(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6133283
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】合成ガス製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/34 20060101AFI20170515BHJP
C01B 3/30 20060101ALI20170515BHJP
C10K 3/00 20060101ALI20170515BHJP
C10K 1/02 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
C01B3/34
C01B3/30
C10K3/00
C10K1/02
【請求項の数】14
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-517518(P2014-517518)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公表番号】特表2014-520739(P2014-520739A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012002837
(87)【国際公開番号】WO2013004391
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】102011106642.3
(32)【優先日】2011年7月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391009659
【氏名又は名称】リンデ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Linde Aktiengesellschaft
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ユルゲン マス
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ゲーケ
(72)【発明者】
【氏名】オットー マハハマー
(72)【発明者】
【氏名】マークス グーツマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング アロイス ホアムート
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ボーデ
(72)【発明者】
【氏名】ディアク クリングラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ケアン
(72)【発明者】
【氏名】グリゴリオス コリオス
【審査官】
村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−511467(JP,A)
【文献】
国際公開第03/049853(WO,A1)
【文献】
特公昭38−011406(JP,B1)
【文献】
特公昭35−014539(JP,B1)
【文献】
特開昭61−186202(JP,A)
【文献】
特開2002−003865(JP,A)
【文献】
特開2004−010376(JP,A)
【文献】
特開2011−057869(JP,A)
【文献】
特開2011−102680(JP,A)
【文献】
特開平08−175804(JP,A)
【文献】
特開2004−210626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/00−3/58
C10K 1/02
C10K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタンと二酸化炭素とを反応室に導入し、炭素含有の固体床中で水素と一酸化炭素とに変換させる合成ガスの製造方法において、前記炭素含有の固体床は移動床として前記反応室を通って案内され、その際反応室において形成された合成ガスは向流で前記移動床へ導入され、かつその際前記炭素含有の固体との直接の熱交換によって冷却されることを特徴とする、合成ガスの製造方法。
【請求項2】
メタンと二酸化炭素とを800〜1600℃の温度で変換させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
メタンと二酸化炭素とを900〜1400℃の温度で変換させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
炭素含有の固体として少なくとも80質量%の炭素および0.1から100mmの粒度を有する炭素含有の顆粒を使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ガス状の使用物質の酸素/炭素比を、炭素が反応室において形成されるか、又は前記炭素含有の固体から分離されるように設定することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
合成ガス製造に必要な熱エネルギーの少なくとも一部が反応室にて生じ、及び/又は高温ガスを介して前記反応室に導入されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記炭素含有の固体が移動床として連続的に前記反応室を通って案内されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
反応室において形成された合成ガスが炭素含有の顆粒から形成された循環を介して冷却されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
反応室において形成された合成ガスがヒートパイプを介して冷却されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
炭素含有の固体として高多孔質の褐炭又は歴青炭を基礎とする低品質の、コークス製造からのコークス及び/又は粉炭及び/又はバイオマスから得たコークスの顆粒を使用することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記反応室から排出された炭素含有の前記顆粒の一部を再び前記反応室へ返送することを特徴とする、請求項4、8及び10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
天然ガス及び/又はコークス炉ガス及び/又は転炉ガス及び/又は溶銑炉又は溶鉱炉の高炉ガスを少なくとも1箇所で前記反応室に導入し、かつ合成ガスへ変換することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
方法において発生するガスを望ましくない物質の洗浄のためにコークス床に導通することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
連続的に行われることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタンと二酸化炭素を反応室へ導入し、かつ固体の存在下で水素と一酸化炭素に変換して合成ガスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ガスは水素と一酸化炭素からなる、基礎化学物質として多数の工業プロセスにおいて使用することができる物質混合物と解釈される。合成ガスは例えばメタノール、ジメチルエーテルまたはフィッシャー・トロプシュ生成物の製造のために存在する石油化学プロセスへの理想のインターフェースを提供する。
【0003】
このような方法は、例えば特許出願US2009203519とUS2011089378から公知である。両出願は、メタンと二酸化炭素を触媒を介して導入し、かつその際乾燥改質により変換する方法を開示している。ブドワー反応並びにメタンの熱分解に基づいて特に触媒上に沈殿し、触媒を被毒化する炭素が発生する。
【0004】
この問題点に対処するために、US2009203519は触媒上に形成された炭素が堆積する鉄含有の堆積触媒の使用を提案している。ただし堆積触媒の吸収性は限られているので、周期的な間隔で触媒再生は、例えば流体を用いて行われなければならない。US2009203519は強い吸熱改質反応のための熱供給に関する技術的な解決策を開示していない。
【0005】
US20110089378は、例えばBaCO
3−Ba
2TiO
4(1:1)/NiO(catalystA)、Sr
2TiO
4/NiO(catalystB)、BaCO
3−BaAl
2O
4(2:1)/NiOのような触媒の調製物、並びにメタンの乾燥改質の際のそれらの適用を記載している。少なくとも8時間にわたってコークス化に耐える触媒は原則的に連続的な運転方式の実現に適している。ただしこの解決策は高い触媒コストという欠点を伴う。
【0006】
前記の欠点に基づいて、これまでは記載した従来技術に基づいて、メタンと二酸化炭素との反応による合成ガスの大工業的な製造を開発することが出来なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2009203519
【特許文献2】US2011089378
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、出発物質としてメタンと二酸化炭素を使用する、合成ガス製造の方法を示すことである。更に発明の課題は、ガス状の、主として固体粒子を含まない生成物流を得ることである。更に発明の課題は、触媒再生を必要としない合成ガス製造の連続的な運転方式を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題は本発明により、メタンと二酸化炭素を炭素含有の固体の存在下で反応させることにより解決される。
【0010】
好ましくは出発物質であるメタンと二酸化炭素の反応は800〜1600℃、特に好ましくは900〜1400℃の温度で行われる。
【0011】
本発明によれば炭素含有の固体として好ましくは炭素含有の顆粒が使用される。
【0012】
炭素含有の顆粒とは本発明において、有利には少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも80質量%、特には少なくとも90質量%の炭素を有する固体粒子からなる材料と解される。炭素含有の顆粒は有利には粒径を有する、すなわち特定のメッシュ径での篩分けによって測定可能な0.5〜100mm、好ましくは1〜80mmの等価直径を有する。炭素含有の顆粒は有利には球状である。本発明の方法においては多数の異なる炭素含有の顆粒を使用することができる。このような顆粒は、例えば炭、コークス、粉炭及び/又はこれらの混合物からなる。粉炭は通常20mm未満の粒径を有する。更に炭素含有の顆粒は、顆粒の全質量に対して0〜15質量%、好ましくは0〜5質量%の金属、金属酸化物及び/又はセラミックを含むことができる。特に有利には、粉炭及び/又は低品質の、すなわち直接製錬工程に適さないコークス、すなわち褐炭又は歴青炭を基礎とするコークス製造からのコークス(Kokereikoks)及び/又はバイオマスから得られるコークスを含む顆粒が使用される。
【0013】
有利には製造された合成ガスの質量に比べて1〜3倍の質量の炭素含有の固体、好ましくは1.8〜2.5倍の質量が使用される。
【0014】
本発明の反応により形成される炭素は、有利には形成される炭素の全質量に対して少なくとも90質量%、かつ好ましくは少なくとも95質量%までが炭素含有の固体に、特に炭素含有の顆粒に蓄積する。
【0015】
有利にはガス状の生成物流は、ガス1gに対して固体10mg未満、好ましくはガス1gに対して固体5mg未満、特にガス1gに対して固体1mg未満の固体含有率を有する。
【0016】
本発明による方法の実施の際に発生する炭素は、主として炭素含有の固体上に蓄積され、かつその大きさ、構造および強度のみを変化するため問題にはならない。特に炭素含有の顆粒は気相から炭素を濾過するので、発生する炭素粒子をほとんど含まない合成ガスを反応室から排出することができる。本発明による方法の1つの態様では、原子の炭素/酸素比C/Oが1より大きいガス状の使用物質を反応室に導入することにより、炭素析出のメカニズムを利用するので、合成ガスに加えて適切に炭素が発生し、かつ炭素含有の固体上に析出される。もう一方で炭素は、炭素/酸素‐比が1未満に設定されると、固体から除去することができる。このように例えば安価の顆粒から1cm
3あたり0.7〜1.4g、好ましくは1cm
3あたり0.8〜1.4gの範囲において密度を適切に調節することにより価値の高いコークス生成物を製造することができ、これを反応室から排出し、かつ例えば高炉において使用することができる。
【0017】
1つの好ましい実施態様は、本発明による方法の実施のために必要な熱エネルギーを炭化水素及び/又は水素を含有する燃料の酸化または部分的酸化によって発生させることを想定している。酸化剤として有利には空気及び/又は酸素が富化された空気及び/又は技術的に純粋な酸素が使用される。酸化又は部分的酸化は反応室外で行われ、そのために燃料は酸化剤と混合されて反応する。発生する高温ガスは次に反応室へ導入され、かつ炭素含有の固体を介して導かれ、その際炭素含有の固体への感熱の一部及び/又は反応させるべきガスを放出する。しかしながら酸化剤は反応室へ導かれ、そこで存在する燃料と混合され、かつ反応することができる。炭素含有の固体が、高められた温度で熱分解ガスを発生することができる低品質の褐炭、歴青炭又はバイオマスを基礎とするコークス製造からのコークスを含有する場合には、エネルギー獲得のために熱分解帯域に引き続き酸素を供給し、熱分解ガスを少なくとも部分的に酸化することが想定される。
【0018】
もう一つの実施態様において高温ガスは反応室外に配置されている電気加熱装置を用いて発生し、ガス流は加熱装置を通って案内され、その際アークを用いて加熱される。次いで3000K〜10000K、好ましくは4000K〜10000Kの温度で高温帯域に導入され、かつそこでその熱を反応物質に放出する。ガス流は例えば、炭化水素分解の際に得られる水素から構成されていてもよく、反応室から排出され、場合により洗浄(例えば集塵法)の後に電気加熱装置に供給され、かつ少なくとも部分的にイオン化される。
【0019】
本発明による方法の更なる好ましい実施態様は、反応室における熱エネルギーを電磁誘導により発生させることである。反応室においてこのため1つの又は複数の導電性素子が、反応させるべきガス及び/又は炭素含有の固体と熱的接続できるように配置されている。交番磁界を介して渦電流が導電性素子内に発生し、それにより導電性素子は加熱される。このように発生した熱は直接又は間接的に反応させるべきガスに広がり、それにより少なくとも部分的に合成ガス形成のために必要なエネルギー需要を満たす。1つ又は複数の導電性素子は反応室に固定的に配置される及び/又は顆粒状の形で炭素含有の固体中に、特に炭素含有の顆粒中に分散されるので、導電性素子は顆粒と共に反応室へ入れられ、かつ反応室から取り除かれる。あるいは炭素含有固体のインピーダンスは、直接的な誘導加熱に利用することができる。
【0020】
反応室において熱エネルギーを、炭素含有の固体に通過させ、かつ該固体を加熱する電流により発生させることも想像可能である。
【0021】
本発明による方法の供給すべきエネルギーは、反応されるメタン1モルにつき150kJ未満、有利には120kJ未満、好ましくは100kJ未満である。
【0022】
本発明による炭化水素の熱分解反応は有利には雰囲気圧〜50バール、好ましくは10〜50バールの圧力で行われる。
【0023】
本発明による分解反応の際の反応帯域での滞留時間は、有利には0.5秒〜25分、好ましくは1〜60秒、特には1〜30秒である。
【0024】
有利には炭素含有の固体、特に炭素含有の顆粒は移動床として反応室を通って案内され、その際メタンと二酸化炭素は適宜固体とは向流で導かれる。反応室はこのため合理的に垂直の縦穴として構成されているので、移動床の動きは重力作用のみで実現される。移動床は有利には均質かつ均一に貫流可能である。炭素含有の固体はしかしながら流動床としても反応室を通って案内されうる。両方の変法は連続的な、もしくはほぼ連続的な運転方法を可能にする。
【0025】
炭素含有の固体が移動床として反応室を通って案内される場合、本発明による方法の特に好ましい変法は、固体が周囲温度で反応室に導入され、そこでまず最高温度まで加熱され、引き続き再び冷却されることが想定され、その際最高温度は温度が1000℃の範囲内である高温帯域内にある。冷却は最高500Kまで、好ましくは300Kまで、更に好ましくは50Kまで周囲温度を上回って行われるので、反応室から排出された炭素含有の固体の冷却もしくは消火は必要ではない。記載した温度プロフィールの形成と保持のために、メタンと二酸化炭素を含有したガス混合物を周囲温度で反応室へ導入し、そして向流で移動床を通して導くことが提案される。反応室を通過する固体の経路においてガス混合物は移動床と直接接触して熱を交換し、その際ガス混合物は1000℃まで加熱され、移動床は同時に冷却される。高温帯域において形成される熱い合成ガスは更に向流で移動床を通して導かれ、移動床との直接の熱交換において冷却されるので、水素と一酸化炭素を周囲温度に近い温度で反応室から排出することができる。高いエネルギー集積により、特別な高活性の触媒を断念することにより生じる全エネルギー需要に関する欠点は克服される。合成ガス製造のために必要な熱エネルギーは特に高温帯域において発生し、及び/又は高温帯域へ導入される。反応室の他の位置での熱エネルギーの発生及び/又は導入はしかしながら排除されるべきではない。
【0026】
高温帯域において形成された合成ガスは、できるだけすばやく冷却されるべきであり、これにより一方では一酸化炭素、二酸化炭素および炭素から、かつ他方では水素と炭素から又は水素と一酸化炭素からメタンが形成されるブドワー反応とメタン化を効率的に抑制することができる。場合によっては、質量流は移動床が質量流で高温帯域を通って導かれるためには十分ではない。この場合、本発明は炭素含有の顆粒から形成される循環を想定しており、その循環により高温帯域において形成される合成ガスの一部は向流で導かれ、その際冷却される。
【0027】
同様に熱が合成ガスから排出されるヒートパイプの使用が可能である。顆粒循環を介してもヒートパイプを介しても排出される熱を使用物質の予熱に利用することができる。
【0028】
反応室から排出される炭素含有の顆粒からなる粒子は粒径と密度においてばらつきを引き起こすため、顆粒の直接の利用は、例えば35から80mmの粒径が要求される高炉コークスとしては可能ではない。本発明によれば従って反応室から排出される炭素含有の顆粒を篩分及び/又は選別により分級することが想定される。要求される特性内の粒子が生成物として搬出される。意図された使用目的にとって直径が小さすぎる、又は密度が低すぎる粒子は、有利には再び同じ又は並行して運転される反応室へ返送される。直径が大きすぎる粒子は返送の前に破砕され、かつ微細分が返送される。
【0029】
高純度の合成ガス製造のために、反応室へ導入されるべき、合成ガス中ですら好ましくないか、又は反応室において望ましくない物質へ変換されうる物質の物質流を浄化することは必要でありうる。付加的に又は選択的に望ましくない物質を、反応室から排出されたガスから分離することもできる。望ましくない物質には、例えば硫黄化合物、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及び/又はナフタリンのような単環又は多環芳香族化合物、並びにとりわけ天然ガス中に含まれうる他の炭化水素があげられる。
【0030】
従って本発明による方法の態様は、方法において発生するガスをコークス床を通して浄化し、その際合成ガス中ですら望ましくない、又は反応室において望ましくない物質へ変換されうる物質を除去することを想定している。ガスの特性に依存してガス浄化の際に望ましくない物質が負荷されたコークスは燃焼により処理される、又はコークス製造に使用材料として供給される。
【0031】
本発明による方法は特に天然ガスから合成ガスへの変換に適しており、その際天然ガス鉱床に依存して天然ガスにおけるメタン含分は典型的にモル分率の75から99%である。二酸化炭素と天然ガスはその際一緒に又は別々に少なくとも1箇所で反応室へ導かれる。しかしながらコークス炉ガス及び/又は転炉ガス及び/又はメタンも二酸化炭素も含む溶銑炉のガスのような結合ガスの変換も可能である。特にふさわしいのは、技術的に純粋な酸素又は酸素が富化された空気で動く溶銑炉の高炉ガスである。少ない窒素含有量のためにここで得られた高炉ガスは一酸化炭素と二酸化炭素の高い含有量を有す。
【0032】
本発明による方法の実施に際し、従来技術に比べて特記すべき固体負荷のない合成ガスを製造することができる。
【0033】
本発明による温度領域は従来技術に挙げられた範囲を上回るにもかかわらず、ここで記載された本発明による変法はこれまで達成されなかった熱回収の度合を含むため、経済的な欠点は生じない。
【0034】
以下、本発明を
図1における図式的に示した実施例を用いてさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、メタンと二酸化炭素を連続プロセスにおいて合成ガスと炭素生産物、例えば高炉のための吸込炭へ変換する本発明による方法の変法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
供給部1を介して、例えば粉炭である炭素含有の顆粒を周囲温度で上から反応室Rに導入し、次にそこを通って重力作用下で移動床Wにおいて下へ案内する。メタンを含む、例えば天然ガスと二酸化炭素の混合物であるガス2を同時に下から反応室Rに案内し、かつ向流で移動床を通って上に案内する。反応室Rへの入口の際に周囲温度を有するガス2を上への経路で移動床Wと直接の熱交換において加熱する。1000℃以上の温度を占める高温帯域Hにおいて第一にメタンと二酸化炭素を水素と一酸化炭素へと反応させ、それにより合成ガスを形成する。メタンの熱分解とブドワー反応によりしかしながら炭素も形成され、該炭素は95%以上が移動床の炭素含有の粒子に付加される。形成された高温の合成ガスは更に上へ流れ、その際移動床Wとの直接の熱交換において冷却されるので、導管3を介して合成ガスは周囲温度を上回るが、しかし反応温度を少なくとも500K下回る温度で排出されうる。分離装置Tにおいて水素4は、合成ガスから分離され、次に電気加熱装置Pにおいてアークを用いて高温ガス5に変換される。3000から10000Kの温度で高温ガス5を高温帯域Hに導き、そこで合成ガス製造に必要なエネルギーを調達する。反応室Rの下端部で顆粒6を排出し、これは高い炭素含有分と低い灰含有分と硫黄含有分との付加に基づき、例えばコークス製造添加剤又は合金化された鋳鉄の浸炭剤として鋳鉄工場にて使用することが出来る。大きすぎ又は小さすぎる直径又は例えば低すぎる密度を有するため品質要求を満たさない顆粒6の成分は、分離装置Sにおいて篩分及び/又は選別によって分離され、場合により破砕した後に導管7を介して再び反応室Rへ返送される。残留物8は価値の高い生産物を放出する高炉コークスである。