特許第6131482号(P6131482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6131482
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】味噌様発酵食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/20 20160101AFI20170515BHJP
   A23L 27/24 20160101ALI20170515BHJP
【FI】
   A23L11/20 102
   A23L11/20 103
   A23L27/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-9558(P2013-9558)
(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公開番号】特開2014-140316(P2014-140316A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】日本製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】小坂 学
【審査官】 田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−033570(JP,A)
【文献】 特開2004−008026(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/030779(WO,A1)
【文献】 特開昭59−039260(JP,A)
【文献】 特開2012−254024(JP,A)
【文献】 トマトピューレー,丸善食品総合辞典,日本,1998年 3月25日,766
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/20
A23L 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸煮大豆、麹、食塩に、水分量60〜75質量%の濃縮トマトを蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5〜105重量部の割合で添加し、熟成発酵させることを特徴とする味噌様発酵調味料の製造方法。
【請求項2】
さらに粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまを添加し、熟成発酵させることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまがさらに1mm以下の開口篩で篩抜けたものである、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
小麦ふすまを、蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して1〜10重量部の割合で添加する、請求項2又は3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は味噌様発酵食品およびその製造方法に関するものである。詳細には、脱水濃縮した濃縮トマトを含有する味噌様発酵食品およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
味噌は、穀物を発酵させて作られた発酵食品であり、伝統食品として広く知られた調味料である。味噌は一般に米味噌、麦味噌及び豆味噌からなる味噌と、それ以外の調合味噌とに大きく分類される。米味噌、麦味噌及び豆味噌は、それぞれ米、大麦又は裸麦等の大麦、及び大豆を原料として、米麹、麦麹及び豆麹を製造し、これらの麹に、蒸し大豆又は煮大豆、食塩、水等を添加し、熟成させることによって製造される。これらの味噌の内、米味噌は、一般的な味噌であり、市販されている味噌の約80%を占めている。一方、調合味噌は、上記以外の原料から製造された味噌や、上記味噌を配合して製造された味噌である。
【0003】
一部の地域では味噌材料として一般的ではない小麦ふすまから製造した麹を使用した味噌の製法が伝わっている。また、より安価な材料として小麦粉を使用した麹より味噌を作る製法(特許文献1)や、米粉、米糠、そば粉、コーンスターチなど味噌の麹原料としては未使用であった材料を加工して麹を作り、味噌を製造する製法(特許文献2)が提案されている。
【0004】
近年、健康志向の高まりや嗜好の多様化を反映し、伝統的な発酵食品である納豆や醤油に野菜や果物の果汁やペーストを加えて発酵する新たな食品の製法が提案されている(特許文献3及び4)。
味噌はアジア地域で広く製造されており、大豆発酵調味料としてアミノ酸が豊富な食品である。また、トマトはリコピンなど健康に良い成分を含み、アミノ酸であるグルタミン酸が豊富であり、イタリア料理など、地中海地域で大量に使用されてきた。
【0005】
一部の地域で小麦ふすまより作った麹を使用した味噌が存在し、そのような味噌はミネラルが多く、食物繊維が豊富で風味も良いので、再現が試みられているが、繊維質が大きく、口の中に残ってしまうため、食感を害し、普及を妨げていた。前述の通り、小麦ふすまの替わりに小麦粉を使用する方法も提案されているが(特許文献1)、小麦粉中には食物繊維が少なく、ミネラルも少ないため、健康への期待する効果が少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−292561
【特許文献2】特開平8−256721
【特許文献3】特開2008−206453
【特許文献4】特開2004−97178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、これまでにないイタリア料理にあう、トマトと大豆を合わせた味噌様発酵調味料を開発し、さらにミネラルが多く、食物繊維が豊富な小麦ふすまを食べやすいように加工した原料を加え、健康に良い味噌様発酵調味料を製造する方法を提供することである。イタリア料理のソース材料や和食、スープとして食することができる。
味噌様発酵調味料にトマトを使用する場合、すりつぶしたトマトをそのまま加えると水分が多く発酵がうまく行われないため配合量を増やすことが難しかった。配合量が少ないとトマトのうまみが弱く特徴ある味噌様発酵調味料が得られないという問題点があった。
【0008】
また、濃縮トマトを加えると味噌様発酵調味料の粘度が下がるが、ふすま加工品を加えることで、適度な硬さを維持することができた。
【0009】
そこで本発明者等は上記課題を解決する為鋭意研究を重ねた結果、所定の水分量の濃縮トマトを所定の割合で添加することで、良好な熟成発酵を維持しつつトマトの風味豊かな特徴ある味噌様発酵調味料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまを添加することで、濃縮トマトを使用することによる味噌様発酵調味料の粘度の低下を改善し、ミネラルや食物繊維が豊富で風味が良い味噌様調味料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は
(1)蒸煮大豆、麹、食塩に、水分量60〜75質量%の濃縮トマトを蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5〜105重量部の割合で添加し、熟成発酵させることを特徴とする味噌様発酵調味料の製造方法、
(2)さらに粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまを添加し、熟成発酵させることを特徴とする前記(1)に記載の製造方法、
(3)粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまをさらに1mm以下の開口篩で篩抜けたものを添加する、前記(2)に記載の製造方法、および
(4)小麦ふすまが、蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して1〜10重量部の割合で添加する、前記(2)又は(3)いずれかに記載の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の条件で濃縮トマトを使用することで、イタリア料理にも和食にも合うトマトの風味豊かな新規な味噌様発酵調味料を得ることができる。また、粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまを添加することで、濃縮トマトを使用することによる味噌様発酵調味料の粘度の低下を改善し、ミネラルや食物繊維が豊富で風味が良い新規な味噌様調味料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法は、蒸煮大豆、麹、食塩等の一般的な味噌原料に水分量60〜75質量%の濃縮トマトを蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5〜105重量部添加して熟成発酵させることに特徴がある。本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法はさらに粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまを添加して熟成発酵させることに特徴がある。
【0013】
(製造方法)
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法は、本願発明の所定の水分量及び所定の添加量の濃縮トマトを使用する以外は、常法の味噌の製造方法を用いることができる。例えば蒸煮大豆、麹、食塩、種水を混合して発酵容器に詰め25℃前後で数ヶ月間、熟成発酵させる。
【0014】
(大豆)
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、使用する大豆としては通常味噌原料として用いられるものであれば特に限定されず、品種や産地など限定無く広く使用することができる。また同一の品種を原料とする場合であっても異なる品種を原料とするものが配合された場合であっても、いずれも使用することができる。原料大豆は洗浄し、水に浸漬させ、蒸煮したものを使用する。
【0015】
(麹)
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、使用する麹としては通常味噌原料として用いられるものであれば特に限定されない。例えば精米して蒸した米に種麹を植え付け製麹した米麹や大麦を精麦して蒸したものに、種麹を植え付け、製麹した麦麹を使用することができる。
【0016】
(食塩)
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、使用する食塩としては通常味噌原料として用いられるものであれば特に限定されない。
【0017】
(濃縮トマト)
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、使用する濃縮トマトは生又は加熱したトマトを破砕して搾汁し、又は裏ごしし、皮、種子等を除去した後濃縮したものをいう。濃縮トマトの原料トマトに特に制限はなく、品種や産地の限定無く広く使用することができる。また同一の品種を原料とする場合であっても異なる品種を原料とするものが配合された場合であっても、いずれも使用することができる。
濃縮トマトの濃縮方法は特に限定されず、蒸発濃縮法、凍結乾燥濃縮法、逆浸透濃縮法が挙げることができる。
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、濃縮トマトの水分量は60〜75質量%であり、好ましくは63〜71質量%である。濃縮トマトの水分量が75質量%より多いと、発酵不良となる為不適である。
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、濃縮トマトの添加量は蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5〜105重量部であり、好ましくは蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して10〜100重量部である。濃縮トマトの添加量が蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5質量部未満であるとトマトを添加する効果が得られない為不適である。
【0018】
(小麦ふすま)
本願明細書において小麦ふすまとは小麦粒の表皮部分であり、小麦粉を製粉する際に、小麦粉と胚芽を分離した残余として得ることができる。本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、使用する小麦ふすまとしては加熱粉砕又は粉砕加熱により加工されているものであれば特に限定されない。
加熱粉砕又は粉砕加熱の方法は特に限定されず、加熱工程及び粉砕工程の回数やその前後を問わない。
加熱工程は常圧下又は加圧下のいずれで行っても良く、例えばオーブンなどの加熱装置、蒸し器、オートクレーブなどの加圧蒸気処理装置、二軸エクストルーダーなどの攪拌式の蒸練器等によって行うことができる。加熱条件は、加熱処理のある条件であれば特に制限されない。加熱温度は100〜200℃が好ましく、110〜150℃がより好ましい。加熱時間は加熱温度や方法に依存して変化するが、2時間以内が好ましく、より好ましくは1時間以内である。例えば、オーブンで110〜150℃、10〜30分間加熱乾燥する。
粉砕工程は公知のいかなる方法で行ってもよく、ブレンダーミキサー等の通常の粉砕機を用いて粉砕することができる。また小麦ふすまに水を加え、挽臼式粉砕機を用いて粉砕することにより挽臼式粉砕機の使用により生じた摩擦熱により加熱と粉砕を同時に行うこともできる。
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、食感への影響を低減する観点から粉砕加熱又は加熱粉砕した小麦ふすまをさらに1mm以下の開口篩で篩抜けたものを添加することが好ましく、0.5mm以下の開口篩で篩抜けたものを添加することがさらに好ましい。
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法において、小麦ふすまは蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して1〜10重量部の割合で添加することが好ましく、蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して1〜5重量部の割合で添加することがさらに好ましい。小麦ふすまの添加量が蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して1重量部未満であると添加の効果が得られず、10重量部を超えると口の中に皮が残るなど食感への影響の程度が許容できず不適である。
【0019】
(副原料)
本願発明の味噌様発酵調味料の製造方法においては、さらに種味噌;だしなどの調味料;酒精など通常味噌製造に用いる副原料を使用することができる。
【実施例】
【0020】
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[原材料]
実施例及び比較例において原材料として以下のものを使用した。
(蒸煮大豆)
乾燥した大豆1kg(水分14.3%)を水洗後、16時間、水に浸漬させた後、圧力鍋で20分間煮熱した。煮熟後、水切した後の質量は2.2kgであった。
プレート網目4.8mmのミートチョッパーですり潰したものを蒸煮大豆とした。
【0021】
(米麹、麦麹)
米麹:精米した蒸米に種麹を植え付け、製麹したものを使用した(水分25%)。
麦麹:オオムギを精麦し、蒸し後、冷却し、種麹を植え付け、製麹したものを使用した(水分25%)。
(食塩)
市販の並塩を使用した。
(種味噌)
発酵熟成を安定化させるために、アルコール添加や加熱殺菌していない新鮮な天然醸造の味噌(水分46%)を総量の約1%程度添加した。
【0022】
(濃縮トマト)
トマトをすりつぶし、ろ過したものを、水分を63〜71%まで濃縮し、加熱殺菌後、包装したトマトペーストを使用した。実施例で使用した水分64%の濃縮トマトは、Bx37、pH4.2であった。また水分70%の濃縮トマトは、Bx30、pH4.3であった。
なお、比較例で使用した非濃縮トマトは水分93%、pH4.2であった。
【0023】
(ふすま加工品1)
天板に厚さ1mm程度に小麦ふすま(日本製粉(株)製造の精良ふすま)を拡げ、140℃のオーブンで30分焼成し冷却後にブレンダーミキサーで粉砕して加熱粉砕品を得た。得られた加熱粉砕品を1.00mmの開口篩で篩抜けたものをふすま加工品1とした。
【0024】
(ふすま加工品2)
小麦ふすま(日本製粉(株)製造の精良ふすま)100部に対し水30部を加え、挽臼式粉砕機において回転数1500rpm で、1分間に1.5kgの処理量で処理し、繊維状物を得た。得られた繊維状物をベルト式乾燥機にて、110℃で約15分間加熱乾燥し、乾燥品を得た。これをさらに、10メッシュ篩をもつ振動篩を通すことによって顆粒状の加工品を得た。この顆粒状の加工品を通常の粉砕機で粉砕して得られた粉末状の加工品を、0.50mmの開口篩で篩抜けたものをふすま加工品2とした。
【0025】
(ふすま加工品3)
小麦ふすま(日本製粉(株)製造の精良ふすま)4kgを、クエン酸9.2gを含む酸溶液4リットルを用いて加湿し、室温で5時間放置した後、熱風乾燥器において90℃で24時間乾燥し、乾燥品を得た。得られた乾燥品を二軸エクストルーダーを用いて、バレル温度130℃、圧力6kg/cm2 で、乾燥品に対して1重量%のクエン酸及び10重量%のブドウ糖を添加して加圧・加熱処理した。得られた加圧・加熱処理品を通常の粉砕機で粉砕して得られた粉末状の加工品を、1.00mmの開口篩で篩抜けたものをふすま加工品3とした
【0026】
[味噌用食品の製造]
(実施例1〜5)
表2に記載した配合で蒸煮大豆、麹、塩を予備混合したものに、種味噌、濃縮トマト、水を加え混合した。これを消毒したプラスチック容器に詰め込み、表面をラップで被い、蓋をして25℃前後で3ヶ月、熟成発酵した。
(実施例6〜9)
表2に記載した配合で蒸煮大豆、麹、塩、ふすま加工品を予備混合したものに、種味噌、濃縮トマト、水を加え混合した。これを消毒したプラスチック容器に詰め込み、表面をラップで被い、蓋をして25℃前後で3ヶ月、熟成発酵した。
(比較例1:トマトを含まない通常の味噌)
表3に記載した配合で蒸煮大豆、麹、塩を予備混合したものに、種味噌、水を加え混合した。これを消毒したプラスチック容器に詰め込み、表面をラップで被い、蓋をして25℃前後で3ヶ月、熟成発酵した。
(比較例2〜4)
表3に記載した配合で蒸煮大豆、麹、塩を予備混合したものに、種味噌、トマト又は濃縮トマト、水を加え混合した。これを消毒したプラスチック容器に詰め込み、表面をラップで被い、蓋をして25℃前後で3ヶ月、熟成発酵した。
【0027】
[官能試験]
得られた各味噌用食品について、官能試験を行った。
具体的には、前記製造試験で得られた各味噌用食品108gを、鍋にて加熱しただし汁1200ccに加えて味噌汁を作成し、表1に示す評価基準により、外観、粘度、風味、舌触りについてそれぞれトマトを含まない通常の味噌(比較例1、評点:外観2点、粘度5点、風味2点、舌触り5点)を対照として、10名の熟練のパネラーで評価し平均点を求めた。
得られた結果を下記表2及び表3に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
水分量60〜75質量%の濃縮トマトを蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5〜105重量部の割合で添加した実施例1〜5では、外観、風味及び舌触りにおいて、トマトを添加しない比較例1と比較して一般的な味噌臭さが弱まり、改善効果を得られた。特に外観及び風味が大きく改善された。発酵によりトマトの臭みがなくなり、洋風料理に適した発酵調味料になった。
濃縮トマトを添加した実施例1〜5では、比較例1と比べて粘度の評点が下がったが、比較例2〜4と比べて粘度及び風味が大きく改善された。
比較例1は一般的な味噌であり、特筆するべき特徴はなかった。これに対し、非濃縮トマトを使用した比較例2、3は発酵風味が乏しく、比較例3は水分が多く、粘性がなく不適であり、また濃縮トマトの添加量が蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して105重量部を超える比較例4はトマトの臭みが強すぎて不適であった。
その点、濃縮トマトにさらに加工ふすまを添加した実施例6〜9では実施例1〜5と比較して粘度の評点が改善された。
しかしながら加工ふすまを添加することにより舌触りの評点が下がり、特に蒸煮大豆(乾燥質量)100重量部に対して5重量部を超える加工ふすまを添加した実施例9では、口の中に皮が残り異物感があると評価するものが出た。