(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記照明システムは、リソグラフィプロセスを監視するために前記第2ビームが前記ウェーハのクリティカルディメンジョン測定値を提供するように構成されかつ前記第3ビームが前記ウェーハのオーバーレイ測定値を提供するように構成されるように、前記第1ビームを前記第2ビームおよび前記第3ビームへと分割するビームスプリッタをさらに備える、請求項1に記載の検査装置。
前記第1ビームを、前記反射屈折対物系および前記屈折対物系にそれぞれ誘導される前記第2ビームと前記第3ビームとに分割するビームスプリッタをさらに備える、請求項1記載の検査装置。
前記第2ビームは第1スペクトル範囲を有し、前記第3ビームは第1スペクトル範囲とは異なる第2スペクトル範囲を有し、前記検査装置の動作スペクトル範囲は前記第1および第2スペクトル範囲を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0033] 本明細書は、本発明の特徴を含む1つ以上の実施形態を開示する。開示された実施形態は、単に、本発明を例証するものである。本発明の範囲は、開示された実施形態に制限されない。本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0019】
[0034] 本明細書において説明され、かつ「一実施形態」「ある実施形態」「一例の実施形態」などと称される実施形態は、該説明される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を備え得ることを示すものの、全ての実施形態が必ずしも該特定の特徴、構造または特性を備えなくてもよい。さらに、上記の語句は、必ずしも同一の実施形態を指すものでなくてもよい。さらに、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性が説明される場合、他の実施形態との関連においても該特徴、構造、または特性がもたらされることは、明確な記載の有無にかかわらず、当業者の知識の範囲内であると理解される。
【0020】
[0035] これらの実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実現され得る環境の一例を示しておくことが有益である。
【0021】
[0036]
図1は、リソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、紫外線、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PLと、を備える。
【0022】
[0037] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0023】
[0038] サポート構造は、パターニングデバイスを支持する、つまり、パターニングデバイスの重量を支える。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0024】
[0039] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0025】
[0040] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0026】
[0041] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0027】
[0042] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、上述のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0028】
[0043] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0029】
[0044] また、リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間(例えば、マスクと投影システムとの間)に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させることで当技術分野において周知である。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0030】
[0045]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0031】
[0046] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0032】
[0047] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPLを通過し、投影システムPLは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、二次元エンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0033】
[0048] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0034】
[0049] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0035】
[0050] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0036】
[0051] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0037】
[0052] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0038】
[0033]
図2に示すように、リソグラフィ装置LAは、リソセルまたはクラスタとも呼ばれることがあるリソグラフィセルLCの一部を形成し、リソグラフィセルLCは、基板上で露光前プロセスまたは露光後プロセスを行う装置も備える。従来、これらは、レジスト層を塗布するスピンコータSC、露光されたレジストを現像するデベロッパDE、冷却プレートCHおよびベークプレートBKを備える。基板ハンドラ(あるいはロボット)ROは、入出力ポートI/O1、I/O2から基板を取り出し、それらの基板を異なるプロセス装置間で移動させ、リソグラフィ装置のローディングベイLBへと搬送する。まとめてトラックと呼ばれることもあるこれらのデバイスは、トラック制御ユニットTCUの制御下にあり、トラックコントロールユニットTCU自体も、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置も制御する監視制御システムSCSによって制御される。したがって、異なる装置を稼動させてスループットおよび処理効率を最大にすることができる。
【0039】
[0054] リソグラフィ装置によって露光される基板を正確かつ一定して露光するためには、露光された基板を検査して、2つの層間のオーバーレイエラー、ラインの厚さ、クリティカルディメンジョン(CD)などの特性を測定することが望ましい。エラーが検出された場合、特に、同一バッチの他の基板が露光される前に完了し得るほど早急かつ迅速に検査を行うことができる場合には、後続の基板の露光を調節することができる。また、既に露光された基板は、歩留まりを向上するために剥離および再加工するか、または廃棄することができ、これにより欠陥があると分かっている基板に露光を行うことを回避できる。基板のターゲット部分のうちいくつかのみに欠陥がある場合、良好なターゲット部分にのみさらなる露光を行うことができる。
【0040】
[0055] 検査装置を使用して、基板の特性、特に、異なる基板の特性または同一基板の異なる層の特性が、層ごとにどのように異なるかを決定する。検査装置は、リソグラフィ装置LAまたはリソセルLCに一体化されてもよいし、スタンドアロンデバイスであってもよい。最も迅速な測定を可能にするには、検査装置が、露光されたレジスト層内の特性を露光直後に測定するのが望ましい。しかし、レジスト内の潜像はコントラストが非常に低く(レジストにおいて、放射に露光された部分と露光されていない部分とでは、非常に小さい屈折率の差しかない)、全ての検査装置が潜像の有効な測定を行うほどに十分な感度を有しているわけではない。したがって、通常露光された基板に対して実行される最初のステップであって、レジストの露光部分と非露光部分との間のコントラストを増加させるポストベークステップ(PEB)の後に測定が行われ得る。この段階において、レジスト内の像は、半潜像と呼び得る。また、現像されたレジスト像(この時点では、レジストの露光部分と非露光部分のいずれかが除去されている)に対して測定を行うことも、あるいは、エッチングなどのパターン転写ステップの後に測定を行うことも可能である。後者では、欠陥のある基板の再加工の可能性が制限されるが、それでもなお有用な情報が提供され得る。
【0041】
[0056]
図3は、本発明のいくつかの実施形態で使用可能なスキャトロメータを示す。このスキャトロメータは、基板W上に放射を投影する広帯域(白色光)放射投影機2を含む。反射した放射は、スペクトロメータディテクタ4に送られ、スペクトロメータディテクタ4は、正反射した放射のスペクトル10(波長に応じた強度)を測定する。このデータから、検出されたスペクトルに生じる構造またはプロファイルを、厳密結合波分析および非線形回帰によって、または、
図3の下部に示すようなシミュレートされたスペクトルのライブラリと比較することによって、処理ユニットPUにより再構築され得る。一般的に、このような再構築については、構造の一般形態が既に知られており、いくつかのパラメータは該構造が作られたプロセスを知ることで想定されるため、わずかな構造のパラメータのみがスキャトロメトリデータから決定されることになる。このようなスキャトロメータは、法線入射スキャトロメータまたは斜め入射スキャトロメータとして構成され得る。しかし、法線入射では、このスキャトロメータは、パターンの非対称性に対する感度がない。0次回折次数でパターンの非対称性を検出するには、斜め入射が必要である。
【0042】
[0057] いくつかの実施形態で使用可能な別のスキャトロメータを
図4に示す。このデバイスにおいて、放射源2から放出された放射は、レンズシステム12を使って平行化され、干渉フィルタ13およびポラライザ17を透過し、部分的な反射面16で反射し、ある実施形態では0.9以上、他の実施形態では0.95以上といった高い開口数(NA)を有する顕微鏡対物レンズ15を介して基板W上に合焦される。液浸スキャトロメータは、1より大きい開口数を有するレンズを有することすらある。反射した放射は、その後、部分的な反射面16を透過し、散乱スペクトルを検出させるために、ディテクタ18に入射する。ディテクタは、レンズシステム15の焦点距離にある後方投影の瞳面11内に位置し得るが、この瞳面は、補助光学部品(図示なし)によりディテクタ上に再結像されてもよい。瞳面は、この面内で、放射の半径方向位置が入射角度を規定し、かつ、角度位置が放射のアジマス角度を規定するような面である。ディテクタは、基板ターゲット30の二次元角散乱スペクトルが測定できるように、二次元ディテクタであることが好ましい。ディテクタ18は、例えば、CCDまたはCMOSセンサのアレイであってよく、例えば、毎フレーム40ミリ秒の積分時間を使い得る。
【0043】
[0058] 参照ビームは、例えば、入射放射の強度を測定するために使用されることが多い。このために、ビームスプリッタ16に放射ビームが入射すると、この放射ビームの一部は、参照ビームとして参照ミラー14に向けてビームスプリッタを透過させられる。参照ビームは、その後、同一のディテクタ18の異なる部位上あるいは異なるディテクタ上へと投影される。
【0044】
[0059] 一組の干渉フィルタ13を利用して、例えば、405〜790nmの範囲または200〜300nmといったさらに小さい範囲で対象の波長を選択することができる。干渉フィルタは、一組の異なるフィルタを含む代わりに、波長可変のものであってもよい。干渉フィルタの代わりに回折格子を使用することもできる。
【0045】
[0060] ディテクタ18は、単一の波長(または狭い波長範囲)で散乱光の強度を測定してもよく、複数の波長で別々に強度を測定してもよく、またはある波長範囲でまとめて測定してもよい。さらに、ディテクタは、TM偏光およびTE偏光の強度、ならびに/または、TM偏光とTE偏光との間の位相差を別々に測定してもよい。
【0046】
[0061] 広帯域光源(つまり、広範囲の光周波数または波長、ひいては広範囲の色を有する光源)を使用することが可能であり、これによって大きいエタンデュがもたらされ、複数の波長を組み合わせることが可能になる。広帯域の複数の波長は、それぞれが、Δλの帯域幅と、少なくとも2Δλ(つまり帯域幅の2倍)の間隔を有することが好ましい。いくつかの放射の「源」は、ファイバ束を使って分割された拡張型放射源(extended radiation source)の異なる部分とすることができる。このようにして、複数の波長で角度分解散乱スペクトルを並行して測定することができる。二次元スペクトルよりも多い情報を含む三次元スペクトル(波長および2つの異なる角度)が測定可能である。これにより、より多くの情報が測定可能になり、メトロロジプロセスのロバスト性が高まる。これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、欧州公開特許公報第1,628,164号においてより詳細に記載されている。
【0047】
[0062] 基板W上のターゲット30は、現像後にバーが実線のレジスト線で形成されるように印刷される一次元の周期的な格子であり得る。ターゲット30は、現像後に実線のレジストピラーまたはレジスト内のビアによって格子が形成されるように印刷される二次元の周期的な格子であってもよい。あるいは、これらのバー、ピラーまたはビアは、基板内にエッチング形成されてもよい。このパターンは、リソグラフィ投影装置内、特に投影システムPL内の色収差に敏感であり、照明対称性およびそのような収差の存在が印刷後の格子のばらつきとして発現することになる。したがって、印刷後の格子のスキャトロメトリデータを使用して、格子が再構築される。線の幅または形状といった一次元格子のパラメータ、あるいは、ピラーやビアの幅、長さ、または形状といった二次元格子のパラメータは、印刷ステップおよび/または他のスキャトロメトリプロセスの知識から、処理ユニットPUによって実行される再構築プロセスに入力され得る。
【0048】
[0063] 上述したように、ターゲットは、基板の表面上にある。このターゲットは、たいてい、格子状の一連の線の形状または二次元アレイの略矩形構造の形状を取ることになる。メトロロジにおける厳密光回折理論の目的は、実質上、ターゲットから反射した回折スペクトの計算である。すなわち、CD(クリティカルディメンジョン)均一性およびオーバーレイメトロロジのために、ターゲット形状情報が得られる。オーバーレイメトロロジは、基板上の2つの層が位置合わせされているか否かを決定するために、2つのターゲットのオーバーレイが測定される測定システムである。CD均一性は、単に、リソグラフィ装置の露光システムがどのように機能しているかを決定するためにスペクトル上の格子の均一性を測定するものである。具体的に、CD、あるいはクリティカルディメンジョンは、基板上に「描かれた」オブジェクトの幅であり、かつ、リソグラフィ装置が物理的に基板上に描くことができる限界である。
【0049】
[0064]
図5は、ある実施形態に係る検査装置500を示す。検査装置500は、スキャトロメトリシステムであり得る。スキャトロメトリシステム500は、CD測定値およびOV測定値などのウェーハ508の特性を1つ以上検知することができる。一実施形態では、検査装置500は、約200nm〜約850nmの広いスペクトル範囲で動作する。検査装置500は、EUVリソグラフィにおいて使用することができ、高い生産性ならびに正確なCDメトロロジおよびOVメトロロジを可能にする。
【0050】
[0065] 検査装置500は、放射源502、反射屈折対物系504、屈折対物系506、第1センサ510および第2センサ512を備える。放射源502は、例えば、広帯域(白色光)放射源であり得る。放射源502は、放射ビーム516を生成する。検査装置500は、放射ビーム516を調整するように構成されたイルミネータ518も備えてもよい。検査装置500と共に使用可能なイルミネータの一例は、
図16を参照して以下でさらに詳細に説明する。
【0051】
[0066] 一実施形態において、装置500は、放射源放射ビーム516から第1ビーム522および第2ビーム524を生成する。装置500は、第1ビーム522を反射屈折対物系504へと誘導するように構成される。装置500は、第2ビーム524を屈折対物系506へと誘導するように構成される。一実施形態では、第1ビーム522は、約200nm〜約425nmのスペクトル範囲を有し、第2ビーム524は、約425nm〜約850nmのスペクトル範囲を有する。
【0052】
[0067] 一実施形態では、装置500は、イルミネータ518と、ビーム516を第1ビーム522および第2ビーム524へと分割するビームスプリッタ520とを備える照明システムを備える。ビームスプリッタ520は、2つの三角プリズムまたは放射ビーム516を第1ビーム522および第2ビーム524へと分割するように構成された他のあらゆる光デバイスであってよい。
【0053】
[0068] 別の実施形態では、装置500は、放射ビーム516を、反射屈折対物系504へと誘導される光路と屈折対物系506へと誘導される光路との間で再誘導するように構成される切り替え可能なミラーデバイス(図示なし)を含む。
【0054】
[0069] 一例では、反射屈折対物系504への光路内において、装置500は、第1ビーム522を反射屈折対物系504へと誘導するように構成された1つ以上の折り畳みミラーまたは1つ以上のビームスプリッタも備え得る。
図5に示した例では、装置500は、1つの折り畳みミラー526と、ビーム522をビームスプリッタ520から反射屈折対物系504へと誘導する1つのビームスプリッタ528とを備える。
【0055】
[0070]第1ビーム522は、反射屈折対物系504を通って、ウェーハ508上の一部分へと合焦されるように誘導される。そして、第1ビーム522は、反射し、屈折対物系504およびビームスプリッタ528を通って戻され、第1センサ510へと誘導される。
【0056】
[0071] 反射屈折対物系504は、大きいNAを有し得る。例えば、反射屈折対物系504は、約0.90〜約1.0の範囲にわたるNAを有し、いくつかの実施形態では、約0.95のNAを有し得る。また反射屈折対物系504は、例えば、約200nm〜約425nmといった広いスペクトル範囲にわたってアクロマートでもあり得る。いくつかの実施形態では、反射屈折対物系504は、光学システムのコーティング特性および透過特性を向上させる。他の実施形態では、反射屈折対物系504は、
図8を参照して以下でさらに説明するような強固なモノリシックの二要素設計である。
【0057】
[0072] 装置500は、第1ビーム522を反射屈折対物系504から第1センサ510へと誘導するように構成された1つ以上のリレーミラーも備え得る。
図5に示すように、装置500は、第1ビーム522をビームスプリッタ528から第1センサ510へと誘導するように構成された第1リレーミラー530および第2リレーミラー532を備える。
【0058】
[0073] 第1センサ510上に形成された像は、ウェーハ508の1つ以上の特徴を決定するのに使用される。第1センサ510は、電荷結合素子(CCD)または他のあらゆる好適な撮像素子であり得る。第1センサ510は、CD測定または大きいターゲットのOV測定に使用することができる。
【0059】
[0074]
図6は、環状のアパーチャを使用する際に第1センサ510上に形成される代表的な瞳像600を例示している。環状のアパーチャを使用して、0次回折次数606、−1次回折次数602、+1次回折次数604が
図6に示すように重畳されるように異なる回折次数が分離される。瞳アパーチャは、用途に基づき、環状以外の形状を有することができ、例えば、瞳アパーチャは、円形、弓形(segment)、ダイポール、スリット、または他のあらゆる好適な形状であってよい。環状のアパーチャは、一般的にCD測定および大きいターゲットのOV測定に使用される。
【0060】
[0075] 装置500は、第2ビーム524を屈折対物系506へと誘導するように構成された1つ以上の光学要素も備え得る。
図5に示すように、装置500は、ビームスプリッタ520からのビーム524を屈折対物系506へと誘導するビームスプリッタ534を備える。屈折対物系506は、あらゆる好適な屈折対物系であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、屈折対物系506は、
図13〜15を参照して以下でさらに詳しく説明する1つ以上の光学レンズを備える。
【0061】
[0076] 一例では、約425nm〜約850nmのスペクトル範囲を有し得る第2ビーム524は、屈折対物系506を通って、ウェーハ508上の一部分に合焦されるように誘導される。そして、第2ビーム524は、反射し、屈折対物系506およびビームスプリッタ534を通って戻され、第2センサ512へと誘導される。装置500は、第2放射ビーム524を第2センサ512へと誘導し、かつ調整するように構成された1つ以上の光学要素も備え得る。例えば、
図5に示すように、装置500は、第1リレーレンズ536および第2リレーレンズ538を備える。反射した第2ビーム524は、第2センサ512へと誘導され、像を形成する。第2センサ512は、CCDまたは他のあらゆる好適な撮像素子であってよい。一実施形態では、
図6に例示した瞳像600と同様の瞳像が第2センサ512上に形成され、CD測定および大きいターゲットのOV測定に使用することができる。
【0062】
[0077] 一例では、検査装置500は、第3センサ514も備えることができる。第3センサ514は、CCDまたは他のあらゆる好適な撮像素子であってよい。第3センサ514は、OV測定、特に、小さいターゲットのOV測定用に構成されている。
図5に示すように、この例では、装置500は、ウェーハ508から反射した第2ビーム524を2つのビームに分割する第4ビームスプリッタ540を備え、一方のビームは第2センサ512へと誘導され、他方のビームは第3センサ514へと誘導される。
【0063】
[0078] 一例では、検査装置500は、OV測定のためにウェーハの像スポートを第3センサ514上に合焦するように構成された1つ以上の光学要素を第4ビームスプリッタ540と第3センサ514との間に備える。例えば、
図5に示すように、検査装置500は、リレーレンズ542と、0次回折次数をブロックする暗視野検出方法用に構成された空間フィルタまたは視野絞り543と、を備える。このシステムの例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2010年7月29日出願の米国特許出願公報第2011/0027704号に記載されている。
図7は、第3センサ514上に形成される、ウェーハマークを含むウェーハ508の代表的なスポット像を示す。視野絞り543のアパーチャは、0次回折次数をブロックする。
図7に示すような、第3センサ514上に形成される像を使用して、ウェーハ508の1つ以上の特徴、例えば、小さいターゲットのOV測定値などを決定することができる。
【0064】
[0079] したがって、一例では、放射源放射ビーム516を、約200nm〜約425nmのスペクトル範囲を有する第1放射ビーム522と、約425nm〜約850nmのスペクトル範囲を有する第2放射ビームとに分離することによって、光学性能が向上する。一方で、全体として広いスペクトル範囲の検査装置500が維持される。
【0065】
[0080]
図5に示すような検査装置500は、1つの放射源502を備えるため、反射屈折対物系504および屈折対物系506は、一実施形態において、例えば、一致した瞳サイズ、焦点距離、およびNAなどの一致したパラメータを有する。例えば、反射屈折対物系504および屈折対物系506は、いずれも、約6.6mm〜約6.7mmの範囲にわたる瞳径を有し得る。イルミネータ518内の瞳アパーチャと各対物系内の瞳との間に構築される光学パスもまた、等しくなり得る。
[反射屈折対物系の実施形態例]
【0066】
[0081]
図8は、
図5に示される検査装置500と共に使用され得る反射屈折対物系804を概略的に例示している。
図8に示すように、反射屈折対物系804は、反射要素844と、例えばモノリシックなガラス要素などのモノリシック要素845と、を備える。反射要素844は、例えば、
図5に示すような装置500のビームスプリッタ520によって分割された、約200nm〜約425nmのスペクトル範囲を有する第2放射ビーム822を調整し、コマなどの1つ以上の光学収差を補正する。
図8に示すように、屈折要素844は、表面S4およびS5を備える。モノリシック要素845は、屈折要素844によって調整された放射ビーム822を反射するように位置決めされた反射凸面S7を備える。モノリシック要素845は、反射性の凹面S8と、所望の波長範囲内の光に対して実質的に透明な表面S6を備える。透明面部分S6は、光軸を中心に芯合わせされ、かつ放射ビーム822の幅に基づき得る直径を有している。一例では、表面S6は屈折要素844から来る放射ビーム822を通過させ、表面S8は表面S7から来るビーム822の光線を反射する。つまり、屈折要素844によって調整された放射ビーム822は、モノリシック要素845の透明表面S6を通過し、反射凸表面S7に当たる。
【0067】
[0082] モノリシック要素845の表面S8は、凸表面S7によって反射された放射を受け、この放射をウェーハ808のターゲット部分に向けて反射する。ウェーハ808のターゲット部分に当たる前に、放射は、モノリシック要素845の表面S9を横断する。一実施形態では、反射面S8で反射する全ての光線がモノリシック要素845から表面S9に対して垂直に出射するため、表面S9によって屈折されない。結果として、反射屈折要素804がアクロマートになり得る。
【0068】
[0083] モノリシック要素845は、例えば融解石英(SiO
2)などのガラスを含むことができる。
【0069】
[0084]
図8の実施形態で描写された光学面を設計するための処方例を下記の表1に記載する。
【表1】
【0070】
[0085] 一実施形態において、非球面S5、S6、S7およびS8は、以下の非球面式に従って設計することができる:
【数1】
【0071】
[0086] ここで、
[0087] r=x
2+y
2、
[0088] cは、表面の曲率(1/RDY)、
[0089] kは、コーニック定数、そして、
[0090] A〜Jは、非球面係数である。
【0072】
[0091] 一実施形態において、式1を使用すると、非球面S5およびS8は、以下の表2に記載されるパラメータを有し得る。
【表2】
【0073】
[0092] 他の実施形態では、
図5に示すような検査装置500と共に使用される反射屈折対物系は、他の好適な反射屈折対物系の設計形態を含んでもよく、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,633,689号に記載されるような設計形態であってもよい。いくつかの実施形態では、
図5に示す検査装置500と共に使用される反射屈折対物系は、約200nm〜約424nmのスペクトル範囲を有する放射と共に使用するのに好適なあらゆる反射屈折対物系であり得る。
【0074】
[0093] いくつかの実施形態では、検査装置500と共に使用される反射屈折対物系システムは、反射屈折対物系と、この反射屈折対物系により作り出された像面湾曲を補正するための少なくとも2つのミラーと、を備えることができる。像面湾曲を補正する反射屈折対物系システムで使用される反射屈折対物系は、上述した実施形態のいずれかの形態、または他のあらゆる好適な反射屈折対物系の形態を取ることができる。
【0075】
[0094] 像面湾曲は光学面の曲率に左右されるため、複数の追加のミラーを、反射屈折対物系システムの全体的な像面湾曲を補正または減少するように構成することができる。特に、ミラーの反射面は、例えば、
図8に示すような表面S9の作用を補償する。各ミラーは、第1表面ミラーまたは第2表面ミラー(例えば、マンギンミラー)のいずれかであってよい。各ミラーは、球面形状または非球面形状を有することができる。
【0076】
[0095] 一実施形態では、追加のミラーの開口の中心で規定される、該追加のミラーの平均曲率の合計(A)は、ゼロより大きい、つまり、A>0である。第1表面ミラーでは、曲率は凹面に対して正で、凸面に対して負である。第2表面ミラーでは、曲率は凸面に対して正で、凹面に対して負である。反射屈折対物系システムのミラーでA>0の場合、これらのミラーは、反射屈折対物系によって誘発される像面湾曲の正弦とは反対の正弦を有する像面湾曲を誘発する。
【0077】
[0096] 追加のミラーは、共通の回転軸(ビームは反射面のオフアクシスパッチ(off-axis patches)に当たる)または共通の対称面(ミラーは1つの平面内で偏心および/または傾斜される)を有し得る。あるいは、ミラーは、全く対称性を有さず、三次元空間内で偏心および傾斜されていてもよい。いくつかの実施形態では、全てのビームの全ての光線の入射角は、ビームオブスキュレーションを回避するために、ゼロではない。
【0078】
[0097] 他の実施形態では、反射屈折対物系システムは、ミラー間に任意の屈折要素も備えることができる。色収差の誘発を回避するために、複数の屈折要素の全ての表面と、例えば、
図8に示すような表面S6などの、反射屈折対物系のモノリシック要素の第1表面との集約した屈折力は、ゼロに近いものであるべきである。ここで、表面の屈折力は、c*(n’−n)で規定され、ここで、cは表面曲率であり、nおよびn’は表面の両側からの屈折率である。
【0079】
[0098]
図9〜12は、反射屈折対物系と、この反射屈折対物系によって誘発された像面湾曲を補正するための少なくとも2つのミラーと、を備える反射屈折対物系システムの代表的な実施形態を概略的に例示する。
【0080】
[0099]
図9は、(表面S7およびS8を有する屈折要素944を備える)反射屈折対物系904と、反射面S5、S4、S3およびS2をそれぞれ有する4つのミラー986、988、990および992と、を備える反射屈折対物系システム905を概略的に例示する。ミラー986、988、990、および992の間には、屈折要素は存在しない。ここで、オブジェクトは、対物系から有限の距離または無限の距離に位置決めすることができる。
【0081】
[0100]
図9の反射屈折対物系システム905において示した光学面を設計するための処方例を以下の表3に記載する。
【表3】
【0082】
[0101] 回転対称非球面S8、S9およびS11は、上記規定した式1に従って設計され得る。例えば、式1を使うと、
図9に示す表面S8、S9およびS11は、以下の表4に記載されるパラメータを有することができる。
【表4】
【0083】
[0102] アナモルフィック非球面(AAS)S4,S5およびS7は、z軸に平行な表面のたるみに対する以下の式に従って設計することができる。
【数2】
【0084】
[0103] ここで、
[0104] CUXおよびCUYは、それぞれ、xおよびy方向の曲率である。
[0105] KXおよびKYは、それぞれ、xおよびy方向のコーニック定数であり、式1のkと同様に偏心に対応し、
[0106] AR、BR、CRおよびDRは、コーニックからの4次、6次、8次、10次の回折次数の変形の回転対称部分である。
[0107] AP、BP、CPおよびDPはコーニックからの4次、6次、8次、10次の回折次数の変形の非回転対称成分である。
【0085】
[0108] 例えば、式2を使うと、
図9に示す表面S4,S5およびS7は以下の表5に記載するパラメータを有し得る。
【表5】
【0086】
[0109]
図9に示すように、ミラー992、990、988および986のそれぞれの反射面S2、S3、S4およびS5は、偏心させることができる。ミラー992、990、988および986の反射面S2、S3、S4およびS5は、また、x軸(
図9の紙面の平面に垂直な軸)を中心に傾斜させることもできる。例えば、表面S2、S3、S4およびS5は、以下の表6に記載されるパラメータに従って偏心および傾斜させられ得る。
【表6】
【0087】
[0110] 一例では、ミラー986、988、990および992の曲率の平均合計はゼロより大きい。これは、ミラー986、988、990および992が、反射屈折対物系904に誘発される像面湾曲の正弦とは反対の正弦を有する像面湾曲を誘発することを意味する。したがって、反射屈折対物系905の像面湾曲は、補正されるか、少なくとも減少される。
【0088】
[0111]
図10は、別の実施形態に係る反射屈折対物システム1005を概略的に示している。反射屈折システム1005は、(屈折要素1044を備える)反射屈折対物系1004と、2つのミラー1086および1088とを備える。ここで、ミラー1086および1088の平均曲率の合計はゼロより大きく、反射屈折対物系1004によって誘発される全体的な像面湾曲を補正または減少する。
【0089】
[0112] この例では、反射屈折対物系システム1005は、屈折要素1094および屈折要素1096を備える。屈折要素1094は、第1ミラー1086と第2ミラー1088との間に位置決めされる。屈折要素1096は、第2ミラー1088の前に位置決めされる。ミラー1086および1088は、偏心および傾斜させられ得る。
【0090】
[0113]
図11は、別の実施形態による反射屈折対物系システム1105を概略的に示す。反射屈折システム1105は、(屈折要素1144を備える)反射屈折対物系1104と、3つのミラー1186、1188および1190とを備える。ミラー1186、1188および1190は、偏心および傾斜させることができる。ミラー1186、1188および1190の平均曲率はゼロより大きい。この条件によって、反射屈折対物系1104に起因する像面湾曲を補正または減少することができる。
【0091】
[0114] この例では、反射屈折対物系システム1105は、屈折要素1194、1196および1198を備える。屈折要素1194は、ミラー1186とミラー1188との間の光路内に位置決めされる。屈折要素1196は、ミラー1190とミラー1188との間の光路内に位置決めされる。屈折要素1198は、ミラー1190の前の光路内に位置決めされる。
【0092】
[0115]
図12は、ある実施形態による反射屈折対物系システム1205を示す。反射屈折システム1205は、(屈折要素1244を備える)反射屈折対物系1204と、4つのミラー1286、1288、1290および1291を備える。ミラー1286、1288、1290および1291は、偏心および傾斜させることができる。
【0093】
[0116] この例では、ミラー1286、1288、1290および1291の反射面の平均曲率はゼロより大きく、反射屈折対物系1204によって誘発される像面湾曲を補正または減少する。
【0094】
[0117] 反射屈折対物系システム1205は、屈折要素1294、屈折要素1296、屈折要素1298および屈折要素1299も備え得る。屈折要素1294は、ミラー1286と1288との間の光路内に位置決めされる。屈折要素1296は、ミラー1290と1288との間の光路内に位置決めされる。屈折要素1298は、ミラー1291とミラー1290との間の光路内に位置決めされる。屈折要素1299は、ミラー1291の前の光路内に位置決めされる。
[屈折対物系の実施形態例]
【0095】
[0118]
図13は、
図5に示すような検査装置500と共に使用可能な屈折対物系1306を概略的に例示する。
図13に示すように、屈折対物系1306は、3つのレンズ群、すなわち、後方レンズ群1346、中間レンズ群1348、および前方レンズ群1350を備える。この例では、S2は対物系1306の入射瞳、S6は対物系1306のアパーチャ絞りである。
【0096】
[0119] この例では、後方レンズ群1346は、ダブレット(doublet)を形成するレンズ1352およびレンズ1354を備える。レンズ1352は、表面S3および表面S4を有する。レンズ1354は、表面S4および表面S5を有する。レンズ1352およびレンズ1354は、ペッツヴァル和補正のための強い負のダブレットを形成することができる。
【0097】
[0120] この例では、中間レンズ群1348は、ダブレット1356、トリプレット(triplet)1358、ダブレット1360、およびダブレット1362を備える。ダブレット1356は、表面S7および表面S8を有するレンズ1364と、表面S8および表面S9を有するレンズ1366を含む。トリプレット1358は、表面S10および表面S11を有するレンズ1368と、表面S11および表面S12およびを有するレンズ1370と、表面S12および表面S13を有するレンズ1372と、を備える。ダブレット1360は、表面S14および表面S15を有するレンズ1374と、表面S15および表面S16を有するレンズ1376と、を備える。ダブレット1362は、表面S17および表面S18を有するレンズ1378と、表面S18および表面S19を有するレンズ1380と、を備える。
【0098】
[0121] トリプレット1358に関し、レンズ1368およびレンズ1372は正レンズとすることができ、レンズ1370は負レンズとすることができる。一実施形態では、レンズ1372は、フッ化カルシウム(CaF
2)を含む。レンズ1370は、重クラウン、重フリント、ランタンフリント、またはランタン稠密フリントを含む。レンズ1372は、約1.75より大きい屈折率を有する重フリント材料を含む。これらのガラス材料の組み合わせにより、対物系1306がスーパーアポクロマート収差補正を達成することが可能になる。
【0099】
[0122] この例では、前方レンズ群1350は、表面S20および表面S21を有する後方メニスカスレンズ1382と、表面S22および表面S23を有する前方メニスカスレンズ1384と、を備える。前方レンズ群1350は、オブジェクト空間から中間レンズ群1348の入口に向かってNAを減少させる。例えば、前方レンズ群1350は、NAを、オブジェクト空間内の約0.95から、中間レンズ群1348の入口上の約0.25〜0.4まで減少することができる。
【0100】
[0123] 一実施形態では、前方メニスカスレンズ1384は、約1.75より大きい屈折率、例えば約1.85の屈折率を有する、重クラウン材料、重フリント、ランタンフリント、またはランタン稠密フリントを含む。いくつかの実施形態において、前方メニスカスレンズ1384は、約45〜約50の範囲にわたるアッベ数を有する材料を含む。後方メニスカスレンズ1382は、小さいアッベ数、例えば30より小さいアッベ数を有する重フリント材料を含む。レンズ1382は、例えば約1.75といった高い屈折率を有することもできる。そのような実施形態では、前方レンズ群1350は、コマを補正または減少すると同時に、アッベ数の差が大きいため、軸色は生成しない。例えば、前方レンズ1384が約44のアッベ数を有するSLAH58(オハラ製)を含み、後方レンズ1382が約27のアッベ数を有するSF6を含む場合、アッベ数の差は、約18に等しい。
【0101】
[0124] 上述した実施形態による屈折対物系は、瞳収差が低く、かつウェーハ1308のターゲット部分からのこれらの収差の感度が低いものとすることができ、これにより、ウェーハステージ位置の精度が中程度であってもOV測定精度を向上することができる。さらに、屈折対物系とウェーハ1308との間の作動距離が向上する。場合によっては、作動距離は、従来の屈折対物系の約2倍も増加される。さらに、前述の実施形態による屈折対物系は、スーパーアポクロマート収差補正を提供する。
図14は、ある実施形態による屈折対物系を使用した縦色収差を示すグラフである。
図14に示すように、焦点シフトは、3つの異なる波長でゼロである。つまり、従来の屈折対物系に対する改善を示している。
【0102】
[0125]
図13に示す屈折対物系1306の光学面を設計するための処方例を以下の表7に記載する。
【表7】
【0103】
[0126]
図15は、
図5に示すような検査装置500と共に使用することができる屈折対物系1506の別の実施形態を例示する。
図15に示すように、屈折対物系1506は、
図13に示した対物系1306と類似の構成を有する。ただし、表7に記載した処方のようにCaF
2を含むレンズを使用する代わりに、対物系1506は、例えばKCAFK95(住田光学ガラス製)などの人工結晶蛍石を含むレンズを使用する。人工結晶蛍石を使用することにより、屈折対物系1506の温度に対する感度を向上することができ、これにより動作中および搬送中の温度範囲をより広くすることが可能になる。
図15に示す屈折対物系1506の光学面を設計するための処方例を以下の表8に記載する。
【表8】
【0104】
[0127] 上述した屈折対物系および反射屈折対物系の実施形態は、
図5に示した検査装置500、または他のスキャトロメータ、または屈折対物系もしくは反射屈折対物系を使用するあらゆる他のデバイスにおいて使用することができる。
【0105】
[0128]
図5に示すような検査装置500は、スタンドアロンの検査装置でもよく、あるいは、
図1および2それぞれのリソグラフィ装置LA内またはリソグラフィセルLC内に組み込まれてもよい。
【0106】
[0129]
図16は、
図5に例示した検査装置のような検査装置と共に使用可能な照明システムの一実施形態を例示する。
図16に示すように、放射源1602は、放射ビーム1616を生成する。いくつかの実施形態では、放射源1602は、光ファイバチップであり得る。放射ビーム1616は、その後、イルミネータ1618を通過する。いくつかの実施形態では、イルミネータ1618は、アクロマートレンズダブレット1603、回転可能なポラライザ1605、およびアパーチャ1607を画成する瞳を備える。いくつかの実施形態では、レンズダブレット1603は、約200nm〜約850nmの広いスペクトル範囲で色補償を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態では、レンズダブレット1603は、CaF
2レンズおよびSiO
2レンズを備え得る。さらに、いくつかの実施形態では、レンズダブレット1603は、光軸に沿って位置決めされてよく、かつ、異なる不連続の波長に対して調節され得る。いくつかの実施形態では、回転可能なポラライザ1605は、MgF
2から作られたロションプリズムとすることができる。
【0107】
[0130] イルミネータ1618から射出した後、リレーミラー光学システムは、放射を反射屈折対物系1604および屈折対物系(図示なし)に向けて誘導することができる。いくつかの実施形態では、
図16に示すように、リレーミラー光学システムは、第1球面リレーミラー1626a、第1平坦折り畳みミラー1626b、第2球面リレーミラー1626c、および第2平坦折り畳みミラー1626dを備え得る。第2平坦折り畳みミラー1626dの後、放射ビームは、反射屈折対物系1604に向かって、ビームスプリッタ1628を通過する。
【0108】
[0131] いくつかの実施形態では、瞳アパーチャ1607は、例えば、第1球面リレーミラー1626aおよび第2球面リレーミラー1626dなどのアクロマートリレーミラーによって反射屈折対物系1604と屈折対物系の両方の入射瞳の平面内に投影される。
【0109】
[0132] 本明細書において、IC製造における方法および装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載の検査方法および装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0110】
[0133] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0111】
[0134] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0112】
[0135] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0113】
[0136] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0114】
[0137] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、以下に記載する特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【0115】
[0138] 当然のことながら、「発明の概要」および「要旨」の欄は、発明者によって意図された本発明の1つ以上の、全てではない代表的な実施形態を記載し得るため、本発明および添付の特許請求の範囲をどんな形であれ制限するものではない。
【0116】
[0139] 以上、本発明を、特定の機能およびそれら機能間の関係の実現を例示する機能的なビルディングブロックを使って説明してきた。本明細書において、これら機能的なビルディングブロックの境界は、説明の便宜上、任意で規定した。特定の機能およびそれら機能間の関係が適切に実行される限り、別の境界を規定することもできる。
【0117】
[0140] 上述した特定の実施形態の説明は、本発明の一般的性質を十分に明らかにしているため、当業者の知識を適用することによって、過度な実験を行うことなく、また本発明の一般概念から逸脱することなく、他の者が該特定の実施形態を変形すること、および/または多様な用途に適用することが容易に可能である。したがって、そのような適用および変形は、本明細書に示す教示および案内に基づいて、開示した実施形態の均等物の意味および範囲内であることが意図される。当然のことながら、本明細書の用語使いまたは言い回しは、制限ではなく説明を目的としたものであるため、本明細書の用語使いまたは言い回しは、当業者によって、本明細書の教示および案内を踏まえて解釈され得る。
【0118】
[0141] 本発明の広さおよび範囲は、上述した代表的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきものである。