(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131323
(24)【登録日】2017年4月21日
(45)【発行日】2017年5月17日
(54)【発明の名称】水を含むレーザー維持プラズマ管球
(51)【国際特許分類】
H01J 65/04 20060101AFI20170508BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20170508BHJP
H01J 61/12 20060101ALI20170508BHJP
H01J 61/14 20060101ALI20170508BHJP
H01J 61/16 20060101ALI20170508BHJP
H01J 61/30 20060101ALI20170508BHJP
【FI】
H01J65/04 Z
H05H1/24
H01J61/12 Z
H01J61/14
H01J61/16
H01J61/30
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-526529(P2015-526529)
(86)(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公表番号】特表2015-531966(P2015-531966A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013041875
(87)【国際公開番号】WO2014025442
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】61/680,786
(32)【優先日】2012年8月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/790,084
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー−テンカー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベゼル イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】シチェメリニン アナトリー
(72)【発明者】
【氏名】パンツァー マシュー アラン
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−193358(JP,A)
【文献】
特表2009−532829(JP,A)
【文献】
特表平11−515134(JP,A)
【文献】
特開2005−302551(JP,A)
【文献】
米国特許第7705331(US,B1)
【文献】
米国特許第4027185(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 9/24− 9/50、61/00−65/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある量の照明光を生成するように動作可能なレーザーと、
作動ガスおよびある量の水を含むように部分的に動作可能な、少なくとも1つの壁を有するプラズマ管球と、
を備え、
前記レーザーにより生成された前記照明光は、作動ガスに投射されてレーザー維持プラズマ発光を生成し、
前記レーザー維持プラズマ発光の一部は、前記管球の前記少なくとも1つの壁に投射されることなく前記水により吸収される、レーザー維持プラズマ光源。
【請求項2】
前記プラズマ管球内の水の分圧が0.001barよりも大きい、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項3】
前記プラズマ管球の形状が、実質的に球形の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に楕円体形の形状、および実質的に長球形の形状のいずれかを含む、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項4】
前記作動ガスが、Ar、Kr、Xe、He、Ne、N2、Br2、Cl2、I2、H2O、O2、H2、CH4、NO、NO2、CH3OH、C2H5OH、CO2、NH3、1以上の金属ハロゲン化物、Ne/Xe混合物、Ar/Xe混合物、Kr/Xe混合物、Ar/Kr/Xe混合物、ArHg混合物、KrHg混合物、およびXeHg混合物から成るリストから選択される少なくとも1種のガスを含む、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項5】
前記プラズマ管球がガラス材料から形成される、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項6】
前記ガラス材料が溶融石英ガラス材料を含む、請求項5に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項7】
前記プラズマ管球が結晶性材料から形成される、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項8】
前記結晶性材料が、結晶性石英材料およびサファイア材料のいずれかを含む、請求項7に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項9】
前記プラズマ管球内の水の分圧が0.01barよりも大きい、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項10】
ある量の凝結水を含む前記プラズマ管球の領域において前記プラズマ管球の温度を変化させるように動作可能な加熱要素と、
前記プラズマ管球の温度変化を調節するように動作可能なコントローラと、
をさらに含む、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項11】
前記ある量の水が、ある量の水蒸気およびある量の凝結水蒸気を含む、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項12】
前記水がH2Oの任意の同位体を含む、請求項1に記載のレーザー維持プラズマ光源。
【請求項13】
作動ガスおよびある量の水を含むプラズマ管球内においてレーザー維持プラズマ発光を誘起することと、
ある量のレーザー維持プラズマ発光が前記プラズマ管球の壁と相互作用する前に、前記ある量のレーザー維持プラズマ発光を吸収することであって、前記ある量の水により前記ある量のレーザー維持プラズマ発光が吸収される、吸収することと、
前記プラズマ管球の壁を透過した、ある量の前記レーザー維持プラズマ発光を収集することと、
を含む方法。
【請求項14】
前記ある量の水が、ある量の水蒸気およびある量の凝結水蒸気を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ある量の凝結水蒸気を含む前記プラズマ管球の領域において前記プラズマ管球の温度を調節することによって前記ある量の水蒸気を調節することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマ管球の形状が、実質的に球形の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に楕円体形の形状、および実質的に長球形の形状のいずれかを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記水がH2Oの任意の同位体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記プラズマ管球内の水の分圧が0.001barよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ある量の照明光を生成するように動作可能なレーザーと、
作動ガスおよびある量の水を含むように部分的に動作可能な、少なくとも1つの壁を有するプラズマ管球であって、前記レーザーにより生成された前記照明光は、作動ガスに投射されてレーザー維持プラズマ発光を生成し、前記レーザー維持プラズマ発光の一部は、前記管球の前記少なくとも1つの壁に投射されることなく前記水により吸収される、プラズマ管球と、
前記プラズマ管球の温度を調節することによって、前記プラズマ管球内のある量の水蒸気を調節するように構成されたコンピュータと、
を備える装置。
【請求項20】
前記プラズマ管球の前記温度を調節することが、
前記プラズマ管球の温度の表示を受信することと、
加熱要素に伝達される出力シグナルを、前記プラズマ管球の前記温度の表示に少なくとも部分的に基づいて決定することであって、前記出力シグナルにより、前記プラズマ管球に前記加熱要素がある量の熱を加えるようになる、決定することと、
を含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、米国特許法第119条の下で、2012年8月8日出願の米国仮特許出願第61/680,786号(標題「Water-Containing Bulbs For Reduced Bulb Degradation In Laser-Sustained Plasma Sources」)に基づく優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
記載される実施形態は、顕微鏡検査のための光学的計測および検査システムに関し、より詳細には、レーザー維持プラズマ放射源を備える光学的計測および検査システムに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、論理デバイスおよび記憶デバイスなどの半導体デバイスは、標品に適用される一連の処理工程によって製作される。半導体デバイスの様々な特徴および複数の構造レベルは、これらの処理工程により形成される。例えば、とりわけ、リソグラフィは、半導体ウェハ上にパターンを生成することを含む半導体製作工程の1つである。半導体製作工程のさらなる例には、限定されるものではないが、化学機械研磨、エッチング、蒸着、およびイオン注入が含まれる。複数の半導体デバイスが単一の半導体ウェハ上で製作され、その後、個々の半導体デバイスに分離されてよい。
【0004】
ウェハ上の欠陥を検出して生産性をより高めるために、半導体製造工程中の様々な段階において検査プロセスが用いられる。半導体ウェハなどの鏡面または準鏡面を検査する場合、明視野(BF)様式および暗視野(DF)様式が用いられてよく、両方とも、パターン化されたウェハの検査および欠陥レビューをおこなうために用いられてよい。BF検査システムにおいて、集光光学系は、検査中に表面によって鏡面反射された光の大部分を集光光学系が捕捉するように配置される。DF検査システムにおいて、集光光学系は、ウェハの表面上のマイクロ回路のパターンまたはコンタミナントなどの検査される表面上の物体により散乱した光を集光光学系が捕捉するように、鏡面反射光の光路外に配置される。実行可能な検査システム、特にBF検査システムは、システムの欠陥感度を最大化するために、高輝度照明および高開口数(NA)を必要とする。
【0005】
現在のウェハ検査システムは一般的に、高開口数(NA)で260ナノメートル程の短波長の深紫外(DUV)放射の照明光源を使用する。一般に、検査システムの欠陥感度は、対物レンズのNAで割った照明光の波長に比例する。NAのさらなる改善が無ければ、現在の検査ツールの全体的な欠陥感度は、照明光源の波長によって制限される。
【0006】
BF検査システムの一部の例において、照明光は、アークランプにより供されてよい。例えば、電極ベースの、比較的高強度の放電アークランプが、検査システムにおいて使用される。しかし、これらの光源は数多くの欠点を有する。例えば、電極ベースの、比較的高強度の放電アークランプでは、電極からの電流密度に対する静電気的な制約による輝度限界および出力限界があり、黒体放射の際にガスの放射率が制限され、カソードにおける比較的大きい電流密度の存在により不応性材料から作製された電極が比較的急速に浸食され、および、必要とされる放出電流において、比較的長期間、(不応性カソードの動作温度を低下させ得る)ドーパントを制御できない。
【0007】
電極ベースの照明光源の制限を除くために、レーザーによりポンピングされる非干渉性光源(例えば、レーザー維持プラズマ)が開発されている。代表的なレーザー維持プラズマシステムが、ケーエルエー−テンカー コーポレイションに譲渡された米国特許第7,705,331号に記載されており、その内容は、本明細書に完全に記載されるが如く参照により組み込まれる。レーザー維持プラズマは、レーザープラズマよりも低温で、作動ガスに囲まれた高圧管球内に生成される。レーザー維持プラズマにより、輝度が相当に改善されている。これらのプラズマにおける原子発光およびイオン発光は、連続波長またはパルス状ポンプ光源のいずれかを使用する場合には200nm未満の波長を含む、全てのスペクトル領域の波長を発生させる。また、レーザー維持プラズマ中で、171nmの発光波長のためにエキサイマ発光を仕組むことも可能である(例えば、キセノンエキサイマ発光)。従って、高圧管球内の単純なガス混合物は、ハイスループットの高分解能BFウェハ検査を支えるための十分な輝度および平均出力を伴いつつ、深紫外(DUV)波長において波長の有効範囲を維持できる。
【0008】
レーザー維持プラズマの発展は、ガス混合物を含む管球の劣化に関連する信頼性の問題により妨げられている。レーザー維持光源の従前のプラズマ管球は、溶融石英ガラスから形成される。溶融石英ガラスは、約170nm未満の波長の光を吸収する。このような低波長の光の吸収は、プラズマ管球の急速な損傷につながり、今度はそれが、190〜260nmの範囲の光の光伝送を減少させる。一部の例において、真空紫外域(VUV)の放射の実質的な放出は、管球材料を劣化させる。6.5eV超の光子エネルギーを伴うVUV光(〜190nm)は、LSPランプハウスを構築するために使用される材料に、より重要なことには管球それ自体の材料に、急速な損傷を引き起こす。溶融石英ガラスは、急速なソラリゼーション、伝送損失、圧縮−希薄化および関連するストレス、マイクロチャネリング(micro−channeling)、ならびに、光源出力の低下、構造統合性の喪失(例えば、爆発)、オーバーヒート、融解およびその他の有害な結果につながるその他の損傷を被る。
【0009】
図1は、管球壁吸収により吸収されたプラズマ発光の割合を、様々な管球構成および稼働シナリオについての波長の関数として示したプロット10を図示している。プロットライン15は、曝露されていない管球の吸収を図示する。プロットライン14は、5キロワットの出力で1時間、4キロワットの出力で5時間、および3キロワットの出力で1時間未満稼働後の、キセノンガスを含む管球を図示する。プロットライン13は、4キロワットの出力で7時間稼働後の、クリプトンガスを含む管球を図示する。プロットライン12は、3キロワットの出力で1時間未満稼働後の、アルゴンガスを含む管球を図示する。プロットライン11は、3キロワットの出力で1時間、および4キロワットの出力で2時間稼働後の、クリプトンガスを含む管球を図示する。プロット10に図示されるように、数時間のみの稼働でも著しい吸収損失が、特に200ナノメートル〜260ナノメートルの波長領域において生じる。
【0010】
一部の例において、オゾン非含有管球内でVUVを遮断するためにVUV−吸収性コーティングが使用される。コーティングの材料組成が、コーティングの吸収プロファイルを決定する。LSPが検査のための有効な照明光源であるためには、吸収性コーティングは、190nmよりも長波長の光(DUV光)を遮断すべきでなく、190nm未満の波長の光(VUV光)を吸収すべきである。このように、検査にとって望ましいDUV放射を吸収することなく、管球に損傷を引き起こす、より短波長のVUV光は吸収される。残念なことに、既存の材料は、190ナノメートル付近での鋭い吸収カットオフを有さない。既存のコーティング材料は、190〜260ナノメートルの望ましい照明範囲の光を吸収するか、または、190nm未満の波長の光の相当な量を透過するかのいずれかである。コーティングの吸収端を260〜450ナノメートルの帯域の放射に適合させようとすると同様の問題が生じる。さらに、保護コーティングそれ自体が、VUV光への曝露による損傷および初期不良を被る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第7705331号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
レーザー維持プラズマ照明光源を備える検査システムが発展するにつれて、信頼度がシステムの動作可能時間の維持における限定要因となる。従って、レーザー維持プラズマ光源の寿命を延ばすための改善された方法およびシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
計測システムまたは検査システムは、光を発生させるレーザー維持プラズマ(LSP)光源を備える。一態様において、LSP光源の信頼性は、プラズマを発生させるガス混合物を含む管球へ、ある量の水を導入することにより改善される。プラズマにより発生する放射は、管球の構築に使用される材料を損傷させる約190ナノメートル未満の波長領域の実質的な輝度を含む。水蒸気は、損傷を生じさせる波長領域においてプラズマにより発生する放射の吸収体としてはたらく。
【0014】
一部の実施形態において、十分な吸収をもたらすために所定の量の水が管球に導入される。
【0015】
一部の他の実施形態において、ある量の凝結水を含む管球の一部の温度は、管球内で所望の水蒸気分圧を生じさせるために調節される。
【0016】
一部の他の実施形態において、プラズマ管球内の水蒸気濃度は、プラズマ管球を貫流するガス混合物中に存在する水蒸気により決定される。
【0017】
別の態様において、プラズマ管球内の水蒸気濃度は、能動的に制御される。一実施形態において、凝結水が集まりやすい管球の最低温度点の温度は能動的に制御される。別の実施形態において、プラズマ管球内の水蒸気濃度は、プラズマ管球を貫流する作動ガス混合物中に存在する水蒸気濃度を制御することにより能動的に制御され得る。
【0018】
上記は概要であり、従って、やむを得ず、詳細の単純化、一般化および省略を含む。従って、当業者は、概要が単なる例示であり、いかなる意味においても限定するものではないことを理解するであろう。本明細書に記載の装置および/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、ならびに利点は、本明細書に記載の非限定的な詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】管球壁吸収により吸収されたプラズマ発光の割合を、様々な管球構成および稼働シナリオについて波長の関数として示したプロット10を図示する。
【
図2】本発明の一実施形態に従って構成されたプラズマ管球100を図示する。
【
図3】2つの例示的な一重壁プラズマ管球の誘発吸収を示すプロット20である。
【
図4】120ナノメートル〜200ナノメートルの波長の範囲にわたる、295ケルビンにおける水の吸収断面積のプロットを図示する。
【
図5】温度の範囲に対する水の飽和圧を示すプロットである。
【
図6】本発明の別の実施形態におけるプラズマ管球200を図示する。
【
図7】本発明の別の実施形態におけるプラズマ管球300を図示する。
【
図8】本発明のプラズマ管球を備える任意のシステムにおける実施に好適な1つの例示的な方法400を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付の図面に図示される背景例および本発明の一部の実施形態について以下に詳細に説明する。
【0021】
レーザー維持プラズマ光源(LSPs)は、計測用途および検査用途に好適な高出力広帯域光を発生させることができる。LSPsは、光を放出するプラズマ状態へとガスを励起するためにレーザー放射を作動ガス体積に集中させることにより稼働する。この効果は一般に、レーザー放射によるプラズマの「ポンピング」と呼ばれる。プラズマ管球またはガスセルは、作動ガス種ならびに生成されるプラズマを含むように構成される。一部の実施形態において、LSPは、ほぼ数キロワット程度のビーム出力を有する赤外レーザーポンプにより維持される。レーザービームは、ガスセルに含まれる、ある体積の低圧または中圧の作動ガスに集中させられる。プラズマによるレーザー出力の吸収は、例えば、10,000ケルビン〜20,000ケルビンのプラズマ温度にて、プラズマを生成および維持する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に従って構成されたプラズマ管球100を図示する。プラズマ管球100は、ポンピングレーザー光源(不図示)からの入射光103の少なくとも一部に対して実質的に透過的である材料(例えばガラス)から形成される少なくとも1つの壁101を備える。また同様に、少なくとも一つの壁も、プラズマ管球100内に維持されるプラズマ107により放出される集光可能な照明104(例えば、IR光、可視光、紫外光)の少なくとも一部に対して実質的に透過的である。例えば、壁101は、プラズマ107からの広帯域発光104の特定のスペクトル領域に対して透過的であってよい。
【0023】
プラズマ管球100は、様々なガラス材料または結晶性材料から形成されてよい。一実施形態において、ガラス管球は溶融石英ガラスから形成されてよい。さらなる実施形態において、プラズマ管球100は、OH低含有溶融合成石英ガラス材料から形成されてよい。他の実施形態において、プラズマ管球100は、OH高含有溶融合成シリカガラス材料から形成されてよい。例えば、プラズマ管球100は、限定されるものではないが、SUPRASIL 1、SUPRASIL 2、SUPRASIL 300、SUPRASIL 310、HERALUX PLUS、およびHERALUX−VUVを含んでよい。本発明のプラズマ管球における実施に好適な様々なガラスは、その全体が本明細書に組み込まれる「A. Schreiber et al., Radiation Resistance of Quartz Glass for VUV Discharge Lamps, J. Phys. D: Appl. Phys. 38 (2005), 3242-3250」において詳細に考察されている。一部の実施形態において、プラズマ管球100は、結晶性石英材料またはサファイア材料などの結晶性材料から形成されてよい。
【0024】
図示された実施形態において、プラズマ管球100は、球状端部を備えた円筒形の形状を含む。一部の実施形態において、プラズマ管球100は、実質的に球形の形状、実質的に円筒形の形状、実質的に楕円体形の形状、および実質的に長球形の形状のいずれかを含む。これらの形状は、非限定的な例として提供される。しかし、多くの他の形状が考慮されてよい。
【0025】
様々なガス環境においてプラズマを維持するために、詰め替え可能なプラズマ管球100が利用されてよいことが本明細書では企図される。一実施形態において、プラズマ管球100の作動ガス102は、不活性ガス(例えば、希ガスまたは非希ガス)または非不活性ガス(例えば、水銀)またはそれらの混合物を含んでよい。例えば、本発明のある体積の作動ガスはアルゴンを含んでよいことが本明細書では予期される。例えば、作動ガスは、5atm超の圧力に保持された実質的に純粋なアルゴンガスを含んでよい。別の例において、作動ガスは、5atm超の圧力に保持された実質的に純粋なクリプトンガスを含んでよい。一般的な意味において、プラズマ管球100は、レーザー維持プラズマ光源における使用に好適な当技術分野で公知の任意のガスで充填されてよい。さらに、作動ガスは2種以上のガスの混合物を含んでよい。非限定的な例として、作動ガスは、Ar、Kr、Xe、He、Ne、N
2、Br
2、Cl
2、I
2、H
2O、O
2、H
2、CH
4、NO、NO
2、CH
3OH、C
2H
5OH、CO
2、NH
3、1以上の金属ハロゲン化物、Ne/Xe混合物、Ar/Xe混合物、Kr/Xe混合物、Ar/Kr/Xe混合物、ArHg混合物、KrHg混合物、およびXeHg混合物のうちのいずれか一つまたは任意の組み合わせを含んでよい。一般的な意味において、本発明は、任意の光ポンププラズマ生成システムにまで拡張して解釈されるべきであり、さらに、プラズマ管球内でプラズマを維持するのに好適な作動ガスの任意のタイプにまで拡張して解釈されるべきである。
【0026】
新規の一態様において、ある量の水106が作動ガス102に添加される。
図2に図示されるように、水106は、ある量の凝結水蒸気を含む。しかし、さらに、水106は作動ガス102と混合されたある量の水蒸気を含む。水106の添加は、プラズマ107から放出される、ある量の真空紫外(VUV)光105を、それがプラズマ管球100の壁101に到達する前に効率よく吸収する。VUV光は、約190nm未満の波長を含む。このように、プラズマ管球の壁101またはガスセルに到達する有害なVUV光の量は最小化される。これは、VUVにより引き起こされるランプの材料に対する損傷を著しく低減する。さらに、LSP照明装置の全ての他の構成要素に対するVUV損傷が低減される。
【0027】
本特許文献の目的のために、プラズマ管球内の作動ガスまたは流体の一部として使用される水は、水の全ての同位体(例えば、H
2O、HDO、D
2Oなど)を含む。
【0028】
図3は、2つの一重壁プラズマ管球の誘発吸収を、管球ガラスの劣化の指標として示すプロット20である。両方のプラズマ管球が15atmのキセノンガスで充填された。両方の管球が、3kWのポンプ出力で30分稼働された。プラズマ管球の一方は、純粋キセノンガスで試験された。プロットライン110は、キセノンガスで充填されたプラズマ管球について測定された吸収の割合を図示する。プロットライン110により図示されるスペクトルプロファイルは、E’およびNBOHCに該当する214nmおよび260nmに特徴を示す。これらは、破壊されたSi−O結合の特性であり、プラズマ管球100の壁101の劣化を示す。純粋キセノンガスで充填した管球は、VUV光の強度が最も高い管球の中央における大きな吸収損失と、より高いガラス温度が欠陥のアニーリングならびに修復を促進する赤道部における低下(dip)とを伴う、円筒形管球の劣化に典型的な吸収パターンを示す。
【0029】
第二のプラズマ管球は、純粋キセノンガスに添加された、ある量の水を追加で含んだ。添加された水の分圧は、蒸発時で約1気圧であった。プロットライン111は、キセノンガスと水の混合物で充填されたプラズマ管球について測定された吸収の割合を図示する。スペクトルプロファイルから、水を含む管球は、ほぼ全くソラリゼーションを被らなかったことが確認される。NBOHC吸収の欠如は、水を含むプラズマ管球において観察される、赤色NBOHC蛍光の欠如と一致する。
【0030】
図4は、120ナノメートル〜200ナノメートルの波長の範囲にわたる、295ケルビンにおける水の吸収断面積のプロットを図示する。図示されるプロットは、本明細書に完全に記載されるが如く参照により組み込まれる「Absorption cross-section measurements of water vapor in the wavelength region 181-199 nm,」(W.H. Parkinson and K. Yoshino, Chemical Physics 294 (2003) 31-35)に掲載されている。
図4に図示されるように、水蒸気は、約180ナノメートル〜約200ナノメートルの吸収カットオフを有する。特に、水蒸気は、約180ナノメートル〜約190ナノメートルの鋭いカットオフを示す。190ナノメートル〜200ナノメートルのスペクトル領域の波長は、計測および検査を含む、レーザー維持プラズマ光源のための多くの用途にとって望ましいため、これは重要である。しかし、信頼性のあるプラズマ管球を実現するためには、約180ナノメートル未満の明らかに有害な波長の抑止が必要である。
【0031】
図4に図示されるように、水の濃度が増加すると、180ナノメートル未満の波長のさらなる減衰が達成される可能性がある。しかしまた、約190ナノメートル〜200ナノメートルの波長の減衰も増加するであろうし、その逆もまた同様である。それ故、約180ナノメートル未満の明らかに有害な波長の抑止と約190ナノメートルよりも大きい波長の透過との間の最適なバランスを見出すために、設計の最適化が行われなければならない。190〜200nmの波長領域の光はまた、ガラス性あるいは結晶性管球材料を損傷させることが認識されるべきである。このスペクトル領域において光収集を必要としない一部の用途においては、さらなる減衰が望ましく、さらなる減衰は水濃度のさらなる増加により達成されてよい。
【0032】
特定のプラズマ管球について、
図4に図示されるプロットを用いて、所望の量の水濃度を推定してよい。必要とされる水の原子密度は、水の所望の吸収断面積で割った吸収係数として表されてよい。例えば、1センチメートルの内半径(すなわち、プラズマ107から壁101までの経路長が1センチメートル)を有する典型的なプラズマ管球であって、190ナノメートル付近のおおよその吸収係数が0.05であり、〜5・10
−21cm
2の所望の吸収断面積(
図4に図示される190ナノメートルにおける吸収断面積)を有する、ある量の水蒸気を含むプラズマ管球については、おおよそ〜10
19cm
−3(動作温度において〜0.4bar)の水濃度が好適であろう。この濃度により、安全性に大幅な余裕を持ったまま、大部分のVUV放射(180nm未満)の消衰が可能となるであろう。
【0033】
図5は、温度の範囲に対する水の飽和圧を示すプロットである。
図5に図示されるように、蒸発した状態で水を0.4barに維持するには、おおよそ摂氏70度の温度が必要である。このような温度は、典型的なプラズマ管球においては容易に達成される。
【0034】
プラズマ管球内の水蒸気の分圧は任意の有用な値であってよいが、一部の実施形態においては、プラズマ管球内の水蒸気の分圧は0.001barより大きい。一部の実施形態において、プラズマ管球内の水蒸気の分圧は0.01barより大きい。一部の実施形態において、プラズマ管球内の水蒸気の分圧は0.1barより大きい。さらに、大部分の実用的な用途において、上記の実施形態における分圧は10bar未満である。
【0035】
図2に図示される実施形態などの一部の実施形態において、管球内の水濃度は、管球内に配置される水の量を制御することにより変更され得る。このように、水蒸気濃度は、一定の動作温度のために固定される。
【0036】
しかし、さらなる一態様において、管球内の水蒸気濃度は能動的に制御され得る。一実施形態において、凝結水が集まりやすい管球の最低温度点の温度は能動的に制御される。
図6は、本発明の別の実施形態におけるプラズマ管球200を図示する。
図6に図示されるように、プラズマ管球200は、
図2を参照して説明された要素と同様の、同じように番号付けされた要素を備える。しかし、さらにプラズマ管球200は、ある量の凝結水106が集まりやすいプラズマ管球200の領域付近に配置される加熱要素206(例えば、抵抗性ヒーター)を備える。このように、加熱要素206は、ある量の凝結水106を加熱し、ガス混合物102中の水蒸気の分圧を増大させ得る。本明細書において議論されるように、ガス混合物中の水蒸気の分圧の増加は、プラズマ107から放出されるVUV放射の抑止を増大させる。またプラズマ管球200は、ある量の凝結水106の温度を測定するために配置される温度センサ207も備える。温度センサ207は、凝結水の温度の測定に好適な任意の温度センサ(例えば、赤外線センサ、凝結水蒸気のプール付近のプラズマ管球の壁に取り付けられた熱電対など)であってよい。
【0037】
また、
図6に示されるプラズマ管球200の実施形態は、凝結水のプールの温度を示す出力シグナル208を受信および分析して、加熱要素206に伝達される制御シグナル209を決定するために使用される1以上の計算機システム210も備える。制御シグナル209に応答して、加熱要素206は、計算機システム210により生成された制御シグナル209に従って凝結水のプールを加熱する。
【0038】
一部の他の実施形態において、温度センサ207は、プラズマ管球200の他の領域(例えば、プラズマ管球200の中央または反対端)に配置されてよい。一部の実施形態において、いくつかの温度センサが異なる場所で使用されてよく、計算機システム210は、複数の温度シグナルを受信して、これらのセンサのそれぞれの温度の読み取りの集計に基づいて制御シグナルを決定するように構成される。一部の他の実施形態において、温度センサ207に代えて、または温度センサ207に加えて、1以上の圧力センサが使用されてよい。これらの実施形態において、計算機システム210は、1以上の圧力シグナルを受信し、1以上の圧力シグナルに少なくとも部分的に基づいて制御シグナルを決定するように構成される。
【0039】
本開示を通じて説明される様々なステップは、単一の計算機システム210か、あるいは複数の計算機システム210、によって実行されてよいことが認識されるべきである。さらに、レーザー維持プラズマ光源を使用する計測システムの異なるサブシステムは、本明細書に記載のステップの少なくとも一部の実行に好適な計算機システムを備えてよい。従って、本明細書に提示される説明は、本発明を限定するものとして解釈されるべきでなく、単なる例示として解釈されるべきである。さらに、1以上の計算機システム210は、本明細書に記載される方法例のいずれかの任意の他のステップを実行するように構成されてよい。
【0040】
計算機システム210は、有線および/または無線部分を含んでよい伝送媒体によって、システム中のサブシステム(例えば、センサ207、加熱要素206等)からのデータまたは情報を受信および/または取得するように構成されてよい。このように、伝送媒体は、計算機システム210と他のサブシステムとの間のデータリンクとして機能してよい。さらに、計算機システム210は、記憶媒体(すなわち、メモリ)を介してパラメータまたは命令を受信するように構成されてよい。例えば、温度センサ207により生成された温度シグナル208は、永久的または半永久的メモリ装置(例えばキャリア媒体(carrier medium)220)に保存されてよい。この際、シグナルは外部のシステムからインポートされてよい。
【0041】
さらに、計算機システム210は、伝送媒体を介して外部のシステムにデータを送信してよい。伝送媒体は、有線および/または無線部分を含んでよい。このように、伝送媒体は、計算機システム210と他のサブシステムまたは外部のシステムとの間のデータリンクとして機能してよい。例えば、計算機システム210は伝送媒体を介して、外部のシステムまたは他のサブシステムに、計算機システム210によって生成された結果を送信してよい。
【0042】
計算機システム210は、限定されるものではないが、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ(image computer)、並列プロセッサ、または当技術分野において公知の任意の他の装置を備えてよい。一般に、「計算機システム」なる用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1以上のプロセッサを有する任意の装置を包含するように広く定義されてよい。
【0043】
本明細書に記載される方法などの方法を実施するプログラム命令230は、キャリア媒体220を介して伝送されるか、キャリア媒体220に保存されてよい。キャリア媒体は、有線伝送リンク、ケーブル伝送リンク、または無線伝送リンクなどの伝送媒体であってよい。また、キャリア媒体は、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクあるいは光ディスク、または磁気テープなどのコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
【0044】
別の態様において、プラズマ管球内の水蒸気濃度は、プラズマ管球を貫流するガス混合物中の水の濃度を制御することにより能動的に制御され得る。
図7は、本発明の別の実施形態におけるプラズマ管球300を図示する。
図7に図示されるように、プラズマ管球300は、
図2を参照して説明された要素と同様の、同じように番号付けされた要素を備える。しかし、プラズマ管球300は、入り口ポート120と出口ポート121とを備え、稼働中に、ある量の水蒸気を含むガス混合物102がプラズマ管球300を貫流する。ガス混合物102中に混合された水蒸気の量が、所定の時間におけるプラズマ管球300内の水の濃度を決定する。
【0045】
図8は、本発明のプラズマ管球を備える任意のシステムにおいて実施に好適な方法400を図示する。一態様において、方法400のデータ処理ブロックは、プログラム命令230の一部として保存され、および計算機システム210の1以上のプロセッサにより実行される、予めプログラムされたアルゴリズムによって実行されてよいことが認識される。以下の説明は、
図6に示されるプラズマ管球200を背景として提示されるが、プラズマ管球100の特定の構造的態様は限定を意味するものではなく、単なる例示として解釈されるべきであることが本明細書において認識される。
【0046】
ブロック401において、作動ガスおよびある量の水を含むプラズマ管球中でレーザー維持プラズマ発光が誘起される。ブロック402において、ある量のレーザー維持プラズマ発光は、ある量のレーザー維持プラズマ発光がプラズマ管球の壁と相互作用する前にある量の水によって吸収される。ブロック403において、プラズマ管球の壁を透過した、ある量のレーザー維持プラズマ発光が収集される。別のブロック(不図示)において、プラズマ管球内に存在する水蒸気の量は、ある量の凝結水蒸気を含むプラズマ管球の領域においてプラズマ管球の温度を制御することにより、制御される。
【0047】
本発明の別の態様において、プラズマセル200のプラズマ206をポンピングするために使用される照明光源は、1以上のレーザーを含んでよい。一般的な意味において、照明光源は、当技術分野において公知の任意のレーザーシステムを含んでよい。例えば、照明光源は、電磁スペクトルの赤外部分、可視部分、または紫外部分において光線の放射が可能な当技術分野において公知の任意のレーザーシステムを含んでよい。一部の実施形態において、照明光源は、パルス状レーザー光線を放出するように構成されたレーザーシステムを含む。一部の他の実施形態において、照明光源は、連続波(CW)レーザー光線を放出するように構成されたレーザーシステムを含んでよい。例えば、ある体積のガスがアルゴンであるか、またはアルゴンを含むセッティングにおいて、照明光源は、1069nmの光線を放射するように構成されたCWレーザー(例えば、ファイバーレーザーまたはディスクYbレーザー)を含んでよい。この波長は、アルゴンの1068nmの吸収線に適合し、故に、ガスのポンピングに特に有用であることが留意される。上記のCWレーザーの記載は限定するものではなく、当技術分野において公知の任意のCWレーザーが本発明の構成において実施されてよいことが本明細書において留意される。
【0048】
別の実施形態において、照明光源は、1以上のダイオードレーザーを含んでよい。例えば、照明光源は、プラズマセルのガス種の任意の1以上の吸収線に一致する波長の光線を放射する1以上のダイオードレーザーを含んでよい。一般的な意味において、ダイオードレーザーの波長が当技術分野において公知の任意のプラズマの任意の吸収線(例えば、イオン化転移線(ionic transition line))またはプラズマ生成ガスの吸収線(例えば、高励起中性転移線(highly excited neutral transition line))に一致するように、照明光源のダイオードレーザーが、実施のために選択されてよい。故に、所定のダイオードレーザー(またはダイオードレーザーのセット)の選択は、本発明のプラズマセル中で利用されるガスの種類に依存するであろう。
【0049】
一部の実施形態において、照明光源は、1以上の周波数変換レーザーシステムを含んでよい。例えば、照明光源は、Nd:YAGレーザーまたはNd:YLFレーザーを含んでよい。他の実施形態において、照明光源は、広帯域レーザーを含んでよい。他の実施形態において、照明光源は、変調レーザー光線またはパルスレーザー光線を放出するように構成されたレーザーシステムを含んでよい。
【0050】
本発明の別の態様において、照明光源は、2以上の光源を含んでよい。一実施形態において、照明光源は、2以上のレーザーを含んでよい。例えば、照明光源(または複数の照明光源)は、複数のダイオードレーザーを含んでよい。別の例としては、照明光源は、複数のCWレーザーを含んでよい。さらなる実施形態において、2以上のレーザーの各々が、プラズマセル内のガスまたはプラズマの、異なった吸収線に一致したレーザー光線を放出してよい。
【0051】
標品の処理のために使用されてよい半導体処理システム(例えば、検査システムまたはリソグラフィシステム)について、様々な実施形態が本明細書に記載される。「標品」なる用語は本明細書において、ウェハ、レチクル、または当技術分野において公知の方法によって処理(例えば、印刷または欠陥検査)されてよい任意の他のサンプルを指すために使用される。
【0052】
本明細書において使用される場合、「ウェハ」なる用語は一般に、半導体材料または非半導体材料から形成された基板を指す。例としては、限定されるものではないが、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびリン化インジウムが含まれる。このような基板は、半導体製造施設において一般に見出され、および/または処理されることがある。一部の場合において、ウェハは、基板のみを備えてよい(すなわち、ベアウェハ(bare wafer))。あるいは、ウェハは、基板上に形成された、材料の異なる1以上の層を備えてよい。ウェハ上に形成された1以上の層は、「パターン化」または「非パターン化」されてよい。例えば、ウェハは、反復可能なパターン特性を有する複数のダイスを備えてよい。
【0053】
「レチクル」はレチクル製造プロセスの任意の段階のレチクル、または、半導体製造施設における使用のためにリリースされる可能性のある、またはリリースされない可能性のある、完成したレチクルであってよい。レチクル、または「マスク」は、その上に形成される、パターンに構成された実質的に不透明な領域を有する実質的に透明な基板として一般に定義される。基板は、例えば、石英などのガラス材料を含んでよい。レチクル上のパターンがレジストに転写されてよいように、リソグラフィプロセスの露光工程中にレジストカバーウェハ(resist−covered wafer)の上にレチクルが配置されてよい。
【0054】
ウェハ上に形成された1以上の層は、パターン化または非パターン化されてよい。例えば、ウェハは、それぞれが反復可能なパターン特性を有する複数のダイスを備えてよい。このような材料層の形成および処理は、最終的に、完成した素子という結果になってよい。多くの異なったタイプの素子がウェハ上に形成されてよく、本明細書において使用される場合、用語ウェハは、当技術分野において公知の任意のタイプの素子が製作されているウェハを包含することを意図している。
【0055】
1以上の例示的な実施形態において、記載される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実施されてよい。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1以上の命令またはコードとして保存されるか、または伝送されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、1つの場所から別の場所へのコンピュータプログラムの伝送を促進する任意の媒体を含む通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、汎用コンピュータまたは専用コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってよい。限定ではなく例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは、命令またはデータ構造の形態で所望のプログラムコード手段を運ぶため、または保存するために使用可能な、かつ汎用コンピュータまたは専用コンピュータ、あるいは、汎用プロセッサまたは専用プロセッサによってアクセス可能な任意の他の媒体を含み得る。また、任意の接続が適宜、コンピュータ可読媒体と呼ばれる。例えば、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、ラジオ、およびマイクロ波などの無線技術を用いてウェブサイト、サーバ、またはその他の遠隔ソースからソフトウェアが伝送される場合には、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、ラジオ、およびマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。ディスクはレーザーで光学的にデータを再生するが、本明細書において使用される場合、ディスクおよびディスクは、ディスクが通常、データを磁気的に再生する、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクを含む。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含められるべきである。
【0056】
ある特定の実施形態が、説明を目的として上記に記載されるが、本特許文献の教示は、広汎な適用可能性を有し、上記の特定の実施形態に限定されるものではない。従って、様々な修飾、適応、および説明される実施形態の様々な特性の組み合わせが、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく実施可能である。