特許第6129334号(P6129334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6129334パルス照射を使用する移動画像の高速取得のための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6129334
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】パルス照射を使用する移動画像の高速取得のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/372 20110101AFI20170508BHJP
   H04N 5/367 20110101ALI20170508BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170508BHJP
   G01N 21/00 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
   H04N5/335 720
   H04N5/335 670
   H04N5/225 Z
   G01N21/00 B
【請求項の数】20
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-545929(P2015-545929)
(86)(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公表番号】特表2016-500493(P2016-500493A)
(43)【公表日】2016年1月12日
(86)【国際出願番号】US2013074124
(87)【国際公開番号】WO2014093341
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年12月7日
(31)【優先権主張番号】61/735,427
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/096,911
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン デイヴィッド エル
(72)【発明者】
【氏名】チュワーン ユン−ホ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ユジツキー ユーリー
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−521010(JP,A)
【文献】 特開2005−241290(JP,A)
【文献】 米国特許第7136159(US,B2)
【文献】 国際公開第2011/123469(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H04N 5/222−5/257
G01N 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に移動する対象の画像を生成するために画像センサを動作させる方法であって、前記画像センサは読み出し軸に沿って整列された複数の画素を備え、前記連続的に移動する対象は前記読み出し軸に平行な運動の軸に沿って移動し、
照射パルスの間に時間遅延積分モード(TDIモード)動作を行うことであって、前記TDIモード動作の間に、複数の電荷がそれぞれ前記画像センサの前記複数の画素に蓄積され、各電荷は、前記連続的に移動する対象の対応する固定点から反射された前記照射パルスにより生成された画像領域を形成し、前記複数の電荷は前記読み出し軸に沿った第1の方向にだけ画素から画素へシフトされ、各電荷は不鮮明化のないように対応する前記固定点に沿ってシフトされる、行うことと、
非照射の間に分割読み出し動作を行うことであって、前記TDIモード動作に続く前記分割読み出し動作の間に、前記画像センサの第1の前記画素によって蓄積された第1の前記電荷が、前記読み出し軸に沿った前記第1の方向に画素から画素へシフトされ、この間に、前記画像センサの第2の前記画素によって蓄積された第2の前記電荷が、前記第1の方向と逆であり前記読み出し軸に沿った第2の方向に画素から画素へシフトされる、行うことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記TDIモード動作が、前記照射パルスと同期される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TDIモード動作が、電子または光学的同期を使用して、前記照射パルスの1つのクロック期間内に開始するようにトリガされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記TDIモード動作の時間が、前記照射パルスの期間を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記分割読み出し動作の間、前記画像センサが、画像の動きと同期されない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分割読み出し動作を行うことが、複数の直列レジスタの並行読み出しを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記TDIモード動作と前記分割読み出し動作との間にアイドリング動作を提供することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アイドリング動作を提供することが、前記画像センサの前記TDIモード動作の前に行われる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
照射間隔が、1つ以上のTDIライン期間に広がる複数の照射パルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の照射パルスに対応する画素出力を分析することに基づいて、前記画像センサの画素欠陥から回復することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
パルス照射源と、
読み出し軸に沿って整列された複数の画素を含む画像センサと、
照射パルスを前記パルス照射源から前記読み出し軸に平行な移動軸に沿って連続的に移動する対象に導くように、および反射光を前記対象から前記画像センサに導くように、構成された光学的構成要素と、
前記画像センサを動作させるように構成されたプロセッサであって、構成が、
照射パルスの間に時間遅延積分モード(TDIモード)動作を行うことであって、前記TDIモードの間に、複数の電荷がそれぞれ前記画像センサの前記複数の画素に蓄積され、各電荷は、前記連続的に移動する対象の対応する固定点から反射された前記照射パルスにより生成された画像領域を形成し、前記複数の電荷は前記読み出し軸に沿った第1の方向にだけ画素から画素へシフトされ、各電荷は不鮮明化のないように対応する前記固定点に沿ってシフトされる、行うことと、
非照射の間に分割読み出し動作を行うことであって、前記TDIモード動作に続く前記分割読み出し動作の間に、前記画像センサの第1の前記画素によって蓄積された第1の前記電荷が、前記読み出し軸に沿った前記第1の方向に画素から画素へシフトされ、この間に、前記画像センサの第2の前記画素によって蓄積された第2の前記電荷が、前記第1の方向と逆であり前記読み出し軸に沿った第2の方向に画素から画素へシフトされる、行うことと、を含む処理を行う、プロセッサと、
を含む、システム。
【請求項12】
前記TDIモード動作が、前記照射パルスと同期される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記TDIモード動作が、電子または光学的同期を使用して前記照射パルスの1つのクロック期間内に開始するようにトリガされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記TDIモード動作の時間が、前記照射パルスの期間を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記分割読み出し動作の間、前記画像センサが、画像の動きと同期されない、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記分割読み出し動作を行うことが、複数の直列レジスタの並行読み出しを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記TDIモード動作と前記分割読み出し動作との間にアイドリング動作を提供することを更に含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記アイドリング動作を提供することが、前記画像センサのTDIモード動作の前に行われる、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
照射間隔が、1つ以上のTDIライン期間に広がる複数の照射パルスを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の照射パルスに対応する画素出力を分析することに基づいて、前記画像センサの画素欠陥から回復することを更に含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2012年12月10日に出願され、「Method And Apparatus For High Speed Acquisition Of Moving Images Using Pulsed Illumination」と題された、米国仮特許出願第61/735,427号の優先権を主張するものである。
【0002】
発明は、時間遅延積分とパルス照射の両方を使用する一方で、高速画像スキャニングを可能にするように構成されたシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
時間遅延積分(TDI)は、画像化ハードウェアの視野よりもかなり広くすることができる移動対象の連続画像を作り出す画像化処理である。TDIシステムにおいて、画像光子は、画素のアレイを備えるセンサにおける光電荷に変換される。対象が移動される際、光電荷は、移動の軸と平行に、センサの下で画素から画素にシフトされる。対象の速度と光電荷のシフトレートを同期させることにより、TDIは、移動対象上の固定位置における信号強度を積分することができ、画像を生成する。総積分時間は、画像の動きの速度を変えることによって、および移動の方向においてより多くの/少ない画素を提供することによって、調整され得る。従来のTDI検査システムでは、読み出し回路が、センサの片側上に位置付けられ、積分された信号を読み出す。TDI検査システムは、ウェハ、マスク、および/またはレチクルを検査するために使用され得る。
【0004】
連続照射および移動対象を用いるシステムにおいて、TDIは、画像の動きに精密に同期される必要があり、それ故、記録される画像は、不鮮明なものではない。このシステムの1つの欠点は、センサの読み出しが、一方向にだけ、すなわち、画像の動きに対応する方向にだけであり得ることと、照射パルスの間に対象と同じスキャンレートで動作する必要があることである。パルス照射および移動対象を用いるシステムにおいて、画像は、センサ範囲全体にわたってほぼ瞬時に収集され得る。画像は、次いで、センサの両側に沿って読み出され得、それによって、効果的に読み出し速度を倍増する。読み出しラインレートはまた、最終的な画像品質を損なうことなく、画像スキャンレートよりも高速とすることができ、それは、読み出し速度を更に増加させることができる。このシステムの重大な欠点は、移動画像が、露出時間の間に不鮮明さを作り出さないように照射パルスが非常に短くなければならない。パルス照射時間がセンサライン期間に近づく際、画像の動きが、かなりの不鮮明さをもたらし始めることになり、画像は、その閾値を超えて激しく劣化することになる。非常に短いパルスを使用するこのシステムの別の欠点は、センサ上の欠陥のある画素位置における画像情報が、回復され得ないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0196059号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、連続的に移動する対象、パルス照射、高速読み出し機能、およびセンサ画素が欠陥のある画像情報の回復を提供する、方法ならびに装置の必要性が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
連続的に移動する対象を用いて画像センサを動作させる方法が記載される。この方法では、時間遅延積分モード(TDIモード)動作が、長時間の照射パルスの間に行われ得る。このTDIモード動作の間、画像センサの画素によって記憶される全ての電荷は、第1の方向にだけシフトされ、画像の動きを追跡する。とりわけ、分割読み出し動作は、非照射の間にだけ行われる。この分割読み出し動作の間、画像センサの第1の画素によって記憶された第1の電荷が、第1の方向にシフトされ、画像センサの第2の画素によって記憶された第2の電荷が、第1の方向と逆である第2の方向に同時にシフトされる。
【0008】
TDIモード動作は、照射パルスと同期される。一実施形態において、TDIモード動作は、電子または光学的同期を使用して、照射パルスの1つのクロック期間内に開始するようにトリガされる。TDIモード動作の時間は、パルス照射の期間を含む。分割読み出し動作の間、画像センサの電荷移動は、画像の動きと同期されない。一実施形態において、分割読み出し動作を行うことは、複数のセンサ出力チャネルの並行読み出しを含むことができる。
【0009】
アイドリング動作は、対象およびセンサ読み出しの同期を容易にするために、または検出システムの電力消費を減らすために、TDIモード動作と分割読み出し動作の前に(また、一実施形態では、TDIモード動作と分割読み出し動作との間においても)、提供され得る。一実施形態において、照射間隔は、複数の照射パルスを含むことができる。1つ以上のTDIライン期間に広がる複数の照射パルスに対応する画素出力を分析することは、画像センサ上の画素欠陥近くの画像品質を改善することができる。
【0010】
検査または計測のためのシステムもまた、記載される。このシステムは、パルス照射源、画像センサ、光学的構成要素、およびプロセッサを含む。照射パルスは、センサのライン期間に類似し得るか、あるいはその期間よりも長い可能性がある。光学的構成要素は、パルス照射をパルス照射源から対象に導くように、および反射光を対象から画像センサに導くように、構成される。プロセッサは、画像センサを動作させるように構成される。構成は、上記したような、TDIモード動作と分割読み出し動作を含む処理を行うことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】連続的に移動する対象を用いてパルス照射を使用する例示的なスキャニング検査システムを例示する。
図2A】独立して動作され得る、2つの側部を有する例示的な画像センサを例示する。
図2B】画像センサのために使用され得る、例示的なCCDゲートの動作を例示する。
図3A】パルス照射を用いるシステムにおける三相CCDのための、3つの別個の動作モードを用いる、例示的なタイミング図を例示する。
図3B】CCD駆動信号のシーケンスに基づいて、電荷が、どのようにセンサ画像収集および記憶領域において異なる方向にシフトされるかを例示する。
図4】三相CCDのための例示的な駆動信号および相対的なタイミングを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、連続的に移動する対象101、例えばウェハ、マスク、またはレチクルなどを用いて、パルス照射源106を使用するように構成された例示的なシステム100を例示する。有利に、パルス照射106は、長パルスとすることができる。パルス照射106のための例示的な供給源は、Qスイッチレーザまたはパルスランプを含むことができる。Qスイッチレーザは、レーザの光学的共振器の内側の可変減衰器を使用して、非常に高いピーク電力を有する光パルスを作り出す。これらの光パルスは、連続モードで動作する同じレーザによって作り出されるものよりもかなり高い。パルスランプは、遠紫外(DUV)エキシマーまたは極紫外(EUV)源によって実施され得る。1つの好適な実施形態において、パルス持続時間は、TDIのライン期間に近いか、あるいはTDIのライン期間よりも長い。1マイクロ秒のライン期間の場合、適切な照射は、ほぼ500ナノ秒であり得、または数10マイクロ秒、あるいは数100マイクロ秒を超えてもよく、この発明に記載される方法から大きな利益を得る。
【0013】
システム100において、ビームスプリッタ107は、照射パルスをパルス照射源106から対物レンズ104に導くことになり、その対物レンズは、その光を対象101に焦点を合わせることになる。対象101からの反射光は、次いで、画像センサ110に導かれることになる。光を導くためのおよび光の焦点を合わせるための他の周知の光学的構成要素は、図1において簡潔さのために図示されないことに留意する。例えば、1998年2月10日に発行された米国特許第5,717,518号と、2012年7月9日に出願された米国特許出願第13/554,954号は、その両方が、本明細書に参照によって組み込まれ、システム100において使用され得る例示的な光学的構成要素を記載する。画像センサ110に結合されるプロセッサ120は、画像センサ110に対するおよび画像センサ110からの制御信号とデータ信号ならびに(以下に詳細に記載される)画像データの分析を用いて、パルス照射源106からの照射パルスの同期を提供するように構成される。上記した構成では、対象101は、対象の動き103があり、画像センサ110は、画像の動き109がある。
【0014】
システム100の一態様に従って、対象の動き103が原因で、照射される領域は、照射される領域102a(例えば、期間N)、前に照射された領域102b(例えば、期間N−1)、および前に照射された領域102c(例えば、期間N−2)によって示されるように対象101にわたって連続的に移動することになる。照射される領域102a、102b、および102cのそれぞれは、(見やすさのために、一定の縮尺では図示されない)薄い矩形形状領域であり得る。それらの領域は、明瞭さのために別個に示されるが、100%の画像化カバレッジを提供するために、または欠陥検出の間の更なる冗長性および性能のために、オーバーラップし得ることに留意する。
【0015】
図2Aは、画像領域203の両側に位置する2組の読み出し回路201Aおよび201Bを含む例示的な分割読み出し画像センサ110を例示する。読み出し回路201Aと201Bは、直列レジスタ202Aと202Bおよび読み出し増幅器204Aと204B、ならびに他の構成要素、例えば移行ゲートなどを含むことができる。読み出し回路201Aと201Bの例示的な実施形態、ならびにセンサ110の他の構成要素は、2009年10月27日に発行され「Continuous Clocking of TDI Sensors」と題された、米国特許第7,609,309号に記載され、その特許は、本明細書に参照によって組み込まれる。画像領域203は、画素の2次元(2D)アレイであり、画像の各ラインは、各方向AおよびBにおいて同時に読み出される。各ラインは、次いで、最も簡単な場合において、1回に1つの画素を読み出される。したがって、好適な実施形態において、直列レジスタ202Aおよび202Bは、複数のレジスタ区分に分けられ得る(例えば、図2Aは、6つの区分に分けられた各直列レジスタを示しており、それによって、複数の増幅器204Aおよび204Bを使用する並行読み出しを可能にする。
【0016】
とりわけ、読み出し回路201Aおよび201Bは、独立して動作され得、それによって、画像センサ110が、2つの読み出し方向AおよびBを提供することを可能にする。分割読み出しモードでは、画像領域203のそれぞれの側部(すなわち、側部203Aおよび203B)が、同期してクロック化され得、それらのそれぞれの出力チャネルに1つの画像ラインを読み出す。一実施形態において、画像領域203は1000本のラインを有し得、各ラインは、画素の列によって形成される。したがって、分割読み出しモードの間、500本のラインが、方向Aにおいて読み出され得、同時に、500本のラインが、方向Bにおいて読み出され得る。
【0017】
この分割読み出しモードは、画像センサ110における電荷結合デバイス(CCD)ドライバの時限起動に基づいて可能である。例えば、複数のCCDドライバP1a、P2a、P3a、P1b、P2b、およびP3bが、複数の相を提供するために使用され得る。図2Bに示されるように、CCDドライバP1a、P2a、P3a、P1b、P2b、およびP3bは、駆動する組のゲート電極(以下、ゲート)として特徴付けられ得、各組は、6つのゲートを有する。画像センサ110の1つの好適な実施形態において、3つのゲートが各画素に対して提供されて、3つの相を提供する。図2Bでは、2つの画素210および211が示され、ゲート231、232、および233は、画素210の上に位置し、ゲート234、235、および236は、画素211の上に位置する。画像センサ110において、画素210および211は、読み出し軸に沿って整列され、画像領域203を形成する画素の2Dアレイの列の一部を形成する。
【0018】
画像領域203は、光学的センサまたは光電陰極として実施され得る。1つの光学的センサの実施形態において、画像領域203は、光電性p型シリコン基板214とn型埋め込みチャネル213を含むことができる。シリコン基板214における静電力は、クロック入力信号(例えば、CCDドライバP1a、P2a、P3a、P1b、P2b、およびP3bからのクロック信号の1つ)によって特定のゲートに加えられる電圧レベルによって決定される。高レベル電圧は、ゲートの下にポテンシャル「井戸」の形成を誘発するのに対して、低レベル電圧は、電子移動に対してポテンシャル障壁を形成する。1つの画素からの電荷が他の画素と混合されないことを確実にするために、ゲート電圧は、隣接ゲート電圧が低く駆動されるときに高く駆動される(図面3Aおよび3Bを参照にして更に詳細に記載される)。時間220における初期状態において、画素210および211のゲート231および234は、それぞれ、集約された電荷(すなわち、電子)があるポテンシャル井戸を形成する高レベル電圧を有しており、(画素210の)ゲート232、233および(画素211の)235、236は、ポテンシャル障壁を形成する低レベル電圧を有する。後続の時間221において、画素210および211のゲート232および235は、それぞれ、集約された電荷(すなわち、電子)があるポテンシャル井戸を形成する高レベル電圧を有しており、(画素210の)ゲート231、233および(画素211の)234、236は、ポテンシャル障壁を形成する低レベル電圧を有する。更なる後続の時間222において、画素210および211のゲート233および236は、それぞれ、集約された電荷(すなわち、電子)があるポテンシャル井戸を形成する高レベル電圧を有しており、(画素210の)ゲート231、232および(画素211の)234、235は、ポテンシャル障壁を形成する低レベル電圧を有する。電荷をシフトするときに隣接ゲートは、好ましくは両方、短時間で電荷移行を容易にするために、高レベル電圧を有していることに留意する。(以下に記載される)図3Aは、このタイミングのオーバーラップを示す。)それ故、時間220から時間222まで、電荷は、左から右へ、すなわち、画素210から画素211へシフトされる。電荷のこの方向性のシフトは、図3を参照にして記載されるように、検査システムのモードの間に有利に修正され得る。
【0019】
図3Aは、CCDドライバP1a、P2a、P3a、P1b、P2b、およびP3bによる信号出力、クロック信号(ck)、外部同期パルス(sync)、ならびにパルス照射時間(パルス)を示す例示的なタイミング図300を例示する。CCDドライバによる各信号出力の電圧遷移の開始や停止が、クロック信号ckに対して同期され得ることに留意する。外部同期パルスsyncは、3つのモード周期(図3Aに示される1つの完全な周期)をトリガする。図3Aの例において、1つのレーザパルスが、各周期の間に提供される。
【0020】
3つのセンサモードが、「0」、「1」、および「2」として図3Aにおいて示される。センサモード1は、TDIモード動作であって、それにおいて、レーザパルスが発生し、したがって、対象の照射された領域の画像が生成され得る、動作である。一実施形態において、パルス持続時間は、高速TDIのライン期間に近くすることあるいはそのライン期間よりも長くすることができ、その高速TDIのライン期間は、例えば、1マイクロ秒であり得る。照射パルスは、長い(例えば、1マイクロ秒を超える)可能性があるので、画像上の固定点は、1つ以上のセンサ画素にわたってシフトすることに留意する。したがって、(図3に示される)CCDドライバP1a/P1b、P2a/P2b、およびP3a/P3bの連続したクロッキングは、画像領域において発生した電荷が、画像とともにシフトされることを確実にするように行われ得、TDIモード動作を提供して、不鮮明化の無いことを確実にする。いくつかの実施形態において、電荷のシフトは、1〜2個の画素間だけで行われ得、画像の不鮮明化が発生しないことを確実にする。センサラインレートとも呼ばれるこの電荷シフトのレートは、画像の動きに正確に一致させるために選択され得る。動作のTDIモードにおける合計時間は、総照射パルス時間に依存して、ただ1つのまたは少数のラインクロック期間であり得る。しかしながら、不鮮明化に起因する画像品質の損失および欠陥検出の結果として生じる劣化は、動作のTDIモードの提供がなければ、非常に著しいであろう。
【0021】
センサモード2は、高速分割読み出し動作であって、それにおいて、照射がオフである(すなわち、レーザパルスが存在しない)、動作である。とりわけ、照射はオフであるので、データは、直列レジスタのためのクロック信号が許すことになる可能な限り速く、2つの側部(例えば、画像領域203の側部203Aおよび203B、図2A)から読み出され得る。この時間の間、画像センサ110は、画像の動き109と同期されない。
【0022】
図2Aに戻って参照すると、一実施形態において、実際の照射領域205は、センサ画像領域203よりもわずかに小さい可能性がある。したがって、電荷シフトがTDIモード動作の間に発生するときに、画像は、光学的視野の外側に移動することになる。しかしながら、画像は、画素内に記憶された電荷が原因で、画像領域203によって依然として記憶される。したがって、高速分割読み出しモードの間、均一に照射された画像データの前に最初に読み出されるいくらかの空白のまたは低い信号ラインがあることになる。このアーチファクトは、処理の間に補償され得、またはフレーム端近くの冗長性を許す適切な画像フレームオーバーラップが選択される場合に、無視され得る。具体的に、信号が増幅器から出力されるとき、画像は、画像フレームの端近くの照射効果に対する補償を用いて再構築され得る。
【0023】
センサモード0は、アイドリング動作であって、それにおいて、(対象ではない)センサ画像電荷が静的である(すなわち、停止される)、動作である。一実施形態において、1組の信号、例えば、CCDドライバP3aおよびP3bの信号などが、アイドリング動作の間に高く維持され得、所定画素の事前充電を提供して、フィールドの端において信号電荷または画像データを失うこと無く、状態間の遷移を確実にする。画像センサは、1ミリボルトよりも少ない正確さで各画素上の電荷を迅速に測定する必要があることに留意する。画像センサは、基板における電圧ノイズの存在下で、そのような測定を行うことができない可能性がある。この問題に対処するために、画素から画素に電荷を移動させることは、読み出し増幅器が直列レジスタから信号を読み取る間に中断され得ない。一実施形態において、照射パルスは、照射源のタイミングの不確実性に起因して発生するのに少なくとも1つの電荷移行において十分な期間後に発生し得る。TDIモード動作を始めるためのセンサに対するトリガは、カメラクロックに由来し得るか、照射パルスの光学的検出に基づき得る。対象の動きおよび画像センサのラインレートは、うまく同期されるので、その供給源のタイミング安定性は、かなり乏しい可能性があるけれども、結果に対して鮮明かつ正確に位置付けられた画像を可能にさせる。センサモード2の終了後、画像センサ110は、センサモード0(アイドリングモード)に戻り、次の同期信号および照射パルスを待つ。増幅器204Aおよび204Bから外部画像処理コンピュータ(図示しない)に収集されたデータを処理すること、バッファリングすること、および移送することは、全センサモードの間に進められ得ることに留意する。
【0024】
図3Bは、CCD駆動信号のシーケンスに基づいて、どのように電荷が異なる方向にシフトされるかを例示する。具体的に、TDIモード動作(センサモード1)320の間、CCD駆動信号は、電荷が、一方向に画素全てを通ってシフトされ得るように、シーケンス化される。対照的に、分割読み出し動作(センサモード2)321の間、CCD駆動信号は、電荷の半分が一方向にシフトされ、画素の電荷の他の半分が反対方向にシフトされるように、シーケンス化される。各CCD駆動信号は、センサアレイの画像領域の1つ以上の画素列におけるゲートの全てに提供されることに留意する。それ故、シーケンスは、センサの物理配線に基づく。18個の列が図3Bに示されるが、センサアレイの他の実施形態は、画素のより少ないまたはより多い列を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、CCD駆動信号は、図3Aに示されるように、四角形であり得る。他の実施形態において、CCD駆動信号は、他の形状を有し得る。例えば、図4は、三相CCDのための正弦駆動信号を例示する。例えば、電圧波形401、402、および403は、画像領域203において(図2Aも参照)ゲート231および234、ゲート232および235、ならびにゲート233および236をそれぞれ駆動することができる。とりわけ、これらの波形形状は、接地およびDC電圧基準面上に実質的にわずかな正味の電圧変動をもたらすように、隣接ゲートにおいて異なる電圧位相で動作して、それによって、ノイズを低減する。その上、四角形の波形ではなく、非四角形の波形、例えば正弦波を使用する電荷移行は、一般に、ゲートを制御するためのより低いピーク電流を要求する。結果として、基板中を流れるピーク変位電流は、かなり低く、それによって、基板におけるより低い電圧変動および熱発生の減少を確実にする。
【0026】
基板における低レベルの電圧変動はまた、センサが、画像領域内で電荷を移行しているときでさえ、システムが、十分な感度で直列レジスタにおける画素の内容を正確に読み出すことを可能にする。それ故、正弦波形を使用することによって、読み出し増幅器は、画像範囲内で電荷を1つの画素から別の画素に移動させる間に同時に動作し得る。他の実施形態において、CCD駆動信号は、他の四角形ではない波形形状を有してもよく、その形状はまた、正弦波形について記述されたものに類似の利益を提供することができる。
【0027】
一実施形態において、センサ周期(すなわち、センサモード0、1、2)毎に1つのパルスを有する代わりに、多重のグループ化されたパルス(例えば、ストロボ状の組の少なくとも2つのパルス)が使用され得る。読み出し後、画像は、多重のグループ化されたパルスを考慮に入れるように処理され得る。具体的に、対象の位置と照射のタイミングが知られるので、測定された画像は、訂正された「真の」画像に解析され得る。この種のパルシングおよび後続の処理は、少なくとも2つのサンプルが各画素について提供されるので、元の画像の感度を改善することができる。具体的に、多重パルスは、(単一パルスと比べて)少なくとも2倍のデータが、(上記したような)更なるノイズがほとんどなく提供されるので、高い信号対ノイズ比を提供する。
【0028】
その上、各画素について2つのサンプルを有することは、(例えば、欠陥を示す)少数の輝点を有する主に暗い画像が取り込まれるときに有益であり得る。この種の画像において、画像の他の部分との最小限の干渉がある。読み出しの間に生成された2つの輝点は、例えば、2つの輝点が実際には1つの欠陥であるかどうかを決定するために解析され得る。この解析は、(画像はパルス間に移動するので)時間および画像移動速度を含む情報を使用することになり、必要な再構築をもたらす。
【0029】
この多重のグループ化されたパルスの実施形態がまた、センサの欠陥検出に対処するために使用され得ることに留意する。具体的に、センサ自体上に欠陥がある場合(それは、画像上に欠落した情報を結果としてもたらすことになり)、次いで、2つのサンプルは、そうではなくて利用不可能であることになる画像情報の包含を許す。換言すれば、2つ以上の画素の上の画像は、照射パルスの間に収集され得、欠陥のあるセンサ画素位置における画像データを回復する。この多重パルス動作は、不完全性のレベルの増加がセンサにおいて許容され得るので、センサの費用を減らすことができる一方、全ての画像情報(または、2つのセンサ欠陥が、多重のグループ化されたパルスの間で画像データを取り込む画素と一致するという起こりそうにない出来事においては、実質的に全ての画像情報)の収集を依然として確実にする。
【0030】
上記したように、システム100は、TDI読み出しモードの一定の有益な特性をパルス化される画像アーキテクチャの高速読み出し機能と有利に組み合わせることができる。高速読み出し速度のおかげで、システム100は、所有経費を効果的に減らすことができる。加えて、システム100は、従来の画像センサを用いて収集されるときに不鮮明であった照射時間についての画像の分解能の改善をもたらす。換言すれば、従来の画像センサは、画像の不鮮明化に起因して、長パルス光源を使用することができない。とりわけ、長パルス光源は、ピーク電力照射を減らすことによって、ウェハ損傷を減らすことができる。その上、システム100は、正弦波形を含む、様々なCCD駆動波形形状を使用することができる。これらの正弦波形は、低いノイズが重大である高速検査および計測用途において効果的に使用され得る。加えて、連続クロッキング技法(すなわち、矩形波および正弦波形動作の両方において固定電圧を使用するアイドリングモードを有する、上記した3つのセンサモード)は、熱発生を減らすことができ、制御および読み出し電子におけるタイミングジッタの悪影響を軽減することができる。
【0031】
発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照にして本明細書に詳細に記載されているが、発明は、それらの正確な実施形態に限定されないことが理解されることになる。それらは、包括的であることまたは発明を開示された正確な形態に限定することを意図されない。そのように、多くの修正や変形が、当業者に明らかであろう。例えば、一実施形態において、画像センサは、裏面照射される裏面薄型CCDを備え得る。薄型センサを裏面照射することは、UV光に対する良好な感度を確実にする。いくつかの実施形態において、裏面照射される裏面薄型CCDは、DUVまたは真空UV放射を用いて使用されるときに、デバイスの寿命を増やすために、それの光電性の裏面上に薄いホウ素コーティングを有し得る。裏面薄型センサ上のホウ素コーティングの使用は、2012年4月10日に出願された、Chernらによる米国仮特許出願第61/622,295号に記載される。この仮出願は、本明細書に参照によって組み込まれる。いくつかの実施形態において、画像センサは、電子打ち込み式CCD(EBCCD)センサを備え得る。EBCCDは、暗視野検査システムにおいて見られることが多いように、非常に低い光レベルの場合、高感度および低ノイズを有する。EBCCDのいくつかの実施形態において、CCDは、低エネルギー電子に対するCCDの感度を改善するためにそれの裏面上にホウ素コーティングを有する裏面薄型デバイスであり得、それ故、画像センサノイズおよび空間分解能を改善する。EBCCDにおけるホウ素コーティングの使用は、2012年6月12日に出願された、Chuangらによる米国仮特許出願第61/658,758号に記載され、その仮出願はまた、本明細書に参照によって組み込まれる。したがって、発明の範囲は、以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されることが意図される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4