(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記封止樹脂切削工程において、前記凸部の一部を切削することで、前記凸部の上面に粗面部を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法。
前記封止樹脂切削工程において、前記凸部が形成された部位に粗面部を形成するように前記凸部を切削することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置の製造方法。
前記封止樹脂切削工程において、前記集合体上の前記封止樹脂の全部を一括して切削することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る発光装置の製造方法および発光装置の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。
【0012】
≪発光装置≫
まず、本発明の発光装置について説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図2(a)〜(c)に示すように、発光装置100は、ここでは、凹部50を有するパッケージ1と、凹部50の底面に露出するようにパッケージ1の底部に設けられた導電部材2a,2bと、導電部材2a上に設けられた発光素子10と、パッケージ1の凹部50内に充填された封止樹脂20と、を主に備える。そして、発光装置100は、凹部50の周面に凸部3を有し、凸部3の上面に粗面部4aを有している。
発光装置100は、1つの発光装置100を個別に作製してもよいし、
図1に示すような、複数のパッケージ1が連続した集合体80を個片化して作製してもよい。なお、本発明の構成を分かりやすく示すために、
図2では、封止樹脂20を透過した状態で図示している。
以下、各構成について説明する。
【0014】
[パッケージ]
パッケージ1は、発光素子10等の電子部品を収容して保護するものである。
図2(c)に示すように、パッケージ1は、底面を構成する基材30aおよび導電部材2a,2bと、側面を構成する側部材30bとからなり、この基材30aおよび導電部材2a,2bと側部材30bとにより、上面を開口部とする凹部50を形成している。そしてここでは、導電部材2a,2b上に側部材30bが設けられた構成となっている。
【0015】
パッケージ1の材料としては、絶縁性部材が好ましく、発光素子10から放出される光や外光等が透過しにくい部材が好ましい。また、ある程度の強度を有するものが好ましい。より具体的には、セラミックス(Al
2O
3、AlN等)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン(bismaleimide triazine resin)、ポリフタルアミド(PPA)等の樹脂が挙げられる。特に、耐光性の高いエポキシ樹脂やシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
なお、パッケージ1の材料に樹脂を用いる場合は、ガラス繊維や、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3等の無機フィラーを樹脂に混合し、機械的強度の向上、熱膨張率の低減、光反射率の向上等を図ることもできる。
【0016】
[導電部材]
導電部材2a,2bは、外部と、発光素子10等の電子部品とを電気的に接続し、これら電子部品に、外部からの電流(電力)を供給するための部材である。すなわち、外部から通電させるための外部電極またはその一部としての役割を担うものである。
【0017】
また、ここでは、導電部材2a,2bが、それぞれ、正の電極と、負の電極であり、これらの電極がパッケージ1の底面に離間して設けられている。すなわち、導電部材2a,2bは、正の電極(アノード)としての導電部材2aと、負の電極(カソード)としての導電部材2bとに、パッケージ1の底面に水平に(横方向に)分別されて設けられている。そして、この導電部材2a上に、発光素子10が実装されている。
【0018】
導電部材2a,2bの材料は、パッケージ1として用いられる材料や、発光装置100の製造方法等によって適宜選択することができる。例えば、パッケージ1の材料としてセラミックを用いる場合は、導電部材2a,2bの材料は、セラミックスシートの焼成温度にも耐え得る高融点を有する材料が好ましく、例えば、タングステン、モリブデンのような高融点の金属を用いるのが好ましい。
【0019】
また、パッケージ1の材料としてガラスエポキシ樹脂等を用いる場合は、導電部材2a,2bの材料は、加工し易い材料が好ましく、また、パッケージ1の材料として射出成型されたエポキシ樹脂を用いる場合は、導電部材2a,2bの材料は、打ち抜き加工、エッチング加工、屈曲加工等の加工がし易く、かつ、比較的大きい機械的強度を有する部材が好ましい。具体例としては、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属、または、鉄−ニッケル合金、りん青銅、鉄入り銅、モリブデン等が挙げられる。
【0020】
導電部材2a,2bは、放熱経路としての機能も有している。放熱性を高めるためには、広い面積で設けられることが好ましく、例えば、パッケージ1の短手方向に対して(例えば、
図2(a)で凸部3が形成されている方向)広い幅で設けられることが好ましい。
【0021】
基材30aおよび/または導電部材2a,2bの表面には、導電部材2a,2bを保護するレジストが設けられていても良い。レジストは、光反射率を高める反射膜であることが好ましい。このような材料としては、酸化チタンを含有するシリコーン樹脂等の白色の絶縁性の材料を用いることができる。
【0022】
図2(a)〜(c)に示すように、発光装置100は、パッケージの凹部50の周面に凸部3を有する。すなわち、凹部50を形成する外枠である側部材30bの上面に凸部3を有する。
ここでは、パッケージ1は、凹部50の周面を平面視したときに縦横の比率を異ならせて形成し、凸部3は、パッケージ1の短い周面側に設けられている。すなわち、パッケージ1は長手方向(長い周面側)と短手方向(短い周面側)を有し、凸部3がパッケージ1の短手方向に設けられている。凸部3は、パッケージ1は長手方向と短手方向の両方、あるいは、長手方向のみに設けられていてもよいが、
図2(a)に示すように、パッケージ1の短手方向に設けられていることが好ましい。凸部3がパッケージ1の短手方向に設けられていることで、後記する凸部3による効果がより発揮されやすくなる。
【0023】
凸部3の形状は、特に限定されるものではない。ここでは、パッケージ1の長手方向において、発光装置100の内側(凹部50側)から外側に向けて凸部3がゆるやかに高くなり、発光装置100の内側(凹部50側)から外側に向けて凸部3が傾斜する形状となっている。これは、後記するように、伸縮性を有する離型シートの伸びを利用した方法により集合体80の凹部50の周面に凸部が形成され(
図5(b)参照)、
図5(b)の破線部の位置で切断して個片化するためである。よって、粗面部4aを形成する前の凸部3の形状は、
図5(b)の破線部の位置で切断した片方の形状となる。
【0024】
そして、凸部3の上面には粗面部4aを有する。
凸部3の上面とは、凸部3の表面のうちの凸部3の上方に位置する面であり、例えば、後記する発光装置の製造方法での粗面部4aの形成の際に、刃物で削られる部位の面である。ただし、この面は厳密に規定されるものではない。なお、本第1実施形態においては、凸部3の側面(パッケージ1の側面と平行な部分)には粗面部4aは形成していない。
また、凸部3の粗面部4aとは、封止樹脂20の切削の際に凸部3の一部が削られることで生じた所定の表面粗さRaを有する粗面な部位である。
発光装置100が粗面部4aを有することで、発光装置100同士のくっつきがより防止される。凸部3の上面における粗面部4aの範囲は特に規定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲であればよい。
【0025】
凸部3の高さ(最大高さ)は、3〜7μmであることが好ましい。凸部3の高さを3μm以上とすることで、発光装置100同士のくっつきの防止効果がより向上する。また、粗面部4aの形成を容易にする観点から、凸部3の高さは7μm以下とすることが好ましい。ここでの凸部3の高さとは、粗面部4aを形成した状態の最大高さをいうものとする。
粗面部4aの表面性状(例えば表面粗さRa)や凸部3の切削量は、後記する封止樹脂切削工程で凸部3の一部を削る際の速度、刃物の圧力や角度等を適宜調整することにより制御する。
凸部3および粗面部4aの形成方法については、後記する発光装置の製造方法で説明する。
【0026】
ここで、発光装置100は、凸部3の形状に関して、ここでは粗面部4aを有する形状を取り上げて説明したが、粗面部4aを有さない形状のものであってもよい(
図5(b)参照)。また、凸部3の全てを切削し、凸部3が形成された部位に粗面部4bを有する形態であってもよい(第2実施形態についての
図4(c)、(f)参照)。
【0027】
[発光素子]
発光素子10は、その上面(発光面)に電極を有するフェースアップ素子(FU素子)であり、導電部材2aと接続されてパッケージ1に実装されている。また、発光素子10上面に接続された一方のワイヤWが導電部材2aに接続され、他方のワイヤWが導電部材2bに接続されて、発光素子10と導電部材2a,2bとが電気的に接続されている。なお、発光面とは、パッケージ1に実装したときに、基材30aおよび導電部材2a,2bと対向する側の面と反対側で、発光装置の光取り出し方向側の面である。
【0028】
発光素子10としては、n層とp層と発光を行う発光領域を備える半導体層を有する発光ダイオードを用いるのが好ましく、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430nm〜490nmの光)、緑色(波長490nm〜570nmの光)の発光素子10としては、ZnSe、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いることができる。また、赤色(波長620nm〜750nmの光)の発光素子10としては、GaAlAs、AlInGaP等を用いることができる。なお、蛍光物質を用いた発光装置100とする場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長の発光が可能な窒化物半導体(In
XAl
YGa
1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)が好適に用いられる。そして、活性層の材料やその混晶を調整することによって、発光波長を種々選択することができる。さらに、これら以外の材料からなる発光素子10を用いることもできる。なお、用いる発光素子10の成分組成や発光色、大きさ、個数等は、目的に応じて適宜選択することができる。
発光素子10は、サファイア等の透光性の基板を有することが好ましい。
また、可視光領域の光だけでなく、紫外線や赤外線を出力する発光素子10とすることもできる。
【0029】
[封止樹脂]
封止樹脂20は、パッケージ1に実装された発光素子10を、塵芥、水分、外力等から保護するためや、発光素子10の光取り出し効率向上や波長変換等の光学特性向上のため等の目的で設けられる部材である。
図2(a)、(c)に示すように、封止樹脂20はパッケージ1の凹部50内に充填され、発光素子10は、封止樹脂20により被覆されている。ここでは、発光素子10全体が封止樹脂20に埋没するように設けられている。
【0030】
封止樹脂20は、パッケージ1と同じ高さにまで設けられていることが好ましい。すなわち、封止樹脂20の上面と、パッケージ1の上面が面一となっていることが好ましい。
ここで、「封止樹脂20の上面」とは、封止樹脂20における、発光素子10からの光が取り出される側の上方の面、すなわち、凹部50から上方に露出した最上面をいう。また、「パッケージ1の上面」とは、凹部50を形成する外枠の上面、すなわち、側部材30bの上面をいう。
このような構成とすることで、封止樹脂20の上面を樹脂のヒケ等のない平坦な状態にすることができるため、発光素子10からの光取り出し効率が向上する。また、封止樹脂20がパッケージ1の上面から露出しないため、タック性のある封止樹脂20の影響が少なく、くっつき防止効果を高くすることができる。
【0031】
封止樹脂20の材質は、発光素子10からの光を透過可能な透光性を有するものが好ましい。具体的な材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂や、それらの変性タイプ、さらにはユリア樹脂等を挙げることができる。特にシリコーン樹脂はタック性が高いため、本発明のくっつき防止の効果を有効に得られる。これらの有機材料の他、酸化物等の無機材料でも良い。このような材料に加え、所望に応じて、光取り出し効率や波長を変換するための蛍光体、着色剤、光拡散剤、フィラー等を含有させることもできる。なお、封止樹脂20は単一の層(部材)で形成することもできるし、あるいは、2層以上の複数の層として形成することもできる。また、封止樹脂20の塗布量(充填量)は、パッケージ1に実装される発光素子10が被覆される量であればよい。
【0032】
また、封止樹脂20の表面(上面)には、幅および深さが1μm程度の複数の溝が、封止樹脂切削工程で封止樹脂20を切削する際の刃物の進行方向に延びるように形成されている。封止樹脂20が溝を有することで、表面積が増大し、放熱性が向上する。
溝は、封止樹脂切削工程で封止樹脂20を切削することで、封止樹脂20の表面に形成される。
【0033】
以上説明した本発明の発光装置100によれば、発光装置100を駆動したときに、発光素子10からあらゆる方向に進む光のうち、上方へ進む光は、発光装置100の上方の外部に取り出される。また、下方や横方向等に進む光は、基材30aおよび側部材30bの表面、導電部材2a,2b、あるいはレジストで反射・散乱して、発光装置100の上方の外部に取り出されることになる。また、発光装置100同士のくっつきが防止される。
【0034】
<第2実施形態>
図3(a)〜(c)に示すように、発光装置100Aは、ここでは、凹部50を有するパッケージ1と、凹部50の底面に露出するようにパッケージ1の底部に設けられた導電部材2a,2bと、導電部材2a上に設けられた発光素子10と、パッケージ1の凹部50内に充填された封止樹脂20と、を主に備える。そして、発光装置100Aは、凹部50の周面に凸部3を有し、凸部3の上面に粗面部4aを有している。
【0035】
第2実施形態における発光装置100Aは、粗面部4aを形成する前の凸部3の形状を、断面視でゆるい山なり(
図3(b)、(c)参照)としたものである。そして、この凸部3に粗面部4aを形成したものである。
ここで、
図4(a)〜(f)に示すように、発光装置100Aの凸部3の形状は、粗面部4aを有する形状(
図4(b)、(e)参照)の他、粗面部4aを有さない形状のものであってもよい(
図3(a)、(d)参照)。また、凸部3の全てを切削し、凸部3が形成された部位に粗面部4bを有する形態であってもよい(
図4(c)、(f)参照)。
その他の構成については、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0036】
≪発光装置の製造方法≫
次に、本発明に係る発光装置の製造方法について、
図1〜7を参照しながら説明する。
【0037】
本発明に係る発光装置100(100A)の製造方法は、パッケージ用意工程と、封止樹脂形成工程と、封止樹脂切削工程と、を含む。また、ここでは、パッケージ用意工程の後、かつ封止樹脂形成工程の前に、ダイボンディング工程と、ワイヤボンディング工程と、を含む。また、ここでは、封止樹脂切削工程の後に、個片化工程を含む。
以下、各工程について説明する。なお、発光装置の各部材の詳細については、前記した発光装置で説明したとおりであるので、ここでは、適宜説明を省略する。
【0038】
<パッケージ用意工程>
パッケージ用意工程は、発光素子10を収容する凹部を有するパッケージ1を用意する工程である。
ここで、パッケージ用意工程では、1つのパッケージ1を個別に用意してもよいし、
図1に示すような、複数のパッケージ1が連続した集合体80を用意してもよい。
図1に示すように、集合体80は、縦横各々、所定の間隔および所定の行列数からなるマトリックス状に設けられている。
ここでは、パッケージ1あるいは集合体80は発光装置100(100A)の基材30aおよび導電部材2a,2bと、発光装置100(100A)の側部材30bとからなる。すなわち、ここでのパッケージ用意工程は、導電部材2a,2bも同時に形成する工程である。
【0039】
パッケージ1あるいは集合体80の作成は従来公知の方法で行えばよい。例えば、以下のようにして複数のパッケージ1が連続した集合体80を作成することができる。
まず、導電部材2aの一方の端と導電部材2bの一方の端とが一体となって連続した状態の導電部材2a,2b(
図5(a)参照)が複数形成された板状のリードフレーム5を形成する。
導電部材2a,2bの形成は、従来公知の方法で行えばよく、例えば、プレスによる形成や、板状の金属をエッチングして形成することもでき、その他、めっき、蒸着、基材への貼り付け等によって形成することができる。基材への貼り付けの場合は、基材と導電部材2a,2bとは、樹脂等の接着剤で接着させることができる。導電部材2a,2bは、導電部材2a,2bの材料を基材の一面に形成した後に、エッチング等で形を成形してもよい。この場合、導電部材2a,2b上にレジストを設けることができる。レジストの形成は、印刷法を好適に用いることができる。
その後、
図5(a)、(b)に示すように、成形金型40と離型シート60を用いたトランスファーモールドにより、光反射性のエポキシ樹脂のパッケージ1および凹部50を形成する(
図2参照)。
【0040】
具体的には、
図5(a)に示すように、まず、板状のリードフレーム5を下金型40bに載置する。次に、上金型40aを下方に下げ、リードフレーム5と上金型40aとの間隙S1をなくし、これらを密着させる。次に、成形金型40の間隙S2およびリードフレーム5とリードフレーム5の間の間隙S3に光反射性のエポキシ樹脂を注入する。この際、上金型40aと間隙S2に注入した樹脂が密着しないように、上金型40aに離型シート60を設け、上金型40aと樹脂6との間に離型シート60を挟む(
図5(b)参照)。そして、成形金型40によりトランスファーモールドすることで、複数のパッケージ1が連続した集合体80および凹部50を形成する。そして、後記する個片化工程において、集合体80を、
図5(a)、(b)の破線部の位置で切断して個片化することで、1つのパッケージ1となる。この際、導電部材2a,2bの連続部分が切断されるが、板状のリードフレーム5のその他の接続部分も切断する。
【0041】
パッケージ1あるいは集合体80の作成は、前記の方法に限るものではない。例えば、基材上に導電部材2a,2bを貼り付け、側部材とするための上部基板を基材上の導電部材2a,2bに接合した後、上部基板をプレスすることで凹部を形成することができる。上部基板と導電部材2a,2bとの接合は、例えば樹脂や半田ペースト等の接合部材により行うことができる。
【0042】
ここで、パッケージ用意工程において、パッケージ1は、凹部50の周面に凸部3が形成されている。
凸部3の形成は、伸縮性を有する離型シートの伸びを利用した方法を用いることができる。具体的には、
図5(b)に示すように、上金型40aと樹脂6との間に離型シート60を挟んだ状態でトランスファーモールドすると、凹部50の周面(
図2参照)に位置する離型シート60が伸び、上面の両端から中央に向かうに従い、離型シート60が薄くなる。そして、この離型シート60が薄くなった分だけ、樹脂6が厚くなる。このようにして、凹部50の周面に所定形状の凸部が形成される。なお、離型シート60の設置条件や伸び具合を調整することで、凸部の位置や高さ、形状等を調整することができる。これにより、第1実施形態の発光装置100における凸部3を形成することができる。
【0043】
また、
図5(c)に示すように、凸部3の形成は、所望の凸部3とするための形状を有する上金型40aを用いてもよい。これにより、第2実施形態の発光装置100Aにおける凸部3を形成することができる。なお、上金型40aの形状を変えることで、第1実施形態の発光装置100における凸部3を形成することもできる。
【0044】
<ダイボンディング工程>
ダイボンディング工程は、パッケージ(例えば、導電部材2a上)に発光素子10を実装する工程である。このダイボンディング工程では、導電部材2aの上面に発光素子10を実装する。
発光素子10の実装方法は、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法で行えばよい。例えばAuSn等の半田ペーストやエポキシ樹脂等により、発光素子10と導電部材2aとを接合すればよい。
【0045】
<ワイヤボンディング工程>
ワイヤボンディング工程は、発光素子10と導電部材2a,2bとをワイヤWで接続する工程である。ワイヤボンディング工程では、一方のワイヤWを導電部材2aに接続し、他方のワイヤWを導電部材2bに接続することで、発光素子10と導電部材2a,2bとを電気的に接続する。ワイヤWの接続方法は、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法で行えばよい。ワイヤWの素材としては、金、銀、銅、白金、アルミニウム、またはこれらの合金等を用いることができる。
【0046】
<封止樹脂形成工程>
図6(a)、(b)に示すように、封止樹脂形成工程は、発光素子10が収容された凹部50内に封止樹脂20を充填し、封止樹脂20をパッケージ1の高さよりも高く設ける工程である。すなわち、まず、発光素子10を被覆するように封止樹脂20となる部材をパッケージ1の凹部50内に充填する。ここで、部材は、効率性の観点からパッケージ1や集合体80の全面に塗布するため、凹部50内の他、パッケージ1の側部材30bの上面や、凹部50におけるパッケージ1の高さよりも高い部位にまで存在することとなる。その後、加熱や光照射等によってこの部材を硬化する。このようにして、発光素子10を被覆する透光性の封止樹脂20を形成する。
【0047】
<封止樹脂切削工程>
図6(c)、(d)に示すように、封止樹脂切削工程は、封止樹脂20を切削して封止樹脂20をパッケージ1の高さに近づけるように調整する工程である。すなわち、余分な封止樹脂20を除去する工程である。
ここで、「封止樹脂20をパッケージ1の高さに近づけるように調整する」とは、封止樹脂20の上面とパッケージ1の上面との高さの差が少なくなるように、好ましくは差がなくなるように封止樹脂20を切削することをいう。
すなわち、封止樹脂20の上面とパッケージ1の上面とを同じ高さとすること、または、同じよりも封止樹脂20の上面がやや高いかやや低い高さとすることをいう。
【0048】
封止樹脂切削工程では、封止樹脂20の切削によりパッケージ1の上面からはみ出た封止樹脂20を除去し、封止樹脂20の上面とパッケージ1の上面が同じ高さ、あるいは、ほぼ同じ高さになるようにする。なお、封止樹脂20の切削の都合上、封止樹脂20の上面がパッケージ1の上面よりもやや高いか、やや低く(例えば、パッケージ1の上面からの高さの差が0μmを超え10μm以下程度など)なってもよいが、封止樹脂20の上面とパッケージ1の上面が同じ高さになるように切削することが好ましい。切削の方法は特に限定されるものではなく、例えば、刃物70によりパッケージ1上面の余分な封止樹脂20を削り取ればよい。
【0049】
刃物70により封止樹脂20を切削することで、残存する封止樹脂20の表面の突起部(バリ)を効率的に除去することができる。また、封止樹脂20における残留応力による歪みを緩和することができる。
また、封止樹脂20の表面に、封止樹脂20を切削する際の刃物70の進行方向に延びるように、幅および深さが1μm程度の複数の溝が形成される。封止樹脂20が溝を有することで、表面積が増大し、放熱性が向上する。
【0050】
ここで、集合体80を用意した場合、封止樹脂20の切削においては、集合体80上の封止樹脂20の全部を一括して切削することが好ましい。集合体80上の封止樹脂20の全部を一括して切削することで、封止樹脂20の除去や、封止樹脂20の表面のバリの除去をより効率的に行うことができる。
「一括して切削する」とは、集合体80を構成する複数のパッケージ1に対して、1つずつ、あるいは複数ずつ個別に切削して高さを調整するのではなく、一連の動作で集合体80上の封止樹脂20を切削することをいう。すなわち、例えば、一旦切削を開始した刃物70を途中で封止樹脂20や集合体80から離すことなく、集合体80上の全ての封止樹脂20を切削する場合である。ただし、切削における一連の動作であれば、切削途中で偶発的に刃物70が封止樹脂20や集合体80から離れる場合を除外するものではない。
【0051】
そして、この封止樹脂切削工程後における、凹部50の周面に形成された凸部3に関して、以下の3通りの形態が挙げられる。この形態について、ここでは、代表して第2実施形態の凸部3について、
図4(a)〜(f)を参照して説明する。なお、
図4(a)〜(c)は
図3(c)の破線Aの拡大図に相当するものである。また、
図4(d)〜(f)は
図3(a)に示す発光装置のY−Y断面図に相当するものであり、それぞれ、
図4(a)〜(c)の形態に対応する。
【0052】
(1)凸部のみが形成された形態
図4(a)、(d)に示すように、封止樹脂切削工程において、凹部50の周面に形成された凸部3を切削することなく、凸部3をそのまま残す形態である。本形態では、発光装置100Aが凸部3を有することで、粗面部がなくても発光装置100A同士のくっつきを防止することができる。切削の際は、刃物70が凸部3の位置に到達したときに、刃物70の角度や圧力を適宜調整して、凸部3が切削されないようにすればよい。
【0053】
(2)凸部に粗面部が形成された形態
図4(b)、(e)に示すように、封止樹脂切削工程において、凹部50の周面に形成された凸部3の一部を切削することで、凸部3の上面に粗面部4aを形成する形態である。
ここで、凸部3の一部とは、凸部3の上方部分の所定領域をいい、例えば、切削前の凸部3の高さにおける、凸部3の上面から1/2〜2/3の領域とすることができる。なお、第1実施形態の場合であっても、凸部3の傾斜の各部位において、当該部位での切削前の凸部3の高さ(凸部3の底辺から垂直な上方の凸部3の高さ)における、凸部3の上面から1/2〜2/3の領域とすることができる。ただし、その領域の厚さや幅は特に規定するものではなく、凹部50の周面に凸部3が残存し、凸部3の上面に粗面部4aを形成できる範囲であれば切削する凸部3の領域はどの程度であってもよい。
【0054】
次に、凸部の上面に粗面部を形成する方法について、
図7(a)〜(d)を参照して説明する。
図7(a)に示すように、まず、刃物70でパッケージの凹部50の周面の封止樹脂20を凸部3の位置まで切削する。次に、
図7(b)に示すように、凸部3の根元が切削されないように刃物70の角度や圧力を変え、刃物70が凸部3の上面に位置するように調整する。そして
図7(c)、(d)に示すように、刃物70の角度や圧力を調整して凸部3の一部を切削しながら、刃物70をパッケージ1の凹部50方向に移動させる。この際、凸部3は弾性があるため、やや窪みながら凸部3の一部が切削される。凸部3の一部を切削した後は、再び刃物70の角度や圧力を変え、パッケージ1の凹部50の周面の封止樹脂20を切削し、その後、凹部50上面の封止樹脂20を切削する。また、この凹部50の周面に対向する側の凹部50の周面の凸部3も同様にしてその一部を切削する。
そして、凸部3の一部を削る際の速度、刃物70の圧力や角度等を適宜調整することで、凸部3の切削量や、粗面部4aの表面性状(例えば表面粗さRa)を制御する。
なお、条件にもよるが、パッケージ1の材質に、例えばエポキシ樹脂のような硬くてもろいものを用いることで、凸部3の一部を切削しやすくなる。
【0055】
なお、第1実施形態の発光装置100の凸部3においても、粗面部4aの形成方法は、基本的には前記と同様である。第1実施形態の場合は、パッケージ1の凹部50の周面の封止樹脂20を切削しながら、凸部3の傾斜に沿って、凸部3の一部を切削していけばよい。
【0056】
(3)粗面部のみが形成された形態
図4(c)、(f)に示すように、封止樹脂切削工程において、凹部50の周面に形成された凸部3の全部を切削することで、凸部3が形成された部位に粗面部4bを形成する形態である。すなわち、凸部3が形成された部位に粗面部4bを形成するように凸部3を切削して粗面部4bを形成する。
この形態では、凸部3が残存しないように、刃物70の角度や圧力を変え、凸部3の根元を切削することで、凸部3の全てを除去する。これにより、凹部50の周面における、凸部3が形成されていた部位に粗面部4bが形成される。
ここで、凸部3が形成された部位の粗面部4bとは、封止樹脂20の切削の際に凸部3の全部が削られることで生じた所定の表面性状(例えば表面粗さRa)を有する凹部50の周面の粗面な部位である。
そして、凸部3を削る際の速度、刃物70の圧力や角度等を適宜調整することで、粗面部4aの表面性状(例えば表面粗さRa)を制御する。
本形態では、発光装置100Aは、凸部3の全てが除去されても、切削前に凸部3が形成された部位に粗面部4bを有するため、発光装置同士のくっつきを防止することができる。
【0057】
<個片化工程>
個片化工程は、パッケージ用意工程で複数のパッケージ1が連続した集合体80を用意した場合に、封止樹脂20を切削した集合体80を個片化する工程である。
集合体80の個片化は、集合体80を分割するラインに沿って、ブレードで切断するダイシング方法、または、集合体80を分割するラインに沿って、集合体80を割るスクライブ方法等、従来公知の方法により行なうことができる。
そして、この集合体80の個片化により、複数の発光装置100(100A)が得られる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。
すなわち、前記に示す発光装置の製造方法や発光装置の形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置の製造方法や発光装置を例示するものであって、本発明は、前記の製造方法や形態に限定するものではない。また、特許請求の範囲に示される部材等を、実施の形態の部材に特定するものではない。特に、実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0059】
例えば、導電部材2a,2bの表面には、導電部材2a,2bにおける光反射の効率を向上させる金属部材を設けてもよい。金属部材の材料としては、特に限定されないが、例えば、銀のみ、あるいは、銀と、銅、金、ロジウム等の高反射率の金属との合金、または、これら、銀や各合金を用いた多層膜等を用いることができる。好ましくは、熱伝導率等に優れた金を単体で用いることである。また、金属部材の膜厚は、0.005〜20μm程度の金属箔であることが好ましく、多層膜とする場合は、層全体の厚さをこの範囲内とするのが好ましい。また、金属部材の形成方法は、めっき法、スパッタ法や蒸着法等を用いることができる。
【0060】
導電部材2a,2bの表面に金属部材を設ける場合は、前記した発光装置の製造方法において、パッケージ用意工程中、もしくは工程後であり、かつダイボンディング工程の前に、金属部材形成工程を行う。
金属部材を設ける方法としては、めっき法、スパッタ法、蒸着法、薄膜を接合させる方法等を用いることができる。めっき法を用いる場合、電解めっき、無電解めっきのいずれの方法でも用いることができる。例えば、導電部材2a,2b上の該当部位を電気的に接続した上で、電解めっき法を用いるのが最も簡便である。また、スパッタ法、蒸着法を用いる場合は、フォトリソグラフィ法により、導電部材2a,2b上のみに設けることができる。なお、パターン形成されていない導電部材2a,2b上に金属部材を設けた後、導電部材2a,2bと金属部材を所定の形状にパターニングしてもよい。
【0061】
その他、前記した実施形態では、発光素子はフェースアップ素子(FU素子)としたが、フェースダウン素子(FD素子)を用いた形態であってもよい。
FD素子を用いる場合には、発光装置100(100A)は、パッケージ1の底面と発光素子10との間に図示しないアンダーフィルを備えていてもよい。アンダーフィルを設けることにより、光取り出し効率等の光学特性や、発光装置100(100A)の放熱性が向上し、発光素子10とパッケージ1との熱膨張や機械的な応力を緩和させることができる。そのため、発光装置100(100A)の信頼性を向上させることができる。アンダーフィルの材料は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。
【0062】
また、ツェナーダイオード等の保護素子等を設けてもよい。さらに、前記した実施形態では、1つの発光素子10を備える構成としたが、発光素子は、2つ以上設けられていてもよい。また、発光装置に搭載される発光素子が2以上の複数個である場合には、各発光素子の発光波長は異なるものであってもよい。例えば、RGBの3原色を発光する3つの発光素子を搭載してもよい。
【0063】
発光装置の製造方法においては、本発明を行うにあたり、前記各工程の間あるいは前後に、前記した工程以外の工程を含めてもよい。例えば、パッケージ1を洗浄するパッケージ洗浄工程や、ごみ等の不要物を除去する不要物除去工程や、発光素子10の実装位置を調整する実装位置調整工程等、他の工程を含めてもよい。