(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤハーネス1、ならびにワイヤハーネス1によって接続される電動モータ91及びインバータ92を示す概略図である。このワイヤハーネス1は、本発明に係る配線部材の一例である。
【0011】
ワイヤハーネス1は、例えば車両に搭載され、車両を駆動する駆動力を発生する駆動源としての電動モータ91に、インバータ92から出力されるPWM(Pulse Width Modulation)制御された駆動電流を供給する。この駆動電流には、パワートランジスタ等のスイッチング素子のスイッチングによる高調波成分が含まれる。
【0012】
ワイヤハーネス1は、一端部に電動モータ91の筐体に固定される第1電線保持部1aが設けられ、他端部にインバータ92の筐体に固定される第2電線保持部1bが設けられている。また、ワイヤハーネス1は、U相,V相,及びW相の三相交流電流を電動モータ91に供給する複数(3本)の電線(第1乃至第3の電線11〜13)と、これら第1乃至第3の電線11〜13を覆う編組シールド10と、第1乃至第3の電線11〜13を挿通させる筒状の電磁波吸収部品2と、電動モータ91によって駆動される車両の車体に電磁波吸収部品2を固定するための固定部材3と、電磁波吸収部品2及び編組シールド10に巻き回された樹脂テープ14と、可撓性を有する絶縁体からなる収容部材としての管状のコルゲートチューブ15とを有している。なお、収容部材として、コルゲートチューブ15に換えて、金属製のパイプを用いることも可能である。
【0013】
第1乃至第3の電線11〜13は、一端が電動モータ91に接続され、他端がインバータ92に接続されている。より詳細には、電動モータ91の筐体に固定された第1電線保持部1aから突出した第1乃至第3の電線11〜13の一端部が電動モータ91の図略の端子台に接続され、インバータ92の筐体に固定される第2電線保持部1bから突出した第1乃至第3の電線11〜13の他端部がインバータ92の図略の端子台に接続されている。
【0014】
電磁波吸収部品2は、第2電線保持部1bの近傍に配置されている。すなわち、電磁波吸収部品2は、第1乃至第3の電線11〜13の長手方向において、ノイズ発生源であるインバータ92側に片寄った位置に配置されている。これにより、第1乃至第3の電線11〜13から放射される電磁波が電磁波吸収部品2によって効率的に吸収される。
【0015】
樹脂テープ14は、電磁波吸収部品2、及び電磁波吸収部品2の両端部を含む範囲における編組シールド10に外周側から巻き回されている。編組シールド10は、第1乃至第3の電線11〜13の軸方向における電磁波吸収部品2の両側で、樹脂テープ14によって第1乃至第3の電線11〜13に向かって締め付けられている。
【0016】
固定部材3は、電磁波吸収部品2の外周側に配置され、帯状の締結部材31によって固定されている。締結部材31は、樹脂テープ14の外側から電磁波吸収部品2を締め付けている。固定部材3には、車体への固定のためのボルトを挿通させる挿通孔3aが形成されている。
【0017】
コルゲートチューブ15は、第1乃至第3の電線11〜13及び編組シールド10の一部を覆っている。本実施の形態では、コルゲートチューブ15が電磁波吸収部品2と第1電線保持部1aとの間に配置されている。また、コルゲートチューブ15には、可撓性を高めるために、大径部と小径部とが交互に形成されている。
【0018】
第1電線保持部1a及び第2電線保持部1bは、それぞれ同様に構成されている。次に、第1電線保持部1aを例にとって、その構成を
図2を参照して詳細に説明する。
【0019】
図2は、第1電線保持部1aを示し、(a)は外観図、(b)は分解図である。
【0020】
第1電線保持部1aは、導電性の金属からなるシールドシェル4、シールドシェル4に一部が収容され、第1乃至第3の電線11〜13を保持する樹脂からなるハウジング5、ハウジング5に連結され、環状のシール部材60を保持するシール保持部材6、編組シールド10の外周に配置される環状部材7、及び帯状の締付部材8を有して構成されている。第1乃至第3の電線11〜13のそれぞれの端部には、接続端子110,120,130が例えば圧着により接続されている。
【0021】
シールドシェル4は、ハウジング5の一部を収容する筒状の収容部41と、電動モータ91の筐体に固定されるフランジ部42とを一体に有している。フランジ部42には図略のボルト挿通孔が形成され、このボルト挿通孔を挿通するボルトによってシールドシェル4が電動モータ91の接地された筐体に固定される。
【0022】
ハウジング5は、第1乃至第3の電線11〜13を挿通する挿通孔を有し、シールドシェル4の収容部41に例えば圧入によって固定されている。シール保持部材6によって保持されるシール部材60は、シール保持部材6と電動モータ91の筐体に形成された取付孔の内面との間をシールする。
【0023】
環状部材7は、例えばアセテートクロステープであり、シールドシェル4の収容部41との間に編組シールド10を挟んで、編組シールド10の外周に複数回にわたって環状に巻き回されている。締付部材8は、例えばステンレス等の金属からなり、環状部材7の外周側に配置されている。編組シールド10は、締付部材8の締め付け力によってシールドシェル4に押し付けられている。これにより、編組シールド10は、シールドシェル4を介して電動モータ91の筐体に電気的に接続されている。
【0024】
図3は、電磁波吸収部品2の周辺部におけるワイヤハーネス1の断面図である。
図3では、電磁波吸収部品2、樹脂テープ14、及び編組シールド10を第1乃至第3の電線11〜13に沿って切断した断面を図示している。
図4は、電磁波吸収部品2の分解斜視図である。
【0025】
電磁波吸収部品2の中心部には、第1乃至第3の電線11〜13を挿通させる貫通孔20が形成されている。つまり、電磁波吸収部品2の貫通孔20には、複数の電線(第1乃至第3の電線11〜13)が一括して挿通されている。第1乃至第3の電線11〜13は、同一の外径を有し、この外径は、貫通孔20の内径の10%以上46%以下である。
【0026】
また、電磁波吸収部品2は、第1磁性体コア21、第2磁性体コア22、第1ゴム部材23、及び第2ゴム部材24を備えている。電磁波吸収部品2の貫通孔20は、第1磁性体コア21の中心部に形成された貫通孔21a、第2磁性体コア22の中心部に形成された貫通孔22a、及び第1ゴム部材23の中心部に形成された貫通孔23aの結合により形成されている。
【0027】
第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22としては、フェライトコア、アモルファスコア、あるいはパーマロイコア等の高透磁率の環状のコア部材を用いることができる。本実施の形態では、第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22が軟磁性を示すソフトフェライト(例えば、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト等)からなる。なお、その他に、六方晶フェライト(ハードフェライト)やガーネットフェライト、あるいはコバルトフェライトを用いることが可能である。
【0028】
第1磁性体コア21と第2磁性体コア22とは、第1乃至第3の電線11〜13の軸方向に沿って並列している。第1磁性体コア21は、環状の一部材として形成されていてもよく、例えば断面半円状の一対の部材の組み合わせにより環状に形成されていてもよい。第2磁性体コア22についても同様である。
【0029】
第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22は、第1乃至第3の電線11〜13から放射される電磁波(電磁ノイズ)を吸収し、この電磁波のエネルギーを振動等の力学的エネルギーや熱エネルギーに変換する。これにより、ワイヤハーネス1から放射される電磁波が周辺に配置された制御装置等に及ぼす悪影響が低減される。
【0030】
第1ゴム部材23は、第1磁性体コア21と第2磁性体コア22との間に挟持された環板状の部材であり、第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22の電磁波の吸収に伴う振動や車両の振動による摩耗を抑制している。第2ゴム部材24は、その内周面を第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22の外周面に対向させて第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22の外周側に配置された筒状の部材である。第1ゴム部材23及び第2ゴム部材24は、例えば接着により第1磁性体コア21及び第2磁性体コア22に一体化されている。電磁波吸収部品2の外径は、例えば58mmである。また、電磁波吸収部品2としては、例えば、50グラム以上600グラム以下のものが使用される。
【0031】
(ワイヤハーネス1の製造方法)
図5(a)は、樹脂テープ14を巻き回す前の製造段階における電磁波吸収部品2及び編組シールド10を示す側面図であり、
図5(b)は
図5(a)のA部拡大図である。
図6は、
図5(a)のB−B線断面図である。なお、
図5(a)における第1乃至第3の電線11〜13の左方に第1電線保持部1aが配置され、右方に第2電線保持部1bが配置されているものとする。
【0032】
ワイヤハーネス1の製造時には、以下の手順で組み付けが行われる。まず、中心導体を絶縁体で被覆してなる絶縁電線を所定の長さに切断して第1乃至第3の電線11〜13とし、これら第1乃至第3の電線11〜13を束ねて編組シールド10に挿通させる。この際の編組シールド10の内径は、第1乃至第3の電線11〜13を束ねた太さよりも大きく、電磁波吸収部品2の外径よりも小さい寸法である。
【0033】
次に、編組シールド10の長手方向における一方の端部(本実施の形態では、第2電線保持部1b側の端部)から所定の長さに亘って編組シールド10をその周方向に引き伸ばし、編組シールド10の内径を電磁波吸収部品2の外径よりも大きい寸法とする。そして、引き伸ばされた編組シールド10の内側に電磁波吸収部品2を配置する。その後、電磁波吸収部品2が通過した範囲の編組シールド10を第1乃至第3の電線11〜13に押し付けて縮径させ、
図5(a)に示す状態とする。
【0034】
この状態では、電磁波吸収部品2の外周面2a及び軸方向の両端面2b,2cが編組シールド10によって覆われ、電磁波吸収部品2の第1乃至第3の電線11〜13に対する軸方向の移動が規制されている。すなわち、編組シールド10は、電磁波吸収部品2の外周面2a及び軸方向の両端面2b,2cを覆うことにより、電磁波吸収部品2の軸方向移動を規制している。
【0035】
次に、コルゲートチューブ15を装着し、第1乃至第3の電線11〜13の両端部にシールドシェル4、ハウジング5、及びシール保持部材6を挿通させた後、第1乃至第3の電線11〜13の両端部における絶縁体111,121,131(
図6参照)を除去して中心導体112,122,132を露出させる。そして、露出した中心導体112,122,132に接続端子110,120,130を圧着する。その後さらに、シールドシェル4の外周に編組シールド10の端部を環状部材7及び締付部材8によって固定し、第1電線保持部1a及び第2電線保持部1bを構成する。
【0036】
次に、電磁波吸収部品2を編組シールド10の外側から覆うように樹脂テープ14を巻き回し、この樹脂テープ14の外側に固定部材3を締結部材31によって固定する。以上により、ワイヤハーネス1の組み付けが完了する。
【0037】
(編組シールド10の構成)
図5(a)及び(b)に示すように、編組シールド10は、複数の素線100からなる素線束101を格子状に編み合せてなる。本実施の形態では、編組シールド10の持数が5であり、打数が36である。ここで、持数とは、1つの素線束101に含まれる素線100の本数である。また、打数とは、編組シールド10に含まれる素線束101の数である。素線束101の巻きピッチは、例えば100〜400mmである。
【0038】
素線100は、メッキが施された銅線であり、より具体的には錫メッキ軟銅線である。ただし、素線100として、ニッケル又は銀がメッキされた銅線を用いてもよい。
【0039】
素線100の素線径d(mm)は、0.12≦d≦0.32(0.12mm以上0.32mm以下)であることが望ましい。素線径dが0.12mm以下であると、素線強度が弱くなり、編組シールド10の製造(編み組み作業)時に断線してしまう虞があり、素線径dが0.32mm以上であると、編組シールド10が硬くなり(編組シールド10を拡径しにくくなり)、第1乃至第3の電線11〜13や電磁波吸収部品2を編組シールド10に挿通させていく作業の作業性が低下する虞があるためである。
【0040】
また、編組シールド10の持数をnとし、打数をmとしたとき、1≦n≦15、かつ10≦m≦50であることが望ましい。打数mが10未満であると、素線束101間の隙間が大きくなって電磁波吸収部品2を保持できない虞があるためである。また、持数nが15を超えたり、打数mが50を超えると、編組シールド10のコスト上昇につながると共に、編組シールド10が硬くなり(編組シールド10を拡径しにくくなり)、第1乃至第3の電線11〜13や電磁波吸収部品2を編組シールド10に挿通させていく作業の作業性が低下する虞があるためである。
【0041】
すなわち、編組シールド10の持数nが1以上15以下であり、打数mが10以上50以下の範囲であれば、製造時における作業性の低下を抑制しながら、電磁波吸収部品2の外周面2a及び軸方向の両端面2b,2cが編組シールド10によって覆われた状態で、電磁波吸収部品2の軸方向移動を編組シールド10によって規制する効果をより高めることができる。
【0042】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用及び効果が得られる。
【0043】
(1)編組シールド10は、電磁波吸収部品2の外周面2a及び軸方向の両端面2b,2cを覆うことにより電磁波吸収部品2の軸方向移動を規制するので、電磁波吸収部品2の軸方向の位置を固定するための専用の固定部品を用いなくとも、第1乃至第3の電線11〜13に対する電磁波吸収部品2の軸方向移動を規制することができる。特に、ワイヤハーネス1の製造時には、上記のように電磁波吸収部品2の貫通孔20に第1乃至第3の電線11〜13を挿通させた後に第1電線保持部1a及び第2電線保持部1bを組み立てる必要があり、電磁波吸収部品2の軸方向移動が規制されていないと、電磁波吸収部品2が第1電線保持部1a及び第2電線保持部1bを組み立てる作業の妨げになるおそれがあるが、本実施の形態によれば、第1電線保持部1a及び第2電線保持部1bの組み立て時に電磁波吸収部品2が障害となることが抑制される。また、ワイヤハーネス1を車両用に用いる場合、車両の振動による第1乃至第3の電線11〜13の振動に起因する電磁波吸収部品2の軸方向移動を抑制することが可能である。
【0044】
(2)編組シールド10は、持数が1〜15、打数が10〜50であり、素線100の素線径が0.12〜0.32mmであるので、電磁波吸収部品2の軸方向移動を規制する効果を高めることができる。
【0045】
(3)編組シールド10は、樹脂テープ14によって電磁波吸収部品2の両側で第1乃至第3の電線11〜13に向かって締め付けられているので、編組シールド10に対する電磁波吸収部品2の相対移動を規制する効果がより高まる。
【0046】
(4)第1乃至第3の電線11〜13から放射される電磁波は、編組シールド10に加えて電磁波吸収部品2で吸収されるので、車両の駆動源としての電動モータ91に電流を供給するインバータ92において発生する大きなノイズに対しても、適切なノイズ低減性能を示すことができる。
【0047】
(5)電磁波吸収部品2の外周側には固定部材3が配置されているので、この固定部材3によって電磁波吸収部品2を容易に車体に固定することができ、例えば車両の走行時に第1乃至第3の電線11〜13が電磁波吸収部品2によって揺さぶられることにより発生する損傷を抑制することが可能となる。
【0048】
(6)第1乃至第3の電線11〜13は、電磁波吸収部品2の貫通孔20に一括して挿通されている。すなわち、第1乃至第3の電線11〜13が電磁波吸収部品2によって束ねられているので、第1乃至第3の電線11〜13の取り回し性がよくなり、例えば、第1乃至第3の電線11〜13が電磁波吸収部品2の貫通孔20に挿通されている状態で、第1乃至第3の電線11〜13を編組シールド10に挿通させる場合に、この挿通作業がしやすくなる。
【0049】
(7)第1乃至第3の電線11〜13の外径は、貫通孔20の内径の10%以上46%以下であるので、電磁波吸収部品2によって第1乃至第3の電線11〜13を束ねる機能をより高めることができ、上記の挿通作業がよりしやすくなる。
【0050】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0051】
[1]電線(11〜13)と、前記電線(11〜13)を覆う編組シールド(10)と、前記電線(11〜13)を挿通させる貫通孔(20)が形成され、前記電線(11〜13)から放射される電磁波を吸収する筒状の電磁波吸収部品(2)とを備え、前記編組シールド(10)は、前記電磁波吸収部品(2)の外周面(2a)及び軸方向の両端面(2b,2c)を覆うことにより前記電磁波吸収部品(2)の軸方向移動を規制し、前記編組シールド(10)の持数をnとし、打数をmとしたとき、1≦n≦15、かつ10≦m≦50である配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0052】
[2]前記編組シールド(10)は、メッキが施された銅線を素線(100)として有し、その素線径が0.12mm以上0.32mm以下である、[1]に記載の配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0053】
[3]前記編組シールド(10)は、軸方向における前記電磁波吸収部品(2)の両側で前記電線(11〜13)に向かって締め付けられている、[1]又は[2]に記載の配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0054】
[4]前記電線(11〜13)は、一端が車両を駆動する駆動力を発生する電動モータ(91)に接続され、他端が前記電動モータ(91)に駆動電流を供給するインバータ(92)に接続される、[1]乃至[3]の何れかに記載の配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0055】
[5]前記電磁波吸収部品(2)の外周側に、前記車両の車体に前記電磁波吸収部品(2)を固定するための固定部材(3)が配置された、[4]に記載の配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0056】
[6]前記電磁波吸収部品(2)の前記貫通孔(20)には、複数の前記電線(11〜13)が一括して挿通されている、[1]乃至[5]の何れか1つに記載の配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0057】
[7]前記複数の電線(11〜13)は、同一の外径を有する3本の電線からなり、前記電線(11〜13)の外径は、前記貫通孔(20)の内径の10%以上46%以下である、[6]に記載の配線部材(ワイヤハーネス1)。
【0058】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0059】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、ワイヤハーネス1の電線(第1乃至第3の電線11〜13)が3本である場合について説明したが、これに限らず、電線の本数は1又は2、あるいは4本以上であってもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、電磁波吸収部品2が第1磁性体コア21、第2磁性体コア22、第1ゴム部材23、及び第2ゴム部材24を備える場合について説明したが、電磁波吸収部品2は、ゴム部材(第1ゴム部材23及び第2ゴム部材24)を備えなくてもよい。すなわち、電磁波吸収部品2は、1つ又は複数の磁性体コアからなるものであってもよい。
【0061】
また、上記実施の形態では、編組シールド10は、電磁波吸収部品2の軸方向の両端面2b,2cと接触しないで、この両端面2b,2cを覆っているが、電磁波吸収部品2の軸方向の両端面2b,2cの少なくとも一部と接触して、この両端面2b,2cを覆ってもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、電磁波吸収部品2の外周に、編組シールド10の外側から樹脂テープ14を巻き回す場合について説明したが、これに限らない。つまり、樹脂テープ14を用いなくとも電磁波吸収部品2を十分に固定できる場合には、樹脂テープ14はなくてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、第1乃至第3の電線11〜13が電磁波吸収部品2の貫通孔20に一括して挿通された場合について説明したが、ワイヤハーネス1が複数の電磁波吸収部品2を備え、第1乃至第3の電線11〜13がそれぞれ異なる電磁波吸収部品2の貫通孔20に挿通されていてもよい
【0064】
またさらに、ワイヤハーネス1の用途にも特に限定はなく、例えば計算機等の各種の電子装置間の通信のためにワイヤハーネス1を用いてもよい。