(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記混合物中のジ(メタ)アクリレート(1)とアルキル(メタ)アクリレート(2)とのモル比が、5:95〜90:10の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体(X)の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の製造方法では、ジ(メタ)アクリレート(1)と、アルキル(メタ)アクリレート(2)とからなる混合物を、有機リチウム化合物(L)、アルミニウム化合物(A)、ルイス塩基(B)の存在下でアニオン重合する。ジ(メタ)アクリレート(1)においては、R
2が結合している(メタ)アクリロイル基が選択的に重合され、R
3およびR
4が結合している炭素原子に結合する(メタ)アクリロイル基の重合は抑制されて、得られる共重合体(X)の側鎖に残留するので、かかる共重合体(X)は紫外線や電子線等を照射することで硬化させることができる。
【0016】
R
2が表す炭素数1〜5の直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基が挙げられ、メチレン基またはエチレン基が好ましい。
【0017】
R
3およびR
4がそれぞれ独立して表す炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等が挙げられる。中でも、得られる共重合体(X)の光硬化速度を高める観点から、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0018】
R
5は水素原子またはメチル基を表し、R
1と同じ原子又は官能基であることが望ましい。
【0019】
R
6が表す炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基等が挙げられる。中でも、メチル基またはエチル基が好ましい。
【0020】
R
3およびR
4が表す炭素数1〜6のアルキル基並びにR
6が表す炭素数1〜6のアルキル基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、本発明の製造方法を阻害しないものであれば特に限定はなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0021】
本発明の製造方法において、アニオン重合に供する混合物中のジ(メタ)アクリレート(1)とアルキル(メタ)アクリレート(2)とのモル比は、重合速度の高さおよび得られる共重合体(X)の光硬化性の観点から、5:95〜90:10の範囲であるのが好ましく、10:90〜80:20の範囲であるのがより好ましく、20:80〜70:30の範囲であるのがさらに好ましい。
【0022】
本発明の製造方法で行うアニオン重合では、本発明の製造方法を阻害しない範囲で、ジ(メタ)アクリレート(1)およびアルキル(メタ)アクリレート(2)以外の他の単量体をさらに共存させてもよい。該他の単量体としては、アニオン重合可能な単量体であれば、特に制限はなく、またこれら他の単量体は、混合物中に混合して用いても、別途重合系内に添加して用いてもよい。上記他の単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン等が挙げられる。かかる他の単量体の使用量に特に制限はないが、通常、混合物中のジ(メタ)アクリレート(1)とアルキル(メタ)アクリレート(2)の合計量の0.05質量倍〜2質量倍の範囲であり、得られる共重合体(X)の光硬化性の観点からは、1質量倍以下の範囲が好ましい。
【0023】
本発明の製造方法で用いる単量体(すなわち、ジ(メタ)アクリレート(1)およびアルキル(メタ)アクリレート(2)並びに任意成分である上記他の単量体)は、重合を円滑に進行させる観点から、不活性ガス雰囲気下等であらかじめ乾燥処理しておくことが好ましい。乾燥処理にあたっては、水素化カルシウム、モレキュラーシーブス、活性アルミナ等の脱水剤または乾燥剤が好ましく用いられる。
【0024】
本発明の方法で用いる有機リチウム化合物(L)は、アニオン重合開始剤として作用する。有機リチウム化合物(L)としては、t−ブチルリチウム、1,1−ジメチルプロピルリチウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、エチルα−リチオイソブチレート、ブチルα−リチオイソブチレート、メチルα−リチオイソブチレート、イソプロピルリチウム、sec−ブチルリチウム、1−メチルブチルリチウム、2−エチルプロピルリチウム、1−メチルペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、α−メチルベンジルリチウム、メチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム等が挙げられる。中でも、入手容易性およびアニオン重合開始能の観点から、イソプロピルリチウム、sec−ブチルリチウム、1−メチルブチルリチウム、1−メチルペンチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、α−メチルベンジルリチウム等の、二級炭素原子を陰イオン中心とする化学構造を有する炭素数3〜40の有機リチウム化合物が好ましく、sec−ブチルリチウムが特に好ましい。なお、有機リチウム化合物(L)は1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
有機リチウム化合物(L)の使用量は、使用する混合物中の単量体(すなわち、ジ(メタ)アクリレート(1)及びアルキル(メタ)アクリレート(2)並びに任意成分である他の単量体)の合計に対して0.0001〜0.2モル倍の範囲内となる割合で用いることが、共重合体(X)を円滑に製造できる点から好ましい。
【0026】
本発明の製造方法で使用するアルミニウム化合物(A)は、使用する単量体(すなわち、ジ(メタ)アクリレート(1)及びアルキル(メタ)アクリレート(2)並びに任意成分である他の単量体)の種類等に応じて、好適なものを選択できるが、重合速度、重合開始効率、重合末端アニオンの安定性(リビング性)等の観点から、下記一般式(A−1)
【0028】
(式中、R
7は一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表し、R
8およびR
9はそれぞれ独立してアリールオキシ基又は互いに結合してアリーレンジオキシ基を表す。)
で示される有機アルミニウム化合物(以下、アルミニウム化合物(A−1)と称する)または下記一般式(A−2)
【0030】
(式中、R
10はアリールオキシ基を表し、R
11およびR
12はそれぞれ独立して一価の飽和炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基、アルコキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表す。)
で示される有機アルミニウム化合物(以下、アルミニウム化合物(A−2)と称する)を使用することが好ましく、アルミニウム化合物(A−1) を使用することがより好ましい。
【0031】
R
7、R
8、R
9、およびR
10が表すアリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ基、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノキシ基、2,6−ジフェニルフェノキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基、9−フェナントリルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、7−メトキシ−2−ナフトキシ基等が挙げられる。
【0032】
R
8とR
9が互いに結合して表すアリーレンジオキシ基としては、例えば2,2’−ビフェノール、2,2’−メチレンビスフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、(R)−(+)−1,1’−ビ−2−ナフトール、(S)−(−)−1,1’−ビ−2−ナフトール等から2個のフェノール性水酸基中の水素原子を除いた基が挙げられる。
【0033】
なお、上記のアリールオキシ基およびアリーレンジオキシ基は、1個以上の置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0034】
R
7、R
11およびR
12が表す一価の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。R
7、R
11およびR
12が表す芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。R
7、R
11、およびR
12が表すアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。R
7、R
11およびR
12が表すN,N−二置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ビス(トリメチルシリル)アミノ基等が挙げられる。上記したR
7、R
11およびR
12を表す官能基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシ基;塩素、臭素等のハロゲン原子等の置換基をさらに有していてもよい。
【0035】
アルミニウム化合物(A−1)としては、例えばエチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、t−ブトキシ[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。中でも、重合開始効率、重合末端アニオンのリビング性、入手および取り扱いの容易さ等の観点から、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノキシ)]アルミニウム等が好ましい。
【0036】
アルミニウム化合物(A−2)としては、例えばジエチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジn−オクチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジn−オクチル(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム等が挙げられる。これらアルミニウム化合物(A)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0037】
アルミニウム化合物(A)は公知の手法に従い製造することができる。例えば、アルミニウム化合物(A−1)であるイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムは、アルゴン雰囲気に置換した内容積100mlのフラスコ内に、ナトリウムで乾燥後、アルゴン雰囲気下で蒸留した乾燥トルエン25mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11gを添加し、室温で攪拌しながら溶解し、得られた溶液にトリイソブチルアルミニウム6.8mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、0.6mol/lのトルエン溶液として調製できる。
【0038】
アルミニウム化合物(A)の使用量は、有機溶媒の種類、その他種々のアニオン重合条件等に応じて適宜好適な量を選択できるが、アニオン重合の安定性およびジ(メタ)アクリレート(1)のR
2が結合している(メタ)アクリロイル基を選択的に重合させる観点から有機リチウム化合物(L)1モルに対して通常、1.0〜10.0モルの範囲で用いることが好ましく、1.2〜6.0モルの範囲で用いることがより好ましく、2.0〜3.5モルの範囲で用いることがさらに好ましく、2.2〜3.0モルの範囲で用いることが特に好ましい。
【0039】
本発明の製造方法で用いるルイス塩基(B)は、エーテル及び三級ポリアミンからなる群から選択される。エーテルとしては、分子内にエーテル結合を有する化合物から適宜選択できるが、重合開始効率の高さ、重合末端アニオンのリビング性の観点から、2個以上のエーテル結合を分子内に有する環状エーテルまたは1個以上のエーテル結合を分子内に有する非環状エーテルが好ましい。2個以上のエーテル結合を分子内に有する環状エーテルとしては、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6等のクラウンエーテルが挙げられる。1個以上のエーテル結合を分子中に有する非環状エーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール等の非環状モノエーテル;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジイソプロポキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジメトキシプロパン、1,2−ジエトキシプロパン、1,2−ジイソプロポキシプロパン、1,2−ジブトキシプロパン、1,2−ジフェノキシプロパン、1,3−ジメトキシプロパン、1,3−ジエトキシプロパン、1,3−ジイソプロポキシプロパン、1,3−ジブトキシプロパン、1,3−ジフェノキシプロパン、1,4−ジメトキシブタン、1,4−ジエトキシブタン、1,4−ジイソプロポキシブタン、1,4−ジブトキシブタン、1,4−ジフェノキシブタン等の非環状ジエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジブチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジブチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリブチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリブチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラブチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラブチレングリコールジエチルエーテル等の非環状ポリエーテルが挙げられる。中でも、副反応の抑制、入手容易性等の観点から、1〜2個のエーテル結合を分子内に有する非環状エーテルが好ましく、ジエチルエーテルまたは1,2−ジメトキシエタンがより好ましい。
【0040】
本明細書において、ルイス塩基(B)として用いることができる三級ポリアミンとは、三級アミン構造を分子中に2個以上有する化合物を意味する。該三級ポリアミンとしては、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、トリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン等の鎖状ポリアミン;1,3,5−トリメチルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,4,7,10,13,16−ヘキサメチル−1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン等の非芳香族性複素環式化合物;2,2’−ビピリジル、2,2’:6’,2”−ターピリジン等の芳香族性複素環式化合物等が挙げられる。
【0041】
また、分子内に1個以上のエーテル結合と1個以上の三級アミン構造を有する化合物をルイス塩基(B)として使用してもよい。このような化合物としては、例えば、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン等が挙げられる。ルイス塩基(B)は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0042】
ルイス塩基(B)の使用量は、重合開始効率、重合末端アニオンのリビング性等の観点から、有機リチウム化合物(L)1モルに対して0.3〜5モルの範囲であることが好ましく、0.5〜3モルの範囲であることがより好ましく、0.8〜2.5モルの範囲であることがさらに好ましく、1.0〜2.0モルの範囲であることが特に好ましい。ルイス塩基(B)の使用量が有機リチウム化合物(L)1モルに対して5モルを超えると、経済性において不利となる傾向となり、0.3モルを下回ると、アニオン重合の開始効率が低下する傾向となる。
【0043】
ルイス塩基(B)の使用量は、アルミニウム化合物(A)の使用量に対して、0.2〜1.2モル倍の範囲であることが好ましく、0.3〜1.0モル倍の範囲であることがより好ましい。
【0044】
本発明の製造方法は、アニオン重合の温度制御および系内を均一化してアニオン重合を円滑に進行させる観点から、有機溶媒の存在下に行うことが好ましい。有機溶媒としては、安全性、アニオン重合後の反応混合液の水洗における水との分離性、回収・再使用の容易性等の観点から、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;フタル酸ジメチル等のエステル等が好ましい。これらの有機溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、有機溶媒は、アニオン重合を円滑に進行させる観点から、乾燥処理を施すとともに、不活性ガス存在下であらかじめ脱気しておくことが好ましい。
【0045】
有機溶媒の使用量は、用いる単量体(すなわち、ジ(メタ)アクリレート(1)及びアルキル(メタ)アクリレート(2)並びに任意成分である他の単量体)、使用する有機リチウム化合物(L)、アルミニウム化合物(A)、ルイス塩基(B)、有機溶媒等の種類に応じて適宜調整できるが、アニオン重合の円滑な進行、生成する共重合体(X)の分離取得、廃液処理等の観点から、使用する混合物100質量部に対して200〜3000質量部の範囲であるのが好ましい。
【0046】
有機リチウム化合物(L)、アルミニウム化合物(A)、ルイス塩基(B)およびジ(メタ)アクリレート(1)とアルキル(メタ)アクリレート(2)とからなる混合物をアニオン重合の反応系に添加する方法は特に制限されない。ただし、ルイス塩基(B)は、有機リチウム化合物(L)との接触前にアルミニウム化合物(A)と接触するように添加することが好ましい。また、アルミニウム化合物(A)は、ジ(メタ)アクリレート(1)及びアルキル(メタ)アクリレート(2)とからなる混合物より先にアニオン重合の反応系に添加しても、同時に添加してもよい。アルミニウム化合物(A)をジ(メタ)アクリレート(1)及びアルキル(メタ)アクリレート(2)とからなる混合物と同時にアニオン重合の反応系に添加する場合、アルミニウム化合物(A)を該混合物と別途混合したのちに添加してもよい。
【0047】
本発明の製造方法では、必要に応じ、アニオン重合の反応系に他の添加剤を存在させてもよい。該他の添加剤としては、例えば、塩化リチウム等の無機塩類;リチウムメトキシエトキシエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の金属アルコキシド;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等が挙げられる。
【0048】
本発明の製造方法において、アニオン重合は−30〜25℃で行うのが好ましい。−30℃よりも低いと重合速度が低下し、生産性が低下する傾向がある。一方、25℃より高いと、ジ(メタ)アクリレート(1)のR
3およびR
4が結合している炭素原子に結合する(メタ)アクリロイル基の重合の抑制が困難となり、得られる共重合体(X)の光硬化性が低下する傾向となる。
【0049】
またアニオン重合は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、アニオン重合の反応系が均一になるように十分な攪拌条件下にて行うことが好ましい。
【0050】
本発明の製造方法は、公知のアニオン重合法に準じ、重合停止剤を反応混合物に添加してアニオン重合を停止できる。重合停止剤としては、例えばメタノール;酢酸または塩酸のメタノール溶液;等のプロトン性化合物を使用することができる。重合停止剤の使用量は、通常、有機リチウム化合物(L)1モルに対して1〜100モルの範囲が好ましい。
【0051】
アニオン重合後の反応混合液から共重合体(X)を分離取得する方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、反応混合液を共重合体(X)の貧溶媒に注いで該共重合体(X)を沈殿させる方法、反応混合液から有機溶媒を留去して共重合体(X)を取得する方法等が挙げられる。
【0052】
なお、分離取得した共重合体(X)中に有機リチウム化合物(L)やアルミニウム化合物(A)に由来する金属成分が残存していると、共重合体(X)の物性の低下、透明性不良等を生じる場合がある。よって、有機リチウム化合物(L)およびアルミニウム化合物(A)に由来する金属成分をアニオン重合停止後に除去することが好ましい。該金属成分の除去方法としては、共重合体(X)を、酸性水溶液を用いた洗浄処理、イオン交換樹脂等の吸着剤を用いた吸着処理等に付することが有効である。ここで、酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、クエン酸水溶液等を使用することができる。
【0053】
本発明の製造方法によれば、任意の分子量の共重合体(X)を製造できるが、通常、数平均分子量が1,000〜1,000,000の範囲であることが、得られる共重合体(X)の取り扱い性、流動性、力学特性等の点から好ましい。また、本発明の製造方法によれば、通常、分子量分布の狭い共重合体(X)が得られ、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以下の共重合体(X)を製造することができる。
【0054】
本発明の製造方法によって得られる共重合体(X)は、例えば、接着剤、粘着剤、塗料、コーティング材等に用いられる光硬化性樹脂組成物の構成成分として有用である。例えば、該光硬化性樹脂組成物を塗布した後、紫外線、電子線等を照射することで硬化物が得られる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例等によって具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されない。
以下の実施例等において、原料は常法により乾燥精製し、窒素にて脱気したものを使用し、移送および供給は窒素雰囲気下にて行った。
【0056】
[ジ(メタ)アクリレート(1)およびアルキル(メタ)アクリレート(2)の消費率および側鎖官能基反応率]
アニオン重合後のジ(メタ)アクリレート(1)およびアルキル(メタ)アクリレート(2)の消費率並びにジ(メタ)アクリレート(1)の側鎖官能基反応率は、反応液0.5mlを採取してメタノール0.5ml中に入れて混合後、該混合液から0.1mlを採取して、重クロロホルム0.5mlに溶解させて
1H−NMR(ECX400(400MHz)JEOL製、測定温度=25℃、スキャン回数=16、緩和時間=4秒)を測定した結果から算出した。
ジ(メタ)アクリレート(1)の消費率C
11(mol%)は、下記式により算出した。
C
11=100(1−I
11/I
10)
ここで、I
10、I
11はそれぞれアニオン重合開始時およびアニオン重合停止時における、ジ(メタ)アクリレート(1)のR
2における酸素原子に隣接する炭素原子に結合するプロトン由来のプロトンピークの積分値と、アニオン重合に用いたトルエンのベンゼン環由来のプロトンピークの積分値との比を示す。
アルキル(メタ)アクリレート(2)の消費率C
21(mol%)は、下記式により算出した。
C
21=100[1−{I
21×(100−N×I
11/I
10)}/{I
20×(100−N)}]
ここで、I
10、I
11はそれぞれ上記した比を示し、I
20、I
21はそれぞれアニオン重合開始時およびアニオン重合停止時における、互いに重なって観測されるジ(メタ)アクリレート(1)におけるR
2が結合している(メタ)アクリロイル基のオレフィンに由来するプロトンピークとアルキル(メタ)アクリレート(2)のメタクリロイル基におけるオレフィンに由来するプロトンピークとの積分値の合計と、アニオン重合に用いたトルエンのベンゼン環由来のプロトンピークの積分値との比を示し、Nは反応開始時におけるジ(メタ)アクリレート(1)とアルキル(メタ)アクリレート(2)の総量に対するジ(メタ)アクリレート(1)のモル分率(mol%)を示す。
全体の消費率C(mol%)を、上記した方法で求めた消費率C
11、C
21および上記Nを用いて、下記式により算出した。
C={C
11×N+C
21×(100−N)}/100
なお、比較例においては、ジ(メタ)アクリレート(1)の消費率C
11(mol%)
を消費率C(mol%)とした。
下記式により、ジ(メタ)アクリレート(1)の側鎖官能基反応率C
31(mol%)
を算出した。
C
31=100−100×I
31/I
30
ここでI
30、I
31はそれぞれアニオン重合開始時およびアニオン重合停止時における、R
3およびR
4が結合している炭素原子に結合するメタクロイル基のオレフィン由来のプロトンピークの積分値とアニオン重合に用いたトルエンのベンゼン環由来のプロトンピークの積分値との比を示す。
【0057】
[数平均分子量および分子量分布]
得られた共重合体(X)のGPC(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー、HLC-8220GPC(東ソー製)、カラム:TSK-gel SuperMultiporeHZ-M(東ソー製)(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)、測定条件:流速=0.35ml/min、温度=40℃、溶離液=テトラヒドロフラン)を測定し、標準ポリスチレン換算の数平均分子量分布(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
【0058】
[実施例1]
内部を乾燥し、窒素置換した300mlのフラスコに、トルエン100ml、ルイス塩基(B)として1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン0.20ml(0.715mmol)、アルミニウム化合物(A)としてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの0.450mol/Lトルエン溶液を4.33ml加えて0℃に冷却した。これに有機リチウム化合物(L)としてsec−ブチルリチウムの1.30mol/Lシクロヘキサン溶液0.50ml(0.65mmol)を加えた。フラスコ内の混合液を激しく攪拌しながら、0℃で1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート3.09ml(13.0mmol)とメチルメタクリレート1.38ml(13.0mmol)との混合物4.47mlを加え、アニオン重合を開始した。0℃で攪拌を続けると、反応液は当初黄色の溶液となり、さらに窒素雰囲気下で攪拌を続けると30分後にほぼ無色となった。混合物の添加終了から120分後に、反応液をサンプリングして1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cおよび1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率を測定すると共に、反応液中にメタノールを10.0ml加えることにより、アニオン重合を停止させた。得られた溶液を1リットルのヘキサン中に注ぎ、生成した共重合体(X)を沈殿させ、回収した。
【0059】
アニオン重合終了時の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cは100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は9.5%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは7,000、Mw/Mnは1.19であった。
【0060】
[実施例2]
イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの0.450mol/Lトルエン溶液を7.22ml、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミンを0.35ml(1.30mmol)に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(X)を得た。
【0061】
アニオン重合終了時の混合物の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cは100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は14.0%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは8,000、Mw/Mnは1.14であった。
【0062】
[実施例3]
イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの0.450mol/Lトルエン溶液を3.18mlに変更し、混合物を1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート0.77mlとメチルメタクリレート1.04mlとの混合物(計1.81ml)に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(X)を得た。
【0063】
アニオン重合終了時の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cは100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は10.0%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは3,100、Mw/Mnは1.14であった。
【0064】
[実施例4]
混合物を添加する前の反応器内温度およびアニオン重合する温度を25℃とし、混合物を1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート1.24mlと、メチルメタクリレートと2.21mlとの混合物(計3.45ml)に変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(X)を得た。
【0065】
アニオン重合終了時の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cの消費率は100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は17.0%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは6,300、Mw/Mnは1.14であった。
【0066】
[実施例5]
混合物を添加する前の反応器内温度およびアニオン重合する温度を−22℃とした以外は、実施例3と同様にして共重合体(X)を得た。
【0067】
アニオン重合終了時の混合物の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cは100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は9.0%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは3,000、Mw/Mnは1.10であった。
【0068】
[実施例6]
イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの0.450mol/Lトルエン溶液を5.78mlに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(X)を得た。
【0069】
アニオン重合終了時の混合物の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cは100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は11.3%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは7,100、Mw/Mnは1.14であった。
【0070】
[実施例7]
イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの0.450mol/Lトルエン溶液を3.18mlに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体(X)を得た。
【0071】
アニオン重合終了時の混合物の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの消費率Cは100%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は9.6%であった。また、得られた共重合体(X)中のMnは6,900、Mw/Mnは1.18であった。
【0072】
[実施例8]
イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム0.450mol/Lのトルエン溶液を2.17mlに変更した以外は、実施例1と同様にしてアニオン重合を実施した。120分後にサンプリングしたが、単量体消費率が92%であり、単量体の残存が確認された。さらにアニオン重合を2時間継続したが、単量体消費率の上昇は殆ど見られなかったので、アニオン重合がほぼ停止していると判断して、アニオン重合開始から5時間後に実施例1と同様にアニオン重合を停止し、メタクリル酸エステル系重合体を得た。
【0073】
アニオン重合終了時の混合物の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの消費率Cは94%、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの側鎖官能基反応率は5.9%であった。また、得られたメタクリル酸エステル系重合体中のMnは6,800、Mw/Mnは1.14であった。
【0074】
[比較例1]
1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートおよびメチルメタクリレートの混合物に代えて、1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレート7.73mlのみを用いた以外は、実施例1と同様にしてアニオン重合を実施した。120分後にサンプリングしたが、単量体消費率が51%であり、単量体の残存が確認された。さらにアニオン重合を2時間継続したが、単量体消費率の上昇は殆ど見られなかったので、アニオン重合がほぼ停止していると判断して、アニオン重合開始から5時間後に実施例1と同様にアニオン重合を停止し、メタクリル酸エステル系重合体を得た。
【0075】
アニオン重合終了時の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの消費率Cは53%、側鎖官能基反応率は3.3%であった。また、得られたメタクリル酸エステル系重合体中のMnは7,800、Mw/Mnは1.16であった。
【0076】
[比較例2]
1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの量を6.19mlとし、該1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートを添加する前の反応器内温度およびアニオン重合する温度を−22℃とした以外は、比較例1と同様にしてアニオン重合を実施した。120分後にサンプリングしたが、単量体消費率が72%であり、単量体の残存が確認された。さらにアニオン重合を2時間継続したが、単量体消費率の上昇は殆ど見られなかったので、アニオン重合がほぼ停止していると判断して、アニオン重合開始から5時間後に実施例1と同様にアニオン重合を停止し、メタクリル酸エステル系重合体を得た。
【0077】
アニオン重合終了時の1,1−ジメチルプロパン−1,3−ジオールジメタクリレートの消費率Cは74%、側鎖官能基反応率は0.9%であった。また、得られたメタクリル酸エステル系重合体中のMnは7,600、Mw/Mnは1.08であった。
【0078】
実施例、比較例の重合条件および重合結果を下記の表1に示す。実施例1〜8および比較例1、2より、ジ(メタ)アクリレート(1)とアルキル(メタ)アクリレート(2)との共重合を実施することで、温度が0℃または25℃と高い場合でも、アニオン重合が良好に進行し、分子量分布の狭い共重合体が得られることがわかる。
【0079】
さらに、実施例1、6、7、8の比較により、アルミニウム化合物(A)の使用量を、有機リチウム化合物(L)1モルに対して、2.2モル以上とすることでモノマーの消費率Cは100%となり、3.0モル以下とすることでジ(メタ)アクリレート(1)の側鎖官能基反応率が低くなることがわかる。
【0080】
【表1】