(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6134726
(24)【登録日】2017年4月28日
(45)【発行日】2017年5月24日
(54)【発明の名称】多層エッジバンド
(51)【国際特許分類】
B32B 7/12 20060101AFI20170515BHJP
B32B 21/08 20060101ALI20170515BHJP
C09J 167/06 20060101ALI20170515BHJP
C09J 171/00 20060101ALI20170515BHJP
C09J 4/00 20060101ALI20170515BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20170515BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20170515BHJP
B27N 3/02 20060101ALI20170515BHJP
B27N 3/04 20060101ALI20170515BHJP
B27D 1/04 20060101ALI20170515BHJP
【FI】
B32B7/12
B32B21/08
C09J167/06
C09J171/00
C09J4/00
C09J11/06
C09J175/04
B27N3/02 D
B27N3/04 D
B27D1/04 K
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-540403(P2014-540403)
(86)(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公表番号】特表2015-504378(P2015-504378A)
(43)【公表日】2015年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2012071676
(87)【国際公開番号】WO2013068298
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年10月15日
(31)【優先権主張番号】102011085996.9
(32)【優先日】2011年11月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・モルゲナイヤー
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ピーラート
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・ロッツ
【審査官】
久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/077865(WO,A1)
【文献】
特開2003−126774(JP,A)
【文献】
特表2006−507398(JP,A)
【文献】
特開2010−284950(JP,A)
【文献】
特開2007−084751(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0082485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
E04F 13/00−13/18
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料とフィルム状基材とから構成される成形要素の複合材料であって、該成形要素の表面は、架橋放射線硬化性溶融接着剤から構成される第1層を含み、該層は、溶融接着剤の第2接着剤層で被覆され、およびフィルム状基材へ接着結合され、放射線硬化性溶融接着剤は、透明充填剤または顔料10〜50重量%を含有し、該第1層の厚みは、1〜5mmである、複合材料。
【請求項2】
架橋放射線硬化性溶融接着剤の第1層は、輪郭が描かれ、および/または成形されることを特徴とする、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
放射線硬化性接着剤は、少なくとも1つの放射線硬化性官能基を有するポリエステルポリマーおよび/またはポリエ−テルポリマー60〜95重量%、少なくとも2つの放射線硬化性基を有するオリゴマーおよび/または1つの放射線硬化性基を有するモノマー5〜40重量%、添加剤0.1〜20重量%を含有するUV架橋性接着剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の複合材料。
【請求項4】
第2接着剤層は、架橋反応性ポリウレタン溶融接着剤から構成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の複合材料。
【請求項5】
木質材料は、木材、パーティクルボード、MDFパネルから選択され、および/またはフィルム状基材は、プラスチックフィルム、紙製基材、ベニヤフィルムまたはプラスチックエッジストリップから選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の複合材料の製造方法であって、放射線硬化性溶融接着剤で成形要素の表面を被覆する工程;該接着剤層を化学線で架橋する工程;第2溶融接着剤を処理表面上へ塗布する工程;第1基材をフィルム状基材へ接着結合する工程を含む、方法。
【請求項7】
第1溶融接着剤を、該接着剤が1000および20,000mPasの間の粘度を有する温度にて塗布することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
UV架橋性接着剤の層厚みは、1および5mmの間に等しく、およびUV放射を用いて架橋することを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
層は、0.3および15秒の間、UV放射で照射することを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
架橋第1層は、架橋直後にインライン式に処理することができることを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
NCO反応性ポリウレタン溶融接着剤を第2溶融接着剤として用いることを特徴とする、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
UV硬化性顔料−または充填剤−含有溶融接着剤の、フィルム結合における木質材料表面の予備処理、強化および/または下塗りのための使用であって、該接着剤は、透明充填剤または顔料10〜50重量%を含有し、該接着剤から形成される接着剤層の厚みは、1〜5mmである、使用。
【請求項13】
少なくとも1つの放射線硬化性官能基を有するポリエステルポリマー60〜95重量%、少なくとも2つの放射線硬化性基を有するオリゴマーおよび/または1つの放射線硬化性基を有するモノマー5〜40重量%、添加剤0.1〜20重量%、透明充填剤または顔料10〜50重量%を含有し、ここで、全構成成分の合計は100重量%となる、UV架橋性溶融接着剤。
【請求項14】
石英、長石または霞石−含有鉱物から選択された透明充填剤が、顔料として用いられる、請求項13に記載のUV架橋性溶融接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形要素が、製造直後に処理することが可能であり、その後、第2基材へ第2接着剤層で接着結合することができる架橋被覆物を有する、成形要素およびフィルム状第2基材の複合材料に関連する。そのような接着剤複合材料を製造するための方法もまた記載される。
【背景技術】
【0002】
DE19728556は、木質材料中の気孔を充填するために熱可塑性化合物の使用を記載する。ここでは、軟化点は140〜240℃であると言われ、上記化合物は、適度にまたは高度に結晶質である。熱可塑性化合物が記載される。
【0003】
DE4311830は、接着剤で結合される木製パネルまたはパーティクルボードパネルの端を覆う方法について記載する。EVA、ポリアミド接着剤またはPVAc接着剤が接着剤として記載される。これらは熱可塑性溶融接着剤あるいは分散接着剤である。さらに、シーラントがその端上で使用されることが記載され、ポリシロキサン、ポリウレタンまたはエポキシ樹脂が記載されている。この種の反応系は、十分な架橋のために、通常24時間を超え得る反応時間を必要とする。
【0004】
DE19630270は、表面が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリメタクリレートあるいはエポキシに基づく被覆材で処理され、これらは平滑化され、および加熱可能な金属製ブロックで硬化された架橋系である、木質材料を仕上げる方法について記載する。
【0005】
WO98/15586は、パーティクルボードパネル、繊維パネルまたは合板パネルの成形のための2成分ポリウレタン系の使用について記載する。反応性2成分系は、150〜350Pasの高粘度を有することが意図されるか、あるいはそれはチキソトロピーにおいて急速な構築を示さなければならない。この種のポリウレタン系は、架橋のためにかなりの反応時間を必要とするか、あるいはそれらは高温で加速された方法で硬化される。
【0006】
WO2009/077865は、溶融接着剤として、放射線硬化性NCO不含組成物について記載する。コーティング剤はまた、二酸化ケイ素のような充填剤を含有することができる。記載される利用分野は、家具、床、パネル、ドアおよび同様の材料のための被覆層である。木材、プラスチック、ガラス、ベニヤあるいは織物の基材についての被覆物もまた記載される。200μm未満の層厚みが特に用いられる。
【0007】
加工産業では、例えばパーティクルボードパネル、MDFパネル、木材などに基づく木質材料が他の基材へ恒久的に接着結合されることが知られている。一方では、恒久的および耐水性接着剤結合がここで得られることとなるが、別の問題は、最大限に滑らかで均質な表面が得られることが必要なことである。ここで、キャリア基材における欠陥が、例えばフィルム上で接着した基材上でしばしば複製されることが知られている。
【0008】
良好な接合と同時に高品質表面を得るために、種々の液体または溶融型接着剤化合物を担体基材へ適用することができることが知られている。しかしながら、熱可塑性物質は、冷却する必要があり、暖かい間、柔らかくなり、その結合特性は変わる場合がある。ポリウレタンまたはエポキシドに基づく既知の反応性1または2成分系は、付加反応を構成する架橋反応を必要とする欠点を有する。この種の付加反応は、触媒で加速される必要があるか、または架橋している化合物は加熱される。加熱は、ここでは、基材を損傷する場合がある。この工程が省略される場合、そのような架橋系の硬化は長く、通常、24時間を超える時間を必要とする。極めて速い反応系が使用される場合、これは実際には、短いポット時間を有する、すなわち短い時間だけ処理することができ、その後、接着剤がもはや適当でなくなり、次いで塗布設備を注意深く清掃しなければならない困難性を生じさせる。
【0009】
不飽和モノマーまたはオリゴマー化合物に基づく放射線架橋系は、十分な照射で素早く架橋することが一般に知られている。そのような材料はしばしば透明表面を生じさせる場合が多く、ラッカーおよび被覆材として使用される。しかしながら、そのような材料の欠点は、薄層においてしか適用できないことであるが、そうしないと照射により十分な架橋が可能ではないからである。しかしながら、充分な架橋性がなければ、別の処理に必要な強度特性を生じさせることが可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許第19728556号明細書
【特許文献2】独国特許第4311830号明細書
【特許文献3】独国特許第19630270号明細書
【特許文献4】国際公開第98/15586号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2009/077865号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、担体材料上で、素早く架橋し、および素早く更に処理し、および成形目的のために処理することができる十分な硬度を発現する表面層を含んでなる複合材料物品、およびその製造方法を提供することである。更に、健康に関して好ましくない物質、例えばモノマーイソシアネートまたは溶剤は回避されることとなる。この層は、フィルム状基材へ接着剤でさらに接着結合されなければならず、可能な限り温度硬化性および湿気硬化性である結合が製造されることとなる。処理工程は、インライン製造を可能とするために可能な限り急速に行うことができることとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、木質材料およびフィルム状基材からなる成形要素の複合材料を供給することにより達成され、ここで、成形要素の表面は、架橋UV硬化性溶融接着剤からできた第1層で被覆され、この層は、溶融接着剤の第2接着剤層で覆われ、これはフィルム状基材へ接着接合される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の別の対象は、種々の処理工程の素早い配列が可能である上記複合材料要素の製造方法である。本発明の別の対象は、接着結合に適した基材表面を生じさせるために、多孔質またはあまり機械安定性でない木質材料のためのプライマーとしての着色放射線架橋性溶融接着剤組成物の使用である。
【0014】
複合材料要素は、次の2つの異なった基材を含む:木材または木質材料からできた成形要素および柔軟フィルム状基材。寸法安定性成形要素は、第1基材として使用することができる。これらは、木材、木質材料、例えばパーティクルボードパネル、合板、MDFあるいはOSBパネルおよび繊維パネルから構成することが可能であり、成形要素は、幾つかの異なった材料からできた要素であってもよい。基材の予備処理は必要ではない。しかしながら、好ましくはダスト型粒子を含まず、およびグリース不含であるべきである。また、予め機械的に処理してもよい。これらの処理形状要素は、多孔質表面を有する場合が多い。柔軟基材は第2基材として使用される。これらは、とりわけ、木、紙あるいはプラスチックからできた柔軟フィルム状基材、例えばベニヤ、フィルム被覆物またはエッジストリップなど、例えばベニヤフィルム、プラスチックストリップまたはプラスチックフィルムであってよい。これらはまた、刷り込み、浮き彫りまたは被覆されてよく、および多層基材を使用することもできる。
【0015】
少なくとも1つの放射線架橋性接着剤の第1層を、成形要素上へ少なくとも部分的に適用する。本発明に従う適当な第1接着剤は、室温(25℃)において固体である。これは、例えば約80℃〜150℃においてより高い温度において溶融することが意図される。接着剤は、さらに好ましくは、化学線によって架橋することができる不飽和基を含有する幾つかの化合物を含有すべきである。架橋密度は、基の量および1分子当たりの数により影響を受ける場合がある。接着剤は、重付加または重縮合によって架橋しないことが本発明によって有用である。これらは速い架橋に適していない。
【0016】
成形要素の調製表面を結合するために適した本発明の接着剤は、イソシアネート基を含まないことが意図される放射線硬化性溶融接着剤である。それは、好ましくは、ポリマー成分、オリゴマー成分および/またはモノマー成分から構成され、これらの成分のいずれも、照射により重合することができる少なくとも1つの官能基を含まなければならない。溶融接着剤は、少なくとも1つの光開始剤をさらに含有し、さらなる追加の添加剤および助剤を含有してもよい。とりわけ、溶融接着剤が顔料および/または充填剤をさらに含有する場合には有用である。
【0017】
本発明による適当な接着剤は、2000g/molを超える分子量(M
N、GPCにより決定することができる数平均分子量)を有する少なくとも1つのポリマー成分を含有する。ポリマーは、とりわけ、5000、好ましくは100,000g/mol未満のM
Nを有することが意図される。ポリマー成分は、ポリウレタンセグメントおよびポリ(メタ)アクリレートセグメント、およびさらに少なくとも1つのUV放射下で架橋することができる官能基を含有する。ポリマー成分は、放射線架橋性ポリウレタンおよびポリ(メタ)アクリレートの混合物から構成することができるが、これらが架橋性ブロックコポリマーとして化学結合形態で存在することも可能である。
【0018】
ポリウレタン基を含んでなるブロックまたはポリマーはポリウレタン化学において既知の通常の原料から製造することができる。これらは、例えばポリオール成分と反応する脂肪族または芳香族ポリイソシアネート、特にジイソシアネートである。
【0019】
このようなポリウレタン骨格のための適当なアルコールは、400〜10,000g/molの分子量を有する。その例は、ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールである。ポリエステルポリオールは、例えばジカルボン酸とジオール、例えば脂肪族、芳香族または不飽和ジ−またはトリ−カルボン酸、ダイマー脂肪酸を反応させることにより製造することが可能であり、ここで、カルボン酸は、2〜36個の炭素原子を有する。アルコールの例は、1000g/mol未満の分子量を有する低分子量アルコール、例えば脂肪族、脂環式、分枝状または芳香族ジオールである。さらに、例えば名称Jeffamineで市販の既知のポリオキシアルキレンジアミンを用いることも可能である。
【0020】
使用することができるポリエーテルポリオールは、多官能性アルコールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよび/またはブテンオキシドとの反応生成物である。ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールまたはヘキサンジオール等は特に適当である。好ましくはエチレンオキシドまたはプロピレンオキサイドのホモポリマー、混合ポリマーまたはブロックコポリマーを用いることができる。三官能性アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタンおよび/またはトリメチロールプロパン等の反応生成物もまた少なくとも一部において適当である。500〜10,000g/mol、好ましくは500〜5000g/molを有するポリエーテルポリオールは、特に適当である。所望の分子量に応じて、1mol当たり僅か数molのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドまたは100mol以上のエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドと低分子量多官能性アルコールとの付加生成物を用いることができる。
【0021】
NCO含有ポリウレタンプレポリマーはイソシアネートの過剰との反応によって対応する出発物質から製造され、その後、プレポリマーを、放射線架橋性基および更にイソシアネート反応性基を含む化合物と反応させる。このような化合物の例は、ヒドロキシ−、アミン−、またはチオ−官能基化(メタ)アクリレート、ビニルエーテルあるいはビニルシランである。
【0022】
第2ポリマーまたはブロックは、ポリ(メタ)アクリレートから構成される。これらは直鎖状または分枝状であってよく、およびガラス転移温度(DIN 53765についてDTAによって決定されたT
g)は、−48℃および105℃、特に15と85℃の間にあるべきである。これらのポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートモノマーの共重合によって生産することができる。その例は、(メタ)アクリル酸とC
1〜C
12アルコールとのエステルである。さらに適当なモノマーは、エチレングリコールエーテルまたはプロピレングリコールエーテルでの(メタ)アクリル酸エステルである。さらに、エポキシ、アミンまたは好ましくはOH−またはCOOH−基をさらに含む(メタ)アクリレート系コモノマーを用いることも可能である。
【0023】
そのようなポリ(メタ)アクリレートを製造する方法は、例えば溶媒中での、エマルションまたは懸濁液としての、あるいは物質中でのラジカル重合により一般に知られている。これらのポリ(メタ)アクリレートに、ポリマー類似反応によって、引き続きの放射線架橋について適当な不飽和官能基を持たせることも可能である。
【0024】
放射線架橋性ポリウレタンポリマーおよびポリ(メタ)アクリレートポリマーは、製造後、互いに混合することができる。しかしながら、放射線架橋性ポリウレタンポリマーおよびポリ(メタ)アクリレートポリマーを、不飽和基での官能基化前に互いに混合することも可能である。さらに、例えばポリアクリレートのOH基を、なお存在するイソシアネート基と反応させることも可能であり、これは、ブロックコポリマーを生じさせる。その後、本発明にしたがって必要な放射線架橋性基で官能基化する。ポリウレタンおよびポリ(メタ)アクリレートセグメントを有するブロックコポリマーは、特に適当である。好ましくは、ポリマーは、2〜6個の放射線反応性基を含有することが意図される。
【0025】
本発明による溶融接着剤は、オリゴマー成分をさらに含有することができる。オリゴマー成分は、M
N500〜5000g/molを有し、少なくとも2つの放射線架橋性官能基、好ましくは2〜6個の官能基を有する。好ましい反応性基は、アクリレートまたはメタクリレート基である。これらは、既知のウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレートなどまたはこれらの混合物であってよい。エポキシアクリレートまたはポリエステルアクリレートは特に好ましい。この種のオリゴマー成分は、市販されている。これらが高水準の官能価を有し、および例えば2以上の不飽和を含有することは好ましい。これは、架橋層のための高い架橋密度をもたらす。
【0026】
本発明による溶融接着剤は、1個の不飽和基しか含まないモノマー成分をさらに含有してよい。これは、100〜1000g/molの分子量を有する。これは、既知のモノ(メタ)アクリレート誘導体、例えば(メタ)アクリル酸と一価アルコールとのエステルであってよい。また、適当なのは、OH基を有する脂肪族、脂環式および/または芳香族アルコール、一側面に沿ってエーテル化されたポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレングリコールである。アルキル残基中にさらなるOH基を有する脂肪族アルコールでのエステルもまた適当である。分子量200〜1000g/mol(M
N)を有する(メタ)アクリル酸でのポリエーテルポリオールに基づく反応生成物は、特に適当である。
【0027】
好ましくは、アクリレートオリゴマーまたはモノマーは、極性基、例えばCOOH基、または特にOH基をさらに含有してもよい。
【0028】
本発明による溶融接着剤は、さらなる添加剤を含んでもよい。これらは、例えばワックス、樹脂、接着促進剤、安定化剤、抗酸化剤、光開始剤、流れ促進剤、染料、顔料、可塑剤または他の既知の助剤である。
【0029】
光反応性物質は、本発明にしたがって、放射線架橋性接着剤に含有させる。0.02〜5重量%の少なくとも1つの光開始剤、光増感剤および/または調節剤分子を添加することができる。UV放射線での照射の好ましい場合では、少なくとも1つの光開始剤は、0.1重量%〜3重量%の量において本発明による被覆剤に含有させる。本発明の被覆剤と適合性である、すなわち、かなり均質な混合物をもたらす全ての市販されている通常の光開始剤は、原則として、本発明に適している。光開裂開始剤またはカチオン開始剤を用いることもできる。これらは、照射下で本発明による被覆物の約架橋をもたらすことが意図される。
【0030】
添加した樹脂は、さらなる粘着性を生じさせ、成分の適合性を向上させる。樹脂は、0〜40重量%、好ましくは20重量%までの量で用いる。ワックスは、任意に接着剤に添加することができる。その量は、0〜20重量%、特に0〜10重量%である。ワックスは、天然、化学的変性または合成由来であってよい。可塑剤は同様に含有させることができる。その量は、20重量%まで、好ましくは0〜10重量%である。適当な可塑剤は、オイル、カルボン酸のエステルまたは炭化水素である。
【0031】
非反応性微粒子無機鉱物は、充填剤および/または顔料として適当であり、これらは粉砕、沈殿および/または表面処理されてよい。その例は、白亜、被覆白亜、石灰粉、カルシウム炭酸マグネシウム、酸化アルミニウムおよびヒドロキシド、ケイ酸、石英、二酸化チタン、硫酸バリウム、ケイ酸ナトリウムあるいはケイ酸アルミニウム、ゼオライト、ベントナイト、ガラス、粉砕鉱物であり、ただし、これらは粉末として存在する。粒系は、1および500μmの間、特に3および200μmの間である。例えばSiO
2またはTiO
2に基づくナノスケール充填剤もまた使用することができる。その選択および量は、必要な放射線誘導反応が害されないような選択および量である。顔料の量は、組成物の10〜50重量%、特に20〜40重量%である。例えば、透明充填剤、例えば石英、長石あるいは霞石含有は、本発明では特に適当であり、開始剤の放射線感受性も充填剤で調整することができる。
【0032】
安定化剤中に含まれ、本発明では添加剤として有用なUV安定剤または抗酸化剤は、ホスファイト、フェノール、高分子量立体障害フェノール、多官能性フェノールおよび硫黄−およびリン−含有フェノールまたはアミンである。
【0033】
さらに非反応性熱可塑性ポリマーを、最大10重量%までの少量で本発明による溶融接着剤へ添加することもできる。これらのさらなるポリマーは、被覆剤、例えば凝集、粘度、接着、弾性等の特性に影響を及ぼすことができる。これらは、当業者に既知のポリマー、例えばポリアクリレートまたは非反応性ポリオレフィンおよびコポリマーなどであってよい。
【0034】
特に適当な接着剤組成物は、少なくとも1つの不飽和基を有するポリエーテルポリマーおよび/またはポリエステルポリマー60〜95重量%、放射線架橋性基を有するオリゴマーおよび/またはモノマー5〜40重量%、添加剤、特に光開始剤0.1〜20重量%、ならびに充填剤/顔料10〜40重量%を含有する。構成成分の合計は100重量%となる。前述の特に適当な原料は、個々にまたは一緒に選択することができる。
【0035】
本発明による溶融接着剤は、既知の方法を用いて、前述の構成成分から製造することができる。構成成分は、好ましくは、接着剤が130℃の温度にて1000〜20,000、特に80〜120℃にて2000〜10,000mPasの粘度を有するように選択する。ここで、また以下、粘度は、0.2mmのギャップおよび20s
−1の剪断速度での板/板配置を特に使用して、Physica Rheolab MC 1粘度計で決定された粘度である。WO2009/077865に記載の放射架橋性ポリマー系を含有する放射線架橋性接着剤は特に適当である。
【0036】
したがって、本発明の対象は、柔軟基材と接着結合するために木材表面を強固にし、またはプレコートするそのような適当な放射線架橋性着色溶融接着剤の使用に関する。
【0037】
本発明による有用な放射線架橋性溶融接着剤は、成形要素のための表面被覆物として用いる。これは、第2基材へ結合される1以上の基材表面上へ適用することができる。溶融接着剤を、溶融により適当な粘度へ調節する必要がある。この粘度は、多孔質表面中への浸透が可能なように選択する。そのような基材および接着剤のための被覆法は当業者に知られている。これは、例えばスリットノズルによる押出により、ローラー塗布によりまたはブレード法により行うことが可能であり、特に、接着剤は、溶融物として、ノズルより表面中へ圧力で表面中へ適用される。粘度があまりに薄く設定される場合、接着剤は、木質材料の空洞または細孔にしみ込み、平滑表面は得られない。粘度があまりに高く設定される場合、表面だけが被覆されることとなり、木質材料への固着は得られない。溶融物を形成させる場合、その前に溶融物が細孔および空洞凝の上およびそれらの中で固化する場合、有利である。接着剤被覆物の層厚みは、5mmまで、好ましくは1〜4mmまである。ここで、放射線架橋性はまた、表面の細孔中に浸透する。
【0038】
適用後、必要に応じて、適用層をさらに平滑化することも可能である。直接、適用後、層は照射によって架橋される。これは、それ自体既知の装置を用いて行うことが可能であり、UV放射線は特に適当である。照射は0.3秒〜15秒、特に10秒の間行なわれることとなる。照射の量はまた、ラジエーターの強度、および架橋すべき層からの距離に依存する。UV放射での架橋が本発明では好ましい。UV放射での本発明による被覆剤の照射は、特に200nmから450nmまでの範囲において行う。UV放射は、既知の装置を使用して生成される。しかしながら、単色のUV放射を生成するUV−LEDラジエーターは特に適当であるが、これにより、強い放射密度および層の底部における良好な架橋を確保することができる。
【0039】
被覆剤層の架橋後、これを機械的処理することが可能であり、前記架橋放射線硬化性溶融接着剤の第1層は、輪郭を描くか、および/または成形する。硬度(ショア硬度D[DIN 53505]として)は50を超えることとなる。既知の方法、例えばミリング、粉砕または研磨などを用いることができる。機械的加工は熱を発するが、これは、架橋層について悪影響を及ぼさず、およびツールも接着結合されず、悪影響を受けない。この方法工程では、接着結合した表面は意図した形状へもたらされる。この方法工程は、接着剤層の架橋直後に生じる場合がある。必要な場合には、ダストおよび粒子を、表面からその後、取り除くことができる。
【0040】
本発明による方法では、第2溶融接着剤は、第1方法工程において予め処理された成形要素の表面上へ適用される。これらの溶融接着剤は、架橋性または非架橋性である。これらの種類の溶融接着剤は既知であり、十分に安定した接着結合が得られれば、多くの異なった型を用いることができる。非架橋溶融接着剤の例は、非反応性固体ポリマー、例えばポリエステル、ポリアクリレート、EVAまたはポリオレフィンを含有するものである。適当な反応性溶融接着剤は、加水分解性基によって物理的に凝固し、次いで架橋するものである。これは、例えばシラン基を有するか、あるいはNCO基を有するポリウレタン接着剤であってよい。そのような溶融接着剤は、例えば接着、溶融安定性、耐候安定性パラメーターあるいは溶融接着剤の他の必要な特性を向上させるそれ自体既知の添加剤をさらに含有することができる。
【0041】
NCO含有ポリウレタン溶融接着剤は、本発明によって複合材料成形要素を製造するのに特に適当であり、これは、第1層へおよび第2基材へ良好な接着を示す。このような溶融接着剤は、当業者に既知であり、これは市販されている。
【0042】
そのような溶融接着剤を塗布するための方法は同様に既知である。ここれらの接着剤は、例えば80および180℃の間の温度へ、必要に応じて水分を排除して加熱するその後、接着剤を溶融し、既知の設備を使用して、例えばブレード、ノズルあるいはローラー塗布によって被覆すべき表面上へ塗布することができる。本発明による方法に従って、接着剤層を選択し、好ましくは50〜500μmの層厚みが得られる。塗布直後に、第2基材(柔軟基材)を接着剤層上へ適用する。基材は、互いにプレスすることができる。2つの基材間での接着は溶融接着剤の冷却により製造する。この接着は、任意の場合において十分であり、被覆部分のさらなる処理を行うことができる。反応性溶融接着剤の場合には、これはまた架橋し続け、2つの基材の特に良好かつ安定な接合をもたらす。
【0043】
処理工程における改良が、本発明による第1放射線硬化性溶融接着剤での木質材料に基づく成形部材の予備被覆により得られる。放射線硬化性結合剤によって硬化する迅速な最終硬化は、表面の良好な機械的安定性が素早く生じることを確保する。次いで、被覆基材は、表面処理のために直ちに送ることができる。ここで生じるプロセス熱は、基材表面への損傷を生じさせず、熱可塑性被覆物の場合のような収縮現象は回避される。第2溶融接着剤の接着が顔料含有第1層によって改善されることがさらに見出された。既知の反応の完成のための長い保持時間は必要ではないので、処理速度は増加する。基材のインライン被覆および接合は可能である。
【0044】
基材の不規則性および細孔は、急速架橋性放射線硬化性被覆剤を用いることにより補うことができる。接着剤層のUV架橋は、より大きな層厚みでさえ可能である。第1層は、圧縮について高い機械的安定性を示す。接着接合後、第2基材は、成形要素、接着剤層および第2基材からできた接着剤複合材料について平滑表面を示し、基材の欠陥もカバーされる。この第1層では、第2接着剤層への良好な接着が生じる。個々の層の間での層間剥離は、貯蔵によってもまたは水分により応力を受けた場合でさえ観察されない。
【実施例】
【0045】
接着剤例1:
ポリウレタンは次のものから製造した:
25gのPPG 2000、5gのOH価=30ポリエステルでの飽和ポリエステルジオール(Dynacoll 7360)、20gのメチルメタクリレート/ブチルアクリレートコポリマーからのポリアクリレート、分子量約60,000g/mol(Degalan LP 65/12)を、1.5Irganox 1010と共に撹拌しながら温めて(130℃にて)溶解する。
【0046】
その後、5gのIPDIを添加し、0.1リン酸および0.5DBTLを添加し、反応を約100〜110℃にて引き起こす。
【0047】
NCO価: 約1.2%
【0048】
粘度:30,000mPas(110℃にて)
【0049】
これに、7gのOH官能基化アクリレートエステル(Bisomer HEA)および6gの2官能性アクリレートオリゴマー(Ebecryl 3700)および12gの4官能性アクリレート(Sartomer SR 444)を添加する。
【0050】
NCO価:0
【0051】
30gの粉砕霞石閃長岩を添加し、均質化および脱気し、揮発性成分を除去する。
【0052】
次いで、Irgacure 819(0.75g)、Additol HDMAP(0.75g)およびStabilisator UV22(0.2g)を混合投入する。
【0053】
得られる生成物は、約15,000mPas(110℃)の粘度を有した。
【0054】
これはイソシアネート基を含有しなかった。
【0055】
分子量(MN)は約8000g/molであった。
【0056】
ショアD 70
【0057】
方法例2:
市販の通常のパーティクルボードパネルを、狭い側上で実施例1に従う溶融接着剤で110℃にて被覆する。エッジに対するノズルの塗布圧力は、約20バールであり、塗布量は、約230g/m
2である。
【0058】
細孔構造中へ約3mm浸透し、連続表面を形成する被覆物を製造する。
【0059】
その直後、接着層は、UVランプ(0.9秒、200W/cm)で照射し、架橋する。
【0060】
硬化層は、その直後、ミリングヘッドを用いて処理する。
【0061】
この表面上に、反応性ポリウレタン接着剤(Purmelt RS 270/7)を塗布し(約75g/m
2)、薄いPVC端をその直後に結合する。
【0062】
接着剤結合の温度抵抗は150℃以上である。
【0063】
基材の細孔はもはや目に見えない。
【0064】
表面の運転平滑性は、UV被覆化合物のない対応する比較より平滑および静かである。
【0065】
仕上げ工程は互いの直後に行なうことができる。