(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いの外周面を対向させつつ回転する第1回転体と第2回転体との間を、吸収性物品に係る不織布が通過する際に、前記不織布に対して前記不織布の厚さ方向に貫通孔を形成する方法であって、
回転する前記第1回転体の外周面に突出形成されたピン部材が、回転する前記第2回転体の外周面の穴部に挿入される際に、前記ピン部材が前記不織布に押し込まれて前記貫通孔を形成する工程と、
前記ピン部材が前記穴部に挿入される際に、前記ピン部材と前記穴部との間に気体を流す工程と、を有し、
前記第1回転体の前記外周面には、前記不織布を貫通せずに前記不織布における一方の面を受け止めて保持する保持面を具備した複数の受け部が、前記外周面から突出形成されており、
前記受け部は、前記第1回転体の前記外周面において、前記ピン部材が設けられている位置とは異なる位置に突出形成されており、
複数の前記受け部のうちで互いに隣り合う少なくとも二つの前記受け部同士の間には、隙間が設けられていることを特徴とする吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法。
互いの外周面を対向させつつ回転する第1回転体と第2回転体との間を、吸収性物品に係る不織布が通過する際に、前記不織布に対して前記不織布の厚さ方向に貫通孔を形成する装置であって、
回転する前記第1回転体の外周面に突出形成されたピン部材が、回転する前記第2回転体の外周面の穴部に挿入される際に、前記ピン部材が前記不織布に押し込まれて前記貫通孔を形成し、
前記ピン部材が前記穴部に挿入される際に、前記ピン部材と前記穴部との間に気体を流す機構を有し、
前記第1回転体の前記外周面には、前記不織布を貫通せずに前記不織布における一方の面を受け止めて保持する保持面を具備した複数の受け部が、前記外周面から突出形成されており、
前記受け部は、前記第1回転体の前記外周面において、前記ピン部材が設けられている位置とは異なる位置に突出形成されており、
複数の前記受け部のうちで互いに隣り合う少なくとも二つの前記受け部同士の間には、隙間が設けられていることを特徴とする吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いの外周面を対向させつつ回転する第1回転体と第2回転体との間を、吸収性物品に係る不織布が通過する際に、前記不織布に対して前記不織布の厚さ方向に貫通孔を形成する方法であって、
回転する前記第1回転体の外周面に突出形成されたピン部材が、回転する前記第2回転体の外周面の穴部に挿入される際に、前記ピン部材が前記不織布に押し込まれて前記貫通孔を形成する工程と、
前記ピン部材が前記穴部に挿入される際に、前記ピン部材と前記穴部との間に気体を流す工程と、を有することを特徴とする吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法である。
【0010】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、ピン部材と穴部との間を気体が流れるが、かかる気体の一部は、不織布の繊維間隙間を通る等して、ピン部材と不織布との間に入り込んでそこを流れ得る。よって、この入り込んだ気体の流れに基づいて、ピン部材の押し込み時に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。すなわち、当該押し込み時に貫通孔の縁部がピン部材の押し込み方向へ引っ張られることを軽減できる。そして、その結果、貫通孔の縁部に生じ得るバリの突出高さを縮小可能となる。
【0011】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記不織布は、熱可塑性樹脂繊維を有し、
前記気体は、加熱装置によって加熱された加熱気体であるのが望ましい。
【0012】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、上記気体は加熱気体である。そのため、当該加熱気体の流れに基づいて不織布の熱可塑性樹脂繊維を軟化させることができて、これにより、不織布に貫通孔を形成し易くなる。すなわち、ピン部材の押し込みにより、熱可塑性樹脂繊維は、孔径が広がる方向に容易に移動又は変形し得る。よって、当該押し込み時に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗をより小さくすることができて、その結果、上記のバリの突出高さをより縮小可能となる。
【0013】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記不織布は、熱可塑性樹脂繊維を有し、
前記ピン部材は、加熱装置によって加熱されているのが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、加熱されたピン部材に基づいて、不織布の熱可塑性樹脂繊維を軟化させることができる。よって、当該ピン部材を不織布に押し込む際に熱可塑性樹脂繊維を周囲に押し退け易くなる。そして、これにより、当該押し込み時に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗をより小さくすることができて、その結果、上記のバリの突出高さをより縮小可能となる。
【0015】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記気体は、前記穴部の方から前記ピン部材の方へ向かって流れるのが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、気体は第2回転体の穴部の方から第1回転体のピン部材の方へ向かって流れるので、当該気体は、ピン部材の押し込み方向の逆方向に流れ、つまり、押し込みに対してカウンター状に流れる。よって、貫通孔の縁部において押し込み方向に突出し得るバリの突出高さを、上記の気体の流れの圧力でも縮小することができる。
【0017】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記気体は、前記ピン部材の方から前記穴部の方へ向かって流れるのが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、気体は第1回転体のピン部材の方から第2回転体の穴部の方へ向かって流れる。つまり、当該気体は、ピン部材の押し込み方向と同じ順方向に流れるが、ここで、前述のように、当該気体の一部は、不織布の繊維間隙間を通る等して、ピン部材と不織布との間に入り込んで、そこを流れ得る。よって、この入り込んだ気体の流れに基づいて、ピン部材の押し込み時に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗を小さくすることができて、その結果、貫通孔の縁部に生じ得るバリの突出高さを縮小可能となる。
【0019】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記気体は、加熱装置によって加熱された加熱気体であり、
前記加熱気体によって前記第2回転体は加熱され、
前記第2回転体の回転方向において前記第1回転体と最接近する最接近位置よりも上流側では、前記不織布は前記第2回転体の前記外周面に所定の巻き付き角度で巻き付いており、
前記外周面に巻き付くことで、前記不織布は前記第2回転体から加熱されるのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、第2回転体の外周面に不織布が巻き付くことで当該不織布は加熱されて軟化する。そして、この軟化した状態の不織布は回転方向における上記最接近位置に到達し、当該最接近位置ではピン部材が押し込まれて貫通孔が形成されるが、ここで、この押し込み時には、軟化している分だけ熱可塑性樹脂繊維が移動又は変形し易い。そのため、当該押し込み時に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗をより小さくすることができて、その結果、バリの突出高さをより縮小可能となる。
【0021】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記第2回転体の前記穴部が、前記第2回転体の回転方向において前記巻き付き角度の範囲を通過する際に、前記穴部が、前記加熱空気を噴射するのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、不織布において上記の巻き付き角度で第2回転体に巻き付いている部分に向けて上記穴部から加熱空気を噴射する。よって、当該加熱空気に基づいて不織布における上記部分をより軟化させることができて、その結果、ピン部材を穴部へ押し込む際に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗をより小さくすることができる。
【0023】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記第1回転体の前記外周面には、前記不織布を貫通せずに前記不織布における一方の面を受け止めて保持する保持面を具備した複数の受け部が、前記外周面から突出形成されており、
前記複数の受け部のうちで互いに隣り合う少なくとも二つの受け部同士の間には、隙間が設けられているのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、不織布はピン部材以外に上記の受け部でも受け止められて保持される。よって、不織布を、全体として、第1回転体の回転半径方向の適正な位置に安定して保持可能となる。
また、第1回転体の外周面の上記二つの受け部同士の間には隙間が設けられているが、ここで、当該隙間は、第1回転体の外周面においては上記気体の通り道として機能し得る。よって、第2回転体の穴部の方から第1回転体のピン部材の方へ向かって気体を流す場合に、ピン部材に到達した当該気体が、第1回転体の外周面における上記隙間を通ることで、当該気体を、第1回転体の外周面から外の周囲空間へと速やかに排出することができる。また、これとは逆に、当該第1回転体のピン部材の方から第2回転体の穴部の方へ向かって気体を流す場合には、当該気体が、第1回転体の外周面における上記隙間を通ることで、第1回転体の外周面の周囲空間の気体をピン部材の方へ速やかに供給することができる。すなわち、どちらの方向から気体を流す場合でも、第1回転体の外周面において気体の流れが滞ってしまうことを回避することができる。そして、その結果、穴部とピン部材との間を気体が流れ難くなることを有効に防ぐことができる。
【0025】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記受け部は、前記ピン部材と一体不可分に形成されているのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、受け部とピン部材とは一体不可分に形成されているので、ピン部材の近傍で受け部は不織布を受け止めることができる。よって、ピン部材の不織布の押し込み量を略一定にすることができて、これにより、貫通孔の孔径の変動を抑制可能となる。
【0027】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記受け部は、前記ピン部材とは別体であるのが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、受け部とピン部材とは別体である。よって、受け部がピン部材と一体不可分に形成される場合よりも、単純な形状で受け部及びピン部材を形成することができて、その結果、受け部及びピン部材を高い寸法精度で形成可能となる。
【0029】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記気体は、加熱装置によって加熱された加熱気体であり、
前記ピン部材と前記穴部との間の位置を流れる際の前記加熱気体の温度は、前記不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維の軟化点以上であるとともに、前記熱可塑性樹脂繊維の融点未満であるのが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、加熱気体の温度は、不織布の熱可塑性樹脂繊維の軟化点以上融点未満とされている。よって、後者の融点未満とすることに基づいて加熱気体による不織布の熱損傷を抑制しながらも、前者の軟化点以上とすることに基づいて、不織布に貫通孔を形成する際の摩擦抵抗を確実に縮小可能となる。
【0031】
かかる吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法であって、
前記第1回転体の前記外周面には、複数の前記ピン部材が設けられており、
前記第2回転体の前記外周面には、複数の前記穴部が設けられており、
前記穴部に前記ピン部材が挿入される際に、前記穴部一つにつき前記ピン部材が一つだけ挿入されるように前記穴部は設けられているのが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成方法によれば、穴部にピン部材が挿入される際に、穴部一つにつきピン部材が一つだけ挿入されるように穴部は設けられている。よって、一つの穴部に複数のピン部材が挿入されるようにした場合よりも、ピン部材と不織布との間に気体を確実に流すことができる。そして、これにより、当該気体を、ピン部材の押し込み時に生じ得るピン部材と不織布との間の摩擦抵抗の縮小により効果的に寄与させることができる。
【0033】
また、
互いの外周面を対向させつつ回転する第1回転体と第2回転体との間を、吸収性物品に係る不織布が通過する際に、前記不織布に対して前記不織布の厚さ方向に貫通孔を形成する装置であって、
回転する前記第1回転体の外周面に突出形成されたピン部材が、回転する前記第2回転体の外周面の穴部に挿入される際に、前記ピン部材が前記不織布に押し込まれて前記貫通孔を形成し、
前記ピン部材が前記穴部に挿入される際に、前記ピン部材と前記穴部との間に気体を流す機構を有することを特徴とする吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成装置である。
【0034】
このような吸収性物品に係る不織布への貫通孔の形成装置によれば、前述した形成方法の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0035】
===第1実施形態===
第1実施形態の吸収性物品に係る不織布1mへの貫通孔hの形成方法及び形成装置50は、例えば、吸収性物品の一例としての使い捨ておむつ1の製造ラインで使用される。
図1は、使い捨ておむつ1の一例としての3ピースタイプのおむつ1をパンツ型状態において腹側から見た概略斜視図である。また、
図2は、展開状態のおむつ1を肌側から見た概略平面図であり、
図3は、
図2中のIII−III断面図である。
【0036】
このおむつ1は、
図1のパンツ型状態において、互いに直交する三方向として上下方向と横方向と前後方向とを有している。そして、以下では、このパンツ型状態において上下方向の上側及び下側のことを、それぞれ「胴回り開口側」及び「股下側」とも言い、また、前後方向の前側及び後側のことを、それぞれ「腹側」及び「背側」とも言う。
一方、
図2及び
図3の展開状態においては、おむつ1は、互いに直交する三方向として縦方向と横方向と厚さ方向とを有している。そして、以下では、この展開状態において縦方向の一方側及び他方側のことをそれぞれ「腹側」及び「背側」とも言い、また、厚さ方向の一方側及び他方側のことをそれぞれ「肌側」及び「非肌側」とも言う。
ちなみに、横方向については、パンツ型状態と展開状態とで互いに同じ意味である。また、展開状態の縦方向は、パンツ型状態の上下方向に沿っているとともに、展開状態の厚さ方向は、パンツ型状態の前後方向に沿っている。
更に、
図2及び
図3の展開状態では、おむつ1に伸縮性を付与するための後述の弾性部材16,35,45による収縮力が全く無いものと仮想して広がった状態のおむつ1を示している。
【0037】
このおむつ1は所謂3ピースタイプであることから、
図2の展開状態において、第1部品として、排泄物を吸収する吸収性本体10を有し、第2部品として腹側帯部材31を有し、第3部品として背側帯部材41を有している。詳しくは、腹側帯部材31と背側帯部材41とが縦方向に間隔をあけて平行に並んだ状態において、これら両者31,41同士の間に吸収性本体10が掛け渡されつつ、同吸収性本体10の縦方向の各端部10ea,10ebがそれぞれ最寄りの帯部材31,41に接合固定されていて、その外観形状は平面視略H形状をなしている。
そして、この略H形状の展開状態から、吸収性本体10の縦方向の所定位置CL10(縦方向におけるおむつ1の中央位置CL1に相当する位置)を折り位置として同吸収性本体10が二つ折りされるとともに、この二つ折りの状態において互いに対向する帯部材31,41同士が横方向の各端部31e,41eにて溶着等で接合されると、これら帯部材31,41同士が環状に繋がって、これにより、
図1に示すような胴回り開口BH及び一対の脚回り開口LH,LHが形成されたパンツ型状態のおむつ1となる。
【0038】
なお、
図2及び
図3の展開状態においては、吸収性本体10は、平面視略長方形状をなしている。そして、吸収性本体10の長手方向は、縦方向に沿うように配されている。また、吸収性本体10は、吸収体11と、同吸収体11を肌側から覆って設けられたトップシート13と、同吸収体11を非肌側から覆って設けられたバックシート15と、を備えている。
【0039】
吸収体11は、液体吸収性の吸収性コア11cと、同コア11cの外周面を被覆する不図示のティッシュペーパー等のコアラップシートと、を有する。吸収性コア11cは、所定の液体吸収性素材を所定形状の一例としての平面視略砂時計形状に成形した成形体である。液体吸収性素材としては、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、高吸収性ポリマー(所謂SAP)等の液体吸収性粒状物を例示できる。
【0040】
トップシート13は、吸収体11から縦方向及び横方向に突出するような平面サイズの不織布等の液透過性のシートである。また、バックシート15も、吸収体11から縦方向及び横方向に突出するような平面サイズのシートであり、その一例としては、
図3のような二層構造のラミネートシート15が挙げられる。すなわち、当該ラミネートシート15は、肌側に、ポリエチレンフィルム(PE)やポリプロピレンフィルム(PP)等の液不透過性の防漏シート15aを有し、非肌側には、不織布製の外装シート15bを有している。
そして、これらトップシート13とバックシート15との間に吸収体11を挟んだ状態において、吸収体11から縦方向及び横方向に突出した部分でこれら両シート13,15同士が例えば額縁状に接着や溶着等で接合されることにより、吸収性本体10が形成されている。なお、バックシート15は、外装シート15bを有さずに、防漏シート15aだけを有していても良い。
【0041】
また、この
図2の例にように、吸収性本体10における吸収体11よりも横方向の外側の各部分10LGには、それぞれ縦方向に伸縮するレッグギャザーLGを設けても良い。かかるレッグギャザーLGは、脚回り開口LHの一部を構成する。また、レッグギャザーLGの伸縮性の付与は、上記の各部分10LGに、それぞれ縦方向に沿って糸ゴム等の弾性部材16を縦方向に伸長した状態で固定することでなされる。なお、このレッグギャザーLGに加えて、更に、横漏れを防止する目的で、吸収性本体10における横方向の両側に防漏壁部として所謂立体ギャザー(不図示)を設けても良い。
【0042】
一方、
図2に示すように、腹側帯部材31は、不織布32,33を素材とした平面視略矩形形状のシート部材である。この例では、
図3に示すように、ホットメルト接着剤等で不織布32,33を二枚重ねに接合することで腹側帯部材31は形成されている。そして、
図2及び
図3に示すように、腹側帯部材31の横方向の中央部が、吸収性本体10における縦方向の腹側の端部10eaに非肌側から重ねられて接合されている。
【0043】
また、背側帯部材41も、腹側帯部材31と同様に、不織布42,43を素材とした平面視略矩形形状のシート部材であり、この例では、
図3に示すように、ホットメルト接着剤等で不織布42,43を二枚重ねに接合することで背側帯部材41は形成されている。そして、
図2及び
図3に示すように、背側帯部材41の横方向の中央部が、吸収性本体10における縦方向の背側の端部10ebに非肌側から重ねられて接合されている。
【0044】
なお、以下で説明する内容は、腹側帯部材31及び背側帯部材41の両者について共通の内容である。そのため、ここでは、両者を代表して腹側帯部材31についてのみ説明し、背側帯部材41については、対応する部材の符号を括弧書きで示すのみとする。
【0045】
図2及び
図3に示すように、腹側帯部材31(41)に係る2枚の不織布32,33(42,43)同士の間には、横方向に沿った糸ゴム等の複数本の弾性部材35,35…(45,45…)が縦方向に並んで介挿されつつ、横方向に伸長下で同不織布32,33(42,43)にホットメルト接着剤等で接合固定されている。そして、これにより、腹側帯部材31(41)には横方向の伸縮性が付与されている。また、この例では、
図2に示すように、腹側帯部材31(41)において吸収体11と重なる部分の一部(例えば、横方向の中央部)については、吸収体11の皺の発生を防ぐ等の目的で、弾性部材35(45)が非連続とされていて、これにより、この部分については伸縮性が付与されていないが、何等これに限らない。
【0046】
更に、この例では、
図3に示すように、2枚の不織布32,33(42,43)のうちで厚さ方向の非肌側に位置する不織布33(43)の平面サイズは、肌側に位置する不織布32(42)から縦方向の外側に突出するようなサイズとされている。そして、前者の不織布33(43)において突出する部分が、縦方向の内側に折り返されていて、この折り返し部33B(43B)が後者の不織布32(42)の縦方向の端部32Le(42Le)を肌側から覆っているが、何等これに限らない。
【0047】
また、
図2に示すように、腹側帯部材31(41)における横方向の両側には、吸収性本体10が重ね合わせられていない部分31s(41s)(以下、吸収性本体非存在部分31s(41s)とも言う)が存在するが、当該吸収性本体非存在部分31s(41s)には、その通気性を良くする目的で、当該非存在部分31s(41s)を貫通する複数の通気孔h(h)が所定の配置パターンで離散的に形成されていて、これにより、これら通気孔h(h)は、通気孔hの一群たる通気孔群Gh31(Gh41)をなしている。すなわち、この例では、吸収性本体非存在部分31s(41s)において縦方向に並ぶ弾性部材35,35(45,45)同士の間の各部分に、それぞれ、複数の通気孔h,h…(h,h…)が横方向に所定の形成ピッチで並んで形成されていて、これにより、これら通気孔h,h…(h,h…)は、横方向に沿った通気孔列Rh31(Rh41)をなしている。また、縦方向に隣り合う通気孔列Rh31,Rh31(Rh41,Rh41)同士は、互いに上記形成ピッチの半値だけ横方向にずれている。そして、これにより、これら通気孔h,h…(h,h…)は、概ね千鳥配置で配された通気孔群Gh31(Gh41)をなしている。但し、何等これに限らない。例えば、通気孔h,h…(h,h…)が、格子配置で形成されていても良い。
【0048】
更に、この例では、各通気孔h,h…は、例えば直径が0.2mm〜3mmの正円を目標の開口形状として形成されているが、形成精度の問題で正円になっていない通気孔h,h…も存在する。そして、そのような非正円形状の通気孔hの直径は、通気孔hの周方向の位置に応じて変動しているが、かかる変動する直径についても、例えば0.2mm〜3mmの範囲に入っている。よって、各通気孔hは、所期の通気性を速やかに奏することができる。但し、通気孔hの目標の開口形状は、何等上述の正円に限らない。例えば、正三角形や正方形などの多角形でも良い。
【0049】
また、この例では、腹側帯部材31に係る2枚の不織布32,33及び背側帯部材41に係る2枚の不織布42,43の何れも、スパンボンド不織布が使用されている。但し、何等これに限らず、SMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布等の別の種類の不織布を用いても良い。また、この例では、不織布の構成繊維として熱可塑性樹脂の代表例のポリプロピレン(PP)の単独繊維を用いているが、何等これに限らない。例えば、ポリエチレン(PE)などの他の熱可塑性樹脂の単独繊維を用いても良いし、更には、PE及びPPの鞘芯構造などの複合繊維を用いても良い。
【0050】
このようなおむつ1は、製造ラインで製造される。同ラインでは、おむつ1の中間製品1mが、所定の搬送方向に沿って搬送されている。そして、かかる搬送中に、同中間製品1mには種々の処理が施され、各処理が施される度に、順次中間製品1mの形態が変化していって、最終的に
図1のようなおむつ1が完成する。第1実施形態の貫通孔hの形成装置50は、その一工程を担っている。
【0051】
図4A及び
図4Bは、当該第1実施形態の貫通孔hの形成装置50が行う処理を示す中間製品1mの概略平面図である。なお、
図4Aは、処理前の中間製品1mを示しており、
図4Bは、処理後の中間製品1mを示している。また、
図5は、一部の構成(上流側ロール51及び下流側ロール58)を縦断面視で示す同形成装置50の概略側面図である。更に、
図6は、
図5中のVI−VI矢視の一部拡大図である。
なお、以下では、製造ラインの幅方向のことを「CD方向」とも言う。また、この例では、CD方向は水平方向に沿っている。そして、この製造ラインでは、このCD方向と直交する平面内の任意の方向を搬送方向として中間製品1mは搬送されている。すなわち、搬送方向は、鉛直な上下方向と水平な前後方向との両者で規定される方向を向いている。なお、ここで言う「上下方向」及び「前後方向」は、それぞれ、前述のおむつ1の説明で用いた「上下方向」及び「前後方向」とは直接的には関係しない別の方向である。
【0052】
図4Aの処理前の状態及び
図4Bの処理後の状態を対比してわかるように、この貫通孔hの形成装置50は、腹側帯部材31及び背側帯部材41の両者の基材となる中間製品1mに対して前述の通気孔h,h…(貫通孔に相当)を形成する。ここで、この製造ラインでは、中間製品1mは、所謂横流れの搬送形態で搬送されている。すなわち、おむつ1の横方向が搬送方向を向き縦方向がCD方向を向いた姿勢で中間製品1mは搬送されている。そのため、
図4Aに示すように、上工程から形成装置50に送られる時点の中間製品1mの形態は、概ね、複数の腹側帯部材31,31…が横方向に連続してなる腹側帯部材の連続体31aと、複数の背側帯部材41,41…が横方向に連続してなる背側帯部材の連続体41aとがCD方向に一体に繋がってなる一つのシート状部材1mとなっている。
【0053】
より正確には、このシート状部材1mは、腹側帯部材31の不織布32の縦方向の寸法と背側帯部材41の不織布42の縦方向の寸法との加算値に相当するCD方向の大きさの不織布の連続シート1mw1と、腹側帯部材31の不織布33の縦方向の寸法と背側帯部材41の不織布43の縦方向の寸法との加算値に相当するCD方向の大きさの不織布の連続シート1mw2と、を有している。そして、これらの連続シート1mw1,1mw2は、厚さ方向に重ね合わせられた二枚重ねの状態でホットメルト接着剤等で接合されている。また、これら連続シート1mw1,1mw2同士の間には、前述の複数の弾性部材35,45となるべき複数の弾性部材の連続体35a,45aが、搬送方向に伸長状態で搬送方向に沿って連続しつつ、CD方向に並んだ状態で介挿されて各連続シート1mw1,1mw2に固定されている。更に、2枚の連続シート1mw1,1mw2のうちの一方の連続シート1mw2は、もう一方の連続シート1mw1よりもCD方向のサイズが大きくなっていて、これにより、前者たる一方の連続シート1mw2は、後者たるもう一方の連続シート1mw1からCD方向の両側に突出する部分1mw2p1,1mw2p2を有している。そして、かかる各突出する部分1mw2p1,1mw2p2が、それぞれCD方向の内側に折り返されていて、これにより、前述の折り返し部33B,43Bに相当する部分が形成されている。
【0054】
そして、この形成装置50では、このようなシート状部材1mたる
図4Aの中間製品1mに対して、
図4Bに示すようにCD方向の一方側の領域に腹側帯部材31の一対の通気孔群Gh31,Gh31をそれぞれ搬送方向に製品ピッチP1で繰り返し形成し、また、他方側の領域には背側帯部材41の一対の通気孔群Gh41,Gh41をそれぞれ搬送方向に製品ピッチP1で繰り返し形成する。なお、ここで言う製品ピッチP1は、
図2の展開状態における腹側帯部材31及び背側帯部材41の横方向の全長L31,L41と概ね同値である。
【0055】
図5に示すように、形成装置50は、CD方向に沿った回転軸回りに駆動回転する3本のロール51,55,58を有する。すなわち、搬送方向の上流側から下流側へと、上流側ロール51(第2回転体に相当)、中間ロール55(第1回転体に相当)、及び下流側ロール58の順番で各ロール51,55,58が並んで配置されている。また、中間ロール55は、上流側ロール51及び下流側ロール58の両者と、互いの外周面が対向するように各ロール51,58に近接配置されている。そして、形成装置50へ送られた中間製品1mは、これら3本のロール51,55,58の回転動作に基づいて、略Ω形状の搬送ルートで搬送される。すなわち、先ず、中間製品1mは、当該上流側ロール51に巻き付いた状態となる円弧状の第1搬送ルートR51で搬送され、次に、中間ロール55に巻き付いた状態となる円弧状の第2搬送ルートR55で搬送され、最後に、下流側ロール58に巻き付いた状態となる円弧状の第3搬送ルートR58で搬送される。そして、しかる後に、中間製品1mは、下流側ロール58から離れて下工程へと送出される。
なお、上流側ロール51と中間ロール55とは、上流側ロール51の回転方向Dc51における所定位置P51で最接近しているが、この最接近する位置P51(最接近位置に相当し、以下そのように言う)が、第1搬送ルートR51から第2搬送ルートR55へと切り替わる位置である。同様に、中間ロール55と下流側ロール58とは、中間ロール55の回転方向Dc55における所定位置P55で最接近しているが、この最接近する位置P55が、第2搬送ルートR55から第3搬送ルートR58へと切り替わる位置である。
【0056】
中間ロール55は、外周面に突出形成された複数のピン部材55p,55p…を有する。各ピン部材55p,55p…は、先端側が先細り形状の部材である。すなわち、
図6の拡大図に示すように、この例では、ピン部材55pは、先端側に円錐部55paを有し、根元側に円錐部55paの底面と同径の円柱部55pbを一体に有している。また、上流側ロール51の外周面は、ピン部材55p,55p…を挿入可能な穴部51h,51h…を有している。すなわち、穴部51hは、ピン部材55pが挿入される範囲において、ピン部材55pの円錐部55paの直径よりも大きな直径を有している。そして、上記の最接近位置P51において、一つの穴部51hにピン部材55pが一つだけ挿入されるように、各穴部51hは各ピン部材55pに対応して形成されている。
【0057】
よって、
図5の上流側ロール51上に位置する中間製品1mにおいて通気孔hを形成すべき形成対象部分が上記最接近位置P51を通過する際には、
図6に示すように、上流側ロール51の各穴部51hに、対応するピン部材55pが挿入されることにより、ピン部材55pは、中間製品1mにおける上記形成対象部分に円滑に押し込まれて、これにより、当該形成対象部分に通気孔hが速やかに貫通形成される。
【0058】
なお、
図6の円錐部55paの頂角は、例えば20°〜45°の範囲から選択され、この例では36°である。また円錐部55paの高さは、例えば3mm〜8mmの範囲から選択され、この例では、4.6mmである。但し、何等これに限らない。更に、この例では、穴部51hの縁部が面取りされているが、何等これに限らず、つまり、面取りされていなくても良い。
【0059】
また、この例では、
図5の中間ロール55は、一回転につき
図4のようにおむつ二つ分の通気孔群Gh31,Gh31,Gh31,Gh31,Gh41,Gh41,Gh41,Gh41を形成するように、周長が前述の製品ピッチP1の略2倍に相当する長さの大径ロールとされている。一方、
図5の上流側ロール51は、一回転につき
図4のおむつ一つ分の通気孔群Gh31,Gh31,Gh41,Gh41を形成可能なように、周長が略製品ピッチP1に相当する長さの小径ロールとされている。但し、何等これに限らない。
【0060】
図7は、中間ロール55の外周面におけるピン部材55pの配置パターンの説明図であり、
図8は、上流側ロール51の外周面における穴部51hの配置パターンの説明図である。なお、何れの図も、各ロール55,51の外周面を平面に展開して示している。また、
図7では、図の錯綜を防ぐ目的で後述の受け部55rを不図示としている。
【0061】
図7に示すように、ピン部材55pは、前述の中間製品1mに形成される通気孔群Gh31,Gh41に対応させて設けられている。すなわち、
図4Bに示すように、中間製品1mにおけるCD方向の一方側の領域には、おむつ一つにつき腹側帯部材31用に一対の通気孔群Gh31,Gh31が形成されるべきであることから、
図7に示すように、中間ロール55の外周面におけるCD方向の一方側の領域には、通気孔群Gh31と同じ千鳥配置で複数のピン部材55pを有したピン部材群G55p1,G55p1が、回転方向Dc55に一対並んで設けられている。同様に、中間製品1mにおいてCD方向の他方側の領域には、おむつ一つにつき背側帯部材41用の一対の通気孔群Gh41,Gh41が形成されるべきであることから、中間ロール55の外周面におけるCD方向の他方側の領域には、通気孔群Gh41と同じ千鳥配置で複数のピン部材55pを有したピン部材群G55p2,G55p2が回転方向Dc55に一対並んで設けられている。
【0062】
また、この例では、前述のように、中間ロール55は一回転でおむつ二つ分の通気孔hを形成することから、回転方向Dc55に並ぶ上記一対のピン部材群G55p1,G55p1(G55p2,G55p2)を1セットのピン部材群セットSG55p1(SG55p2)とした場合に、中間ロール55の外周面には、回転方向Dc55に180°の等ピッチで2セットのピン部材群セットSG55p1,SG55p1(SG55p2,SG55p2)が並んで設けられている。
【0063】
更に、
図9Aに、
図7中のIXa部の拡大図を示し、
図9Bには、
図9A中のB−B矢視図を示すが、ここで、前者の
図9Aに示すように、この中間ロール55の外周面において隣り合うピン部材55p,55p同士の間の位置には、ピン部材55pとは別体の受け部55rが突出形成されている。そして、
図9Bに示すように、この受け部55rは、先端に、中間ロール55の回転半径方向Dr55の外方を向いた頂面55rt(保持面に相当)を有した略円柱体である。よって、中間製品1mは、ピン部材55p以外に当該受け部55rでも受け止められて保持される。そのため、中間製品1mを、全体として、中間ロール55の回転半径方向Dr55の適正な位置に安定して保持可能となる。また、このとき、同受け部55rは上記頂面55rtで中間製品1mの一方の面を貫通せずに受け止めるが、このことも、中間製品1mを上記の適正な位置に安定して保持することに有効に寄与する。
【0064】
また、この例では、
図9Aに示すように、かかる受け部55rは、ピン部材55pの周囲の四カ所にそれぞれ設けられていて、これにより、中間製品1mを確実に受け止め可能としているが、何等上記の四カ所に限らない。例えば、配置スペースを確保できない場合には、これより少なくても良いし、逆に配置スペースを確保できる場合には、これより多くても良い。
【0065】
更に、この
図9Bの例では、受け部55rの頂面55rtの位置は、ピン部材55pの頂点の位置よりも中間ロール55の回転半径方向Dr55の内方に位置している。そして、これにより、ピン部材55pによる通気孔hの貫通形成処理を、受け部55rが邪魔することを防止している。なお、ここで望ましくは、受け部55rの頂面55rtは、ピン部材55pの円錐部55paの底面の近傍に位置していると良く、例えば、当該頂面55rtは、回転半径方向Dr55の位置に関して上記底面の位置を中心とする±2mmの範囲に入っていると良い。そして、この例では、当該頂面55rtは、円錐部55paの底面と一致している。よって、受け部55rは、ピン部材55pの通気孔hの貫通形成処理を概ね邪魔せずに中間製品1mを確実に受け止めることができる。そして、これにより、ピン部材55pは、中間製品1mに対して速やかに通気孔hを形成可能となる。
【0066】
また、この例では、受け部55rの頂面55rtは正円形状とされている。そして、その直径は、例えば2mm〜5mmの範囲から選択されるが、何等これに限らない。例えば、正三角形や正方形などの多角形でも良いし、これら以外の形状でも良い。
【0067】
一方、
図8に示すように、上流側ロール51の外周面の穴部51hは、ピン部材55pに対応させて設けられている。すなわち、
図7に示すように、中間ロール55の外周面におけるCD方向の一方側の領域には一対のピン部材群G55p1,G55p1が回転方向Dc55に並んで設けられていることから、これに対応させて、上流側ロール51の外周面におけるCD方向の一方側の領域には、千鳥配置で複数の穴部51hを有した穴部群G51h1,G51h1が、回転方向Dc51に並んで一対設けられている。同様に、
図7に示すように、中間ロール55の外周面におけるCD方向の他方側の領域には一対のピン部材群G55p2,G55p2が回転方向Dc55に並んで設けられていることから、これに対応させて、上流側ロール55の外周面におけるCD方向の他方側の領域には、千鳥配置で複数の穴部51hを有した穴部群G51h2,G51h2が、回転方向Dc51に一対並んで設けられている。
【0068】
但し、前述のように上流側ロール51は、一回転でおむつ一つ分の通気孔hの形成に関与することから、回転方向Dc51に並ぶ上記一対の穴部群G51h1,G51h1(G51h2,G51h2)を1セットの穴部群セットSG51h1(SG51h2)とした場合に、上流側ロール51の外周面には、かかる穴部群セットSG51h1(SG51h2)が1セットだけ設けられている。
【0069】
他方、
図5の下流側ロール58の構成は、概ね上流側ロール51のそれと同じである。例えば、下流側ロール58の外周面には、上流側ロール51の外周面の穴部群G51h1,G51h2と同仕様の穴部群G58h1,G58h2が設けられている。そして、これにより、中間製品1mを中間ロール55から受け取る際に、これら穴部群G58h1,G58h2の各穴部58hには、中間ロール55のピン部材55pが円滑に挿入されて、これにより、中間製品1mに形成された通気孔hの形状を大きく崩すことなく、当該中間製品1mを受け取り可能である。
【0070】
ところで、
図10の概略拡大図に示すように、ピン部材55pを押し込んで中間製品1mに通気孔hを形成する際には、通気孔hの縁部にピン部材55pの押し込み方向に突出したバリBが形成されてしまう。そして、当該バリBの突出高さが大きい場合には、中間製品1mの不織布の肌触りが悪化し得て、最終的に、商品たるおむつ1の肌触りを損ねる恐れがあるが、ここで、かかるバリBの突出高さは、ピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fが大きい程大きくなるものと考えられる。
【0071】
そこで、この第1実施形態では、この摩擦抵抗Fが小さくなるように工夫している。
図11は、この工夫の説明図であり、前述の上流側ロール51の回転方向Dc51における最接近位置P51でのピン部材55pと穴部51hとの状態を示す概略拡大図である。
【0072】
この第1実施形態では、上記の工夫として、
図5の上流側ロール51の穴部51hが少なくとも回転方向Dc51の上記最接近位置P51を通過する際に、
図11に示すように当該穴部51hから気体の一例として空気を噴射するようにしている。詳しくは、この例では、回転方向Dc51において最接近位置P51を中心とする±5°の範囲θeを穴部51hが通過する際に、当該穴部51hから空気を噴射するようにしている。そして、これにより、中間製品1mに通気孔hを貫通形成すべくピン部材55pが穴部51hに挿入される際には、穴部51hの方からピン部材55pの方へ向かって空気が流れるようになっている。
【0073】
すると、同
図11に示すように、かかる空気の一部は、中間製品1mの本体をなす不織布の繊維間隙間を通る等して、ピン部材55pと中間製品1mとの間に入り込んでそこを流れ得る。よって、この入り込んだ空気の流れに基づいて、ピン部材55pの押し込み時に生じ得るピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fを小さくすることができる。すなわち、当該押し込み時に中間製品1mに形成される通気孔hの縁部がピン部材55pの押し込み方向へ引っ張られることを軽減できる。そして、その結果、通気孔hの縁部に生じ得るバリBの突出高さを縮小可能となる。
【0074】
また、この
図11の例の場合には、当該空気は、ピン部材55pの押し込み方向の逆向きに流れる。つまり、押し込みに対してカウンター状に流れる。よって、この空気の流れの圧力でも、バリBの突出高さを縮小することができる。
【0075】
なお、このような回転方向Dc51における上記範囲θeに限定して上流側ロール51の外周面の穴部51hから外方に空気を噴射することの実現は、例えば、次のようにしてなされる。先ず、
図5の上流側ロール51の内部における外周面の近傍位置に、複数の不図示のチャンバー51C,51C…を回転方向Dc51に並べて設ける。そして、各チャンバー51Cは、その近傍に位置する幾つかの穴部51hとだけ連通している。一方、上流側ロール51におけるCD方向の端面には、送風ブロワ52Bと連通する流路が回転方向Dc51の上記範囲θeにのみ対向して配されている。よって、当該範囲θeをチャンバー51Cが通過する際には、同チャンバー51Cが送風ブロワ52Bの上記流路に連通されて同ブロワ52Bからチャンバー51Cに空気が圧送されて、これにより、穴部51hから空気が噴射される。一方、上記範囲θe以外の回転方向Dc51の位置をチャンバー51Cが通過する際には、同チャンバー51Cは送風ブロワ52Bの上記流路に連通されずに同ブロワ52Bからチャンバー51Cへと空気が圧送されず、これにより、穴部51hから空気が噴射されない状態となる。
【0076】
但し、空気を噴射する上記範囲θeは、何等上記の±5°の範囲に限らない。すなわち、±5°の範囲より狭くても良いし、広くても良い。例えば、上記範囲θeを回転方向Dc51の360°にまで拡大して、これにより、回転方向Dc51の任意の位置を穴部51hが通過する際に、当該穴部51hから空気が噴射されるようにしても良い。
【0077】
更に、中間ロール55は、前述したように外周面にピン部材55pだけでなく複数の受け部55rも有しているが、これら受け部55r,55r…のうちで互いに隣り合う少なくとも二つの受け部55r,55r同士の間には、
図9Aに示すように隙間S55rが設けられている。詳しくは、この例では、全ての受け部55r,55r…が、それぞれ、隣り合う受け部55rとの間に隙間S55rを有している。そして、かかる隙間S55rは、中間ロール55の外周面においては上記空気の通り道として機能し得る。
よって、
図11に示すように、上流側ロール51の穴部51hの方から中間ロール55のピン部材55pの方へ向かって空気を流す際に、ピン部材55pに到達した当該空気が、中間ロール55の外周面における上記隙間S55rを通ることで、当該空気を、中間ロール55の外周面から外の周囲空間へと速やかに排出することができる。すなわち、中間ロール55の外周面において空気の流れが滞ってしまうことを回避することができる。そして、その結果、穴部51hとピン部材55pとの間を空気が流れ難くなることを有効に防ぐことができる。
【0078】
また、場合によっては、受け部55rを上記のピン部材55pと一体不可分に形成しても良い。
図12は、その一例の説明図である。この例では、ピン部材55p’の円柱部55pb’の頂面の面積の方が、円錐部55pa’の底面の面積より大きくなっていて、これにより、底面から側方に上記頂面が突出している。そして、この頂面において突出した部分55pbp’が、受け部55pbp’として機能するようになっている。よって、かかる受け部55pbp’が一体化されたピン部材55p’を使用すれば、
図9Bのような単機能の受け部55rを省略することができて、これにより、上記の隙間S55rを更に大きく確保することができる。また、かかる突出した部分55pbp’はピン部材55p’の円錐部55pa’の近傍で中間製品1mを受け止めることができる。よって、ピン部材55p’の円錐部55pa’の中間製品1mの押し込み量を確実に略一定にすることができて、これにより、通気孔hの孔径の変動を抑制可能となる。
【0079】
ここで望ましくは、上記気体としての空気が、電熱ヒーター等の加熱装置52Hで加熱された加熱空気であると良い。例えば、
図5中に二点鎖線で仮想的に示すように、送風ブロワ52Bと上流側ロール51との間の流路に上記加熱装置52Hを設けて、これにより、同流路を流れる空気を加熱すると良い。そして、このようにしていれば、当該加熱空気の流れに基づいて、中間製品1mの本体をなす不織布の熱可塑性樹脂繊維を軟化させることができて、その結果、中間製品1mに通気孔hを形成し易くなる。すなわち、ピン部材55pの押し込みにより、熱可塑性樹脂繊維は、孔径が広がる方向に容易に移動又は変形し得る。そして、これにより、当該押し込み時に生じ得るピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fをより小さくすることができて、その結果、上記のバリBの突出高さをより縮小可能となる。
【0080】
なお、かかる加熱空気の温度については、次のようにすると良い。すなわち、
図11のようにピン部材55pと穴部51hとの間の位置を流れる際の加熱空気の温度が、中間製品1mの不織布に含まれる熱可塑性樹脂繊維の軟化点以上で、熱可塑性樹脂繊維の融点未満にすると良い。そして、このようにすれば、融点未満にすることで加熱空気による中間製品1mの不織布の熱損傷を抑制でき、また、軟化点以上にすることで、同不織布に通気孔hを形成する際の前述の摩擦抵抗Fを確実に縮小可能となる。
【0081】
また、仮に不織布が複数種類の熱可塑性樹脂で構成されていて、これら種類の異なる熱可塑性樹脂の軟化点同士が互いに異なる場合には、上記の軟化点として、最も低い軟化点を選択しても良いが、望ましくは、最も高い軟化点を選択すると良い。また、同様に、種類の異なる熱可塑性樹脂の融点同士が互いに異なる場合には、上記の融点として、最も高い融点を選択しても良いが、望ましくは、最も低い融点を選択すると良い。そして、このようにすれば、上記の作用効果を確実に奏することができる。
ちなみに、軟化点については、JISK7196(熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法)のTMA(熱機械分析)で求めることができる。また、融点については、JISK7121(プラスチックの転移温度測定方法)のDSC(示差走査熱量測定)で求めることができる。すなわち、JISK7121のDSCの記載中に規定された融解ピーク温度を、上記の融点とすることができる。
【0082】
更に、上記のように加熱空気を用いる場合には、中間製品1mへの通気孔hの形成前に当該中間製品1mは予熱されることから、上記のバリBの突出高さの縮小効果を更に高めることができる。詳しくは次の通りである。
先ず、
図5の上流側ロール51は、内部のチャンバー51C等を上記加熱空気が流れることで同加熱空気に加熱される。また、同
図5に示すように、中間製品1mは、上記の最接近位置P51よりも回転方向Dc51の上流側において上流側ロール51の外周面に所定の巻き付き角度θwで巻き付いているが、その際に、上流側ロール51によって中間製品1mは加熱されて軟化する。そして、この軟化した状態の中間製品1mは回転方向Dc51における上記最接近位置P51に到達し、当該最接近位置P51では中間ロール55のピン部材55pが押し込まれて通気孔hが形成される。よって、この押し込み時には、この軟化分だけ熱可塑性樹脂繊維が移動又は変形し易く、これにより、当該押し込み時に生じ得るピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fを更に小さくできる。そして、その結果、バリBの突出高さをより縮小可能となる。
【0083】
ちなみに、上記の巻き付き角度θwは、望ましくは20°〜180°の範囲から選択されると良い。そして、このような範囲から選択されていれば、上記の予熱効果を確実に奏することができる。また、熱可塑性樹脂繊維の軟化を更に促進する観点からは、望ましくは、上流側ロール51の回転方向Dc51において上記の巻き付き角度θwの範囲を同ロール51の穴部51hが通過する際に、当該穴部51hから加熱空気を噴射すると良い。
【0084】
また、場合によっては、同
図5の中間ロール55の内部に電熱ヒーター等の加熱装置(不図示)を内蔵させて、これにより、中間ロール55のピン部材55pを加熱しても良い。そして、このようにすれば、加熱されたピン部材55pに基づいて、中間製品1mの不織布の熱可塑性樹脂繊維を軟化させることができる。よって、当該ピン部材55pを中間製品1mに押し込む際に熱可塑性樹脂繊維を周囲に押し退け易くなって、これにより、当該押し込み時に生じ得るピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fをより小さくすることができる。そして、その結果、上記のバリBの突出高さをより縮小可能となる。ちなみに、この場合の加熱の目安としては、例えば、ピン部材55pの温度が前述の軟化点以上融点未満となるように加熱することが挙げられる。
【0085】
===第2実施形態===
図13は、第2実施形態の説明図であり、前述の第1実施形態において
図11に相当する図である。
同
図11に示すように前述の第1実施形態では、気体としての空気を上流側ロール51の外周面の穴部51hから噴射していたが、この第2実施形態では、
図13に示すように当該穴部51hが空気を噴射せずに吸引している点で主に相違する。そして、これ以外の点は概ね前述の第1実施形態と同じである。よって、同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。また、以下での第2実施形態の説明には、便宜上、第1実施形態で用いた
図5及び
図9Aを流用する。
【0086】
同
図13の第2実施形態では、上述のように、上流側ロール51の外周面の穴部51hは、空気を同ロール51の内部へ吸引している。よって、中間製品1mにおける通気孔hの形成対象部分が、上流側ロール51の回転方向Dc51において前述の最接近位置P51(
図5)を通過する際に、
図13に示すように中間ロール55のピン部材55pの方から上流側ロール51の穴部51hの方へ向かって空気が流れる。すると、穴部51hにピン部材55pが挿入される際には、当該空気の一部は、中間製品1mの不織布の繊維間隙間を通る等して、ピン部材55pと中間製品1mとの間に入り込んでそこを流れ得るが、そのとき、この入り込んだ空気の流れに基づいて、ピン部材55pの押し込み時に生じ得るピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fを小さくすることができる。そして、その結果、中間製品1mの通気孔hの縁部に生じ得るバリBの突出高さを縮小可能となる。
【0087】
また、この例では、
図5に示すように、上流側ロール51の穴部51hが、同ロール51の回転方向Dc51の最接近位置P51を中心とする±5°の範囲θeを通過する際に、当該穴部51hが空気を吸引するようにしているが、何等これに限らない。すなわち、上流側ロール51の穴部51hが、少なくとも回転方向Dc51の最接近位置P51を通過する際に、当該穴部51hが空気を吸引するようになっていれば良い。よって、空気を吸引する上記範囲θeが±5°の範囲より狭くても良いし、広くても良い。例えば、上記範囲θeを回転方向Dc51の360°にまで拡大して、これにより、回転方向Dc51の任意の位置を穴部51hが通過する際に、当該穴部51hが空気を吸引するようにしても良い。
【0088】
なお、このように上流側ロール51の穴部51hで空気を吸引することの実現は、前述の第1実施形態の送風ブロワ52B(
図5)の送風方向(空気の圧送方向)を逆にすることで行えるのは明らかなので、これ以上の説明については省略する。
【0089】
また、
図13に示すように、この第2実施形態においても、中間ロール55は、前述の第1実施形態と同様に、外周面にピン部材55pだけでなく複数の受け部55rを有していても良い。そして、その場合には、
図9Aに示すように、これら受け部55r,55r…のうちで互いに隣り合う少なくとも二つの受け部55r,55r同士の間には、隙間S55rが設けられていると良い。例えば、全ての受け部55r,55r…が、それぞれ、隣り合う受け部55rとの間に隙間S55rを有していると良い。
そして、このようになっていれば、
図13のように、当該中間ロール55のピン部材55pの方から上流側ロール51の穴部51hの方へ向かって空気を流す場合にも、当該空気が、中間ロール55の外周面における上記隙間S55rを通ることで、中間ロール55の外周面の周囲空間の空気をピン部材55pの方へ速やかに供給することができる。すなわち、中間ロール55の外周面において空気の流れが滞ってしまうことを回避することができる。そして、その結果、穴部51hとピン部材55pとの間を空気が流れ難くなることを有効に防ぐことができる。
【0090】
更に、この第2実施形態の場合でも、中間ロール55の内部に電熱ヒーター等の加熱装置(不図示)を内蔵させて、これにより、中間ロール55のピン部材55pを加熱しても良い。そして、このようにすれば、加熱されたピン部材55pに基づいて、中間製品1mの不織布の熱可塑性樹脂繊維を軟化させることができる。よって、当該ピン部材55pを中間製品1mに押し込む際に熱可塑性樹脂繊維を周囲に押し退け易くなって、当該押し込み時に生じ得るピン部材55pと中間製品1mとの間の摩擦抵抗Fの縮小を通して、上記のバリBの突出高さの更なる縮小化を図れる。
また、この加熱装置を有した構成によれば、
図13に示すように中間ロール55の外周面を空気が流れている間に、当該空気は中間ロール55のピン部材55pを介して加熱される。そして、この加熱された加熱空気が、中間製品1mに向けて流れていく。よって、この加熱空気によっても、中間製品1mの不織布の熱可塑性樹脂繊維の軟化を促進できて、このことも、上記のバリBの突出高さの縮小に有効に寄与する。
更に、この構成によれば、上流側ロール51が加熱空気を穴部51hから吸引することによって、上流側ロール51は当該加熱空気で加熱されるが、この上流側ロール51には、
図5に示すように所定の巻き付き角度θwで中間製品1mが巻き付いている。よって、この巻き付いている間に中間製品1mは上流側ロール51によっても加熱されて、これにより、中間製品1mの不織布の熱可塑性樹脂繊維は軟化する。そのため、このことも、上記のバリBの突出高さの縮小に有効に寄与する。
【0091】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0092】
上述の第1実施形態では、
図11に示すように上流側ロール51の外周面の穴部51hから気体の一例として空気を噴射していたが、何等これに限らない。例えば、窒素ガスや不活性ガスを噴射しても良い。
【0093】
上述の実施形態では、
図6に示すように、中間ロール55のピン部材55pは、円錐部55paと円柱部55pbとを有していたが、何等これに限らない。例えば、円錐部55paに代えて三角錐や四角錐等の断面多角形の錐状部を有しても良いし、円柱部55pbに代えて三角柱や四角柱等の断面多角形の柱状部を有していても良い。
【0094】
上述の第2実施形態では、
図13に示すように、上流側ロール51の穴部51hに中間ロール55のピン部材55pを挿入する際に、当該穴部51hで吸引することにより、中間ロール55のピン部材55pの方から上流側ロール51の穴部51hの方へと空気を流していたが、何等これに限らない。
図14は、その他の例を示す概略側面図である。なお、同
図14中では、ピン部材55p等を断面視で示している。
この例では、中間ロール55のピン部材55pの円錐部55paの外面に、空気などの気体を噴射する噴射孔55phを形成している。そして、当該ピン部材55pが上流側ロール51の穴部51hに挿入される際に、当該噴射孔55phから穴部51hへ空気を噴射するようにしている。なお、ここで、ピン部材55pの噴射孔55phから空気を噴射することの実現は、前述の第1実施形態において上流側ロール51の穴部51hから空気を噴射するために使用した機構、すなわち、
図5の送風ブロワ52B等を有した機構と同じものを中間ロール55に対して適用することでなすことができる。そのため、以下では、これ以上の説明については省略する。また、場合によっては、上記の噴射孔55phをピン部材55pの円柱部55pbの外周面に設けても良い。更には、前述の第1実施形態において上流側ロール51の穴部51hから噴射する空気を予め加熱装置55Hで加熱していたように、この例でも、ピン部材55pの噴射孔55phから噴射する空気を予め加熱装置(不図示)で加熱しても良い。
【0095】
上述の実施形態では、
図5に示すように中間製品1mを上流側ロール51及び中間ロール55にそれぞれ巻き付けていたが、何等これに限らない。すなわち、
図15に示すように上流側ロール51に相当するロール51及び中間ロール55に相当するロール55のどちらにも巻き付けずに各ロール51,55同士の間に中間製品1mを通すようにしても良い。
【0096】
上述の実施形態では、不織布に形成する貫通孔hの一例として、腹側帯部材31及び背側帯部材41の通気孔hを例示したが何等これに限らない。例えば、通気性向上以外の用途の貫通孔hを腹側帯部材31及び背側帯部材41に形成する際に、本発明の貫通孔hの形成方法及び形成装置50を適用しても良い。
【0097】
上述の実施形態では、吸収性物品の一例として3ピースタイプの使い捨ておむつ1を例示したが、何等これに限らない。例えば、2ピースタイプの使い捨ておむつの材料となる不織布に通気孔hを形成する際に、本発明の貫通孔hの形成方法及び形成装置50を適用しても良い。ちなみに、2ピースタイプの使い捨ておむつとは、例えば腹側部と股下部と背側部とを有した外装シートを第1部品として有し、同外装シートの肌側面に固定される吸収性本体10を第2部品として有するタイプのおむつのことである。そして、その場合には、上述の外装シートの連続シートが不織布で形成されていて、当該不織布に通気孔hを形成する際に、本発明の貫通孔hの形成方法及び形成装置50を使用することになる。
更に言えば、この2ピースタイプのおむつが、所謂テープ式の使い捨ておむつであっても良い。なお、テープ式の使い捨ておむつとは、着用者の胴部を腹側から覆う上記腹側部と、同胴部を背側から覆う上記背側部とを連結するのに、ファスニングテープを用いるタイプのおむつのことである。
また、更に言えば、吸収性物品は、何等使い捨ておむつ1に限らない。すなわち、不織布を材料として製造される吸収性物品であれば、その製造の際に、本発明の貫通孔hの形成方法及び形成装置50を適用可能である。そのため、この吸収性物品の概念には、尿取りパッドや生理用ナプキン等も含まれる。
互いの外周面を対向させつつ回転する第1回転体55と第2回転体51との間を、吸収性物品に係る不織布1mが通過する際に、前記不織布1mに対して前記不織布1mの厚さ方向に貫通孔h,h…を形成する方法である。回転する前記第1回転体55の外周面に突出形成されたピン部材55p,55p…が、回転する前記第2回転体51の外周面の穴部51h,51h…に挿入される際に、前記ピン部材55p,55p…が前記不織布1mに押し込まれて前記貫通孔h,h…を形成する工程と、前記ピン部材55p,55p…が前記穴部51h,51h…に挿入される際に、前記ピン部材55pと前記穴部51hとの間に気体を流す工程と、を有する。