【実施例】
【0047】
以下、本発明について、実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
<評価>
(1)セグメントにおける各単位のモル比
各セグメントにおける各単位のモル比は第1の工程及び第2の工程で得られたポリマーの全フッ素含有量を測定することにより求めることができる。なお、以下の例では、その他のモノマーを共重合していないので、NMR分析を実施しなかった。
(2)Q値(流れ性)
フローテスター(島津製作所製)を用いて測定した。ダイスは、直径2.095mm、長さ8mmのものを用いた。荷重7kg重、温度300℃で測定対象のポリマーを押出し、流出する速度(mm
3/s)をQ値とした。
(3)分子量および分子量分布
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)装置(ポリマーラボラトリーズ社製、PL−GPC220)を用いて測定した。検出器には粘度検出器を用い、カラムには昭和電工社製Shodex UT806M×2本(直列)を用いた。
測定対象のポリマーの4mgを2mlのイソホロンに200℃で溶解し、カラム温度を200℃、移動相の流量を1.0ml/分として、ポリスチレン換算の分子量(質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn))と、分子量分布(Mw/Mn)とを求めた。但し、TFE/エチレンセグメントの分子量が高すぎるとブロックコポリマーは溶媒に完全には溶解しないため、低分子量体(質量平均分子量が約150000以下)のポリマーに対してのみ測定を行った。
(4)融点および5%重量減少温度
エスアイアイ・ナノテクノロジー社製TG/DTA6300を用いて、窒素雰囲気下10℃/分の昇温速度で測定し、吸熱ピークの頂点の温度を融点とし、重量が5%減少した温度を5%重量減少温度とした。
(5)引張破断強度、引張破断伸度
300℃で溶融プレス成形した厚み0.3mmのシートを打ち抜いてミクロダンベル形状の試料を作成した。この試料を用いてオリエンテック製テンシロンRTC−210で引張速度200mm/分で引張破断強度、引張破断伸度を測定した。
(6)引張弾性率
300℃で溶融プレス成形した厚み0.3mmのシートを打ち抜いて幅5.0mm長さ30mmの試料を作成した。この試料を用いて、アイティー計測社製動的粘弾性測定装置DVA-200で周波数10Hzで動的引張弾性率を測定した。
(7)光透過率
300℃で溶融プレス成形した厚み0.1mmのシートを用いて、島津製作所社製分光光度計UV−3100で測定した(波長:800nm)。
【0048】
[重合例1] TFE/P共重合体(TFE/P系セグメント)の製造(第1の工程):重合温度25℃;分子量及び分子量分布が測定できるような低分子量体。
攪拌用アンカー翼を備えた内容積200mlのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、イオン交換水の85g、リン酸水素二ナトリウムの2.4g、水酸化ナトリウムの0.04g、tert−ブタノールの12.2g、含フッ素乳化剤としてC
2F
5OCF
2CF
2OCF
2COONH
4の0.83g、過硫酸アンモニウムの0.6g、1,4−ジヨードパーフルオロブタンの0.62gを添加した。さらに、イオン交換水の18.4gに、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物の0.022gと、硫酸第一鉄7水和物の0.017gとを溶解させた水溶液を反応器に加えた。ついで、25℃でTFE/P=88/12(モル比)のモノマー混合ガス(第1のモノマー成分)を、反応器の内圧が1.55MPaGになるように圧入した。アンカー翼を280rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットと記す。)の1.2質量%水溶液(以下、ロンガリット1.2質量%水溶液と記す。)を反応器に加え、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット1.2質量%水溶液を断続的に反応器に圧入した。
重合温度を25℃に維持して重合を進行させ、重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が1.55MPaGに維持するようにTFE/P=56/44(モル比)のモノマー混合ガス(第1のモノマー成分)を連続的に圧入して重合反応を続けた。TFEとプロピレンからなるモノマー混合ガスの圧入量の総量が9.4gとなった時点で、ロンガリット1.2質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、TFE/P共重合体Aのラテックスを得た。
得られたラテックスのpHは8.0であった。ロンガリット1.2質量%水溶液の添加量は6.5gであった。重合時間は4時間30分であった。TFE/P共重合体Aのラテックスを冷凍庫に一晩入れて凍結後、解凍し、TFE/P共重合体Aを得た。その後、TFE/P共重合体Aをろ過、イオン交換水により洗浄し、100℃のオーブンで12時間乾燥させ、白色のTFE/P共重合体Aの9.4gを得た。TFE/P共重合体A中のTFEに基づく単位とプロピレンに基づく単位との比率は、56:44(モル比)であった。TFE/P共重合体Aの数平均分子量(Mn)は23000、質量平均分子量(Mw)は35000、分子量分布(Mw/Mn)は1.5であった。TFE/P共重合体Aの融点は無く、5%重量減少温度は403℃であった。TFE/P共重合体Aは流動性が大きすぎて、300℃でのQ値を測定できなかった。
【0049】
[重合例2]TFE/P共重合体(TFE/P系セグメント)の製造(第1の工程):重合温度25℃。
1,4−ジヨードパーフルオロブタンの0.17gを使用した以外は、重合例1と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Bのラテックスを得た(第1の工程)。得られたラテックスのpHは8.0であった。ロンガリット1.2質量%水溶液の添加量は6.5gであった。重合時間は4時間15分であった。重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色のTFE/P共重合体Bの9.7gを得た。TFE/P共重合体B中のTFEに基づく単位とプロピレンに基づく単位との比率は、56:44(モル比)であった。
TFE/P共重合体Bの融点は無く、5%重量減少温度は405℃であった。TFE/P共重合体Bは流動性が大きすぎて、300℃でのQ値を測定できなかった。
【0050】
[重合例3]TFE/P共重合体(TFE/P系セグメント)の製造(第1の工程):重合温度80℃;分子量及び分子量分布が測定できるような低分子量体。
重合例1と同等の反応器の内部を脱気した後、該反応器に、イオン交換水の103.4g、リン酸水素二ナトリウムの2.4g、水酸化ナトリウムの0.04g、tert−ブタノールの12.2g、含フッ素乳化剤としてC
2F
5OCF
2CF
2OCF
2COONH
4の0.83g、1,4−ジヨードパーフルオロブタンの0.62gを添加した。ついで、80℃でTFE/P=88/12(モル比)のモノマー混合ガス(第1のモノマー成分)を、反応器の内圧が2.00MPaGになるように圧入した。アンカー翼を280rpmで回転させ、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液を反応器に圧入した。以降、過硫酸アンモニウムの2.0質量%の水溶液を断続的に圧入させた。重合温度を80℃に維持して重合を進行させ、重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が2.00MPaGに維持するようにTFE/P=56/44(モル比)のモノマー混合ガス(第1のモノマー成分)を連続的に圧入して重合反応を続けた。TFEとプロピレンからなるモノマー混合ガスの圧入量の総量が9.4gとなった時点で、過硫酸アンモニウム2質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、TFE/P共重合体Cのラテックスを得た。
得られたラテックスのpHは8.2であった。過硫酸アンモニウム2質量%水溶液の添加量は15gであった。重合時間は6時間30分であった。重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色のTFE/P共重合体Cの9.5gを得た。TFE/P共重合体C中のTFEに基づく単位とプロピレンに基づく単位との比率は、56:44(モル比)であった。TFE/P共重合体Cの数平均分子量(Mn)は15000、質量平均分子量(Mw)は27000、分子量分布(Mw/Mn)は1.8であった。TFE/P共重合体Cの融点は無く、5%重量減少温度は402℃であった。TFE/P共重合体Cは流動性が大きすぎて、300℃でのQ値を測定できなかった。
【0051】
[重合例4]TFE/P共重合体(TFE/P系セグメント)の製造(第1の工程):重合温度80℃。
1,4−ジヨードパーフルオロブタンの0.10gを使用した以外は重合例3と同様な操作によって重合を行った。
得られたTFE/P共重合体DのラテックスのpHは8.2であった。過硫酸アンモニウム2質量%水溶液の添加量は15gであった。重合時間は6時間10分であった。重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色のTFE/P共重合体Dの9.5gを得た。TFE/P共重合体D中のTFEに基づく単位とプロピレンに基づく単位との比率は、56:44(モル比)であった。TFE/P共重合体Dの融点は無く、5%重量減少温度は405℃であった。TFE/P共重合体Dは流動性が大きすぎて、300℃でのQ値を測定できなかった。
【0052】
[実施例1]含フッ素ブロックコポリマーの製造:重合温度25℃;分子量、分子量分布が測定できるような低分子量体。
重合例1と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Aのラテックスを得た。反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止した後、アンカー翼の回転を止め、反応器内の未反応モノマーを大気圧まで空放した。
その後、アンカー翼を280rpmで回転させ、反応器の内温を25℃としてTFE/E=83/17(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を、反応器の内圧が1.1MPaGになるように圧入した。そして、ロンガリット1.2質量%水溶液を反応器に加え、重合反応を再開させた(第2の工程)。その後、断続的にロンガリット1.2%質量%水溶液を圧入した。重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が1.1MPaGを維持するようにTFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を連続的に圧入して、重合反応を続けた。TFEとエチレンからなるモノマー混合ガスの圧入量の総量が11.5gとなった時点で、ロンガリット1.2質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素ブロックコポリマーA1のラテックスを得た。得られたラテックスのpHは8.0であった。重合反応を再開させた後のロンガリット1.2質量%の水溶液の添加量は、16.0gであり、重合時間は4時間30分であった。
重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色の含フッ素ブロックコポリマーA1の21.2gを得た。TFE/P系セグメントと、TFE/E系セグメントとの質量比は、重合例1で得られたTFE/P共重合体A量及び実施例1で得られた含フッ素ブロックコポリマーA1量よりの計算値44:56であった。またTFE/E系セグメント中のTFEに基づく単位とエチレンに基づく単位との比率は、54:46(モル比)であった。
含フッ素ブロックコポリマーA1の数平均分子量(Mn)は56000、質量平均分子量(Mw)は110000、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。重合例1のTFE/P共重合体Aの収量は9.4gで、実施例1の含フッ素ブロックコポリマーA1の収量は21.2gであった。重合例1の第1の工程で得られたTFE/P共重合体AのMnをTFE/P共重合体Aの質量で割った値(S)と、実施例1で得られた含フッ素ブロックコポリマーA1のMnを含フッ素ブロックコポリマーA1の質量で割った値(T)との比S:Tは、(23000/9.4):(56000/21.2)=1:1.08であった。このことは、TFE/P共重合体A分子の数と含フッ素ブロックコポリマーA1分子の数がほぼ同じであることを示していて、含フッ素ブロックコポリマーA1にはTFE/Eセグメントのみを含むポリマーは殆ど存在していないことが示唆される。
含フッ素ブロックコポリマーA1の融点は249℃であり、5%重量減少温度は431℃であった。含フッ素ブロックコポリマーA1は流動性が大きすぎて、300℃でのQ値は測定できなかった。
【0053】
[比較例1]含フッ素ブロックコポリマーの製造:重合温度は第1の工程、第2の工程ともに80℃;分子量、分子量分布が測定できるような低分子量体。
重合例3と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Cのラテックスを得た(第1の工程)。反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止した後、アンカー翼の回転を止め、反応器内の未反応モノマーを大気圧まで空放した。
その後、反応器の内温を80℃としてTFE/E=83/17(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を、反応器の内圧が1.60MPaGになるように圧入した。そして、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液を断続的に圧入して、重合反応を再開させた(第2の工程)。重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が1.60MPaGを維持するようにTFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を連続的に圧入して、重合反応を続けた。TFEとエチレンからなるモノマー混合ガスの圧入量の総量が11.5gとなった時点で、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素ブロックコポリマーC1のラテックスを得た。得られたラテックスのpHは8.3であった。重合反応を再開させた後の過硫酸アンモニウム2質量%の水溶液の添加量は、18.0gであり、重合時間は4時間30分であった。
重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色の含フッ素ブロックコポリマーC1の20.8gを得た。TFE/P系セグメントと、TFE/E系セグメントとの質量比は、重合例3で得られたTFE/P共重合体C量及び比較例1で得られた含フッ素ブロックコポリマーC1量よりの計算値47:53であった。またTFE/E系セグメント中のTFEに基づく単位とエチレンに基づく単位との比率は、54:46(モル比)であった。
含フッ素ブロックコポリマーC1の数平均分子量(Mn)は25000、質量平均分子量(Mw)は62000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。重合例3の第1の工程で得られたTFE/P共重合体CのMnをTFE/P共重合体Cの質量で割った値(S)と、比較例1で得られた含フッ素ブロックコポリマーC1のMnを含フッ素ブロックコポリマーC1の質量で割った値(T)との比S:Tは、(15000/9.5):(25000/20.8)=1:0.76であった。このことは、重合例3で生成したTFE/P共重合体Cの分子数よりも比較例1で得られた含フッ素ブロックコポリマーC1の分子数の方が多いことを示していて、含フッ素ブロックコポリマーC1にはTFE/Eセグメントのみを含むポリマーがかなり存在していることが示唆される。重合例3の重合温度が高いためにプロピレン等にポリマーラジカルが連鎖移動してしまい、生成したTFE/P共重合体Cには末端がヨウ素でないものがかなり含まれているためと考えられる。
含フッ素ブロックコポリマーC1の融点は249℃であり、5%重量減少温度は430℃であった。含フッ素ブロックコポリマーC1は流動性が大きすぎて、300℃でのQ値は測定できなかった。
【0054】
[実施例2]含フッ素ブロックコポリマーの製造:重合温度は第1の工程、第2の工程ともに25℃。
重合例2と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Bのラテックスを得た(第1の工程)。反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止した後、アンカー翼の回転を止め、反応器内の未反応モノマーを大気圧まで空放した。
その後、実施例1と同様の操作により含フッ素ブロックコポリマーB1のラテックスを得た。得られたラテックスのpHは8.0であった。重合反応を再開させた後のロンガリット1.2質量%の水溶液の添加量は、16.0gであり、重合時間は4時間15分であった。重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色の含フッ素ブロックコポリマーB1の20.6gを得た。
TFE/P系セグメントと、TFE/E系セグメントとの質量比は、重合例2で得られたTFE/P共重合体B量及び実施例2で得られた含フッ素ブロックコポリマーB1量よりの計算値47:53であった。またTFE/E系セグメント中のTFEに基づく単位とエチレンに基づく単位との比率は、54:46(モル比)であった。含フッ素ブロックコポリマーB1の融点は252℃であり、5%重量減少温度は433℃であった。300℃でのQ値は11.7mm
3/sであった。25℃周波数10Hzでの引張弾性率は120MPa、引張破断強度は14.8MPa、引張破断伸度は440%、波長800nmの光透過率は90.9%であった。これらの結果を表1に示す。
【0055】
[実施例3]含フッ素ブロックコポリマーの製造:重合温度は第1の工程25℃、第2の工程80℃。
重合例2と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Bのラテックスを得た(第1の工程)。反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止した後、アンカー翼の回転を止め、反応器内の未反応モノマーを大気圧まで空放した。その後、アンカー翼を280rpmで回転させ、反応器の内温を80℃としてTFE/E=83/17(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を、反応器の内圧が1.60MPaGになるように圧入した。そして、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液を反応器に加え、重合反応を再開させた(第2の工程)。その後、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液を断続的に反応器に加えた。重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が1.60MPaGを維持するようにTFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を連続的に圧入して、重合反応を続けた。TFEとエチレンからなるモノマー混合ガスの圧入量の総量が11.5gとなった時点で、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素ブロックコポリマーB2のラテックスを得た。得られたラテックスのpHは8.0であった。重合反応を再開させた後の過硫酸アンモニウムの2.0質量%の水溶液の添加量は、6.0gであり、重合時間は4時間30分であった。
重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色の含フッ素ブロックコポリマーB2の21.0gを得た。
TFE/P系セグメントと、TFE/E系セグメントとの質量比は、重合例2で得られたTFE/P共重合体B量及び実施例3で得られた含フッ素ブロックコポリマーB2量よりの計算値46:54であった。またTFE/E系セグメント中のTFEに基づく単位とエチレンに基づく単位との比率は、54:46(モル比)であった。該含フッ素ブロックコポリマーB2の融点は250℃であり、5%重量減少温度は430℃であった。300℃でのQ値は15.7mm
3/sであった。25℃周波数10Hzでの引張弾性率は115MPa、引張破断強度は12.5MPa、引張破断伸度は450%、波長800nmの光透過率は91.0%であった。これらの結果を表1に示す。
【0056】
[比較例2]ブロックコポリマーの製造:重合温度は第1の工程80℃、第2の工程25℃
重合例4と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Dのラテックスを得た(第1の工程)。反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止した後、アンカー翼の回転を止め、反応器内の未反応モノマーを大気圧まで空放した。
その後、イオン交換水18.4gに過硫酸アンモニウムの0.6g、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物の0.022gと、硫酸第一鉄7水和物の0.017gとを溶解させた水溶液を仕込み、実施例2と同様の操作により含フッ素ブロックコポリマーD1のラテックスを得た。得られたラテックスのpHは8.0であった。重合反応を再開させた後のロンガリット1.2質量%の水溶液の添加量は、16.0gであり、重合時間は4時間であった。
重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色の含フッ素ブロックコポリマーD1の20.6gを得た。
TFE/P系セグメントと、TFE/E系セグメントとの質量比は、重合例4で得られたTFE/P共重合体D量及び比較例2で得られた含フッ素ブロックコポリマーD1量よりの計算値46:54であった。またTFE/E系セグメント中のTFEに基づく単位とエチレンに基づく単位との比率は、54:46(モル比)であった。含フッ素ブロックコポリマーD1の融点は252℃であり、5%重量減少温度は431℃であった。300℃でのQ値は15.4mm
3/sであった。25℃周波数10Hzでの引張弾性率は120MPa、引張破断強度は10.8MPa、引張破断伸度は320%、波長800nmの光透過率は88.8%であった。これらの結果を表1に示す。
【0057】
[比較例3]含フッ素ブロックコポリマーの製造:重合温度は、第1の工程、第2の工程ともに80℃。
重合例4と同様の操作を行って、TFE/P共重合体Dのラテックスを得た(第1の工程)。反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止した後、アンカー翼の回転を止め、反応器内の未反応モノマーを大気圧まで空放した。
その後、反応器の内温を80℃としてTFE/E=83/17(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を、反応器の内圧が1.60MPaGになるように圧入した。そして、過硫酸アンモニウムの2.0質量%水溶液を断続的に圧入して、重合反応を再開させた(第2の工程)。重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が1.60MPaGを維持するようにTFE/E=54/46(モル比)のモノマー混合ガス(第2のモノマー成分)を連続的に圧入して、重合反応を続けた。TFEとエチレンからなるモノマー混合ガスの圧入量の総量が11.5gとなった時点で、過硫酸アンモニウムの2質量%水溶液の添加を停止し、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素ブロックコポリマーD2のラテックスを得た。得られたラテックスのpHは8.3であった。重合反応を再開させ後の過硫酸アンモニウム2質量%の水溶液の添加量は、16.0gであり、重合時間は4時間30分であった。
重合例1と同様に凍結、解凍、洗浄、乾燥を行い、白色の含フッ素ブロックコポリマーD2の21.0gを得た。
TFE/P系セグメントと、TFE/E系セグメントとの質量比は、TFE/P共重合体D量及び含フッ素ブロックコポリマーD2量よりの計算値45:55であった。またTFE/E系セグメント中のTFEに基づく単位とエチレンに基づく単位との比率は、54:46(モル比)であった。含フッ素ブロックコポリマーD2の融点は254℃であり、5%重量減少温度は430℃であった。300℃でのQ値は27.0mm
3/sであった。25℃周波数10Hzでの引張弾性率は120MPa、引張破断強度は10.5MPa、引張破断伸度は280%、波長800nmの光透過率は85.5%であった。これらの結果を表1に示す。
【0058】
[比較例4]TFE/E共重合体とTFE/P共重合体とのブレンド
TFE/E共重合体(フルオンLM730、旭硝子(株)製)とTFE/P共重合体(アフラス150CS、旭硝子(株)製)とを(株)東洋精機製作所製ラボプラストミルにて、300℃で溶融混合した。TFE/E共重合体とTFE/P共重合体との質量比は、55:45とした。
得られた混合物の融点、5%重量減少温度、300℃でのQ値は表1に示すとおりであった。また、表1に示すとおり、25℃周波数10Hzでの引張弾性率は230MPa、引張破断強度は17.3MPa、引張破断伸度は274%、波長800nmの光透過率は86.0%であった。
【0059】
【表1】
【0060】
以上の結果から、本発明の方法で得られたTFE/EセグメントとTFE/Pセグメントを有するブロックコポリマーは、引張弾性率が低く、引張破断強度、引張破断伸度が高く、光透過性が高い。よって、軟質電線の被覆材として、また、展張性に優れるビニールハウス等の農業用フィルムとして、適している。