(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2値化処理ステップを実施した後、該ワークピース撮像画像に該2値化処理用閾値で2値化処理を施し、該ワークピース撮像画像上で2値化処理が施された該キーパターン画像をパターンマッチングして相関性を算出するとともに、最も高い相関性が得られた領域をキーパターンとして検出するパターンマッチングステップを更に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキーパターン検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、キーパターン検出方法が用いられるレーザー加工装置の構成例を模式的に示す斜視図である。なお、本発明のキーパターン検出方法は、レーザー加工装置において用いられることに限定されず、切削装置、ウォータージェット加工装置、洗浄装置、測定装置等の装置において用いられても良い。
【0021】
図1に示すように、レーザー加工装置2は、各構成を支持する基台4を備えている。基台4の上方には、基台4を覆う筐体6が設けられている。筐体6の内部には、空間が形成されており、レーザービームを照射する加工ヘッド8及びワークピース11を撮像するカメラ10を含むレーザー照射ユニット12が収容されている。
【0022】
レーザー照射ユニット12の下方には、ワークピース11を吸引保持するチャックテーブル14が設けられている。このチャックテーブル14は、基台4の上面と水平なX軸方向(加工送り方向)及びY軸方向(割り出し送り方向)に移動すると共に、Z軸の周りに回転する。
【0023】
基台4の角部には、カセットエレベータ16が設けられている。このカセットエレベータ16には、ワークピース11を収容するカセット18が載置される。カセットエレベータ16は、昇降可能に構成されており、ワークピース11を搬出、搬入できるように、カセット18の位置をZ軸方向(高さ方向)に調整する。
【0024】
筐体6の前面6aには、各種の条件を設定するためのタッチパネル式のモニタ20が設けられている。このモニタ20は、レーザー加工装置2の各構成を制御する制御装置22(
図3参照)と接続されている。制御装置22は、モニタ20を通じて設定される各種条件に基づいて、加工ヘッド8、カメラ10、チャックテーブル14等の動作を制御する。
【0025】
次に、上記レーザー加工装置2において実施されるアライメント処理を説明する。
図2は、ワークピース11の表面側、及び撮像される画像の例を模式的に示す図である。
【0026】
図2に示すように、ワークピース11は、円盤状の半導体ウェーハであり、中央のデバイス領域13と、デバイス領域13を囲む外周余剰領域15とを備えている。ワークピース11の表面側のデバイス領域13は、格子状に配列されたストリート(加工予定ライン)17a,17bで複数の領域に区画されており、各領域にはIC等のデバイス19(19a,19b)が形成されている。
【0027】
このワークピース11のデバイス領域13の一部をレーザー加工装置2のカメラ10で撮像することにより、例えば、
図2に示すような撮像画像30a,30bが形成される。撮像画像30a,30bには、デバイス19a,19b中の素子や配線により形成されるパターンPが含まれている。
【0028】
アライメント処理では、デバイス19a,19bにおいて特徴的なパターンPをキーパターンPkとして設定し、ワークピース11の位置を特定する。具体的には、キーパターンPkを用いて、ストリート17a(又は、ストリート17b)をX軸方向(又は、Y軸方向)と平行に合わせる平行出しステップ、及び加工位置を検出する加工位置検出ステップを実施する。
【0029】
平行出しステップでは、まず、ストリート17aと平行な方向において離れた位置にあるデバイス19a,19bの撮像画像30a,30bを取得し、各撮像画像30a,30b中のキーパターンPkを検出する。
【0030】
そして、撮像画像30a,30bにおけるキーパターンPkのY軸方向の座標が一致するように、チャックテーブル14を回転させる。これにより、撮像画像30a,30b中のキーパターンPkを結ぶ直線がX軸方向と平行になる。すなわち、ストリート17aがX軸方向と平行になる。
【0031】
加工位置検出ステップでは、予めレーザー加工装置2に記憶させておいたキーパターンPk及び加工位置の座標情報に基づき、検出されたキーパターンPkを基準とする加工位置の座標を算出する。なお、上述した座標情報は、例えば、設計情報などに基づいて取得される。
【0032】
このようなアライメント処理の結果、後の加工ステップでレーザービームをストリート17a,17bに沿って照射し、ワークピース11を適切に加工できるようになる。なお、平行出しステップ及び加工位置検出ステップは、必要に応じてY軸方向にも実施される。また、
図2では、撮像画像30a,30bの一部をキーパターンPkとして設定しているが、撮像画像30a,30bの全部をキーパターンPkとして設定しても良い。
【0033】
図3は、アライメント処理を模式的に示す図であり、
図4は、アライメント処理において実施されるパターンマッチングを模式的に示す図である。
図3に示すように、アライメント処理の開始前には、キーパターンPkを登録するための登録用のワークピース11aを撮像し、形成される撮像画像30cからキーパターンPkを選定しておく。選定されたキーパターンPkは、制御装置22のメモリ22aにキーパターン画像32として登録される。
【0034】
アライメント処理が開始されると、制御装置22は、加工対象となる処理用のワークピース11bをカメラ10に撮像させ、得られた撮像画像30a,30bをメモリ22aに記憶する。
【0035】
また、制御装置22は、処理プログラム22bに基づいて、撮像画像30a,30bに含まれるパターンPからキーパターン画像32と最も相関の強い(最も相関性の高い)パターンPを検出するパターンマッチングを実施する。
【0036】
このパターンマッチングでは、まず、
図4に示すように、キーパターン画像32と同じサイズ(画素数)のマッチング用枠34を、縦横方向に1画素単位で順にずらしながら撮像画像30a,30b内の領域を切り出すことで、複数の被マッチング画像36を形成する。
【0037】
次に、形成された複数の被マッチング画像36のそれぞれと、キーパターン画像32との相関の強さ(相関性の高さ)を算出し、キーパターン画像32との相関が最も強い被マッチング画像36をキーパターンPkとして検出する。この方法によれば、キーパターン画像32に最もよく似た被マッチング画像36を、キーパターンPkとして検出できる。
【0038】
ところで、ワークピース11a,11bには、通常、僅かな傷や汚れが存在する。そのため、撮像画像30a,30b,30cに傷や汚れが写り込むと、キーパターンPkを適切に検出できなくなる恐れがある。同様に、赤外線に感度のあるカメラ10で裏面側が研削されたワークピース11を撮像する場合には、裏面側の研削痕が撮像画像30に写り込み、パターンマッチングの精度が低下してしまう。
【0039】
この問題に対して、本発明者は、各画素の濃淡度の平均値に基づいて、画像を2値化するための2値化処理用閾値を設定すれば、画像に写り込んだワークピース11の傷や汚れ等を2値化処理で適切に除去し、キーパターンを高精度に検出できるのではないかと考えた。そして、この知見に基づき本発明を完成させた。以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0040】
(実施の形態1)
本実施の形態では、キーパターン検出方法の第1の態様について説明する。第1の態様に係るキーパターン検出方法は、登録ステップ、ワークピース撮像画像形成ステップ、閾値設定ステップ、2値化処理ステップ、パターンマッチングステップを含む。
【0041】
登録ステップでは、ワークピースの特徴的なパターンを撮像した撮像画像の一部又は全部をキーパターン画像として登録する。ワークピース撮像画像形成ステップでは、キーパターン画像より広い視野でワークピースを撮像したワークピース撮像画像を形成する。
【0042】
閾値設定ステップでは、キーパターン画像の各画素の濃淡度とワークピース撮像画像の各画素の濃淡度とを合計し、キーパターン画像の総画素数(第一の画素数)とワークピース撮像画像の総画素数(第二の画素数)との和で割って、濃淡度の平均値(濃淡度平均値)を算出する。そして、算出された濃淡度の平均値を、2値化処理用の閾値(2値化処理用閾値)に設定する。
【0043】
2値化処理ステップでは、2値化処理用の閾値に基づいてキーパターン画像を2値化処理する。パターンマッチングステップでは、まず、2値化処理用の閾値に基づいてワークピース撮像画像を2値化処理する。次に、2値化処理後のキーパターン画像と、2値化処理後のワークピース撮像画像に含まれるパターンとの相関を算出し、キーパターン画像との相関が最も強いパターンをキーパターンとして検出する。以下、本実施の形態に係るキーパターン検出方法について詳述する。
【0044】
本実施の形態に係るキーパターン検出方法では、まず、ワークピースの特徴的なパターンを撮像した撮像画像の一部又は全部をキーパターン画像として登録する登録ステップを実施する。
図5は、登録ステップを模式的に示す図である。
【0045】
登録ステップでは、まず、登録用のワークピース11aをレーザー加工装置2のチャックテーブル14に吸引保持させる。そして、
図5に示すように、ワークピース11aをレーザー加工装置2のカメラ10で撮像して、キーパターンPkを含む撮像画像40aを得る。
【0046】
なお、カメラ10による撮像は、ワークピース11aの表面側から行われても良いし、ワークピース11aの裏面側から行われても良い。ただし、キーパターンPkはワークピース11aの表面側に形成されているので、ワークピース11aの裏面側から撮像する場合には、赤外線に感度のあるカメラ10を用いる必要がある。
【0047】
次に、撮像画像40aに含まれる特徴的なキーパターンPkを、キーパターン画像42として制御装置22のメモリ22aに登録する。
図5に示すように、ここでは、撮像画像40aの一部をキーパターン画像42として登録するが、撮像画像40aの全部をキーパターン画像42として登録しても良い。
【0048】
この登録ステップは、オペレータのマニュアル操作によって行われても良いし、制御装置22による自動処理で行われても良い。なお、登録ステップは、ティーチング処理(Teaching処理)等と呼ばれることもある。
【0049】
また、登録ステップで登録されたキーパターン画像42には、フィルタ処理等の画像処理が適用されても良い。例えば、エッジ(輪郭)を検出するためのエッジ検出フィルタ処理等を適用できる。
【0050】
登録ステップの後には、キーパターン画像より広い視野でワークピースを撮像してワークピース撮像画像を形成するワークピース撮像画像形成ステップを実施する。
図6は、ワークピース撮像画像形成ステップを模式的に示す図である。
【0051】
ワークピース撮像画像形成ステップでは、まず、処理用のワークピース11bをレーザー加工装置2のチャックテーブル14に吸引保持させる。そして、
図6に示すように、ワークピース11bをレーザー加工装置2のカメラ10で撮像して、キーパターン画像42より広い視野のワークピース撮像画像40bを得る。
【0052】
カメラ10による撮像は、ワークピース11bの表面側から行われても良いし、ワークピース11bの裏面側から行われても良いが、登録ステップに合わせて実施される必要がある。得られたワークピース撮像画像40bは、制御装置22のメモリ22aに記憶される。
【0053】
ワークピース撮像画像形成ステップの後には、キーパターン画像42及びワークピース撮像画像40bの濃淡度に基づいて、後の2値化処理に用いる閾値(2値化処理用閾値)を設定する閾値設定ステップを実施する。
【0054】
キーパターン画像42及びワークピース撮像画像40bは、複数の画素の集合体であり、各画素には、「黒色」と「白色」との間の色の濃淡(明度)を複数の階調で表現する濃淡度が設定されている。
【0055】
各画素の濃淡度は、カメラ10の受光量に応じて設定される。一般に、Nbitのグレースケール画像において、各画素の濃淡度は2
N段階(2
N階調)で表現され、例えば、「黒」の濃淡度は「0」、「白」の濃淡度は「2
N−1」となる。
【0056】
本実施の形態の閾値設定ステップでは、この濃淡度に基づいて、後の2値化処理に用いる閾値を設定する。具体的には、まず、制御装置22が、メモリ22aに記憶されているキーパターン画像42及びワークピース撮像画像40bを読み出す。
【0057】
そして、処理プログラム22bに基づいて、濃淡度の平均値(濃淡度平均値)meanを算出する。平均値meanの算出には、下記式(1)が用いられる。式(1)において、n
1は、キーパターン画像42の総画素数(第一の画素数)を表し、n
2は、ワークピース撮像画像40bの総画素数(第二の画素数)を表し、K
iは、キーパターン画像42に含まれる第i番目の画素の濃淡度を表し、W
jは、ワークピース撮像画像40bに含まれる第j番目の画素の濃淡度を表す。
【数1】
【0058】
その後、上記式(1)で算出された平均値meanを、後の2値化処理に用いる閾値として設定し、メモリ22aに記憶させる。このように、本実施の形態では、キーパターン画像42の各画素の濃淡度とワークピース撮像画像40bの各画素の濃淡度との合計値を、キーパターン画像42の総画素数(第一の画素数)とワークピース撮像画像40bの総画素数(第二の画素数)との合計値で割った値が、2値化処理用の閾値として設定される。
【0059】
閾値設定ステップの後には、閾値設定ステップで設定された2値化処理用の閾値に基づいてキーパターン画像を2値化処理する2値化処理ステップを実施する。ここで、2値化処理とは、グレースケール又はカラーで表された画像を、白と黒の二色で表現されるモノクロ画像に変換する処理をいう。
【0060】
2値化処理ステップでは、まず、制御装置22が、メモリ22aに記憶されているキーパターン画像42及び2値化処理用の閾値を読み出す。そして、処理プログラム22bに基づいて、キーパターン画像42中の各画素の濃淡度を2値化処理用の閾値と比較し、各画素を「黒」又は「白」のいずれかに変換する。
【0061】
本実施の形態では、濃淡度の平均値meanを2値化処理用の閾値に設定しているので、例えば、キーパターン画像42中において、平均値mean未満の濃淡度の画素は「黒」に変換され、平均値mean以上の濃淡度の画素は「白」に変換される。変換されたキーパターン画像42は、メモリ22aに記憶される。
【0062】
2値化処理ステップの後には、キーパターン画像との相関が最も強いワークピース撮像画像中のパターンをキーパターンとして検出するパターンマッチングステップを実施する。
図7は、パターンマッチングステップを模式的に示す図である。
【0063】
パターンマッチングステップでは、初めに、2値化処理用の閾値に基づいてワークピース撮像画像40bを2値化処理する。具体的には、まず、制御装置22が、メモリ22aに記憶されているワークピース撮像画像40b及び2値化処理用の閾値を読み出す。
【0064】
そして、処理プログラム22bに基づいて、キーパターン画像42中の各画素の濃淡度を2値化処理用の閾値と比較し、各画素を「黒」又は「白」のいずれかに変換する。変換されたワークピース撮像画像40bは、メモリ22aに記憶される。
【0065】
次に、
図7に示すように、2値化処理後のキーパターン画像42と、2値化処理後のワークピース撮像画像40bに含まれるパターンとの相関を算出し、キーパターン画像42との相関が最も強いパターンをキーパターンとして検出する。
【0066】
具体的には、まず、制御装置22が、2値化処理後のワークピース撮像画像40bをメモリ22aから読み出し、処理プログラム22bに基づいて複数の被マッチング画像(パターン)44を形成する。
【0067】
複数の被マッチング画像44は、キーパターン画像42と同じサイズ(画素数)のマッチング用枠46を、縦横方向に1画素単位で順にずらしながらワークピース撮像画像40b内の領域を切り出すことで形成される。形成された複数の被マッチング画像44は、メモリ22aに記憶される。
【0068】
その後、制御装置22は、2値化処理後のキーパターン画像42と複数の被マッチング画像44とをメモリ22aから読み出し、処理プログラム22bに基づいてキーパターン画像42と各被マッチング画像44との相関を算出する。
【0069】
キーパターン画像42と各被マッチング画像44との相関(相関性)は、周知の方法で算出できる。具体的には、例えば、NCC(Normalized Cross−Correlation)、SSD(Sum of Squared Difference)、SAD(Sum of Absolute Difference)、ZNCC(Zero−mean Normalized Cross−Correlation)等を利用すれば良い。
【0070】
上述のようにキーパターン画像42と各被マッチング画像44との相関が算出されると、制御装置22は、相関が最も強い被マッチング画像44をキーパターンとして選定する。レーザー加工装置2は、このようにして検出されたワークピース11b中のキーパターンに基づいて、アライメント処理等を実施できる。
【0071】
以上のように、本実施の形態のキーパターン検出方法では、画像中の各画素の濃淡度の平均値に基づいて、2値化処理に適した閾値を設定するので、画像に写り込んだワークピース11a,11bの傷や汚れ、研削痕等を2値化処理で適切に除去できる。これにより、キーパターンを高精度に検出できる。
【0072】
また、本実施の形態では、画像中の各画素の濃淡度の平均値に基づいて、2値化処理に適した閾値を設定するので、最適な閾値を調べるために、異なる閾値を用いて複数回の2値化処理を実施する必要がない。そのため、キーパターン検出方法を高速化できる。
【0073】
(実施の形態2)
本実施の形態では、キーパターン検出方法の第2の態様について説明する。第2の態様に係るキーパターン検出方法は、登録ステップ、ワークピース撮像画像形成ステップ、第一の平均値算出ステップ、第二の平均値算出ステップ、閾値設定ステップ、2値化処理ステップ、パターンマッチングステップを含む。なお、登録ステップ、ワークピース撮像画像形成ステップ、2値化処理ステップ、パターンマッチングステップは、実施の形態1と同様である。
【0074】
第一の平均値算出ステップでは、キーパターン画像の各画素の濃淡度の合計値を、キーパターン画像の総画素数(第一の画素数)で割って、キーパターン画像濃淡度平均値を算出する。
【0075】
第二の平均値算出ステップでは、ワークピース撮像画像の各画素の濃淡度の合計値を、ワークピース撮像画像の総画素数(第二の画素数)で割って、ワークピース撮像画像濃淡度平均値を算出する。
【0076】
閾値設定ステップでは、キーパターン画像濃淡度平均値とワークピース撮像画像濃淡度平均値との平均値を算出し、2値化処理用の閾値(2値化処理用閾値)に設定する。以下、本実施の形態に係るキーパターン検出方法について詳述する。
【0077】
本実施の形態に係るキーパターン検出方法では、まず、登録ステップ及びワークピース撮像画像形成ステップを実施する。登録ステップ及びワークピース撮像画像形成ステップの詳細は、実施の形態1に示す通りである。
【0078】
登録ステップ及びワークピース撮像画像形成ステップの後には、キーパターン画像42の各画素の濃淡度の合計値を、キーパターン画像42の総画素数(第一の画素数)で割って、キーパターン画像濃淡度平均値を算出する第一の平均値算出ステップを実施する。
【0079】
第一の平均値算出ステップでは、まず、制御装置22が、メモリ22aに記憶されているキーパターン画像42を読み出す。そして、処理プログラム22bに基づいて、キーパターン画像濃淡度平均値mean_1を算出する。算出されたキーパターン画像濃淡度平均値mean_1は、メモリ22aに記憶される。
【0080】
キーパターン画像濃淡度平均値mean_1の算出には、下記式(2)が用いられる。式(2)において、n
1は、キーパターン画像42の総画素数(第一の画素数)を表し、K
iは、キーパターン画像42に含まれる第i番目の画素の濃淡度を表す。
【数2】
【0081】
第一の平均値算出ステップの後には、ワークピース撮像画像40bの各画素の濃淡度の合計値を、ワークピース撮像画像40bの総画素数(第二の画素数)で割って、ワークピース撮像画像濃淡度平均値を算出する第二の平均値算出ステップを実施する。
【0082】
第二の平均値算出ステップでは、まず、制御装置22が、メモリ22aに記憶されているワークピース撮像画像40bを読み出す。そして、処理プログラム22bに基づいて、ワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2を算出する。算出されたワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2は、メモリ22aに記憶される。
【0083】
ワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2の算出には、下記式(3)が用いられる。式(3)において、n
2は、ワークピース撮像画像40bの総画素数(第二の画素数)を表し、W
jは、ワークピース撮像画像40bに含まれる第j番目の画素の濃淡度を表す。
【数3】
【0084】
第一の平均値算出ステップ及び第二の平均値算出ステップの後には、キーパターン画像濃淡度平均値mean_1及びワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2に基づいて、後の2値化処理に用いる閾値(2値化処理用閾値)を設定する閾値設定ステップを実施する。
【0085】
閾値設定ステップでは、まず、制御装置22が、メモリ22aに記憶されているキーパターン画像濃淡度平均値mean_1及びワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2を読み出す。そして、処理プログラム22bに基づいて、キーパターン画像濃淡度平均値mean_1及びワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2の平均値mean_3を算出する。
【0086】
その後、算出された平均値mean_3を、後の2値化処理に用いる閾値として設定し、メモリ22aに記憶させる。このように、本実施の形態では、キーパターン画像42の各画素の濃淡度の合計値をキーパターン画像42の総画素数で割ったキーパターン画像濃淡度平均値mean_1と、ワークピース撮像画像40bの各画素の濃淡度の合計値をワークピース撮像画像40bの総画素数で割ったワークピース撮像画像濃淡度平均値mean_2との平均値が、2値化処理用の閾値として設定される。
【0087】
閾値設定ステップの後には、2値化処理ステップ及びパターンマッチングステップを実施する。2値化処理ステップ及びパターンマッチングステップの詳細は、実施の形態1に示す通りである。
【0088】
以上のように、本実施の形態のキーパターン検出方法においても、画像中の各画素の濃淡度の平均値に基づいて、2値化処理に適した閾値を設定するので、画像に写り込んだワークピース11a,11bの傷や汚れ、研削痕等を2値化処理で適切に除去できる。これにより、キーパターンを高精度に検出できる。
【0089】
また、画像中の各画素の濃淡度の平均値に基づいて、2値化処理に適した閾値を設定するので、最適な閾値を調べるために、異なる閾値を用いて複数回の2値化処理を実施する必要がない。そのため、キーパターン検出方法を高速化できる。
【0090】
本実施の形態で示す構成、方法等は、他の実施の形態に係る構成、方法等と適宜組み合わせることが可能である。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施の形態では、2値化処理ステップの後にパターンマッチングステップを実施する態様について例示しているが、必ずしもパターンマッチングステップは実施されなくても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、登録ステップ及びワークピース撮像画像形成ステップの後に、第一の平均値算出ステップ及び第二の平均値算出ステップを実施する態様について例示しているが、各ステップの順序はこれに限定されない。
【0093】
少なくとも、登録ステップの後に第一の平均値算出ステップが実施され、ワークピース撮像画像形成ステップの後に第二の平均値算出ステップが実施されればよい。同様に、キーパターン検出方法を構成する各ステップの順序は、矛盾を生じない限りにおいて変更して実施できる。
【0094】
また、上記実施の形態では、登録用のワークピース11aと処理用のワークピース11bとを区別しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、処理用のワークピース11bの一部を登録用のワークピースとして用いても良い。
【0095】
その他、上記実施の形態に係る構成、方法などは、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。