(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の保持部材は、ステムを有する第3の半導体レーザ装置を、前記第2の半導体レーザ装置から離間して、且つ、前記光出射側から見て、該第3の半導体レーザ装置のステムが前記第1の半導体レーザ装置のステムの一部に重なるように、保持している請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光源装置。
前記ステムは、半導体レーザ素子が実装される素子実装部と、前記半導体レーザ素子と電気的に接続される端子と、前記素子実装部を上面側に保持し且つ前記端子を下面側に露出させて保持するベース部と、を有し、
前記半導体レーザ装置のステムのベース部の下面は、接着部材により前記保持部材に接着されている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているように、複数の半導体レーザ装置を同一平面上に密に並べた場合、各半導体レーザ装置から発生する熱が溜まりやすく、光出力の低下や光学特性の悪化を起こしやすい。一方、これを改善するために、半導体レーザ装置同士の間隔を大きくして並べると、光源装置やその前方に設置される光学系が大型化してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、複数の半導体レーザ装置を保持しながら、比較的小型で且つ各半導体レーザ装置の放熱性に優れる光源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の光源装置は、ステムを有する第1の半導体レーザ装置を保持する第1の保持部材と、ステムを有する第2の半導体レーザ装置を保持し、前記第1の保持部材上に設けられた第2の保持部材と、を備え、前記第2の保持部材は、前記第1の半導体レーザ装置からの光を出射する窓部を有し、且つ、該光出射側から見て、前記第2の半導体レーザ装置のステムが前記第1の半導体レーザ装置のステムの一部に重なるように、前記第2の半導体レーザ装置を保持していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る光源装置は、以下のように構成することができる。
【0008】
前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材は、凹部を備え、前記第1の半導体レーザ装置のステムの少なくとも一部、及び前記第2の半導体レーザ装置のステムの少なくとも一部は、前記凹部内に収容されていることが好ましい。
【0009】
前記第1の半導体レーザ装置の少なくとも一部は、前記第2の保持部材の窓部に挿入されていることが好ましい。
【0010】
前記第2の保持部材の窓部は、その幅が前記第1の半導体レーザ装置の幅より小さい幅狭部を含むことが好ましい。
【0011】
窓部を有し、前記第2の保持部材に接続された放熱部材を備え、前記第2の半導体レーザ装置の少なくとも一部は、前記放熱部材の窓部に挿入されていることが好ましい。
【0012】
前記第2の保持部材は、ステムを有する第3の半導体レーザ装置を、前記第2の半導体レーザ装置から離間して、且つ、前記光出射側から見て、該第3の半導体レーザ装置のステムが前記第1の半導体レーザ装置のステムの一部に重なるように、保持していることが好ましい。
【0013】
前記ステムは、半導体レーザ素子が実装される素子実装部と、前記半導体レーザ素子と電気的に接続される端子と、前記素子実装部を上面側に保持し且つ前記端子を下面側に露出させて保持するベース部と、を有し、前記半導体レーザ装置のステムのベース部の下面は、接着部材により前記保持部材に接着されていることが好ましい。
【0014】
前記半導体レーザ装置は、コリメータレンズを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各半導体レーザ装置の高い放熱性を確保しながら、光源装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。但し、以下に説明する光源装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0018】
<実施の形態1>
図1及び
図2はそれぞれ、実施の形態1に係る光源装置の外観及び構成を示す概略斜視図である。
図3(a)は、実施の形態1に係る半導体レーザ装置を示す概略上面図であり、
図3(b)は、
図3(a)におけるA−A断面を示す概略断面図である。
図4(a)は、実施の形態1に係る光源装置の一部の構造を拡大して示す概略上面図であり、
図4(b)は、
図4(a)におけるB−B断面を示す概略断面図である。
【0019】
なお以下、光源装置の光軸に沿う方向(以下、「光軸方向」とする)における、主として光が出射される側を前方、その反対側を後方とし、光軸に対して垂直な方向を横方向とする。また、主として、各部材における、光源装置の前方となる側を上方、光源装置の後方となる側を下方とする。
【0020】
図1,2に示すように、実施の形態1に係る光源装置100は、主として、複数の半導体レーザ装置を各々保持する、第1の保持部材30上に、第2の保持部材31が設けられ、その前方及び後方に第1の放熱部材50と第2の放熱部材51が接続されて構成されている。このように、第1の放熱部材50と第2の放熱部材51が、第1の保持部材30側と第2の保持部材31側に各々設けられることにより、各保持部材30,31から熱を分散させて引くことができ、半導体レーザ装置の放熱性を高めやすい。また、結果的に、光源装置を小型化しやすくなる。
【0021】
なお、各保持部材30,31は、少なくとも1つの半導体レーザ装置を保持していればよい。また、半導体レーザ装置の放熱性及び光源装置の小型化の観点において、保持部材は、2つであることが好ましいが、3つ以上あってもよい。さらに、保持部材30,31同士、及び保持部材30,31と放熱部材50,51は、互いに接して設けられている形態に限らず、その間に放熱グリス、放熱シート、接着剤など別の部材が介在していてもよい。
【0022】
図3(a),(b)に示すように、各半導体レーザ装置は、ステム20を有している。ステム20は、半導体レーザ素子15が実装される素子実装部21と、半導体レーザ素子15と電気的に接続される端子22と、素子実装部21を上面24側に保持し且つ端子22を下面25側に露出させて保持するベース部23と、を有する。なお、ベース部23は、素子実装部21を、自身と一体化して保持していてもよい。
【0023】
ここで、
図4(a),(b)に示すように、第1の保持部材30が保持する1つの半導体レーザ装置を、第1の半導体レーザ装置10とする。また、第2の保持部材31が保持する1つの半導体レーザ装置を、第2の半導体レーザ装置11とする。さらに、第2の保持部材31が第2の半導体レーザ装置11から離間して保持する1つの半導体レーザ装置を、第3の半導体レーザ装置12とする。さらに、第1の保持部材30が第1の半導体レーザ装置10から離間して保持する1つの半導体レーザ装置を、第4の半導体レーザ装置13とする。なお、各半導体レーザ装置は、保持部材30,31に、後述の凹部35への圧入、後述するような接着部材による接着、若しくは溶接などにより固定される。
【0024】
そして、
図4(a),(b)に示すように、第2の保持部材31は、第1の半導体レーザ装置10からの光を出射する窓部33を有しており、第1の半導体レーザ装置10から出射される光を効率良く光源装置外部に取り出すことができる。窓部33は、第1の保持部材30に保持される全ての半導体レーザ装置に対応して設けられる。なお、「窓部」は、主として貫通穴であるが、各半導体レーザ装置から出射される光を透過して光源装置外部に取り出すことができる部位であればよい。例えば、窓部には、樹脂やガラスなどの透光性部材が設けられていてもよく、またその透光性部材は、窓部に挿入された半導体レーザ装置に接して設けられていてもよい。
【0025】
また、
図4(a),(b)に示すように、第2の保持部材31は、その光出射側(つまり前方又は上方)から見て、第2の半導体レーザ装置11が第1の半導体レーザ装置10の一部に重なるように、第2の半導体レーザ装置11を保持している。すなわち、これは、前方から見て、第1の半導体レーザ装置10の一部が、第2の半導体レーザ装置11の一部の真後ろに位置している状態のことを指す。なお、このとき光出射側から見て重なるのは、主として、半導体レーザ装置の横方向の最外郭を構成する部位であり、本例ではステム20であって、より詳細にはそのベース部23である。
【0026】
このように、本実施の形態の光源装置100は、半導体レーザ装置を保持する保持部材を、半導体レーザ装置10,11を各々保持する複数の部材30,31に分け、それらを重ねた構成を有している。これにより、半導体レーザ装置10,11同士の横方向の間隔を、容易に半導体レーザ装置10,11の横方向の幅より小さくすることができる。したがって、複数の半導体レーザ装置10,11を横方向に密に配置し、光源装置の小型化を図ることができる。また、第1の半導体レーザ装置10と、第2の半導体レーザ装置11は、互いに光軸方向に離間して保持されるので、各半導体レーザ装置10,11の高い放熱性を確保することができる。このとき、多くの場合、第1の半導体レーザ装置10と第2の半導体レーザ装置11の光軸方向の間隔は、その横方向の間隔より大きくなる。つまり、複数の半導体レーザ装置10,11を、横方向に密、光軸方向に疎となる位置関係に配置することができる。したがって、光源装置100から出射される光の拡がりを抑えられるので、光源装置前方に配置される光学系の小型化を図ることができる。
【0027】
以下、光源装置100の好ましい構成について記述する。
【0028】
図4(b)に示すように、第1の保持部材30及び第2の保持部材31は、凹部35を各々備えている。そして、第1の半導体レーザ装置10のステム20の少なくとも一部は、凹部35内に収容されている。また、第2の半導体レーザ装置11のステム20の少なくとも一部は、凹部35内に収容されている。これにより、半導体レーザ装置10,11と、保持部材30,31と、の接合面積を増大させやすく、半導体レーザ装置10,11の放熱性を高めやすい。なお、凹部35は、半導体レーザ装置のステム20のベース部23の少なくとも一部を収容できればよいが、半導体レーザ装置10,11から発生する熱を保持部材30,31により効率良く伝導させるために、ステムのベース部23の全部を収容することが好ましい。さらに、凹部35は、半導体レーザ装置のステムのベース部23とキャップ28と、の全部を収容してもよい。また、凹部35の形状は、半導体レーザ装置10を精度良く設置するために、ステムのベース部23の形状にほぼ沿っていることが好ましい。凹部35の底面は、平面が良い。凹部35の側面は、底面に対して略垂直でよいが、上方側の開口径が大きい傾斜面(例えば傾斜角5°以上45°以下)であってもよい。1つの保持部材における各凹部35の深さは、略同一であってもよいし、異ならせてもよい。なお、凹部35は、保持部材30,31に必須の構成ではなく、保持部材30,31は、半導体レーザ装置をその平坦な上面に載置する形態で保持してもよい。
【0029】
図4(b)に示すように、第1の半導体レーザ装置10の一部は、第2の保持部材31の窓部33に挿入されている。これにより、第1の半導体レーザ装置10を第2の保持部材31に近付けて保持しやすく、光源装置を小型化しやすい。また、第1の半導体レーザ装置10から発生する熱を、第2の保持部材31に、ひいては第2の放熱部材51に伝導させやすく、第1の半導体レーザ装置10の放熱性を高めやすい。なお、第2の保持部材の窓部33に挿入される第1の半導体レーザ装置10の部位は、主にキャップ28の一部であるが、ステムのベース部23まででもよく、ひいては第1の半導体レーザ装置10の全部であってもよい。
【0030】
図4(b)に示すように、第2の保持部材31の窓部33は、その幅が第1の半導体レーザ装置10の幅より小さい幅狭部37を含んでいる。第1の保持部材30上に第2の保持部材31を設ける構成では、第1の半導体レーザ装置10を、第2の保持部材31の窓部33を通すことなく、第1の保持部材30に設置することができる。このため、窓部33に幅狭部37を設けることができる。したがって、第2の保持部材31の熱容量を大きく維持しやすいので、半導体レーザ装置10,11から発生する熱を、第2の保持部材31に、ひいては第2の放熱部材51に伝導させやすく、半導体レーザ装置10,11の放熱性を高めやすい。幅狭部37は、窓部33の一部であってもよく、窓部33の全部であってもよい。なお、ここでいう「幅」とは、「径」とも言え、横方向の大きさであり、主としてその最大値を指す。
【0031】
図4(a),(b)に示すように、光源装置100は、第2の保持部材31に接続された第2の放熱部材51を備えている。第2の放熱部材51は、窓部53を有しており、第2の半導体レーザ装置11から出射される光を効率良く光源装置外部に取り出すことができる。そして、第2の半導体レーザ装置11の一部は、第2の放熱部材の窓部53に挿入されている。これにより、第2の半導体レーザ装置11を第2の放熱部材51に近付けて保持しやすく、光源装置を小型化しやすい。また、第2の半導体レーザ装置11から発生する熱を第2の放熱部材51に伝導させやすく、第2の半導体レーザ装置11の放熱性を高めやすい。なお、第2の放熱部材の窓部53に挿入される第2の半導体レーザ装置11の部位は、主にキャップ28の一部であるが、ステムのベース部23まででもよく、ひいては第2の半導体レーザ装置11の全部であってもよい。また、窓部53は、第2の保持部材31に保持される全ての半導体レーザ装置に対応して設けられる。さらに、第2の放熱部材51は、第1の保持部材30に保持される全ての半導体レーザ装置に対応して設けられた、別の窓部も有している。
【0032】
図4(b)に示すように、光源装置100は、各半導体レーザ装置に対応して設けられた接着部材40を備えている。そして、各半導体レーザ装置のステム20のベース部23の下面25は、接着部材40により保持部材30,31に接着されている。このように、接着部材40を介することで、半導体レーザ装置10,11と保持部材30,31との密着性を高め、半導体レーザ装置10,11から発生する熱を保持部材30,31に効率良く伝導することができ、半導体レーザ装置10,11の放熱性を高めることができる。また、各半導体レーザ装置のステムのベース部の下面25に加え、側面26もまた接着部材40により保持部材30,31に接着されている。これにより、半導体レーザ装置10,11から発生する熱を、接着部材40を介して保持部材30,31により効率良く伝導しやすく、半導体レーザ装置10,11の放熱性をより高めることができる。さらに、半導体レーザ装置11のステムのベース部の上面24が、接着部材40により第2の放熱部材51に接着されていてもよい。これにより、半導体レーザ装置11のステムのベース部23が、第2の保持部材31と第2の放熱部材51に挟まれて両部材に接着される。したがって、半導体レーザ装置11から発生する熱を、接着部材40を介して第2の放熱部材51によりいっそう効率良く伝導することができ、半導体レーザ装置11の放熱性をさらに高めることができる。
【0033】
また更に、上記のように、半導体レーザ装置10,11を接着部材40により保持部材30,31に強固に接着して、半導体レーザ装置10,11の取り外しを困難にすることができ、半導体レーザ装置10,11を取り外して別の光源装置に流用することを防止することができる。なお、ステムは、ベース部の下面及び/又は側面に窪みが設けられており、接着部材がその窪みに入り込んで設けられていても良い。このステムの窪みに入り込んだ接着部材のアンカー効果により、半導体レーザ装置を保持部材により強固に接着することができる。したがって、半導体レーザ装置の取り外しをより困難にすることができる。
【0034】
図4(a),(b)に示すように、第2の保持部材31は、第3の半導体レーザ装置12を、光出射側から見て、第3の半導体レーザ装置12のステム20が第1の半導体レーザ装置10のステム20の一部に重なるように、保持している。これにより、複数の半導体レーザ装置10,11,12を横方向により密に配置し、光源装置を更に小型化しやすい。また、第1の保持部材30は、第4の半導体レーザ装置13を、光出射側から見て、第4の半導体レーザ装置13のステム20が第2の半導体レーザ装置11のステム20の一部に重なるように、保持している。これにより、複数の半導体レーザ装置10,11,12,13を横方向によりいっそう密に配置し、光源装置をよりいっそう小型化しやすい。さらに、半導体レーザ装置は、放熱性を均等化するために、規則的に配置されることが好ましい。例えば、半導体レーザ装置は、光出射側から見て、略等間隔の格子点や放射状に配置することができる。具体的には、図示するように、第1の保持部材30に保持される半導体レーザ装置と、第2の保持部材31に保持される半導体レーザ装置と、が光出射側から見て縦・横に交互に配置されたものがある。
【0035】
また、
図3(a),(b)及び
図4(a),(b)に示すように、半導体レーザ装置10,11は、半導体レーザ素子15から光が入射される光学部品27と、この光学部品27を保持し半導体レーザ素子15を封止するキャップ28と、を備えている。このような半導体レーザ装置10,11は、その放熱性を高めることにより、半導体レーザ素子15と光学部品27の相対的な位置関係を保ち、優れた光学特性を維持しやすい。特に、半導体レーザ装置10,11がコリメータレンズを含む、すなわち光学部品27がコリメータレンズである又はそれを含むことで、平行光を出射可能となり、光源装置100の光学特性に殆ど影響を及ぼさずに半導体レーザ装置10,11の光軸方向の設置位置を変えることができ、半導体レーザ装置10,11の放熱性に優れる配置を取りやすい。
【0036】
<実施の形態2>
図5(a)は、実施の形態2に係る光源装置の外観を示す概略斜視図であり、
図5(b)は、その構成を示す概略斜視図である。
図5(a)及び(b)に示すように、実施の形態2に係る光源装置150は、放熱部材50,51を備えていない点以外は、実施の形態1に係る光源装置100と実質的に同じ構成を有するものである。この光源装置150のように、放熱部材50,51は省略してもよく、より小型の光源装置としてもよい。この場合、第1の保持部材30の後面(下面)と、第2の保持部材31の前面(上面)と、はそれぞれ、この光源装置150の外面を構成することになる。したがって、第1の保持部材30の後面側や第2の保持部材31の前面側に、螺子穴を設ける等して、他の放熱部材を直接接続することができる。
【0037】
以下、本発明の光源装置の各構成要素について説明する。
【0038】
(半導体レーザ素子15)
半導体レーザ素子は、各種の半導体で構成される素子構造を含むものでよい。なかでも、紫外光や短波長の可視光を発光可能な窒化物半導体(主として、一般式In
xAl
yGa
1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)で表される)を用いたレーザ素子は、指向性に優れるが、熱が比較的溜まりやすいため、本発明にとって特に好適である。なお、半導体レーザ素子(又は半導体レーザ装置)を複数備える光源装置の場合、各半導体レーザ素子(又は各半導体レーザ装置)の発光波長(発光色)は、互いに略同じであってもよいし、例えば赤、緑、青など互いに異なっていてもよい。
【0039】
(ステム20)
ステムは、半導体レーザ素子が接着される部材である。ステムの素子実装部及びベース部は、熱伝導性の観点から、端子を電気的に絶縁する部位を除いて、銅、鉄鋼(炭素鋼など)、アルミニウム、金、又はこれらの合金などの金属を主成分として構成されることが好ましい。また、ステムは、最表面が金となる鍍金が施されていることが好ましい。ステムは、ベース部の上面視形状がほぼ円形に沿ったものや、その一部がカットされたもの(「I-cutステム」又は「D-cutステム」と呼ばれるもの)などを使用できる。また、端子は、主として棒状のリード端子であるが、ベース部のスルーホール、ビアなどを介して形成された膜状又は柱状の電極であってもよい。
【0040】
(光学部品27)
光学部品は、レンズ、ミラー、プリズム、光学フィルタ、拡散板、カバーガラスなどの光学素子のほか、これらの光学素子又は透光性部材に蛍光物質を配合した波長変換部材、若しくはレーザロッドや波長変換用の非線形光学結晶などの光学結晶、若しくは光ファイバなどを、単体で又は組み合わせて用いることができる。なお、光学部品は、キャップの内面に設けられた位置決め用の突起に当接され、接着部材(第2の接着部材)の塗布、熱圧着、圧入などによりキャップに固定される。
【0041】
なお、蛍光物質は、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al
2O
3−SiO
2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr、Ba)
2SiO
4)などを用いることができる。例えば、青色光を発光する半導体レーザ素子と、その青色光の一部を吸収して黄色光を発光する蛍光物質と、の組み合わせにより、白色光を発光する光源装置とすることができる。
【0042】
(キャップ28)
キャップは、ステムのベース部に接続され、光学部品を保持し、半導体レーザ素子を封止して保護する部材であるが、光源装置の構成や用途により省略することができる。キャップは、光学部品からの出射光を光軸方向に透過可能な構造を有していればよい。キャップは、後述の保持部材と同様の材料を用いて構成することができる。キャップの形状は、筒状又は箱状が良く、上面視では、ステムのベース部の上面の周縁部を露出させ、該ステムのベース部の形状にほぼ沿っていることが好ましい。
【0043】
(保持部材30,31)
保持部材は、半導体レーザ装置を保持する部材である。保持部材は、種々の形状を有するものでよく、板状、ブロック状、箱状、筒状、L字状、T字状などが挙げられる。保持部材の母材は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、ステンレス鋼(オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系)、鉄鋼(機械構造用炭素鋼、一般構造用圧延鋼)、スーパーインバー、コバールなどを用いることができる。特に、保持部材は、熱伝導性に優れる、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。次いで、銅又は銅合金もまた好ましい。保持部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金、若しくは鉄鋼を母材とする場合、接着部材との接合性を改善するために、接着部材と接する面に鍍金が施されていることが好ましい。鍍金は、金、錫、ニッケル、銀、パラジウム、銅などの単層膜又はこれらの多層膜で構成することができる。特に、少なくとも最表面に錫又は銀を有することが、接合性の観点で好ましい。また、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素などのセラミックを用いることもできる。さらに、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ABS、ASA、PBTなどの樹脂材料を用いることができ、これらの樹脂材料に酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、グラファイト、酸化チタンなどの充填材が添加されたものを用いてもよい。なお、保持部材は、その外面にフィンが形成されたものでもよい。
【0044】
(接着部材40)
接着部材は、半導体レーザ装置を保持部材に接着させる部材である。接着部材は、加熱装置などにより加熱して軟化させた後、冷却して固化させる(以降、「軟化-固化」と記す場合がある)ことで、半導体レーザ装置を保持部材に接着させることができる。接着部材は、軟化させる前においては、固形状とペースト状のどちらでもよい。接着部材は、金属を含むことが好ましい。例えば、金、錫、銀、ビスマス、銅、インジウム、アンチモンなどが挙げられる。さらに、接着部材は、少なくとも軟化させる前においては樹脂や有機溶剤を含んでいてもよいが、軟化-固化後においては上記金属を主成分とすることが好ましい。具体的には、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの各種の半田や金属ペーストが挙げられる。また、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化珪素、グラファイトなどの充填材が添加された樹脂であってもよい。接着部材は、一度加熱されて軟化-固化すると、軟化点(軟化温度)が軟化させる前のそれより高くなるものが好ましい。特に、その軟化点の差は、30℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがよりいっそう好ましい。このような接着部材(軟化させる前)としては、銅粉末を添加した錫系半田(例えば千住金属工業社製RAMシリーズ)や、銀粒子とアルコール等の有機溶剤を含む焼結型のペースト(固化後は主として多孔質の銀粒子の焼結体となる;例えばWO2009/090915公報参照)などが挙げられる。なお、ここでいう「軟化」は、軟化させる前の接着部材が固形状であってもペースト状であっても、構成材料の溶融、ガラス転移などにより液状化又は粘度の低下を起こすこと、として定義することができる。接着部材の構成材料によっては、融点とすることもできる。
【0045】
(放熱部材50,51)
放熱部材は、保持部材に接続され、保持部材ひいては半導体レーザ装置からの放熱を促進可能な部材である。放熱部材は、放熱器又は放熱板であって、効果的に放熱するために、フィンを有することが好ましい。フィンの形状は、板状、剣山状、円筒状、螺旋状などが挙げられる。放熱部材は、前述の保持部材と同様の材料を用いて構成することができる。なお、放熱部材は、その近隣にファンが設けられることで、より効果的に放熱可能である。なお、放熱部材は、必須の構成要素ではなく、省略することもできる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
【0047】
<実施例1>
実施例1の光源装置は、
図1,2に示す例の構成を有する、プロジェクタ用の光源であって、以下のように構成されている。
【0048】
実施例1の光源装置は、互いに重ねられてネジで固定された、2つの保持部材(LDホルダ)を備えている。2つの保持部材はそれぞれ、アルミニウム合金製の母材の外面に錫の鍍金が施されたものである。
【0049】
後方の保持部材は、厚さ12.5mmの略板状の部材であって、直径9.1mmの円形開口、深さ7mmの凹部と、その凹部の底面に設けられた、リード端子を通すための楕円形開口の貫通穴と、の対からなる穴を8つ有する。この穴は、4行4列に配置され、各行における2つの穴の中心間距離は15mm、各行の間隔は7.5mmであり、奇数行目と偶数行目において穴の配置は同じで、奇数行目と偶数行目の穴は横方向に7.5mmずれている。また、後方の保持部材は、前方の保持部材に保持される半導体レーザ装置のリード端子に接続される導線を通すための楕円形状の貫通穴を8つ有する。なお、後方の保持部材は、各半導体レーザ装置のリード端子と電気的に接続される回路基板を横方向に延出させて保持している。
【0050】
前方の保持部材は、厚さ8.5mmの略板状の部材であって、直径9.1mmの円形開口、深さ2mmの凹部と、その凹部の底面に設けられた、リード端子を通すための楕円形開口の貫通穴と、の対からなる穴を8つ有する。この穴は、後方の保持部材の穴と交互になるように4行4列に配置されている。また、前方の保持部材は、後方の保持部材に保持される半導体レーザ装置のキャップの一部が挿入され且つその半導体レーザ装置からの光を通過させるための円形開口の貫通穴(窓部)を8つ有する。この貫通穴は、前方(上方)側の直径5.3mm、長さ(深さ)3.5mmの幅狭部と、後方(下方)側の直径7.5mmの幅広部と、からなっている。
【0051】
半導体レーザ装置は、ステムに、半導体レーザ素子が実装され、並びに光学部品を保持したキャップが固定されて、構成されている。ステムは、それぞれ銅合金の母材の表面に金の鍍金が施された、ブロック状の素子実装部と、2本のリード端子と、直径9mm、厚さ1.5mmの円盤状のベース部と、を有する。ステムの素子実装部には、サブマウントを介して、発光中心波長455nm、定格出力3Wの窒化物半導体レーザ素子が接着されている。キャップは、ステンレス製で直径6.85mmの円筒状の部材であって、その下端の鍔状部がステムのベース部の上面に溶接されている。キャップの上部には、NAが0.5のBK7製のコリメータレンズである光学部品が圧入により固定されている。なお、ステムのベース部の側面には、上面から下面に貫通する、上面視で略三角形状の窪み(切り欠き)が設けられている。
【0052】
そして、2つの保持部材の各凹部には、上述の半導体レーザ装置のステムのベース部が収容されており、半導体レーザ装置のベース部の下面及び側面と、それに各々対向する凹部の底面及び側面と、が、その間に介在する接着部材により接着されている。また、接着部材は、ステムのベース部の側面の窪みにも入り込んでいる。なお、接着部材は、錫-ビスマス系の半田である。
【0053】
放熱部材は、重ねられた2つの保持部材を、前方と後方から挟むように、2つ設けられている。2つの放熱部材はそれぞれ、アルミニウム合金製で、外側に突出する板状のフィンが配列して設けられた放熱板であって、保持部材にネジで固定されている。なお、前方の放熱部材の中央部は、フィンがなく、各半導体レーザ装置からの光を装置外部に出射するための16の円形開口の貫通穴が設けられている。また、そのうちの半分の貫通穴には、前方の保持部材に保持される半導体レーザ装置のキャップの一部が挿入されている。
【0054】
以上のような光源装置は、長時間駆動させても、半導体レーザ装置の温度上昇を抑え、安定した光出力及び光軸などの光学特性を維持することができる。