(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る電荷輸送性ワニスは、式(1)で表されるオリゴチオフェン誘導体からなる電荷輸送性物質と、ヘテロポリ酸からなるドーパント物質と、有機溶媒とを含む。
ここで、電荷輸送性とは、導電性と同義であり、正孔輸送性と同義である。電荷輸送性物質は、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、電子受容性物質と共に用いた際に電荷輸送性があるものでもよい。電荷輸送性ワニスは、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、それにより得られる固形膜が電荷輸送性を有するものでもよい。
【0010】
式(1)において、R
1〜R
4は、互いに独立して、水素原子、Z
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z
2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Z
2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基、−OY
1基、−SY
2基、−NHY
3、−NY
4Y
5基、−NHC(O)Y
6基、または4−(ジフェニルアミノ)フェニル基を表し、Y
1〜Y
6は、互いに独立して、Z
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z
2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、またはZ
2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、R
1およびR
2が、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、−OY
1基、−SY
2基、−NHY
3、−NY
4Y
5基、または−NHC(O)Y
6基であるときは、これらの基は互いに結合していてもよい。
【0011】
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基などが挙げられる。
【0012】
炭素数2〜20のアルケニル基の具体例としては、エテニル基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基、n−1−エイコセニル基等が挙げられる。
【0013】
炭素数2〜20のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル、n−1−デシニル基、n−1−ペンタデシニル基、n−1−エイコシニル基等が挙げられる。
【0014】
炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
【0015】
炭素数2〜20のヘテロアリール基の具体例としては、2−チエニル、3−チエニル、2−フラニル、3−フラニル、2−オキサゾリル,4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル基等が挙げられる。
【0016】
本発明において、好適なオリゴチオフェン誘導体としては、例えば、式(2)で表されるものが挙げられる。
【0017】
【化4】
(式中、R
1〜R
4は、前記と同じ意味を示す。)
【0018】
式(1)および(2)において、R
1およびR
2としては、水素原子、Z
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、またはZ
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルオキシ基(Y
1がZ
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である−OY
1基)が好ましく、水素原子、Z
1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、またはZ
1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキルオキシ基がより好ましく、水素原子、Z
1で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、またはZ
1で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキルオキシ基がより一層好ましい。
【0019】
一方、R
3およびR
4としては、水素原子、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基(Y
4およびY
5がZ
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である−NY
4Y
5基)、Z
2で置換されていてもよい炭素数12〜40のジアリールアミノ基(Y
4およびY
5がZ
2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基である−NY
4Y
5基)、または4−(ジフェニルアミノ)フェニル基が好ましく、水素原子、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、Z
2で置換されていてもよい炭素数12〜20のジアリールアミノ基、または4−(ジフェニルアミノ)フェニル基がより好ましく、水素原子、Z
2で置換されていてもよい炭素数12〜40のジアリールアミノ基、または4−(ジフェニルアミノ)フェニル基がより一層好ましく、水素原子が最適である。
【0020】
n
1〜n
3は、互いに独立して、自然数を示し、かつ、4≦n
1+n
2+n
3≦20を満たすが、n
1は、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、より一層好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜3である。一方、n
2およびn
3は、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、より一層好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。
また、オリゴチオフェン誘導体の有機溶媒への溶解性を向上させる観点から、n
1〜n
3は、好ましくはn
1+n
2+n
3≦8、より好ましくはn
1+n
2+n
3≦7、より一層好ましくはn
1+n
2+n
3≦6、さらに好ましくはn
1+n
2+n
3≦5を満たす。
【0021】
なお、R
1〜R
4およびY
1〜Y
6のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、炭素数6〜20のアリール基または炭素数2〜20のヘテロアリール基であるZ
1で置換されていてもよく、R
1〜R
10およびY
1〜Y
6のアリール基およびヘテロアリール基は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数2〜20のアルキニル基であるZ
2で置換されていてもよい。
【0022】
特に、R
1〜R
4およびY
1〜Y
6において、Z
1は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。また、Z
2は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより一層好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
【0023】
本発明で用いるオリゴチオフェン誘導体は、公知の方法(例えば、特開平02−250881号公報やChem.Eur.J.,2005,11,p.p.3742−3752に記載の方法)で合成してもよく、市販品を用いてもよい。
すなわち、本発明で用いるオリゴチオフェン誘導体は、具体的には、例えば、下記スキーム1および2によって、合成することができ、また、特に、両末端に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を有するオリゴチオフェン誘導体(式(1’))は、下記スキーム3によって、合成することもできる。
【0024】
【化5】
(式中、Halは、ハロゲン原子または擬ハロゲン基を表し、R
1〜R
4およびn
1〜n
3は、前記と同じ意味を示し、
nBuは、n−ブチル基を示す。)
【0025】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
擬ハロゲン基としては、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ノナフルオロブタンスルホニルオキシ基等の(フルオロ)アルキルスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキシ基等の芳香族スルホニルオキシ基などが挙げられる。
【0026】
R
5およびR
6は、互いに独立して、Z
1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z
1で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z
2で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、またはZ
2で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。また、置換基Z
1およびZ
2は、上記と同じ意味を示す。
【0027】
スキーム1において、式(3)〜(5)で表されるチオフェン誘導体の仕込み比は、通常、式(4)で表されるチオフェン誘導体に対し、式(3)で表されるチオフェン誘導体、(5)で表されるチオフェン誘導体それぞれ0.5〜1.5当量程度であるが、0.9〜1.3当量程度が好適である。
スキーム2において、式(6)〜(8)で表されるチオフェン誘導体の仕込みは、通常、式(7)で表されるチオフェン誘導体に対し、式(6)で表されるチオフェン誘導体、式(8)で表されるチオフェン誘導体それぞれ0.5〜1.5当量程度であるが、0.9〜1.3当量程度が好適である。
スキーム3において、式(9)で表されるチオフェン誘導体および式(10)〜(11)で表される化合物の仕込みは、通常、式(9)で表されるチオフェン誘導体に対し、式(10)で表される化合物、式(11)で表される化合物それぞれ0.5〜1.5当量程度であるが、0.9〜1.3当量程度が好適である。
【0028】
上記各反応に用いられる触媒としては、例えば、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅のような銅触媒、Pd(PPh
3)
4(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)、Pd(PPh
3)
2Cl
2(ビス(トリフェニルホスフィン)ジクロロパラジウム)、Pd(dba)
2(ビス(ベンジリデンアセトン)パラジウム)、Pd
2(dba)
3(トリス(ベンジリデンアセトン)ジパラジウム)、Pd(P−t−Bu
3)
2(ビス(トリ(t−ブチルホスフィン)パラジウム)のようなパラジウム触媒等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これらの触媒は、適切な配位子とともに使用してもよい。
【0029】
触媒の使用量は、通常、式(4)、(7)または(9)で表される化合物1molに対し、通常0.2mol以下であるが、0.05mol程度が好適である。
また、配位子が同時に使用される場合の配位子の使用量は、使用する金属錯体に対し、0.1〜5当量程度でよいが、1〜4当量程度が好適である。
【0030】
上記各反応は溶媒中で行ってもよい。溶媒を使用する場合、その種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば、各種溶媒を用いることができる。具体例としては、脂肪族炭化水素類(ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン、デカリン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ラクタムおよびラクトン類(N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等)、尿素類(N,N−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド、スルホラン等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)などが挙げられ、これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0031】
上記各反応において、反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、0〜200℃程度が好ましく、20〜150℃がより好ましい。
反応終了後は、常法に従って後処理をして、式(1)または(1’)で表されるオリゴチオフェン誘導体を得ることができる。
【0032】
なお、上記反応で用いる式(4)、(6)、(8)および(9)で表される化合物は、それぞれ、一般的に用いる手法に従い、ノルマルブチルリチウムのような適当な塩基およびトリブチルクロロスタナンのような適当なスズ化合物を用いて、各化合物に対応する構造を有するチオフェン化合物の両末端にトリブチルスズ基を導入することで得ることができる。更に、式(9)で表される化合物は、スキーム1または2に従い得られたオリゴチオフェン誘導体の両末端にトリブチルスズ基を導入することで得ることもできる。
一方、式(3)、(5)、(7)、(10)および(11)で表される化合物は、市販品を用いることもできるし、一般的に用いられる手法に従い、各化合物に対応する構造を有する、チオフェン、アルカン、アルケン、アルキン、アレーンまたはチオフェン以外のヘテロアレーンをハロゲン化または擬ハロゲン化することで得ることができる。
【0033】
以下、式(1)で表されるオリゴチオフェン誘導体の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
なお、式中、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「n−Pr」はn−プロピル基を、「i−Pr」はi−プロピル基を、「n−Bu」はn−ブチル基を、「i−Bu」はイソブチル基を、「s−Bu」はs−ブチル基を、「t−Bu」はt−ブチル基を、「n−Pen」はn−ペンチル基を、「n−Hex」はn−ヘキシル基を、「n−Hep」はn−ヘプチル基を、「n−Oct」はn−オクチル基を、「Ph」はフェニル基を、「Ar
1」は4−(ジフェニルアミノ)フェニル基を、それぞれ示す。
【0073】
上述の通り、本発明の電荷輸送性ワニスは、ヘテロポリ酸を含み、それゆえ、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極からの高正孔受容能のみならず、アルミニウムに代表される金属陽極からの高正孔受容能を示す電荷輸送性に優れた薄膜を得ることができる。
【0074】
ヘテロポリ酸とは、代表的に式(D1)で示されるKeggin型あるいは式(D2)で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
【0076】
ヘテロポリ酸の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、本発明で用いるヘテロポリ酸は、市販品として入手可能であり、また、公知の方法により合成することもできる。
【0077】
特に、ドーパント物質が1種類のヘテロポリ酸単独からなる場合、その1種類のヘテロポリ酸は、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸が最適である。また、ドーパント物質が2種類以上のヘテロポリ酸からなる場合、その2種類以上のヘテロポリ酸の1つは、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸がより好ましい。
【0078】
なお、ヘテロポリ酸は、元素分析等の定量分析において、一般式で示される構造から元素の数が多くまたは少ないものであっても、それが市販品として入手し、あるいは、公知の合成方法に従い適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。
すなわち、例えば、一般的には、リンタングステン酸は化学式H
3(PW
12O
40)・nH
2Oで、リンモリブデン酸は化学式H
3(PMo
12O
40)・nH
2Oでそれぞれ示されるが、定量分析において、この式中のP(リン)、O(酸素)またはW(タングステン)もしくはMo(モリブデン)の数が多く、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法に従い適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。この場合、本発明に規定されるヘテロポリ酸の質量とは、合成物や市販品中における純粋なリンタングステン酸の質量(リンタングステン酸含量)ではなく、市販品として入手可能な形態および公知の合成法にて単離可能な形態において、水和水やその他の不純物等を含んだ状態での全質量を意味する。
【0079】
本発明の電荷輸送性ワニスに含まれるヘテロポリ酸は、質量比で、電荷輸送性物質1に対して1.0〜70.0程度とすることができるが、好ましくは2.0〜60.0程度、より好ましくは2.5〜55.0程度である。
【0080】
本発明の電荷輸送性ワニスには、上述したオリゴチオフェン誘導体やヘテロポリ酸の他に、公知のその他の電荷輸送性物質やドーパント物質を用いることもできる。
【0081】
このようなその他の電荷輸送性物質としては、例えば、特開第2002−151272号公報記載のオリゴアニリン誘導体、国際公開第2004/105446号記載のオリゴアニリン化合物、国際公開第2005/043962号記載の1,4−ジチイン環を有する化合物、国際公開第2008−032617号記載のオリゴアニリン化合物、国際公開第2008/032616号記載のオリゴアニリン化合物、国際公開第2013/042623号記載のアリールジアミン化合物等が挙げられる。
【0082】
とりわけ、その他の電荷輸送性物質としては、アニリン誘導体が好ましく、有機溶媒への溶解性を考慮すると、その分子量は、好ましく4000以下、より好ましくは3000以下、より一層好ましくは2000以下である。
その他の電荷輸送性物として好適に用い得るアニリン誘導体としては、例えば、式(12)で表されるものが挙げられる。
【0084】
式(12)において、B
1は、単結合、−NH−、−CH
2−、−S−、または−O−を表すが、−NH−または単結合が好ましい。
【0085】
R
7〜R
12は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z
3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z
3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z
4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Z
4で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基、−OY
7基、−SY
8基、−NHY
9、−NY
10Y
11基、または−NHC(O)Y
12基を表し、Y
7〜Y
12は、互いに独立して、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z
3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、Z
3で置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、Z
4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、またはZ
4で置換されていてもよい炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、このようなハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0086】
R
7〜R
10としては、水素原子、ハロゲン原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z
4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキルオキシ基(Y
7がZ
3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である−OY
7基)が好ましく、水素原子、フッ素原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、Z
4で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキルオキシ基がより好ましく、水素原子、フッ素原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、Z
4で置換されてもよい6〜10のアリール基、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基がより一層好ましく、水素原子、フッ素原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、Z
3で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシ基がさらに好ましく、水素原子が最適である。
【0087】
一方、R
11およびR
12としては、水素原子、ハロゲン原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数2〜40のジアルキルアミノ基(Y
10およびY
11がZ
3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基である−NY
10Y
11基)、またはZ
4で置換されていてもよい炭素数12〜40のジアリールアミノ基(Y
10およびY
11がZ
4で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基である−NY
10Y
11基)が好ましく、水素原子、フッ素原子、Z
3で置換されていてもよい炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、またはZ
4で置換されていてもよい炭素数12〜20のジアリールアミノ基がより好ましく、水素原子、Z
4で置換されていてもよい炭素数12〜20のジアリールアミノ基がより一層好ましく、同時に水素原子またはZ
4で置換されていてもよいジフェニルアミノ基がさらに好ましい。
【0088】
式(12)において、pおよびqは、互いに独立して、0以上の整数を表し、2≦p+q≦20を満たすが、好ましくは2≦p+q≦8、より好ましくは2≦p+q≦6、より一層好ましくは2≦p+q≦4を満たす。
【0089】
なお、R
7〜R
12およびY
7〜Y
12のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、炭素数6〜20のアリール基または炭素数2〜20のヘテロアリール基であるZ
3で置換されていてもよく、R
7〜R
12およびY
7〜Y
12のアリール基およびヘテロアリール基は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数2〜20のアルキニル基であるZ
4で置換されていてもよい。
【0090】
特に、R
7〜R
12およびY
7〜Y
12において、Z
3は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。また、Z
4は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより一層好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
【0091】
以下、本発明において、その他の電荷輸送性物質として好適なアニリン誘導体の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
【0093】
一方、その他のドーパント物質としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、p−スチレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、ジヘキシルベンゼンスルホン酸、2,5−ジヘキシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、6,7−ジブチル−2−ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、3−ドデシル−2−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、4−ヘキシル−1−ナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、2−オクチル−1−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、7−へキシル−1−ナフタレンスルホン酸、6−ヘキシル−2−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、2,7−ジノニル−4−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、2,7−ジノニル−4,5−ナフタレンジスルホン酸、国際公開第2005/000832号に記載されている1,4−ベンゾジオキサンジスルホン酸化合物、国際公開第2006/025342号に記載されているアリールスルホン酸化合物、国際公開第2009/096352号に記載されているアリールスルホン酸化合物、ポリスチレンスルホン酸等のアリールスルホン化合物;10−カンファースルホン酸等の非アリールスルホン化合物;7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)等の有機酸化剤が挙げられる。
とりわけ、その他のドーパント物質としては、アリールスルホン酸化合物が好ましく、有機溶媒への溶解性を考慮すると、その分子量は、好ましく3000以下、より好ましくは2000以下、より一層好ましくは1000以下である。
【0094】
本発明において、その他のドーパント物質として好適に用い得るアリールスルホン酸化合物としては、例えば、式(13)または(14)で表されるものが挙げられる。
【0096】
式(13)において、A
1は、OまたはSを表すが、Oが好ましい。
A
2は、ナフタレン環またはアントラセン環を表すが、ナフタレン環が好ましい。
A
3は、2〜4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、A
1とA
3との結合数を示し、2≦l≦4を満たす整数であるが、A
3が2価のパーフルオロビフェニル基であり、かつ、lが2であることが好ましい。
mは、A
2に結合するスルホン酸基数を表し、1≦m≦4を満たす整数であるが、2が最適である。
【0097】
式(14)において、A
4〜A
8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、または炭素数2〜20のハロゲン化アルケニル基を表すが、A
4〜A
8のうち少なくとも3つは、ハロゲン原子である。
kは、ナフタレン環に結合するスルホン酸基数を表し、1≦k≦4を満たす整数であるが、2〜4が好ましく、2が最適である。
【0098】
炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、上記炭素数1〜20のアルキル基の水素原子の少なくとも1つを、ハロゲン原子で置換したものが挙げられる。その具体例としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0099】
炭素数2〜20のハロゲン化アルケニル基としては、上記炭素数2〜20のアルケニル基の水素原子の少なくとも1つを、ハロゲン原子で置換したものが挙げられる。その具体例としては、パーフルオロビニル基、パーフルオロプロペニル基(アリル基)、パーフルオロブテニル基等が挙げられる。
その他、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基の例としては上記と同様のものが挙げられるが、ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0100】
これらの中でも、A
4〜A
8は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、または炭素数2〜10のハロゲン化アルケニル基であり、かつ、A
4〜A
8のうち少なくとも3つは、フッ素原子であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ化アルキル基、または炭素数2〜5のフッ化アルケニル基であり、かつ、A
4〜A
8のうち少なくとも3つはフッ原子であることがより好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、または炭素数1〜5のパーフルオロアルケニル基であり、かつ、A
4、A
5およびA
8がフッ素原子であることより一層好ましい。
なお、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基であり、パーフルオロアルケニル基とは、アルケニル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基である。
【0101】
以下、本発明において、その他のドーパント物質として好適なアリールスルホン酸化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
【0103】
電荷輸送性ワニスを調製する際に用いられる有機溶媒としては、電荷輸送性物質およびドーパント物質を良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。
このような高溶解性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、ワニスに使用する溶媒全体に対して5〜100質量%とすることができる。
なお、電荷輸送性物質およびドーパント物質は、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、完全に溶解していることがより好ましい。
【0104】
また、本発明においては、ワニスに、25℃で10〜200mPa・s、特に35〜150mPa・sの粘度を有し、常圧(大気圧)で沸点50〜300℃、特に150〜250℃の高粘度有機溶媒を少なくとも一種類含有させることで、ワニスの粘度の調整が容易になり、その結果、平坦性の高い薄膜を再現性よく与える、用いる塗布方法に応じたワニス調整が可能となる。
高粘度有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジクリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明のワニスに用いられる溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は、5〜80質量%が好ましい。
【0105】
さらに、基板に対する濡れ性の向上、溶媒の表面張力の調整、極性の調整、沸点の調整等の目的で、その他の溶媒を、ワニスに使用する溶媒全体に対して1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%の割合で混合することもできる。
このような溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0106】
本発明のワニスの粘度は、作製する薄膜の厚み等や固形分濃度に応じて適宜設定されるものではあるが、通常、25℃で1〜50mPa・sである。
また、本発明における電荷輸送性ワニスの固形分濃度は、ワニスの粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1〜10.0質量%程度であり、ワニスの塗布性を向上させることを考慮すると、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
【0107】
以上で説明した電荷輸送性ワニスを基材上に塗布して焼成することで、基材上に電荷輸送性薄膜を形成させることができる。
ワニスの塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り、インクジェット法、スプレー法等が挙げられ、塗布方法に応じてワニスの粘度および表面張力を調節することが好ましい。
【0108】
また、本発明のワニスを用いる場合、焼成雰囲気も特に限定されるものではなく、大気雰囲気だけでなく、窒素等の不活性ガスや真空中でも均一な成膜面および高い電荷輸送性を有する薄膜を得ることが可能である。
【0109】
焼成温度は、得られる薄膜の用途、得られる薄膜に付与する電荷輸送性の程度等を勘案して、概ね100〜260℃の範囲内で適宜設定されるものではあるが、得られる薄膜を有機EL素子の正孔注入層として用いる場合、140〜250℃程度が好ましく、145〜240℃程度がより好ましい。
なお、焼成の際、より高い均一成膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で、2段階以上の温度変化をつけてもよく、加熱は、例えば、ホットプレートやオーブン等、適当な機器を用いて行えばよい。
【0110】
電荷輸送性薄膜の膜厚は、特に限定されないが、有機EL素子内で正孔注入層として用いる場合、5〜200nmが好ましい。膜厚を変化させる方法としては、ワニス中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の基板上の溶液量を変化させたりする等の方法がある。
【0111】
本発明の電荷輸送性ワニスを用いてOLED素子を作製する場合の使用材料や、作製方法としては、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
使用する電極基板は、洗剤、アルコール、純水等による液体洗浄を予め行って浄化しておくことが好ましく、例えば、陽極基板では使用直前にUVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等の表面処理を行うことが好ましい。ただし陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
【0112】
本発明の電荷輸送性ワニスから得られる薄膜からなる正孔注入層を有するOLED素子の作製方法の例は、以下の通りである。
上記の方法により、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して焼成し、電極上に正孔注入層を作製する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層/ホールブロック層、電子注入層、陰極金属を順次蒸着してOLED素子とする。なお、必要に応じて、発光層と正孔輸送層との間に電子ブロック層を設けてよい。
【0113】
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、アルミニウムに代表される金属やこれらの合金等から構成される金属陽極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。
なお、金属陽極を構成するその他の金属としては、例えば、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドニウム、インジウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、チタン、鉛、ビスマスやそれらの合金等が挙げられる。
【0114】
正孔輸送層を形成する材料としては、(トリフェニルアミン)ダイマー誘導体、[(トリフェニルアミン)ダイマー]スピロダイマー、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(α−NPD)、N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチル−フルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチル−フルオレン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニル−フルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニル−フルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ビフェニル−4−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N−ナフタレン−1−イル−N−フェニルアミノ)−フェニル]−9H−フルオレン、2,2’,7,7’−テトラキス[N−ナフタレニル(フェニル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ビス(フェナントレン−9−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、2,2’−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2’−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、ジ−[4−(N,N−ジ(p−トリル)アミノ)−フェニル]シクロヘキサン、2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジ(p−トリル))アミノ−9,9−スピロビフルオレン、N,N,N’,N’−テトラ−ナフタレン−2−イル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラ−(3−メチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレニル)−N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン−1,4−ジアミン、N
1,N
4−ジフェニル−N
1,N
4−ジ(m−トリル)ベンゼン−1,4−ジアミン、N
2,N
2,N
6,N
6−テトラフェニルナフタレン−2,6−ジアミン、トリス(4−(キノリン−8−イル)フェニル)アミン、2,2’−ビス(3−(N,N−ジ(p−トリル)アミノ)フェニル)ビフェニル、4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)等のトリアリールアミン類、5,5”−ビス−{4−[ビス(4−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−2,2’:5’,2”−ターチオフェン(BMA−3T)等のオリゴチオフェン類などが挙げられる。
【0115】
発光層を形成する材料としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq
3)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)(Znq
2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(BAlq)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2,7−ビス[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン、2−メチル−9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2−(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2,7−ビス(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2−[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン、2,2’−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン、1、3、5−トリス(ピレン−1−イル)ベンゼン、9,9−ビス[4−(ピレニル)フェニル]−9H−フルオレン、2,2’−ビ(9,10−ジフェニルアントラセン)、2,7−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン、1,4−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン、1,3−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン、6,13−ジ(ビフェニル−4−イル)ペンタセン、3,9−ジ(ナフタレン−2−イル)ペリレン、3,10−ジ(ナフタレン−2−イル)ペリレン、トリス[4−(ピレニル)−フェニル]アミン、10,10’−ジ(ビフェニル−4−イル)−9,9’−ビアントラセン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クウォーターフェニル]−4,4’’’−ジアミン、4,4’−ジ[10−(ナフタレン−1−イル)アントラセン−9−イル]ビフェニル、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン、1−(7−(9,9’−ビアントラセン−10−イル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ピレン、1−(7−(9,9’−ビアントラセン−10−イル)−9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)ピレン、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン)、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチルフルオレン、2,2’,7,7’−テトラキス(カルバゾール−9−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジ(p−トリル)フルオレン、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−フェニル]フルオレン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−スピロビフルオレン、1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−メチルフェニルメタン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン、4,4”−ジ(トリフェニルシリル)−p−ターフェニル、4,4’−ジ(トリフェニルシリル)ビフェニル、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ジトリチル−9H−カルバゾール、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(9−(4−メトキシフェニル)−9H−フルオレン−9−イル)−9H−カルバゾール、2,6−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン、トリフェニル(4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル)シラン、9,9―ジメチル−N,N−ジフェニル−7−(4−(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、3,5−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン、9,9−スピロビフルオレン−2−イル−ジフェニル−フォスフィン オキサイド、9,9’−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニレン)ビス(9H−カルバゾール)、3−(2,7−ビス(ジフェニルフォスフォリル)−9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール、4,4,8,8,12,12−ヘキサ(p−トリル)−4H−8H−12H−12C−アザジベンゾ[cd,mn]ピレン、4,7−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)−1,10−フェナントロリン、2,2’−ビス(4−(カルバゾール−9−イル)フェニル)ビフェニル、2,8−ビス(ジフェニルフォスフォリル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、ビス(2−メチルフェニル)ジフェニルシラン、ビス[3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジフェニルシラン、3,6−ビス(カルバゾール−9−イル)−9−(2−エチル−ヘキシル)−9H−カルバゾール、3−(ジフェニルフォスフォリル)−9−(4−(ジフェニルフォスフォリル)フェニル)−9H−カルバゾール、3,6−ビス[(3,5−ジフェニル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール等が挙げられ、発光性ドーパントと共蒸着することによって、発光層を形成してもよい。
【0116】
発光性ドーパントとしては、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−10−(2−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1gh]クマリン、キナクリドン、N,N’−ジメチル−キナクリドン、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)
3)、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(Ir(ppy)
2(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(Ir(mppy)
3)、9,10−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]アントラセン、9,10−ビス[フェニル(m−トリル)アミノ]アントラセン、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛、N
10,N
10,N
10’,N
10’−テトラ(p−トリル)−9,9’ −ビアントラセン−10,10’−ジアミン、N
10,N
10,N
10’,N
10’−テトラフェニル−9,9’ −ビアントラセン−10,10’−ジアミン、N
10,N
10’−ジフェニル−N
10,,N
10’−ジナフタレニル−9,9’ −ビアントラセン−10,10’−ジアミン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、1、4−ビス[2−(3−N−エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム、4,4’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレートイリジウム、N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−トリス(9,9−ジメチルフルオレニレン)、2,7−ビス{2−[フェニル(m−トリル)アミノ]−9,9−ジメチル−フルオレン−7−イル}−9,9−ジメチル−フルオレン、N−(4−((E)−2−(6((E)−4−(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン−2−イル)ビニル)フェニル)−N−フェニルベンゼンアミン、fac−イリジウムトリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C
2’)、mer−イリジウムトリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C
2’)、2,7−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−スピロビフルオレン、6−メチル−2−(4−(9−(4−(6−メチルベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)アントラセン−10−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール、1,4−ジ[4−(N,N−ジフェニル)アミノ]スチリルベンゼン、1,4−ビス(4−(9H−カルバゾール−9−イル)スチリル)ベンゼン、(E)−6−(4−(ジフェニルアミノ)スチリル)−N,N−ジフェニルナフタレン−2−アミン、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾレート)イリジウム、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾール)((2,4−ジフルオロベンジル)ジフェニルフォスフィネート)イリジウム、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾレート)(ベンジルジフェニルフォスフィネート)イリジウム、ビス(1−(2,4−ジフルオロベンジル)−3−メチルベンズイミダゾリウム)(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)イリジウム、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾレート)(4’,6’−ジフルオロフェニルピリジネート)イリジウム、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルピリジナト)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−2−(2’−ピリジル)ピロレート)イリジウム、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルピリジナト)(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)イリジウム、(Z)−6−メシチル−N−(6−メシチルキノリン−2(1H)−イリデン)キノリン−2−アミン−BF
2、(E)−2−(2−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)マロノニトリル、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−ジュロリジル−9−エニル−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン、トリス(ジベンゾイルメタン)フェナントロリンユーロピウム、5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリン](アセチルアセトネート)イリジウム、トリス[4,4’−ジ−t−ブチル−(2,2’)−ビピリジン]ルテニウム・ビス(ヘキサフルオロフォスフェート)、トリス(2−フェニルキノリン)イリジウム、ビス(2−フェニルキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム、2,8−ジ−t−ブチル−5,11−ビス(4−t−ブチルフェニル)−6,12−ジフェニルテトラセン、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト)(アセチルアセトネート)イリジウム、5,10,15,20−テトラフェニルテトラベンゾポルフィリン白金、オスミウムビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジン)−ピラゾレート)ジメチルフェニルフォスフィン、オスミウムビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(4−t−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)ジフェニルメチルフォスフィン、オスミウムビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール)ジメチルフェニルフォスフィン、オスミウムビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(4−t−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)ジメチルフェニルフォスフィン、ビス[2−(4−n−ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトネート)イリジウム、トリス[2−(4−n−ヘキシルフェニル)キノリン]イリジウム、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリン)]イリジウム、ビス(2−フェニルキノリン)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム、ビス(2−(9,9−ジエチル−フルオレン−2−イル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾラト)(アセチルアセトネート)イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)(3−(ピリジン−2−イル)−2H−クロメン−2−オネート)イリジウム、ビス(2−フェニルキノリン)(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム、ビス(フェニルイソキノリン)(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム、イリジウムビス(4−フェニルチエノ[3,2−c]ピリジナト−N,C
2’)アセチルアセトネート、(E)−2−(2−t−ブチル−6−(2−(2,6,6−トリメチル−2,4,5,6−テトラヒドロ−1H−ピローロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)ビニル)−4H−ピラン−4−イリデン)マロノニトリル、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(1−イソキノリル)ピラゾレート)(メチルジフェニルフォスフィン)ルテニウム、ビス[(4−n−ヘキシルフェニル)イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム、白金オクタエチルポルフィン、ビス(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)イリジウム、トリス[(4−n−ヘキシルフェニル)キソキノリン]イリジウム等が挙げられる。
【0117】
電子輸送層/ホールブロック層を形成する材料としては、8−ヒドロキシキノリノレート−リチウム、2,2’,2”−(1,3,5−ベンジントリル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)、2−(4−ビフェニル)5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン、6,6’−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−2−イル]−2,2’−ビピリジン、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール、4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン、1,3−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン、トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン、1−メチル−2−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5f][1,10]フェナントロリン、2−(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、フェニル−ジピレニルフォスフィンオキサイド、3,3’,5,5’−テトラ[(m−ピリジル)−フェン−3−イル]ビフェニル、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン、4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ビフェニル、1,3−ビス[3,5−ジ(ピリジン−3−イル)フェニル]ベンゼン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ジフェニルビス(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)シラン、3,5−ジ(ピレン−1−イル)ピリジン等が挙げられる。
【0118】
電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li
2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al
2O
3)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化ストロンチウム(SrF
2)、三酸化モリブデン(MoO
3)、アルミニウム、Li(acac)、酢酸リチウム、安息香酸リチウム、等が挙げられる。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、トリス(フェニルピラゾール)イリジウム等が挙げられる。
【0119】
本発明の電荷輸送性ワニスを用いたPLED素子の作製方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
上記OLED素子作製において、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の真空蒸着操作を行う代わりに、正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成することによって本発明の電荷輸送性ワニスによって形成される電荷輸送性薄膜を有するPLED素子を作製することができる。
具体的には、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して上記の方法により正孔注入層を作製し、その上に正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成し、さらに陰極電極を蒸着してPLED素子とする。
【0120】
使用する陰極および陽極材料としては、上記OLED素子作製時と同様のものが使用でき、同様の洗浄処理、表面処理を行うことができる。
正孔輸送性高分子層および発光性高分子層の形成法としては、正孔輸送性高分子材料もしくは発光性高分子材料、またはこれらにドーパント物質を加えた材料に溶媒を加えて溶解するか、均一に分散し、正孔注入層または正孔輸送性高分子層の上に塗布した後、それぞれ焼成することで成膜する方法が挙げられる。
【0121】
正孔輸送性高分子材料としては、正孔輸送性高分子材料としては、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,1’−ビフェニレン−4,4−ジアミン)]、ポリ[(9,9−ビス{1’−ペンテン−5’−イル}フルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン]−エンドキャップド ウィズ ポリシルシスキノキサン、ポリ[(9,9−ジジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(p−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]等が挙げられる。
【0122】
発光性高分子材料としては、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)等のポリフルオレン誘導体、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)等のポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
【0123】
溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロホルム等を挙げることができ、溶解または均一分散法としては撹拌、加熱撹拌、超音波分散等の方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、インクジェット法、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り等が挙げられる。なお、塗布は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
焼成する方法としては、不活性ガス下または真空中、オーブンまたはホットプレートで加熱する方法が挙げられる。
【実施例】
【0124】
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)基板洗浄:長州産業(株)製 基板洗浄装置(減圧プラズマ方式)
(2)ワニスの塗布:ミカサ(株)製 スピンコーターMS−A100
(3)膜厚測定:(株)小坂研究所製 微細形状測定機サーフコーダET−4000
(4)透過率測定:(株)島津製作所社製 可視紫外線吸収スペクトル測定装置UV−3100PC
(5)EL素子の作製:長州産業(株)製 多機能蒸着装置システムC−E2L1G1−N
(6)EL素子の輝度等の測定:(有)テック・ワールド製 I−V−L測定システム
(7)EL素子の寿命測定(半減期等の測定および予想半減期の見積):(株)イーエッチシー製 有機EL輝度寿命評価システムPEL−105S
【0125】
[1]化合物の合成
[合成例1]
実施例で使用する式(a−58)で表されるオリゴチオフェン誘導体2(以下、TP2ともいう。)を以下の方法により合成した。
【化50】
【0126】
フラスコ内に、3,3’’’−ジヘキシル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クウォーターチオフェン0.50gを入れて窒素置換した後、テトラヒドロフラン6.5mLを入れて−78℃に冷却した。そこへ、ノルマルブチルリチウム−ノルマルヘキサン溶液1.85mL(濃度:1.64M)を滴下した後30分撹拌した。そして、さらにそこへトリブチルクロロスタナン1.1mLを滴下した後、室温まで昇温し3時間撹拌した。
撹拌後、イオン交換水およびノルマルヘキサンを加え分液し、得られた有機層を更にイオン交換水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。
そして、溶媒を留去して3,3’’’−ジヘキシル−[2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クウォーターチオフェン]−5,5’’’−ジイル)ビス(トリブチルスタナン)を含む混合物(1.7g)を得た。
次に、別のフラスコ内に、この得られた混合物1.48gと2−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン0.46gを入れて窒素置換した後、トルエン15mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.05gを順次入れて、還流条件下で4時間撹拌した。
撹拌後、室温まで放冷し、そこへノルマルヘキサン 、トルエンおよびイオン交換水を加えて分液し、得られた有機層を更にイオン交換水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。
そして、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、オリゴチオフェン誘導体2を得た(収量:0.38g、収率:53% 2段階通算収率)。
1H−NMR(CDCl
3):δ7.16−7.13(m,4H),7.04(d,J=3.9Hz,2H),6.94(s,4H),6.92(d,J=5.4Hz,2H),2.78(m,8H),1.74−1.58(m,8H),1.44−1.31(m,24H),0.95−0.87(m,12H).
【0127】
[合成例2]
実施例で使用する式(a−144)で表されるオリゴチオフェン誘導体3(以下、TP3ともいう。)を以下の方法により合成した。
【化51】
【0128】
まず、2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンとトリブチルクロロスタナンから、トリブチル(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−イル)スタナンを合成した。
そして、フラスコ内に、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン1.5gとテトラキス(トリフェニルホスフィイン)パラジウム0.27gを入れて窒素置換した後、N,N−ジメチルホルムアミド20mLおよび予め合成したトリブチル(2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−5−イル)スタナン6.2gを加え、125℃に昇温し2時間撹拌した。
撹拌後、室温まで放冷し、そこへノルマルヘキサンを加え分液し、得られたN,N−ジメチルホルムアミド層をイオン交換水とメタノールの混合液中に滴下して再沈殿を行った。
そして、沈殿物をろ過によって回収して乾燥し、オリゴチオフェン誘導体3を得た(収量:1.4g、収率:66%)。
1H−NMR(CDCl
3):δ7.11(d,J=4.2Hz,2H),7.07(d,J=4.2Hz,2H),6.23(s,2H),4.37−4.33(m,4H),4.28−4.24(m,4H).
【0129】
[合成例3]
実施例で使用する式(a−306)で表されるオリゴチオフェン誘導体4(以下、TP4ともいう。)を以下の方法により合成した。
【化52】
【0130】
フラスコ内に、3,3’’’−ジヘキシル−2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クウォーターチオフェン1.00gを入れて窒素置換をした後、テトラヒドロフラン13mLを加えて−78℃に冷却した。そこへノルマルブチルリチウム−ノルマルヘキサン溶液3.7mL(濃度:1.64M)を滴下した後30分撹拌した。そして、さらにそこへトリブチルクロロスタナン2.2mLを滴下した後、室温まで昇温し3時間撹拌した。
撹拌後、イオン交換水およびノルマルヘキサンを加え分液し、得られた有機層を更にイオン交換水で2回洗浄した後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。
そして、溶媒を留去して(3,3’’’−ジヘキシル−[2,2’:5’,2’’:5’’,2’’’−クウォーターチオフェン]−5,5’’’−ジイル)ビス(トリブチルスタナン)を含む混合物(3.45g)を得た。
次に、別のフラスコ内に、この得られた混合物3.0gと4−ブロモ−N,N−ジフェニルアニリン1.2gを入れて窒素置換した後、トルエン45mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.10gを順次加え、還流条件下で8時間撹拌した。
撹拌後、室温まで放冷し、そこへクロロホルムおよびイオン交換水を加えて分液し、得られた有機層を更にイオン交換水で洗浄し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。
そして、溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、オリゴチオフェン誘導体4を得た(収量:0.76g,収率:44% 2段階通算収率)。
1H−NMR(CDCl
3):δ7.44(4H,d,J=8.9Hz),7.28−7.23(m,8H),7.12−7.10(m,10H),7.06−7.00(m,12H),2.78(t,J=7.4Hz,4H),1.69(quint,J=7.4Hz,4H),1.44−1.30(m,12H),0.89(m,6H).
【0131】
[合成例4]
実施例で使用する式(a−34)で表されるオリゴチオフェン誘導体5(以下、TP5ともいう。)を以下の方法により合成した。
【化53】
【0132】
窒素雰囲気下、フラスコ内に、ターチオフェン2.01gおよびテトラヒドロフラン50mLを入れて−78℃に冷却した。そこへn−ブチルリチウムのノルマルへキサン溶液(1.64M)19.6mLを滴下し、−78℃のまま30分間撹拌し、次いで0℃まで昇温してさらに1時間撹拌した。
その後、再び−78℃に冷却して30分間撹拌した後、トリブチルクロロスタナン8.8mLを滴下して10分撹拌し、次いで0℃に昇温してさらに30分間撹拌した。
撹拌後、反応混合物から減圧下で溶媒を留去し、得られた残渣をトルエンに加え、ろ過によって不溶物を除去し、得られたろ液から減圧下で溶媒を留去し、ターチオフェンのビススタニル体を含むオイル状物12.88g(当該ビススタニル体の純度51.91%)得た。
次いで、窒素雰囲気下で、別のフラスコ内に、このターチオフェンビススタニル体を含むオイル状物6.44g、2−ブロモ−3−ノルマルヘキシルチオフェン2.41g、トルエン24mLおよびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.23gを順次入れて、還流条件下4.5時間撹拌した。
室温まで放冷し、溶媒を減圧留去した後、ろ過にて不溶物を除去した。得られたろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、オリゴチオフェン誘導体5を得た(収量:1.29g、収率:55%、2段階通算収率)。
1H−NMR(CDCl
3):7.17(d,J=5.1Hz,2H),7.12(d,J=3.9Hz,2H),7.09(s,2H),7.01(d,J=3.9Hz,2H),6.93(d,J=5.1Hz,2H),2.78(t,J=7.7Hz,4H),1.54−1.70(m,4H),1.28−1.41(m,12H),0.89(t,J=7.0Hz,6H).
【0133】
[2]電荷輸送性ワニスの調製
[実施例1−1]
式(a−10)で表されるオリゴチオフェン誘導体(Sigma−Aldrich Co.LLC.製)(以下、TP1ともいう。)0.124gと、リンタングステン酸(関東化学(株)製)0.247gとを、窒素雰囲気下で1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン4.0gに溶解させた。得られた溶液に、シクロヘキサノール6.0gおよびプロピレングリコール2.0gを加えて撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
【0134】
【化54】
【0135】
[実施例1−2〜1−5]
TP1の使用量およびリンタングステン酸の使用量を、それぞれ、0.093gおよび0.278g(実施例1−2)、0.074gおよび0.297g(実施例1−3)、0.062gおよび0.309g(実施例1−4)、0.053gおよび0.318g(実施例1−5)とした以外は、実施例1−1と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
【0136】
[実施例1−6]
TP1 0.124gの代わりにTP3 0.062gを用い、リンタングステン酸の使用量を0.309gとした以外は、実施例1−1と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
【0137】
[実施例1−7〜1−8]
TP3の使用量およびリンタングステン酸の使用量を、それぞれ0.034gおよび0.337g(実施例1−7)、0.018gおよび0.353g(実施例1−8)とした以外は、実施例1−6と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
【0138】
[実施例1−9]
TP5 0.116gと、リンタングステン酸0.348gとを、窒素雰囲気下で1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン10.5gに溶解させた。得られた溶液に2,3−ブタンジオール3g、プロピレングリコールモノメチルエーテル1.5gを順次加えて撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
【0139】
[3]薄膜の透過率の測定
[実施例2−1〜2−5]
実施例1−1〜1−5で得られたワニスを、スピンコーターを用いて石英基板に塗布した後、大気中、50℃で5分間乾燥し、さらに230℃で15分間焼成し、石英基板上に膜厚30nmの均一な薄膜を形成した。そして、形成した薄膜の透過率を測定した。透過率は可視領域である波長400〜800nmをスキャンした。400〜800nmの平均透過率を表1に示す。
なお、石英基板は、プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)を用いて表面上の不純物を除却してから使用した。
【0140】
【表1】
【0141】
表1に示されるとおり、本発明の電荷輸送性ワニスを用いて作製した薄膜は、可視領域において、95%以上という高い透過率を有していることがわかった。
【0142】
[4]有機EL素子の製造および特性評価
[実施例3−1]
実施例1−1で得られたワニスを、スピンコーターを用いてITO基板に塗布した後、50℃で5分間乾燥し、さらに、大気雰囲気下、230℃で10分間焼成し、ITO基板上に30nmの均一な薄膜を形成した。ITO基板としては、インジウム錫酸化物(ITO)が表面上に膜厚150nmでパターニングされた25mm×25mm×0.7tのガラス基板を用い、使用前にO
2プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)によって表面上の不純物を除却した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10
-5Pa)を用いてα−NPD、Alq
3、フッ化リチウム、およびアルミニウムの薄膜を順次積層し、有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、α−NPD,Alq
3およびアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚は、それぞれ30nm、40nm、0.5nmおよび120nmとした。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、有機EL素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は、以下の手順で行った。
酸素濃度2ppm以下、露点−85℃以下の窒素雰囲気中で、有機EL素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着材(ナガセケムテックス(株)製,XNR5516Z−B1)により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製,HD−071010W−40)を有機EL素子と共に封止基板内に収めた。貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長:365nm、照射量:6000mJ/cm
2)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着材を硬化させた。
【0143】
[実施例3−2〜3−9]
実施例1−1で得られたワニスの代わりに、それぞれ、実施例1−2〜1−9で得られたワニスを用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で有機EL素子を作製した。
【0144】
[比較例1]
実施例1−1で得られたワニスの代わりにPEDOT/PSS(H.C.Starck社製AI4083)を用いた以外は、実施例3−1と同様の方法で素子を作製した。
【0145】
作製した素子の駆動電圧5Vにおける電流密度および輝度を測定した。また、実施例3−1〜3−8の素子については、輝度の半減期(LT50)(初期輝度5000cd/m
2、以下同様)を、実施例3−9の素子については、輝度が初期輝度の80%になる時間(LT80)を、それぞれ測定することで耐久性試験をした。結果を表2に示す。なお、実施例3−9の素子のLT80の時点における予想半減期も併せて示す。
【0146】
【表2】
※輝度の予想半減期
【0147】
表2に示されるとおり、本発明のワニスから得られた正孔注入層を有する有機EL素子(実施例3−1〜3−9)は、優れた輝度特性を有するだけでなく、一般的な電荷輸送性材料であるポリチオフェン(PEDOT/PSS)正孔注入層を用いた場合(比較例1)と比較して遥かに優れた耐久性を有することがわかる。