(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縦方向およびそれに直交する横方向を有し、肌対向面およびその反対側に位置する非肌対向面を有するシャーシと、前記非肌対向面に取り付けられたテープタブとを含む使い捨て着用物品において、
前記テープタブは、熱可塑性繊維を含む繊維不織布によって形成され、互いに隣接する第1領域および第2領域と、前記第1および第2領域の間に位置する折曲部とを含み、前記第1領域と前記第2領域とは、前記折曲部に沿って折り畳まれて積層され、
前記第1および第2領域には、その厚さ方向へ貫通する第1の開孔と、前記開孔の周囲に形成されるとともに前記熱可塑性繊維が溶融されて前記第1および第2領域を互いに仮止めする第1の仮止め部とが設けられることを特徴とする使い捨て着用物品。
前記テープタブは、前記第2領域と前記シャーシとの間に積層される第3領域をさらに含み、前記第3領域の一方の端部が前記第2領域に隣接し、前記第3領域の他方の端部が前記シャーシに接合される請求項1〜4のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
前記テープタブは、前記縦方向および前記横方向の少なくともいずれか一方において不連続に配置された接合手段によって前記シャーシに接合される請求項1〜10のいずれかに記載の使い捨て着用物品。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
図1および
図2を参照すれば、おむつ1は、着用者の肌対向面およびその反対側である非肌対向面を有し、シャーシ10と、シャーシ10の肌対向面に配置された吸液構造体40と、シャーシ10の非肌対向面に取り付けられたテープタブ70とを含む。シャーシ10は前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13と、横方向Xへ延びる前後端部14,15および縦方向Yへ延びる両側部16とを有する。テープタブ70は、後ウエスト域12の非肌対向面において縦方向Yへ延びる。両側部16には、縦方向Yへ断続的に延びるシーム部17が形成され、シーム部17で前後ウエスト域11,12が連結されることによって、前後端部14,15でウエスト開口が形成され、クロッチ域13における両側部16でレッグ開口が形成される。おむつ1を着用者から取り外すとき、シーム部17の近傍の前後ウエスト域11,12を互いに反対向きへ強制的に引っ張って、それらウエスト域を分離することができる。
【0012】
図3および
図4を参照すれば、おむつ1は、横方向Xにおける寸法を二等分した仮想縦中心線2−2、縦方向Yにおける寸法を二等分した仮想横中心線3−3を有し、仮想縦中心線2−2に関してほぼ対称とされる。この
図3および
図4において、各弾性体はその収縮力に抗して伸長させた状態で示される。
【0013】
シャーシ10は、非肌対向面に位置するとともに、前後ウエスト域11,12およびクロッチ域13の一部を画定する非伸縮性の前後ウエストシート21,22と、これら前後ウエストシート21,22を連結するとともにクロッチ域13を画定する非伸縮性のクロッチシート23と、前ウエスト域11に配置され伸縮性を有する第1弾性シート31と、後ウエスト域12に配置され伸縮性を有する第2弾性シート32とを含む。前後ウエストシート21,22およびクロッチシート23の内側には、吸液構造体40が配置される。
【0014】
前後ウエストシート21,22およびクロッチシート23としては、例えば、質量が約10〜40g/m
2、好ましくは約13〜20g/m
2、繊維密度が約0.03〜0.10g/cm
3、好ましくは約0.04〜0.09g/cm
3である熱融着性のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。
【0015】
第1および第2弾性シート31,32は、ほぼ矩形とされ、第1および第2ウエスト域11,12の両側部16間において横方向Xへ延びる。第1および第2弾性シート31,32は、例えば、質量が約20〜50g/m
2、好ましくは約30〜40g/m
2、繊維密度が約0.01〜0.04g/cm
3、好ましくは約0.025〜0.035g/cm
3の範囲である熱融着性のエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布を用いることができる。具体的には、熱可塑性ポリウレタンポリマーと、熱可塑性ポリウレタンポリマー以外の熱可塑性ポリマー、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーとの混合からなる繊維を含む混合繊維から形成することができる。これら第1および第2弾性シート31,32は、少なくとも横方向Xにおいて弾性的に伸縮可能とされる。
【0016】
第1弾性シート31は、吸液構造体40の底面において前端部40aに重なり、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。前ウエストシート21は、横方向Xへ延びる折曲部24に沿って仮想横中心線3−3へ向かって折り畳まれ、吸液構造体40の前端部40aを覆い、さらに、第1弾性シート31にも重なる。折曲部24がおむつ1の前端部14を形成する。
前ウエストシート21には、折曲部24に沿って、ストランド状またはストリング状の複数本の弾性体61が、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。第1弾性シート31および弾性体61によって、前ウエスト域11が横方向Xへ弾性化され、着用者に密着可能とされる。特に、第1弾性シート31が着用者の腹部に対する密着性に関与し、弾性体61がウエスト開口からの漏れ防止に関与する。
【0017】
第2弾性シート32は、吸液構造体40の吸収面において、後端部40bを覆うように重なり、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。後ウエストシート22は、横方向Xへ延びる折曲部26に沿って縦方向Y内側へ折り畳まれ、第2弾性シート32に重なる。折曲部26がおむつ1の後端部15を形成する。
後ウエストシート22には、折曲部26に沿って、ストランド状またはストリング状の複数本の弾性体62が、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。第2弾性シート32および弾性体62によって、後ウエスト域12が横方向Xへ弾性化され着用者に密着可能とされる。特に、第2弾性シート32が着用者の腹部に対する密着性に関与し、弾性体62がウエスト開口からの漏れ防止に関与する。
【0018】
前後ウエストシート21,22のレッグ開口を形成する領域には、シート状の弾性体63,64がそれぞれ一対、伸長状態で収縮可能に取り付けられる。弾性体63,64は、質量が約20〜50g/m
2、好ましくは、約30〜40g/m
2、繊維密度が約0.01〜0.04g/cm
3、好ましくは約0.025〜0.035g/cm
3の範囲である熱融着性のエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布を用いることが好ましい。具体的には、熱可塑性ポリウレタンポリマーと、熱可塑性ポリウレタンポリマー以外の熱可塑性ポリマー、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーとの混合からなる繊維を含む混合繊維から形成することができる。さらに、このような伸縮性繊維不織布を延伸処理することによって、伸縮性を向上させることができる。延伸処理としては、公知の延伸処理法、例えば、伸縮性繊維不織布を一対のギア間に通過させることによって、さらに延伸される部分と延伸されない部分とを形成することによって実施することができる。
【0019】
前後ウエストシート21,22の内側には、防漏シート51,52がそれぞれ積層される。防漏シート51,52として、例えば、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムを用いることができる。防漏シート51,52の内側には、前後ウエストシート21,22を縦方向Yに連結する防漏シート53がさらに積層される。防漏シート53として、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムまたはこのフィルムと繊維不織布とのラミネートを用いることができる。防漏シート51,52,53は、吸液構造体40に重なるように配置される。
【0020】
吸液構造体40は、横方向Xへ延びる前後端部40a,40bと、縦方向Yへ延びる両側部40cとによって画定された縦長方形状である。吸液構造体40は、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12に延在し、前端部40aが前ウエスト域11に位置され、後端部40bが後ウエスト域12に位置される。
【0021】
吸液構造体40は、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合からなる吸液性コアを液拡散性シート(図示せず)で覆うことによって形成された吸収体41と、吸収体41の吸収面を覆う身体側ライナ42と、吸収体41の底面から両側部を覆い、吸収面へと折り曲げられる被覆シート43とを含む。
【0022】
テープタブ70は、後ウエストシート22に取り付けられるとともに、仮想縦中心線2−2に沿って縦方向Yへ延びる。
図5を参照すれば、テープタブ70は、互いに積層され、それぞれ縦方向Yへ延びる第1領域71、第2領域72、および第3領域73によって構成される。第1領域71の内側に第2領域72が位置し、これら第1領域71と第2領域72との間には、これらを連結し横方向Xへ延びる折曲部84が形成され、この折曲部84に沿って第1および第2領域71,72が互いに折り畳まれて積層される。その結果、第1、第2および第3領域71,72,73の積層状態の断面はZ形に形成される。第1領域71と第2領域72とは、一片の繊維不織布である第1帯部材80によって形成される。第1帯部材80は、縦方向Yにおいて折曲部84の反対側に位置する第1領域71側の第1端部80Aと、同方向に位置し、第1端部80Aと隣接する第2領域72側の第2端部80Bとを有する。したがって、第1および第2端部80A,80Bは、シャーシ10の後端部15側へ向き、折曲部84と後端部15との間に位置する。
【0023】
第1領域71には、第2領域72に対向する面にメカニカルファスナのフック要素74が設けられる。フック要素74は、第1端部80Aおよび折曲部84から離間して配置される。第2領域72は、第2端部80B近傍において、第3領域73から縦方向Yへ延出し、後ウエストシート22に接合手段85よって接合される。
【0024】
第3領域73は、一片の繊維不織布である第2帯部材90によって形成され、後ウエストシート22に接合される固定領域91と、第2領域72に連結される連結領域92と、固定領域91と連結領域92の間に位置する折曲部93とを有する。固定領域91および連結領域92は、折曲部93に沿って折り曲げられ、互いに積層される。このように折り曲げたとき、固定領域91の縦方向Yにおける寸法は、連結領域92のそれよりも大きくされる。固定領域91は、第1帯部材80の折曲部84近傍まで延びるとともに、接合手段85を介して後ウエストシート22に永久的に固定される。接合手段85は、縦方向Yへ不連続に形成される。具体的には、接合手段85として、例えばホットメルト接着材を用い、この接着剤を横方向Xへ延びるとともに縦方向Yへ離間するように複数条、塗布することによってテープタブ70をシャーシ10に接合する。
【0025】
第1帯部材80は、例えば、質量が約40〜100g/m
2、好ましくは約60〜80g/m
2のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。第2帯部材90は、例えば、質量が約30〜50g/m
2、好ましくは約30〜40g/m
2のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。これら繊維不織布は、少なくともその一部に熱融着性繊維を含む。熱溶着性繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーを含む合成繊維を用いることができる。
第2帯部材90の通気度は、第1帯部材80のそれよりも高くされる。
【0026】
<帯部材の通気度の測定方法>
通気度は、カトーテック株式会社製 KES−F8−AP1通気性試験機を用いて測定した。第1および第2帯部材80,90を10mm×10mmにカットしてそれぞれサンプルとして用い、これらサンプルを通気性試験機にセットして、通気度(m
3/m
2/分)を測定した。
【0027】
上記のようなテープタブ70において、フック要素74の縦方向Y外側には、ドット状の第1の開孔76,77と、開孔76,77の周囲に位置する第1の仮止め部78,79が設けられる。開孔76および仮止め部78は、第1帯部材80の第1および第2端部80A,80B側に、開孔77および仮止め部79は、折曲部84側にそれぞれ設けられ、テープタブ70の幅方向、すなわち横方向Xへ並んで複数設けられる(
図2参照)。
【0028】
開孔76は、第1および第2領域71,72をその厚さ方向へ貫通し、仮止め部78は、開孔76の周囲において第1帯部材80に含まれる熱可塑性繊維を溶着して第1および第2領域71,72を互いに仮止めする。開孔77は、第1領域71、第2領域72および第3領域73をその厚さ方向へ貫通し、仮止め部79は、開孔77の周囲において、第1および第2帯部材80,90に含まれる熱可塑性繊維を溶着し、第1〜第3領域71,72,73を互いに仮止めする。
【0029】
開孔76,77および仮止め部78,79は、例えば、エンボス処理またはソニック処理による、加熱・加圧によって同時に形成することができる。エンボス処理の場合には、加熱したボス(ピン)で第1領域71から、第2領域72に向かって加圧することによって開孔76,77および仮止め部78,79を形成することができる。すなわち、加熱したボスで熱可塑性合成樹脂を溶融させ、溶融した樹脂がボスの径方向外側で溶着することによって、ボスの対向部分では開孔76,77が形成され、ボスの周囲では仮止め部78,79が形成される。熱可塑性樹脂として、例えばポリプロピレンを含む場合には、エンボスロールの温度を約100〜150℃、線圧を約5〜150kgf/mmとすることができる。ボスの温度は、使用する熱可塑性樹脂の融点以上にすることが好ましい。ソニック処理の場合には、発信子とアンビルとの間にテープタブ70を構成する繊維不織布を配置し、発信子から超音波を発信することで開孔76,77および仮止め部78,79を形成することができる。発信子とアンビルとの間の離間寸法を、積層された第1および第2領域71,72の厚さ寸法よりも小さくすることが好ましい。
【0030】
仮止め部78,79は、開孔76,77の周囲で連続して環状にされる場合、および、不連続にされる場合のいずれであってもよい。開孔の周囲で繊維を溶融させることによって、開孔76,77形成部分の肌への刺激を低減することができる。開孔76,77の周囲を溶着させることによって、テープタブ70を展開したときに開孔から第1および第2帯部材80,90が破断するのを予防することもできる。
【0031】
第1領域71に位置するフック要素74は、第2領域72に対向するが、第2領域72を形成する第1帯部材80は、繊維交絡および/または溶着密度が、例えば、柔軟な繊維不織布である前後ウエストシート21,22に比べて高く、フック要素74が引っ掛かるループが形成されにくいので、フック要素74のフックが第1帯部材80の繊維に引っかかり難い。すなわち、フック要素74は、第2領域72に対して実質的に連結されない。ここで、フック要素74が第2領域72に実質的に連結されないとは、これらの間の剥離強度の平均値が約0〜0.4N、好ましくは約0.05〜0.2Nであることを意味する。ここで剥離強度の平均は、0を含むものであってもよく、すなわち、フック要素74が第2領域72との間で全く連結しないものであってもよい。平均剥離強度は、以下の方法によって測定した。
【0032】
<フック要素の平均剥離強度の測定方法>
平均剥離強度は、株式会社島津製作所製 オートグラフ引っ張り試験機を用いて測定した。おむつ1から切り取ったテープタブ70をサンプルとして用い、一対のチャックの一方で第1領域71の第1端部80Aを摘持させ、他方で第2領域72の第2端部80Bを摘持させ、引張速度100mm/min、ピール角度180°でこれらチャックを離間させ、剥離強度を測定した。より詳細には、第1領域71と第2領域72との間の仮止め部78の仮止めを解除し、フック要素74が第2領域72から離間する直前の部位までチャックを移動させて測定を開始し、その状態からフック要素74が第2領域72から全て離間する部位で測定を終了した。この測定における剥離強度の平均を、この実施形態の平均剥離強度とした。
【0033】
上記のようなおむつ1において、テープタブ70は繊維不織布によって構成されるから、フィルムを用いた場合に比べてテープタブ70全体の通気性を向上させることができる。また、テープタブ70には厚さ方向へ貫通する開孔76,77が形成されているから、テープタブ70の通気性をより一層確保することができる。さらに、第1〜第3領域71〜73は互いに積層されているが、これらが対向する面は接着剤等によって接合されていないから、各領域の間における通気性を確保することができる。特に第1領域71に配置されたフック要素74が第2領域72に対して実質的に連結しないから、連結によって通気性を妨げることがない。このようにテープタブ70全体において通気性を確保することができるから、テープタブ70を構成する繊維不織布が通気性の低いものであっても、開孔76,77を介して通気性を向上させることができるとともに、各領域間においても通気性を向上させることができるので、テープタブ70に重なる部分において着用者の肌がかぶれたりするのを予防することができる。テープタブ70が取り付けられた部分において通気性を確保するために、おむつ1本体を構成する繊維不織布および防漏シート等においても通気性のものを用いることが好ましい。
【0034】
第1および第2領域71,72を構成する第1帯部材80よりも、第3領域73を構成する第2帯部材90の通気度を高くすることによって、蒸れの原因となるおむつ1内の蒸気を速やかにおむつ1外へと放出させることができる。第3領域73がおむつ1のシャーシ10に接合されるから、これを構成する第2帯部材90の通気度を高くすることによって、おむつ1内の蒸気を効率的に放出することができる。なお、第1帯部材80として、第2帯部材90と同様の通気度の高い繊維不織を用いることもできる。ただし、通気度の高い繊維不織布は、質量が小さく破断強度が小さくなる傾向にあるから、テープタブ70を展開したときの破断防止の観点からは、質量が大きく破断強度が高い方が好ましい。したがって、おむつ1の蒸れ防止効果の大きい第2帯部材90のみに通気度の高い繊維不織布を用い、第1帯部材80に破断強度が高い繊維不織布を用いることが望ましい。
【0035】
テープタブ70とシャーシ10とを接合する接合手段85が、縦方向Yへ不連続に形成されることによって、少なくともこれら離間部分において通気性が確保され、より一層、テープタブ70による着用者の肌トラブルを防止することができる。接合手段85は、縦方向Yへ不連続にしているが、横方向Xへ不連続にしてもよいし、縦方向Yおよび横方向Xのいずれにも不連続になるようにしてもよい。また、接合手段85は、開孔76,77の通気性を阻害しないように、これら開孔76,77に重ならないようにすることが好ましい。
【0036】
上記のようなテープタブ70は、仮止め部78,79を形成することによって、折り畳み状態が妄りに展開されるのを予防することができる。この実施形態において、フック要素74は第2領域72に対向するが、フック要素74が第2領域72に対して実質的に連結されない。したがって、仮止め部78,79が形成されない場合には、第1領域71から第2領域72が剥離して、テープタブ70が展開されてしまう。テープタブ70が妄りに展開してしまうと、おむつ1の着用中に、フック要素74が衣類に引っ掛かってしまったり、おむつ1の製造時において第1領域71および第2領域72が第3領域73からめくれて、製造装置等に引っ掛かってしまったりする可能性がある。これを防止するために、第1領域71、第2領域72の一部を仮止め部78により、第1領域71、第2領域72および第3領域73の一部を仮止め部79により、それぞれ仮止めする。
【0037】
図6(a)を参照すれば、上記のようなおむつ1は、着用後に丸めて廃棄することができる。すなわち、おむつ1は、クロッチ域13を前後ウエスト域11,12に向かって丸めることができる。このとき、テープタブ70は、故意に剥離させない限り、折り畳まれたままの状態にある。
図6(b)を参照すれば、テープタブ70によって、おむつ1の丸めた状態を固定することができる。詳細には、仮止め部78,79の仮止めが解除され、第1領域71および第2領域72が第3領域73から剥離されて、これらが展開され、フック要素74が、丸められたおむつ1の後ウエストシート22またはクロッチシート23に連結される。フック要素74は、おむつ1の非肌対向面に対向し、後ウエストシート22に引っ掛かり、これらに連結可能であるから、おむつ1の丸められた状態を固定することができる。
【0038】
仮止め部78は、第1端部80Aから内側へ離間した位置に設けられているから、第1端部80Aを摘みやすい。フック要素74は、対向する第2領域72に実質的に連結しないから、第1端部80Aを摘んで、仮止め部78が解除されると、フック要素74も第2領域72から剥離される。
【0039】
第1端部80Aを丸めたおむつ1の後端部15側を超えてクロッチ域13側へさらに引っ張ると、仮止め部79のが解除され、第1および第2領域71,72が第3領域73から剥離される。この仮止め部79が解除されることによって、第1領域71、第2領域72および第3領域73がほぼ一直線になるように展開される。このように展開されたとき、フック要素74は、丸めたおむつ1の非肌対向面に向き、これを容易に後ウエストシート22またはクロッチシート23に連結することができる。
【0040】
上記のようなテープタブ70において、仮止め部78,79が環状に形成され、その中心に開孔76,77が形成されることによって、開孔が形成されず、すなわち、開孔76,77においても第1および第2領域71,72が溶着された場合に比べて、それら仮止めされる力が弱くなるので、容易にこれを解除することができる。
【0041】
この実施形態にかかるテープタブ70によれば、第1端部80Aを摘んで軽く持ち上げて後端部15側に引っ張るだけで、折り畳まれた状態から展開することができ、フック要素74をおむつ1の非肌対向面の所望の位置に連結させることができる。したがって、その一連の動きに煩わしさがなく、一操作で容易におむつ1を丸めた状態に固定することができる。
【0042】
上記のようなテープタブ70において、第2帯部材90は、連結領域92が第1帯部材80に接合され、固定領域91が後ウエストシート22に接合される。このようにそれぞれ接合することによって、第2領域72が引っ張られたときの剥離力を分散することができる。すなわち、第1端部80Aを引っ張ったとき、後ウエストシート22に接合された第2端部80Bには、比較的大きな剥離力が作用するが、第2領域72、第2端部80B、および後ウエストシート22に連続して第2帯部材90が接着されているから、第2端部80Bが後ウエストシート22から剥離するのを未然に防止することができる。
【0043】
開孔76,77および仮止め部78,79は、テープタブ70のみに形成されているが、テープタブ70およびシャーシ10に形成される第2の開孔および第2の仮止め部をさらに設けることもできる。具体的には、第2の開孔は、折り畳まれたテープタブ70を厚さ方向へ貫通するとともに、これが取り付けられた後ウエストシート22も貫通するように形成される。また、第2の仮止め部は、テープタブ70および後ウエストシート22を互いに仮止めするように、第2の開孔の周囲に形成される。これは、おむつ1の製造過程において、第1の開孔が形成され第1の仮止め部で仮止めされたテープタブ70をウエストシート22に積層し、さらに第2の開孔および第2の仮止め部を形成するものである。このように第2の開孔を形成することによって、テープタブ70が取り付けられた部分における通気性をさらに向上させることができる。
【0044】
この実施形態において、防漏シート53がクロッチ域13における非肌対向面を形成している。おむつ1を丸めてテープタブ70で固定しようとした場合、フック要素74がクロッチ域13に対向することも考えられる。したがって、防漏シート53は、プラスチックフィルムと繊維不織布とのラミネートを用い、非肌対向面に繊維不織布が位置するようにすることが好ましい。また、この繊維不織布は、フック要素74が繊維に引っかかり連結しやすいように、例えば、質量が約10〜40g/m
2、好ましくは約13〜20g/m
2、繊維密度が約0.03〜0.10g/cm
3、好ましくは約0.04〜0.09g/cm
3である熱融着性のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。
【0045】
この実施形態において、第1領域71、第2領域72および第3領域73を含むテープタブ70について説明したが、第1領域71および第2領域72のみを有するものであってもよい。その場合には、第2領域72のほぼ全面を直接後ウエストシート22に接合域を介して接合することができる。
また、第1領域71および第2領域72を一片の第1帯部材80によって形成し、第3領域73を別の一片の第2帯部材90によって形成することとしたが、これら第1領域71、第2領域72および第3領域73を同一の繊維不織布によって構成することとしてもよい。この場合には、一片の繊維不織布が三つ折にされることによって各領域が形成される。
【0046】
開孔77は、第1領域71、第2領域72および第3領域73を貫通するが、その全ての領域を貫通する必要はなく、例えば、第1領域71および第2領域72のみを貫通してもよく、第2領域72および第3領域73のみを貫通してもよい。ただし、おむつ1内の蒸れを効率的に防止するためには、シャーシ10により近接する第2領域72および第3領域73を貫通することが好ましい。
【0047】
開孔76,77および仮止め部78,79は、横方向Xへ離間して複数設けられているが、それぞれ一つずつであってもよい。また、縦方向Yへ離間して複数設けられてもよい。また、開孔、仮止め部は、フック要素74に重ならない位置に設けられているが、フック要素74に重なるようにされてもよい。フック要素74は、その厚さ方向における通気性が低くなりやすいが、開孔を設けることによって、通気性を向上させることができる。この場合には、開孔によってフック要素74の面積が小さくなるので、フック要素74のシャーシ10の非肌対向面に対する連結が損なわれない程度に開孔の面積を設定することが好ましい。また、フック要素74に重なって仮止め部が形成される場合には、フック要素74と第2領域72とが固着されないように、または、固着されたとしてもこれが容易に剥離できる程度にすることがより好ましい。
【0048】
開孔76,77は、円形にされているが、これが真円または楕円でもよく、さらには三角形、矩形等の多角形またはスリット状を排除するものではない。ただし、多角形など角のあるものでは、テープタブ70を展開しようと引っ張ったときに、その引張力が角に集中し、角から第1および第2帯部材80,90が破断し易くなる。また、スリットによって開孔76,77を形成した場合にも、その端部から第1および第2帯部材80,90が破断し易くなる。したがって、開孔76,77は、角のない円形にすることが好ましい。
【0049】
テープタブ70は、シャーシ10の後ウエスト域12において、仮想縦中心線2−2に沿って縦方向Yへ延びるように設けられているが、これに限ったものではなく、例えば、シャーシ10の両側部16にそれぞれ設けられ、横方向Xへ延びるようにしてもよい。このように設けた場合には、おむつ1を廃棄する際に、横方向Xへ向かって丸めて固定することもできるし、おむつ1の着用時に着用者の体型に合わせてウエストのサイズを調整するために用いることもできる。
【0050】
<第2の実施形態>
この実施形態に係るおむつ1は、第1領域71と第2領域72とが、仮止め部78において感圧接着剤98により仮止めされている点が、第1の実施形態との主な相違点である。
【0051】
図7および
図8を参照すれば、おむつ1は、着用者の肌対向面およびその反対側である非肌対向面を有し、シャーシ10と、シャーシ10の肌対向面に配置された吸液構造体40と、シャーシ10の非肌対向面に取り付けられたテープタブ70とを含む。
図8、12に例示するように、テープタブ70の色(図中のドットで表す)は、シャーシ10の非肌対向面側の色と異なっている。このように廃棄用テープであるテープタブ70の色がおむつ1の外装シートの色と異なることにより、廃棄用テープに馴染みのない新興国などの母親であっても、廃棄用テープがあることを認識しやすい。シャーシ10は前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、前後ウエスト域11,12間に位置するクロッチ域13と、横方向Xへ延びる前後端部14,15および縦方向Yへ延びる両側部16とを有する。テープタブ70は、後ウエスト域12の非肌対向面において縦方向Yへ延びる。両側部16には、縦方向Yへ断続的に延びるシーム部17が形成され、シーム部17で前後ウエスト域11,12が連結されることによって、前後端部14,15でウエスト開口、すなわち胴回り域66が形成され、クロッチ域13における両側部16でレッグ開口が形成される。おむつ1を着用者から取り外すとき、シーム部17の近傍の前後ウエスト域11,12を互いに反対向きへ強制的に引っ張って、それらウエスト域を分離することができる。
【0052】
図9および
図10を参照すれば、おむつ1は、横方向Xにおける寸法を二等分した仮想縦中心線2−2、縦方向Yにおける寸法を二等分した仮想横中心線3−3を有し、仮想縦中心線2−2に関してほぼ対称とされる。この
図9および
図10において、各弾性体はその収縮力に抗して伸長させた状態で示される。
【0053】
シャーシ10は、非肌対向面に位置するとともに、前後ウエスト域11,12およびクロッチ域13の一部を画定する非伸縮性の前後ウエストシート21,22と、これら前後ウエストシート21,22を連結するとともにクロッチ域13を画定する非伸縮性のクロッチシート23と、前ウエスト域11に配置され伸縮性を有する第1弾性シート31と、後ウエスト域12に配置され伸縮性を有する第2弾性シート32とを含む。前後ウエストシート21,22およびクロッチシート23の内側には、吸液構造体40が配置される。
【0054】
前後ウエストシート21,22およびクロッチシート23としては、例えば、単位面積当り質量が約10〜40g/m
2、好ましくは約13〜20g/m
2、繊維密度が約0.03〜0.10g/cm
3、好ましくは約0.04〜0.09g/cm
3である熱融着性のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。
【0055】
第1および第2弾性シート31,32は、ほぼ矩形とされ、前後ウエスト域11,12の両側部16間において横方向Xへ延びる。第1および第2弾性シート31,32は、例えば、単位面積当り質量が約20〜50g/m
2、好ましくは約30〜40g/m
2、繊維密度が約0.01〜0.04g/cm
3、好ましくは約0.025〜0.035g/cm
3の範囲である熱融着性のエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布を用いることができる。具体的には、熱可塑性ポリウレタンポリマーと、熱可塑性ポリウレタンポリマー以外の熱可塑性ポリマー、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーとの混合からなる繊維を含む混合繊維から形成することができる。これら第1および第2弾性シート31,32は、少なくとも横方向Xにおいて弾性的に伸縮可能とされる。
【0056】
第1弾性シート31は、吸液構造体40の底面において前端部40aに重なり、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。前ウエストシート21は、横方向Xへ延びる折曲部24に沿って仮想横中心線3−3へ向かって折り畳まれ、吸液構造体40の前端部40aを覆い、さらに、第1弾性シート31にも重なる。折曲部24がおむつ1の前端部14を形成する。
前ウエストシート21には、折曲部24の間に、ストランド状またはストリング状の複数本の弾性体61aが、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられ、また前ウエストシート21と吸液構造体40の前端部40aとが重なり合う部分には、複数本の弾性体61bが、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられている。第1弾性シート31および弾性体61a,61bによって、前ウエスト域11が横方向Xへ弾性化され、着用者に密着可能とされる。特に、第1弾性シート31が着用者の腹部に対する密着性に関与し、弾性体61a,61bがウエスト開口からの漏れ防止に関与する。
【0057】
第2弾性シート32は、吸液構造体40の吸収面において、後端部40bを覆うように重なり、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられる。後ウエストシート22は、横方向Xへ延びる折曲部26に沿って縦方向Y内側へ折り畳まれ、第2弾性シート32に重なる。折曲部26がおむつ1の後端部15を形成する。
後ウエストシート22には、折曲部26の間に、ストランド状またはストリング状の複数本の弾性体62aが横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられ、また第2弾性シート32が後端部40bと重なり合う部分には、複数本の弾性体62bが、横方向Xへ伸長状態で収縮可能に取り付けられている。第2弾性シート32および弾性体62a,62bによって、後ウエスト域12が横方向Xへ弾性化され着用者に密着可能とされる。特に、第2弾性シート32が着用者の腹部に対する密着性に関与し、弾性体62a,62bがウエスト開口からの漏れ防止に関与する。以上の説明から明らかなように、おむつ1の前端部14及び後端部15により胴周り域66が形成され、胴周り域66に沿って、胴周り伸縮部材65を構成する第1、第2弾性シート31,32と、弾性体61a,61b,62a,62bが横方向Xに延びている。
【0058】
前後ウエストシート21,22のレッグ開口を形成する領域には、シート状の弾性体63,64がそれぞれ一対、伸長状態で収縮可能に取り付けられる。弾性体63,64は、単位面積当り質量が約20〜50g/m
2、好ましくは、約30〜40g/m
2、繊維密度が約0.01〜0.04g/cm
3、好ましくは約0.025〜0.035g/cm
3の範囲である熱融着性のエラストマー繊維からなる伸縮性繊維不織布を用いることが好ましい。具体的には、熱可塑性ポリウレタンポリマーと、熱可塑性ポリウレタンポリマー以外の熱可塑性ポリマー、例えば、スチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、塩ビ系エラストマー、アミド系エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーとの混合からなる繊維を含む混合繊維から形成することができる。さらに、このような伸縮性繊維不織布を延伸処理することによって、伸縮性を向上させることができる。延伸処理としては、公知の延伸処理法、例えば、伸縮性繊維不織布を一対のギア間に通過させることによって、さらに延伸される部分と延伸されない部分とを形成することによって実施することができる。
【0059】
前後ウエストシート21,22の内側には、防漏シート51,52がそれぞれ積層される。防漏シート51,52として、例えば、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムを用いることができる。防漏シート51,52の内側には、前後ウエストシート21,22を縦方向Yに連結する防漏シート53がさらに積層される。防漏シート53として、透湿性かつ不透液性のプラスチックフィルムまたはこのフィルムと繊維不織布とのラミネートを用いることができる。防漏シート51,52,53は、吸液構造体40に重なるように配置される。
【0060】
吸液構造体40は、横方向Xへ延びる前後端部40a,40bと、縦方向Yへ延びる両側部40cとによって画定された縦長方形状である。吸液構造体40は、クロッチ域13から前後ウエスト域11,12に延在し、前端部40aが前ウエスト域11に位置され、後端部40bが後ウエスト域12に位置される。
【0061】
吸液構造体40は、フラッフパルプと超吸収性ポリマー粒子等との混合からなる吸液性コアを液拡散性シート(図示せず)で覆うことによって形成された吸収体41と、吸収体41の吸収面を覆う身体側ライナ42と、吸収体41の底面から両側部を覆い、吸収面へと折り曲げられる被覆シート43とを含む。
【0062】
図8から10に示すように、テープタブ70は仮想縦中心線2−2に沿って縦方向Yへ延び、後ウエスト域12を構成する後ウエストシート22の中央部に形成された非伸縮域67に取り付けられる。このようにテープタブ70が後ウエスト域12に位置することで、保護者が乳幼児を抱いた際に、誤ってテープタブ70に触れ難くなる。非伸縮域67は、後ウエスト域12において横方向Xに延びる胴周り伸縮部材65を複数箇所にわたって切断して非弾性化するか、または胴周り伸縮部材65を加熱処理により非弾性化するなどの公知の方法により形成することができる。非伸縮域67の横方向X及び縦方向Yの寸法は、いずれもテープタブ70の各寸法よりも大きく、テープタブ70は非伸縮域67のほぼ中央部に取り付けられる。テープタブ70を非伸縮域67に取り付けることにより、胴周り伸縮部材65の収縮によりテープタブ70に皺がよることが防止されるので、テープタブ70に着用者の保護者の手や腕が誤って触れたときでも、不快感を生じにくい。
【0063】
図11を参照すれば、テープタブ70は、一片の繊維不織布である第1帯部材80によって形成され、それぞれ縦方向Yへ延び、互いに折り畳まれて積層される第1領域71、第2領域72と、第1領域71と第2領域72との間に位置してこれらを連結し、横方向Xへ延びる折曲部84とを有する。この折曲部84に沿って第1および第2領域71,72が折り畳まれ、積層される。折り畳まれて積層されたとき、第2領域72は第1領域71の内側に位置して、後ウエストシート22に対向する。
【0064】
第1領域71には、折り畳まれたときに第2領域72に対向する面において仮止め部78が存在しない部分に、メカニカルファスナのフック要素74が設けられる。フック要素74は、第1端部80Aおよび折曲部84から離間して配置され、ホットメルト接着剤(図示せず)によって第1領域71に固定される。テープタブ70の第2領域72は、後ウエストシート22に対向し、その第2端部80Bが、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールなどの公知の接合手段85によって、後ウエストシート22に接合される。この実施形態では、第2領域72の第2端部80Bはホットメルト接着剤99により後ウエストシート22に固定されている。また、第2領域72の折曲部84は仮止め部78により後ウエストシート22に仮止めされている。この実施形態では、仮止め部78における仮止めは、感圧接着剤98により行われる。一般に感圧接着剤98は硬化することがほとんど無く、柔軟な状態が維持されるため、テープタブ70に剛性の高い領域が生じることはない。これにより、保護者が乳幼児を抱いたとき、テープタブ70に誤って触れたとしても、痛みを感じにくい。
【0065】
さらに、第1領域71と第2領域72が互いに対向する面が、折曲部84の近傍と、第2領域72の第2端部80Bの近傍とにおいて、仮止め部78により仮止めされる。詳しくは、第1領域71と第2領域72とが互いに対向する面が、折曲部84から数mm離間した位置において仮止めされる。これにより柔軟な繊維不織布で構成される折曲部84が環状になる結果、折曲部84の感触が柔軟になる。また、第1領域71と第2領域72とが互いに対向する面は、第2端部80Bの接合手段85の位置に重なる位置においても仮止め部78により仮止めされる。第1領域71と第2領域72とが互いに対向する面の仮止め部78以外の部分は、非接合とされており、さらに、第2領域72と後ウエストシート22とが互いに対向する面の、接合手段85及び仮止め部78以外の部分も、非接合とされている。このように非接合の部分を設けることにより、第1領域71と第2領域72との間、及び第2領域72と後ウエストシート22との間に隙間を設けることができるので、おむつ1のテープタブ70が取り付けられた部分における通気性を確保することができる。
【0066】
第1帯部材80は、縦方向Yにおいて折曲部84の反対側に位置する第1領域71側の第1端部80Aと、折曲部84の反対側に位置して第1端部80Aと隣接する第2領域72側の第2端部80Bとを有する。したがって、第1および第2端部80A,80Bは、シャーシ10の後端部15側へ向き、折曲部84と後端部15との間に位置する。第1領域71において折曲部84の反対側に位置する第1端部80Aには、摘み部80Cが設けられる。摘み部80Cは第1帯部材80を、第1領域71と第2領域72とが対向する面側に折り返して内側をホットメルト接着剤99で接合することにより形成されており、折り返しにより生じる湾曲部80Dにはホットメルト接着剤99は塗布されていない。これにより、湾曲部80Dが柔軟に変形することが可能となり、テープタブ70の第1端部80Aに着用者の保護者の手や腕が誤って触れたときでも、不快な感覚を覚えさせることがない。また、第1帯部材80を、第1領域71と第2領域72とが対向する面側に折り返して摘み部80Cを形成することにより、第1帯部材80の第1端部80Aのエッジが摘み部80Cにより覆われるため、第1端部80Aのエッジに手や腕が誤って触れることが防止される。摘み部80Cを設けることにより、おむつ1を廃棄する際、テープタブ70を容易に摘んで引っ張ることが可能になる。なお、以上説明した構成に代えて、第1帯部材80とは別の繊維不織布を第1端部80Aに接合して摘み部80Cを設けることもできる。
【0067】
第1帯部材80は、例えば、単位面積当り質量が約40〜100g/m
2、好ましくは約60〜80g/m
2のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。この繊維不織布は、少なくともその一部に熱融着性繊維を含む。熱溶着性繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類のポリマーを含む合成繊維を用いることができる。
【0068】
第1領域71に位置するフック要素74は、テープタブ70が折り畳まれた状態のとき、第2領域72に対向する。第2領域72を構成する第1帯部材80は、繊維交絡および/または溶着密度が、例えば、柔軟な繊維不織布である前後ウエストシート21,22に比べて高く、フック要素74が引っ掛かるループが形成されにくいので、フック要素74のフックが第1帯部材80の繊維に引っかかり難い。すなわち、フック要素74は、第2領域72に対して実質的に連結されない。ここで、フック要素74が第2領域72に実質的に連結されないとは、これらの間の剥離強度の平均値が約0〜0.4N、好ましくは約0.05〜0.2Nであることを意味する。ここで剥離強度の平均は、0を含むものであってもよく、すなわち、フック要素74が第2領域72との間で全く連結しないものであってもよい。平均剥離強度は、以下の方法によって測定した。
【0069】
<フック要素の平均剥離強度の測定方法>
平均剥離強度は、株式会社島津製作所製 オートグラフ引っ張り試験機を用いて測定した。おむつ1から切り取ったテープタブ70をサンプルとして用い、一対のチャックの一方で第1領域71の第1端部80Aを摘持させ、他方で第2領域72の第2端部80Bを摘持させ、引張速度100mm/min、ピール角度180°でこれらチャックを離間させ、剥離強度を測定した。より詳細には、第1領域71と第2領域72との間の仮止め部78の仮止めを解除し、フック要素74が第2領域72から離間する直前の部位までチャックを移動させて測定を開始し、その状態からフック要素74が第2領域72から全て離間する部位で測定を終了した。この測定における剥離強度の平均を、この実施形態の平均剥離強度とした。
【0070】
本実施形態のおむつ1において、テープタブ70は繊維不織布によって構成されるから、フィルムを用いた場合に比べてテープタブ70全体の通気性を向上させることができる。また、第1領域71に配置されたフック要素74が第2領域72に対して実質的に連結しないから、連結によって通気性を妨げることがない。さらに、第1領域71および第2領域72は仮止め部78以外において互いに対向する面が非接合とされるとともに、第2領域72と後ウエスト域12との間も非接合とされることから、テープタブ70全体において通気性を確保することができる。これらにより、テープタブ70と後ウエスト域12とが重なる部分において、着用者の肌にかぶれが生じることを予防できる。テープタブ70が取り付けられた部分において通気性を確保するために、おむつ1本体を構成する繊維不織布および防漏シート等においても通気性のものを用いることが好ましい。
【0071】
上記のようなテープタブ70は、仮止め部78により仮止めすることによって、折り畳み状態が妄りに展開されるのを予防することができる。この実施形態において、フック要素74は第2領域72に対向するが、フック要素74が第2領域72に対して実質的に連結されない。したがって、仮止め部78が形成されない場合には、第1領域71が第2領域72から剥離して、テープタブ70が展開されてしまう。テープタブ70が妄りに展開してしまうと、おむつ1の着用中に、フック要素74が衣類に引っ掛かってしまったり、おむつ1の製造時において第1領域71が第2領域72からめくれて、製造装置等に引っ掛かってしまったりする可能性がある。これを防止するために、第1領域71、第2領域72の一部を仮止め部78により仮止めする。
【0072】
図12(a)(b)を参照すれば、本実施形態のおむつ1を着用後に丸めて、テープタブ70により丸めた状態を固定して廃棄することができる。すなわち、おむつ1の前ウエストシート21を内側にして、クロッチ域13を前後端部14,15に向けて丸めることができる。このとき、テープタブ70は折り畳まれたままの状態にある。次いで、
図12(b)に示すように、テープタブ70によって、おむつ1の丸めた状態を固定することができる。詳しくは、摘み部80Cを引っ張って各仮止め部78の仮止めを解除し、第1領域71を第2領域72から剥離させるとともに折曲部84を後ウエストシート22から剥離させ、テープタブ70を接合手段85からおむつ1の後端部15側へ向けて引き伸ばし、この操作により露出したフック要素74を、丸めたおむつ1の後ウエストシート22またはクロッチシート23に連結する。フック要素74は、おむつ1の非肌対向面に対向し、後ウエストシート22に連結可能であるから、おむつ1の丸められた状態を固定することができる。
【0073】
この実施形態に係るテープタブ70によれば、摘み部80Cを摘んで後端部15側に引っ張るだけで、テープタブ70を折り畳まれた状態から展開することができ、フック要素74をおむつ1の非肌対向面に連結させることができる。したがって、その一連の動きに煩わしさがなく、一操作で容易におむつ1を丸めた状態に固定することができる。
【0074】
この実施形態において、防漏シート53がクロッチ域13における非肌対向面を形成している。おむつ1を丸めてテープタブ70で固定しようとした場合、フック要素74がクロッチ域13に対向することも考えられる。したがって、防漏シート53は、プラスチックフィルムと繊維不織布とのラミネートを用い、非肌対向面に繊維不織布が位置するようにすることが好ましい。また、この繊維不織布は、フック要素74が繊維に引っかかり連結しやすいように、例えば、単位面積当り質量が約10〜40g/m
2、好ましくは約13〜20g/m
2、繊維密度が約0.03〜0.10g/cm
3、好ましくは約0.04〜0.09g/cm
3である熱融着性のスパンボンド繊維不織布を用いることができる。
【0075】
この実施形態では、第1領域71および第2領域72のみを有するテープタブ70について説明したが、一片の繊維不織布を三つ折またはそれ以上にして、3以上の領域を有するテープタブ70を用いることもできる。また、一枚の不織布を折り畳んでテープタブ70を形成する例について説明したが、二枚以上のシートを繋ぎ合わせてテープタブ70を形成することもできる。また感圧接着剤により仮止めする例について説明したが、例えば直径が1mm未満の微細なドットパターンで熱エンボス処理または超音波シール処理して仮止めすることもできる。
【0076】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
使い捨て着用物品1は、縦方向Yおよびそれに直交する横方向Xを有し、肌対向面およびその反対側に位置する非肌対向面を有するシャーシ10と、前記非肌対向面に取り付けられたテープタブ70とを含む。
【0077】
この発明は、上記使い捨て着用物品1において、以下の点を含むことを特徴とする。
前記テープタブ70は、熱可塑性繊維を含む繊維不織布によって形成され、互いに隣接する第1領域71および第2領域72と、前記第1および第2領域71,72の間に位置する折曲部84とを含み、前記第1領域71と前記第2領域72とは、前記折曲部84に沿って折り畳まれて積層され、
前記第1および第2領域71,72には、その厚さ方向へ貫通する第1の開孔76,77と、前記開孔76,77の周囲に形成されるとともに前記熱可塑性繊維が溶融されて前記第1および第2領域71,72を互いに仮止めする第1の仮止め部78,79とが設けられる。
【0078】
上記の発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)前記仮止め部78,79は、前記開孔76,77の周囲に環状に形成される。
(2)前記第1領域71には、メカニカルファスナのフック要素74が設けられる。
(3)前記第1領域71および第2領域72は、前記仮止め部78,79以外において互いに対向する面が非接合とされる。
(4)前記テープタブ70は、前記第2領域72と前記シャーシ10との間に積層される第3領域73をさらに含み、前記第3領域73の一方の端部が前記第2領域72に隣接し、前記第3領域73の他方の端部が前記シャーシ10に接合される。
(5)前記開孔76,77は、前記第1領域71、前記第2領域72および前記第3領域73を厚さ方向へ貫通する。
(6)前記仮止め部78,79は、前記第1領域71、前記第2領域72および前記第3領域73を互いに仮止めする。
(7)前記第2領域72および第3領域73は、前記仮止め部78,79以外において互いに対向する面が非接合とされる。
(8)前記シャーシ10の前記非肌対向面は、熱可塑性繊維を含む繊維不織布によって形成され、前記テープタブ70は、前記繊維不織布に積層されるとともに、前記テープタブ70および前記繊維不織布には、これらを貫通する第2の開孔と、前記第2の開孔の周囲に形成されるとともに前記熱可塑性繊維が溶融されて前記繊維不織布および前記テープタブ70を互いに仮止めする第2の仮止め部とがそれぞれ設けられる。
(9)前記シャーシ10は、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、これら前後ウエスト域11,12の間に位置するクロッチ域13とを含み、前記テープタブ70は、前記後ウエスト域12に配置される。
(10)前記テープタブ70は、前記縦方向Yおよび前記横方向Xの少なくともいずれか一方において不連続に配置された接合手段85によって前記シャーシ10に接合される。
【0082】
おむつ1を構成する各構成部材には、本明細書に記載されている材料のほかに、この種の分野において通常用いられている、各種の公知の材料を制限なく用いることができる。また、おむつ1は、前ウエスト域11と、後ウエスト域12と、クロッチ域13とが一連に形成された態様であってもよい。
【0083】
本発明の明細書および特許請求の範囲において、用語「第1」および「第2」は、同称の要素、位置等を単に区別するために用いられている。