(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130288
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】アリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 65/323 20060101AFI20170508BHJP
C08G 65/329 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
C08G65/323
C08G65/329
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-242289(P2013-242289)
(22)【出願日】2013年11月22日
(65)【公開番号】特開2015-101624(P2015-101624A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】酒匂 隆介
(72)【発明者】
【氏名】松田 高至
【審査官】
久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2013/121984(WO,A1)
【文献】
特開2010−189602(JP,A)
【文献】
特許第5761305(JP,B2)
【文献】
特開2013−023512(JP,A)
【文献】
特開平02−188545(JP,A)
【文献】
特開昭62−048724(JP,A)
【文献】
特開2001−192546(JP,A)
【文献】
特許第6020327(JP,B2)
【文献】
特開2004−051595(JP,A)
【文献】
特開2008−115236(JP,A)
【文献】
特開2009−117308(JP,A)
【文献】
米国特許第06040400(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00− 65/48
C08F 2/00− 8/50
C08L 1/00−101/14
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されるものであり、ポリスチレン換算での数平均分子量が1,000〜50,000であることを特徴とするアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー。
【化1】
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、mは1又は2であり、XはF又はCF
3であり、nは
1〜10の整数であり、αは1又は2である。)
【請求項2】
前記一般式(1)中のnが1であることを特徴とする請求項1に記載のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー。
【請求項3】
前記一般式(1)中のαが1であり、前記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基が下記一般式(2)で表される1価の残基であることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー。
【化2】
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0〜200の整数で、p+q+r+s=4〜200であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよく、YはF又はCF
3である。)
【請求項4】
前記一般式(1)中のαが2であり、前記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基が下記一般式(3)で表される2価の残基であることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー。
【化3】
(式中、p’、q’、r’、s’はそれぞれ0〜200の整数で、p’+q’+r’+s’=4〜200であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよく、Y’はF又はCF
3である。)
【請求項5】
下記一般式(4)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有末端ヨージドポリマーとアリルトリアルキルスズとをラジカル開始剤存在下で反応させることを特徴とする請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法。
【化4】
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、mは1又は2であり、XはF又はCF
3であり、nは
1〜10の整数であり、αは1又は2である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロアルキレン基含有ポリマーは、末端を各種反応性有機基で変性することによって、紙・繊維などの撥水撥油防汚剤、磁気記録媒体の滑剤、精密機器の防油剤、離型剤、化粧料、保護膜などに用いられている。
【0003】
特にフルオロアルキレン基含有ポリマーの末端にエーテル結合(−C−O−C−結合)を介して加水分解性シリル基を変性したパーフルオロポリエーテル変性シランは、保護膜等として用いることで、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性などを示す表面を提供できる(特許文献1)。しかしながら、このパーフルオロポリエーテル変性シラン中に含まれる−C−O−C−結合は、炭素と炭素の間に酸素原子(ヘテロ原子)を有していることから、熱的安定性、化学的安定性に劣るため、これらの特性が求められる用途には不向きであった。
【0004】
また、シロキサン結合を介してフルオロアルキレン基含有ポリマーと加水分解性シリル基とを結合する方法(特許文献2)も提案されているが、製造工程が複雑化したり、分子量が大きくなることにより蒸着処理などに供する際に多くのエネルギーを必要としたりするため、工業的に有利な方法とは言えなかった。
【0005】
一方、下記反応式に示すような、比較的低分子のフルオロアルキレン基含有化合物における末端ヨージドのアリル化の例が提供されている(非特許文献1)。
・フルオロアルキレン末端ヨージドのアリル化
【化1】
・フルオロアルキレン末端メチレンヨージドのアリル化
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−238577号公報
【特許文献2】特開2011−116947号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Org. Chem. 1998, 63, 6302−6308
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性に加えて、熱的安定性、化学的安定性にも優れたフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、
下記一般式(1)で表されるものであり、ポリスチレン換算での数平均分子量が1,000〜50,000であるアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを提供する。
【化3】
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、mは1又は2であり、XはF又はCF
3であり、nは0〜10の整数であり、αは1又は2である。)
【0010】
このようなアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーであれば、ポリマー末端にヘテロ原子を含まず、連結部位が炭素−炭素(C−C)結合のみで形成されているため、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性に加えて、熱的安定性、化学的安定性にも優れたものを得ることができる。
【0011】
このうち、前記一般式(1)中のαが1であり、前記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基が下記一般式(2)で表される1価の残基であることが好ましい。
【化4】
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0〜200の整数で、p+q+r+s=4〜200であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよく、YはF又はCF
3である。)
【0012】
また、前記一般式(1)中のαが2であり、前記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基が下記一般式(3)で表される2価の残基であることが好ましい。
【化5】
(式中、p’、q’、r’、s’はそれぞれ0〜200の整数で、p’+q’+r’+s’=4〜200であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよく、Y’はF又はCF
3である。)
【0013】
このようなフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーであれば、上記のフルオロオキシアルキレン基の作用によりポリマーの表面自由エネルギーが小さくなり、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性のより優れたものを得ることができる。
【0014】
さらに、本発明は、
下記一般式(4)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有末端ヨージドポリマーとアリルトリアルキルスズとをラジカル開始剤存在下で反応させる前記アリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法を提供する。
【化6】
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、mは1又は2であり、XはF又はCF
3であり、nは0〜10の整数であり、αは1又は2である。)
【0015】
このようなアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法であれば、製造工程を簡便にするができ、工業的に有利に製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーであれば、フルオロオキシアルキレン基の作用によりポリマーの表面自由エネルギーが小さくなり、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性のより優れたものを得ることができ、また、ポリマー末端にヘテロ原子を含まず、連結部位が炭素−炭素(C−C)結合のみで形成されているため、上記特性に加えて、さらに、熱的安定性、化学的安定性にも優れたものを得ることができる。さらに、本発明のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法であれば、複雑な製造工程を必要とせず、簡便に製造することができ、工業的に有利に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
既存のアリル基を末端に有するフルオロアルキレン基含有ポリマーは、アリル基との連結部位にヘテロ原子を有するため、熱的安定性、化学的安定性に劣るものであった。本発明者らは、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー(パーフルオロポリエーテル)を直接アリル化する方法であれば、連結部位にヘテロ原子を有することなくアリル基を末端に配置すること、即ち、ポリマーの末端部位の連結基が炭素−炭素結合のみで形成されたフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーが得られることを見出し、このようなポリマーは熱安定性及び化学安定性に優れていることを見出して、本発明を完成させた。
【0018】
即ち、本発明は、
下記一般式(1)で表されるものであり、ポリスチレン換算での数平均分子量が1,000〜50,000であるアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーである。
【化7】
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、mは1又は2であり、XはF又はCF
3であり、nは0〜10の整数、好ましくは0又は1であり、αは1又は2である。)
【0019】
上記一般式(1)中のαが1の場合、Rf示される1価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基としては、下記一般式(2)で表される1価のフルオロオキシアルキレン基が好ましい。
【化8】
(式中、p、q、r、sはそれぞれ0〜200の整数、好ましくは10〜100の整数で、p+q+r+s=4〜200、好ましくは10〜100であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよく、YはF又はCF
3である。)
【0020】
このような1価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基として、具体的には以下のものを例示することができる。
【化9】
【0021】
上記一般式(1)中のαが2の場合、Rfで示される2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基としては、下記一般式(3)で表される2価のフルオロオキシアルキレン基が好ましい。
【化10】
(式中、p’、q’、r’、s’はそれぞれ0〜200、好ましくは10〜100の整数で、p’+q’+r’+s’=4〜200、好ましくは10〜100であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよく、Y’はF又はCF
3である。)
【0022】
このような2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基として、具体的には以下のものを例示することができる。
【化11】
【0023】
上記一般式(1)で表されるアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの数平均分子量は1,000〜50,000であり、好ましくは1,500〜10,000の範囲である。数平均分子量が1,000未満ではパーフルオロアルキレンエーテル構造の特徴である撥水撥油性、防汚性などを十分に発揮できない場合があり、50,000を超えると末端官能基の濃度が小さくなりすぎて、基材との反応性や密着性が低下する場合がある。なお、本発明中で言及する数平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした数平均分子量を指す。
【0024】
[測定条件]
展開溶媒:ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)−225
流量:1mL/min.
検出器:蒸発光散乱検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel Multipore HXL−M
7.8mmφ×30cm 2本使用
カラム温度:35℃
試料注入量:100μL(濃度0.3重量%のHCFC−225溶液)
【0025】
このようなアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーであれば、フルオロオキシアルキレン基の作用によりポリマーの表面自由エネルギーが小さくなり、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性の優れたものを得ることができ、また、ポリマー末端にヘテロ原子を含まず、連結部位が炭素−炭素(C−C)結合のみで形成されているため、上記特性に加えて、さらに、熱的安定性、化学的安定性にも優れたものを得ることができる。
【0026】
上記一般式(1)で表されるアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法としては、下記一般式(4)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有末端ヨージドポリマーとアリルトリアルキルスズとをラジカル開始剤存在下で反応させる前記アリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法が好ましい。
【化12】
(式中、Rfは1価又は2価のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー残基であり、mは1又は2であり、XはF又はCF
3であり、nは0〜10の整数であり、αは1又は2である。)
【0027】
アリルトリアルキルスズとして以下のものが使用できる。
例えば、アリルトリブチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリエチルスズ、アリルトリプロピルスズ、アリルトリベンジルスズなどである。
【0028】
ラジカル開始剤としては、以下のものが使用できる。
例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN,VAZO(登録商標))、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンペルオキシドなどである。
【0029】
また、上記反応には溶剤を用いることができる。このとき用いる溶剤は、特に限定されないが、反応化合物がフッ素化合物である点からフッ素系溶剤を用いることが好ましい。フッ素系溶剤としては、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、3M社から販売されているHFE系溶剤(NOVEC7100:C
4F
9OCH
3、NOVEC7200:C
4F
9OC
2H
5、NOVEC7300:C
2F
5−CF(OCH
3)−CF(CF
3)
2など)、同じく3M社から販売されているパーフルオロ系溶剤(PF5080、PF5070、PF5060など)などが挙げられる。
【0030】
このようなアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの製造方法であれば、複雑な製造工程を必要とせず、簡便に製造することができ、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性に加えて、熱的安定性、化学的安定性にも優れたフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを工業的に有利に製造することができる。
【0031】
本発明のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、撥水撥油性、離型性、耐薬品性、潤滑性、耐久性、防汚性、指紋拭き取り性に優れているため、紙・繊維などの撥水撥油防汚剤、磁気記録媒体の滑剤、精密機器の防油剤、離型剤、化粧料、保護膜などに好適に用いることができる。また、従来のものに比べて、熱的安定性、化学的安定性にも優れているため、さらに上記特性が求められるものに対しても好適に用いることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記例において、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値である。
【0033】
[実施例1]
反応容器に、下記式(4−a)で表される化合物20g(3.0×10
−3mol、数平均分子量3,750)とアリルトリブチルスズ1.2g(3.6×10
−3mol)、ヘキサフルオロメタキシレン20gを混合し、窒素を通気した。続いて、AIBN0.050g(3.0×10
−4mol)を添加し、90℃で16時間撹拌した。
【化13】
【0034】
その後、反応生成物を室温まで冷やし、分液操作で下層を分取した。得られた下層をヘキサン20gで洗浄し、続いてアセトン20gで洗浄した。溶剤を減圧留去し、下記式(1−a)で表される片末端にアリル基を有するアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを17.5g(数平均分子量3,650)得た。得られたポリマーは
1H NMRにより構造を確認した。
1H NMR:δ5.65(1H)、δ4.92(2H)、δ2.19(2H)、δ2.01(2H)
【化14】
【0035】
[実施例2]
反応容器に、下記式(4−b)で表される化合物20g(1.0×10
−2mol、数平均分子量3,850)とアリルトリブチルスズ4.1g(1.2×10
−2mol)、ヘキサフルオロメタキシレン20gを混合し、窒素を通気した。続いて、AIBN0.16g(1.0×10
−3mol)を添加し、90℃で16時間撹拌した。
【化15】
【0036】
その後、反応生成物を室温まで冷やし、分液操作で下層を分取した。得られた下層をヘキサン20gで洗浄し、続いてアセトン20gで洗浄した。溶剤を減圧留去し、下記式(1−b)で表される両末端にアリル基を有するアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを18.4g(数平均分子量3,650)得た。得られたポリマーは
1H NMRにより構造を確認した。
1H NMR:δ5.65(1H)、δ4.92(2H)、δ2.19(2H)、δ2.01(2H)
【化16】
【0037】
[実施例3]
反応容器に、下記式(4−c)で表される化合物20g(2.5×10
−3mol、数平均分子量4,300)とアリルトリブチルスズ1.2g(3.6×10
−3mol)、ヘキサフルオロメタキシレン20gを混合し、窒素を通気した。続いて、AIBN0.050g(3.0×10
−4mol)を添加し、90℃で3時間撹拌した。
【化17】
【0038】
その後、反応生成物を室温まで冷やし、分液操作で下層を分取した。得られた下層をヘキサン20gで洗浄し、続いてアセトン20gで洗浄した。溶剤を減圧留去し、下記式(1−c)で表される片末端にアリル基を有するアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを17.0g(数平均分子量4,200)得た。得られたポリマーは
1H NMRにより構造を確認した。
1H NMR:δ5.64(1H)、δ5.13(2H)、δ2.80(2H)
【化18】
【0039】
このように、本発明のアリル基変性フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、複雑な製造工程を必要とせず、簡便に製造できることが明らかになった。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。