(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
各軸に時間と車速とをそれぞれとったグラフ上に、走行速度パターン、該走行速度パターンの許容幅及び現時点での車速を表すようにした画面を有する車両運転モード表示装置において、
前記許容幅内で車両が運転されている場合において、下記第1条件又は第2条件を満たすかどうかを判断し、満たしたときにワーニングを発することを特徴とする車両運転モード表示装置。
第1条件:前記走行速度パターンが示す基準速度と前記車速との差が時間経過に連れて広がる場合。
第2条件:現時点での加速度を維持したと仮定したときに、車速が前記許容幅を所定の許容時間内に超える場合。
前記第1条件は、第1の時刻における実加速度及び走行速度パターンから求められる基準加速度の差よりも、前記第1の時刻から所定時間経過した第2の時刻における実加速度及び走行速度パターンから求められる基準加速度との差の方が大きい場合である請求項1記載の車両運転モード表示装置。
前記第2条件は、第1の時刻における実加速度を維持した場合に、実車速が前記許容幅を超えるまでに要する予測時間が、前記許容時間を下回った場合である請求項1記載の車両運転モード表示装置。
前記グラフにおける現時点を中心にした前後所定時間内の特定領域を、車速軸方向に拡大して表示するものであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の車両モード表示装置。
現時点での走行速度パターンがグラフの車速軸幅における中心近傍となるように、グラフの車速軸をスクロールする又はスクロール可能なものであることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の車両モード表示装置。
前記特定領域に表示される走行速度パターンと、該特定領域の未来側に隣接する通常表示領域での走行速度パターンとが連続するように、該特定領域が拡大されていることを特徴とする請求項5記載の車両モード表示装置。
各軸に時間と車速とをそれぞれとったグラフ上に、走行速度パターン、該走行速度パターンの許容幅及び現時点での車速を表すようにした画面を表示するとともに、前記許容幅内で車両が運転されている場合において、下記第1条件又は第2条件を満たすかどうかを判断し、満たしたときにワーニングを発する機能を車両運転モード表示装置に発揮させることを特徴とするプログラム。
第1条件:前記走行速度パターンが示す基準速度と前記車速との差が時間経過に連れて広がる場合。
第2条件:現時点での加速度を維持したと仮定したときに、車速が前記許容幅を所定の許容時間内に超える場合。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる不具合に鑑みてなされたものであって、その主たる所期課題は、許容幅を超えることを未然に防止し、テストドライバーがより容易に運転できるようになる車両運転モード表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る車両モード表示装置は、各軸に時間と車速とをそれぞれとったグラフ上に、走行速度パターン、該走行速度パターンの許容幅及び現時点での車速を表すようにした画面を有する車両運転モード表示装置において、前記許容幅内で車両が運転されている場合において、下記第1条件又は第2条件を満たすかどうかを判断し、満たしたときにワーニングを発することを特徴とするものである。
第1条件:前記走行速度パターンが示す基準速度と前記車速との差が時間経過に連れて広がる場合。
第2条件:現時点での加速度を維持したと仮定したときに、車速が前記許容幅を所定の許容時間内に超える場合。
【0008】
このようなものであれば、従来、実車速が許容幅を超えたときにテストドライバーにワーニング(警告)を出していたものの、許容幅を超えたことに対する警告にはなるが、許容幅を超えること自体を回避することにはならなかったところ、許容幅内で車両が運転されている場合において、許容幅を超えると予測される所定条件が満たされたときにワーニングを発するようにしているため、許容幅を超えることを未然に防止し、テストドライバーがより容易に運転できるようになる。
【0009】
より具体的な第1条件としては、所定の第1の時刻における実加速度及び走行速度パターンから求められる基準加速度の差よりも、前記第1の時刻から所定時間経過した第2の時刻における実加速度及び走行速度パターンから求められる基準加速度との差の方が大きい場合を挙げることができる。
【0010】
第2条件としては、第1の時刻における実加速度を維持した場合に、実車速が前記許容幅を超えるまでに要する予測時間が、前記許容時間を下回った場合を挙げることができる。
【0011】
前記車速が、前記許容幅内でかつ走行速度パターンが示す基準速度よりも所定値だけ高い速度である上限判断開始速度と、前記許容範囲内でかつ走行速度パターンが示す基準速度よりも所定値だけ低い速度である下限判断開始速度との間に維持されている場合は、前記判断は行わないように構成したものであれば、上限判断開始速度を超える、又は、下限判断開始速度を下回ったときのみ、ワーニングに係る判断を行うので、これらの判断開始速度の値を変更することによってテストドライバー(ユーザ)の好みに合うワーニングタイミングやワーニング頻度にチューニングすることができる。
【0012】
一方、従来、ヨーロッパ法規による走行速度パターンには、最高速度が120km/hにもなるものがあるが、その場合に、その最高速度に合わせてグラフ車速軸のフルスケールが大きく取られる結果、グラフに表示されるトレランス領域が非常に細くなってしまい、テストドライバーにとって見づらくなるという不具合が生じている。
【0013】
このような不具合を改善するには、前記グラフにおける現時点を中心にした前後所定時間内の特定領域を、車速軸方向に拡大して表示するようにしたものが好ましい。
なぜならば、走行速度パターンの最高速が大きい場合などの理由から車速軸のフルスケールが大きくなって、相対的に走行速度パターンの許容幅が狭く表示されても、現時点を中心にした前後所定時間範囲内の特定領域においては、グラフが車速軸方向に拡大されて許容幅が大きく表示され、テストドライバーにとって走行速度パターンに沿った運転を行いやすくなるからである。
【0014】
最高速度又は最低速度付近になると、走行速度パターンがグラフの端部に表示されるようになるが、その部分を単純に拡大すると、許容幅が切れて部分的に表示できなくなる場合がある。このような事態を回避するには、現時点での走行速度パターンがグラフの車速軸幅における中心近傍となるように、車速軸をスクロールする又はスクロール可能に構成したものが好ましい。
【0015】
前記特定領域に表示される走行速度パターンと、該特定領域の未来側に隣接して表示される通常表示領域での走行速度パターンとが連続するように、該特定領域が拡大されていれば、特定領域において、現時点から未来に向かって延びる走行速度パターンが通常表示領域との境界部分でも連続して段差が生じないため、テストドライバーにとって走行速度パターンの今後の変化を直感的に把握しやすくなり、運転がより容易になる。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、許容幅内で車両が運転されている場合において、許容幅を超えると予測される所定条件が満たされたときにワーニングを発するようにしているため、許容幅を超えることを未然に防止し、テストドライバーがより容易に運転できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る運転モード表示装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
本運転モード表示装置2は、車両試験システム100に用いられるものである。
まず、この車両試験システム100の概要から説明する。
車両試験システム100は、セルと称される室内で自動車を所定の運転モードで走行試験し、そのときの排ガス分析や燃費測定等を行うためもので、
図1にその全体構成を示すように、互いに気密に区画された計測室とテスト室とに分かれて配置された、シャシダイナモ装置1、排ガス測定装置3、測定管理装置4、運転モード表示装置2等を備えている。
【0020】
シャシダイナモ装置1は、例えば1軸式のもので、車両Vの駆動輪を載せる回転ドラム11等を有するダイナモ本体1bと、ドラムを制御して車両Vに路上と同様な走行負荷を与えるダイナモ制御装置1aとを具備するものである。このダイナモ制御装置1aは、例えばCPU、メモリ等からなるコンピュータシステムを利用して構成してあり、外部との間で制御信号やデータ等を相互に通信できる機能を有する。なお、この
図1では2WD、FF車用のものを示しているが、もちろん4WDに対応できるように回転ドラムを前後に一対備えたものでも構わないし、2軸式のもので構わないのは言うまでもない。
【0021】
排ガス測定装置3は、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載しており、エンジン排ガス中に含まれるHC、NO
X、CO、CO
2等の各成分を各別に連続測定することが可能なものである。なお本実施形態では、排ガスを大気で希釈し希釈された排ガスをサンプルガスとして一定の容量でサンプリングする排ガス定容量試料採取装置5と組み合わせることにより、単位走行距離あたりのCO、HC、NOなどの重量測定も行えるように構成してある。この排ガス測定装置3は、CPU、メモリ等を利用して構成したコンピュータシステムを備え、外部との間で制御信号やデータ等を相互に通信できる機能を有する。
【0022】
測定管理装置4は、例えばCPU、メモリ、通信ポートなどからなる本体部と、ディスプレイ、入力手段等からなるコンソールとを備えたコンピュータシステムである。そして、前記ダイナモ制御装置1aや排ガス測定装置3との間で、LAN等のネットワークNTを介してデータの授受を行い、ダイナモ制御装置1aや排ガス測定装置3あるいは他の機器(車両冷却用ファン6、車両情報取得装置7、排ガス吸引用ブロワ51、室内空調等)の統括的な制御やデータ取得を行うことができるようにしてある。
【0023】
具体的説明すると、この測定管理装置4の本体部には、各機器(機器とは装置、あるいは装置を構成する要素を含む概念である)が登録してあり、登録された機器の稼動状態や測定結果、アラーム情報等を、数値やテキスト、グラフィックなどで前記ディスプレイに表示するとともに、各機器の稼動状態等を、前記入力手段を用いて制御できるようにしてある。制御とは、例えば、シャシダイナモ装置1であれば、動作の開始/停止、負荷の設定、変更などであり、排ガス測定装置3であれば、各ガス分析計についての初期設定、測定の開始/停止、測定条件の変更、校正、ブロワ51のON/OFFなどである。
さらにここでは、測定管理装置4は、運転モード表示装置2との間でLAN等のネットワークNTを介してデータの授受を行い、運転モード表示装置2の制御やデータ取得を行うことができる制御部も備えているが、これに限られることなく、測定管理装置4とは別に、運転モード表示装置2の制御部を設けてもよい。
【0024】
運転モード表示装置2は、CPUやメモリを有した本体部と、テストドライバーが視認できるように車両内外の例えばフロントウィンドウ近傍に設置されたディスプレイと、入力手段とを具備したものであり、テストドライバーが前記運転モードで車両を走行させるときに用いられる。なお、ここでの入力手段は、例えばディスプレイに一体に付帯させたタッチパネルやリモコンである。
【0025】
具体的にこのものは、
図2に示すように、ディスプレイの画面上に、時間を縦軸、車速を横軸にそれぞれとったグラフG1(軸が逆でも構わない。)を示し、このグラフG1上に前記運転モードによって定められた走行速度パターンS、該走行速度パターンSからの許容幅H、及び現時点での車速を示すマーカーPを表示するようにしたものである。なお、この
図2のグラフG1において、上方向が未来側である。
【0026】
このグラフG1の縮尺は、走行速度パターンSによって決まる最高速度(プラス所定値)が車速軸のフルスケールとなるようにこの運転モード表示装置2が自動設定する。なお、ここでは、その他の情報としてグラフG1の側方に、走行速度パターン全体
図Wと試験進行状況を表示するとともに、下方に試験時間(Trace time)や実車速、Phase、Violationsなどを数値で表示するようにしている。
【0027】
走行速度パターンS及び許容幅Hは、予めメモリに登録されているものであるが、ここでは、運転モード表示装置2の制御部を有する測定管理装置4の入力手段において、テストドライバー等のユーザが、新たに登録したり変更したりすることが可能なようにしてある。
実車速は、シャシダイナモ装置1からダイナモローラ速度を取得しこれを車両Vの速度に変換することによって得ている。
【0028】
その他、この運転モード表示装置2は、車両情報取得装置7等を介してエンジン回転数、WOT(スロットル開度)、ブースト圧、大気圧、乾球温度、湿球温度などを受信し、内部のコンピュータでそれらを処理して、図示していないが、数値形式やグラフ形式でディスプレイの画面上に表示することもできる。
【0029】
しかして、この実施形態における運転モード表示装置2は、
図3に示すように、前記グラフG1における現時点を中心にした前後所定時間内の特定領域Eを、車速軸方向にのみ拡大して表示することが可能なように構成してある。拡大された特定領域Eの前後は、通常の縮尺、つまり車速軸がフルスケールで表される縮尺による通常表示領域Nである。
【0030】
この
図3に示すグラフG1’と前述した
図2に示すグラフG1とは、図示しない設定画面において切り替え可能に構成してある。例えば、走行速度パターンSの最高速度が高く、フルスケールが大きくなって相対的に許容幅Hが小さく表示されると予測される場合に、ユーザは、画面を
図3の表示態様となるように、走行試験前に予め設定することができる。なお、これを自動で切り替えるようにしても構わない。具体的には、車速軸のフルスケールから判断して、許容幅Hの画面上での表示寸法が所定の閾値以下となる場合には、走行試験前に、
図3のグラフG1’による表示態様となるように、この運転モード表示装置2が自動設定するように構成すればよい。
【0031】
前記特定領域Eの表示縮尺は、前記設定画面において適宜定めることができるようにしてあるが、例えば、許容幅Hが画面上で常に一定寸法となるように、特定領域Eの表示縮尺を自動設定するようにしても構わない。特定領域Eの現時点に対する前後それぞれの時間幅の設定も、ユーザが適宜定められるようにしてもよいし、固定にしてもよい。
【0032】
また、特定領域Eの拡大中心は、通常表示領域Nとの未来側の境界線と、通常表示領域Eの走行速度パターンSとが交わるポイントにしてある。このように構成することにより、特定領域Eに表示される走行速度パターンSと、該特定領域Eの未来側に隣接する通常表示領域Nに表示される走行速度パターンSとが連続するので、テストドライバーが走行速度パターンSの動きを見やすくなる。
【0033】
さらに、この実施形態では、車速がフルスケールの所定範囲内にまで近づくと、この運転モード表示装置2が、
図4(2)に示すように、現時点での走行速度パターンSがグラフG1’の車速軸幅における中心近傍となるように、車速軸を
図4(1)に示す初期表示状態からスクロールして、
図4(2)に示す表示態様にする。一方、実車速が前記所定範囲から外れると、
図4(1)の初期表示状態に戻す。
【0034】
これは、車速が走行速度パターンSの最高速度付近になると、走行速度パターンSがグラフG1’の端部に移動し、その部分を単純に拡大すると、
図4(1)に示すように、許容幅Hの部分が切れて表示されない領域が発生するからである。
【0035】
しかして、以上のようなものであれば、走行速度パターンSの最高速度が大きい場合などの理由から車速軸のフルスケールが大きくなって、相対的に走行速度パターンSの許容幅Hが狭く表示されても、現時点を中心にした前後所定時間内の特定領域Eが車速軸方向に拡大されて許容幅Hが大きく表示されるため、テストドライバーにとって走行速度パターンSに沿った運転がやりやすくなる。
【0036】
一方、この実施形態では、許容幅H内で車両Vが運転されている場合であっても、将来的に許容幅Hを超えると予測される所定条件が満たされたときには、この運転モード表示装置2がワーニングを発するように構成してある。このワーニングは、画面表示、音声など、種々の手段を用いることができる。
【0037】
前記所定条件は、少なくとも、実車速、実加速度、走行速度パターンが示す基準速度、走行速度パターンから求められる基準加速度及び前記許容幅をパラメータとして定められている。
【0038】
以下にワーニングが発される具体的な条件の第1例(請求項で言う第1条件)について説明する。
まず、設定項目(ユーザによる設定又は固定値)として次のようなものがある。
A.上限判断開始速度(%)
許容幅H内でなおかつ基準速度よりも所定値だけ高い速度が設定される(
図5参照)。ここでは、基準速度よりも上限側の許容幅に対する割合(%)で設定し、実車速がこれを超えた時点で、後述するワーニングを発するための予測を開始する。
B.下限判断開始速度(%)
許容幅H内でなおかつ基準速度よりも所定値だけ低い速度が設定される(
図5参照)。ここでは、基準速度よりも下限側の許容幅に対する割合(%)で表され、これを下回った時点で、後述するワーニングを発するための予測を開始する。
C.猶予判定回数
【0039】
次に、第1条件について具体的に説明する。
図6〜
図8に示すように、上限判断開始速度を超えたタイミング又は下限判断開始速度を下回ったタイミングt
1から、第1条件を満たすかどうかの判断を開始する。
【0040】
その判断のために、前記タイミングt
1から一定期間ごとに実車速及び基準速度のサンプリングを開始する。
【0041】
そして、あるサンプリングタイミングt
n(第1の時刻、nは1以上の整数)での実加速度A
nと、次のサンプリングタイミングt
n+1(第2の時刻)での実加速度A
n+1とを比較して、下記式(1)が満たされたとき、ワーニングを発する。
|A
n−Astd
n|<|A
n+1−Astd
n+1|・・・(1)
ここで、Astd
nは、タイミングt
nでの基準加速度である。
【0042】
なお、t
nでの実加速度A
nは、t
n+1での実車速VS
n+1からt
nでの実車速VS
nを差し引いた値を、その間の時間t
n+1−t
nで割ることによって求めている。基準加速度についても同様である。
図6〜8では、n=1〜3を例にしている。
【0043】
この第1例では、実車速が上限判断開始範囲を超えたとき又は下限判断開始範囲を下回った場合には、一定周期で実車速をサンプリングし、あるサンプリングのタイミングから次のタイミングまでの期間において、実車速が走行速度パターンSの示す基準速度に対して離れていく度合いよりも、さらにその次のタイミングまでの間に、実車速が走行速度パターンSの示す基準速度に対して離れていく度合いの方が大きいという条件が満たされれば、ワーニングを発するようにしてある。
【0044】
また、これを言い換えると、前記走行速度パターンが示す基準速度と実車速との辺差が時間経過に連れて広がる場合には、ワーニングを発するようにしてあるとも言える。
【0045】
ただし、ここでは、前記条件(例えば式1)が満たされても、それが、猶予判定回数以内であれば、ワーニングは発さない。すなわち、サンプリングタイミングごとに、前記条件を満たすかどうかの判断を行うが、満たすという判断結果が、猶予判定回数を超えて連続して生じた場合において、初めてアラームが発される。また、モードタイプ(加速、減速、定速)が変化した時点で猶予回数はリセットされるようにしてある。以上が第1条件である。
【0046】
次に、ワーニングが発される別の具体的な条件の第2例(第2条件)について説明する。
【0047】
ここでは、
図9に示すように、実車速が上限判断開始範囲を超えた場合又は下限判断開始範囲を下回った場合には、一定周期で実車速をサンプリングし始め、あるサンプリングのタイミングt
nでの実加速度を維持した場合に、実車速が許容幅Hを超えるまでの時間D(時刻で言えばt
p)を予測算出する。そしてこの予測時間Dが、予め定めた許容時間を下回った場合には、ワーニングを発するというものである。加速度の定義は、第1例と同じである。
【0048】
ただし、第1例同様、この条件が満たされても、それが、猶予判定回数以内であればアラームは発さない。すなわち、サンプリングタイミングごとに、前記条件を満たすかどうかの判断を行うが、満たすという判断結果が、猶予判定回数を超えて連続して生じた場合において、初めてアラームが発される。また、予測時間経過後、現時点とモードタイプ(加速、減速、定速)が変化する場合には、判断しない。以上が第2条件である。
【0049】
なお、上述した各例において、途中で実車速が上限判断開始範囲を超えた場合又は下限判断開始範囲を下回った場合には、すぐにワーニングとは異なる態様でのアラームが発せられる。
【0050】
このような構成であると、ワーニングによって実車速が許容幅Hを超えることを未然に防止でき、テストドライバーがより確実に許容幅H内での走行速度パターンSに沿った運転ができるようになる。
【0051】
また、実車速が上限判断開始範囲又は下限判断開始範囲を超えた場合に限って、ワーニングを発するための予測を始めるので、ワーニング頻度を最小限に留めることができ、テストドライバーに無用のストレスを与えないようにすることができる。猶予判定回数についても同様である。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、走行速度パターンが最高速に近づいたときに、グラフの車速軸をスクロールするという構成は、
図2に示す通常表示状態においても適用可能である。
【0053】
運転モード表示装置には、コンソール機能だけを残して、実質的な演算回路は、測定管理装置に担わせても良い。このようにすれば、データの一元管理が可能になる。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。