(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面に第1の方向及び該第1の方向に対して直交する第2の方向に延在する複数の分割予定ラインによって区画されて複数のパッケージデバイスが形成されたデバイス部と該デバイス部に連結された余剰連結部とから構成されたパッケージ基板の裏面側を吸引保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに吸引保持されたパッケージ基板を切削して該分割予定ラインに沿って複数のパッケージデバイスに分割する切削ブレード及び該切削ブレードに切削水を供給する切削水供給ノズルとを備えた切削手段とを少なくとも備え、
該保持テーブルは、パッケージ基板の該デバイス部及び該余剰連結部の裏面側を保持する保持面と、該保持面の各パッケージデバイスに対応する位置に形成された複数の吸引孔と、該吸引孔に吸引作用を施す吸引源に連通する吸引路と、該保持面に形成され該切削ブレードとの接触を回避する複数の逃げ溝と、
を有する切削装置を使用して、該パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分割するパッケージ基板の加工方法であって、
該保持テーブルに吸引保持されたパッケージ基板の該デバイス部と該余剰連結部との境界の分割予定ラインを該切削ブレードで切削して該デバイス部と該余剰連結部とを分離する余剰連結部分離工程と、
該余剰連結部分離工程の後に、該切削ブレードで該デバイス部の分割予定ラインに沿って順次切削を行い、該デバイス部を個々のパッケージデバイスに分割するデバイス部分割工程とを備え、
該余剰連結部分割工程は、
該第1の方向の該境界の分割予定ラインを切削するとともに、該切削ブレードの回転による切削水の連れ回りにより、切り離された余剰連結部を該保持テーブル上から除去する第1工程と、
該第1工程を実施した後に、該切削ブレードで該第2の方向の該境界の分割予定ラインを切削するとともに、該切削ブレードの回転による切削水の連れ回りにより、切り離された余剰連結部を除去する第2工程と、を備え、
該第1の方向の該境界の該分割予定ラインに対応する逃げ溝には、該第2の方向の該境界の該分割予定ラインに対応する逃げ溝よりも外側でかつ該第2の方向の分割予定ラインの切削中に切削水が飛散する側に、第1工程実施時に該余剰連結部に発生し該第2の方向に対して平面方向に交差しかつ下方向に延びるバリが挟まらない空間が形成され、
該第2工程では、該バリが該保持テーブルの該空間内を流動し該保持テーブル上から除去されること、
を特徴とするパッケージ基板の加工方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、余剰連結部を切削して分離した際に、下方向に延びる金属バリが保持テーブルの逃げ溝に引っかかって残存してしまい、デバイス部の切削時に、残存する余剰連結部が、切削ブレードを破損させたり磨耗させたりするという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みてなされてものであり、逃げ溝を有する保持テーブルに保持されたパッケージ基板を切削する際に、余剰連結部が残存することによる切削ブレードの破損や磨耗を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、表面に第1の方向及び該第1の方向に対して直交する第2の方向に延在する複数の分割予定ラインによって区画されて複数のパッケージデバイスが形成されたデバイス部と該デバイス部に連結された余剰連結部とから構成されたパッケージ基板の裏面側を吸引保持する保持テーブルと、該保持テーブルに吸引保持されたパッケージ基板を切削して該分割予定ラインに沿って複数のパッケージデバイスに分割する切削ブレード及び該切削ブレードに切削水を供給する切削水供給ノズルとを備えた切削手段とを少なくとも備え、該保持テーブルは、パッケージ基板の
該デバイス部及び該余剰連結部の裏面側を保持する保持面と、該保持面の各パッケージデバイスに対応する位置に形成された複数の吸引孔と、該吸引孔に吸引作用を施す吸引源に連通する吸引路と、該保持面に形成され該切削ブレードとの接触を回避する複数の逃げ溝と、を有する切削装置を使用して、該パッケージ基板を該分割予定ラインに沿って分割するパッケージ基板の加工方法であって、該保持テーブルに吸引保持されたパッケージ基板の該デバイス部と該余剰連結部との境界の分割予定ラインを該切削ブレードで切削して該デバイス部と該余剰連結部とを分離する余剰連結部分離工程と、該余剰連結部分離工程の後に、該切削ブレードで該デバイス部の分割予定ラインに沿って順次切削を行い、該デバイス部を個々のパッケージデバイスに分割するデバイス部分割工程とを備え、該余剰連結部分割工程は、該第1の方向の該境界の分割予定ラインを切削するとともに、該切削ブレードの回転による切削水の連れ回りにより、切り離された余剰連結部を該保持テーブル上から除去する第1工程と、該第1工程を実施した後に、該切削ブレードで該第2の方向の該境界の分割予定ラインを切削するとともに、該切削ブレードの回転による切削水の連れ回りにより、切り離された余剰連結部を除去する第2工程と、を備え、該第1の方向の該境界の該分割予定ラインに対応する逃げ溝には、該第2の方向の該境界の該分割予定ラインに対応する逃げ溝よりも外側でかつ該第2の方向の分割予定ラインの切削中に切削水が飛散する側に、第1工程実施時に該余剰連結部に発生し該第2の方向に対して平面方向に交差しかつ下方向に延びるバリが挟まらない空間が形成され、該第2工程では、該バリが該保持テーブルの該空間内を流動し該保持テーブル上から除去されることを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、上記パッケージ基板の加工方法の実施に使用される切削装置であって、表面に第1の方向及び該第1の方向に対して直交する第2の方向に延在する複数の分割予定ラインによって区画されて複数のパッケージデバイスが形成されたデバイス部と該デバイス部に連結された余剰連結部とから構成されたパッケージ基板の裏面側を吸引保持する保持テーブルと、該保持テーブルに吸引保持されたパッケージ基板を切削して該分割予定ラインに沿って複数のパッケージデバイスに分割する切削ブレード及び該切削ブレードに切削水を供給する切削水供給ノズルとを備えた切削手段とを少なくとも備え、該保持テーブルは、パッケージ基板の
該デバイス部及び該余剰連結部の裏面側を保持する保持面と、該保持面の各パッケージデバイスに対応する位置に形成された複数の吸引孔と、該吸引孔に吸引作用を施す吸引源に連通する吸引路と、該保持面に形成され該切削ブレードとの接触を回避する複数の逃げ溝と、を有する切削装置において、該第1の方向の該境界の該分割予定ラインに対応する逃げ溝には、該第2の方向の該境界の分割予定ラインに対応する逃げ溝よりも外側でかつ該第2の方向の分割予定ラインの切削中に切削水が飛散する側に、第1工程実施時に該余剰連結部に発生し該第2の方向に対して平面方向に交差しかつ下方向に延びるバリが挟まらない空間が形成されていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るパッケージ基板の分割方法では、第1の方向の境界の分割予定ラインを切削して余剰連結部を切り離した際に下向きに生じるバリが、第2の方向に境界の分割予定ラインを切削することによって、第2の方向の境界の分割予定ラインに対応する逃げ溝よりも外側でかつ第2の方向の分割予定ラインの切削中に切削水が飛散する側に形成された空間を流動するため、バリが逃げ溝に挟まることなく余剰連結部を円滑に除去することができる。したがって、その後のデバイス部分割工程で、残存した余剰連結部によって切削ブレードが磨耗したり破損したりするのを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る切削装置において、パッケージ基板の第1の方向の境界の分割予定ラインに対応する逃げ溝には、パッケージ基板の第2の方向の境界の分割予定ラインに対応する逃げ溝よりも外側でかつ第2の方向の分割予定ラインの切削中に切削水が飛散する側に、第1の方向の境界の分割予定ラインの切削時に余剰連結部に発生し第2の方向に対して平面方向に交差しかつ下方向に延びるバリが挟まらない空間が形成されているため、上記パッケージ基板の分割方法の実施に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す切削装置1は、パッケージ基板10を吸引保持する保持テーブル2と、保持テーブル2に保持されたパッケージ基板10を切削する2つの切削手段3a,3bと、保持テーブル2をX軸方向に移動させるX軸送り手段4と、切削手段3a,3bをそれぞれY軸方向に移動させる2つのY軸送り手段5a,5bと、切削手段3a,3bをそれぞれZ軸方向に移動させるZ軸送り手段6a、6bとを備えている。
【0014】
2つの切削手段3a,3bは同様に構成されており、それぞれが、Y軸方向の軸心を有するスピンドル30と、スピンドル30に装着された切削ブレード31と、スピンドル30を回転可能に支持するハウジング32と、切削ブレード31に切削水を供給する切削水供給ノズル33と、ハウジング32に固定された撮像手段34とを備えている。切削手段3aを構成するスピンドル30と切削手段3bを構成するスピンドル30とは、Y軸方向に一直線上に配置されている。したがって、切削手段3aを構成する切削ブレード31と切削手段3bを構成する切削ブレード31とはY軸方向に対面している。
【0015】
X軸送り手段4は、X軸方向にのびるボールネジ40と、ボールネジ40の一端に連結されたモータ41と、ボールネジ40と平行にのびる一対のガイドレール42と、ボールネジ40に螺合する図示しないナットを内部に有するとともに下部がガイドレール42に摺接する移動基台43とを備えており、モータ41がボールネジ40を回転させることにより移動基台43がガイドレール42にガイドされてX軸方向に移動する構成となっている。
【0016】
Y軸送り手段5a、5bは、それぞれが、Y軸方向にのびるボールネジ50と、ボールネジ50の一端に連結されたモータ51と、ボールネジ50と平行にのびる一対のガイドレール52と、ボールネジ50に螺合する図示しないナットを内部に有するとともに側部がガイドレール52に摺接する移動基台53とを備えており、モータ51がボールネジ50を回転させることにより移動基台53がガイドレール52にガイドされてY軸方向に移動する構成となっている。
【0017】
Z軸送り手段は6a,6b、それぞれが、Y軸送り手段5a,5bを構成する移動基台43に配設されており、Z軸方向にのびるボールネジ60と、ボールネジ60の一端に連結されたモータ61と、ボールネジ60と平行にのびる一対のガイドレール62と、ボールネジ60に螺合する図示しないナットを内部に有するとともに側部がガイドレール62に摺接する移動基台63とを備えており、モータ61がボールネジ60を回転させることにより移動基台63がガイドレール62にガイドされてZ軸方向に移動する構成となっている。
【0018】
X軸送り手段4を構成する移動基台43の上部には、保持テーブル2を回転させる回転駆動部44を備えており、保持テーブル2は、回転駆動部44によって駆動されて所定角度回転可能となっている。
【0019】
図2に示すように、保持テーブル2に保持されるパッケージ基板10は、複数のパッケージデバイスDが形成されたデバイス部11とデバイス部11に連結された余剰連結部12とから構成されている。余剰連結部12は、主として銅などの金属により形成され、各デバイス部11を囲繞している。なお、
図2の例におけるパッケージ基板10は、2つのデバイス部11を有しているが、デバイス部11は、1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。デバイス部11の数に応じて、余剰連結部12の形状も異なる。
【0020】
図2に示すように、パッケージ基板10の表面10aにおけるデバイス部11には、複数のパッケージデバイスDを区画する第1の方向(
図2の例では短辺側)に延在する分割予定ラインL1と、第2の方向(
図2の例では長辺側)に延在する分割予定ラインL2とが形成されている。第2の方向の分割予定ラインL2は、第1の方向の分割予定ラインL1に対して平面方向に直交している。また、デバイス部11と余剰連結部12との境界にも、第1の方向の分割予定ラインL31,L32,L33,L34と、第1の方向の分割予定ラインL31,L32,L33,L34に対して平面方向に直交する第2の方向の分割予定ラインL41、L42とが形成されている。以下では、複数のパッケージデバイスDを区画する複数の第1の方向の分割予定ラインL1を第1の方向の分割ラインL1、複数のパッケージデバイスDを区画する複数の第2の方向の分割予定ラインL2を第2の方向の分割ラインL2と呼び、デバイス部11と余剰連結部12との境界の第1の方向の分割予定ラインL31,L32,L33,L34を第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34、デバイス部11と余剰連結部12との境界の第2の方向の分割予定ラインL41,L42を第2の方向の境界ラインL41,L42と呼ぶ。
【0021】
図2に示すように、保持テーブル2は、パッケージ基板10の裏面10b側を保持する保持面20と、保持面20における各パッケージデバイスDに対応する位置に形成された複数の吸引孔21と、保持面20に形成され
図1に示した切削ブレード31との接触を回避する複数の逃げ溝G1,G2,G31、G32,G33,G34,G41,G42とを備えている。逃げ溝G1は、保持面20に保持されたパッケージ基板10の第1の方向の分割ラインL1に対応する位置に形成されている。逃げ溝G2は、保持面20に保持されたパッケージ基板10の第2の方向の分割ラインL2に対応する位置に形成されている。逃げ溝G31、G32,G33,G34は、第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34に対応する位置に形成されている。逃げ溝G41,G42は、第2の方向の境界ラインL41,L42に対応する位置に形成されている。
【0022】
図2に示すように、第1の方向に延びる第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34に対面する位置に形成された逃げ溝G31、G32,G33,G34の両端部における逃げ溝G41,G42の外側であって、第2の方向の境界ラインL41,L42の切削中に切削水が飛散する方向には、空間71,72,73,74がそれぞれ形成されている。この空間71,72,73,74は、第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34の切削により形成されるバリが挟まらない程度の大きさを有する。なお、切削水が飛散する方向は、
図1に示した切削ブレード31の回転方向に依存する。
【0023】
図3に示すように、吸引孔21には吸引路22が連通しており、吸引路22は、吸引孔21に吸引作用を施す吸引源23に連通している。
【0024】
以下では、第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34及び第2の方向の境界ラインL41,L42を切削して余剰連結部12を除去し、その後、第1の方向の分割ラインL1及び第2の方向の分割ラインL2を切削して個々のパッケージデバイスDに分割する方法について説明する。
【0025】
1 保持工程
まず、
図2に示したように、各パッケージデバイスDが吸引孔21に対面するように、パッケージ基板10の裏面10bを保持テーブル2の保持面20に載置し、
図3に示した吸引源24から吸引孔22に吸引力を作用させて、パッケージデバイス10の裏面10bを保持面20において保持する。
【0026】
2 余剰連結部分離工程
余剰連結部分離工程は、以下の第1工程と第2工程とから構成されており、保持テーブル2に保持されたパッケージ基板10の第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34及び第2の方向の境界ラインL41,L42を切削ブレード31によって切削してデバイス部11と余剰連結部12とを分離し、余剰連結部12を除去する。
【0027】
2−1 第1工程
第1工程では、
図4に示すように、第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34をすべて切削する。
まず、保持テーブル2を回転させて、パッケージ基板10の第1の方向の境界ラインL31,L32,L33,L34をX軸方向に向ける。そして、
図1に示したX軸送り手段40が保持テーブル2を+X方向に移動させて2つの撮像手段34の直下にパッケージ基板10を位置づけ、例えば第1の切削手段3aを構成する撮像手段34が第1の方向の境界ラインL31を検出して第1の方向の境界ラインL31と第1の切削手段3aを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行うとともに、第2の切削手段3bを構成する撮像手段34が第1の方向の境界ラインL34を検出して第1の方向の境界ラインL34と第2の切削手段3bを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行う。
【0028】
次に、
図4に示すように、保持テーブル2をさらに+X方向に移動させることにより保持テーブル2と第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bをX軸方向に相対移動させながら、例えば30000RPMの回転速度で回転する2つの切削ブレード31を第1の方向の境界ラインL31,L34にそれぞれ切り込ませることにより、第1の方向の境界ラインL31,L34を切削する。
図4においては、切削開始前における第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bの位置を仮想線で示し、切削後の第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bの位置を実線で示している。なお、実際には、切削手段3a,3bはX軸方向には移動せず、パッケージ基板10がX軸方向に移動する。
【0029】
かかる切削時には、
図1に示した切削水供給ノズル33から切削ブレード31に向けて切削水が供給される。また、このときの切削ブレード31の回転方向は、パッケージ基板10に切り込む加工点において切削ブレード31が上方から下方に回転しながら切り込んでいく方向とし、いわゆるダウンカットにより切削を行う。また、切削ブレード31の切り込み深さは、切削ブレード31の刃先がパッケージ基板10を貫通し逃げ溝32に達する程度とする。このようにして切削が行われると、余剰連結部12のうち第1の方向の境界ラインL31,L34の外側の部分が端材12a,12bとなってデバイス部11から分離される。そして、
図1に示した切削水供給ノズル33から切削ブレード31に向けて噴出された切削水33aの切削ブレード31の回転による連れ回りにより、
図4に示すように、切り離された端材12a,12bが除去される。
【0030】
次に、2つの切削手段3a,3bを近づけていき、切削手段3aを構成する切削ブレード31を第1の方向の境界ラインL32の延長線上に、切削手段3bを構成する切削ブレード31を第1の方向の境界ラインL33の延長線上にそれぞれ位置づけ、保持テーブル2をX方向に移動させながら、例えば30000RPMの回転速度で回転する2つの切削ブレード31を第1の方向の境界ラインL32,33にそれぞれ切り込ませることにより、第1の方向の境界ラインL32,33を切削する。かかる切削時には、
図1に示した切削水供給ノズル33から切削ブレード31に向けて切削水が供給される。このときの切削ブレード31の回転方向及び切り込み深さも、第1の方向の境界ラインL31,34の切削時と同様である。このようにして第1の方向の境界ラインL32,L33を切削することにより、切り離された余剰連結部12のうち2つのデバイス部11の間に位置する部分が端材12cとなり、切削水供給ノズル33から切削ブレード31に向けて噴出された切削水の連れ回りによって端材12cが除去される。
【0031】
第1の方向の境界ラインL31〜L34を切削することにより、
図5に示すように、各第1の方向の境界ラインL31〜L34の下方には、第1の方向に延びるバリ8が形成される。余剰連結部12には特に多くの金属が含まれているため、バリ8が生じやすい。このバリ8が残存したままになっていると、空間71、72、73、74が無い従来の保持テ-ブルにおいては、後述する第2の工程で第2の方向の境界ラインL41、L42を切削する際に、バリ8が逃げ溝に挟まってしまい、
図6に示す余剰連結部12e、12d、12g、12fが残存してしまう。その状態のまま、デバイス部11の第1の分割ラインL1及び第2の分割ラインL2を切削すると、切削ブレード31と余剰連結部12とが接触し、切削ブレード31の磨耗や破損の原因となる。
図5では、保持テーブル2上に端材12a,12b,12cが残存した状態を示しているが、これらの端材は、実際には、切削完了と同時に除去される。
【0032】
なお、第1工程においては、第1の方向の境界ラインL31〜L34を切削する順序は、上記実施形態には限定されない。例えば、第1の方向の境界ラインL31、L33を切削した後に、第1の方向の境界ラインL32、L34を切削してもよい。
【0033】
2−2 第2工程
第2工程では、第1工程を実施した後に、
図6に示すように、第2の方向の境界ラインL41,L42を切削する。まず、保持テーブル2を回転させて、パッケージ基板10の第2の方向の境界ラインL41,L42をX軸方向に向ける。そして、
図1に示したX軸送り手段40が保持テーブル2を+X方向に移動させて2つの撮像手段34の直下にパッケージ基板10を位置づけ、例えば第1の切削手段3aを構成する撮像手段34が第2の方向の境界ラインL41を検出して第2の方向の境界ラインL41と第1の切削手段3aを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行い、第2の切削手段3bを構成する撮像手段34が第2の方向の境界ラインL42を検出して第2の方向の境界ラインL42と第2の切削手段3bを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行う。
【0034】
次に、
図6に示すように、保持テーブル2をさらに+X方向に移動させることにより保持テーブル2と第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bをX軸方向に相対移動させながら、例えば30000RPMの回転速度で回転する2つの切削ブレード31を第2の方向の境界ラインL41,L42にそれぞれ切り込ませることにより、第2の方向の境界ラインL41,L42を切削する。かかる切削時には、
図1に示した切削水供給ノズル33から切削ブレード31に向けて切削水が供給される。このときの切削ブレード31の回転方向は、パッケージ基板10に切り込む加工点においては切削ブレード31が上方から下方に回転しながら切り込んでいく方向とし、いわゆるダウンカットにより切削を行う。また、切削ブレード31の切り込み深さは、切削ブレード31の刃先がパッケージ基板10を貫通し逃げ溝32に達する程度とする。このようにして行う切削時は、第1工程と同様に、
図1に示した切削水供給ノズル33から切削ブレード31に向けて噴出される切削水33aの連れ回りにより、切り離された余剰連結部12のうち第2の方向の境界ラインL41,L42の外側の部分が端材12d,12e、12f,12gとなって除去される。
【0035】
すなわち、
図7に示すように、切削ブレード31により第2の方向の境界ラインL41を切削すると、端材12f、12gから下方に延びるバリ8が空間71,72,73,74内を流動し、端材12f、12gが保持テーブル2から除去される。同様に、切削ブレード31により第2の方向の境界ラインL42を切削すると、端材12d、12eから下方に延びるバリ8が空間71,72,73,74内を流動し、端材12d、12eが除去される。このように、逃げ溝G31、G32,G33,G34における逃げ溝G41、G42よりも外側であって切削水が飛散する方向に空間71,72,73,74が形成されていることで、逃げ溝G31、G32,G33,G34にバリ8が挟まって端材12d、12e、12f、12gが残存した状態のままになることを回避し、端材12d、12e、12f、12gを確実に除去することができる。したがって、後述するデバイス部分割工程において、残存した端材12d、12e、12f、12gによって切削ブレード31が磨耗したり破損したりするのを防止することができる。
なお、
図7においては、切削ブレード31が第2の方向の境界ラインL42を切削する状態についての図示を省略している。
【0036】
3 デバイス部分割工程
余剰連結部分割工程によって余剰連結部12が除去された後、デバイス領域11に形成された第1の方向の分割ラインL1及び第2の方向の分割ラインL2を縦横に切削し、個々のパッケージデバイスDに分割する。
まず、
図8に示すように、保持テーブル2を回転させて、パッケージ基板10の第1の方向の分割ラインL1をX軸方向に向ける。そして、
図1に示したX軸送り手段40が保持テーブル2を+X方向に移動させて2つの撮像手段34の直下にパッケージ基板10を位置づけ、例えば第1の切削手段3aを構成する撮像手段34が一端の第1の方向の分割ラインL1を検出してその第1の方向の分割ラインL1と第1の切削手段3aを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行うとともに、第2の切削手段3bを構成する撮像手段34が他端の第1の方向の分割ラインL1を検出して第1の方向の分割ラインL1と第2の切削手段3bを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行う。
【0037】
次に、保持テーブル2をさらに+X方向に移動させることにより保持テーブル2と第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bをX軸方向に相対移動させながら、例えば30000RPMの回転速度で回転する2つの切削ブレード31を2本の第1の方向の分割ラインL1にそれぞれ切り込ませることにより、2本の第1の方向の分割ラインL1を順次切削する。
図9においては、切削開始前における第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bの位置を仮想線で示し、切削後の第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bの位置を実線で示している。なお、実際には、切削手段3a,3bはX軸方向には移動せず、パッケージ基板10がX軸方向に移動する。
【0038】
さらに、切削手段3a、3bを互いが近づく方向に移動させ、2つの切削ブレード31を別の2本の第1の方向の分割ラインL1と位置合わせし、同様に切削を行う。
【0039】
次に、
図9に示すように、保持テーブル2を90度回転させ、パッケージ基板10の第2の方向の分割ラインL2をX軸方向に向ける。そして、
図1に示したX軸送り手段40が保持テーブル2を+X方向に移動させて2つの撮像手段34の直下にパッケージ基板10を位置づけ、例えば第1の切削手段3aを構成する撮像手段34が一方の第2の方向の分割ラインL2を検出してその第2の方向の分割ラインL2と第1の切削手段3aを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行うとともに、第2の切削手段3bを構成する撮像手段34が他方の第2の方向の分割ラインL2を検出して第2の方向の分割ラインL2と第2の切削手段3bを構成する切削ブレード31とのY軸方向の位置合わせを行う。
【0040】
次に、保持テーブル2をさらに+X方向に移動させることにより保持テーブル2と第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bをX軸方向に相対移動させながら、例えば30000RPMの回転速度で回転する2つの切削ブレード31を2本の第2の方向の分割ラインL2にそれぞれ切り込ませることにより、2本の第2の方向の分割ラインL2を切削する。
図10においては、切削開始前における第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bの位置を仮想線で示し、切削後の第1の切削手段3a及び第2の切削手段3bの位置を実線で示している。なお、実際には、切削手段3a,3bはX軸方向には移動せず、パッケージ基板10がX軸方向に移動する。
【0041】
このようにして第1の方向の分割ラインL1及び第1の方向の分割ラインL2をすべて切削することにより、パッケージ基板10は、個々のパッケージデバイスDに分割される。分割後の個々のパッケージデバイスDは、
図2及び
図3に示した吸引孔21に作用する吸引力によって吸引保持されたままとなっている。
【0042】
このようにして実施するデバイス部分割工程においては、
図6に示した端材12d、12e、12f、12gがすでに除去されているため、切削ブレード31が端材12d、12e、12f、12gに接触して磨耗したり破損したりするのを回避することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、1つの保持テーブル2と2つの切削手段3a,3bを有する切削装置1について説明したが、切削装置は、保持テーブルを複数備えていてもよいし、切削手段は1つだけであっても3つ以上あってもよい。
また、本実施形態のパッケージ基板10は、2つのデバイス部11を有しているが、デバイス部は、1つであってもよいし、3つ以上あってもよい。デバイス部の数に応じて、余剰連結部の形状も異なる。また、デバイス部に形成されるパッケージデバイスの数や大きさも特に限定されない。
さらに、本実施形態のパッケージ基板10は、短辺側を第1の方向、長辺側を第2の方向としたが、長辺側を第1の方向、短辺側を第2の方向としてもよいし、余剰連結部分離工程では、どちらを先に切削してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1:切削装置
2:保持テーブル
20:保持面 21:吸引孔 22:吸引路 23:吸引源
G1,G2,G31、G32,G33,G34,G41,G42:逃げ溝
71,72,73,74:空間
3a,3b:切削手段
30:スピンドル 31:切削ブレード 32:ハウジング 33:切削水供給ノズル
34:撮像手段
4:X軸送り手段
40:ボールネジ 41:モータ 42:ガイドレール 43:移動基台
5a,5b:Y軸送り手段
50:ボールネジ 51:モータ 52:ガイドレール 53:移動基台
6a,6b:Z軸送り手段
60:ボールネジ 61:モータ 62:ガイドレール 63:移動基台
10:パッケージ基板
11:デバイス部 D:パッケージデバイス
L1:第1の方向の分割ライン L2:第2の方向の分割ライン
12:余剰連結部
L31,L32,L33,L34:第1の方向の境界ライン
L41,L42:第2の方向の境界ライン