特許第6136441号(P6136441)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136441
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】カメラ
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20170522BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20170522BHJP
   G03B 17/18 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   H04N5/232 Z
   G03B17/18 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-65348(P2013-65348)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-191126(P2014-191126A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2016年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】田口 文也
【審査官】 井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−257209(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0298790(US,A1)
【文献】 特開2007−020109(JP,A)
【文献】 特開2010−026057(JP,A)
【文献】 特開2006−180471(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0149352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 17/18
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズによって結像された被写体像を撮像する撮像部と、
前記レンズの分解能を取得する分解能取得部と、
発生しているブレ量を取得するブレ取得部と、
前記ブレ取得部によって取得された前記ブレ量が、前記分解能と前記撮像部の画素の大きさとによる許容量を超えている場合に、ブレが発生していることの報知及びブレを補正するブレ補正処理の少なくとも一方を実行する制御部と、
を備えるカメラ。
【請求項2】
前記分解能取得部は、前記レンズの状態に応じた複数の前記分解能を取得可能であり、
前記制御部は、前記レンズの状態による前記分解能に基づいて前記報知および前記ブレ補正処理の少なくとも一方を実行する請求項1に記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像時のブレ量を判定する機能を備えたカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像時にカメラに発生するブレ量を判定する機能(以下、「ブレ量判定機能」と称する。)を備えたカメラが知られている。
例えば、特許文献1には、撮像サイズあるいは印刷用紙への引き伸ばし倍率等を考慮して許容できるボケを算出し、算出したボケに相当するブレ量を許容できるブレ量として、手ブレ等に対する報知を行うカメラが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−180471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のブレ量判定機能を備えたカメラにおいては、撮像画像のサイズあるいは印刷用紙への引き伸ばし倍率、即ち、撮像画像の鑑賞条件や印刷における拡大条件等に基づいて、許容されるブレ量を決定している。
一方、撮像に用いるレンズの特性は種々異なる可能性があり、異なる特性のレンズを使用した場合、従来の技術によって、許容されるブレ量を算出すると、必ずしも適切な値を算出できない可能性がある。
許容されるブレ量が適切に算出されない場合、手ブレに対して過度な報知を行ったり、ブレ補正が必要であるにもかかわらず、ブレ補正が行われなかったりする事態が生じ得る。
このように、従来の技術においては、撮像に使用されるレンズに応じて、適切なブレ量の判定を行うことが困難であった。
本発明は、撮像に使用されるレンズに応じて、より適切なブレ量の判定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。
請求項1に記載の発明は、レンズによって結像された被写体像を撮像する撮像部と、前記レンズの分解能を取得する分解能取得部と、発生しているブレ量を取得するブレ取得部と、前記ブレ取得部によって取得された前記ブレ量が、前記分解能と前記撮像部の画素の大きさとによる許容量を超えている場合に、ブレが発生していることの報知及びブレを補正するブレ補正処理の少なくとも一方を実行する制御部と、を備えるカメラである
請求項2に記載の発明は、前記分解能取得部は、前記レンズの状態に応じた複数の前記分解能を取得可能であり、前記制御部は、前記レンズの状態による前記分解能に基づいて前記報知および前記ブレ補正処理の少なくとも一方を実行する請求項1に記載のカメラである。
【発明の効果】
【0006】
撮像に使用されるレンズに応じて、より適切なブレ量の判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態におけるカメラ1の機能構成を示すブロック図である。
図2】交換レンズ10の最小分解長と撮像センサ22の画素との関係を示す模式図である。
図3】制御部21が実行するブレ判定処理を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態のブレ判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
(構成)
図1は、第1実施形態におけるカメラ1の機能構成を示すブロック図である。
カメラ1は、レンズ交換可能なデジタル一眼レフカメラとして構成される。
図1において、カメラ1は、交換レンズ10と、カメラボディ20とによって構成される。
【0009】
交換レンズ10は、カメラボディ20に対して着脱可能に構成された交換レンズであり、種々の焦点距離、レンズ口径及び分解能等を有するものが用意されている。
図1に示すように、交換レンズ10は、光学性能データ記憶部11と、ブレ状態検出部12と、ブレ補正ユニット13とを備えている。なお、交換レンズ10は、不図示のレンズ群、レンズ駆動用モータ及び絞り機構等を備えている。
【0010】
光学性能データ記憶部11は、交換レンズ10の分解能を含む光学性能を示すデータを記憶している。例えば、光学性能データ記憶部11は、交換レンズ10の分解能として、交換レンズ10の結像において識別可能な線の幅[μm](以下、「最小分解長」と称する。)を記憶している。なお、光学性能データ記憶部11に、交換レンズ10の分解能として、交換レンズ10の結像において識別可能な角度を示すデータを記憶しておくこととしても良い。そして、光学性能データ記憶部11は、交換レンズ10がカメラボディ20に装着され、後述する制御部21と通信可能な状態となると、制御部21の読み出し動作に対応して、記憶している光学性能を示すデータを制御部21に出力する。
【0011】
ブレ状態検出部12は、ピッチング(上下方向)及びヨーイング(左右方向)の角速度(以下、「ブレ状態」と称する。)を検出する角速度センサを備えている。ブレ状態検出部12は、交換レンズ10がカメラボディ20に装着され、後述する制御部21と通信可能な状態となると、制御部21の要求に応じて、検出されたピッチング及びヨーイングの角速度を示すデータを制御部21に出力する。
ブレ補正ユニット13は、不図示のブレ補正用レンズ及びブレ補正用レンズの駆動モータを備えている。そして、ブレ補正ユニット13は、制御部21の指示に従って、ブレ補正用レンズを駆動することにより、撮像時のブレを補正する処理を行う。
【0012】
カメラボディ20は、各種交換レンズ10を着脱可能に構成されたカメラ本体である。
図1に示すように、カメラボディ20は、制御部21と、撮像センサ22と、報知部23とを備えている。
制御部21は、カメラ1全体を制御し、不図示のROM(Read Only Memory)に記憶された各種プログラムを実行することにより、後述するブレ判定処理等、撮像に関する各種制御を実行する。
例えば、制御部21は、カメラ1おける撮像時に、シャッタ及び絞りの制御を行ったり、ストロボの発光の制御を行ったりする。また、制御部21は、撮像センサ22に対して、撮像の指示信号を出力し、撮像センサ22から出力される撮像画像のデータを不図示のメモリに画像情報として記録する。
【0013】
また、制御部21は、カメラボディ20に交換レンズ10が装着された場合に、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11から光学性能を示すデータを読み出し、光学性能を示すデータに含まれている分解能と、撮像センサ22の画素の大きさとの対応関係を取得する。具体的には、制御部21は、交換レンズ10の分解能として記憶されている最小分解長が、撮像センサ22の画素の1辺の何倍に当たるかを算出する。以下、ここで算出された値を「ブレ許容量」と称する。制御部21は、算出したブレ許容量を不図示のメモリに記憶し、交換レンズ10が交換されるまで不揮発的に保持する。
【0014】
また、制御部21は、ブレ状態検出部12によって検出される角速度を積分して、ブレ量として、カメラ1における画角の移動幅(ピッチング及びヨーイング方向に画角が変化した範囲の大きさ)を算出し、ブレ許容量と、画角の移動幅(ブレ量)とに基づいて、撮像時にカメラ1に発生しているブレ量を判定するためのブレ判定処理を実行する。ブレ判定処理において、設定された時間内の画角の移動幅がブレ許容量を越えていると判定した場合、制御部21は、報知部23によって、ブレが発生していることの報知を行ったり、ブレ補正処理を実行して、ブレ補正ユニット13によるブレ補正を行ったりする。ブレ許容量を超えたブレ量となっている場合に、ブレが発生していることの報知及びブレ補正処理の実行のいずれを行うかは、ユーザの設定によって決定される。なお、以下、ブレが発生していることの報知及びブレ補正処理の実行を総称して、「ブレ抑制制御」と称する。
【0015】
制御部21は、ブレ抑制制御の実行開始後、ブレ抑制制御の停止条件が充足されたか否かを判定する。そして、制御部21は、停止条件が充足されている場合、ブレ抑制制御を停止し、停止条件が充足されていない場合、ブレ抑制制御を継続する。
本実施形態においては、停止条件として、設定された時間内における画角の移動幅について、停止条件用の閾値が設定されている。制御部21は、設定された時間内における画角の移動幅が、停止条件用の閾値を下回った場合に、ブレが発生している旨の報知あるいはブレ補正ユニット13によるブレ補正を停止する。
【0016】
撮像センサ22は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子によって構成され、交換レンズ10による結像を電気信号に変換することにより、被写体像を撮像する。撮像センサ22は、撮像素子がマトリクス状に配列された構成を有している。
報知部23は、カメラ1にブレが発生している旨をユーザに報知する。本実施形態において、報知部23は、例えば、ファインダーあるいは液晶モニターにブレの発生を表示する表示機能によって構成されている。なお、ファインダーあるいは液晶モニターにおける表示の他、警告音や光の点滅によって、ブレの発生を報知することもできる。
【0017】
(ブレ許容量の算出方法)
次に、ブレ許容量の算出方法について説明する。
図2は、交換レンズ10の最小分解長と撮像センサ22の画素との関係を示す模式図である。なお、図2における破線は、画角の移動軌跡を示している。
図2に示すように、撮像センサ22の受光面において、交換レンズ10の最小分解長は、撮像センサ22の複数画素にわたる長さとなる。
【0018】
本実施形態において、カメラ1には、撮像センサ22の1画素のサイズ(1辺の長さ)が記憶されている。そして、制御部21は、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11から光学性能を示すデータを読み出し、交換レンズ10の最小分解長が、撮像センサ22の1画素のサイズの何倍に相当するかをブレ許容量として算出する。
図2に示す例では、ブレ許容量は撮像センサ22の2画素分(20[μm]分)、即ち、2倍となっている。
本実施形態においては、画角の移動幅(ここではピッチング及びヨーイング方向のいずれか)がブレ許容量を超えた場合に、ブレ抑制制御が実行される。
【0019】
(動作)
次に、動作を説明する。
図3は、制御部21が実行するブレ判定処理を示すフローチャートである。
ブレ判定処理は、ユーザによってブレ量判定機能の起動が指示入力された場合に開始される。
(ステップS1)
制御部21は、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11から光学性能を示すデータを読み出す。
(ステップS2)
制御部21は、交換レンズ10の分解能と撮像センサ22の画素の大きさとから、ブレ許容量を算出する。
(ステップS3)
制御部21は、ブレ状態検出部12から、ブレ状態(ピッチング及びヨーイングの角速度)を取得する。
(ステップS4)
制御部21は、ブレ状態として取得したピッチング及びヨーイングの角速度を積分し、画角の移動幅(ブレ量)を算出する。
(ステップS5)
制御部21は、ステップS2で算出したブレ許容量よりも、ステップS4で取得した画角の移動幅の方が大きいか否かの判定を行う。具体的には、制御部21は、設定された時間内における画角の移動幅が、ブレ許容量を超えたか否かの判定を行う。
ステップS5において、ブレ許容量よりも画角の移動幅の方が大きいと判定した場合、制御部21は、ステップS6の処理に移行する。
一方、ステップS5において、ブレ許容量よりも画角の移動幅の方が大きくないと判定した場合、制御部21は、ステップS7の処理に移行する。
(ステップS6)
制御部21は、カメラ1においてブレが発生している旨の報知あるいはブレ補正ユニット13によるブレ補正(ブレ抑制制御)を実行する。
(ステップS7)
制御部21は、ブレ抑制制御の停止条件が充足されているか否かの判定を行う。
ステップS7において、ブレ抑制制御の停止条件が充足されてないと判定した場合、制御部21は、ステップS7の処理を繰り返す。
一方、ステップS7において、ブレ抑制制御の停止条件が充足されたと判定した場合、制御部21は、ステップS8の処理に移行する。
(ステップS8)
制御部21は、ブレ判定処理の終了が指示入力されているか否かの判定を行う。
ステップS8において、ブレ判定処理の終了が指示入力されていないと判定した場合、制御部21は、ステップS3の処理に移行する。
一方、ステップS8において、ブレ判定処理の終了が指示入力されたと判定した場合、制御部21は、ブレ判定処理を終了する。
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)交換レンズ10の分解能と撮像センサ22の1画素の大きさとの関係に基づいてブレ許容量が算出され、画角の移動幅(ブレ量)がブレ許容量を超えている場合にブレ抑制制御が行われる。
したがって、交換レンズ10の光学性能に応じたブレ許容量を設定することができるため、撮像に使用されるレンズに応じて、より適切なブレ量の判定を行うことが可能となる。
その結果、例えば、手ブレに対して過度な報知を行ったり、ブレ補正が必要であるにもかかわらず、ブレ補正が行われなかったりする事態を抑制することができる。
(2)交換レンズ10が装着された場合に、カメラボディ20の制御部21が、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11から光学性能を示すデータを読み出して、ブレ許容量を算出する。
したがって、装着された交換レンズ10に応じたブレ許容量が自動的に設定されるため、より簡単に、撮像に使用されるレンズに応じて、より適切なブレ量の判定を行うことが可能となる。
【0020】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態においては、1つの交換レンズ10について分解能が1つ記憶され、同一の交換レンズ10が装着されている間は、同一のブレ許容量が設定されるものとして説明した。
【0021】
これに対し、第2実施形態においては、1つの交換レンズ10について複数の分解能を記憶しておくことが可能となっている。
第2実施形態におけるカメラ1の機能構成は、光学性能データ記憶部11及び制御部21を除き、第1実施形態の図1に示す機能構成とほぼ同様である。
したがって、異なる部分である光学性能データ記憶部11及び制御部21の機能構成、ブレ判定処理について主として説明する。
【0022】
(構成)
光学性能データ記憶部11は、交換レンズ10について複数の分解能を含む光学性能を示すデータを記憶している。例えば、交換レンズ10がズームレンズである場合に、光学性能データ記憶部11は、標準レンズに相当する焦点距離の場合の分解能及び望遠レンズに相当する焦点距離の場合の分解能を含む光学性能のデータを記憶しておくことができる。なお、ズームレンズの焦点距離の他、ソフトフォーカスレンズの効果の大きさ(例えば球面収差の大きさ等)に応じた複数の分解能を含む光学性能のデータを記憶しておくことも可能である。
【0023】
また、第1実施形態と同様に、光学性能データ記憶部11は、交換レンズ10の分解能として、例えば、交換レンズ10の結像において識別可能な線の幅[μm](最小分解長)を記憶している。なお、光学性能データ記憶部11に、交換レンズ10の分解能として、交換レンズ10の結像において識別可能な角度を示すデータを記憶しておくこととしても良い。そして、光学性能データ記憶部11は、交換レンズ10がカメラボディ20に装着され、後述する制御部21と通信可能な状態となると、制御部21の読み出し動作に対応して、記憶している光学性能を示すデータを制御部21に出力する。例えば、光学性能データ記憶部11は、制御部21の読み出し動作が行われた場合における交換レンズ10の焦点距離に応じた分解能を制御部21に出力する。
【0024】
制御部21は、カメラ1全体を制御し、不図示のROMに記憶された各種プログラムを実行することにより、後述するブレ判定処理等、撮像に関する各種制御を実行する。
例えば、制御部21は、カメラ1おける撮像時に、シャッタ及び絞りの制御を行ったり、ストロボの発光の制御を行ったりする。また、制御部21は、撮像センサ22に対して、撮像の指示信号を出力し、撮像センサ22から出力される撮像画像のデータを不図示のメモリに画像情報として記録する。
【0025】
また、制御部21は、カメラボディ20に交換レンズ10が装着された場合に、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11から、交換レンズ10の焦点距離に応じた光学性能を示すデータを読み出し、光学性能を示すデータに含まれている分解能と、撮像センサ22の画素の大きさとの対応関係を取得する。具体的には、制御部21は、交換レンズ10の分解能として記憶されている最小分解長が、撮像センサ22の画素の1辺の何倍に当たるか(ブレ許容量)を算出する。
【0026】
また、制御部21は、交換レンズ10の焦点距離が変更された場合に、変更後の焦点距離に応じた分解能を光学性能データ記憶部11から読み出し、読み出した分解能と、撮像センサ22の画素の大きさとの対応関係を取得する。即ち、制御部21は、交換レンズ10の分解能として記憶されている複数の分解能のうち、現在の焦点距離に対応する分解能を読み出す。そして、制御部21は、読み出した分解能(最小分解長)が、撮像センサ22の画素の1辺の何倍に当たるか(ブレ許容量)を算出する。
制御部21は、算出したブレ許容量を不図示のメモリに記憶し、交換レンズ10が交換されるまで、あるいは、交換レンズ10の焦点距離が変更されるまで、不揮発的に保持する。
【0027】
また、制御部21は、ブレ状態検出部12によって検出される角速度を積分して、ブレ量として、カメラ1における画角の移動幅を算出し、ブレ許容量と、画角の移動幅(ブレ量)とに基づいて、撮像時にカメラ1に発生しているブレ量を判定するためのブレ判定処理を実行する。ブレ判定処理において、設定された時間内の画角の移動幅がブレ許容量を越えていると判定した場合、制御部21は、報知部23によって、ブレが発生していることの報知を行ったり、ブレ補正処理を実行して、ブレ補正ユニット13によるブレ補正を行ったりする。ブレ許容量を超えたブレ量となっている場合に、ブレ抑制制御として、ブレが発生していることの報知及びブレ補正処理の実行のいずれを行うかは、ユーザの設定によって決定される。
【0028】
制御部21は、ブレ抑制制御の実行開始後、ブレ抑制制御の停止条件が充足されたか否かを判定する。そして、制御部21は、停止条件が充足されている場合、ブレ抑制制御を停止し、停止条件が充足されていない場合、ブレ抑制制御を継続する。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、停止条件として、設定された時間内における画角の移動幅について、停止条件用の閾値が設定されている。制御部21は、設定された時間内における画角の移動幅が、停止条件用の閾値を下回った場合に、ブレが発生している旨の報知あるいはブレ補正ユニット13によるブレ補正を停止する。
【0029】
(動作)
図4は、第2実施形態のブレ判定処理を示すフローチャートである。
ブレ判定処理は、ユーザによってブレ量判定機能の起動が指示入力された場合に開始される。
【0030】
(ステップS101)
制御部21は、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11から、交換レンズ10の焦点距離に応じた光学性能を示すデータを読み出す。
(ステップS102)
制御部21は、交換レンズ10の分解能と撮像センサ22の画素の大きさとから、ブレ許容量を算出する。
【0031】
(ステップS103)
制御部21は、ブレ状態検出部12から、ブレ状態(ピッチング及びヨーイングの角速度)を取得する。
(ステップS104)
制御部21は、ブレ状態として取得したピッチング及びヨーイングの角速度を積分し、画角の移動幅(ブレ量)を算出する。
【0032】
(ステップS105)
制御部21は、ステップS102で算出したブレ許容量よりも、ステップS104で取得した画角の移動幅の方が大きいか否かの判定を行う。具体的には、制御部21は、設定された時間内における画角の移動幅が、ブレ許容量を超えたか否かの判定を行う。
ステップS105において、ブレ許容量よりも画角の移動幅の方が大きいと判定した場合、制御部21は、ステップS106の処理に移行する。
一方、ステップS105において、ブレ許容量よりも画角の移動幅の方が大きくないと判定した場合、制御部21は、ステップS107の処理に移行する。
【0033】
(ステップS106)
制御部21は、カメラ1においてブレが発生している旨の報知あるいはブレ補正ユニット13によるブレ補正(ブレ抑制制御)を実行する。
(ステップS107)
制御部21は、ブレ抑制制御の停止条件が充足されているか否かの判定を行う。
ステップS107において、ブレ抑制制御の停止条件が充足されてないと判定した場合、制御部21は、ステップS107の処理を繰り返す。
一方、ステップS107において、ブレ抑制制御の停止条件が充足されたと判定した場合、制御部21は、ステップS108の処理に移行する。
【0034】
(ステップS108)
制御部21は、交換レンズ10の焦点距離が変更されたか否かの判定を行う。
ステップS108において、交換レンズ10の焦点距離が変更されたと判定した場合、制御部21は、ステップS101の処理に移行する。
一方、交換レンズ10の焦点距離が変更されていないと判定した場合、制御部21は、ステップS109の処理に移行する。
【0035】
(ステップS109)
制御部21は、ブレ判定処理の終了が指示入力されているか否かの判定を行う。
ステップS109において、ブレ判定処理の終了が指示入力されていないと判定した場合、制御部21は、ステップS103の処理に移行する。
一方、ステップS109において、ブレ判定処理の終了が指示入力されたと判定した場合、制御部21は、ブレ判定処理を終了する。
【0036】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)交換レンズ10の光学性能を示すデータとして、交換レンズ10について複数の分解能が記憶され、ズームレンズの場合における合焦距離等、交換レンズ10の状態に応じた分解能が読み出される。そして、交換レンズ10の状態に応じた分解能と撮像センサ22の1画素の大きさとの関係に基づいてブレ許容量が算出され、画角の移動幅(ブレ量)がブレ許容量を超えている場合にブレが発生していることが検出される。
したがって、交換レンズ10の光学性能に応じたブレ許容量を、交換レンズ10の状況に応じて設定することができるため、撮像に使用されるレンズに応じて、より適切なブレの検出を行うことが可能となる。
【0037】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)第1実施形態及び第2実施形態において、交換レンズ10の光学性能を示すデータは、交換レンズ10の光学性能データ記憶部11に記憶されているものとして説明した。
これに対し、交換レンズ10の光学性能を示すデータをカメラボディ20側に記憶しておくこともできる。
【0038】
この場合、制御部21は、カメラボディ20に装着された交換レンズ10を識別し、識別された交換レンズ10に対応する光学性能を示すデータを読み出して、ブレ許容量を算出する。
このような構成とした場合、交換レンズ10側に光学性能を示すデータを記憶しておく必要がないため、交換レンズ10として汎用的なものを使用することができる。また、カメラボディ20に記憶されている各種交換レンズ10の光学性能を示すデータをネットワーク等を介して適宜ファームアップすることができるため、より適切なブレ許容量を算出することが可能となる。
【0039】
(2)第1実施形態及び第2実施形態において、ブレが発生していることの報知あるいはブレ補正処理(ブレ抑制制御)の停止条件として、設定された時間内における画角の移動幅について、停止条件用の閾値を設定するものとして説明した。そして、設定された時間内における画角の移動幅が閾値を下回った場合に、ブレ抑制制御を停止するものとした。
これに対し、ブレ抑制制御の停止条件として、ブレ抑制制御を開始した後の経過時間によって、タイムアウトを発生させることもできる。
【0040】
これにより、ブレが継続すると考えられる設定時間だけ、ブレ抑制制御を継続した後、簡単に通常の制御に戻すことが可能となる。
なお、停止条件を設定することなく、カメラ1の電源オフ時あるいは撮影モードの終了まで、ブレ抑制制御を継続して行うこととしても良い。
【0041】
(3)第1実施形態及び第2実施形態において、ブレ状態検出部12は、交換レンズ10側に備えるものとして説明した。
これに対し、ブレ状態検出部12と同様の機能をカメラボディ20側に備えることもできる。
この場合、交換レンズ10を小型化及び軽量化することが可能となる。
【0042】
(4)ブレ抑制制御として、カメラ1においてブレが発生している旨の報知及びブレ補正ユニット13によるブレ補正のいずれかを行うことの他、両方を行うこととしても良い。
この場合、カメラ1に発生したブレを補正しつつ、ユーザにブレを発生させないよう注意を喚起することができるため、より適切にブレの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 カメラ、10 交換レンズ、11 光学性能データ記憶部、12 ブレ状態検出部(ブレ取得部)、13 ブレ補正ユニット(ブレ抑制制御部)、20 カメラボディ、21 制御部(分解能取得部、ブレ量判定部、ブレ抑制制御部)、22 撮像センサ(撮像部)、23 報知部
図1
図2
図3
図4