(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体チップに入出力される信号の速度は増加する一方、高速デジタル信号は電気配線における損失が大きい。このため、マザーボードに搭載された複数のモジュールが該マザーボードに形成されている電気配線を介して相互に接続される従来の方式では、モジュール間で伝送される高速デジタル信号に大きな損失が発生する。例えば、信号速度が25Gbit/sec前後の場合、一般的なマザーボード(プリント基板)上に形成されている電気配線上では約0.8dB/cmの損失が発生する。また、高速信号用の高級なプリント基板上に形成されている電気配線上であっても、約0.4dB/cmの損失が発生する。したがって、伝送距離が比較的短距離(例えば30cm)であっても信号波形が大きく劣化してしまうので、信号劣化を補償する回路が必要になる。
【0006】
しかし、信号劣化を補償する回路は消費電力が大きく、コンピュータ,サーバ,ネットワーク機器等の消費電力増大の大きな要因となっている。
【0007】
本発明の目的は、複数のモジュールを少ないスペースに高密度で配置すると共に、それらモジュール間で伝送される高速デジタル信号の劣化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマルチモジュールは、電源ケーブル及び光信号ケーブルが引き入れられる支持部材と、前記支持部材に搭載され、前記電源ケーブル及び光信号ケーブルが接続される複数の第1モジュールと、を有する。そして、それぞれの前記第1モジュールは、第1パッケージ、該第1パッケージに収容された第1パッケージ基板及び該第1パッケージ基板に実装された第1半導体チップを備える。
【0009】
本発明のマルチモジュールの一態様では、それぞれの前記第1モジュールの上に重ねて搭載される複数の第2モジュールが設けられる。そして、それぞれの前記第2モジュールは、第2パッケージ、該第2パッケージに収容された第2パッケージ基板及び該第2パッケージ基板に実装された第2半導体チップを備える。
【0010】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記第1パッケージ及び前記第2パッケージは金属製であって、互いに熱的に接続される。また、前記第1パッケージと該第1パッケージに収容された前記第1パッケージ基板とが熱的に接続され、前記第2パッケージと該第2パッケージに収容された前記第2パッケージ基板とが熱的に接続される。
【0011】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記第1パッケージに収容された前記第1パッケージ基板と前記第2パッケージに収容された前記第2パッケージ基板とが電気的に接続される。
【0012】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、それぞれの前記第1モジュールは、前記第1パッケージ基板の一面に搭載された電源サブモジュール及び光サブモジュール、前記第1パッケージ基板の他面に実装された前記第1半導体チップとしてのコントローラチップ及び前記第1パッケージ基板の前記他面に配置された第1電気コネクタを備える。また、それぞれの前記第2モジュールは、前記第2パッケージ基板の一面に配置された第2電気コネクタ及び前記第2パッケージ基板の他面に実装された前記第2半導体チップとしてのメモリチップを備える。前記第1モジュールにおいては、前記第1パッケージ基板に形成された配線を介して、前記光サブモジュールと前記コントローラチップ及び前記第1電気コネクタと前記コントローラチップとがそれぞれ接続される。また、前記第2モジュールにおいては、前記第2パッケージ基板に形成された配線を介して、前記メモリチップと前記第2電気コネクタとが接続される。さらに、前記第1電気コネクタ及び前記第2電気コネクタを介して、前記第1モジュールと前記第2モジュールとが接続される。
【0013】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記支持部材、第1パッケージ及び第2パッケージのそれぞれに、互いに連通する流路が形成される。
【0014】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記支持部材、第1パッケージ及び第2パッケージを貫く熱伝導部材を有し、前記熱伝導部材の少なくとも一部に放熱フィンが設けられる。
【0015】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記第2モジュールの上に重ねて搭載される第3モジュールが設けられる。前記第3モジュールは、第3パッケージ、該第3パッケージに収容された第3パッケージ基板及び該第3パッケージ基板に実装された第3半導体チップを備える。
【0016】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記第2モジュールの前記第2パッケージ基板には、前記第2半導体チップとしての揮発性メモリチップが実装される。一方、前記第3モジュールの前記第3パッケージ基板には、前記第3半導体チップとしての不揮発性メモリチップが実装される。
【0017】
本発明のマルチモジュールの他の態様では、前記支持部材は、前記第1モジュールが搭載される複数の搭載部であって、互いに回動可能に連結された複数の搭載部を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のモジュールが少ないスペースに高密度で配置されると共に、それらモジュール間で伝送される高速デジタル信号の劣化が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示されるマルチモジュール1Aは、支持部材としてのシャーシ10と、シャーシ10に搭載された複数の第1モジュール11と、を有する。
【0021】
シャーシ10は折り曲げられた金属板(例えば、厚み2mm)によって形成されており、八角形の断面形状を有する。すなわち、シャーシ10は8つの側壁10aを有し、それら側壁10aのそれぞれに第1モジュール11が搭載されている。すなわち、本実施形態では、シャーシ10のそれぞれの側壁10aが、第1モジュール11が搭載される搭載部である。
【0022】
本実施形態では、シャーシ10の8つの側壁10aの外面に第1モジュール11が1つずつ搭載されている。すなわち、マルチモジュール1Aは、8つの第1モジュール11を備えている。これら第1モジュール11同士は、シャーシ10の内側において、ケーブルを介して適宜接続されている。以下の説明では、第1モジュール11が搭載されているシャーシ10の側壁10aの外面を“搭載面10b”と呼ぶ場合がある。
【0023】
図2に示されるように、シャーシ10には複数のケーブルが引き込まれている。具体的には、少なくとも電源ケーブル21,電気信号ケーブル22及び光信号ケーブル23がシャーシ10の内側に引き込まれている。電源ケーブル21は電力供給用のケーブルであり、電気信号ケーブル22は低速信号用(例えば1Gbit/sec以下)のケーブルであり、光信号ケーブル23は高速信号用(例えば25Gbit/sec)のケーブルである。
【0024】
電源ケーブル21及び電気信号ケーブル22は、共通の電気コネクタ24に接続されて集約されている。一方、それぞれの光信号ケーブル23の端部には光コネクタ25が装着されている。各光信号ケーブル23は複数本の光ファイバが内蔵された多芯ケーブルであって、光コネクタ25は、光信号ケーブル23に内蔵されている複数本の光ファイバを一括接続させるMT(Mechanically Transferable)コネクタである。
【0025】
図3に示されるように、電気コネクタ24は搭載面10bの略中央に配置されており、この電気コネクタ24の両側に複数の光コネクタ25が一列に並んで配置されている。す なわち、搭載面10bには、電気コネクタ24を挟んで対向する2列の光コネクタ列が存在している。
【0026】
シャーシ10の側壁10a(
図2)には、電気コネクタ24及び光コネクタ25を設置するための複数の開口部が形成されており、電気コネクタ24及び光コネクタ25は所定の開口部に嵌め込まれて側壁10aに固定されている。もっとも、電気コネクタ24及び光コネクタ25は、必要に応じて側壁10aすなわちシャーシ10から取り外し可能である。
【0027】
図2に示されるように、シャーシ10の内側には、第1モジュール11に冷却水を供給するための流路30aと、第1モジュール11を通過した冷却水を回収するための流路30bと、が形成されている。以下の説明では、流路30aを“送り流路30a”と呼び、流路30bを“戻り流路30b”と呼ぶ。また、送り流路30a及び戻り流路30bを“流路30”と総称する。図示は省略するが、送り流路30aと戻り流路30bは連通して一連の流路を形成しており、この流路上には冷却水を貯留するためのタンクと冷却水を循環させるためのポンプとが設けられている。もっとも、送り流路30aと戻り流路30bをシャーシ10の外部に引き出し、シャーシ10の外部に設置されているタンクやポンプに接続してもよい。また、本実施形態における送り流路30a及び戻り流路30bはパイプによって形成されているが、可撓性を有するゴムチューブなどによって送り流路30a及び戻り流路30bを形成してもよい。
【0028】
図2に示されるように、送り流路30aの一端は、シャーシ10の側壁10aに固定された口金31aに接続されている。同様に、戻り流路30bの一端は、シャーシ10の側壁10aに固定された口金31bに接続されている。また、
図3に示されるように、各搭載面10bの四隅には、側壁10a(
図2)を貫く貫通孔32がそれぞれ形成されている。
【0029】
図3に示されるように、第1モジュール11はブロック状の第1パッケージ41を備えている。本実施形態における第1パッケージ41は金属製である。そこで、以下の説明では、第1パッケージ41を“第1金属パッケージ41”と呼ぶ。
【0030】
第1金属パッケージ41は、ダイカスト又は切削加工によって所定形状に形成されており、
図2に示される左側壁42,右側壁43及び天井44を有する。これら左側壁42,右側壁43及び天井44の内部には一連の流路45が形成されている。具体的には、左側壁42の内部には該左側壁42を貫通する第1垂直流路46が形成され、右側壁43の内部には該右側壁43を貫通する第2垂直流路47が形成され、天井44の内部には該天井44を貫通する第1水平流路48が形成されている。第1垂直流路46の一端は拡径され、左側壁42の上端面に開口する接続穴46aを形成し、第1垂直流路46の他端は、左側壁42の下端面から突出して管継ぎ手46bを形成している。また、第2垂直流路47の一端は拡径され、右側壁43の上端面に開口する接続穴47aを形成し、第2垂直流路47の他端は、右側壁43の下端面から突出して管継ぎ手47bを形成している。さらに、第1水平流路48の一端は天井44の一側面に開口し、他端は天井44の他側面に開口している。加えて、第1垂直流路46と第2垂直流路47は、第1水平流路48を介して接続され、互いに連通している。すなわち、第1垂直流路46,第2垂直流路47及び第1水平流路48によって、第1金属パッケージ41内に一連の流路45が形成されている。
【0031】
図2に示されるように、第1金属パッケージ41の内部には、第1パッケージ基板50が収容されている。第1金属パッケージ41と第1パッケージ基板50とは物理的に接触しており、両者は熱的に接続されている。具体的には、第1金属パッケージ41の内面に形成された保持溝に第1パッケージ基板50の周縁部が嵌め込まれている。第1金属パッケージ41に収容されている第1パッケージ基板50の一面(下面)には、電源サブモジュール51及び複数の光サブモジュール52が搭載されている。電源サブモジュール51及び光サブモジュール52は、シャーシ10が備える電気コネクタ24及び光コネクタ25に対応する位置に配置されている。具体的には、電源サブモジュール51は第1パッケージ基板50の下面中央に配置されており、この電源サブモジュール51の両側に複数の光サブモジュール52が一列に並んで配置されている。すなわち、第1パッケージ基板50の下面には、電源サブモジュール51を挟んで対向する2列の光サブモジュール列が存在している。
【0032】
第1パッケージ基板50の他面(上面)には、第1半導体チップ53が実装(フリップチップ実装)され、第1半導体チップ53の両側には、一対の第1電気コネクタ(レセプタクルコネクタ)54が搭載されている。第1半導体チップ53と光サブモジュール52及び第1半導体チップ53とレセプタクルコネクタ54は、第1パッケージ基板50に形成されている配線又は/及びスルーホールを介して電気的に接続されている。
図3,
図4示されるように、第1金属パッケージ41の天井44にはスリット44aが形成されており、レセプタクルコネクタ54は第1モジュール11の上面に露出している。また、第1金属パッケージ41の天井44に形成されている第1水平流路48は、レセプタクルコネクタ54を避けるように蛇行して第1垂直流路46と第2垂直流路47とを連通させている。さらに、
図3に示されるように、第1金属パッケージ41の四隅には、第1金属パッケージ41を貫通する貫通孔55がそれぞれ形成されている。
【0033】
ここで、
図2に示される第1半導体チップ53は、ソフトウェアプログラムに記述された命令に従って演算処理等を実行するコントローラチップである。そこで、以下の説明では、第1モジュール11を“プロセッサモジュール11”と呼ぶ。また、第1半導体チップ53を“コントローラチップ53”と呼ぶ。
【0034】
図2に示されるように、第1モジュールとしてのプロセッサモジュール11が支持部材としてのシャーシ10に搭載されると、プロセッサモジュール11が備える電源サブモジュール51が、シャーシ10が備える電気コネクタ24に接続される。また、プロセッサモジュール11が備える流路45が、シャーシ10が備える流路30に接続される。さらに、プロセッサモジュール11が備える複数の光サブモジュール52が、シャーシ10が備える複数の光コネクタ25に接続される。以下、具体的に説明する。
【0035】
プロセッサモジュール11が備える電源サブモジュール51には多数の接続ピンが設けられている一方、シャーシ10が備える電気コネクタ24には複数の接続穴が設けられている。プロセッサモジュール11がシャーシ10の搭載面10bに搭載されると、電源サブモジュール51から突出している接続ピンが電気コネクタ24の接続穴に挿入され、両者が接続される。この結果、プロセッサモジュール11への電力供給が可能となる。また、プロセッサモジュール11への信号の入力及びプロセッサモジュール11からの信号の出力が可能となる。尚、プロセッサモジュール11に入出力される信号には、データ信号以外の制御信号その他の信号が含まれる。
【0036】
また、プロセッサモジュール11がシャーシ10の搭載面10bに搭載されると、第1金属パッケージ41の左側壁42から突出している管継ぎ手46bがシャーシ10に設けられている口金31aに挿入され、第1垂直流路46が送り流路30aに接続される。同時に、第1金属パッケージ41の右側壁43から突出している管継ぎ手47bがシャーシ10に設けられている口金31bに挿入され、第2垂直流路47が戻り流路30bに接続される。この結果、プロセッサモジュール11への冷却水の供給及びプロセッサモジュール11からの冷却水の回収が可能となる。すなわち、プロセッサモジュール11における冷却水の循環が可能となる。プロセッサモジュール11を循環する冷却水は、第1金属パッケージ41を介して、該第1金属パッケージ41と熱的に接続されている第1パッケージ基板50を冷却する。また、第1パッケージ基板50に実装されているコントローラチップ53や第1パッケージ基板50に搭載されている電源サブモジュール51及び光サブモジュール52も冷却する。よって、第1金属パッケージ41は熱伝導性に優れた金属材料によって形成されることが好ましく、例えばアルミニウムや銅が第1金属パッケージ41の材料として好ましい。尚、第1垂直流路46の接続穴46a及び第2垂直流路47の接続穴47aには、それぞれ止水栓56が嵌められる。
【0037】
さらに、プロセッサモジュール11がシャーシ10の搭載面10bに搭載されると、それぞれの光サブモジュール52が備える差し込み口に、対応する光コネクタ25が差し込まれる。各光サブモジュール52は発光素子及び受光素子を備えており、光信号ケーブル23から入力される光信号を電気信号に変換してコントローラチップ53へ出力する一方、コントローラチップ53から入力される電気信号を光信号に変換して光信号ケーブル23へ出力する。すなわち、それぞれの光サブモジュール52は、光信号ケーブル23とコントローラチップ53との間で光電変換を行う。光サブモジュール52が備える発光素子としては、例えば垂直共振器面発光レーザ(VCSEL/Vertical Cavity Surface Emitting LASER)が用いられる。また、光サブモジュール52が備える受光素子としては、例えばフォトダイオード(PD/Photodiode)が用いられる。それぞれの光サブモジュール52は、発光素子を駆動するための駆動ICや受光素子から出力される電気信号を増幅するための増幅ICも備えている。これら、駆動ICや増幅ICは、発光素子や受光素子が実装される基板上に実装され、ボンディングワイヤを介して発光素子や受光素子と接続される。さらに、それぞれの光サブモジュール52は、発光素子から出射される光信号を光信号ケーブル23に入射させ、又は光信号ケーブル23から出射される光信号を受光素子に入射させるためのレンズブロックを備えている。レンズブロックの端面からは、光コネクタ25の端面に形成されている位置決め穴に挿入されるガイドピンが突出している。
【0038】
また、プロセッサモジュール11がシャーシ10の搭載面10bに搭載されると、プロセッサモジュール11に設けられている貫通孔55(
図3)とシャーシ10に設けられている貫通孔32(
図3)とが連通する。シャーシ10とプロセッサモジュール11とは、連通した貫通孔32,55に挿入される不図示のボルトによって互いに固定される。
【0039】
以上のように、プロセッサモジュール11がシャーシ10に搭載されると、電源サブモジュール51が電気コネクタ24に接続され、流路45が流路30に接続され、光サブモジュール52が光コネクタ25に接続される。そして、シャーシ10に搭載されている複数のプロセッサモジュール11の間で信号の送受信が可能となる。また、それぞれのプロセッサモジュール11と外部のモジュールや機器との間での信号の送受信も可能となる。
【0040】
ここで、各プロセッサモジュール11内におけるコントローラチップ53と光サブモジュール52との間の信号のやり取りの大部分は、第1パッケージ基板50に形成されている配線を介して行われる。また、シャーシ10に搭載されている複数のプロセッサモジュール11の間の信号のやり取りは光信号ケーブル23を介して行われる。
【0041】
すなわち、本実施形態に係るマルチモジュール1Aでは、高速デジタル信号のやり取りにマザーボードが介在することはなく、高速デジタル信号のやり取りは、マザーボードに比べて極めて伝送損失の少ない第1パッケージ基板50や光信号ケーブル(光ファイバ)23を介して行われる。このため、高速デジタル信号の劣化が抑制され、補償回路が不要、又は必要な補償回路の数が少なくなる。また、シャーシ10と複数の第1金属パッケージ41とが熱的に接続され、第1パッケージ基板50に実装されているコントローラチップ53その他の発熱体が冷却(水冷)される。さらに、1つのシャーシ10に複数のプロセッサモジュール11が搭載されている。すなわち、複数のモジュールが少ないスペースに高密度で配置されている。
【0042】
尚、第1半導体チップはコントローラチップ53に限定されない。例えば、
図1(a),(b)に示される複数の第1モジュール11の1つが備える第1半導体チップがコントローラチップであり、他の第1モジュール11が備える第1半導体チップがメモリチップ,スイッチチップ,ルータチップその他の半導体チップである実施形態もある。この場合、マルチモジュール1Aは、サーバやネットワーク機器等として動作可能である。また、それぞれの第1モジュール11が備えるメモリチップ,スイッチチップ,ルータチップその他の半導体チップは、中心となる第1モジュール11が備えるコントローラチップによって統括的に制御される。すなわち、複数の第1モジュール11の1つが残りの第1モジュール11を統括的に制御する。また、第1モジュール11の数や種類を適宜増減させることによって、機能や容量を容易に縮小又は拡大させることができる。
【0043】
(第2の実施形態)
以下、本発明の実施形態の他の一例について
図5〜
図7を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係るマルチモジュールは、第1の実施形態に係るマルチモジュールと共通の基本構造を有する。そこで、主に第1の実施形態に係るマルチモジュールとの相違点について説明する。また、第1の実施形態に係るマルチモジュールと共通の構成については図面中に同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0044】
図5に示されるマルチモジュール1Bでは、シャーシ10の各搭載面10bに、その長手方向(高さ方向)に沿って5つの第1モジュール(プロセッサモジュール)11が搭載され、それぞれのプロセッサモジュール11の上に、第2モジュール12が重ねて搭載されている。
【0045】
図6に示されるように、第2モジュール12は、第1金属パッケージ41と略同一の外観形状を有する第2パッケージ61を備えている。本実施形態における第2パッケージ61は金属製である。そこで、以下の説明では、第2パッケージ61を“第2金属パッケージ61”と呼ぶ。
【0046】
第2金属パッケージ61は、ダイカスト又は切削加工によって所定形状に形成されており、左側壁62,右側壁63及び天井64を有する。これら左側壁62,右側壁63及び天井64の内部には一連の流路65が形成されている。具体的には、左側壁62の内部には該左側壁62を貫通する第3垂直流路66が形成され、右側壁63の内部には該右側壁63を貫通する第4垂直流路67が形成され、天井64の内部には該天井64を貫通する第2水平流路68が形成されている。第3垂直流路66の一端は拡径され、左側壁62の上端面に開口する接続穴66aを形成し、第3垂直流路66の他端は、左側壁62の下端面から突出して管継ぎ手66bを形成している。また、第4垂直流路67の一端は拡径され、右側壁63の上端面に開口する接続穴67aを形成し、第4垂直流路67の他端は、右側壁63の下端面から突出して管継ぎ手67bを形成している。さらに、第2水平流路68の一端は天井64の一側面に開口し、他端は天井64の他側面に開口している。加えて、第3垂直流路66と第4垂直流路67は、第2水平流路68を介して接続され、互いに連通している。すなわち、第3垂直流路66,第4垂直流路67及び第2水平流路68によって、第2金属パッケージ61内に一連の流路65が形成されている。
【0047】
第2金属パッケージ61の内部には、第2パッケージ基板70が収容されている。第2金属パッケージ61と第2パッケージ基板70とは物理的に接触しており、両者は熱的に接続されている。具体的には、第2金属パッケージ61の内面に形成された保持溝に第2パッケージ基板70の周縁部が嵌め込まれている。第2金属パッケージ61に収容されている第2パッケージ基板70の一面(下面)には、一対の第2電気コネクタ(プラグコネクタ)72が搭載されている。一方、第2パッケージ基板70の他面(上面)には、複数の第2半導体チップ73が3次元実装され、これら第2半導体チップ73の両側に、一対の第3電気コネクタ(レセプタクルコネクタ)74が搭載されている。第2半導体チップ73とプラグコネクタ72及び第2半導体チップ73とレセプタクルコネクタ74は、第2パッケージ基板70に形成されている配線又は/及びスルーホールを介して電気的に接続されている。また、複数の第2半導体チップ73同士も必要に応じて電気的に接続されている。
【0048】
第2金属パッケージ61の天井64には、
図3に示されるスリット44aと同様のスリットが形成されており、レセプタクルコネクタ74は第2モジュール12の上面に露出している。また、第2金属パッケージ61の天井64に形成されている第2水平流路68は、
図3に示される第1水平流路48と同様に、レセプタクルコネクタ74を避けるように蛇行して第3垂直流路66と第4垂直流路67とを連通させている。さらに、第2金属パッケージ61の四隅には、第2金属パッケージ61を貫通する貫通孔がそれぞれ形成されている。
【0049】
ここで、
図6に示される第2半導体チップ73はメモリチップである。具体的には、第2半導体チップ73は、揮発性メモリチップ(DRAM/Dynamic Random Access Memory)である。そこで、以下の説明では、第2モジュール12を“メモリモジュール12”と呼ぶ。また、第2半導体チップ73を“メモリチップ73”と呼ぶ。
【0050】
図6に示されるように、メモリモジュール12がプロセッサモジュール11の上に重ねて搭載されると、メモリモジュール12が備えるプラグコネクタ72が、プロセッサモジュール11が備えるレセプタクルコネクタ54に接続される。同様に、メモリモジュール12が備える流路65が、プロセッサモジュール11が備える流路45に接続される。以下、具体的に説明する。
【0051】
メモリモジュール12がプロセッサモジュール11の上に重ねて搭載されると、プラグコネクタ72がレセプタクルコネクタ54に差し込まれ、両コネクタ72,54が接続される。この結果、第1パッケージ基板50と第2パッケージ基板70とが電気的に接続され、プロセッサモジュール11からメモリモジュール12へ電力供給が可能となる。また、コントローラチップ53の制御に基づいて、メモリチップ73へのデータやプログラムの書き込み、及びメモリチップ73からのデータやプログラムの読み出しが可能となる。
【0052】
また、メモリモジュール12がプロセッサモジュール11の上に重ねて搭載されると、第2金属パッケージ61の左側壁62から突出している管継ぎ手66bが第1金属パッケージ41の左側壁42に開口している接続穴46aに挿入され、第3垂直流路66が第1垂直流路46に接続される。同時に、第2金属パッケージ61の右側壁63から突出している管継ぎ手67bが第1金属パッケージ41の右側壁43に開口している接続穴47aに挿入され、第4垂直流路67が第2垂直流路47に接続される。この結果、メモリモジュール12への冷却水の供給及びメモリモジュール12からの冷却水の回収が可能となる。すなわち、メモリモジュール12において冷却水の循環が可能となる。メモリモジュール12を循環する冷却水は、第2金属パッケージ61を介して、該第2金属パッケージ61と熱的に接続されている第2パッケージ基板70及び第2パッケージ基板70に実装されているメモリチップ73を冷却する。尚、
図2に示される止水栓56は、第3垂直流路66の接続穴66a及び第4垂直流路67の接続穴67aに嵌められる。
【0053】
また、メモリモジュール12がプロセッサモジュール11の上に搭載されると、メモリモジュール12に設けられている貫通孔(不図示)とプロセッサモジュール11に設けられている貫通孔55(
図3)とが連通する。
【0054】
以上のように、プロセッサモジュール11がシャーシ10に搭載されると、電源サブモジュール51が電気コネクタ24に接続され、流路45が流路30に接続され、光サブモジュール52が光コネクタ25に接続される。また、メモリモジュール12がプロセッサモジュール11の上に重ねて搭載されると、プラグコネクタ72がレセプタクルコネクタ54に接続され、流路65が流路45に接続される。すなわち、プロセッサモジュール11がシャーシ10に接続され、シャーシ10に接続されたプロセッサモジュール11にメモリモジュール12が接続される。換言すれば、複数のモジュール(プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12)が多段接続される。そして、プロセッサモジュール11とメモリモジュール12との間で信号の送受信が可能となる。すなわち、多段接続された一群のモジュール内部で信号の送受信(入出力)が可能となる。また、多段接続された一群のモジュールと他の一群のモジュールとの間で信号の送受信が可能となる。さらに、多段接続された一群のモジュールと外部機器との間で信号の送受信が可能となる。
【0055】
尚、上記のように重ねられたシャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12は、連通したシャーシ10の貫通孔32(
図3),プロセッサモジュール11の貫通孔55(
図3)及びメモリモジュールの貫通孔(不図示)に挿入された不図示のボルトによって固定される。
【0056】
ここで、プロセッサモジュール11内におけるコントローラチップ53と光サブモジュール52との間の信号のやり取りの大部分は、第1パッケージ基板50に形成されている配線を介して行われる。また、プロセッサモジュール11が備えるコントローラチップ53とメモリモジュール12が備えるメモリチップ73との間の信号のやり取りの大部分は、第1パッケージ基板50及び第2パッケージ基板70を介して行われる。すなわち、高速デジタル信号のやり取りにマザーボードが介在することはなく、高速デジタル信号のやり取りは、マザーボードに比べて極めて伝送損失の少ないパッケージ基板を介して行われる。このため、高速デジタル信号の劣化が抑制され、補償回路が不要、又は必要な補償回路の数が少なくなる。また、シャーシ10,複数の第1金属パッケージ41及び複数の第2金属パッケージ61が互いに熱的に接続され、第1パッケージ基板50に実装されているコントローラチップ53,第2パッケージ基板70に実装されているメモリチップ73その他の発熱体が冷却(水冷)される。さらに、1つのシャーシ10に複数のプロセッサモジュール11及びメモリモジュール12が搭載されている。すなわち、複数のモジュールが少ないスペースに高密度で配置されている。
【0057】
本実施形態に係るマルチモジュール1Bが第1の実施形態に係るマルチモジュール1Aと同様に、サーバやネットワーク機器等として動作可能であることは明かである。また、第1モジュール11や第2モジュール12の数や種類を適宜増減させることによって、機能や容量を容易に縮小又は拡大させることができる点もマルチモジュール1Aと同様である。
【0058】
図7に示されるように、シャーシ10の側壁10aの幾つかはヒンジ80によって回動可能に連結されている。すなわち、シャーシ10は展開可能である。そして、シャーシ10の内部の組立作業やメンテナンス作業の際にはシャーシ10が展開される。シャーシ10の内部の組立作業とは、例えば、
図6に示される電源ケーブル21や光信号ケーブル23の配線作業や、電源装置や冷却装置の設置作業等である。尚、
図1に示されるシャーシ10も
図7に示されるシャーシ10と同様に展開可能としてもよい。また、シャーシ10の形状は八角形(多角形)に限られず、任意の形状にすることができる。
【0059】
(第3の実施形態)
以下、本発明の実施形態の他の一例について
図8を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係るマルチモジュールは、第1及び第2の実施形態に係るマルチモジュールと共通の基本構造を有する。そこで、主に第1及び第2の実施形態に係るマルチモジュールとの相違点について説明する。また、第1及び第2の実施形態に係るマルチモジュールと共通の構成については
図8中に同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0060】
図8に示されるマルチモジュール1Cは、シャーシ10,第1モジュール(プロセッサモジュール)11及び第2モジュール(メモリモジュール)12を有する。プロセッサモジュール11はシャーシ10に搭載され、メモリモジュール12はプロセッサモジュール11の上に重ねて搭載されている。これらシャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12は、第1及び第2の実施形態におけるそれらと同一の構造を有する。
【0061】
図8に示されるマルチモジュール1Cでは、円柱状の熱伝導部材90がシャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12を貫いている。具体的には、シャーシ10の各側壁10a,第1金属パッケージ41及び第2金属パッケージ61の四隅には、それぞれ貫通孔91a,91b,91cが形成されている。そして、シャーシ10の各側壁10aの上にプロセッサモジュール11が搭載され、プロセッサモジュール11の上にメモリモジュール12が搭載されると、貫通孔91a,91b,91cが互いに連通する。すなわち、シャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12を貫く複数の貫通孔91が形成される。熱伝導部材90は上記のようにして形成された貫通孔91のそれぞれに挿入されている。
【0062】
熱伝導部材90の少なくとも一部には複数の放熱フィン92が設けられている。本実施形態では、シャーシ10の内側に位置する熱伝導部材90の下部に放熱フィン92が設けられている。プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12から発せられた熱は、熱伝導部材90を介して放熱フィン92に伝えられ、放熱フィン92の表面から空気中に放出される。すなわち、本実施形態では、プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12が空冷される。尚、シャーシ内部の自然対流でもよいが、高性能装置においては、ファンによる強制空冷が好ましい。また、熱伝導部材90はヒートパイプであることが望ましい。また、熱伝導部材90は、シャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12を互いに固定する固定部材としても機能する。もっとも、熱伝導部材90とは別の固定部材によってシャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12を互いに固定することもできる。
【0063】
(第4の実施形態)
以下、本発明の実施形態の他の一例について
図9を参照しながら詳細に説明する。もっとも、本実施形態に係るマルチモジュールは、第1乃至第3の実施形態に係るマルチモジュールと共通の基本構造を有する。そこで、主に第1乃至第3の実施形態に係るマルチモジュールとの相違点について説明する。また、第1乃至第3の実施形態に係るマルチモジュールと共通の構成については
図9中に同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0064】
図9に示されるマルチモジュール1Dは、シャーシ10,第1モジュール(プロセッサモジュール)11,第2モジュール(メモリモジュール)12及び第3モジュール13を有する。プロセッサモジュール11はシャーシ10に搭載され、メモリモジュール12はプロセッサモジュール11の上に重ねて搭載され、第3モジュール13はメモリモジュール12の上に重ねて搭載されている。これらシャーシ10,プロセッサモジュール11及びメモリモジュール12は、第1乃至第3の実施形態におけるそれらと同一の基本構造を有する。
【0065】
第3モジュール13は、第1金属パッケージ41及び第2金属パッケージ61と略同一の外観形状を有する第3パッケージ101を備えている。本実施形態における第3パッケージ101は金属製である。そこで、以下の説明では、第3パッケージ101を“第3金属パッケージ101”と呼ぶ。
【0066】
第3金属パッケージ101は、左側壁102,右側壁103及び天井104を有する。これら左側壁102,右側壁103及び天井104の内部には一連の流路105が形成されている。具体的には、左側壁102の内部には該左側壁102を貫通する第5垂直流路106が形成され、右側壁103の内部には該右側壁103を貫通する第6垂直流路107が形成され、天井104の内部には該天井104を貫通する第3水平流路108が形成されている。第5垂直流路106の一端は拡径され、左側壁102の上端面に開口する接続穴106aを形成し、第5垂直流路106の他端は、左側壁102の下端面から突出して管継ぎ手106bを形成している。また、第6垂直流路107の一端は拡径され、右側壁103の上端面に開口する接続穴107aを形成し、第6垂直流路107の他端は、右側壁103の下端面から突出して管継ぎ手107bを形成している。さらに、第3水平流路108の一端は天井104の一側面に開口し、他端は天井104の他側面に開口している。加えて、第5垂直流路106と第6垂直流路107は、第3水平流路108を介して接続され、互いに連通している。すなわち、第5垂直流路106,第6垂直流路107及び第3水平流路108によって、第3金属パッケージ101内に一連の流路105が形成されている。
【0067】
第3金属パッケージ101の内部には、第3パッケージ基板110が収容されている。第3金属パッケージ101と第3パッケージ基板110とは物理的に接触しており、両者は熱的に接続されている。具体的には、第3金属パッケージ101の内面に形成された保持溝に第3パッケージ基板110の周縁部が嵌め込まれている。第3パッケージ基板110の一面(下面)には、一対の第4電気コネクタ(プラグコネクタ)112が搭載されている。一方、第3パッケージ基板110の他面(上面)には、複数の第3半導体チップ113が3次元実装され、これら第3半導体チップ113の両側に、一対の第5電気コネクタ(レセプタクルコネクタ)114が搭載されている。第3半導体チップ113とプラグコネクタ112及び第3半導体チップ113とレセプタクルコネクタ114は、第3パッケージ基板110に形成されている配線又は/及びスルーホールを介して電気的に接続されている。また、複数の第3半導体チップ113同士も必要に応じて電気的に接続されている。
【0068】
第3金属パッケージ101の天井104には、
図3に示されるスリット44aと同様のスリットが形成されており、レセプタクルコネクタ114は第3モジュール13の上面に露出している。また、第3金属パッケージ101の天井104に形成されている第3水平流路108は、
図3に示される第1水平流路48と同様に、レセプタクルコネクタ114を避けるように蛇行して第5垂直流路106と第6垂直流路107とを連通させている。さらに、第3金属パッケージ101の四隅には、不図示の貫通孔がそれぞれ形成されている。
【0069】
ここで、
図9に示される第3半導体チップ113はメモリチップである。具体的には、第3半導体チップ113は、不揮発性メモリチップ(例えばフラッシュメモリ)である。そこで、以下の説明では、第3モジュール13を“ストレージモジュール13”と呼ぶ。また、第3半導体チップ113を“メモリチップ113”と呼ぶ。
【0070】
図9に示されるように、ストレージモジュール13がメモリモジュール12の上に重ねて搭載されると、ストレージモジュール13が備えるプラグコネクタ112が、メモリモジュール12が備えるレセプタクルコネクタ74に接続される。同様に、ストレージモジュール13が備える流路105が、メモリモジュール12が備える流路65に接続される。以下、具体的に説明する。
【0071】
ストレージモジュール13がメモリモジュール12の上に重ねて搭載されると、プラグコネクタ112がレセプタクルコネクタ74に差し込まれ、両コネクタ112,74が接続される。この結果、第1パッケージ基板50,第2パッケージ基板70及び第3パッケージ基板110が電気的に接続され、プロセッサモジュール11からストレージモジュール13へ電力供給が可能となる。また、コントローラチップ53の制御に基づく、メモリチップ113へのデータやプログラムの書き込み、及びメモリチップ113からのデータやプログラムの読み出しが可能となる。
【0072】
また、ストレージモジュール13がメモリモジュール12の上に重ねて搭載されると、第3金属パッケージ101の左側壁102から突出している管継ぎ手106bが第2金属パッケージ61の左側壁62に開口している接続穴66aに挿入され、第5垂直流路106が第3垂直流路66に接続される。同時に、第3金属パッケージ101の右側壁103から突出している管継ぎ手107bが第2金属パッケージ61の右側壁63に開口している接続穴67aに挿入され、第6垂直流路107が第4垂直流路67に接続される。この結果、ストレージモジュール13への冷却水の供給及びストレージモジュール13からの冷却水の回収が可能となる。すなわち、ストレージモジュール13において冷却水の循環が可能となる。ストレージモジュール13を循環する冷却水は、第3金属パッケージ101を介して、該第3金属パッケージ101と熱的に接続されている第3パッケージ基板110及び第3パッケージ基板110に実装されているメモリチップ113を冷却する。尚、
図6に示される止水栓56は、第5垂直流路106の接続穴106a及び第6垂直流路107の接続穴107aにそれぞれ嵌められる。
【0073】
以上のように、本実施形態に係るマルチモジュール1Dは、プロセッサモジュール11と、プロセッサモジュール11の上に重ねて搭載されるメモリモジュール12と、メモリモジュール12の上に重ねて搭載されるストレージモジュール13と、を有する。そして、メモリモジュール12は揮発性メモリチップを備えており、ストレージモジュール13は不揮発性メモリチップを備えている。よって、マルチモジュール1Dは、サーバ,ネットワーク機器,コンピュータ等として動作可能である。また、第1モジュール11,第2モジュール12及び第3モジュール13の数や種類を適宜増減させることによって、機能や容量を容易に縮小又は拡大させることができる。
【0074】
ここで、プロセッサモジュール11が備えるコントローラチップ53、メモリモジュール12が備えるメモリチップ73及びストレージモジュール13が備えるメモリチップ113の間の信号のやり取りの大部分は、第1パッケージ基板50,第2パッケージ基板70及び第3パッケージ基板110を介して行われる。すなわち、高速デジタル信号のやり取りにマザーボードが介在することなく、高速デジタル信号のやり取りは、マザーボードに比べて極めて伝送損失の少ないパッケージ基板を介して行われる。このため、高速デジタル信号の劣化が抑制され、補償回路が不要、又は必要な補償回路の数が少なくなる。また、シャーシ10,複数の第1金属パッケージ41,複数の第2金属パッケージ61及び複数の第3金属パッケージ101が熱的に接続され、第1パッケージ基板50に実装されているコントローラチップ53,第2パッケージ基板70に実装されているメモリチップ73,第3パッケージ基板110に実装されているメモリチップ113その他の発熱体が冷却(水冷)される。さらに、1つのシャーシ10に複数のプロセッサモジュール11,メモリモジュール12及びストレージモジュール13が搭載されている。すなわち、複数のモジュールが少ないスペースに高密度で配置されている。
【0075】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、第1パッケージ41,第2パッケージ61及び第3パッケージ101は金属製に限定されない。
【0076】
また、第1半導体チップとしてのコントローラチップ53,第2半導体チップとしてのメモリチップ73及び第3半導体チップとしてのメモリチップ113は、相互に置換可能である。例えば、
図1に示される第1モジュール11が備える第1半導体チップ(コントローラチップ)53と、第2モジュール12が備える第2半導体チップ(メモリチップ)73とは相互に置換可能である。この場合、第1モジュール11がメモリモジュールとなり、第2モジュール12がプロセッサモジュールとなる。さらに、
図6に示される光サブモジュール52は、第2モジュール12に移設されるとともに、第1モジュール11内には、光信号ケーブル23と第2モジュール12に移設された光サブモジュール52との間で光信号を橋渡しする光伝送路が設けられる。もっとも、第1モジュール11と第2モジュール12との積層間隔が短い場合(例えば5cm以下)や、信号の伝送速度が遅い場合(例えば25Gbit/sec以下)の場合には、光サブモジュール52を第1モジュール11に存置させてもよい。