(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の連続シート同士の間に、伸長状態の個別の糸状弾性部材が前記連続シートの連続方向と交差する交差方向に沿った状態で介装されて接合された伸縮性シートを製造する装置であって、
前記一対の連続シートを前記連続シートの連続方向に沿って搬送しながら前記連続シートの厚さ方向に挟圧して接合する接合機構と、
前記接合機構によって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を搬送する搬送機構と、
前記糸状弾性部材の連続体を繰り出しながら、前記搬送機構に前記糸状弾性部材の連続体を伸長状態で巻回する巻回機構と、
前記接合機構によって前記一対の連続シートが挟圧された後に、前記糸状弾性部材の連続体を前記連続シートよりも前記交差方向の端側の位置で切断して前記個別の糸状弾性部材を生成する切断機構と、を備え、
前記一対の連続シートのうちの少なくとも一方の連続シートは、前記一対の連続シートの前記交差方向の各端部に、前記糸状弾性部材の連続体を接合する接合部を有し、
前記接合機構は、
前記接合部の位置に対応してそれぞれ設けられ、所定の基準圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧する基準挟圧部と、
前記基準挟圧部よりも前記交差方向の端側の位置に設けられ、前記基準圧力よりも小さい圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧する弱挟圧部と、を有し、
前記接合機構は、
前記一対の連続シートのうちの一方の連続シートを外周面に巻き付かせながら駆動回転することによって前記一方の連続シートを搬送する第1ロールと、
前記第1ロールの前記外周面と外周面を対向して設けられ、前記一対の連続シートのうちの他方の連続シートを前記外周面に巻き付かせながら駆動回転することによって、前記他方の連続シートを搬送する第2ロールと、を有し、
前記第1ロールと前記第2ロールとによって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を前記搬送機構が搬送し、
前記第1ロールの前記外周面における一対の第1所定部分及び前記第2ロールの前記外周面における一対の第2所定部分は、互いに共同して前記基準挟圧部として機能し、
前記第1ロールの前記外周面において前記第1所定部分よりも前記交差方向の端側の第3所定部分及び前記第2ロールの前記外周面において前記第2所定部分よりも前記交差方向の端側の第4所定部分は、互いに共同して前記弱挟圧部として機能し、
前記第1所定部分と前記第2所定部分との間の間隔は、前記第3所定部分と前記第4所定部分との間の間隔よりも小さく、
前記第1ロールの前記外周面における一対の前記第1所定部分同士の間の部分と、前記第2ロールの前記外周面における一対の前記第2所定部分同士の間の部分との間の間隔は、前記第1所定部分と前記第2所定部分との間の間隔よりも大きいことを特徴とする伸縮性シートの製造装置。
一対の連続シート同士の間に、伸長状態の個別の糸状弾性部材が前記連続シートの連続方向と交差する交差方向に沿った状態で介装されて接合された伸縮性シートを製造する方法であって、
接合機構によって、前記一対の連続シートを前記連続シートの連続方向に沿って搬送しながら前記連続シートの厚さ方向に挟圧して接合することと、
前記接合機構によって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を搬送機構で搬送することと、
前記糸状弾性部材の連続体を繰り出しながら、前記搬送機構に前記糸状弾性部材の連続体を伸長状態で巻回することと、
前記接合機構によって前記一対の連続シートが挟圧された後に、前記糸状弾性部材の連続体を前記連続シートよりも前記交差方向の端側の位置で切断して前記個別の糸状弾性部材を生成することと、を有し、
前記一対の連続シートのうちの少なくとも一方の連続シートは、前記一対の連続シートの前記交差方向の各端部に、前記糸状弾性部材の連続体を接合する接合部を有し、
前記接合することは、
前記接合機構が前記接合部の位置に対応して具備する基準挟圧部によって、所定の基準圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧することと、
前記接合機構が前記基準挟圧部よりも前記交差方向の端側の位置に対応して具備する弱挟圧部によって、前記基準圧力よりも低い圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧することと、を有し、
前記接合機構は、
前記一対の連続シートのうちの一方の連続シートを外周面に巻き付かせながら駆動回転することによって前記一方の連続シートを搬送する第1ロールと、
前記第1ロールの前記外周面と外周面を対向して設けられ、前記一対の連続シートのうちの他方の連続シートを前記外周面に巻き付かせながら駆動回転することによって、前記他方の連続シートを搬送する第2ロールと、を有し、
前記第1ロールと前記第2ロールとによって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を前記搬送機構が搬送し、
前記第1ロールの前記外周面における一対の第1所定部分及び前記第2ロールの前記外周面における一対の第2所定部分は、互いに共同して前記基準挟圧部として機能し、
前記第1ロールの前記外周面において前記第1所定部分よりも前記交差方向の端側の第3所定部分及び前記第2ロールの前記外周面において前記第2所定部分よりも前記交差方向の端側の第4所定部分は、互いに共同して前記弱挟圧部として機能し、
前記第1所定部分と前記第2所定部分との間の間隔は、前記第3所定部分と前記第4所定部分との間の間隔よりも小さく、
前記第1ロールの前記外周面における一対の前記第1所定部分同士の間の部分と、前記第2ロールの前記外周面における一対の前記第2所定部分同士の間の部分との間の間隔は、前記第1所定部分と前記第2所定部分との間の間隔よりも大きいことを特徴とする伸縮性シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一対の連続シート同士の間に、伸長状態の個別の糸状弾性部材が前記連続シートの連続方向と交差する交差方向に沿った状態で介装されて接合された伸縮性シートを製造する装置であって、
前記一対の連続シートを前記連続シートの連続方向に沿って搬送しながら前記連続シートの厚さ方向に挟圧して接合する接合機構と、
前記接合機構によって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を搬送する搬送機構と、
前記糸状弾性部材の連続体を繰り出しながら、前記搬送機構に前記糸状弾性部材の連続体を伸長状態で巻回する巻回機構と、
前記接合機構によって前記一対の連続シートが挟圧された後に、前記糸状弾性部材の連続体を前記連続シートよりも前記交差方向の端側の位置で切断して前記個別の糸状弾性部材を生成する切断機構と、を備え、
前記一対の連続シートのうちの少なくとも一方の連続シートは、前記一対の連続シートの前記交差方向の各端部に、前記糸状弾性部材の連続体を接合する接合部を有し、
前記接合機構は、
前記接合部の位置に対応してそれぞれ設けられ、所定の基準圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧する基準挟圧部と、
前記基準挟圧部よりも前記交差方向の端側の位置に設けられ、前記基準圧力よりも小さい圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧する弱挟圧部と、を有することを特徴とする伸縮性シートの製造装置である。
【0016】
このような伸縮性シートの製造装置によれば、接合機構は、一対の連続シートにおける上記接合部の位置に対応させて基準挟圧部を有し、また接合部よりも交差方向の端側の位置には弱挟圧部を有している。そして、弱挟圧部では、基準挟圧部よりも小さい圧力で一対の連続シート及び糸状弾性部材の連続体を挟圧する。よって、接合部では一対の連続シートと糸状弾性部材の連続体とを強固に接合しながらも、接合部よりも端側の部分では脆弱な接合とすることができる。そして、これにより、糸状弾性部材の連続体を切断後に個別の糸状弾性部材の端部の収縮力に基づいて、同端部は円滑且つ速やかに収縮して連続シートの端縁から交差方向の中央側へ引っ込むことができて、これにより連続シート内に速やかに収容される。その結果、伸縮性シートの端縁から個別の糸状弾性部材が突出しない状態にすることができる。よって、一対の連続シートの端部を切除せずに済ませつつ、伸縮性シートの見栄えも良好にすることができる。
【0017】
かかる伸縮性シートの製造装置であって、
前記接合機構は、
前記一対の連続シートのうちの一方の連続シートを外周面に巻き付かせながら駆動回転することによって前記一方の連続シートを搬送する第1ロールと、
前記第1ロールの前記外周面と外周面を対向して設けられ、前記一対の連続シートのうちの他方の連続シートを前記外周面に巻き付かせながら駆動回転することによって、前記他方の連続シートを搬送する第2ロールと、を有し、
前記第1ロールと前記第2ロールとによって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を前記搬送機構が搬送し、
前記第1ロールの前記外周面における第1所定部分及び前記第2ロールの前記外周面における第2所定部分は、互いに共同して前記基準挟圧部として機能し、
前記第1ロールの前記外周面において前記第1所定部分よりも前記交差方向の端側の第3所定部分及び前記第2ロールの前記外周面において前記第2所定部分よりも前記交差方向の端側の第4所定部分は、互いに共同して前記弱挟圧部として機能するのが望ましい。
【0018】
このような伸縮性シートの製造装置によれば、接合機構として駆動回転する第1ロールと第2ロールとを有する。そして、これら第1ロールの外周面及び第2ロールの外周面には、上記基準挟圧部として第1所定部分及び第2所定部分を有し、また上記弱挟圧部として第3所定部分及び第4所定部分を有する。よって、伸縮性シートの製造装置を容易且つ確実に実現することができる。
【0019】
かかる伸縮性シートの製造装置であって、
前記第1所定部分と前記第2所定部分との間の間隔は、前記第3所定部分と前記第4所定部分との間の間隔よりも小さいのが望ましい。
【0020】
このような伸縮性シートの製造装置によれば、間隔の大小関係を上記のように設定しているので、第1所定部分と第2所定部分とを互いに共同させて基準挟圧部として確実に機能させることができ、また第3所定部分と第4所定部分とを互いに共同させて弱挟圧部として確実に機能させることができる。
【0021】
かかる伸縮性シートの製造装置であって、
前記第1ロール及び前記第2ロールによる前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体の挟圧時に、前記第1所定部分及び前記第2所定部分が弾性へこみ変形する量の加算値は、前記第3所定部分及び前記第4所定部分が弾性へこみ変形する量の加算値よりも小さいのが望ましい。
【0022】
このような伸縮性シートの製造装置によれば、弾性へこみ変形する量の大小関係を上記のように設定しているので、第1所定部分と第2所定部分とを互いに共同させて基準挟圧部として確実に機能させ、また第3所定部分と第4所定部分とを互いに共同させて弱挟圧部として確実に機能させることができる。
【0023】
かかる伸縮性シートの製造装置であって、
前記切断機構によって前記糸状弾性部材の連続体を切断した後であって、前記連続シートの前記交差方向の端縁から突出する前記個別の糸状弾性部材の部分が収縮した後に、前記基準圧力よりも大きな圧力で前記厚さ方向に挟圧する挟圧機構を有するのが望ましい。
【0024】
このような伸縮性シートの製造装置によれば、連続シートの端縁から突出する糸状弾性部材の部分の収縮後に、基準圧力よりも大きな圧力で更に挟圧する。よって、伸縮性シートの状態を、糸状弾性部材が一対の連続シートに収まった状態に確実に固定することができる。
【0025】
かかる伸縮性シートの製造装置であって、
前記一対の連続シートは接着剤によって接合され、
前記一対の連続シートにおいて前記基準挟圧部に対応する領域の方が、前記弱挟圧部に対応する領域よりも前記接着剤の単位面積当たりの塗布量が多いのが望ましい。
【0026】
このような伸縮性シートの製造装置によれば、一対の連続シートにおいて基準挟圧部に対応する領域の方が、弱挟圧部に対応する領域よりも接着剤の単位面積当たりの塗布量が多い。よって、接合部ではより強固な接合状態を確保しながらも、接合部よりも端側の部分では、より脆弱な接合状態にすることができる。
【0027】
また、
一対の連続シート同士の間に、伸長状態の個別の糸状弾性部材が前記連続シートの連続方向と交差する交差方向に沿った状態で介装されて接合された伸縮性シートを製造する方法であって、
接合機構によって、前記一対の連続シートを前記連続シートの連続方向に沿って搬送しながら前記連続シートの厚さ方向に挟圧して接合することと、
前記接合機構によって挟圧されて接合される前記一対の連続シート同士の間に向けて、前記糸状弾性部材の連続体を搬送機構で搬送することと、
前記糸状弾性部材の連続体を繰り出しながら、前記搬送機構に前記糸状弾性部材の連続体を伸長状態で巻回することと、
前記接合機構によって前記一対の連続シートが挟圧された後に、前記糸状弾性部材の連続体を前記連続シートよりも前記交差方向の端側の位置で切断して前記個別の糸状弾性部材を生成することと、を有し、
前記一対の連続シートのうちの少なくとも一方の連続シートは、前記一対の連続シートの前記交差方向の各端部に、前記糸状弾性部材の連続体を接合する接合部を有し、
前記接合することは、
前記接合機構が前記接合部の位置に対応して具備する基準挟圧部によって、所定の基準圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧することと、
前記接合機構が前記基準挟圧部よりも前記交差方向の端側の位置に対応して具備する弱挟圧部によって、前記基準圧力よりも低い圧力で前記一対の連続シート及び前記糸状弾性部材の連続体を前記厚さ方向に挟圧することと、を有することを特徴とする伸縮性シートの製造方法である。
【0028】
このような伸縮性シートの製造方法によれば、接合機構は、一対の連続シートにおける上記接合部の位置に対応させて基準挟圧部を有し、また接合部よりも交差方向の端側の位置には弱挟圧部を有している。そして、弱挟圧部では、基準挟圧部よりも小さい圧力で一対の連続シート及び糸状弾性部材の連続体を挟圧する。よって、接合部では一対の連続シートと糸状弾性部材の連続体とを強固に接合しながらも、接合部よりも端側の部分では脆弱な接合とすることができる。そして、これにより、糸状弾性部材の連続体を切断後に個別の糸状弾性部材の端部の収縮力に基づいて、同端部は円滑且つ速やかに収縮して連続シートの端縁から交差方向の中央側へ引っ込むことができて、これにより連続シート内に速やかに収容される。その結果、伸縮性シートの端縁から個別の糸状弾性部材が突出しないようにすることができる。よって、一対の連続シートの端部を切除せずに済ませつつ、伸縮性シートの見栄えも良好にすることができる。
【0029】
===第1実施形態===
図3Aは、第1実施形態の製造装置20で製造される伸縮性シート10の概略平面図である。また、
図3Bは、
図3A中のB−B矢視図である。
この伸縮性シート10は、連続方向に連続する連続シート10であり、例えば使い捨ておむつの部品として使用される。すなわち、同伸縮性シート10は、最終製品になる前の中間製品である。そして、かかる伸縮性シート10は、例えば、おむつのサイドフラップやウエスト部などに伸縮性を付与する機能性部品として使用される。
【0030】
かかる伸縮性シート10は、厚さ方向に重ね合わせられて接合された一対の連続シート11,12と、一対の連続シート11,12同士の間に介装された複数本の糸状弾性部材13,13…と、を有する。糸状弾性部材13は、連続シート11,12の連続方向と直交する幅方向に沿わせられつつ上記連続方向に間隔をあけて複数本配置されている。そして、各糸状弾性部材13は、伸長状態で少なくとも一方の連続シート11(12)に接合されている。よって、伸縮性シート10には、糸状弾性部材13,13…により幅方向の伸縮性が付与されている。すなわち、各糸状弾性部材13,13…が収縮すれば、連続シート11,12も幅方向に収縮して複数の皺が寄った状態になるが、当該糸状弾性部材13,13…の収縮力に抗して連続シート11,12を引っ張れば、皺が延びて同連続シート11,12は広がった状態になる。
【0031】
なお、
図3Aの例では、連続シート11,12に対して糸状弾性部材13,13…が連続方向に一定の配置ピッチP0で配置されているが、配置ピッチP0は、何等かかる等ピッチに限るものではない。例えば、周期的に配置ピッチP0が変化していても良い。
【0032】
また、この
図3Aの例では、糸状弾性部材13の端部13eが連続シート11,12の幅方向の各端縁11ee,12eeから突出しておらず、つまり、糸状弾性部材13は、その全長に亘って連続シート11,12内に収容されており、これにより、見栄えが良好な伸縮性シート10になっている。
【0033】
かかる糸状弾性部材13は、例えば、複数の弾性フィラメントが互いに接合されて束になったものであり、弾性フィラメントは、例えばポリウレタン繊維又はPTT繊維等の合成樹脂繊維である。そして、かかる糸状弾性部材13の具体例としては、「ライクラ(商標)デュポン社」等を挙げることができる。また、糸状弾性部材13の直径は、例えば非伸長状態たる自然長の状態においては0.2mm〜0.5mmであり、自然長に対して3倍まで伸長した状態においては0.1mm〜0.3mmである。
【0034】
他方、一対の連続シート11,12は、それぞれ、互いに幅方向の寸法が略同寸の連続シートであって、不織布、織布、フィルム等を素材とする。そして、一対の連続シート11,12の両方を互いに同じ素材にしても良いし、場合によっては、互いに異なる素材にしても良い。なお、不織布や織布、フィルム等の材種については、既存のものを適宜使用可能である。例えば不織布及び織布については、ポリエチレン或いはポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂製の単独繊維のもの、或いは鞘芯構造の複合繊維のもの、更にはこれらを組み合わせたものを使用可能であり、またフィルムにあっても、上記に例示した熱可塑性樹脂製のもの等を使用可能である。
【0035】
また、一対の連続シート11,12の間には接着剤が介装されており、この接着剤によって一対の連続シート11,12同士、及び一対の連続シート11,12のうちの少なくとも一方の連続シート11(12)と各糸状弾性部材13,13…とはそれぞれ接合されて一体化されている。かかる接着剤としては、例えばホットメルト接着剤を使用可能である。また、連続シート11(12)の表面への接着剤の塗布パターンとしては、連続方向に沿った複数の帯状塗布領域AL,AM,AS…が幅方向に離散的に並んでなるストライプパターン(
図6)でも良いし、連続方向に沿った複数のスパイラル状塗布領域が幅方向に離散的に並んでなるスパイラルパターンでも良いし、所定領域の全域に亘って隙間無く接着剤が塗布される所謂べた塗りパターンでも良い。
【0036】
図4は、伸縮性シート10の製造装置20の概略斜視図である。
図4に示すように、製造装置20は、一対の連続シート11,12をその連続方向に沿って搬送しながら厚さ方向に重ね合わせて挟圧して接合する接合機構21と、接合機構21によって厚さ方向に重ね合わせられて挟圧されて接合される一対の連続シート11,12同士の間に向けて、糸状弾性部材の連続体13aを搬送する搬送機構31と、糸状弾性部材の連続体13aを繰り出しながら、搬送機構31に糸状弾性部材の連続体13aを伸長状態で巻回する巻回機構41と、接合機構21によって一対の連続シート11,12が挟圧された後に、糸状弾性部材の連続体13aを連続シート11,12よりも幅方向の端側の位置で切断して個別の糸状弾性部材13,13…を生成する切断機構51と、を備えている。
【0037】
そして、搬送機構31は、一対のベルト状搬送部32,32を本体とし、各ベルト状搬送部32は、それぞれ連続シート11,12よりも幅方向の端側の各位置に配置されている。また、各ベルト状搬送部32,32は、自身の長手方向に沿って糸状弾性部材の連続体13aを搬送可能であり、つまり、当該長手方向を搬送方向として糸状弾性部材の連続体13aを搬送する。
よって、巻回機構41により一対のベルト状搬送部32,32に巻回された糸状弾性部材の連続体13aは、この巻回状態のまま、接合機構21の方へ向けて順次搬送される。そして、この巻回状態にあっては、一対のベルト状搬送部32,32に糸状弾性部材の連続体13aが幅方向に掛け渡された状態になっている。つまり、糸状弾性部材の連続体13aは、一対のベルト状搬送部32,32の各上部に上方から掛け渡されてなる上側の掛け渡し部分13ac(以下、上側掛け渡し部分13acとも言う)と、一対のベルト状搬送部32,32の各下部に下方から掛け渡されてなる掛け渡し部分13ac(以下、下側掛け渡し部分13acとも言う)とを、搬送方向の交互に有している。
【0038】
また、巻回直後の掛け渡し部分13acは、幅方向に対して斜めに傾いた状態になっている。そのため、上記の接合機構21へ向けて当該掛け渡し部分13acを搬送している間に、この傾きを徐々に修正して概ね無くすべく、各ベルト状搬送部32,32については、それぞれ所定の工夫が施されている。すなわち、各ベルト状搬送部32,32は、それぞれ、糸状弾性部材の連続体13aの搬送方向及び連続シート11,12の幅方向の両者と交差する方向(
図4の例では上下方向に相当)に並んで配置された一対の無端ベルト33u,33dを本体とし、そして、当該一対の無端ベルト33u,33d同士の各搬送速度値に差をつけることによって、巻回当初に幅方向に対して斜めであった各掛け渡し部分13acを、幅方向と略平行な姿勢にまで修正している。そして、これにより、この幅方向に略平行になった各掛け渡し部分13acは、接合機構21によって、連続シート11,12同士の間に介装されつつ、連続シート11,12の各表面に重ね合わせられて挟圧されて接合される。ちなみに、前述した一対のベルト状搬送部32,32の各上部が、一対の上無端ベルト33u,33uに相当し、同じく前述した一対のベルト状搬送部32,32の各下部が、一対の下無端ベルト33d,33dに相当している。
【0039】
そして、このようにして一対の連続シート11,12に接合された糸状弾性部材の連続体13aは、当該接合に係る接合機構21の挟圧の後に、連続シート11,12よりも幅方向の端側の各位置で、切断機構51,51により切断され、これにより、当該糸状弾性部材の連続体13aの各掛け渡し部分13ac,13ac…は、個別の糸状弾性部材13,13…に変更される。
【0040】
なお、ここで、当該切断機構51によって切断された後には、個別の糸状弾性部材13のうちで連続シート11,12の端縁11ee,12eeから突出する部分13eたる端部13eは、主に自身の収縮力に基づいて縮んで、これにより、当該端部13eは連続シート11,12内に収容される。そして、この第1実施形態では、この収容を確実なものとする目的で、接合機構21に対して所定の工夫が施されているが、これについては後述する。
【0041】
以下、各構成21,31,41,51について説明する。なお、以下の説明では、連続シート11,12の連続方向のことを「MD方向」とも言い、そして、このMD方向と直交する方向、すなわち連続シート11,12の幅方向のことを「CD方向」とも言う。なお、連続シート11,12の厚さ方向は、連続方向及び幅方向の両者と直交関係にある。
【0042】
また、説明の都合上、互いに直交する三方向のことを、上下方向、前後方向、左右方向と定義する。なお、この例では、上下方向は鉛直方向と平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向と平行である。また、CD方向と左右方向とは、同じ方向である。更に、搬送機構31による糸状弾性部材の連続体13aの搬送方向は、前後方向と平行である。ちなみに、CD方向(左右方向)が、請求項に係る「交差方向」に相当しており、MD方向が、請求項に係る「連続方向」に相当している。
【0043】
<<<接合機構21>>>
接合機構21は、CD方向を向いた回転軸C21u,C21d回りに駆動回転する上下一対のロール21u,21dを有する。そして、第1ロールとしての上ロール21uには、一対の連続シート11,12のうちの一方の連続シート11が所定の巻き付き角度で巻き付けられており、また、第2ロールとしての下ロール21dには、他方の連続シート12が所定の巻き付き角度で巻き付けられている。そして、どちらの連続シート11,12も、巻き付くべきロール21u,21dの外周面21ua,21daとの間に相対滑りがほぼ無い状態に保持されており、これによって、各ロール21u,21dの駆動回転に伴って各連続シート11,12は、対応するロール21u,21dの外周面21ua,21daと略一体となって同ロール21u,21dの回転方向Dcu,Dcdに沿って搬送される。
【0044】
そして、一対のロール21u,21dの外周面21ua,21da同士が最接近する位置Pn(以下、ニップ位置Pnとも言う)を通過する際には、上の連続シート11と下の連続シート12とが厚さ方向に重ね合わせられて挟圧され、これにより、重ね合わせられるべき面の少なくとも一方に予め塗布された接着剤によって両者は接合される。なお、上述したように、この接合の直前には、かかる一対の連続シート11,12同士の間に、伸長状態の糸状弾性部材の連続体13aの掛け渡し部分13acがCD方向(幅方向)に沿った姿勢で投入されるので、上記の接合時には、上下の各連続シート11,12及び糸状弾性部材の連続体13aの掛け渡し部分13acの三者が接合一体化されることになる。
【0045】
ところで、一対のロール21u,21dの駆動回転は、例えばサーボモータ(不図示)を駆動源としてなされている。そして、かかるサーボモータは、適宜な制御装置(不図示)によって回転数制御されているが、かかる回転数制御の下では、吸収性物品の製造ラインにおける他の装置の生産速度値(m/分)に連動して(例えば比例して)、ロール21u,21dの周速値(m/分)が変更される。例えば、他の装置が増速すれば、それに見合った分だけロール21u,21dの周速値(m/分)が増速され、逆に、他の装置が減速すれば、それに見合った分だけ同周速値(m/分)が減速される。そして、これにより、接合機構21は、常に他の装置が必要とする供給速度値(m/分)で伸縮性シート10を供給可能である。
【0046】
<<<搬送機構31>>>
図4に示すように、搬送機構31は、CD方向の左右にそれぞれベルト状搬送部32,32を有する。各ベルト状搬送部32は、その長手方向を前後方向に向けつつ当該前後方向に関して接合機構21を跨ぐように配置されており、これにより、前後方向に沿って接合機構21を跨ぐように糸状弾性体の連続体13aの搬送経路が形成されている。
【0047】
各ベルト状搬送部32は、上下一対の無端ベルト33u,33dを有する。各無端ベルト33u,33dは、それぞれ前後方向の両端部に配置された一対のプーリー34u,34u,34d,34dに掛け回されている。そして、少なくとも一方のプーリー34u,34dは、駆動源としてのサーボモータ35u,35dに連結されており、これにより、無端ベルト33u,33d毎に周回速度値の設定が可能である。
【0048】
また、プーリー34u,34u,34d,34dの向きの設定によって、各無端ベルト33u,33dの周回軌道が、CD方向の端側に位置する端側軌道Tr1と、端側軌道Tr1よりもCD方向の中央側に位置する中央側軌道Tr2とを有するようにされている。そして、端側軌道Tr1では、各無端ベルト33u,33dは前後方向の前方へ移動する一方、中央側軌道Tr2では後方へ移動し、これにより、一対のベルト状搬送部32,32に巻回された糸状弾性部材の連続体13aは、端側軌道Tr1を移動する無端ベルト33u,33d,33u,33dに保持されることにより、前後方向の前方へ搬送されて最終的に接合機構21に至るようになっている。
ちなみに、無端ベルト33u,33dのベルト面の向きは、同面の法線方向がCD方向と平行となる向きを基本とするが、場合によっては、CD方向から例えば0°よりも大きく60°未満の角度範囲で傾いていても良い。
【0049】
また、上述の無端ベルト33u,33dの駆動用の各サーボモータ35u,35dは、適宜な制御装置によって回転数制御されている。そして、この回転数制御の下、同サーボモータ35u,35dは、搬送機構31の搬送速度値(m/分)を規定する上無端ベルト33uの周回速度値(m/分)と下無端ベルト33dの周回速度値(m/分)との両者を、接合機構21の回転速度値(m/分)たる周速値(m/分)と連動して(例えば比例して)変更する。よって、仮に、吸収性物品の製造ラインにおける他の装置の生産速度値(m/分)の変更に対応すべく、接合機構21のロール21u,21dの周速値(m/分)が変更された場合であっても、それに対応した速度値に、糸状弾性部材の連続体13aの搬送速度値(m/分)は速やかに変更される。
【0050】
<<<巻回機構41>>>
図4に示すように、巻回機構41は、糸状弾性部材のコイル体13C(ボビン等の適宜な巻き取り部材に糸状弾性部材の連続体13aをコイル状に巻き取ったもの)から糸状弾性部材の連続体13aを繰り出しながら、搬送機構31の後端部31bに巻回するものである。そのため、同巻回機構41は、リール機構42に回転自在に支持された糸状弾性部材のコイル体13Cから糸状弾性部材の連続体13aを繰り出す繰り出し部43と、繰り出し部43から繰り出された糸状弾性部材の連続体13aを、搬送機構31の後端部31bに巻回する巻回部46と、を有している。
【0051】
繰り出し部43は、リール機構42に取り付けられたコイル体13Cから糸状弾性部材の連続体13aを繰り出して同連続体13aの張力を所定の張力範囲内に設定後に、巻回部46の巻回速度値(m/分)に連動して同巻回速度値に対応した所定の供給速度値(m/分)で糸状弾性部材の連続体13aを巻回部46へ供給する。
【0052】
ここで、上述の張力範囲は、糸状弾性部材の連続体13aが弛まない範囲での最低張力に基づいて予め定められており、例えば0.0298N〜0.098Nである。そして、これにより、基本的には、繰り出し部43の供給速度値に対する巻回部46の巻回速度値の比率が、搬送機構31に巻回する巻回時点での糸状弾性部材の連続体13aの伸長倍率となる。よって、巻回速度値に連動させて供給速度値を調整することにより、ほぼ常時、目標の伸長倍率で搬送機構31に糸状弾性部材の連続体13aを巻回可能となる。ちなみに、伸長倍率というのは、糸状弾性部材の連続体13aが、その自然長から何倍まで伸長された状態にあるのかを示す指標であり、例えば伸長状態の長さLSを自然長L0で除算した除算値(=LS/L0)として表される。
【0053】
かかる繰り出し部43の具体的構成例としては、リール機構42のコイル体13Cから巻回部46への糸状弾性部材の連続体13aの供給ルートのうちで上流側の位置、すなわちコイル体13Cに近接する位置に設けられたテンションコントローラ44と、同供給ルートにおいてテンションコントローラ44よりも下流側の位置、すなわち巻回部46に近い位置に設けられた供給ロール45と、を有した構成が挙げられる。ここで、テンションコントローラ44は、その直近下流位置での糸状弾性部材の連続体13aの張力が所定の張力範囲に収まるようにコイル体13Cからの繰り出し量をフィードバック制御するものであり、その具体的構成例としては、上記直近下流位置での張力を計測するセンサー44sと、このセンサー44sの計測位置よりも走行ルートの上流側の位置に設けられた繰り出し用駆動プーリー44pと、を有している。そして、センサー44sから出力される張力の計測値が、上述の予め設定された張力範囲に収まるように、繰り出し用駆動プーリー44pの駆動源たるサーボモータ(不図示)は適宜な制御装置に制御される。
【0054】
図5は、巻回部46の概略中心断面図である。巻回部46は、同
図5に示すように、搬送機構31の後端部31bに近接して配置された有底円筒部材46aを本体とする。有底円筒部材46aの筒軸C46aは、搬送機構31の小口断面中心位置、すなわち上下方向及びCD方向の両者で規定される断面での中心位置と略同じ位置に設定された軸C46aであって、しかも前後方向と略平行に設定された軸C46aである。そして、この筒軸C46a回りに有底円筒部材46aは駆動回転する。この駆動源には、例えばサーボモータ49mが使用される。すなわち、
図5の例では、有底円筒部材46aの底部46abからは筒軸C46aと同軸に小径円筒体47が後方に突出して一体に設けられており、かかる小径円筒体47には駆動用プーリー49pが同軸に固定され、この駆動用プーリー49pには、タイミングベルト49bを介してサーボモータ49mの駆動回転軸49sの駆動回転動作が入力される。そして、これにより、有底円筒部材46aは駆動回転する。
【0055】
また、有底円筒部材46aにおける複数の位置には、糸状弾性部材の連続体13aを掛け回す滑車48p,48p,48pが設けられている。これらの滑車48p,48p,48pは、繰り出し部43から走行状態で有底円筒部材46aへ供給される糸状弾性部材の連続体13aを、有底円筒部材46aの前端部46afに設定された搬送機構31への投入部48tへ誘導するガイド部材である。
具体的には、滑車48p,48p,48pは、それぞれ、小径円筒体47の内周側の前端位置と、有底円筒部材46aの円筒部46atの後端位置と、同円筒部46atの前端位置とにそれぞれ設けられており、更に同前端位置には、上述の投入部48tとして投入用滑車48tが別途設けられている。
そして、繰り出し部43から供給された糸状弾性部材の連続体13aが、上記の順番で各滑車48p,48p,48pに掛け回されることにより、糸状弾性部材の連続体13aは、次のようにして上記の投入部48tに至る。すなわち、先ず、繰り出し部43から供給された糸状弾性部材の連続体13aは、小径円筒体47の内周側を通って同小径円筒体47の前端位置に到達する、すると、その位置の滑車48pによって、走行方向を有底円筒部材46aの半径方向の外方へ転換されて有底円筒部材46aの底部46abに沿って走行する。そして、この走行によって、同有底円筒部材46aの円筒部46atの後端位置に至るが、同後端位置の滑車48pによって、再度走行方向を前方へ転換されて同円筒部46atの前端位置に至る。そして、最後に、同前端位置の滑車48pによって同位置の投入部48tへと誘導される。
【0056】
なお、投入部48tたる投入用滑車48tは、自身の回転軸C48tが、有底円筒部材46aの筒軸C46aと平行に設定されている。よって、この滑車48tは、糸状弾性部材の連続体13aを円滑且つ速やかに、有底円筒部材46aの内周側に位置する搬送機構31の後端部31bへ向けて投入可能となる。
【0057】
また、前後方向の位置に関して、有底円筒部材46aの前端部46afは、搬送機構31の後端部31bとオーバーラップしている。すなわち、搬送機構31の後端部31bは、有底円筒部材46aの前端部46afから同有底円筒部材46a内に挿入されている。よって、前端位置の投入部48tから搬送機構31の後端部31bへと投入された糸状弾性部材の連続体13aを、確実に搬送機構31の後端部31bの外周に巻き付け可能となっている。
【0058】
ところで、巻回部46の駆動回転用の上記サーボモータ49mは、適宜な制御装置によって回転数制御されている。そして、その回転数制御の下、サーボモータ49mは、巻回部46の巻回速度値(m/分)を、上述した搬送機構31の搬送速度値(m/分)と連動して(例えば比例して)変更する。よって、仮に、吸収性物品の製造ラインにおける他の装置の生産速度値(m/分)の変更に対応すべく、接合機構21のロール21u,21dの周速値(m/分)が変更される等して、その影響が搬送機構31の搬送速度値に及んだ場合であっても、搬送機構31上における掛け渡し部分13ac,13ac…の搬送方向(前後方向)の配置ピッチを常に一定に維持可能である。そして、これにより、他の装置の生産速度値に因らず、連続シート11,12上における各糸状弾性部材13,13…の配置ピッチP0を常に一定に維持可能となっている。
【0059】
<<<切断機構51>>>
図4に示すように、切断機構51,51は、搬送機構31よりもCD方向の端側の各位置に、各ベルト状搬送部32,32に対応させてそれぞれ配置された回転刃52,52である。そして、各回転刃52,52は、それぞれ円心回りに駆動回転するとともに、自身が担当する位置において、CD方向の端側から回転刃52の外周縁の刃先を糸状弾性部材の連続体13aに押し当てることにより、糸状弾性部材の連続体13aを連続シート11,12よりもCD方向の端側の位置で切断して、同連続体13aから個別の糸状弾性部材13,13…を切り離し生成する。すなわち、CD方向に一対で並ぶベルト状搬送部32,32にCD方向に掛け渡された糸状弾性部材の連続体13aの掛け渡し部分13acを、回転刃52の切断により糸状弾性部材の連続体13aから切り離し、その結果、当該掛け渡し部分13acは個別の糸状弾性部材13として連続シート11,12に組み付けられる。
【0060】
ちなみに、切断機構51は、何等上述の回転刃52に限らない。例えば、上述の回転刃52に代えて、固定刃を設けても良いし、或いは、発生させた超音波振動で刃先を振動させながら切断対象を切断する超音波カッターを設けても良いし、切断対象を焼き切るレーザーを設けても良い。更には、鋏で切るようにシャー切り可能な構成にしても良いし、挟圧して切る構成にしても良い。
【0061】
<<<個別の糸状弾性部材13のCD方向の各端部13e,13eを一対の連続シート11,12内に収容するための工夫について>>>
この工夫の説明の前に、一対の連続シート11,12を接合するために塗布される接着剤の塗布パターンについて説明する。
図6は、この塗布パターンの一例の説明図であり、同
図6には、連続シート11(12)を概略平面視で示している。
【0062】
図6に示すように、この例では、所謂ストライプパターン、すなわち、複数の帯状塗布領域AL,AM,AS…が幅方向に離散的に並んでなるパターンで接着剤が塗布されている。また、かかるストライプパターンは、互いに幅寸法の異なる複数種類の帯状塗布領域AL,AM,ASを有している。すなわち、広幅の帯状塗布領域たる広幅帯状塗布領域ALと、広幅帯状塗布領域ALよりも幅寸法が狭い中間幅帯状塗布領域AMと、中間幅帯状塗布領域AMよりも幅寸法が狭い狭幅帯状塗布領域ASと、を有している。
【0063】
ちなみに、広幅帯状塗布領域ALの幅寸法は、例えば15〜17mmの範囲から選択され、この例では15mmであり、また、中間幅帯状塗布領域AMの幅寸法は、3〜5mmの範囲から選択され、この例では5mmであり、狭幅帯状塗布領域ASの幅寸法は、0.5〜1.5mmの範囲から選択され、この例では1mmである。
【0064】
そして、かかる三種類の帯状塗布領域AL,AM,ASが、幅方向に隣り合う帯状塗布領域との間に、接着剤が塗布されない帯状の領域たる帯状非塗布領域ANL,ANM,ANSを介在させながら、適宜な組み合わせで幅方向に並ぶことによって、上記のストライプパターンは形成されている。
なお、このストライプパターンは、当該帯状非塗布領域ANL,ANM,ANSについても、互いに幅寸法の異なる複数種類の領域ANL,ANM,ANSを有している。すなわち、広幅の帯状非塗布領域ANLたる広幅帯状非塗布領域ANLと、広幅帯状非塗布領域ANLよりも幅寸法が狭い中間幅帯状非塗布領域ANMと、中間幅帯状非塗布領域ANMよりも幅寸法が狭い狭幅帯状非塗布領域ANSと、を有している。
【0065】
ちなみに、広幅帯状非塗布領域ANLの幅寸法は、例えば10〜12mmの範囲から選択され、この例では10mmであり、また、中間幅帯状非塗布領域ANMの幅寸法は、3〜5mmの範囲から選択され、この例では5mmであり、狭幅帯状非塗布領域ANSの幅寸法は、0.5〜1.5mmの範囲から選択され、この例では1mmである。
【0066】
そして、この
図6の例では、ストライプパターンが連続シート11(12)の幅方向の中央位置CLに関して線対称になるように、上述の三種類の帯状塗布領域AL,AM,AS及び三種類の帯状非塗布領域ANL,ANM,ANSが適宜選択されて幅方向に並べられている。
例えば、連続シート11(12)の表面を幅方向の中央位置CLで二分することによって一対の半面に分けた場合に、一方の半面(
図6中の左面)には、幅方向の端縁11ee(12ee)から中間幅帯状非塗布領域ANMが存在し、その中央側の隣に中間幅帯状塗布領域AMが存在し、その中央側の隣に広幅帯状非塗布領域ANLが存在し、その中央側の隣に広幅帯状塗布領域ALが存在し、その中央側の隣に狭幅帯状非塗布領域ANSが存在し、その中央側の隣に狭幅帯状塗布領域ASが存在し、そして、以降、幅方向の中央位置CLまで狭幅帯状非塗布領域ANSと狭幅帯状塗布領域ASとの両者が交互に繰り返し並んだ状態になっている。そして、もう一方の半面(
図6中の右面)にも、当該半面における端縁11ee(12ee)から中央位置CLに向かって上述と同じ並び順で、帯状塗布領域AL,AM,AS及び帯状非塗布領域ANL,ANM,ANSが並んだ状態になっている。
【0067】
なお、この例では、これら三種類の各帯状塗布領域AL,AM,ASの接着剤の坪量(g/m
2)を、互いに同値に設定している。但し、場合によっては、各帯状塗布領域AL,AM,ASの坪量(g/m
2)を互いに相違させても良い。
例えば、中間幅帯状塗布領域AMの坪量よりも広幅帯状塗布領域ALの坪量を多くしても良い。そして、このようにすれば、広幅帯状塗布領域ALでは糸状弾性部材13を連続シート11(12)に強固に接合しながらも、その幅方向の端側に位置する中間幅帯状塗布領域AMでは脆弱に接合することができて、これにより、糸状弾性部材13の各端部13e,13eの連続シート11,12内への収容性の向上を図れる。この収容性については、この後でも述べる。また、狭幅帯状塗布領域ASの坪量を、広幅帯状塗布領域ALの坪量と中間幅帯状塗布領域AMとの間の任意値に設定しても良く、このようにすれば、狭幅帯状塗布領域ASにおいても糸状弾性部材13を連続シート11(12)に十分強固に接合することができて、これにより、連続シート11(12)の幅方向の中央部11c,12cに縦縞状の皺を確実に形成可能となる。
【0068】
なお、上述の各帯状塗布領域AL,AM,ASの接着剤の坪量(g/m
2)は、例えば1〜40(g/m
2)の範囲から選択される。ここで、1(g/m
2)未満であると、糸状弾性部材13の固定が不十分となって、連続シート11(12)から糸状弾性部材13が剥がれて糸状弾性部材13の抜けが発生し、所望の伸縮機能を発現し難くなるので、望ましくない。また、40(g/m
2)を超えると、連続シート11(12)の一対の表面のうちで糸状弾性部材13が接合されない方の面から接着剤が滲み出して製造ラインを汚染したり、連続シート11(12)が巻き付いた適宜なローラー部材から剥がれ難くなったり、おむつの他の部品と接着してしまっておむつの機能を損ねてしまったり、使用時に使用者の肌に貼り付いて肌トラブルの原因になったりするため、望ましくない。
【0069】
ここで、各帯状塗布領域AL,AM,ASの機能について説明する。先ず、連続シート11(12)の表面において幅方向の各端部11e(12e)に位置する広幅帯状塗布領域ALの主な機能は、糸状弾性部材13と連続シート11(12)とを接合することで連続シート11(12)に伸縮性を付与するというものである。すなわち、各端部11e(12e)に位置する各広幅帯状塗布領域ALによって糸状弾性部材13,13…が連続シート11(12)に接合されることにより、糸状弾性部材13の伸縮性が連続シート11(12)に伝達されて同連続シート11(12)には伸縮性が付与される。そのため、かかる機能の広幅帯状塗布領域ALは、連続シート11(12)に伸縮性を付与するという意味では必須のものであり、すなわち、伸縮性シート10を構成する上で必須のものである。なお、当該広幅帯状塗布領域ALの接着剤が、請求項に係る「糸状弾性部材の連続体を接合する接合部」に相当する。
【0070】
一方、連続シート11(12)の表面において幅方向の中央側の領域11c,12cに並ぶ複数の狭幅帯状塗布領域AS,AS…の機能は、上記のように、主に連続シート11(12)の連続方向(MD方向)に沿った縦縞状の皺を伸縮性シート10に形成するというものである。そのため、当該機能は、糸状弾性部材13との接合を通して伸縮性を連続シート11(12)に付与するというものではなく、よって、かかる幅帯状塗布領域AS,AS…は、伸縮性シート10を構成する上で必須のものではない。
【0071】
同様に、広幅帯状塗布領域ALよりも幅方向の端側に位置する中間幅帯状塗布領域AMについても、その機能は、主に、一対の連続シート11,12の各端縁11ee,12ee同士を封止するというものである。よって、この塗布領域AMも、上述の狭幅帯状塗布領域ASと同様、糸状弾性部材13との接合を通して伸縮性を連続シート11(12)に付与するというものではなく、よって、かかる中間幅帯状塗布領域AMも、伸縮性シート10を構成する上で必須のものではない。
【0072】
よって、連続シート11(12)に伸縮性を付与するという観点からは、少なくとも広幅帯状塗布領域ALの位置で連続シート11,12を大きな圧力で挟圧してやれば良く、そうすれば、伸長状態の糸状弾性部材13,13…が連続シート11,12に強固に接合されて、これにより最終的に伸縮性シート10には確実に伸縮性が付与されるようになる。
【0073】
一方、前述したように伸縮性シート10の見栄え向上の観点からは、個別の糸状弾性部材13の各端部13e,13eを連続シート11,12内に収容する必要がある。そして、そのためには、広幅帯状塗布領域ALよりも幅方向の端側に位置する中間幅帯状塗布領域AMでは、糸状弾性部材13,13…と連続シート11(12)との接合を脆弱なものにしておく必要がある。よって、かかる観点からは、中間幅帯状塗布領域AMの位置では、接合機構21の一対のロール21u,21dは、連続シート11,12を小さな圧力で挟圧するのが好ましい。
【0074】
そこで、この第1実施形態では、接合機構21の一対のロール21u,21dにおいて上述の広幅帯状塗布領域ALに対応する位置には、大きな基準圧力で挟圧する基準挟圧部21ALを設け、また、同一対のロール21u,21dにおける上述の中間幅帯状塗布領域AMに対応する位置、すなわち、基準挟圧部21ALよりもCD方向の端側の位置には、上記の基準圧力よりも小さい弱圧力で挟圧する弱挟圧部21AMを設けている(
図7B)。
【0075】
そして、これにより、
図7Aの一対のロール21u,21dのニップ位置Pnを一対の連続シート11,12が通過する際には、同ロール21u,21dの基準挟圧部21ALでは、大きな基準圧力で一対の連続シート11,12及び糸状弾性部材の連続体13aを挟圧する一方、同ロール21u,21dの弱挟圧部21AMでは、基準挟圧部21ALの基準圧力よりも小さい弱圧力で一対の連続シート11,12及び糸状弾性部材の連続体13aを挟圧する。
よって、広幅帯状塗布領域ALでは一対の連続シート11,12と糸状弾性部材の連続体13aとを強固に接合しながらも、広幅帯状塗布領域ALよりもCD方向の端側に位置する中間幅帯状塗布領域AMでは脆弱な接合にすることができる。
【0076】
すると、かかる一対のロール21u,21dのニップ位置Pnを通過後に糸状弾性部材の連続体13aが切断されて各掛け渡し部分13acが個別の糸状弾性部材13に変更された際には、個別の糸状弾性部材13の各端部13e,13eは、自身の収縮力に基づいて円滑且つ速やかに収縮して連続シート11(12)の端縁11ee(12ee)から幅方向の中央側へ引っ込むことができて、これにより連続シート11,12内に収容される。すなわち、
図3A及び
図3Bに示すように、伸縮性シート10の端縁10ee,10eeから個別の糸状弾性部材13,13…が突出しない状態にすることができて、その結果、伸縮性シート10の見栄えを良好にすることができる。
【0077】
図7Aは、基準挟圧部21AL及び弱挟圧部21AMが設けられた接合機構21の概略側面図であり、
図7Bは、
図7A中のB−B矢視図である。なお、
図7Bでは、図の錯綜を防ぐべく、ニップ位置Pnにのみ連続シート11,12を示し、それ以外のところでは連続シート11,12を不図示としている。また、同
図7B中の下部には、ロール21u,21dの外周面21ua,21daに対応させて上記の接着剤の塗布パターン、すなわちストライプパターンを示している。
【0078】
上述したように、この例では、上ロール21u及び下ロール21dの各外周面21ua,21daにおいて連続シート11(12)の広幅帯状塗布領域ALに対向する部分21ALPを基準挟圧部21ALとして機能させており、また、上ロール21u及び下ロール21dの各外周面21ua,21daにおいて連続シート11(12)の広幅帯状塗布領域ALよりもCD方向の端側の部分に対向する部分21AMPを弱挟圧部21AMとして機能させている。なお、以下では、上ロール21u及び下ロール21dにおいて基準挟圧部21ALとして機能する部分21ALPのことを「基準挟圧部担当部分21ALP」と言い、同じく上ロール21u及び下ロール21dにおいて弱挟圧部21AMとして機能する部分のことを「弱挟圧部担当部分21AMP」と言う。
【0079】
以下、
図7A及び
図7Bを参照しながら、かかる上ロール21u及び下ロール21dについて詳しく説明する。
先ず、上ロール21u及び下ロール21dのどちらについても、連続シート11,12が接触するCD方向の全域に亘って外周部21uaa,21daaの素材は同一とされており、これにより、外周部21uaa,21daaの弾性率(N/m
2)は、連続シート11,12が接触するCD方向の全域に亘って略一定値とされている。
また、下ロール21dには、連続シート11,12が接触するCD方向の全域に亘って外径寸法が略一定値のフラットロールが使用されているが、上ロール21uには、CD方向の位置によって外径寸法が異なるロールが使用されている。そして、当該上ロール21uにおいて弱挟圧部担当部分21AMPの外径寸法は、基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法よりも小さく設定されている。
【0080】
よって、基準挟圧部担当部分21ALPの方では、連続シート11,12における広幅帯状塗布領域ALの部分を大きな基準圧力で挟圧しながらも、弱挟圧部担当部分21AMPの方では、連続シート11,12において広幅帯状塗布領域ALよりもCD方向の端側の部分を、基準圧力よりも小さな弱圧力で挟圧可能となる。そして、これにより、広幅帯状塗布領域ALでは、一対の連続シート11,12と糸状弾性部材の連続体13aとを強固に接合しながらも、当該端側の部分に属する前述の中間幅帯状塗布領域AMでは、一対の連続シート11,12及び糸状弾性部材の連続体13aを、脆弱な接合状態にすることができる。
【0081】
なお、下ロール21dについては、上記のような単なるフラットロールであるが、かかる下ロール21dの外周面21daのうちで上ロール21uの基準挟圧部担当部分21ALPに対向する部分が、下ロール21dでの基準挟圧部担当部分21ALPとなる。そして、これら一対の基準挟圧部担当部分21ALP,21ALP同士が互いに共同することにより、前述した基準挟圧部21ALとして機能する。同様に、下ロール21dの外周面21daのうちで上ロール21uの弱挟圧部担当部分21AMPに対向する部分が、下ロール21dでの弱挟圧部担当部分21AMPとなる。そして、これら一対の弱挟圧部担当部分21AMP,21AMP同士が互いに共同することにより、前述した弱挟圧部21AMとして機能する。
ちなみに、請求項に記載の構成要件との対応関係を言えば、次の通りである。先ず、上ロール21uの基準挟圧部担当部分21ALPが、請求項に記載の「第1所定部分」に相当し、下ロール21dの基準挟圧部担当部分21ALPが、請求項に記載の「第2所定部分」に相当する。また、上ロール21uの弱挟圧部担当部分21AMPが、請求項に記載の「第3所定部分」に相当し、下ロール21dの弱挟圧部担当部分21AMPが、請求項に記載の「第4所定部分」に相当する。
【0082】
ところで、上述の例では、上ロール21uの方で、基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法よりも弱挟圧部担当部分21AMPの外径寸法を小さく設定し、これにより、下ロール21dについてはフラットロールを用いていた。つまり、下ロール21dの基準挟圧部担当部分21ALPと弱挟圧部担当部分21AMPとの間では、外径寸法に差をつけていなかったが、何等これに限らない。
すなわち、上ロール21uの基準挟圧部担当部分21ALPと下ロール21dの基準挟圧部担当部分21ALPとの間の間隔が、上ロール21uの弱挟圧部担当部分21AMPと下ロール21dの弱挟圧部担当部分21AMPとの間の間隔よりも小さくなっていれば、上記以外の構成にしても構わない。
例えば、下ロール21dの方で、基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法よりも弱挟圧部担当部分21AMPの外径寸法を小さく設定して、これにより、上ロール21uにフラットロールを用いても良いし、更には、上ロール21u及び下ロール21dの両方に対して、基準挟圧部担当部分21ALP,21ALPの外径寸法よりも弱挟圧部担当部分21AMP,21AMPの外径寸法を小さく設定しても良い。
【0083】
なお、上ロール21u及び下ロール21dの挟圧時の圧力(N/m
2)を調整する機構には、周知の構成を適宜使用することができる。かかる構成の一例としては、接合機構21の外形をなす不図示のハウジングと、同ハウジングに固定されて、上ロール21u又は下ロール21dのどちらか一方のロール21u(21d)を上下移動不能且つ回転軸C21u(C21d)回りに回転可能に支持する不図示の第1軸受け部材と、もう一方のロール21d(21u)を回転軸C21d(C21u)回りに回転可能に支持する不図示の第2軸受け部材と、上記のハウジングに設置されて、第2軸受け部材を上下昇降可能に支持する油圧シリンダ又は送りねじ機構等の昇降機構(不図示)と、を有した構成を例示できる。そして、かかる構成によれば、昇降機構による第2軸受け部材の上下昇降量の調整によって上ロール21u及び下ロール21dの挟圧時の圧力を調整することができる。
【0084】
また、基準挟圧部担当部分21ALPの基準圧力及び弱挟圧部担当部分21AMPの弱圧力の適値は、使用する接着剤の坪量や種類、塗布パターン等に応じて変わり得る。このため、この基準圧力及び弱圧力の各設定値は、実機実験等で決定される。例えば、実機実験では、上記の接着剤の坪量や塗布パターン等をパラメータとして複数水準で振りながら、実際にこの製造装置20で伸縮性シート10を製造し、製造された伸縮性シート10の個別の糸状弾性部材13の端部13e,13eの収容状態を確認しながら、上記の基準圧力及び弱圧力の大きさが決定される。
【0085】
ちなみに、上述の挟圧時の圧力(N/m
2)とは、それぞれ、連続シート11,12が厚さ方向に挟圧される際に、その挟圧される面に作用する圧力のことである。例えば、基準圧力(N/m
2)とは、挟圧時に基準挟圧部担当部分21ALP,21ALPに挟圧される面に作用する圧力(N/m
2)のことであり、更に言い換えると、挟圧時に基準挟圧部担当部分21ALP,21ALPに挟圧される面において単位面積当たりに作用する挟み込み力(外力)のことである。また、弱圧力(N/m
2)とは、挟圧時に弱挟圧部担当部分21AMP,21AMPに挟圧される面に作用する圧力のことであり、更に言い換えると、挟圧時に弱挟圧部担当部分21AMP,21AMPに挟圧される面において単位面積当たりに作用する挟み込み力(外力)のことである。なお、当該圧力(N/m
2)は、例えば感圧紙によって測定可能である。
【0086】
ところで、上述の説明では、上ロール21uの外周面21uaのうちで一対の基準挟圧部担当部分21ALP,21ALP同士の間の部分21ASP(以下、中央部担当部分21ASP)については、詳しく説明していなかった(
図7B)。そのため、ここで、当該中央部担当部分21ASPについて説明する。この中央部担当部分21ASPは、連続シート11,12において広幅帯状塗布領域ALよりも中央側に位置する部分11c,12cを挟圧する。すなわち、連続シート11,12において狭幅帯状塗布領域ASと狭幅帯状非塗布領域ANSとが交互に複数並ぶ部分11c,12cを挟圧する。そして、これにより、連続シート11,12の幅方向の中央部11c,12cが糸状弾性部材の連続体13aに接合されて、当該部分11c,12cの糸状弾性部材13の部分が収縮した際には、連続方向に沿った縦縞状の皺が形成されるようになる。
【0087】
この例では、かかる中央部担当部分21ASPの外径寸法を、基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法と弱挟圧部担当部分21AMPの外径寸法との間の任意値(例えば、基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法と弱挟圧部担当部分21AMPの外径寸法との中間値)に設定している。そして、これにより、隣接する基準挟圧部担当部分21ALPでなされるべき大きな基準圧力での挟圧を阻害しないようにしながらも、当該中央部担当部分21ASPにおいても、挟圧時に適度な圧力を確保するようにしている。
但し、かかる中央部担当部分21ASPの外径寸法は、何等上記に限らない。例えば、基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法と同径にしても良いし、或いは、同外径寸法より大きくしても良い。また、場合によっては、中央部担当部分21ASPの外径寸法を、弱挟圧部担当部分21AMPの外径寸法と同径にしても良いし、或いは、同外径寸法より小さくしても良い。但し、上述したように、基準挟圧部担当部分21ALPが挟圧する連続シート11,12の広幅帯状塗布領域ALの接着剤を、糸状弾性部材13を連続シート11,12に接合する接合部として確実に機能させる観点からは、望ましくは、上記の中央部担当部分21ASPの外径寸法よりも基準挟圧部担当部分21ALPの外径寸法の方を大きくすると良い。
【0088】
また、前述したように、この例では、各帯状塗布領域AL,AM,ASの接着剤の坪量(g/m
2)を互いに同値にしていた。しかし、基準挟圧部担当部分21ALPに対応する領域の接着剤の単位面積当たりの塗布量(g/m
2)と、弱挟圧部担当部分21AMPに対応する領域の接着剤の単位面積当たりの塗布量(g/m
2)とは、互いに相違している。この理由は、次の通りである。先ず、前者の基準挟圧部担当部分21ALPには、連続シート11,12において広幅帯状塗布領域ALのみが対向していて帯状非塗布領域ANL,ANM,ANSは一切対向していないが、後者の弱挟圧部担当部分21AMPには、連続シート11,12において上記の広幅帯状塗布領域ALよりも幅方向の端側に位置する全ての部分が対向しており、つまり中間幅帯状塗布領域AM以外に中間幅帯状非塗布領域ANM及び広幅帯状非塗布領域ANLの両者も対向している。そのため、これら基準挟圧部担当部分21ALP又は弱挟圧部担当部分21AMPに対応する領域での単位面積当たりの塗布量を考えた場合には、両者は互いに相違する。そして、上述のように、広幅帯状塗布領域ALと中間幅帯状塗布領域AMとの坪量が互いに同値であることから、この例では、基準挟圧部担当部分21ALPに対応する接着剤の単位面積当たりの塗布量(g/m
2)の方が、弱挟圧部担当部分21AMPよりも大きくなっている。そして、このことも、基準挟圧部担当部分21ALPの大きな基準圧力による広幅帯状塗布領域ALの接合作用をより一層高めながらも、中間幅帯状塗布領域AMについては、脆弱な接合に留めることに有効に寄与している。
【0089】
===第2実施形態===
上述の第1実施形態では、上ロール21uの外周面21uaにおいてCD方向の異なる位置に互いの外径寸法が異なる部分を設けることによって、一対のロール21u,21dに基準挟圧部21ALと弱挟圧部21AMとを設けていたが、この第2実施形態では、上ロール21uの外周面21uaにおいてCD方向の異なる位置に互いの弾性率(N/m
2)が異なる部分を設けることによって、一対のロール21u,21dに基準挟圧部21AL及び弱挟圧部21AMを設けている点で主に相違する。よって、これ以外の点は概ね上述の第1実施形態と同じであり、以下の説明では、同一の構成については同一の符号を付して、その説明ついては省略する。
【0090】
図8Aは、基準挟圧部21AL及び弱挟圧部21AMが設けられた接合機構21の概略側面図であり、
図8Bは、
図8A中のB−B矢視図である。なお、
図8Bでは、図の錯綜を防ぐべく、ニップ位置Pnにのみ連続シート11,12を示し、それ以外のところでは連続シート11,12を不図示としている。また、同
図8B中の下部には、ロール21u,21dの外周面21ua,21daに対応させて上記の接着剤の塗布パターン、すなわちストライプパターンを示している。
【0091】
図8Bに示すように、この第2実施形態では、上下一対のロール21u,21dのどちらに対しても、フラットロールを使用している。すなわち、各ロール21u,21dの外周面21ua,21daにおいて少なくとも連続シート11,12が接触するCD方向の全域については、外径寸法が同径に揃えられている。
また、下ロール21dには、連続シート11,12が接触するCD方向の全域に亘って外周部21daaの弾性率(N/m
2)が略一定値のロールが使用されているが、上ロール21uには、CD方向の位置によって外周部21uaaの弾性率が異なるロールが使用されている。そして、当該上ロール21uにおいて弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率(N/m
2)は、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率(N/m
2)よりも小さく設定されている。
【0092】
そして、このようにされていれば、ニップ位置Pnでの上ロール21uの基準挟圧部担当部分21ALPの外周部21uaaの弾性圧縮変形量(基準挟圧部担当部分21ALPの外周部21uaaが弾性へこみ変形する量)の方が、弱挟圧部担当部分21AMPの外周部21uaaの弾性圧縮変形量(弱挟圧部担当部分21AMPの外周部21uaaが弾性へこみ変形する量)よりも小さくなるため、基準挟圧部担当部分21ALPは基準挟圧部21ALとして機能し、また弱挟圧部担当部分21AMPは弱挟圧部21AMとして機能することができる。
すなわち、基準挟圧部担当部分21ALPの方では、連続シート11,12における広幅帯状塗布領域ALの部分を大きな基準圧力で挟圧しながらも、弱挟圧部担当部分21AMPの方は、連続シート11,12において広幅帯状塗布領域ALよりも端側の部分を、基準圧力よりも小さな弱圧力で挟圧可能となる。
【0093】
よって、当該端側の部分に属する前述の中間幅帯状塗布領域AMでは、一対の連続シート11,12及び糸状弾性部材の連続体13aは脆弱な接合状態とされて、その結果、個別の糸状弾性部材13の端部13e,13eは、自身の収縮力によって速やかに連続シート11,12内に収容されるようになる。
【0094】
かかる基準挟圧部担当部分21ALPに使用可能な材料としては、鋼等の適宜な金属材を例示でき、他方、かかる弱挟圧部担当部分21AMPに使用可能な材料としては、金属材よりも弾性率の低いゴム材やスポンジ状の樹脂部材などを例示できるが、何等これに限らない。
【0095】
なお、この例では、下ロール21dとして、連続シート11,12が接触するCD方向の全域に亘って弾性率(N/m
2)が略一定値のロールを使用していたが、かかる下ロール21dの外周面21daのうちで上ロール21uの基準挟圧部担当部分21ALPに対向する部分が、下ロール21dでの基準挟圧部担当部分21ALPになる。そして、これら一対の基準挟圧部担当部分21ALP,21ALP同士が互いに共同することにより、基準挟圧部21ALとして機能する。同様に、下ロール21dの外周面21daのうちで上ロール21uの弱挟圧部担当部分21AMPに対向する部分が、下ロール21dでの弱挟圧部担当部分21AMPになる。そして、これら一対の弱挟圧部担当部分21AMP,21AMP同士が互いに共同することにより、弱挟圧部21AMとして機能する。
【0096】
また、上述の例では、上ロール21uの方で、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率よりも弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率を小さく設定し、これにより、下ロール21dについては外周部21daaの弾性率がCD方向の略全域に亘って略一定値のロールを用いていた。つまり、下ロール21dの基準挟圧部担当部分21ALPと弱挟圧部担当部分21AMPとの間では、弾性率に差をつけていなかったが、何等これに限らない。
すなわち、挟圧時に上ロール21uの基準挟圧部担当部分21ALP及び下ロール21dの基準挟圧部担当部分21ALPの両者が弾性へこみ変形する量(弾性圧縮変形量)の加算値が、同挟圧時に上ロール21uの弱挟圧部担当部分21AMP及び下ロール21dの弱挟圧部担当部分21AMPの両者が弾性へこみ変形する量(弾性圧縮変形量)の加算値よりも小さくなっていれば、上記以外の構成にしても構わない。
例えば、下ロール21dの方で、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率よりも弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率を小さく設定して、これにより、上ロール21uについては、外周部21uaaの弾性率がCD方向の略全域に亘って略一定値のロールを用いても良いし、更には、上ロール21u及び下ロール21dの両方に対して、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率よりも弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率を小さく設定しても良い。
【0097】
また、上ロール21uの外周面21uaのうちで一対の基準挟圧部担当部分21ALP,21ALP同士の間の部分21ASPたる中央部担当部分21ASPについては、弾性率を、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率と弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率との間の任意値(例えば、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率と弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率との中間値)に設定している。そして、これにより、隣接する基準挟圧部担当部分21ALPでなされるべき大きな基準圧力での挟圧を阻害しないようにしながらも、当該中央部担当部分21ASPにおいても、挟圧時に適度な圧力を確保するようにしている。
但し、かかる中央部担当部分21ASPの弾性率は、何等上記に限らない。例えば、基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率と同値にしても良いし、或いは、同弾性率より大きくしても良い。また、場合によっては、中央部担当部分21ASPの弾性率を、弱挟圧部担当部分21AMPの弾性率と同値にしても良いし、或いは、同弾性率より小さくしても良い。但し、上述したように、基準挟圧部担当部分21ALPが挟圧する連続シート11,12の広幅帯状塗布領域ALの接着剤を、接合部として確実に機能させる観点からは、望ましくは、上記の中央部担当部分21ASPの弾性率よりも基準挟圧部担当部分21ALPの弾性率の方を大きくすると良い。
【0098】
===第3実施形態===
図9は、第3実施形態に係る接合機構21の概略側面図である。上述の第1実施形態との相違点は、接合された一対の連続シート11,12を巻き付かせながら搬送する上ロール21uに対して、上ロール21uの外周面21uaと共同して連続シート11,12を挟圧する挟圧機構25が追設されている点にある。そして、これ以外の点は、概ね第1実施形態と同じである。よって、同一の構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
【0099】
挟圧機構25は、CD方向に沿った回転軸C26回りに駆動回転するロール26(以下、挟圧ロール26と言う)を本体とする。この挟圧ロール26は、その外周面26aを上ロール21uの外周面21uaに対向させて設けられており、そして、当該挟圧ロール26の外周面26aは、上ロール21uの外周面21uaと共同して連続シート11,12を挟圧する。
【0100】
ここで、この連続シート11,12を挟圧する位置は、切断機構51で糸状弾性部材の連続体13aを切断する位置よりも上ロール21uの回転方向Dcuの下流側の位置であって、しかも、連続シート11,12の幅方向の端縁11ee,12eeから突出する個別の糸状弾性部材13の端部13e,13eの収縮が完了する位置よりも上ロール21uの回転方向Dcuの下流側の位置である。そして、このように位置が設定されていれば、当該挟圧機構25による挟圧によって、連続シート11,12の状態を、糸状弾性部材13が当該連続シート11,12に収容された状態に確実に固定することができる。なお、この収縮が完了する位置は、前述の実機実験等によって知ることができる。
【0101】
また、挟圧時には、上ロール21uの外周面21uaと挟圧ロール26の外周面26aとは、上記の基準圧力よりも大きな圧力(N/m
2)でもって連続シート11,12を厚さ方向から挟圧する。よって、上述の収容状態により確実に固定することができる。
【0102】
ところで、糸状弾性部材の連続体13aを切断する位置から挟圧機構25の位置へと連続シート11,12が移動する間に、個別の糸状弾性部材13の端部13e,13eの収縮が完了していなければならない。一方、この移動に要する時間は、上ロール21uの周速値(m/分)に応じて変わり得る。
【0103】
そこで、収縮の完了以降に確実に挟圧を行うようにする観点にたてば、望ましくは、挟圧機構25を、次のように構成すると良い。先ず、挟圧ロール26が上ロール21uの外周面21uaに沿って所定の移動許容範囲R26内を往復移動できるように構成し、そして、上ロール21uの周速値に連動させて、回転方向Dcuにおける挟圧ロール26の位置を変更すると良い。より詳しくは、上ロール21uの周速値が、周速値の想定変動範囲の下限値の場合には、挟圧ロール26を上述の移動許容範囲R26の上流端P26に位置させる一方、そこからの周速値の増加分に応じて、回転方向Dcuの下流側に挟圧ロール26を移動させても良い。そして、このようにすれば、上ロール21uの周速値によらず、上述の収縮の完了以降に、連続シート11,12の状態の固定を行うことができる。
【0104】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0105】
上述の実施形態では、接合機構21として、上下一対のロール21u,21dを有した構成を例示したが、何等これに限らない。すなわち、一対の連続シート11,12を搬送しながら重ね合わせて接合することが可能な構成であれば、これ以外の構成でも良い。
例えば、それぞれ駆動周回する上下一対の無端ベルト(不図示)を有した構成でも良い。なお、その場合には、無端ベルトに基準挟圧部21AL及び弱挟圧部21AMが設けられる。すなわち、基準挟圧部21ALは、無端ベルトの外周面において連続シート11,12の広幅帯状塗布領域ALの部分に対応して設けられ、他方、弱挟圧部21AMは、無端ベルトの外周面において連続シート11,12の広幅帯状塗布領域ALよりもCD方向の端側の部分に対応して設けられる。なお、かかる基準挟圧部21AL及び弱挟圧部21AMを設ける態様としては、第1実施形態に倣って、弱挟圧部21AMと基準挟圧部21ALとの間で無端ベルトの外周面からの突出量に差をつけるか、或いは、第2実施形態に倣って、弱挟圧部21AMと基準挟圧部21ALとの間で無端ベルトの外周部の弾性率(N/m
2)に差をつけること等が挙げられる。
【0106】
上述の実施形態では、糸状弾性部材の連続体13aの搬送機構31は、一対のベルト状搬送部32,32を有し、各ベルト状搬送部32は、上下一対の無端ベルト33u,33dを有していたが、何等これに限らない。すなわち、巻回機構41によって糸状弾性部材の連続体13aが巻回されるとともに、当該巻回された連続体13aを接合機構21に向けて搬送可能な構成であれば、これ以外の構成でも良い。例えば、ベルト状搬送部32に代えてスクリュー状搬送部を用いても良い。すなわち、スクリュー状搬送部は、上下一対の丸棒状軸部材を有し、各丸棒状軸部材の外周面には螺旋溝が略全長に亘って形成されているとともに、丸棒状軸部材の軸芯回りに駆動回転する。そして、かかる上下一対の丸棒状軸部材を有するスクリュー状搬送部が、CD方向の両側の各位置にそれぞれ配置されることで、搬送機構を構成しても良い。ちなみに、この場合には、丸棒状軸部材の外周面の螺旋溝に、糸状弾性部材の連続体13aが係合し、そして、この係合状態を概ね維持しながら、丸棒状軸部材が軸芯回りに駆動回転することによって、当該一対のスクリュー状搬送部に巻回された上記糸状弾性部材の連続体13aが搬送方向に搬送されることになる。
【0107】
上述の実施形態では、
図6に示すように、連続シート11(12)の端部11e(12e)の広幅帯状塗布領域ALよりも幅方向の端側に中間幅帯状塗布領域AMを設けていたが、何等これに限らない。すなわち、この例においては、端縁11ee,12ee同士を封止する必要があったために、中間幅帯状塗布領域AMを設けていたが、当該端縁11ee,12ee同士の封止の必要性が無い場合には、当該中間幅帯状塗布領域AMは無くても良い。そして、このように当該中間幅帯状塗布領域AMを無くしてしまえば、糸状弾性部材13の各端部13e,13eの連続シート11,12内への収容性をより高めることができる。
【0108】
上述の実施形態では、連続方向たるMD方向と交差方向たるCD方向との両者が互いに直交している場合を例示したが、何等これに限らない。すなわち、これら両者が互いに交差関係にあれば、直交関係で無くても良い。