいし、サイド連結部31及び幅連結部32で連結されていてもよい。また、サイド連結部31の前後方向の位置は、少なくともサイド曲部の前後方向の位置を含んでいればよく、第1吸収体10の前後方向全域であってもよいし、第2吸収体20の前後方向全域であってもよい。また、サイド連結部31と幅連結部32は、離間して配置されていてもよいし、連なっていてもよい。なお、サイド連結部31と幅連結部32が連なっていることにより、第1吸収体10と第2吸収体20との間の空間を囲むことができ、体液等の漏れを防止できる。
【0107】
また、第1表面シートは、液透過性シートであるため、開口部が形成されていなくてもよい。第1裏面シートは、液透過性シートである場合には、開口部が形成されていなくてもよいが、不液透過性シートである場合には、開口部が形成される。
【0108】
切り込み部及び開口部の形状は、上述の形態に限定されず、サイド曲部に対応する位置のみならず、第1表面シート及び第1裏面シートの全体や、サイド曲部の周囲を含んだ一定領域に形成されていてもよい。
【0109】
また、第2吸収層は、サイド連結部よりも幅方向外側に延出して設けられていてもよい。具体的には、第2吸収層23の幅方向外側端部が、サイド連結部よりも幅方向外側に延出している。このように、第2吸収層23をサイド連結部よりも幅方向外側に延出して設けることにより、サイド連結部より幅方向外側に延出した第2吸収層において第1吸収体の幅方向外側端部から漏れた排泄物を吸収できるので、漏れを防止できる。
【0110】
第2裏面シートは、幅方向又は前後方向に伸長する伸長性を有し、第2吸収層が体液を吸収することによって幅方向又は前後方向に伸長するように構成されていてもよい。第2裏面シートが伸長性を有することにより、第2吸収層23において体液を吸収し、第2吸収層23の重量や膨らみが大きくなった場合に、第2裏面シートが幅方向又は前後方向に伸びて、第1吸収体と第2吸収体との間の空間を大きく形成できる。よって、更に排泄物を貯水し、且つ吸収する空間を設けることができる。
【0111】
このような第2裏面シートとしては、防水性フィルムと伸縮性不織布を貼り合わせた複合シートを例示できる。複合シートの製造方法としては、例えば、第2裏面シートの製品寸法よりも前後方向の寸法及び/又は幅方向の寸法が長い防水性フィルムを用意し、当該防水性フィルムに対して伸縮性不織布を前後方向及び/又は幅方向に伸張させて、防水性フィルムと伸縮性不織布とを接合する。このとき、防水性フィルムと伸縮性不織布とを部分的に接合してもよいし、伸縮性不織布の全面に亘って接合してもよい。上記複合シートを、第2吸収体裏面シートの所定の寸法に縮めて、他構成部材に貼り合わせる。
【0112】
非伸縮性フィルム、非伸縮性不織布、及び弾性部材による第2裏面シートの製造方法としては、例えば、第2裏面シートの製品寸法と比べて、幅方向に略同じ寸法で、また前後方向の長さが長い非伸縮性フィルム及び非伸縮性不織布を用意し、当該非伸縮性フィルムと非伸縮性不織布との間に、弾性部材を前後方向に伸長固定する。このとき非伸縮性フィルムと非伸縮性不織布は部分的に接合してもよいし、全面的に亘って接合してもよい。上記複合シートを、第2吸収体裏面シートの所定の寸法に縮めて、他構成部材に貼り合わせる。
【0113】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。従って、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。