特許第6130304号(P6130304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6130304保護されたバッキングプレートを有するPVDスパッタリングターゲット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6130304
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】保護されたバッキングプレートを有するPVDスパッタリングターゲット
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20170508BHJP
【FI】
   C23C14/34 C
【請求項の数】15
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-553463(P2013-553463)
(86)(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公表番号】特表2014-508222(P2014-508222A)
(43)【公表日】2014年4月3日
(86)【国際出願番号】US2012023474
(87)【国際公開番号】WO2012109069
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2015年2月2日
(31)【優先権主張番号】13/024,198
(32)【優先日】2011年2月9日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ラシード ムハンマド エム
(72)【発明者】
【氏名】ワン ロンジュン
【審査官】 國方 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−247957(JP,A)
【文献】 特表2007−534834(JP,A)
【文献】 特表平10−509479(JP,A)
【文献】 特開平04−314857(JP,A)
【文献】 特開2010−047843(JP,A)
【文献】 特表2007−536431(JP,A)
【文献】 特開2002−105632(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0162741(US,A1)
【文献】 実開平02−046855(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏側と反対側の表側とを有するバッキングプレートであって、前記表側が、複数の締結孔を有する外側支持表面を含み、前記外側支持表面が、内側ターゲット表面を取り囲んでおり、前記裏側が、前記裏側の中心に内側凹型表面を取り囲む外側裏面を含み、前記外側裏面は、前記バッキングプレートの中心軸を中心に前記内側凹型表面及び前記外側裏面に広がる平行平面の間にあるターゲット凹部深さを有している、バッキングプレートと、
前記バッキングプレートの前記内側ターゲット表面に配置される少なくとも1つの金属を含むターゲット層とを備え、
前記内側凹型表面は、深さ及び直径を有し、前記ターゲット層は、前記内側凹型表面の前記直径より小さい直径に前記中心軸から外側に広がっており、前記内側凹型表面の前記深さは、前記内側凹型表面の前記直径にわたり一定であり、更に、
前記外側支持表面の少なくとも一部に配置されるニッケル又はタングステンを含み、実質的に前記外側支持表面と同一平面上にある、保護コーティング層
を備えるスパッタリングターゲット。
【請求項2】
前記ターゲット層が、ニッケル、白金、ニッケル−白金合金、タングステン、パラジウム、コバルト、それらの合金、それらの派生物、又はそれらの化合物から成るグループから選択される材料を含む、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項3】
前記ターゲット層の材料はニッケル−白金合金を含み、前記ニッケル−白金合金は2%から20%の範囲の重量濃度の白金を含む、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項4】
前記ターゲット層の材料はニッケル−白金合金を含み、前記ニッケル−白金合金は80%から98%の範囲の重量濃度のニッケルを含む、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項5】
前記ターゲット層は、1.3mm(0.050インチ)から10.2mm(0.400インチ)の範囲の厚さを有し、406mm(16インチ)から483mm(19インチ)の範囲の直径を有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項6】
前記保護コーティング層は0.10mm(0.004インチ)から1.02mm(0.040インチ)の範囲の厚さを有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項7】
前記保護コーティング層はプラズマ溶射された金属ニッケルを含み、前記ターゲット層はニッケル又はニッケル合金を含み、前記バッキングプレートは銅−亜鉛合金を含む、請求項6に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項8】
前記保護コーティング層はプラズマ溶射された金属タングステンを含み、前記ターゲット層はタングステン又はタングステン合金を含み、前記バッキングプレートは銅−亜鉛合金を含む、請求項6に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項9】
前記中心軸に沿った前記平行平面の間の所定の距離は1.3mm(0.050インチ)から12.7mm(0.50インチ)の範囲である、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項10】
銅合金を含み裏側と反対側の表側とを有するバッキングプレートであって、前記表側が複数の締結孔を有する外側支持表面を含み、前記外側支持表面が、前記外側支持表面の平面から広がる内側ターゲット表面を取り囲んでおり、前記裏側が内側凹型表面を取り囲む外側裏面を含み、前記内側凹型表面が、前記内側凹型表面及び前記外側裏面に広がる平行平面の間に中心軸から前記外側裏面に広がっている、バッキングプレートと、
前記バッキングプレートの前記内側ターゲット表面に配置されるニッケル−白金合金を含むターゲット層とを備え、
前記内側凹型表面は、深さ及び直径を有し、前記ターゲット層は、前記内側凹型表面の前記直径より小さい直径に前記中心軸から外側に広がっており、前記内側凹型表面の前記深さは、前記内側凹型表面の前記直径にわたり一定であり、更に、
前記内側ターゲット表面に隣接する前記外側支持表面の少なくとも一部に配置されるニッケルを含む保護コーティング層であって、前記保護コーティング層の外側表面の一部は、実質的に前記外側支持表面と同一平面上にある、保護コーティング層を備え、
前記保護コーティング層は、0.10mm(0.004インチ)から1.02mm(0.04インチ)の範囲の厚さを有し、前記保護コーティング層の上面は、2.54μm(100マイクロインチ)から12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有する、スパッタリングターゲット。
【請求項11】
前記ニッケル−白金合金は80%から98%の範囲の重量濃度のニッケルと、2%から80%の範囲の重量濃度の白金とを含む、請求項10に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項12】
前記銅合金は銅−亜鉛合金を含み、前記銅−亜鉛合金は58%から62%の範囲の重量濃度の銅と、38%から42%の範囲の重量濃度の亜鉛とを含む、請求項10に記載のスパッタリングターゲット。
【請求項13】
銅合金を含み裏側と反対側の表側とを有するバッキングプレートであって、前記表側が複数の締結孔を有する外側支持表面を含み、前記外側支持表面が、内側ターゲット表面を取り囲んでおり、前記裏側が内側凹型表面を取り囲む外側裏面を含み、前記内側凹型表面が中心軸から前記外側裏面に広がっており、前記内側凹型表面と前記外側裏面の間の側壁は、前記中心軸に向かって内側にテーパ付けされている、バッキングプレートと、
前記バッキングプレートの前記内側ターゲット表面に配置され、金属タングステンを含み、3.8mm(0.150インチ)から8.9mm(0.350インチ)の範囲の厚さを有する、ターゲット層とを備え、
前記内側凹型表面は、深さ及び直径を有し、前記ターゲット層は、前記内側凹型表面の前記直径より小さい直径に前記中心軸から外側に広がっており、前記内側凹型表面の前記深さは、前記内側凹型表面の前記直径にわたり一定であり、更に、
前記外側支持表面の少なくとも一部に配置され、タングステンを含み、0.10mm(0.004インチ)から1.02mm(0.04インチ)の範囲の厚さを有し、上面が2.54μm(100マイクロインチ)から12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有する、保護コーティング層
を備えるスパッタリングターゲット。
【請求項14】
ターゲットのバッキングプレートを覆う保護薄膜を有する堆積用ターゲットを形成する方法であって、
スパッタリングターゲットの粗面化領域上にニッケルを含む保護コーティング層を堆積する段階を含み、
前記保護コーティング層は、0.05mm(0.002インチ)から2.54mm(0.100インチ)の範囲の厚さを有しており、前記スパッタリングターゲットが、
銅合金を含み裏側と反対側の表側とを有し、前記表側が内側ターゲット表面を取り囲む外側支持表面を含み、前記裏側が内側凹型表面を取り囲む外側裏面を含み、前記外側支持表面の少なくとも一部が2.03μm(80マイクロインチ)から12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有する粗面化領域を含む、バッキングプレートと、
前記バッキングプレートの内側ターゲット表面に配置されるニッケル合金を含むターゲット層と、
を備え、前記内側凹型表面は、深さ及び直径を有し、前記ターゲット層は、前記内側凹型表面の前記直径より小さい直径に中心軸から外側に広がっており、前記内側凹型表面の前記深さは、前記内側凹型表面の前記直径にわたり一定である方法。
【請求項15】
前記バッキングプレートの前記外側支持表面の前記粗面化領域は、ブラスト処理により粗面化され、前記保護コーティング層は、プラズマ溶射技術により堆積される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に蒸着で使用される装置及び方法に関し、詳細には、物理的気相成長法(PVD)に使用されるスパッタリングターゲット及びスパッタリングターゲットを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ニッケル及びニッケル−白金合金を含むニッケルベースの材料は、電子及び半導体デバイスの製造において使用される場合が多い。ニッケル−白金合金は、シリサイド用途において広く普及している。他の材料と同様に、ニッケル−白金合金は、高周波(RF)PVDプロセス中にスパッタリングターゲット又はPVDターゲットから堆積される場合が多い。通常、スパッタリングターゲットは、バッキングプレート(裏板)に付着されたニッケルターゲットを含む。ニッケルターゲットは一般に、99.9%又はそれ以上の高純度の金属であり、金属ニッケル又はニッケル合金を含有することができる。通常、バッキングプレートは、銅材のような高い伝導性の金属から構成される。
【0003】
スパッタリングターゲットは、PVDプロセス中にスパッタされる間に、プラズマに曝される。PVDプロセス中に金属ターゲット材料(例えば、ニッケル)をスパッタすることに加えて、PVDチャンバー内の露出した表面に由来する他の金属材料は同様にPVDプロセス中に持ち去られるか又は侵食される。この金属材料は、PVDチャンバー内で粒子汚染を引き起こし、その結果、基板に堆積される材料を著しく損なう。セラミックの裏地又は遮蔽板は、PVDチャンバーのステンレス及び/又はアルミ表面を覆ってプラズマから保護するために使用される場合が多い。しかしながら、通常、ターゲットのバッキングプレート上の露出した領域のような他の金属表面はセラミックの裏地及び遮蔽板により保護されないので直接プラズマに曝される。多くのバッキングプレートは銅で構成されているので、高伝導性の粒子及び汚染物が生成されて、PVDチャンバー内の表面又は直接基板上に降下する場合が多い。結果的に伝導性の汚染物質は基板製造プロセスを損なうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,953,827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、スパッタリング又はPVDプロセス中にプラズマに曝される場合に、汚染源の無い、又は実質的には無いスパッタリングターゲットを提供するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、全体的には物理的気相成長法(PVD)で利用されるスパッタリングターゲット及びこのようなターゲットを形成する方法を提供する。1つの実施形態において、スパッタリングターゲットは、バッキングプレート上に配置されるターゲット層と、そうでなければPVDプロセス中にプラズマに曝されることになる、バッキングプレートの所定の領域を覆って保護する保護コーティング層とを含む。多くの実施例において、ターゲット層はニッケル合金(例えば、ニッケル−白金合金)を含み、バッキングプレートは銅合金(例えば、銅−亜鉛合金)を含み、保護コーティング層はニッケル材(例えば、金属ニッケル)を含む。他の実施例において、ターゲット層はタングステン又はタングステン合金を含み、バッキングプレートは銅合金(例えば、銅−亜鉛合金)を含み、保護コーティング層はタングステン材(例えば、金属タングステン)を含む。バッキングプレートは裏側と反対側の表側とを有しており、表側は内側ターゲット表面を取り囲む外側支持表面を含み、裏側は内側凹型表面を取り囲む裏側外面を含む。ターゲット層は、少なくとも1つの金属を含み、バッキングプレートの内側ターゲット表面に配置され、一方で、保護コーティング層は、粗面化領域といった外側支持表面の少なくとも一部に配置される。保護コーティング層は、一般的にバッキングプレートの露出した表面内に含まれる銅合金のプラズマエロージョンに由来する、高伝導性の銅の汚染物質のような金属汚染物質の形成を解消する。従って、基板及びPVDチャンバーの内部表面は、PVDプロセス時に銅の汚染物質の無い状態に保たれる。
【0007】
ターゲット層は一般に、ニッケル、白金、ニッケル−白金合金、タングステン、パラジウム、コバルト、それらの合金、それらの派生物、又はそれらの化合物のような材料を含む。多くの実施例において、ターゲット層の材料は、ニッケル又はニッケル−白金合金のようなニッケル合金、あるいはタングステン、タングステン合金、コバルト、又はコバルト合金を含む。ニッケル−白金合金は、約85%から約95%といった約80%から約98%の範囲の重量濃度のニッケル、並びに約5%から約15%といった約2%から約20%の範囲の重量濃度の白金を含むことができる。いくつかの特定の実施例において、ターゲット層150は、NiPt5%(約95wt%のニッケルと約5wt%の白金)、NiPt10%(約90wt%のニッケルと約10wt%の白金)、又はNiPt15%(約85wt%のニッケルと約15wt%の白金)を含む。
【0008】
別の実施形態において、スパッタリングターゲットは、銅合金を含み、裏側と反対側の表側とを有するバッキングプレートを備え、表側は内側ターゲット表面を取り囲む外側支持表面を含み、裏側は内側凹型表面を取り囲む外側裏面を含み、ターゲット層はバッキングプレートの内側ターゲット表面に配置されるニッケル−白金合金を含み、保護コーティング層は、粗面化された領域といった外側支持表面の少なくとも一部に配置されており、保護コーティング層は約0.008インチ(0.20mm)から約0.016インチ(0.41mm)といった、約0.004インチ(0.10mm)から約0.040インチ(1.02mm)の範囲の厚さを有する。いくつかの実施例において、バッキングプレートに含まれる銅合金は銅−亜鉛合金であり、約58%から約62%の範囲の重量濃度の銅、及び約38%から約42%の範囲の重量濃度の亜鉛を有する。
【0009】
別の実施形態において、ターゲットのバッキングプレート上を覆う保護薄膜を有する堆積ターゲットを形成する方法が提供され、本方法は、スパッタリングターゲットの外側支持表面の少なくとも一部を粗面化して約2.03μm(80マイクロインチ(μin))から約12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有する粗面化領域を形成することを含む。スパッタリングターゲットは、銅合金を含み、裏側と反対側の表側とを有するバッキングプレートを含み、表側は内側ターゲット表面を取り囲む外側支持表面を含み、裏側は内側凹型表面を取り囲む外側裏面を含み、ターゲット層はバッキングプレートの内側ターゲット表面に配置されるニッケル、ニッケル合金、タングステン、又はタングステン合金を含む。1つの実施例において、本方法はさらに、外側支持表面の粗面化領域にニッケルを含む保護コーティング層を堆積させる段階を含む。別の実施例において、本方法はさらに、外側支持表面の粗面化領域にタングステンを含む保護コーティング層を堆積させる段階を含む。保護コーティング層は、約0.002インチから約0.100インチの範囲の厚さを有する。
【0010】
保護コーティング層を堆積する前に、バッキングプレートの外側支持表面の領域又はその一部は、ビードブラスト及び/又はサンドブラスト含む吹付け加工(ブラスト処理)により粗面化することができる。バッキングプレートの外側支持表面の粗面化領域は、約2.54μm(100マイクロインチ)から約10.6μm(400マイクロインチ)、約3.05μm(120マイクロインチ)から約5.59μm(220マイクロインチ)、又は約5.08μm(200マイクロインチ)から約7.62μm(300マイクロインチ)といった、約2.03μm(80マイクロインチ)から約12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有するように粗面化される。その後、保護コーティング層は、プラズマ溶射技術等の堆積プロセスにより粗面化領域上又はその上に堆積させることができる。保護コーティング層の露出した表面又は上面は、約3.05μm(120マイクロインチ)から約10.6μm(400マイクロインチ)、約3.81μm(150マイクロインチ)から約8.89μm(350マイクロインチ)といった、約2.54μm(100マイクロインチ)から約12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有することができる。
【0011】
本発明の前述の特徴を詳細に理解できるように、前記に簡単に要約された本発明のさらに詳細な説明は、実施形態を参照して示すことができ、いくつかの実施形態は添付図面で示されている。しかしながら、本発明は他の同様に有効な実施形態を許容できるので、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を示すだけであり本発明の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本発明の実施形態に説明されるスパッタリングターゲットを示す。
図1B】本発明の実施形態に説明されるスパッタリングターゲットを示す。
図1C】本発明の実施形態に説明されるスパッタリングターゲットを示す。
図1D】本発明の実施形態に説明されるスパッタリングターゲットを示す。
図2】本発明の別実施形態に説明される、図1A−1Dのスパッタリングターゲットを含むPVDチャンバーの概略断面図である。
図3A】本発明の実施形態に説明される、図2のPVDチャンバーの部分断面図である。
図3B】本発明の実施形態に説明される、図2のPVDチャンバーの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
理解を容易にするため、各図面に共通した同一の要素を示すために可能な限り同一の参照番号が使用される。1つの実施形態で開示された要素は、他の実施形態で特に詳述することなく好都合に利用できることが意図されている。
【0014】
本発明の実施形態は、物理的気相成長法(PVD)で利用されるスパッタリングターゲット及びそのようなターゲットを形成する方法を提供する。1つの実施形態において、スパッタリングターゲットは、バッキングプレート上に配置されたターゲット層と、そうでなければPVDプロセス中にプラズマに曝されることになる、バッキングプレートの所定の領域を覆って保護する保護コーティング層とを含む。多くの実施例において、ターゲット層はニッケル−白金合金を含有し、バッキングプレートは銅合金を含有し、保護コーティング層はニッケル材を含有する。他の実施例において、ターゲット層はタングステン又はタングステン合金を含有し、バッキングプレートは銅合金を含有し、保護コーティング層はタングステン材を含有する。ターゲット層から分離した保護コーティング層は、一般的にバッキングプレートの露出した表面内に含まれる銅合金のプラズマエロージョンに由来する、高伝導性の銅の汚染物質の形成を回避する。従って、基板及びPVDチャンバーの内部表面は、PVDプロセス中に銅の汚染物質が無い状態に保たれる。
【0015】
図1A−1Dは、本明細書に記載される実施形態によるスパッタリングターゲット100の概略図を示す。1つの実施形態において、スパッタリングターゲット100は、バッキングプレート110上に配置されたターゲット層150と、バッキングプレート110の外側支持表面122の領域114を被覆するようにバッキングプレート110の少なくとも一部分に配置された保護コーティング層160とを含む。
【0016】
ターゲット層150は、バッキングプレート110の内側ターゲット表面124上に配置された少なくとも1つの金属を含む。特定の実施例において、ターゲット層150は、ニッケル、白金、ニッケル−白金合金、タングステン、パラジウム、コバルト、それらの合金、それらの派生物、又はそれらの化合物といった金属材料を含む。通常、ターゲット層150に含有されるターゲット材料は、約99.99%(4N)又はそれ以上、約99.995%(4N5)又はそれ以上、約99.999%(5N)又はそれ以上、又は約99.9995%(5N5)又はそれ以上といった、高純度を有している。純度は、不純物、汚染物質、又は微量元素の濃度に対する、金属ターゲット材料濃度を示す。金属ターゲット材料のニッケル−白金合金に関して、純度は、任意の不純物又は微量元素の重量濃度に対するニッケル−白金合金の重量濃度を示す。1つの実施例において、ターゲット材料は、少なくとも4N5又はそれ以上の純度を有するニッケル−白金合金を含有する。同様に、金属タングステンターゲット材料に関して、純度は、任意の不純物又は微量元素の重量濃度に対するタングステンの重量濃度を示す。1つの実施例において、ターゲット材料は、少なくとも5N又はそれ以上の純度を有する金属タングステンを含有する。
【0017】
多くの実施例において、ターゲット層150の材料は、ニッケル又はニッケル−白金合金のようなニッケル合金を含有する。ニッケル−白金合金は、約80%から約98%まで、又は約85%から約95%までといった、約70%から約99.9%の範囲の重量濃度のニッケルを含有することができる。また、ニッケル−白金合金は、約2%から約20%まで、又は約5%から約15%までといった、約0.5%から約40%の範囲の重量濃度の白金を含有することができる。いくつかの特定の実施例において、ターゲット層150は、NiPt5%(約95wt%のニッケルと約5wt%の白金)、NiPt10%(約90wt%のニッケルと約10wt%の白金)、又はNiPt15%(約85wt%のニッケルと約15wt%の白金)といったニッケル−白金合金を含有する。他の実施例において、ターゲット層150は、金属タングステン、タングステン合金、コバルト、又はコバルト合金を含有する。
【0018】
ターゲット層150の厚さは、スパッタリングターゲット100の寿命、並びに堆積された薄膜に関する均一性及びステップカバレッジの最適化に比例する。図1C−1Dは、それぞれバッキングプレート110の内側ターゲット表面124及びターゲット層150のターゲット表面151に広がる平面128及び152を示す。平面128及び152は一般に、所定の距離又はターゲット厚さ154として言及される厚さだけ互いに離間して平行に延びる。1つの実施形態において、ターゲット層150は、約0.120インチ(3.0mm)から約0.150インチ(3.8mm)といった、約0.050インチ(1.3mm)から約0.400インチ(10.2mm)の範囲の厚さを有することができ、例えば、約0.138インチ(3.5mm)である。別の実施形態では、ターゲット層150は、約0.150インチ(3.8mm)から約0.350インチ(8.9mm)といった、約0.080インチ(2.0mm)から約0.600インチ(15.2mm)の範囲の厚さを有することができ、例えば、約0.250インチ(6.4mm)である。ターゲット層150の直径は、PVDプロセスに曝される基板の大きさに比例する。例えば、直径300mmの基板が処理される場合、ターゲット層150は、約17インチ(432mm)から約18インチ(457mm)といった、約16インチ(406mm)から約19インチ(483mm)の範囲の直径を有することができ、例えば、約17.5インチ(445mm)である。
【0019】
ターゲット層150は、内側ターゲット表面124とターゲット層150との間の界面においてバッキングプレート110上に拡散接合されるか又は別の方法で固定される。別の実施形態では、ターゲット層150は、バッキングプレート110の内側ターゲット表面上、又はその上に配置することができる。もしくは、バッキングプレート110及びターゲット層150は、その間に配置される中間層(図示せず)によって互いに結合するか又は別の方法で付着することができる。随意的な中間層は、バッキングプレート110とターゲット層150との間の付着を増強するために使用することができる。中間層は通常、アルミ、銅、ニッケル、それらの派生物、又はそれらの合金といった金属を含み、金属インサート、フィルム、メッキ、又ははんだの形態とすることができる。いくつかの実施例において、中間層は、内側ターゲット表面124とターゲット層150との間の、拡散接合のような金属インサートを含む。金属インサートは、1つの実施例においてアルミ又はアルミ合金を含むことができる。他の実施例において、中間層は、アルミ含有はんだ、ニッケル含有はんだ、又は銅含有はんだといった金属はんだを含む。
【0020】
バッキングプレートは一般に、銅、銅合金、亜鉛、銅−亜鉛合金、鋼、ステンレス鋼、鉄、ニッケル、クロム、銅−クロム合金、アルミニウム、鉛、シリコン、それらの合金、それらの派生物、及びそれらの化合物といった、伝導性材料から構成されるか又は作られる。多くの実施例において、バッキングプレート110は銅又は銅合金を含有する。銅合金は、約55%から約95%までといった、約50%から約99.9%の範囲の重量濃度の銅を含むことができる。いくつかの実施例において、銅合金は、約60%といった約50%から約70%の範囲の、又は他の実施例において、約80%といった約70%から約90%の範囲の重量濃度の銅を含むことができる。
【0021】
ある実施形態において、バッキングプレート110は銅−亜鉛合金を含有する。いくつかの実施例において、銅−亜鉛合金は、約58%から約62%の範囲の重量濃度の銅と、約38%から約42%の範囲の重量濃度の亜鉛とを有することができる。特定の実施例において、バッキングプレート110の銅−亜鉛合金は、約60.8%の重量濃度の銅と、約39.3%の重量濃度の亜鉛とを有することができ、これはCu−Zn合金C46400としても知られている。他の実施例において、銅−亜鉛合金は、約75%から約85%の範囲の重量濃度の銅と、約15%から約25%の範囲の重量濃度の亜鉛とを有することができる。別の特定の実施例において、バッキングプレート110の銅−亜鉛合金は、約80%の重量濃度の銅と、約20%の重量濃度の亜鉛とを有することができ、これはCu−Zn合金C24000としても知られている。
【0022】
追加の実施例において、バッキングプレート110は、約95%から約99.5%の範囲の重量濃度の銅と、約0.5%から約5%の範囲の重量濃度のクロムとを有する銅−クロム合金を含む。特定の実施例において、バッキングプレート110の銅−クロム合金は、約99%の重量濃度の銅と約1%の重量濃度のクロムとを有する。
【0023】
バッキングプレート110の表側120は、表側120が内側ターゲット表面124を取り囲む外側支持表面122を含むように裏側130の反対側にあり、裏側130は内側凹型表面134を取り囲む外側裏面132を含む。領域114はバッキングプレート110の外側支持表面122に沿って延びるので、内側ターゲット表面124を取り囲むことにもなる。
【0024】
スパッタリングターゲット100、バッキングプレート110、及びターゲット層150は、図1B−1Cに示す中心軸112のような共通中心軸を共有する。中心軸112は、ターゲット層150のターゲット表面151に広がる平面152、外側支持表面122に広がる平面126、内側ターゲット表面124に広がる平面128、及び内側凹型表面134に広がる平面138に対して、垂直に又は実質的に垂直に延びる。
【0025】
図1C−1Dは、バッキングプレート110の外側裏面132及び内側凹型表面134のそれぞれに広がる平面136及び138を示す。平面136及び138は、ターゲット凹部深さ140として言及される所定の距離だけ離れて互いに平行又は実質的に平行に広がっている。また、ターゲット凹部深さ140は、平面136と138との間に広がるバッキングプレート110の本体の一部分の所定の距離又は厚さに等しい。また、図1Cは、バッキングプレート110の外側支持表面122及び内側ターゲット表面124のそれぞれに広がる平面126及び128を示す。一般的に、平面126及び138は、所定の距離又はバッキングプレート110の本体の厚さだけ離間して互いに平行又は実質的に平行に広がっており、外側バッキングプレート厚さ142として言及される。同様に、一般的に、平面126及び128は、所定の距離又はバッキングプレート110の本体の別の部分の厚さだけ離間し互いに平行又は実質的に平行に広がっており、内側バッキングプレート厚さ144として言及される。
【0026】
各スパッタリングターゲット100は、特定のプロセス条件又はチャンバー構成に対して、バッキングプレート110内のターゲット凹部深さ140の所定値を有することができる。ターゲット凹部深さ140の所定値は、スパッタリングターゲット100のターゲット層150と、図2及び3A−3Bに示すマグネトロンユニットのようなマグネトロンとの間の距離であるターゲット/マグネット間隔を調整するために選択することができる。ターゲット凹部深さ140は、バッキングプレート110の外側裏面132及び内側凹型表面134のそれぞれに広がる平面136及び138の間に広がる所定の距離である。ターゲット凹部深さ140は、平面136と138との間に延びるバッキングプレート110の中心軸の部分に沿って測ることができる。ターゲット凹部深さ140は、約0.10インチ(2.5mm)から約0.40インチ(10.2mm)といった、約0.05インチ(1.3mm)から約0.50インチ(12.7mm)の範囲内とすることができ、例えば、約0.12インチ(3.0mm)又は約0.15インチ(3.8mm)である。
【0027】
ターゲット凹部直径及び内側凹型表面134の直径は、1つには、PVDプロセス中の高い均一性とステップカバレッジを達成するためにマグネット回転直径を最大化するように決定される。図1B−1Cに示すように、平面136に沿って点135aと135bとの間で測定される対応するターゲット凹部直径は、約18インチから約19インチといった約17.5インチから約19.5インチの範囲とすることができ、例えば、約18.5インチである。内側凹型表面134の直径は、図1Cに示すように平面138に沿って測定され、約18インチから約19インチといった約17.5インチから約19.5インチの範囲とすることができ、例えば、約18.5インチである。多くの実施形態において、外側裏面132と内側凹型表面134との間の側壁は一般に中心軸112の方向へ内側に向かってテーパー付けされるので、ターゲット凹部直径の長さは内側凹型表面134の直径の長さよりも僅かに長い。外側裏面132と内側凹型表面134との間のテーパーが付けられた側壁は、約0.10インチ(2.5mm)から約0.2インチ(5.1mm)といった約0.05インチ(1.3mm)から約0.30インチ(7.6mm)の範囲の半径を有する円弧状テーパーとすることができ、例えば、約0.15インチ(3.8mm)である。しかしながら、別の実施形態では、ターゲット凹部直径及び内側凹型表面134の直径は同じ長さであり、外側裏面132と内側凹型表面134との間の側壁は中心軸132と平行に延びている。
【0028】
バッキングプレート110の全体厚さは、約0.50インチ(12.7mm)から約0.80インチ(20.3mm)といった約0.30インチ(7.6mm)から約1インチ(25.4mm)の範囲とすることができ、例えば、約0.65インチ(16.5mm)である。平面136と138との間に延びる部分といったバッキングプレート110の第1の部分は、約0.10インチ(2.5mm)から約0.40インチ(10.2mm)といった約0.05インチ(1.3mm)から約0.50インチ(12.7mm)の範囲とすることができ、例えば、約0.15インチ(3.8mm)である。外側バッキングプレート厚さ142は、約0.10インチ(2.5mm)から約0.50インチ(12.7mm)といった約0.05インチ(1.3mm)から約0.70インチ(17.8mm)の範囲とすることができ、例えば、約0.33インチ(8.4mm)である。内側バッキングプレート厚さ144は、約0.10インチ(2.5mm)から約0.40インチ(10.2mm)といった約0.05インチ(1.3mm)から約0.50インチ(12.7mm)の範囲とすることができ、例えば、約0.17インチ(4.3mm)である。
【0029】
保護コーティング層160を堆積する前に、バッキングプレート110の外側支持表面122の領域114は、ビードブラスト、サンドブラスト、ソーダブラスト、パウダーブラスト、並びに他の微粒子ブラスト処理技術を含むブラスト処理により粗面化することができる。バッキングプレート110の外側支持表面122の領域114を粗面化するために、機械技術(例えば、ホイール研磨)、化学技術(例えば、酸エッチ)、プラズマエッチ技術、及びレーザーエッチ技術を含む他の技術を使用することができる。バッキングプレート110の外側支持表面122の領域114は、外側支持表面122と保護コーティング層160との間に強力な付着界面を提供するために粗面化される。外側支持表面122の領域114は、約2.54μm(100マイクロインチ)から約10.6μm(400マイクロインチ)、約3.05μm(120マイクロインチ)から約5.59μm(220マイクロインチ)、又は約5.08μm(200マイクロインチ)から約7.62μm(300マイクロインチ)といった、約2.03μm(80マイクロインチ)から約12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有することができる。1つの実施例において、領域114は、外側支持表面122の領域114に保護コーティング層160を堆積させる前に、約2.03μm(80マイクロインチ)から約12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さを有する。
【0030】
保護コーティング層160は、バッキングプレート110の上に又は上方に堆積すること、メッキすること、又は別の方法で形成することができる。1つの実施形態において、保護コーティング層160は、プラズマ溶射技術のような堆積プロセスによりバッキングプレート110の外側支持表面122の領域114の上に又は上方に堆積される。保護コーティング層160は、領域114上のような外側支持表面122の少なくとも一部に設けられる金属(例えば、金属ニッケル、ニッケル合金、金属タングステン、又はタングステン合金)を含有する。保護コーティング層160は、さもなければ領域114のプラズマ及び/又は化学的に曝された領域から金属汚染物質が発生することになる、バッキングプレート110の浸食を抑制する。多くの実施形態において、バッキングプレート110は銅−亜鉛合金を含有しているので、保護コーティング層160は、バッキングプレート110の浸食を抑制し、結果として高伝導性の銅含有汚染物質の生成を止める。
【0031】
特定の実施例において、保護コーティング層160は、金属ニッケル又は金属タングステンのようなプラズマ溶射金属、又はニッケル材やタングステン材のようなスパッタされた金属を含有する。1つの実施形態において、保護コーティング層160はターゲット層150と共通の金属元素を含有する。例えば、ターゲット層150はニッケル又はニッケル合金(例えば、ニッケル−白金合金)を含有し、保護コーティング層160は金属ニッケルを含有する。別の実施例において、ターゲット層150はタングステン又はタングステン合金を含有し、保護コーティング層160は金属タングステンを含有する。別の実施例において、ターゲット層150はコバルト又はコバルト合金を含有し、保護コーティング層160は金属コバルトを含有する。プラズマ溶射プロセス、スパッタリングプロセス、PVDプロセス、CVDプロセス、PE−CVDプロセス、ALDプロセス、PE−ALDプロセス、電気メッキ又は電気化学メッキプロセス、無電解メッキプロセス、又はそれらの派生プロセスといった、種々の堆積技術は、バッキングプレート110の領域114の上に保護コーティング層160を形成するために、又はそうでなければ堆積するために利用できる。通常、保護コーティング層160は、材料の単一層を含むが、別の実施形態において、保護コーティング層160は同一材料又は異なる材料の複数の層を含むことができる。
【0032】
保護コーティング層160の厚さは、期待されるターゲット寿命に比例する。図1Dは厚さ164を有する保護コーティング層160を示す。保護コーティング層160の厚さ164は、約0.004インチ(0.10mm)から約0.040インチ(1.02mm)、約0.008インチ(0.20mm)から約0.016インチ(0.41mm)といった、約0.002インチ(0.05mm)から約0.100インチ(2.54mm)の範囲とすることができる。保護コーティング層160の露出面又は上面は、約3.05μm(120マイクロインチ)から約10.6μm(400マイクロインチ)、約3.81μm(150マイクロインチ)から約8.89μm(350マイクロインチ)といった、約2.54μm(100マイクロインチ)から約12.7μm(500マイクロインチ)の範囲の平均表面粗さ(Ra)を有することができる。1つの実施例において、保護コーティング層160は金属ニッケルを含有し、約0.008インチ(0.20mm)から約0.016インチ(0.41mm)の範囲の厚さを有し、約3.81μm(150マイクロインチ)から約8.89μm(350マイクロインチ)の範囲の上面の平均表面粗さを有する。別の実施例において、保護コーティング層160は金属タングステンを含有し、約0.008インチ(0.20mm)から約0.016インチ(0.41mm)の範囲の厚さを有し、約3.81μm(150マイクロインチ)から約8.89μm(350マイクロインチ)の範囲の上面の平均表面粗さを有する。
【0033】
バッキングプレート110の表面側の外側支持表面122に沿って広がる領域114の上部に保護コーティング層160を堆積することにより、保護コーティング層160は、下にある外側支持表面122の領域をカバーし、図2及び図3A−3Bに示すPVDチャンバー200のような処理チャンバー内で化学物質及び/又はプラズマとの反応から保護し、結果的に、バッキングプレート110の伝導性材料が望ましくない汚染物質を生成することを防止するが、さもなければ汚染物質が形成されて処理チャンバー全体に及び基板205のような被加工物上に分散されることになる。本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、金属ニッケル又はニッケル合金を含有する保護コーティング層160と、ニッケル、ニッケル−白金合金、又は他のニッケル合金を含有するターゲット層150とを有するスパッタリングターゲット10が説明されているが、本発明の実施形態の基本的な範囲は、保護コーティング層160に含有される金属又は材料がターゲット層150と化学的に親和性がある限り、ターゲット層150に含有される他の金属又は材料に対して同様に適用可能である。本明細書の別の実施形態では、スパッタリングターゲット100は、金属タングステン又はタングステン合金を含有するターゲット層150と、金属タングステン、タングステン材、又はタングステン合金を含有する保護コーティング層160とを有する。
【0034】
図1A−1Dは、円形形状のスパッタリングターゲット100を示す。スパッタリングターゲット100のサイズは、PVDチャンバー200内で堆積されることになる基板の種々のサイズに応じて調整することができる。1つの実施形態において、処理される基板の直径は、約200mmから約450mmの範囲とすることができ、例えば、約300mmである。多くの実施例において、スパッタリングターゲット100から300mmの基板上にターゲット材料がスパッタされる。スパッタリングターゲット100の全体的な直径長さは、PVDチャンバー200のような処理チャンバーに適合する必要があり、プラズマ放電を防止して、バッキングプレート110から保護コーティング層160のスパッタリングを低減させるために、暗空間ギャップを所定の幅に維持する必要がある。スパッタリングターゲット100の全体的な直径長さは、平面136に沿って測定したバッキングプレート110の直径長さに対応し、両者は、約20インチから約22インチといった、約18インチから約23インチの範囲とすることができ、例えば、約20.7インチである。
【0035】
ターゲット凹部直径及び内側凹型表面134の直径の対応する長さは、個別に約18インチから19インチといった約17.5インチから約19.5インチの範囲とすることができ、例えば、約18.5インチである。対応するターゲット凹部深さ140の長さは、約0.10インチ(2.5mm)から約0.40インチ(10.2mm)といった、約0.05インチ(1.3mm)から約0.50インチ(12.7mm)の範囲とすることができ、例えば、約0.15インチ(3.8mm)である。対応するターゲット層150の直径は、約17インチから約18インチといった、約16.5インチから約18.5インチの範囲とすることができ、例えば、約17.5インチである。
【0036】
また、バッキングプレート110は、少なくとも1つのOリング溝172、締結穴174、少なくとも1つのターゲット位置合わせスロット176、及び少なくとも1つのピンスロット178を含む。図1Aは、内側ターゲット表面122を取り囲む単一のOリング溝172を取り囲んだ3つのターゲット位置合わせスロット176を有する、外側支持表面122の表側120を示す。ターゲット位置合わせスロット176は、PVDチャンバー200の暗空間シールド262に対するように、処理チャンバー内でスパッタリングターゲットを中心に置くために利用される。図1Cは、外側支持表面122内に形成された、両側溝のようなOリング溝172を示す。Oリング、ガスケット、シール材ストリップ、又は2つの面の間でシールされた界面を形成するために使用される別タイプのシール装置は、Oリング溝172内に配置することができる。Oリング溝172は、約0.16インチ(4.06mm)といった約0.10インチ(2.54mm)から約0.30インチ(7.62mm)の範囲の深さと、約0.20インチ(5.08mm)といった約0.10インチ(2.54mm)から約0.50インチ(12.7mm)の範囲のテーパー幅とを有することができる。締結穴174は、バッキングプレート110、及びバッキングプレート110の表側120と裏側130との間を貫通する。多くの締結穴174がOリング溝174の外側を取り囲んでおり、スパッタリングターゲット110をPVDチャンバー200のような処理チャンバー内の構成要素又は表面に取り付けるか又は結合するために、締結穴を貫通して締結具を適用するために利用することができる。Oリング溝172内に配置されたOリングは、バッキングプレート110が締結具によりチャンバーに取り付けられるか又は結合される場合に、バッキングプレート110の表面側120と処理チャンバー内の構成要素又は表面との間のシールを形成する。締結具(図示せず)は、ボルト、ネジ、ピン、クリップ等を含むことができる。複数の締結穴174は、約16穴といった約10穴から約30穴の範囲の数とすることができる。締結穴174は、約0.22インチ(5.59mm)といった約0.10インチ(2.54mm)から約0.40インチ(10.2mm)の範囲の直径とすることができる。また、バッキングプレート110は、Oリング溝172とバッキングプレート110の外縁との間に配置される複数のピンスロット178を含むことができる。複数のピンスロット178は、約3穴から約5穴といった約2穴から約8穴の範囲の数とすることができ、例えば、図1Aには4穴が示されている。
【0037】
ターゲット層150は、ターゲット表面151からターゲット側面158に延びるテーパー付き端部156を含む。テーパー付き端部156及びターゲット側面158はターゲット表面151の周りに環状に広がりこれを取り囲んでいる。1つの実施形態において、ターゲット表面151は実質的に平坦であり、処理チャンバー(例えば、PVDチャンバー200)内で基板支持体の上面に実質的に平行に配置される。テーパー付き端部156は、バッキングプレート110上のターゲット側面158まで延びる。ターゲット側面158は、ターゲット層150とバッキングプレート110との界面に近づくにつれて、半径方向に内側に向かってテーパーが付いている。いくつかの実施形態では、テーパー付き端部156は、ターゲット表面151の平面152に沿った平坦部分からターゲット層150のターゲット側面158への滑らかな移行部をもたらし、ターゲット表面151における急激な変化を減少させることによって堆積の均一性を促進する。更に、テーパー付き端部156は、所定のコーナー半径の円弧又は曲率を有しており、最適な暗空間ギャップを提供し、PVDプロセス中のプラズマ放電を防ぎ、高い均一性の堆積薄膜を提供するようになっている。いくつかの実施形態において、テーパー付き端部156の所定のコーナー半径は、約0.02インチ(0.5mm)から約0.08インチ(2.0mm)といった約0.01インチ(0.25mm)から約0.15インチ(3.8mm)の範囲の半径を有することができ、例えば、約0.04インチ(1.0mm)である。
【0038】
別の実施形態において、テーパー付き端部156は、ターゲット表面151の平面152に沿った平坦部分から、ターゲット表面151のターゲット側面158へ下方に傾斜する部分又は区分(平面152から平面128に向かって傾斜する−図示せず)へ移行する。下方に傾斜した部分又は区分は、約0.50インチといった約0.20インチから約0.80インチの長さを有し、平面152から下へ約10°といった約5°から約20°の範囲で延びる角度を有する。
【0039】
別の実施形態において、ターゲット層150は、バッキングプレート110の内側ターゲット表面124より僅かに長い直径を有することができる。従って、ターゲット層150は、図1Dに示されるようにターゲット側面158が領域114の垂直部分より周囲に延びるような突出部分を形成することができ、ターゲット層150は、平面128に沿って内側ターゲット表面124よりも更に延びている。保護コーティング層160は、ターゲット側面158(図1D)と同一平面になるように領域114の上へ形成又は堆積することができ、又は保護コーティング層160の材料で充填されない突出部分を設けるためにより薄くすることができる。従って、ターゲット層150は、バッキングプレート110の内側ターゲット表面124から内側ターゲット表面124の周りに、約0.03インチ(0.76mm)といった約0.01インチ(0.25mm)から約0.05インチ(1.27mm)の範囲の長さだけ突出することができる。
【0040】
1つの実施形態において、スパッタリングターゲット100が提供され、該スパッタリングターゲット100は、銅合金を含有して裏側130と反対側の表側120を有するバッキングプレート110を含んでおり、表側120は内側ターゲット表面124を取り囲む外側支持表面122を含み、裏側130は内側凹型表面134を取り囲む外側裏面132を含み、ターゲット層はバッキングプレート110の内側ターゲット表面124に配置されたニッケル−白金合金を含み、保護コーティング層160は領域114上といった外側支持表面122の少なくとも一部に配置されたニッケルを含み、保護コーティング層160は約0.004インチから0.050インチの範囲の厚さを有している。
【0041】
図2及び図3A−3Bは、スパッタリングターゲット100及び基板の処理時に利用されるプロセスキット250を含むPVDチャンバーを示す。プロセスキット250は、少なくとも基台組立体220上に支持された堆積リング280を含み、またシールド260(例えば、一体のグランドシールド)、暗空間シールド262(例えば、アイソレーターリング)、及びインターリービングカバーリング270を含む。PVDチャンバー200は、スパッタリングチャンバーとも呼ばれ、ニッケル、ニッケル合金(例えば、ニッケル−白金合金)、ニッケルシリサイド、ニッケル−白金シリサイド、タングステン、タングステンシリサイド、タングステンナイトライド、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、タンタル、タンタルナイトライド、タンタルカーバイド、ランタン、酸化ランタン、それらのシリサイド、それらの合金、それらの派生物等といった、金属材料及び/又はセラミック材料を堆積することができる。本明細書に記載の実施形態からの恩恵を受けるように適合される処理チャンバーの一例は、ALPS(商標)Plus及びSIP ENCORE(商標)PVD処理チャンバーであり、米国カルフォルニア州サンタクララ所在のApplied Material社から入手可能である。他の製造メーカからのものを含む、他の処理チャンバーは、本明細書に記載の実施形態からの恩恵を受けるように適合できると考えられる。
【0042】
PVDチャンバー200は、上部アダプター202及び側壁アダプター204を有するチャンバー本体201、チャンバー底部206、及び内部容積210又はプラズマ領域を閉じ込める蓋組立体208を含む。チャンバー本体201は一般的に、アルミニウム、ステンレス鋼、又はそれらの合金といった金属板の機械加工及び溶接により、又は単一の金属本体を機械加工することにより製作される。1つの実施形態において、側壁アダプター204はアルミニウムを含み、チャンバー底部206はステンレス鋼を含む。チャンバー底部206は一般に、PVDチャンバー200からの基板205の出し入れを可能にするスリット弁(図示せず)を含む。PVDチャンバー200の蓋組立体208は、カバーリング270を挟み込むシールド260と協働して、内部容積210で形成されるプラズマを基板205の上方領域に閉じ込める。
【0043】
基台組立体220は、PVDチャンバー200のチャンバー底部206に支持される。基台組立体220は処理時に、基板205と一緒に堆積リング280を支持する。基台組立体220は、下側位置(図2)と上側位置(図3A)との間で基台組立体220を移動させるように構成されたリフト機構222によってPVDチャンバー200のチャンバー底部206と連結されている。さらに、下側位置ではリフトピン(図示せず)が基台組立体220を貫通して移動して、単一ブレードロボット(図示せず)等のPVDチャンバー200の外部に配置されたウェハ移送機構を使った基板交換を容易にするために、基板205を基台組立体220から離間させるようになっている。ベローズ224は一般的に、基台組立体220とチャンバー底部206との間に配置され、基台組立体220の内部及びPVDチャンバー200の外部から内部容積210を隔離するようになっている。
【0044】
基台組立体220は一般的に、接地プレート225に連結されたベースプレート228にシール結合された基板支持体226を含む。基板支持体226は、アルミニウム、ステンレス鋼、又はセラミック材料で構成することができる。基板支持体226は、静電チャック、セラミック体、ヒーター、又はそれらの組み合わせとすることができる。1つの実施形態において、基板支持体226は、埋め込まれた電極238を有する誘電体を含む静電チャックである。誘電体は一般に、熱分解窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化シリコン、アルミナ、又は同等な材料といった高い熱伝導性の絶縁性材料から製作される。1つの実施形態において、基板支持体226は、アルミニウム箔のような金属箔によってベースプレート228に取り付けられ、その金属拡散がベースプレート228と基板支持体226とを接合させる。
【0045】
ベースプレート228は、上に横たわる基板支持体226に対して適切に適合する熱特性を有する材料から構成することができる。例えば、ベースプレート228は、アルミニウムシリコンカーバイドのような複合材料を含むことができる。複合材料は、熱膨張による不一致を低減するために、基板支持体226の材料に適合した熱膨張係数を有することができる。1つの変形例において、複合材料は金属を浸透させる孔を有するセラミック材料を含んでおり、その金属が少なくとも部分的に孔を埋めて複合材料を形成する。セラミック材料は、例えば、シリコンカーバイド、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、コージェライト、又はその派生物の少なくとも1つを含むことができる。セラミック材料は、全体積の約20体積%から約80体積%の範囲の孔容積を含むことができ、残りの体積は浸透金属である。浸透金属は、シリコンが添加されたアルミニウムを含むことができ、また、銅を含むこともできる。別の変形例では、複合材は、分散させたセラミック粒子を有する金属等の、セラミック材料及び金属の異なる組成物を含むことができる。もしくは、ベースプレート228はステンレス鋼又はアルミニウム等の金属から構成することができる。冷却プレート(図示せず)は一般的にベースプレート228の内部に配置されるが、接地プレート225の内部に配置することもでき、基板支持体226を熱的に調節するために利用できる。
【0046】
接地プレート225は一般に、ステンレス鋼又はアルミニウムのような金属材料から製作される。ベースプレート228は、複数のコネクター237で接地プレートに結合することができる。コネクター237はボルト、ネジ、キー、又は任意の他の形式のコネクターの1つとすることができる。ベースプレート228は、基板支持体226及びベースプレート228の取り替え及び保守を容易にするために、接地プレートから取り外し可能とすることができる。
【0047】
基板支持体226は、処理中に基板を受け取って支持する基板受け面227を有しており、基板受け面227はターゲット層150のターゲット表面151に対して実質的に平行な平面を有している。また、基板支持体226は、基板205の突出した端部の手前で終端する周縁部229を有している。基板支持体226の周縁部229は、約275mmから約300mmの範囲の直径を有している。基板支持体226は、約0.30インチから約0.75インチの範囲といった、約0.25インチ以上の高さを有することができる。基板支持体226の高さは、以下に説明するように、プロセスキット250の堆積リング280の水平面から垂直方向に基板205を好都合に離間させる。
【0048】
蓋組立体208は一般に、スパッタリングターゲット100の上方に配置されるマグネトロンユニット234を含む。スパッタリングターゲット100は、バッキングプレート110に配置されたターゲット層150を含む。バッキングプレート110は、図2及び3A−3Bに示されるように、上部アダプター202によりPVDチャンバー200の内部に支持される。セラミックリングシール236は、バッキングプレート110と上部アダプター202との間に配置され、それらの間での真空漏れを防止するようになっている。ターゲット層150は、バッキングプレート110に結合されて、PVDチャンバー200の内部容積210に曝されている。ターゲット層150は、PVDプロセス中に基板に堆積される材料を供給する。暗空間シールド262はアイソレーターリングとすることができ、スパッタリングターゲット100をチャンバー本体201の上部アダプター202から電気的に絶縁するために、スパッタリングターゲット100とチャンバー本体201との間に配置される。通常、ギャップ264は、バッキングプレート110と暗空間シールド262との間、並びにバッキングプレート110とセラミックリングシール236との間に維持される。バッキングプレート110上に配置される保護コーティング層160は、ギャップ264に入ってくるプラズマから、外側支持表面122のような下層表面を保護する。
【0049】
ターゲット層150には、スパッタリングターゲット100に接続される電源240により、接地、例えばチャンバー本体201に対してRF(高周波)及び/又はDCパワーがバイアスされる。アルゴンのようなガスは、ガス源242から導管を通って内部容積210に供給される。ガス源242は、ターゲット層150にエネルギー的に衝突してターゲット層150から材料をスパッタリングすることができる、アルゴン、キセノン、ネオン、又はヘリウムのような不活性ガスを含むことができる。また、ガス源242は、スパッタリング材料と反応して基板上に層を形成することができる、酸素含有ガス、窒素含有ガス、メタン含有ガスの1つ又はそれ以上を含むことができる。使用済みプロセスガス及び副生成物は、使用済みプロセスガスを受け取って、PVDチャンバー200内のガス圧を制御するための絞り弁を有する排気管248へ使用済みプロセスガスを導く排気口246を通ってPVDチャンバー200から排出される。排気管248は、1つ又はそれ以上の排気ポンプ249に連結される。一般的に、PVDチャンバー200内のスパッタリングガス圧は、真空環境のような大気圧より低いレベルに設定され、例えば約0.6mTorrから約400mTorrの範囲とすることができる。プラズマは、基板205とターゲット層との間のガスから形成される。プラズマイオンは、ターゲット層150に向けて加速され、ターゲット層150から材料を取り除く。取り除かれたターゲット材料は、その後、基板表面に堆積する。
【0050】
マグネトロンユニット234は、PVDチャンバー200の外側でバッキングプレート110に連結されるか又はこれと一緒になっている。詳細には、マグネトロンユニット234は一般に、内側凹型表面134の上、又はすぐ上方といったバッキングプレート110の裏側130に配置される。マグネトロンユニット234のマグネット回転直径を最大にするために、少なくとも内側凹型表面134と任意の端部表面とを含むターゲット凹部直径は、PVDプロセス中の高い均一性及びステップカバレッジを達成するように決定される。利用可能な1つのマグネトロンは、米国特許第5,953,827号に記載されており、その開示内容全体は引用により本明細書に組み込まれている。
【0051】
PVDチャンバー200で行われるプロセスは、PVDチャンバー200の構成要素を操作してPVDチャンバー200での基板処理を支援するように設定された命令を有するプログラムコードを含む、制御装置290によって管理される。例えば、制御装置290は、基台組立体220を操作する基板位置合わせ命令セット、ガス流量制御弁を操作してPVDチャンバー200へのスパッタリングガス流量を設定するガス流量制御命令セット、絞り弁を操作してPVDチャンバー200内の圧力を維持するガス圧力制御命令セット、基台組立体220又は側壁アダプター204の温度制御システム(図示せず)を制御して基板又は側壁アダプター204の温度をそれぞれ設定する温度制御命令セット、並びにPVDチャンバー200内のプロセスを監視するプロセス監視命令セットを含むプログラムコードを有することができる。
【0052】
プロセスキット250は、例えば、構成部品表面からスパッタリング堆積物を取り除くために、浸食された構成部品を取り換えるか又は修理するために、又は他のプロセス用にPVDチャンバー200を適合させるために、チャンバー200から簡単に取り外し可能な種々の構成部品を含む。1つの実施形態において、プロセスキット250は少なくとも堆積リング280を含むが、シールド260、暗空間シールド262、及びカバーリング270を含むこともできる。1つの実施形態において、カバーリング270及び堆積リング280は、基板支持体226の周縁部229の周りに配置される。
【0053】
シールド260はチャンバー本体201に支持され、暗空間シールド262は少なくとも部分的にシールド260に支持される。暗空間シールド262は、基板支持体226に対向するスパッタリングターゲット層150のターゲット表面151を取り囲む。シールド260は基板支持体226の周縁部229を取り囲む。また、シールド260は、PVDチャンバー200の側壁アダプター204を覆って遮断して、スパッタリングターゲット層150のターゲット表面151から生じたスパッタリング堆積物が、構成部品及びシールド260の後方の表面へ付着することを低減する。例えば、シールド260は、基板支持体226の表面、基板205の突出した端部、側壁アダプター204、及びPVDチャンバー200のチャンバー底部206を保護することができる。
【0054】
前述の説明は本発明の実施形態に関するが、本発明の他の別の実施形態は、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく考え出すことができ、本発明の範囲は特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0055】
100 スパッタリングターゲット
110 バッキングプレート
112 中心軸
120 表側
124 内側ターゲット表面
130 裏側
132 外側裏面
134 内側凹型表面
136 平面
150 ターゲット層
151 ターゲット表面
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B