(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
リソグラフィーで用いられるフォトレジスト下層膜材料であって、置換又は非置換のフルオレセインの繰り返し単位を有するノボラック樹脂を含有することを特徴とする下層膜材料。
一般式(1)の置換又は非置換のフルオレセインから選ばれる1種以上の繰り返し単位を有するノボラック樹脂に加えて、有機溶剤を含有する請求項1又は2記載の下層膜材料。
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、基板上に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の下層膜材料を基板上に形成し、該下層膜上にフォトレジスト膜を形成して露光と現像によってパターンを形成した後に、フォトレジストパターンをマスクにして下層膜と基板を加工することを特徴とするパターン形成方法。
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、基板上に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の下層膜材料を基板上に形成し、該下層膜上にフォトレジスト膜を形成して露光と現像によってパターンを形成した後に、フォトレジストパターンをマスクにして下層膜を加工し、基板にイオンを打ち込むことを特徴とするパターン形成方法。
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、基板上に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の下層膜材料を基板上に形成し、該下層膜上に珪素含有中間膜を形成し、その上にフォトレジスト膜を形成して露光と現像によってパターンを形成した後に、フォトレジストパターンをマスクにして珪素含有中間膜を加工し、珪素含有中間膜をマスクにして下層膜を加工し、下層膜をマスクにして基板を加工することを特徴とするパターン形成方法。
リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、基板上に請求項1乃至4のいずれか1項に記載の下層膜材料を基板上に形成し、該下層膜上に珪素含有中間膜を形成し、その上にフォトレジスト膜を形成して露光と現像によってパターンを形成した後に、フォトレジストパターンをマスクにして珪素含有中間膜を加工し、珪素含有中間膜をマスクにして下層膜を加工し、下層膜をマスクにして基板にイオンを打ち込むことを特徴とするパターン形成方法。
アルカリ水が、アンモニア、アンモニアと過酸化水素水と水の混合によるアンモニア過水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、DBU、DBN、ヒドロキシルアミン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、メピクアトヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、ヒドラジン類、エチレンジアミン類、又はグアニジン類から選ばれる1種以上を1〜99質量%の範囲で含有する請求項9乃至11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOSデバイスのpウエルとnウエルを形成するためKrFレジスト膜をマスクにしてイオンを打ち込んで形成される場合があるが、レジストパターンの微細化の進行と共にArFレジスト膜が検討されるようになり、より微細化にはArF液浸リソグラフィーも提唱されている。イオンインプラントのためには、レジスト膜のスペース部分の基板面が現れている必要がある。レジスト膜の下に反射防止膜(BARC)層が存在すると、BARC層によってイオンがトラップされてしまうのである。しかしながら、BARC層無しでフォトレジスト膜をパターニングすると、基板反射による定在波が発生し、現像後のレジストパターンの側壁に強い凹凸が生じてしまう。定在波による凹凸をスムージングによって滑らかにするために、酸の拡散を大きくするための酸拡散し易い分子量の小さい酸が発生する酸発生剤(PAG)や高温PEBの適用が効果的とされている。KrF露光のイオン打ち込み用のレジスト膜が解像する200〜300nmの寸法では酸拡散の増大によって解像性が劣化することがなかったが、ArF露光のイオン打ち込み用のレジスト膜が解像する200nm以下の寸法では酸の拡散によって解像性が劣化したりプロキシミティーバイアスが大きくなったりするため、好ましいことではない。
【0003】
レジスト膜の下層にBARCを敷き、現像後のレジストパターンをマスクにしてBARC膜をドライエッチングし、イオンを打ち込む基板面を露出させる方法も考えられる。この場合、基板が酸化されて酸化膜が形成されると、この部分でイオンがトラップされてしまうので、基板が変質しないようなソフトなドライエッチングが用いられる。具体的には酸素ガスを用いたドライエッチングでは基板が酸化されてしまうので、水素ガスを用いたドライエッチングが用いられる。そこで、水素ガスのドライエッチング速度の速いBARCが要求されている。
【0004】
フォトレジスト膜自体に吸収を持たせることによって定在波の発生を防止するダイ入りレジスト材料は、最も古典的な方法であり、i線やg線のノボラックレジスト材料から検討されてきた。ArF露光に用いられる吸収成分としてはベンゼン環がベースポリマーへ導入されたり、ベンゼン環を有する添加剤の検討が行われている。しかしながら、吸収成分によって完全に定在波を防止することはできないし、吸収を大きくすると定在波は低減するもののレジストパターンの断面が台形のテーパー形状になってしまう問題が生じる。
【0005】
レジスト膜の上層に反射防止膜(TARC)を設けることも検討されている。TARCは定在波低減には効果があるが基板の凹凸によるハレーションの防止効果が無い。TARCの屈折率はフォトレジスト膜の屈折率の平方根が理想的であるが、ArFレジスト膜に用いられているメタクリレートの波長193nmにおける屈折率が1.7と比較的低いために、この平方根の1.30を達成できる低屈折率の材料がないなどの欠点がある。
【0006】
そこで、現像液に溶解するBARCの検討が行われている(非特許文献1:Proc. SPIE Vol. 5039 p129 (2003))。当初、現像液に非等方性に溶解するBARCが検討されたが、溶解が進行しすぎるとレジストパターンの下にアンダーカットが入り、溶解が足りないとスペース部分に残渣が残り、寸法制御性に難があった。次に検討されたのは、感光性のBARCである。BARCとして機能するには、反射防止効果とその上にフォトレジスト材料を塗布したときにフォトレジスト溶液に溶解しないこと、フォトレジスト膜とインターミキシングを起こさないことが必要である。BARC溶液を塗布後のベーク時に架橋することによってフォトレジスト溶液への溶解とインターミキシングを防止する。
【0007】
塗布後のベークの架橋機構として、ビニルエーテルを架橋剤として用いる方法が示されている(特許文献1:特開平6−230574号公報)。ここでは、ヒドロキシスチレンにビニルエーテル系架橋剤をブレンドしておいて、塗布後のプリベークで架橋し、アルカリ現像液に不溶な膜にする。ビニルエーテル基とフェノール基の熱反応によってアセタール基が生成する。露光によって酸発生剤から酸が発生し、酸と水分と熱によってアセタール基が脱保護し、露光部分がアルカリ可溶のポジ型レジスト膜として機能する。この機構が現像液溶解型BARC(DBARC)に応用されている(特許文献2:国際公開第2005/111724号、特許文献3:特表2008−501985号公報)。
【0008】
イオンインプランテーションを行う基板には凹凸が存在する。凹んだ基板上のBARCの膜厚は厚くなる。平坦基板上にDBARCを適用した場合は、露光部分がフォトレジスト膜と同時にBARC膜もアルカリ現像液に溶解するが、段差基板にDBARCを適用させると凹んだ部分のDBARCが溶解しないという問題が生じる。DBARCは強い吸収を持っているので、膜厚が厚くなると下まで光が届かなくなるためにDBARC内の酸発生剤から発生してくる酸の量が少なくなり、特に段差の上のDBARCの膜厚の厚い部分の基板付近では感光しづらくなり溶解しなくなる。
【0009】
イオンインプランテーションにトライレイヤープロセスを用いる方法も考えられる。この場合、基板上に炭化水素の下層膜を塗布し、ベークによって架橋し、その上に珪素含有中間膜を塗布し、ベークによって架橋し、その上にフォトレジスト材料を塗布する。露光と現像によってレジストパターンをマスクにしてフロロカーボンガスで珪素含有中間膜をドライエッチングし、珪素含有中間膜をマスクにしてドライエッチングで下層膜を加工し、下層膜をマスクにしてイオンを打ち込む。下層膜を加工するためのドライエッチングは、通常は酸素ガスが用いられるが、前述のようにイオン打ち込みでは基板表面が酸化されるとイオンストッパーとなってしまうために酸化膜が形成されることがない水素ガスを用いたドライエッチングが好ましい。トライレイヤープロセスは基板からの反射を完全に防ぐことが可能であり、レジストパターンの側壁に定在波由来の凹凸が生じることがない。珪素含有中間層にシルセスキオキサンベースのSOG膜を用いた場合、高い珪素含有率のSOG膜はレジストパターンをマスクにして珪素含有中間膜を加工するドライエッチングの速度が速く、下層膜のエッチングにおいてはエッチング速度が遅く、優れたハードマスクとしての機能を有するが、イオンを打ち込んだ後の溶液剥離ができないという問題がある。SOG中間膜は通常はフッ酸で除去するが、これを用いると基板が珪素酸化膜の場合のダメージが大きい。
【0010】
基板の洗浄液として、アンモニアと過酸化水素水をベースとしたSC1、塩酸と過酸化水素水の水溶液のSC2、硫酸と過酸化水素水の水溶液のSPMが広く一般的に用いられている。SC1は有機物と金属酸化膜の洗浄、SC2は金属汚染の除去、SPMは有機膜の除去に一般的に用いられている。SOG膜はこれらの洗浄液で剥離ができない。SOG膜はCF系ガスのドライエッチングや希フッ酸あるいは希フッ酸とSPMとの組み合わせによって除去し、カーボン下層膜は酸素ガスや水素ガスのドライエッチングあるいはSPMによって除去されてきた。下層膜を剥離するために酸素ガスエッチングやSPM溶液剥離を適用した場合、例えば基板がSi基板の場合に表面を酸化してSiO
2に変えてしまう。Si基板の表面がSiO
2に変わってしまうと導電性が大きく低下してしまうために半導体が動作しなくなってしまう問題が生じる。水素ガスエッチングは基板を酸化させることはないが、エッチング速度が遅く、イオンを打ち込んだ後に下層膜内に存在しているリンやヒ素を除去することができない。基板表面を酸化させる心配のない溶液剥離が可能な下層膜が求められる。
【0011】
フェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレイン、ナフトールフタレインが添加された多くのフォトレジスト材料が検討されている(特許文献6:特開平5−134415号公報)。アルカリ水に触れることによってフェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレイン、ナフトールフタレインの環が開環してフェノールフタレイン、ナフトールフタレインの場合はカルボキシル基、フェノールレッドの場合はスルホ基が生成する。このことによってレジスト膜のアルカリ溶解速度が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者らは、イオンを打ち込んだ後にアルカリ水、特にアンモニア過酸化水素水で剥離が可能なレジスト下層膜材料を開発すべく鋭意検討を重ねた。これにはアンモニアで加水分解し、アルカリ溶解速度が向上するカルボキシル基やスルホ基が発生する材料が好ましい。このような材料としてフルオレセインを挙げることができる。ラクトンや酸無水物も加水分解によってカルボキシル基が発生するが、このような材料はドライエッチング耐性が低い。トライレイヤープロセスやイオン打ち込み用の下層膜として用いるためには、それなりに高いドライエッチング耐性やイオン打ち込み耐性を有する必要があり、このためには芳香族基を有している必要がある。フルオレセインのモノマーからなる下層膜材料の可能性も考えられるが、モノマーだけで構成されると、その上にフォトレジスト溶液や珪素含有中間膜溶液を塗布したときにこれらの溶液に下層膜が溶解してミキシングを起こしてしまう可能性がある。これを防ぐためにはフルオレセインを含むポリマーを使う必要がある。ポリマーとするにはアルデヒドを用いた重合によるノボラック樹脂とするのが最も好ましい。
【0022】
以上のことから、本発明者らは、少なくとも置換又は非置換のフルオレセインの繰り返し単位を有するノボラック樹脂を含有するレジスト下層反射防止膜材料を用いることによって、ドライエッチング耐性とイオン打ち込み耐性が高く、ドライエッチング後あるいはイオン打ち込み後にアルカリ水で剥離可能であることに想到し、本発明を完成させた。
【0023】
即ち、本発明のレジスト下層膜材料は、リソグラフィーで用いられるレジスト下層反射防止膜材料であって、置換又は非置換のフルオレセインの繰り返し単位、特に下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を含むものである。
【化2】
(式中、R
1、R
2は水素原子、酸不安定基、グリシジル基、又は炭素数1〜10、特に1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基である。R
3、R
4、R
6は水素原子、炭素数1〜10、特に1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10、特に2〜6のアルケニル基、又は炭素数6〜10のアリール基であり、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アシロキシ基、エーテル基、又はスルフィド基を有していてもよく、あるいはハロゲン原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基であってもよい。R
5は水素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜10、特に2〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、又は炭素数6〜12、特に6〜10のアリール基で、ヒドロキシ基、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボキシル基、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、アシロキシ基、又は−COORもしくは−OR基(Rはラクトン環、酸不安定基又は−R’−COOR’’で、R’は単結合又は好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基、R’’は酸不安定基を示す)を有していてもよい。m、n、p、q、rは1又は2、s、tは0又は1である。)
なお、エーテル基、チオエーテル基を有するアルケニル基としては、それぞれ下記に示すものが挙げられる。
【化3】
【0024】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【化4】
【0026】
置換又は非置換のフルオレセインをノボラック化する場合、他のモノマーと共縮合することができる。共縮合できるモノマーとしては具体的には、フェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレイン、ナフトールフタレイン、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、2−ナフチルフェノール、3−ナフチルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−トリチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメチル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジアリル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフルオロ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフェニル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメトキシ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’,4,4’−ヘキサメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−5,5’−ジオール、5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレンを挙げることができる。ジヒドロキシナフタレンと共縮合できる化合物としては、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、6−メトキシ−2−ナフトール、3−メトキシ−2−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1,5−ジメトキシナフタレン、1,6−ジメトキシナフタレン、1,7−ジメトキシナフタレン、1,8−ジメトキシナフタレン、2,3−ジメトキシナフタレン、2,6−ジメトキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチル、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1,2−ジメチルナフタレン、1,3−ジメチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、1,6−ジメチルナフタレン、1,7−ジメチルナフタレン、1,8−ジメチルナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチルナフタレン、1−エチルナフタレン、2−エチルナフタレン、1−プロピルナフタレン、2−プロピルナフタレン、1−ブチルナフタレン、2−ブチルナフタレン、1−フェニルナフタレン、1−シクロヘキシルナフタレン、1−シクロペンチルナフタレン、1,1’−ビ(2−ナフトール)、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、インデン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノール、ジシクロペンタジエン、1,5−ジメチルナフタレン、6,6’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビス−2−ナフトールを挙げることができる。上記共縮合するモノマーの割合は0〜80モル%が好ましい。
【0027】
置換又は非置換のフルオレセインをノボラック樹脂にする場合、アルデヒド類を加えてノボラック化する。ノボラック化することによって分子量が増大し、ベーク時の低分子量体によるアウトガスやパーティクルの発生を抑えることができる。
ここで用いられるアルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、トリチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、シクロペンチルベンズアルデヒド、tert−ブチルベンズアルデヒド、ナフタレンアルデヒド、ヒドロキシナフタレンアルデヒド、アントラセンアルデヒド、フルオレンアルデヒド、ピレンアルデヒド、メトキシナフタレンアルデヒド、ジメトキシナフタレンアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ナフタレンアセトアルデヒド、置換又は非置換のカルボキシルナフタレンアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、フランカルボキシアルデヒド、チオフェンアルデヒド等を挙げることができる。これらのうち、特にホルムアルデヒドを好適に用いることができる。これらのアルデヒド類は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アルデヒド類の使用量は、フルオレセイン1モルに対して0.2〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜2モルである。
【0028】
フルオレセインとアルデヒド類の縮合反応に触媒を用いることもできる。具体的には塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸性触媒を挙げることができる。
これらの酸性触媒の使用量は、フルオレセイン1モルに対して1×10
-5〜5×10
-1モルである。
【0029】
フルオレセインの繰り返し単位を含むノボラック樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量で400〜20,000の範囲である。好ましくは500〜10,000、より好ましくは600〜10,000である。分子量が小さい方が埋め込み特性に優れるが、ベーク時にアウトガスが発生し易くなるので、埋め込み特性とアウトガス発生の観点で最適化することが好ましい。埋め込み特性とアウトガス低減の両立を行うための一つの方法としては、未重合のフルオレセインをできるだけカットすることであり、低分子の2量体、3量体もできるだけ少ない量にすることが好ましい。
【0030】
本発明の炭化水素下層膜材料として、フルオレセインの繰り返し単位を含むノボラック樹脂以外の樹脂をブレンドすることもできる。ブレンド可能な樹脂としては、フェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレイン、ナフトールフタレイン、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、2−ナフチルフェノール、3−ナフチルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−トリチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール及び1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン、3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチル、インデン、ヒドロキシインデン、ベンゾフラン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノールとアルデヒド類との反応によるノボラック樹脂を挙げることができる。更には、フェノール化合物をアルデヒドを使わずにジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4−ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、5−ビニルノルボルナ−2−エン、α−ピネン、β−ピネン、リモネンと共重合した樹脂を挙げることもできる。
【0031】
更には、ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレン、アルコキシビニルナフタレン、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、無水マレイン酸、無水イタコン酸から選ばれるモノマーを重合したポリマーを含有する下層膜材料を挙げることができる。
フルオレセイン、ナフトールフタレイン、フェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレインのモノマーを添加することもできる。
【0032】
更には高炭素樹脂として、特開2004−205658号、同2004−205676号、同2004−205685号、同2004−271838号、同2004−354554号、同2005−10431号、同2005−49810号、同2005−114921号、同2005−128509号、同2005−250434号、同2006−053543号、同2006−227391号、同2006−259249号、同2006−259482号、同2006−285095号、同2006−293207号、同2006−293298号、同2007−140461号、同2007−171895号、同2007−199653号、同2007−316282号、同2008−26600号、同2008−65303号、同2008−96684号、同2008−257188号、同2010−160189号、同2010−134437号、同2010−170013号、同2010−271654号、同2008−116677号、同2008−145539号公報に示される下層膜材料を挙げることができる。
これらのブレンドされる樹脂の割合は0〜300質量部が好ましい。
【0033】
R
1、R
2及びR、R’’が酸不安定基の場合、同一でも異なっていてもよく、特に下記式(A−1)〜(A−3)で示される置換基が挙げられる。
【化6】
【0034】
式(A−1)において、R
L30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記式(A−3)で示される基を示し、3級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。A1は0〜6の整数である。
【0035】
式(A−2)において、R
L31、R
L32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R
L33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【化7】
【0036】
R
L31とR
L32、R
L31とR
L33、R
L32とR
L33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するR
L31、R
L32、R
L33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0037】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0038】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化8】
【0039】
ここで、R
L37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、R
L38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。
また、R
L39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
A1は前述の通りである。
【0040】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69のものを例示することができる。
【化9】
【0044】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0045】
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化13】
【0046】
式中、R
L40、R
L41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R
L40とR
L41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはR
L40、R
L41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R
L42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、B1、D1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、C1は1〜7の整数である。Aは、(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0047】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、C1は好ましくは1〜3の整数である。
【0048】
一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−70〜(A−2)−77のものが挙げられる。
【化14】
【0049】
次に、式(A−3)においてR
L34、R
L35、R
L36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、又は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、R
L34とR
L35、R
L34とR
L36、R
L35とR
L36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
【0050】
式(A−3)に示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0051】
また、3級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化15】
【0052】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、R
L43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。R
L44、R
L46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
L45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0053】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるR
L47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化16】
【0054】
式(A−3)−19、(A−3)−20中、R
L43は前述と同様、R
L47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。E1は1〜3の整数である。
【0055】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂は、アンモニア過水等の塩基性水溶液中でカルボキシル基が発生する。これによってアルカリ溶解性が向上して、アンモニア過水によっての剥離が可能となる。
【0056】
レジスト下層膜としては、下層膜上に珪素含有中間膜溶液あるいはレジスト溶液をディスペンスしたときに珪素含有中間膜溶液あるいはレジスト溶液に溶解しないことと、珪素含有中間膜溶液あるいはレジスト膜とミキシングしない特性が必要である。そのため、下層膜塗布後のベークによって架橋することが好ましい。
【0057】
本発明で使用可能な架橋剤の具体例を列挙すると、メチロール基、アルコキシメチル基、アシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物、アルケニルエーテル基などの2重結合を含む化合物等を挙げることができる。これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
【0058】
前記架橋剤の具体例のうち、更にエポキシ化合物を例示すると、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテルなどが例示される。メラミン化合物を具体的に例示すると、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物が挙げられる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレアなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられ、アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジドが挙げられる。
【0059】
アセタール基によって架橋を形成する架橋剤としては、分子内に複数のエノールエーテル基を有する化合物を挙げることができる。分子内に少なくとも2つ以上のエノールエーテル基を有する架橋剤は、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレングリコールジプロペニルエーテル、トリエチレングリコールジプロペニルエーテル、1,2−プロパンジオールジプロペニルエーテル、1,4−ブタンジオールジプロペニルエーテル、テトラメチレングリコールジプロペニルエーテル、ネオペンチルグリコールジプロペニルエーテル、トリメチロールプロパントリプロペニルエーテル、ヘキサンジオールジプロペニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジプロペニルエーテル、ペンタエリスリトールトリプロペニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラプロペニルエーテル、ソルビトールテトラプロペニルエーテル、ソルビトールペンタプロペニルエーテル、トリメチロールプロパントリプロペニルエーテル、特開平6−230574号公報、特表2007−536389号公報、特表2008−501985号公報に例示される。
【0060】
更には下記例示の架橋剤を用いることもできる。
【化17】
【0062】
エノールエーテル基は、熱によってヒドロキシ基とアセタール結合する。分子内に複数のエノールエーテル基を有する化合物を添加することによって、アセタール基による熱架橋が行われる。
【0063】
分子内に少なくとも2つ以上のオキシランを含有する酸脱離性の3級エステル基を有する架橋剤を添加することもできる。具体的には特開2006−96848号公報に例示される。オキシランが熱によって架橋し、3級エステル部分が酸によって分解する。特開2001−226430号公報にはオキシラン環の熱による架橋と、酸による分解機構が示されている。
【0064】
炭化水素からなる本発明の下層膜材料における架橋剤の配合量は、ベースポリマー(全樹脂分)100部(質量部、以下同じ)に対して0〜50部が好ましく、より好ましくは5〜50部、特に10〜40部が好ましい。5部未満であるとレジスト膜とミキシングを起こす場合があり、50部を超えると反射防止効果が低下したり、架橋後の膜にひび割れが入ることがある。
【0065】
本発明の下層膜の上にはフォトレジスト膜を形成する場合と、フォトレジスト膜と下層膜の間に珪素、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属から選ばれる元素を含有する中間層を設けるトライレイヤープロセスが好ましく用いられる。トライレイヤー用の中間層に含有する元素の中で珪素が最も好ましく用いられる。
【0066】
3層プロセスをイオン打ち込みのパターン形成に用いた場合、イオンを打ち込んだ後の下層膜だけでなく、中間層の剥離も問題となる。中間層としてSOG膜を用いた場合、これをドライプロセスで剥離するにはフロロカーボン系のガスが用いられるが、フロロカーボン系のガスのエッチングは下地の酸化膜にダメージを与える。フッ化水素酸の水溶液での剥離も可能であるが、これも下地の酸化膜も同時に剥離してしまう。酸かアルカリ、又は溶剤で中間層と下層膜を剥離する必要がある。酸あるいはアルカリによって剥離可能な中間層としては、珪素がペンダントされたポリマーをベースとする中間層が好ましく、更には酸不安定基型珪素ペンダントポリマーが好ましい。これによって中間膜の剥離が可能になる。
【0067】
酸不安定基型珪素ペンダントポリマーの繰り返し単位は下記一般式(2)に示される。
【化19】
式中、R
11は水素原子又はメチル基であり、R
12、R
13、R
14、R
15は水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖状、分岐状のアルキル基であり、R
16は単結合、ジアルキルシリレン基、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21は同一又は異種の水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、あるいは下記一般式(3)で表される基を示す。また、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21はそれぞれ結合して環を形成してもよい。
【化20】
ここで、式(3)において、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26は同一又は異種の水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基であり、0≦w≦10である。
【0068】
これら珪素含有中間膜材料に含まれる重合体を合成するには、1つの方法としてはモノマーを有機溶剤中、ラジカル重合開始剤あるいはカチオン重合開始剤を加えて加熱重合を行う。ヒドロキシ基を含むモノマーのヒドロキシ基をアセチル基で置換させておき、得られた高分子化合物を有機溶剤中アルカリ加水分解を行い、アセチル基を脱保護することもできる。重合時に使用する有機溶剤としては、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。カチオン重合開始剤としては、硫酸、燐酸、塩酸、硝酸、次亜塩素酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トシル酸などの酸、BF
3、AlCl
3、TiCl
4、SnCl
4などのフリーデルクラフツ触媒のほか、I
2、(C
6H
5)
3CClのようにカチオンを生成し易い物質が使用される。
【0069】
反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0070】
珪素含有中間膜材料の重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、1,500〜200,000の範囲が好ましく、より好ましくは2,000〜100,000の範囲である。分子量分布は特に制限がなく、分画によって低分子体及び高分子体を除去し、分散度を小さくすることも可能であり、分子量、分散度が異なる2つ以上の一般式(2)の重合体の混合、あるいは組成比の異なる2種以上の一般式(2)の重合体を混合してもかまわない。
【0071】
炭化水素レジスト下層膜材料、その上の珪素含有中間膜においては、熱などによる架橋反応を更に促進させるための酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。
【0072】
珪素含有中間膜に添加される酸発生剤は、露光部分をアルカリ現像液に溶解させるために光酸発生剤を添加することもできる。この場合、塗布後のベーク架橋で分解しない高い熱安定性を有する光酸発生剤が好ましい。このような光酸発生剤としては、スルホニウム塩系の光酸発生剤を挙げることができる。酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。重合性の光酸発生剤が共重合されている場合は添加型の光酸発生剤は必ずしも必要ではない。
【0073】
光酸発生剤の添加量は、ベースポリマー100部に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと酸発生量が少なく、露光部分のアルカリ溶解速度が不十分な場合があり、50部を超えると上層レジストへ酸が移動することによるミキシング現象が起こる場合がある。
【0074】
珪素含有中間膜材料には、塩基性化合物を配合することができる。塩基性化合物の種類や量を調整することによって下層膜の感度を調整し、レジストパターンのアンダーカットや裾引き形状を矯正することができる。即ち、レジストパターンが裾引き形状の場合は塩基性化合物の添加量を少なくし、アンダーカット形状の場合は塩基性化合物の添加量を増やす。この場合、下層膜材料が架橋剤を含有することが好ましい。
【0075】
塩基性化合物としては、酸発生剤から発生した酸をトラップし、酸の拡散を制御してコントラストを向上させる効果があり、特開2008−111103号公報の段落[0146]〜[0164]に記載の1級、2級、3級のアミン化合物、特にはヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環、シアノ基、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物あるいは特許第3790649号公報に記載のカルバメート基を有する化合物を挙げることができる。
また、特開2008−158339号公報に記載されているα位がフッ素化されていないスルホン酸、及び特許第3991462号公報に記載のカルボン酸のスルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩等のオニウム塩をクエンチャーとして併用することもできる。α位がフッ素化されていないスルホン酸及びカルボン酸のオニウム塩系のクエンチャーは塩基性がないが、α位がフッ素化された超強酸と塩交換することによってα位がフッ素化されたスルホン酸を中和することによってクエンチャーとして働く。
【0076】
なお、塩基性化合物の配合量は、ベースポリマー100部に対して0.001〜15部、特に0.01〜10部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果が少なく、15部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0077】
本発明の下層膜材料、及びこれと組み合わせる珪素含有中間膜材料、レジスト材料において使用可能な有機溶剤としては、前記のベースポリマー、酸発生剤、架橋剤、その他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。その具体例を列挙すると、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合使用できるが、これらに限定されるものではない。本発明のレジスト下層膜材料においては、これら有機溶剤の中でもジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びこれらの混合溶剤が好ましく使用される。
【0078】
有機溶剤の配合量は、全ベースポリマー100部に対して200〜10,000部が好ましく、特に300〜8,000部とすることが好ましい。
【0079】
更に、本発明はリソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、少なくとも、本発明の下層膜を形成し、その上に珪素含有レジスト中間膜を形成し、該中間膜の上にフォトレジスト材料によるレジスト膜を形成して、該レジスト膜のパターン回路領域を露光した後、現像液で現像してレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクにして珪素含有中間膜をドライエッチングし、珪素含有中間膜をマスクにして本発明の下層膜をエッチングし、更に基板をエッチングによってパターンを形成する、あるいは本発明の下層膜をマスクにしてイオンを打ち込み、その後にアルカリ水によって下層膜を剥離することを特徴とするパターン形成方法を提供する。珪素含有中間膜の露光部分がアルカリ現像液に溶解する場合は、レジストパターンをマスクにして珪素含有中間膜をドライエッチングするプロセスをスキップできる。また、基板をドライエッチング後あるいは基板にイオンを打ち込んだ後のアルカリ水の剥離で珪素含有中間膜が剥離可能な場合、本発明の下層膜と同時に剥離できるメリットがある。珪素含有中間層は、酸によって剥離することもできる。この場合は、珪素含有中間層を硫酸過酸化水素水や塩酸過酸化水素水で剥離し、下層膜をアルカリ水で剥離する。
【0080】
本発明の下層膜剥離用のアルカリ水としては、SC1と呼ばれるアンモニアと過酸化水素水と水の混合によるアンモニア過水が最も好ましく用いられる。更には、アンモニア、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、DBU、DBN、ヒドロキシアミン、グアニジン等を1〜99質量%含有する水溶液も好ましく用いることができる。
【0081】
本発明の下層膜は、基板上に形成される。基板としては被加工基板、あるいはイオン打ち込み基板となるSi、SiO
2、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々の低誘電膜及びそのエッチングストッパー膜、あるいはFin−FETの段差基板が用いられ、通常10〜10,000nm、特に20〜5,000nm厚さに形成し得る。
被加工基板と本発明の下層膜との間に、被加工基板を加工するためのハードマスクを敷いてもよく、ハードマスクとしては被加工基板がSiO
2系の絶縁膜基板の場合はSiN、SiON、p−Si、p−Si、α−Si、W、W−Si、アモルファスカ−ボン等が用いられる。被加工基板がp−Si、W−Si、Al−Si等のゲート電極の場合はSiO
2、SiN、SiON等が用いられる。
【0082】
本発明の下層膜の形成方法について説明すると、通常のフォトレジスト膜の形成法と同様にスピンコート法などで基板上に形成することが可能である。スピンコート法などでレジスト下層膜材料を塗工した後、有機溶剤を蒸発させ、レジスト膜とのミキシング防止のため、架橋反応を促進させるためにベークをすることが望ましい。ベーク温度は80〜300℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましく用いられる。なお、このレジスト下層膜の厚さは適宜選定されるが、5〜10,000nm、特に10〜5,000nmとすることが好ましく、反射防止効果の高い膜厚を選択することができる。レジスト下層膜を形成した後、トライレイヤープロセスの場合は珪素含有中間膜、その上にレジスト膜を形成する。
トライレイヤープロセスに適用した場合、珪素含有中間膜は反射防止効果に最適な光学定数(n、k値)を持つものが好ましく、特開2006−293207号公報に記載されているように、n値が1.5〜1.9、k値が0.15〜0.3、膜厚が20〜130nmの範囲である。下層膜はn値が1.3〜1.8、k値が0.2〜0.8、膜厚が50nm以上である。
【0083】
この場合、このレジスト膜を形成するためのフォトレジスト材料としては、例えば特開平9−73173号公報、特開2000−336121号公報に示されるような公知の炭化水素系からなるベースポリマーを使用することができる。
なお、レジスト膜の厚さは特に制限されないが、20〜500nm、特に30〜400nmが好ましい。
【0084】
上記フォトレジスト材料によりレジスト膜を形成する場合、前記下層膜を形成する場合と同様に、スピンコート法などが好ましく用いられる。レジスト膜をスピンコート法などで形成後、プリベークを行うが、80〜180℃で、10〜300秒の範囲で行うのが好ましい。
【0085】
その後、常法に従い、レジスト膜のパターン回路領域の露光を行い、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。珪素含有酸不安定基がペンダントされたポリマーに酸発生剤が添加された珪素含有中間膜を適用した場合は、露光と現像によってレジストパターンと同時に珪素含有中間膜のパターンを得る。
【0086】
レジスト膜の上層にレジスト保護膜を適用することもできる。レジスト保護膜としては、反射防止機能を有することもでき、水溶性と非水溶性の材料がある。非水溶性材料としては、アルカリ現像液に溶解するものとアルカリ現像液に溶解せず、フッ素系溶媒で剥離する材料があるが、前者の方がレジスト膜の現像と同時に剥離可能である分だけプロセス的なメリットがある。液浸露光の場合は、レジスト膜からの酸発生剤などの添加剤の溶出を防ぐ目的と滑水性を向上させる目的で保護膜を設ける場合がある。保護膜としては、水に溶解せず、アルカリに溶解する特性を有するものが好ましく、αトリフルオロメチルヒドロキシ基を有する高分子化合物を炭素数4以上の高級アルコールや炭素数8〜12のエーテル化合物に溶解したものが用いられる。保護膜の形成方法としては、プリベーク後のレジスト膜上に保護膜用液をスピンコートし、プリベークによって形成する。保護膜の膜厚としては10〜200nmの範囲が好ましく用いられる。ドライ又は液浸露光後、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、アルカリ現像液で10〜300秒間現像を行う。アルカリ現像液は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に広く用いられている。現像液に可溶の保護膜を用いた場合、保護膜の剥離とレジスト膜の現像を同時に行う。
【0087】
PEB前に、レジスト膜上に水が残っていると、PEB中に水がレジスト膜中の酸を吸い出してしまい、パターン形成ができなくなる。PEB前に保護膜上の水を完全に除去するため、PEB前のスピンドライ、膜表面の乾燥空気や窒素によるパージ、あるいは露光後のステージ上の水回収ノズル形状や水回収プロセスの最適化などによって膜上の水を乾燥あるいは回収する必要がある。
【0088】
現像は、アルカリ水溶液を用いたパドル法、ディップ法などが用いられ、特にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液を用いたパドル法が好ましく用いられ、室温で10〜300秒の範囲で行われ、その後純水でリンスし、スピンドライあるいは窒素ブロー等によって乾燥される。アルカリ現像によってポジ型レジストの露光部分が溶解するが、同時に露光部分の珪素含有中間膜も溶解するのが好ましい。
【0089】
現像後にレジストのパターンの寸法が所望の寸法から外れている場合、レジスト膜を剥離して再度レジスト膜を塗布して露光と現像によって再度レジストパターンを形成する必要がある。この場合、レジスト膜だけを剥離すると、次にレジスト膜を塗布してパターンを形成した場合、珪素含有中間膜が1回目の露光と現像の影響を受けていることによって2回目のレジストパターンが裾を引いたり、感度が変化したりする問題が生じる。よって、レジスト膜だけでなく珪素含有中間層も剥離する必要がある。レジスト膜と珪素含有中間層を剥離する場合、下層膜にダメージ与えて下層膜の膜厚が減少してしまう場合がある。下層膜の膜厚が減少してしまうと必要なドライエッチング耐性を得ることができない。よって、レジスト膜から下層膜までの全ての膜を剥離する場合が望ましいと言える。
【0090】
珪素含有中間層は、レジストの現像中にアルカリ現像液に接するためにこれによって膜厚が減少しないアルカリ耐性が必要である。よって、これをアルカリ溶液で剥離することは困難である。現像によってレジストパターンが形成された後の剥離は、レジスト膜を酸素ガスによるドライアッシングよって剥離し、珪素含有中間層をフロン系のガスによるドライエッチングあるいは酸溶液によって剥離を行うことが一般的である。
【0091】
露光と現像後のレジストパターンとその下の珪素含有中間膜をマスクにしてドライエッチングなどで、炭化水素の下層膜のエッチングを行う。露光部分がアルカリ現像液に溶解しない珪素含有中間膜の場合は、レジストパターンをマスクにしてフロロカーボンガスによって珪素含有中間膜を加工する必要があるが、露光部分が酸の作用でアルカリ現像液に溶解するようになる中間膜を用いた場合ではこれをスキップすることができる。本発明の下層膜のドライエッチングは、酸素ガス、水素ガスに加えてHe、Arなどの不活性ガスや、CO、CO
2、NH
3、SO
2、N
2、NO
2ガスを加えることも可能である。更に基板を加工する場合、基板がSiO
2、SiNであればフロン系ガスを主体としたエッチング、ポリシリコン(p−Si)やAl、Wでは塩素系、臭素系ガスを主体としたエッチングを行う。イオンを打ち込む場合は基板の加工は必ずしも必要ではなく、下層膜パターンをマスクにしてイオンの打ち込みを行う。イオンを打ち込んだ後に、珪素含有中間膜と下層膜の剥離を行う。特に、珪素含有中間膜の架橋がビニルエーテルのアセタールで行われている場合は、この結合は酸によって分解するので、硫酸や塩酸で剥離できる。剥離液に過酸化水素水を含んでいてもよい。珪素含有中間膜をフロン系のガスによるドライエッチングによって剥離してもよい。
【0092】
次いで下層膜の剥離を行うが、フルオレセインはpHが9以上のアルカリ水中で環が開いてカルボキシル基が発生し、アルカリ水に溶解し易くなる。硫酸と過酸化水素水を混合した水溶液SPMは硬化した有機膜を溶解させる強力な剥離剤である。しかしながら、例えば基板がシリコン基板の場合、表面に酸化膜を形成してしまう。イオンを打ち込んだ後のシリコン基板表面にシリコン酸化膜の電気絶縁層が形成されると電子の移動が阻害され、半導体としての機能が低下する。よって、過酸化物が添加されていない剥離剤で剥離可能な下層膜が好ましいと言える。アルカリ水は基板表面に酸化膜を形成することがない。
【0093】
剥離剤となるアルカリ水としては、アンモニア、アンモニアと過酸化水素水と水の混合によるアンモニア過水、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシド、DBU、DBN、ヒドロキシルアミン、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピロリジニウムヒドロキシド、1−ブチル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、1−プロピル−1−メチルピペリジニウムヒドロキシド、メピクアトヒドロキシド、トリメチルスルホニウムヒドロキシド、ヒドラジン類、エチレンジアミン類、又はグアニジンを1〜99質量%含有する水溶液を挙げることができる。
【0094】
剥離時間は10〜30分、温度は10〜100℃の範囲である。加熱した方が剥離速度は速くなるが、基板へのダメージも大きくなるので、剥離液の濃度や、剥離時間と温度の最適化が必要である。剥離後は純水で剥離液を洗浄した後に乾燥させる。アルカリ水による剥離前又は後に、SP2やSPM等の酸性水の剥離液を用いることもできる。
【0095】
図1,2は、本発明のパターン形成方法の一例を示すもので、まず、(A)に示すように、基板10上に炭化水素下層膜20を形成し、(B)に示すように、必要に応じ珪素含有中間膜30を形成した後、(C)に示すように、レジスト膜40を形成する。次いで、(D)に示すように、レジスト膜40を露光し、このレジスト膜40に対しPEBを施した後、現像を行ってパターンを形成する(
図2(E))。この例では、現像によってレジスト膜40の露光部分及びその下側の珪素含有中間膜30が現像により溶解する。次いで、(F)に示すように、H
2ガスによるドライエッチングにより下層膜20を加工し、その後、(G)に示すように、基板10が露呈した部分にイオン打ち込みを行う。10bはイオンが打ち込まれた基板の領域を示す。最後に、(H)に示すように、トライレイヤー剥離を行うものである。
【実施例】
【0096】
以下、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0097】
[合成例]ノボラック樹脂の合成
置換又は非置換のフルオレセイン、その他共縮合化合物、37質量%ホルマリン水溶液、シュウ酸を加え、100℃で24時間撹拌した。反応後、メチルイソブチルケトン500mlに溶解し、十分な水洗により触媒と金属不純物を除去し、溶剤を減圧除去し、150℃,2mmHgまで減圧し、水分、未反応モノマーを除き、以下に示すノボラック樹脂1〜18、及び同様にして比較ノボラック樹脂1〜3を得た。
なお、ノボラック樹脂6の場合は37質量%ホルマリン水溶液を6−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、ノボラック樹脂7の場合は37質量%ホルマリン水溶液を3−フランカルボキシアルデヒド、ノボラック樹脂8の場合は37質量%ホルマリン水溶液を3−チオフェンアルデヒドに変えてノボラック樹脂を得た。
ノボラック樹脂13は37質量%ホルマリン水溶液を50質量%の下記アルデヒド1のジオキサン溶液に、ノボラック樹脂14は37質量%ホルマリン水溶液を50質量%のアルデヒド2のジオキサン溶液に、ノボラック樹脂15は37質量%ホルマリン水溶液を50質量%のアルデヒド3のジオキサン溶液に、ノボラック樹脂16は37質量%ホルマリン水溶液を50質量%のアルデヒド4のジオキサン溶液に、ノボラック樹脂17は37質量%ホルマリン水溶液を50質量%のアルデヒド5のジオキサン溶液に、ノボラック樹脂18は37質量%ホルマリン水溶液を50質量%のアルデヒド6のジオキサン溶液に変えてノボラック樹脂を得た。
【0098】
【化21】
【0099】
ノボラック樹脂1
分子量(Mw)=2,900
分散度(Mw/Mn)=3.90
【化22】
【0100】
ノボラック樹脂2
分子量(Mw)=2,600
分散度(Mw/Mn)=4.88
【化23】
【0101】
ノボラック樹脂3
分子量(Mw)=2,800
分散度(Mw/Mn)=3.39
【化24】
【0102】
ノボラック樹脂4
分子量(Mw)=2,500
分散度(Mw/Mn)=2.77
【化25】
【0103】
ノボラック樹脂5
分子量(Mw)=3,200
分散度(Mw/Mn)=4.20
【化26】
【0104】
ノボラック樹脂6
分子量(Mw)=2,600
分散度(Mw/Mn)=4.60
【化27】
【0105】
ノボラック樹脂7
分子量(Mw)=3,500
分散度(Mw/Mn)=3.77
【化28】
【0106】
ノボラック樹脂8
分子量(Mw)=4,300
分散度(Mw/Mn)=4.30
【化29】
【0107】
ノボラック樹脂9
分子量(Mw)=2,100
分散度(Mw/Mn)=3.70
【化30】
【0108】
ノボラック樹脂10
分子量(Mw)=3,500
分散度(Mw/Mn)=4.10
【化31】
【0109】
ノボラック樹脂11
分子量(Mw)=3,900
分散度(Mw/Mn)=4.40
【化32】
【0110】
ノボラック樹脂12
分子量(Mw)=2,100
分散度(Mw/Mn)=4.70
【化33】
【0111】
ノボラック樹脂13
分子量(Mw)=3,900
分散度(Mw/Mn)=3.90
【化34】
【0112】
ノボラック樹脂14
分子量(Mw)=3,300
分散度(Mw/Mn)=3.70
【化35】
【0113】
ノボラック樹脂15
分子量(Mw)=2,500
分散度(Mw/Mn)=3.60
【化36】
【0114】
ノボラック樹脂16
分子量(Mw)=2,300
分散度(Mw/Mn)=3.40
【化37】
【0115】
ノボラック樹脂17
分子量(Mw)=3,500
分散度(Mw/Mn)=4.70
【化38】
【0116】
ノボラック樹脂18
分子量(Mw)=4,300
分散度(Mw/Mn)=5.90
【化39】
【0117】
比較ノボラック樹脂1
分子量(Mw)=1,800
分散度(Mw/Mn)=3.33
【化40】
【0118】
比較ノボラック樹脂2
分子量(Mw)=6,900
分散度(Mw/Mn)=5.53
【化41】
【0119】
比較ノボラック樹脂3
分子量(Mw)=6,800
分散度(Mw/Mn)=5.53
【化42】
【0120】
なお、下記例で使用した架橋剤、酸発生剤、クエンチャー、溶剤を下記に示す。
架橋剤:架橋剤1〜4
【化43】
熱酸発生剤:TAG1
【化44】
光酸発生剤:PAG1,2
【化45】
クエンチャー:Quencher1,2
【化46】
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサン)
【0121】
[実施例及び比較例]
[レジスト下層膜材料の調製]
上記合成例で得られたノボラック樹脂1〜18及び比較ノボラック樹脂1〜3、TAG1で示される酸発生剤、架橋剤1〜4を、FC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表1に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってレジスト下層膜材料(実施例1〜18、比較例1〜3)をそれぞれ調製した。
上記で調製した下層膜材料(実施例1〜18、比較例1〜3)の溶液をシリコン基板上に塗布して、200℃で60秒間ベークしてそれぞれ膜厚100nmのレジスト下層反射防止膜(下層膜1〜18、比較下層膜1〜3)を形成した。
レジスト下層膜の形成後、J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求め、その結果を表1に示した。
【0122】
【表1】
【0123】
表1に示されるように、実施例1〜18では、レジスト下層膜の屈折率のn値が1.3〜1.6、k値が0.3〜0.7の範囲であり、特に30nm以上の膜厚で十分な反射防止効果を発揮できるだけの最適な屈折率(n)と消光係数(k)を有することがわかる。
【0124】
[珪素含有中間膜材料の調製]
珪素含有ポリマー1で示される樹脂、PAG2で示される酸発生剤、クエンチャー、架橋剤1を、FC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表2に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって珪素含有中間膜材料を調製した。
上記で調製した珪素含有中間膜材料の溶液をシリコン基板上に塗布して、200℃で60秒間ベークしてそれぞれ膜厚40nmの珪素含有中間膜1を形成した。
珪素含有中間膜1の形成後、J.A.ウーラム社の入射角度可変の分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求め、その結果を表2に示した。
【0125】
【表2】
【0126】
珪素含有ポリマー1
分子量(Mw)=8,900
分散度(Mw/Mn)=1.88
【化47】
【0127】
[ArF用レジスト上層膜材料の調製]
レジストポリマー1、PAG1で示される酸発生剤、クエンチャーをFC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に表3に示す割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってArF用レジスト上層膜材料を調製した。
【0128】
【表3】
【0129】
レジストポリマー1
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.92
【化48】
【0130】
[アンモニア過水SC1の調製]
アンモニア、過酸化水素水、水を1:1:5の比率で混合し、SC1を調製した。
[塩酸過水SC2の調製]
塩酸、過酸化水素水、水を1:1:5の比率で混合し、SC2を調製した。
【0131】
下層膜材料(実施例1〜18、比較例1〜3)の溶液をSi基板上に塗布して、200℃で60秒間ベークして膜厚100nmの下層膜(下層膜1〜18、比較下層膜1〜3)を形成した。実施例1〜18、比較例1〜3はSi基板を70℃に加熱したアンモニア過酸化水素水SC1に5分間浸漬し、浸漬後の下層膜の膜厚を測定することによってアンモニア過水で剥離可能かどうかを調べた。実施例19は23℃の10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に5分間浸漬し、実施例20は23℃の25質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に1分間浸漬し、剥離可能かどうかを調べた。その結果を表4に示す。
【0132】
【表4】
【0133】
下層膜1〜18はアンモニア過水SC1によって剥離可能であったが、比較下層膜1〜3はいずれも膜が残っており、剥離不能であった。
【0134】
パターンエッチング試験
下層膜材料(実施例1〜18、比較例1)の溶液をSiウエハー基板上に塗布して、200℃で60秒間ベークして膜厚100nmの下層膜(下層膜1〜18、比較下層膜1)を形成した。
その上に珪素含有中間膜材料溶液を塗布して200℃で60秒間ベークして膜厚40nmの中間層を形成し、ArF用レジスト上層膜材料溶液を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、45nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。ここで用いた珪素含有中間層は露光部分がアルカリ現像液に溶解するタイプであるので、現像によってレジストパターンと同時に珪素含有中間膜のパターンが形成される。
【0135】
次いで、東京エレクトロン(株)製エッチング装置Teliusを用いてドライエッチングによって珪素含有中間層をマスクにして下層膜の加工を行った。
珪素含有中間膜の下層膜への転写条件:
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 500W
Arガス流量 30ml/min
H
2ガス流量 60ml/min
時間 180sec
【0136】
パターン断面を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S−4700)にて観察し、形状を比較した。
次いで、珪素含有中間膜の剥離をSC2で60℃,3分間行い、下層膜の剥離をSC1で70℃,3分間行った。その結果を表5に示す。
【0137】
【表5】