(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記芳香族ビニル化合物がスチレン、α−メチルスチレン及び4−メチルスチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の共重合体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[共重合体]
本発明の共重合体は、芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(a)及びファルネセン由来の単量体単位(b)を含有するランダム共重合体である。
本発明において「ランダム共重合体」とは、全芳香族ビニル化合物由来の単量体単位の総量に対して、NMR法にて算出される芳香族ビニル化合物由来の単量体単位が3個以下の芳香族ビニル化合物連鎖の含有量が20質量%以上であるものをいい、本発明においては、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、75質量%以上がより更に好ましい。各数値の測定方法については実施例に記載の方法により測定することができる。
【0010】
単量体単位(a)を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。これらの中では、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましい。
【0011】
本発明において前記単量体単位(b)は、α−ファルネセン由来の単量体単位であってもよく、また、下記式(I)で表されるβ−ファルネセン由来の単量体単位であってもよいが、共重合体の製造容易性の観点から、β−ファルネセン由来の単量体単位が好ましい。なお、α−ファルネセンとβ−ファルネセンとは併用してもよい。
【0013】
前記共重合体の重量平均分子量(Mw)は2,000〜500,000が好ましく、8,000〜500,000がより好ましく、15,000〜450,000が更に好ましく、15,000〜300,000がより更に好ましい。共重合体の重量平均分子量が前記範囲内であると後述のゴム組成物の加工性が良好となり、また得られるゴム組成物中に配合するカーボンブラックやシリカ等の分散性が向上するため、転がり抵抗性能が良好となる。なお、本明細書において共重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。本発明においては、重量平均分子量が異なる2種以上の共重合体を併用してもよい。
【0014】
共重合体の38℃における溶融粘度は、0.1〜3,000Pa・sが好ましく、0.6〜2,800Pa・sがより好ましく、1.5〜2,600Pa・sが更に好ましく、1.5〜2,000Pa・sがより更に好ましい。共重合体の溶融粘度が前記範囲内であると、得られるゴム組成物の混練が容易になると共に加工性が向上する。なお、本明細書において共重合体の溶融粘度は、後述する実施例に記載した方法で求めた値である。
【0015】
前記共重合体中の単量体単位(a)及び(b)の合計に対する単量体単位(a)の割合は、加工性、ウェットグリップ性能を向上させる観点から、1〜99質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましく、15〜70質量%が更に好ましい。
【0016】
共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜4.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.0が更に好ましい。Mw/Mnが前記範囲内であると、得られる共重合体の粘度のばらつきが小さく、より好ましい。
【0017】
本発明の共重合体は、少なくとも芳香族ビニル化合物とファルネセンとを共重合したものであればよく、その他の単量体と芳香族ビニル化合物とファルネセンとを共重合体したものであってもよい。
その他の単量体としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、クロロプレン等の共役ジエン等が挙げられる。
共重合体中のその他の単量体の割合は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
【0018】
[共重合体の製造方法]
本発明の共重合体は、少なくとも芳香族ビニル化合物とファルネセンとを共重合する方法により製造することが好ましい。具体的には、乳化重合法又は溶液重合法等により製造することができる。その中でも、溶液重合法が好ましい。
【0019】
(乳化重合法)
共重合体を得るための乳化重合法としては公知の方法を適用できる。例えば、所定量のファルネセンと芳香族ビニル化合物とを乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
【0020】
得られる共重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化重合温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、共重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって共重合体を回収する。次いで水洗、及び脱水後、乾燥することで、共重合体が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展の共重合体として回収してもよい。
【0021】
(溶液重合法)
共重合体を得るための溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、溶媒中で、チーグラー系触媒、メタロセン系触媒、アニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、ファルネセン単量体と芳香族ビニル化合物由来の単量体とを重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
【0022】
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、ジリチオナフタレン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は要求されるファルネセン重合体の分子量によって適宜決められるが、ファルネセン100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましい。
有機アルカリ金属化合物はまた、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
【0023】
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0024】
極性化合物は、アニオン重合において反応を失活させず、ファルネセン部位のミクロ構造を調整するため用いられ、例えば、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;ピリジン;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物等が挙げられる。
極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1000モル等量の範囲で使用される。
本発明の共重合体は、前記有機アルカリ金属化合物等の有機金属開始剤の存在下、アニオン重合によって製造されたものであることが、前記分子量分布の範囲を満たす共重合体を製造する観点から好ましい。
【0025】
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは10〜90℃の範囲である。重合様式は回分式あるいは連続式のいずれでもよい。重合系中の芳香族ビニル化合物及びファルネセンの組成比が特定範囲になるように、反応液中に芳香族ビニル化合物及びファルネセンを連続的あるいは断続的に供給したり、或いは予め特定の組成比に調整した芳香族ビニル化合物及びファルネセンの混合物を供給することで、ランダム共重合体を製造することができる。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。
得られた重合反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで共重合体を析出させるか、重合反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより共重合体を単離できる。
【0026】
{変性共重合体}
本発明の共重合体は変性して用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、メルカプト基、イソシアネート基、酸無水物等が挙げられる。
変性共重合体の製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤、又は特開2011−132298号公報に記載のその他の変性剤を添加する方法が挙げられる。また、単離後の共重合体に無水マレイン酸等をグラフト化して用いることもできる。
この変性共重合体において、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。また上記官能基は1種または2種以上で組み合わせて用いることもできる。上記変性剤は、有機アルカリ金属化合物に対して0.01〜100モル等量、好ましくは0.01〜10モル等量の範囲で使用される。
【0027】
[ゴム組成物]
本発明の第1のゴム組成物は、前記本発明の共重合体(A)、ゴム成分(B)及びカーボンブラック(C)を含有するゴム組成物である。
本発明の第2のゴム組成物は、前記本発明の共重合体(A)、ゴム成分(B)及びシリカ(D)を含有するゴム組成物である。
更に、本発明の第3のゴム組成物は、前記本発明の共重合体(A)、ゴム成分(B)、カーボンブラック(C)及びシリカ(D)を含有するゴム組成物である。
【0028】
<ゴム成分(B)>
ゴム成分(B)としては、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(以下、SBRという)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等のゴムが挙げられる。中でも、SBR、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムがより好ましく、SBR、天然ゴムが更に好ましい。これらのゴムは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔天然ゴム〕
本発明のゴム成分(B)で用いる天然ゴムとしては、例えば、SMR、SIR、STR等のTSR;RSS;等のタイヤ工業において一般的に用いられる天然ゴム;高純度天然ゴム;エポキシ化天然ゴム、水酸基化天然ゴム、水素添加天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴムが挙げられる。中でも、品質のばらつきが少ない点、及び入手容易性の点から、STR20、SMR20やRSS#3が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
〔合成ゴム〕
本発明においてゴム成分(B)として合成ゴムを用いる場合、SBR、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等が好ましく、中でも、SBR、イソプレンゴム、ブタジエンゴムがより好ましい。
【0030】
(SBR)
SBRとしては、タイヤ用途に用いられる一般的なものを使用できるが、具体的には、スチレン含有量が0.1〜70質量%のものが好ましく、5〜50質量%のものがより好ましい。また、ビニル含有量が0.1〜60質量%のものが好ましく、0.1〜55質量%のものがより好ましい。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、10万〜250万であることが好ましく、15万〜200万であることがより好ましく、20万〜150万であることが更に好ましい。上記の範囲である場合、加工性と機械強度を両立することができる。なお、本明細書における重量平均分子量は、後述の実施例に記載の方法により測定した値である。
本発明において使用するSBRの示差熱分析法により求めたガラス転移温度(Tg)は、−95〜0℃であることが好ましく−95〜−5℃であることがより好ましい。Tgを上記範囲にすることによって、粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。
【0031】
≪SBRの製造方法≫
本発明において用いることができるSBRは、スチレンとブタジエンとを共重合して得られる。SBRの製造方法について特に制限はなく、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができ、乳化重合法、溶液重合法が好ましい。
【0032】
(i)乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)
E−SBRは、通常の乳化重合法により製造でき、例えば、所定量のスチレン及びブタジエン単量体を乳化剤の存在下に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩又はロジン酸塩が用いられる。具体例としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩又はナトリウム塩が挙げられる。
分散剤としては通常、水が使用され、重合時の安定性が阻害されない範囲で、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム等の過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られるE−SBRの分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用することもできる。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0033】
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択できるが、通常、0〜100℃が好ましく、0〜60℃がより好ましい。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。重合反応は、重合停止剤の添加により停止できる。
重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物;ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
重合反応停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。重合反応停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら重合体を凝固させた後、分散溶媒を分離することによって重合体をクラムとして回収できる。クラムを水洗、次いで脱水後、バンドドライヤー等で乾燥することで、E−SBRが得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
【0034】
(ii)溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)
S−SBRは、通常の溶液重合法により製造でき、例えば、溶媒中でアニオン重合可能な活性金属を使用して、所望により極性化合物の存在下、スチレン及びブタジエンを重合する。
アニオン重合可能な活性金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属;ランタン、ネオジム等のランタノイド系希土類金属等が挙げられる。中でもアルカリ金属及びアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。更にアルカリ金属の中でも、有機アルカリ金属化合物がより好ましく用いられる。
【0035】
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウム等の有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼン等の多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレン等が挙げられる。中でも有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましい。有機アルカリ金属化合物の使用量は、要求されるS−SBRの分子量によって適宜決められる。
有機アルカリ金属化合物は、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジベンジルアミン等の第2級アミンと反応させて、有機アルカリ金属アミドとして使用することもできる。
【0036】
溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。これらの溶媒は通常、単量体濃度が1〜50質量%となる範囲で用いることが好ましい。
【0037】
極性化合物としては、アニオン重合において反応を失活させず、ブタジエン部位のミクロ構造やスチレンの共重合体鎖中の分布を調整するために通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;ピリジン;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;ホスフィン化合物等が挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物に対して好ましくは0.01〜1000モル等量の範囲で使用される。
【0038】
重合反応の温度は、通常、−80〜150℃、好ましくは0〜100℃、更に好ましくは30〜90℃の範囲である。重合様式は、回分式あるいは連続式のいずれでもよい。また、スチレン及びブタジエンのランダム共重合性を向上させるため、重合系中のスチレン及びブタジエンの組成比が特定範囲になるように、反応液中にスチレン及びブタジエンを連続的あるいは断続的に供給することが好ましい。
重合反応は、重合停止剤としてメタノール、イソプロパノール等のアルコールを添加して、反応を停止できる。重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、テトラメトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤を添加してもよい。重合反応停止後の重合溶液は、直接乾燥やスチームストリッピング等により溶媒を分離して、目的のS−SBRを回収できる。なお、溶媒を除去する前に、予め重合溶液と伸展油とを混合し、油展ゴムとして回収してもよい。
【0039】
{変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)}
本発明においては、SBRに官能基が導入された変性SBRを用いてもよい。官能基としては、例えば、アミノ基、アルコキシシリル基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
変性SBRの製造方法としては、例えば、重合停止剤を添加する前に、重合活性末端と反応し得る四塩化錫、テトラクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,4−トリレンジイソシアネート等のカップリング剤や、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N−ビニルピロリドン等の重合末端変性剤、又は特開2011−132298号公報の記載のその他の変性剤を添加してもよい。
この変性SBRにおいて、官能基が導入される重合体の位置については重合末端であってもよく、ポリマー鎖の側鎖であってもよい。
【0040】
(イソプレンゴム)
イソプレンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のイソプレンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたイソプレンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のイソプレンゴムを用いてもよい。
【0041】
イソプレンゴムのビニル含量は50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−20℃以下であることが好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。
イソプレンゴムの重量平均分子量は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記イソプレンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
【0042】
(ブタジエンゴム)
ブタジエンゴムとしては、例えば、四ハロゲン化チタン−トリアルキルアルミニウム系、ジエチルアルミニウムクロライド−コバルト系、トリアルキルアルミニウム−三弗化ホウ素−ニッケル系、ジエチルアルミニウムクロライド−ニッケル系等のチーグラー系触媒;トリエチルアルミニウム−有機酸ネオジム−ルイス酸系等のランタノイド系希土類金属触媒、又はS−SBRと同様に有機アルカリ金属化合物を用いて重合された、市販のブタジエンゴムを用いることができる。チーグラー系触媒により重合されたブタジエンゴムが、シス体含量が高く好ましい。また、ランタノイド系希土類金属触媒を用いて得られる超高シス体含量のブタジエンゴムを用いてもよい。
ブタジエンゴムのビニル含量は50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。ビニル含量が50質量%を超えると転がり抵抗性能が悪化する傾向にある。ビニル含量の下限は特に限定されない。またガラス転移温度はビニル含量によって変化するが、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
ブタジエンゴムの重量平均分子量は9万〜200万であることが好ましく、15万〜150万であることがより好ましく、25万〜80万であることが更に好ましい。重量平均分子量が上記範囲にある場合、加工性と機械強度が良好となる。
上記ブタジエンゴムは、その一部が多官能型変性剤、例えば、四塩化錫、四塩化珪素、エポキシ基を分子内に有するアルコキシシラン、又はアミノ基含有アルコキシシランのような変性剤を用いることにより分岐構造又は極性官能基を有していてもよい。
【0043】
SBR、イソプレンゴム、ブタジエンゴム以外の合成ゴムとして、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンアクリロニトリル共重合体ゴム、クロロプレンゴム等を1種又は2種以上を使用することができる。また、これらの製造方法は特に限定されず、市販されているものを使用できる。
本発明において、ゴム成分(B)と前述の共重合体(A)を併用することで、加工性やカーボンブラック、シリカ等の分散性、及び転がり抵抗性能を改良できる。
2種以上の合成ゴムを混合して用いる場合、その組み合わせは本発明の効果を損なわない範囲で任意に選択でき、またその組み合わせによって、転がり抵抗性能や耐摩耗性等の物性値を調整できる。
【0044】
なお、本発明のゴム成分(B)に用いるゴムの製造方法に特に制限はなく、市販のものを用いてもよい。
本発明において、ゴム成分(B)と前述の共重合体(A)を併用することで、加工性やシリカの分散性、及び転がり抵抗性能を改良できる。
【0045】
前記ゴム組成物は、転がり抵抗性能や耐摩耗性を向上させる観点から、前記ゴム成分(B)100質量部に対し、前記共重合体(A)を0.1〜100質量部含むことが好ましく、0.5〜50質量部含むことがより好ましく、1〜30質量部含むことが更に好ましい。
【0046】
<カーボンブラック(C)>
本発明においては、カーボンブラック(C)として、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック及びケッチェンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。中でも、加硫速度や機械強度向上の観点から、ファーネスブラックが好ましい。
ファーネスブラックの市販品としては、例えば、三菱化学株式会社「ダイヤブラック」、東海カーボン株式会社製「シースト」等が挙げられる。アセチレンブラックの市販品としては、例えば電気化学工業株式会社製「デンカブラック」が挙げられる。ケッチェンブラックの市販品としては、例えばライオン株式会社製「ECP600JD」が挙げられる。
【0047】
上記したカーボンブラック(C)は、共重合体(A)及びゴム成分(B)への濡れ性や分散性を向上させる観点から、硝酸、硫酸、塩酸又はこれらの混合酸等による酸処理や、空気存在下での熱処理による表面酸化処理を行ってもよい。また、本発明のゴム組成物の機械強度向上の観点から、黒鉛化触媒の存在下に2,000〜3,000℃で熱処理を行ってもよい。なお、黒鉛化触媒としては、ホウ素、ホウ素酸化物(例えば、B
2O
2、B
2O
3、B
4O
3、B
4O
5等)、ホウ素オキソ酸(例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等)及びその塩、ホウ素炭化物(例えば、B
4C、B
6C等)、窒化ホウ素(BN)、その他のホウ素化合物が好適に用いられる。
【0048】
カーボンブラック(C)は、粉砕等により平均粒径を調整できる。カーボンブラック(C)の粉砕には、高速回転粉砕機(ハンマーミル、ピンミル、ケージミル)や各種ボールミル(転動ミル、振動ミル、遊星ミル)、撹拌ミル(ビーズミル、アトライター、流通管型ミル、アニュラーミル)等が使用できる。
本発明のゴム組成物に用いるカーボンブラック(C)の平均粒径は、分散性及び機械強度を向上させる観点から、5〜100nmが好ましく、10〜80nmがより好ましい。
なお、カーボンブラック(C)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定してその平均値を算出することにより求めることができる。
【0049】
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分(B)100質量部に対し、カーボンブラック(C)を0.1〜150質量部含有することが好ましく、2〜150質量部含有することがより好ましく、5〜90質量部含有することがより好ましく、20〜80質量部含有することが更に好ましい。カーボンブラック(C)の含有量が前記範囲内であると、機械強度、硬度及び加工性、ならびにカーボンブラック(C)の分散性が良好となる。
【0050】
<シリカ(D)>
シリカ(D)としては、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。中でも、加工性、機械強度及び耐摩耗性を一層向上させる観点から、湿式シリカが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカ(D)の平均粒径は、加工性、転がり抵抗性能、機械強度、及び耐摩耗性を向上する観点から、0.5〜200nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく、10〜100nmが更に好ましく、10〜60nmがより更に好ましい。
なお、シリカ(D)の平均粒径は、透過型電子顕微鏡により粒子の直径を測定して、その平均値を算出することにより求めることができる。
【0051】
本発明のゴム組成物においては、前記ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ(D)を0.1〜150質量部含有することが好ましく、0.5〜130質量部含有することがより好ましく、5〜100質量部含有することが更に好ましく、5〜95質量部含有することがより更に好ましい。シリカの含有量が前記範囲内であると、加工性、転がり抵抗性能、機械強度及び耐摩耗性が向上する。
本発明のゴム組成物においては、前記ゴム成分(B)100質量部に対し、前記共重合体(A)を0.1〜100質量部、前記カーボンブラック(C)を0.1〜150質量部、及び前記シリカ(D)を0.1〜150質量部含有することがより好ましい。
【0052】
<任意成分>
(シランカップリング剤)
本発明のゴム組成物では、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、スルフィド系化合物、メルカプト系化合物、ビニル系化合物、アミノ系化合物、グリシドキシ系化合物、ニトロ系化合物、クロロ系化合物等が挙げられる。
スルフィド系化合物としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等が挙げられる。
メルカプト系化合物としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ビニル系化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
アミノ系化合物としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
グリシドキシ系化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
ニトロ系化合物としては、例えば、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
クロロ系化合物としては、例えば、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、添加効果が大きい観点及びコストの観点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0053】
前記シランカップリング剤の含有量は、シリカ(D)100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.5〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部が更に好ましい。シランカップリング剤の含有量が前記範囲内であると、分散性、カップリング効果、補強性、耐摩耗性が向上する。
【0054】
(その他の充填剤)
本発明のゴム組成物は、機械強度の向上、耐熱性や耐候性等の物性の改良、硬度調整、増量剤を含有させることによる経済性の改善等を目的として、必要に応じてカーボンブラック(C)、シリカ(D)以外の充填剤を更に含有していてもよい。
【0055】
上記カーボンブラック(C)、シリカ(D)以外の充填剤としては、用途に応じて適宜選択されるが、例えば、有機充填剤や、クレー、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス繊維、繊維状フィラー、ガラスバルーン等の無機充填剤の1種又は2種以上を使用できる。本発明のゴム組成物に上記充填剤を含有させる場合、その含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して、0.1〜120質量部が好ましく、5〜90質量部がより好ましく、10〜80質量部が更に好ましい。充填剤の含有量が前記範囲内であると、機械強度がより一層向上する。
【0056】
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、加工性、流動性等の改良を目的とし、必要に応じてシリコンオイル、アロマオイル、TDAE(Treated Distilled Aromatic Extracts)、MES(Mild Extracted Solvates)、RAE(Residual Aromatic Extracts)、パラフィンオイル、ナフテンオイル等のプロセスオイル、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、C9系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、フェノール系樹脂等の樹脂成分、低分子量ポリブタジエン、低分子量ポリイソプレン、低分子量スチレンブタジエン共重合体、低分子量スチレンイソプレン共重合体等の液状重合体を軟化剤として含有していてもよい。なお、上記共重合体はブロック又はランダム等のいずれの重合形態であっても良い。液状重合体の重量平均分子量は500〜100,000であることが加工性の観点から好ましい。本発明のゴム組成物に上記プロセスオイル、樹脂成分又は液状重合体を軟化剤として含有させる場合、その量は、ゴム成分(B)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
【0057】
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、β―ファルネセンの単独重合体を含有していても良い。本発明のゴム組成物に上記β―ファルネセンの単独重合体を含有させる場合、その量は、ゴム成分(B)100質量部に対して50質量部より少ないことが好ましい。
【0058】
本発明のゴム組成物は、発明の効果を阻害しない範囲で、耐候性、耐熱性、耐酸化性等の向上を目的として、必要に応じて老化防止剤、酸化防止剤、ワックス、滑剤、光安定剤、スコーチ防止剤、加工助剤、顔料や色素等の着色剤、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、発泡剤、抗菌剤、防カビ剤、香料等の添加剤を1種又は2種以上含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシル系化合物等が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
【0059】
本発明のゴム組成物は、架橋剤を添加して架橋させて用いることが好ましい。架橋剤としては、例えば、硫黄及び硫黄化合物、酸素、有機過酸化物、フェノール樹脂及びアミノ樹脂、キノン及びキノンジオキシム誘導体、ハロゲン化合物、アルデヒド化合物、アルコール化合物、エポキシ化合物、金属ハロゲン化物及び有機金属ハロゲン化物、シラン化合物等が挙げられる。中でも硫黄及び硫黄化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋剤の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
【0060】
上記架橋剤として硫黄を使用する場合、加硫助剤や加硫促進剤等を併用するのが好ましい。
加硫助剤としては、例えば、ステアリン酸等の脂肪酸、亜鉛華等の金属酸化物が挙げられる。
加硫促進剤としては、例えば、グアニジン系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、チウラム系化合物、チオウレア系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、アルデヒド−アミン系化合物又はアルデヒド−アンモニア系化合物、イミダゾリン系化合物、キサンテート系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの加硫助剤、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分(B)100質量部に対して、それぞれ0.1〜15質量部が好ましい。
【0061】
本発明のゴム組成物の製造方法は特に限定されず、前記各成分を均一に混合すればよい。均一に混合する方法としては、例えばニーダールーダー、ブラベンダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー等の接線式もしくは噛合式の密閉式混練機、単軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール、ローラー等が挙げられ、通常70〜270℃の温度範囲で行うことができる。
【0062】
[タイヤ]
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を少なくとも一部に用いる。そのため、機械強度及びウェットグリップ性能が良好であり、また優れた転がり抵抗性能を備える。
【実施例】
【0063】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例において使用した各成分は以下のとおりである。
共重合体(A):製造例1、2で得られた共重合体(A−1),(A−2)
ゴム成分(B):天然ゴム「STR20」(タイ産天然ゴム)
スチレンブタジエンゴム「JSR1500」
(JSR株式会社製)
ブタジエンゴム「BR01」
(JSR株式会社製)
重量平均分子量=55万
シス体含量=95質量%
カーボンブラック(C−1):ダイアブラックH
三菱化学株式会社製
平均粒径30nm
カーボンブラック(C−2):ダイアブラックI
三菱化学株式会社製
平均粒径20nm
カーボンブラック(C−3):シーストV
東海カーボン株式会社製
平均粒径60nm
シリカ(D−1) :ULTRASIL7000GR
エボニック デグサ ジャパン製
湿式シリカ:平均粒径14nm
シリカ(D−2) :アエロジル300
日本アエロジル株式会社製
乾式シリカ:平均粒径7nm
シリカ(D−3) :ニップシールE−74P
東ソー・シリカ株式会社製
湿式シリカ:平均粒径74nm
【0064】
ポリイソプレン :製造例3で得られたポリイソプレン
β−ファルネセンの単独重合体:製造例4で得られたβ−ファルネセンの
単独重合体
TDAE :VivaTec500(H&R製)
シランカップリング剤:Si75(エボニック デグサ ジャパン製)
ステアリン酸 :ルナックS−20(花王株式会社製)
亜鉛華 :酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製)
老化防止剤(1):ノクラック6C(大内新興化学工業株式会社製)
老化防止剤(2):アンテージRD(川口化学工業株式会社製)
硫黄 :微粉硫黄200メッシュ
(鶴見化学工業株式会社製)
加硫促進剤(1):ノクセラーNS(大内新興化学工業株式会社製)
加硫促進剤(2):ノクセラーCZ−G(大内新興化学株式会社製)
加硫促進剤(3):ノクセラーD(大内新興化学株式会社製)
加硫促進剤(4):ノクセラーTBT−N(大内新興化学株式会社製)
【0065】
製造例1:β−ファルネセン/スチレンランダム共重合体(A−1)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン1790g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)9.0gを仕込み、50℃に昇温した後、テトラヒドロフラン3gを添加し、予め調製したスチレン(a)とβ−ファルネセン(b)との混合物(スチレン(a)276gとβ−ファルネセン(b)924gとをボンベ内で混合)1200gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、β−ファルネセン/スチレンランダム共重合体(A−1)を得た。得られたβ−ファルネセン/スチレンランダム共重合体(A−1)の物性を表1に示す。
なお、共重合体(A−1)の芳香族ビニル化合物由来の単量体が3個以下の芳香族ビニル化合物連鎖の含有量は78質量%であった。また、ガラス転移温度は−50℃であった。
【0066】
製造例2:β−ファルネセン/スチレンランダム共重合体(B−2)の製造
窒素置換し乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてシクロヘキサン1500g、開始剤としてsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)112.6gを仕込み、50℃に昇温した後、テトラヒドロフラン3gを添加し、予め調製したスチレン(a)とβ−ファルネセン(b)との混合物(スチレン(a)345gとβ−ファルネセン(b)1155gとをボンベ内で混合)1500gを10ml/分で加えて1時間重合した。得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水とを分離して、70℃で12時間乾燥することにより、β−ファルネセン/スチレンランダム共重合体(A−2)を得た。得られたβ−ファルネセン/スチレンランダム共重合体(A−2)の物性を表1に示す。
なお、共重合体(A−2)の芳香族ビニル化合物由来の単量体が3個以下の芳香族ビニル化合物連鎖の含有量は81質量%であった。また、ガラス転移温度は−54℃であった。
【0067】
製造例3:ポリイソプレンの製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、ヘキサン600g、n−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)44.9gを仕込み、70℃に昇温した後、イソプレン2050gを加えて1時間重合した。得られた重合反応液にメタノールを添加後、重合反応液を水で洗浄した。水を分離して、重合反応液を70℃で12時間乾燥することにより、表1に示す物性を有するポリイソプレンを得た。
【0068】
製造例4:β−ファルネセンの単独重合体の製造
窒素置換し、乾燥させた耐圧容器に、溶媒としてヘキサン274g、開始剤としてn−ブチルリチウム(17質量%ヘキサン溶液)1.2gを仕込み、50℃に昇温した後、β−ファルネセン272gを加えて1時間重合した。続いて、得られた重合反応液をメタノールで処理し、水を用いて重合反応液を洗浄した。洗浄後の重合反応液と水を分離して、70℃で12時間乾燥することにより、β−ファルネセンの単独重合体を得た。得られたβ−ファルネセンの単独重合体の物性を表1に示す。
なお、共重合体(A)、ポリイソプレン及びβ−ファルネセンの単独重合体の重量平均分子量、及び溶融粘度の測定方法は以下のとおりである。
【0069】
(重量平均分子量の測定方法)
共重合体(A)、ポリイソプレン及びβ−ファルネセンの単独重合体の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により標準ポリスチレン換算分子量で求めた。測定装置及び条件は、以下の通りである。
・装置 :東ソー株式会社製GPC装置「GPC8020」
・分離カラム :東ソー株式会社製「TSKgelG4000HXL」
・検出器 :東ソー株式会社製「RI−8020」
・溶離液 :テトラヒドロフラン
・溶離液流量 :1.0ml/分
・サンプル濃度:5mg/10ml
・カラム温度 :40℃
【0070】
(溶融粘度の測定方法)
共重合体(A)、ポリイソプレン及びβ−ファルネセンの単独重合体の38℃における溶融粘度をブルックフィールド社のB型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)により測定した。
【0071】
(芳香族ビニル化合物単位が3個以下の芳香族ビニル化合物連鎖含有量の測定方法)
共重合体(A)50mgを1mlのCDCl
3に溶解した溶液を400MHzのNMRを用いて積算回数512回で測定した。測定により得られたチャートの6.00〜7.95ppm部分を全スチレン連鎖量とし、6.00〜6.91ppmの部分を4個以上のスチレン連鎖量として、以下の式に基づき算出した。
なお、芳香族ビニル化合物由来の単量体単位(a)がスチレン以外の芳香族ビニル化合物であるとき、上記の化学シフトの範囲から官能基により化学シフトが変化することを考慮して芳香族ビニル化合物連鎖量を算出することができる。
{3個以下のスチレン連鎖量}=100−{4個以上のスチレン連鎖量}=100−100×{(6.00〜7.95ppmの積分値−6.91〜7.95ppmの積分値)/2}/[(6.00〜7.95ppmの積分値−6.91〜7.95ppmの積分値)/2+{6.91〜7.95ppmの積分値−(6.00〜7.95ppmの積分値−6.91〜7.95ppmの積分値)/2×3)}/3]
【0072】
(ガラス転移温度の測定方法)
共重合体(A)10mgをアルミパンに採取し、示差走査熱量測定(DSC)により10℃/分の昇温速度条件においてサーモグラムを測定し、DDSCのピークトップの値をガラス転移温度とした。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例1〜7及び比較例1〜8
表2〜4に記載した配合にしたがって、共重合体(A)、ゴム成分(B)、カーボンブラック(C)、シリカ(D)、ポリイソプレン、TDAE、ステアリン酸、亜鉛華及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、硫黄及び加硫促進剤を加えて60℃で6分間混練することでゴム組成物を得た。得られたゴム組成物のムーニー粘度を下記の方法により測定した。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、20〜60分)してシート(厚み2mm)を作製し、下記の方法に基づき、引張破断強度、DIN摩耗量、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能を評価した。結果を表2〜4に示す。
【0075】
(1)ムーニー粘度
ゴム組成物の加工性の指標として、JIS K6300に準拠し、加硫前のゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4)を100℃で測定した。表2における各実施例及び比較例の値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。また、表3における各実施例及び比較例の値は、比較例6の値を100とした際の相対値である。また、表4における各実施例及び比較例の値は、比較例8の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほど加工性が良好である。
(2)引張破断強度
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートからJIS 3号ダンベル状試験片を打ち抜き、インストロン社製引張試験機を用いて、JIS K 6251に準じて引張破断強度を測定した。表2における各実施例及び比較例の数値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。また、表3における各実施例及び比較例の値は、比較例6の値を100とした際の相対値である。また、表4における各実施例及び比較例の値は、比較例8の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほど、破断特性が良好である。
【0076】
(3)DIN摩耗量
JIS K 6264に準拠して、10N荷重下、摩耗距離40mでのDIN摩耗量を測定した。表2における各実施例及び比較例の数値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。また、表3における各実施例及び比較例の値は、比較例6の値を100とした際の相対値である。また、表4における各実施例及び比較例の値は、比較例8の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほど、摩耗量が少ない。
【0077】
(4)ウェットグリップ性能
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度0℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、ウェットグリップ性能の指標とした。表2における各実施例及び比較例の数値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。また、表3における各実施例及び比較例の値は、比較例6の値を100とした際の相対値である。また、表4における各実施例及び比較例の値は、比較例8の値を100とした際の相対値である。なお、数値が大きいほどゴム組成物のウェットグリップ性能が良好である。
【0078】
(5)転がり抵抗性能
実施例及び比較例で作製したゴム組成物のシートから縦40mm×横7mmの試験片を切り出し、GABO製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度60℃、周波数10Hz、静的歪み10%、動的歪み2%の条件で、tanδを測定し、転がり抵抗の指標とした。表2における各実施例及び比較例の数値は、比較例3の値を100とした際の相対値である。また、表3における各実施例及び比較例の値は、比較例6の値を100とした際の相対値である。また、表4における各実施例及び比較例の値は、比較例8の値を100とした際の相対値である。なお、数値が小さいほどゴム組成物の転がり抵抗性能が良好である。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例1,2のゴム組成物は、比較例3に比べムーニー粘度が小さく、加工性が良好である。更に、実施例1のゴム組成物は、比較例1,2と比較しても、転がり抵抗性能が優れている。また、実施例1,2のゴム組成物は、比較例1,2と同程度の耐摩耗性及びウェットグリップ性能を有している。
【0081】
【表3】
【0082】
実施例3,4のゴム組成物は、比較例6に比べムーニー粘度が小さく、加工性が良好である。更に、実施例3,4のゴム組成物は、比較例4に比べ優れたウェットグリップ性能を有している。また、実施例3,4のゴム組成物は、比較例4と同程度の耐摩耗性を有している。実施例3のゴム組成物は、比較例4と同程度の転がり抵抗性能を有している。
実施例5及び比較例5を比較すると、カーボンブラック(C)の平均粒径が5〜100nm、シリカ(D)の平均粒径が0.5〜200nmであるとき、加工性が良好であり、機械強度や耐摩耗性の低下が抑制され、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能に優れたゴム組成物を得られることが分かる。
【0083】
【表4】
【0084】
実施例6,7のゴム組成物は、比較例8に比べムーニー粘度が小さく、加工性が良好である。更に、実施例6,7のゴム組成物は、比較例7に比べ優れたウェットグリップ性能を有している。また、実施例6,7のゴム組成物は、比較例7と同程度の耐摩耗性を有している。実施例6のゴム組成物は、比較例7と同程度の転がり抵抗性能を有している。
【0085】
実施例8〜20及び比較例9〜18
表5〜8に記載した配合にしたがって、共重合体(A)、ゴム成分(B)、カーボンブラック(C)、シリカ(D)、β−ファルネセン単独重合体、ポリイソプレン、シランカップリング剤、TDAE、ステアリン酸、亜鉛華及び老化防止剤を、それぞれ密閉式バンバリーミキサーに投入して開始温度75℃、樹脂温度が160℃となるように6分間混練した後、ミキサー外に取り出して室温まで冷却した。次いで、この混合物をミキシングロールに入れ、硫黄及び加硫促進剤を加えて60℃で6分間混練することでゴム組成物を得た。得られたゴム組成物のムーニー粘度を上記の方法により測定した。
また、得られたゴム組成物をプレス成形(145℃、25〜50分)してシート(厚み2mm)を作製し、上記の方法に基づき、引張破断強度、及び転がり抵抗性能を評価した。結果を表5〜8に示す。
更に、実施例8〜17、比較例9〜14については上記の方法に基づき、DIN摩耗量を測定した。結果を表5,6に示す。
なお、表5における各実施例及び比較例の数値は、比較例12の値を100とした際の相対値である。表6における各実施例及び比較例の値は、比較例14の値を100とした際の相対値である。表7における各実施例及び比較例の値は、比較例17の値を100とした際の相対値である。表8における各実施例及び比較例の値は、比較例18の値を100とした際の相対値である。
【0086】
【表5】
【0087】
実施例8と比較例9とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対し共重合体(A)の配合割合が0.1〜100質量部である場合、加工性が良好であり、機械強度や耐摩耗性を損ねることなく、ウェットグリップ性能や転がり抵抗性能に優れたゴム組成物を得られることが分かる。
実施例9〜12のゴム組成物は、比較例12と比較してムーニー粘度が低く加工性が改良されている。また、実施例9〜12は、比較例10と引張破断強度や耐摩耗性が同等でありながら、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能に優れているため、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。
実施例13のゴム組成物は、比較例12と比較してムーニー粘度が低く加工性が改良されている。また、実施例13は比較例11と引張破断強度や耐摩耗性が同等でありながら、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能に優れているため、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いることができる。
【0088】
実施例13と比較例11とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対し、シリカ(D)の配合割合が0.1〜150質量部であるときに効果が発現することが分かる。
実施例13と比較例11とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対しカーボンブラック(C)の配合割合が0.1〜150質量部であるときに効果が発現することが分かる。
実施例13と比較例11とを比較すると、カーボンブラック(C)の平均粒径が5〜100nm、シリカ(D)の平均粒径が0.5〜200nmであるときに加工性が良好であり、機械強度の低下が抑制され、転がり抵抗性能や耐摩耗性に優れたゴム組成物を得られることが分かる。
実施例13と比較例11とを比較すると、合成ゴムを2種以上混合し用いた場合においても、効果が発現することが分かる。
実施例10〜12と比較例10とを比較すると、共重合体(A)とその他の成分とを併用した場合においても効果が発現することが分かる。
【0089】
【表6】
【0090】
実施例15〜17と比較例13とを比較すると、ゴム成分(B)が天然ゴムであっても、共重合体(A)とその他の成分とを併用した場合においても効果が発現することが分かる。
【0091】
【表7】
【0092】
実施例18と比較例15とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対し共重合体(A)の配合割合が0.1〜100質量部である場合、加工性が良好であり、機械強度を損ねることなく、転がり抵抗性能に優れたゴム組成物を得られることが分かる。
実施例19と比較例16とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対し、シリカ(D)の配合割合が0.1〜150質量部である場合、効果が発現することが分かる。
実施例19と比較例16とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対しカーボンブラック(C)の配合割合が0.1〜150質量部である場合、効果が発現することが分かる。
実施例19と比較例16とを比較すると、カーボンブラック(C)の平均粒径が5〜100nm、シリカ(D)の平均粒径が0.5〜200nmである場合、ウェットグリップ性能や転がり抵抗性能に優れたゴム組成物を得られることが分かる。
実施例19と比較例16とを比較すると、天然ゴム及び合成ゴムを2種以上混合し用いた場合においても、効果が発現することが分かる。
【0093】
【表8】
【0094】
実施例20と比較例18とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対し共重合体(A)の配合割合が0.1〜100質量部である場合、機械強度を損ねることなく、ウェットグリップ性能や転がり抵抗性能に優れたゴム組成物を得られることが分かる。
実施例20と比較例18とを比較すると、ゴム成分(B)100質量部に対し、シリカ(D)の配合割合が0.1〜150質量部である場合、効果が発現することが分かる。