特許第6136546号(P6136546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6136546光配線基板、光配線基板の製造方法、及び光モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136546
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】光配線基板、光配線基板の製造方法、及び光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   G02B6/42
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-97752(P2013-97752)
(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2014-219511(P2014-219511A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】平野 光樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩史
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−076987(JP,A)
【文献】 特開2008−122756(JP,A)
【文献】 特開2011−095294(JP,A)
【文献】 特開平06−265740(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0151614(US,A1)
【文献】 特開2013−242475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26− 6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/42− 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる絶縁体層と、前記絶縁体層に積層された金属からなる導体層とを備え、光ファイバの端部を収容する光ファイバ収容部が形成された光配線基板であって、
前記導体層には、前記光ファイバを伝搬する光を反射する反射面が前記絶縁体層に対して傾斜して形成され、
前記導体層の一部には、前記反射面から前記ファイバの長手方向に離間し、挿入された前記光ファイバの先端の端面が突き当てられる突き当て面が形成され
前記突き当て面は、第1の突き当て面と第2の突き当て面とからなり、
前記第1の突き当て面と前記第2の突き当て面と間の距離は、前記光ファイバのコアの直径よりも広く、前記光ファイバの全体の直径よりも狭い
光配線基板。
【請求項2】
前記突き当て面は、前記反射面とは異なる面である
請求項1に記載の光配線基板。
【請求項3】
前記突き当て面は、前記光ファイバのコアの直径と前記光ファイバのクラッドの径方向の厚みを足し合わせた寸法よりも高い
請求項1又は2に記載の光配線基板。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の光配線基板と、
光電変換素子とを備えた
光モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の光配線基板の製造方法であって、
前記絶縁体層に前記導体層を形成する工程と、
前記導体層の一部を除去して配線パターン及び前記光ファイバ収容部を形成すると共に、前記光ファイバ収容部の一端に前記突き当て面を形成する工程と、
前記配線パターンの一部に前記反射面を構成する傾斜面を形成する工程とを有する
光配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを収容する光配線基板及びその製造方法、ならびに光配線基板を有する光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光配線基板として、例えば、光ファイバを保持する溝を有し、かつ光電変換素子が実装される光実装基板が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に記載の光実装基板は、高温加熱で軟化した基板材料に三角柱状の突起部を有する金型を押し付けて金型の突起部の反転形状を基板材料に転写させることで成形されている。光実装基板は、光ファイバを位置決めするためのガイド溝と、ガイド溝の終端に形成され、光実装基板の表面に対して傾斜したテーパ面とを有している。テーパ面には、光ファイバ内を伝搬する光を反射させるミラーが形成されている。光ファイバは、例えば紫外線硬化樹脂を用いてガイド溝内に実装固定される。テーパ面の上方には、ミラーによって反射された光を受光するフォトダイオードが実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−167175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の光実装基板では、テーパ面がガイド溝に連続して形成されているため、光ファイバをガイド溝に挿入する際、光ファイバの先端がテーパ面上に乗り上げてしまう可能性があった。この場合において、テーパ面上に乗り上げた光ファイバがテーパ面の上方に実装されたフォトダイオードを押し上げて、光実装基板からフォトダイオードが外れてしまうおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、光ファイバを精度よく位置決めすることが可能な光配線基板、光配線基板の製造方法、及び光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、樹脂からなる絶縁体層と、前記絶縁体層に積層された金属からなる導体層とを備え、光ファイバの端部を収容する光ファイバ収容部が形成された光配線基板であって、前記導体層には、前記光ファイバを伝搬する光を反射する反射面が前記絶縁体層に対して傾斜して形成され、前記光ファイバ収容部には、その一端部に、挿入された前記光ファイバの先端が突き当てられる突き当て面が形成された光配線基板を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、前記光配線基板と、光電変換素子とを備えた光モジュールを提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、前記絶縁体層に前記導体層を形成する工程と、前記導体層の一部を除去して配線パターン及び前記光ファイバ収容部を形成すると共に、前記光ファイバ収容部の一端に前記突き当て面を形成する工程と、前記配線パターンの一部に前記反射面を構成する傾斜面を形成する工程とを有する光配線基板の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、前記絶縁体層に前記導体層を形成する工程と、前記導体層の一部を除去して前記配線パターンを形成する工程と、前記配線パターンの一部に前記反射面を構成する傾斜面を形成する工程と、前記絶縁体層の一部を除去して前記光ファイバ収容部を形成すると共に、前記光ファイバ収容部の一端に前記突き当て面を形成する工程とを有する光配線基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光配線基板、光配線基板の製造方法、及び光モジュールによれば、光ファイバを精度よく位置決めすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る光配線基板、及びその光配線基板を備えた光モジュールの一構成例を示す平面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】(a)は図1のB−B線断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
図4】光配線基板を示し、(a)は図1における光電変換素子及びその周辺部の拡大図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
図5】(a)〜(c)は、光配線基板の形成工程を示す断面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る光モジュールを示し、(a)は断面図、(b)は(a)のE部拡大図である。
図7】第2の実施の形態に係る光配線基板を示し、(a)は光電変換素子及びその周辺部の拡大図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
図8】(a)〜(d)は、第2の実施の形態に係る光配線基板の形成工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光配線基板、及びその光配線基板を備えた光モジュールの一構成例を示す平面図である。
【0014】
(光モジュール1の構成)
この光モジュール1は、光配線基板10と、光配線基板10の実装面10aにフリップチップ実装された光電変換素子11と、光電変換素子11に電気的に接続された半導体回路素子12とを備えている。
【0015】
光電変換素子11は、本体部110に、複数(本実施の形態では3個)の電極111が設けられている。3個の電極111のうち2個の電極111は、光配線基板10の実装面10aに形成された第1配線パターン21に電気的に接続されている。残る1個の電極111は、光配線基板10の実装面10aに形成された第2配線パターン22に電気的に接続されている。第2配線パターン22には、光ファイバ5を伝搬する光を反射する反射面22aが形成されている。光電変換素子11は、この反射面22aの上方に実装されている。
【0016】
本実施の形態では、光電変換素子11は、光ファイバ5の長手方向に対して平行な方向の寸法が、例えば350μmであり、光ファイバ5の長手方向に対して直角な短手方向の寸法が、例えば250μmである。
【0017】
光電変換素子11は、電気信号を光信号に変換し、又は光信号を電気信号に変換する素子である。前者の例としては、半導体レーザ素子やLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)等の発光素子が挙げられる。また、後者の例としては、フォトダイオード等の受光素子が挙げられる。光電変換素子11は、光配線基板10の実装面10a側に設けられた受発光部112から、光配線基板10に対して直角な方向に光を出射又は入射するように構成されている。
【0018】
半導体回路素子12は、光配線基板10の実装面10aにフリップチップ実装され、本体部120に、複数(本実施の形態では10個)のパッド電極121が設けられている。複数のパッド電極121は、それぞれ半導体回路素子用配線パターン23に電気的に接続されている。複数のパッド電極121のうち信号伝送用の1つのパッド電極121aは、光電変換素子11の1個の電極111が接続された第2配線パターン22に接続され、これにより半導体回路素子12と光電変換素子11とが電気的に接続されている。
【0019】
光電変換素子11が電気信号を光信号に変換する素子である場合、半導体回路素子12は、光電変換素子11を駆動するドライバICである。光電変換素子11が光信号を電気信号に変換する素子である場合、半導体回路素子12は、光電変換素子11から入力される信号を増幅する受信ICである。
【0020】
なお、光配線基板10には、光電変換素子11及び半導体回路素子12の他に、コネクタやIC(Integrated Circuit)、あるいは能動素子(トランジスタ等)や受動素子(抵抗器、コンデンサ等)などの電子部品を実装してもよい。
【0021】
光ファイバ5は、その先端面が、第2配線パターン22に形成された反射面22aに対して対向するように配置され、光配線基板10の実装面10aの上方から押え部材4によって押えられている。
【0022】
(光配線基板10の構成)
図2は、図1のA−A線断面図である。図3(a)は、図1のB−B線断面図、(b)は(a)のC部拡大図である。
【0023】
光配線基板10は、樹脂からなる絶縁体層3と、絶縁体層3の主面3aに積層され、絶縁体層3に対して傾斜した反射面22aを有する金属からなる導体層2とを備えている。本実施の形態では、反射面22aと絶縁体層3の主面3aとがなす角は45°である。
【0024】
第1配線パターン21、第2配線パターン22、及び半導体回路素子用配線パターン23は、導体層2の一部であり、反射面22aは第2配線パターン22の端面に形成されている。また、導体層2には、光ファイバ5の端部を収容する光ファイバ収容部20が形成されている。
【0025】
導体層2は、例えば銅等の良電導性の金属からなる下地導体層24の表面24bに、ニッケル(Ni)からなるNiメッキ層25及び金(Au)からなる金メッキ層26が積層されて構成されている。導体層2の厚みは、例えば70〜80μmである。
【0026】
図3(b)に示すように、Niメッキ層25及び金メッキ層26は、下地導体層24に形成された傾斜面24aの表面にも積層されている。反射面22aは、金メッキ層26の最表面に形成されている。
【0027】
絶縁体層3は、例えばポリイミド等の樹脂からなり、その厚みは例えば38μmである。絶縁体層3は、光ファイバ収容部20に収容された光ファイバ5を支持する支持面20aを有している。より具体的には、光ファイバ収容部20は、導体層2の厚み方向の全体に亘って貫通し、絶縁体層3の主面3aが露出している。したがって、絶縁体層3の主面3aは、その一部が光ファイバ収容部20の支持面20aとして形成される。
【0028】
光ファイバ収容部20は、導体層2の上方から押え部材4によって覆われ、光ファイバ5は、光ファイバ収容部20内に充填される接着剤等により固定される。本実施の形態では、光ファイバ5のクラッド52の外周面が、光ファイバ収容部20の内面に接触している。
【0029】
光ファイバ収容部20には、その一端部(終端)に、内側に向かって突出する第1の凸部211及び第2の凸部221が形成されている。なお、図3(a)及び図3(b)では、第1の凸部211(図4参照)のみが図示されている。
【0030】
反射面22aは、光ファイバ収容部20に収容された光ファイバ5のコア51に対向する位置に形成されている。図3(a)に示すように、反射面22aは、光ファイバ5内を伝搬する光がコア51から出射されたとき、その出射光を光電変換素子11側に反射する。光電変換素子11が受光素子である場合、反射面22aで反射した光は、光電変換素子11の本体部110に設けられた受発光部112から光電変換素子11内に入射し、光電変換素子11は、この入射光による光信号を電気信号に変換する。
【0031】
また、光電変換素子11が発光素子である場合、光電変換素子11は、半導体回路素子12から出力される電気信号を光信号に変換し、この光信号を表す光を受発光部112から出射する。この出射光は、反射面22aで光ファイバ5の先端面5a側に反射されてコア51内に入射し、光ファイバ5内を伝搬する。図3(a)では、光ファイバ5を伝搬媒体とする光の光路Lを一点鎖線で示している。
【0032】
光ファイバ5は、コア51及びクラッド52を有している。光ファイバ5は、本実施の形態では、コア51の直径が例えば50μmであり、クラッド52の径方向の厚みが例えば15μmである。すなわち、光ファイバ5の直径(コア51及びクラッド52を合わせた直径)は80μmであり、導体層2の厚みと同程度の寸法である。
【0033】
図4(a)は、図1における光電変換素子11及びその周辺部の拡大図、図4(b)は、図4(a)のD−D線断面図である。なお、図4(a)では、光電変換素子11の外形を二点鎖線で示している。
【0034】
導体層2に形成された第1配線パターン21には、第2配線パターン22に向かって突出する第1の凸部211が形成され、第2配線パターン22には第1配線パターン21に向かって突出する第2の凸部221が形成されている。
【0035】
第1の凸部211及び第2の凸部221は、第2配線パターン22に形成された反射面22aと光ファイバ収容部20との間に介在している。第1の凸部211は、反射面22aに対向する面の反対側に、光ファイバ5の先端面5aが突き当てられる第1の突き当て面211aを有している。同様にして、第2の凸部221は、反射面22aに対向する面の反対側に、光ファイバ5の先端面5aが突き当てられる第2の突き当て面221aを有している。換言すれば、第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aは、光ファイバ収容部20の一端部(終端)に形成されている。
【0036】
図4(b)に示すように、第1の凸部211の第2の凸部221に対向する第1の対向面211bと第2の凸部221の第1の凸部211に対向する第2の対向面221bとの間の距離Wは、光ファイバ5のコア51の直径Wよりも広く、光ファイバ5全体の直径Wよりも狭い。すなわち、光ファイバ5のクラッド52の先端面52aが、第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aに接触している。コア51の先端面51aは、第1の凸部211と第2の凸部221との間で露出している。
【0037】
(光配線基板10の製造方法)
次に、図5を参照して、光配線基板10の製造方法を説明する。
【0038】
図5(a)〜(c)は、光配線基板10の形成工程を示す断面図である。
【0039】
光配線基板10の製造工程は、絶縁体層3の主面3aに下地導体層24を形成する第1工程と、下地導体層24の一部を除去して配線パターン(第1配線パターン21、第2配線パターン22、及び半導体回路素子用配線パターン23)及び光ファイバ収容部20を形成すると共に、光ファイバ収容部20の一端に第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aを形成する第2工程と、下地導体層24に傾斜面24aを形成する第3工程と、下地導体層24の表面24b及び傾斜面24aにNiメッキ層25及び金メッキ層26を積層する第4工程とを有している。以下、第1〜第4工程について、より詳細に説明する。
【0040】
第1工程では、図5(a)に示すように、絶縁体層3の主面3aの全体に下地導体層24を、例えば接着、蒸着、又は無電解メッキによって形成する。本実施の形態では、下地導体層24は、主として良電導性を有する銅(Cu)からなる。
【0041】
第2工程では、図5(b)に示すように、エッチングによって下地導体層24の一部を除去し、第1配線パターン21、第2配線パターン22、半導体回路素子用配線パターン23、及び光ファイバ収容部20をそれぞれ形成すると共に、第1の凸部211及び第2の凸部221を形成する。
【0042】
より具体的には、下地導体層24の除去部分240に対応する部分以外にレジストを塗布し、レジストが塗布されていない部分の下地導体層24をエッチングによって溶解させる。これにより、除去部分240に対応する下地導体層24が溶解し、第1配線パターン21、第2配線パターン22、半導体回路素子用配線パターン23、光ファイバ収容部20、第1の凸部211、及び第2の凸部221に対応する下地導体層24のみが残る。
【0043】
第3工程では、図5(c)に示すように、下地導体層24の表面24bから裏面24cに向かって導体層2を斜めに切削することにより傾斜面24aを形成する。
【0044】
第4工程では、下地導体層24の表面24b及び傾斜面24aの表面にニッケル(Ni)及び金(Au)のメッキを施して、Niメッキ層25及び金メッキ層26を形成する。このニッケル(Ni)メッキ及び金メッキ等は、例えば無電解メッキによって行うことができる。金メッキ層26の最表面には、反射面22aが形成される。
【0045】
(実施の形態の作用及び効果)
以上説明した実施の形態によれば、次のような作用及び効果が得られる。
【0046】
(1)光ファイバ収容部20には、その一端部(終端)に、第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aが形成されているため、第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aに突き当てられた光ファイバ5は、精度よく位置決めがなされる。第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aが形成された第1の凸部211及び第2の凸部221は、反射面22aと光ファイバ収容部20との間に配置されているため、光ファイバ5の先端が反射面22a上に乗り上げることがなく、光電変換素子11が光配線基板10から外れてしまうことを防止することができる。
【0047】
(2)第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aは、第1配線パターン21及び第2配線パターン22に、すなわち導体層2に形成されているため、光配線基板10を製造する際のエッチング工程(第2工程)において、第1配線パターン21、第2配線パターン22、及び光ファイバ収容部20を形成する際に一緒に第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221aを形成することができ、作業性の向上につながる。
【0048】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6乃至図8を参照して説明する。本実施の形態に係る光配線基板10Aは、光ファイバ収容部30の構成が、第1の実施の形態に係る光配線基板10の光ファイバ収容部20の構成と異なる。図6乃至図8において、第1の実施の形態に係る光配線基板10について説明したものと同一の機能を有する部位については共通する符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0049】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュール1Aを示し、(a)は断面図、(b)は(a)のE部拡大図である。図7は、第2の実施の形態に係る光配線基板10Aを示し、(a)は光電変換素子11及びその周辺部の拡大図、(b)は(a)のF−F線断面図である。なお、図7(a)では、光電変換素子11の外形を二点鎖線で示している。
【0050】
本実施の形態に係る光配線基板10Aは、光ファイバ5の端部を収容する光ファイバ収容部30が、導体層2の厚み方向の全体、及び絶縁体層3Aの厚み方向の一部に亘って形成されている。すなわち、光ファイバ収容部30は、導体層2においてその厚み方向の全体に亘って貫通し、絶縁体層3においてその厚み方向の全体に亘って貫通せずに一部が底面30bとして残っている。光ファイバ5は、光ファイバ収容部30の底面30bで支持されている。
【0051】
光ファイバ収容部30の長手方向の一端(終端)には、挿入された光ファイバ5の先端面5aが突き当てられる突き当て面30aが、底面30bに対して垂直となるように形成されている。図6(b)及び図7(b)に示すように、光ファイバ収容部30に収容された光ファイバ5は、クラッド52の先端面52aが、突き当て面30aに突き当てられている。コア51の先端面51aは、第1配線パターン21と第2配線パターン22との間で露出し、第2配線パターン22に形成された反射面22aに対向している。
【0052】
図8(a)〜(d)は、第2の実施の形態に係る光配線基板10Aの形成工程を示す断面図である。
【0053】
本実施の形態に係る光配線基板10Aの製造工程は、絶縁体層3Aの主面3aに下地導体層24を形成する第1工程と、下地導体層24の一部を除去して配線パターン(第1配線パターン21、第2配線パターン22、及び半導体回路素子用配線パターン23)を形成すると共に、光ファイバ収容部30となる凹部241を形成する第2工程と、下地導体層24に傾斜面24aを形成する第3工程と、凹部241の底面にあたる絶縁体層3Aを除去して光ファイバ収容部30を形成すると共に、光ファイバ収容部30の一端(終端)に突き当て面30aを形成する第4工程と、下地導体層24の表面24b及び傾斜面24aにNiメッキ層25及び金メッキ層26を積層する第5工程とを有する。以下、第1〜第5工程について、より詳細に説明する。
【0054】
本実施の形態の第1工程では、図8(a)に示すように、絶縁体層3Aの主面3Aaの全体に下地導体層24を、例えば接着、蒸着、又は無電解メッキによって形成する。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、下地導体層24は主として良電導性を有する銅(Cu)からなる。
【0055】
第2工程では、図8(b)に示すように、エッチングによって下地導体層24の一部を除去し、第1配線パターン21、第2配線パターン22、及び半導体回路素子用配線パターン23を形成すると共に、光ファイバ収容部30となる凹部241を形成する。下地導体層24の除去部分240に対応する部分及び凹部241に対応する部分以外にレジストを塗布し、レジストが塗布されていない部分の下地導体層24をエッチングによって溶解させる。これにより、除去部分240及び凹部241に対応する下地導体層24が溶解し、第1配線パターン21、第2配線パターン22、半導体回路素子用配線パターン23、及び凹部241に対応する下地導体層24のみが残る。
【0056】
第3工程では、第1の実施の形態の第3工程と同様にして、図8(c)に示すように、下地導体層24の表面24bから裏面24cに向かって下地導体層24を斜めに切削することにより、傾斜面24aを形成する。
【0057】
第4工程では、図8(d)に示すように、凹部241の底面にあたる絶縁体層3Aの主面3aに対して直角な方向からレーザ光を照射する。レーザ光の照射によって、光ファイバ5の端部を収容する光ファイバ収容部30及び突き当て面30aが、絶縁体層3Aに形成される。本実施の形態のレーザ光の強度は、絶縁体層3Aにおける厚さ方向の一部を照削(光を照射して削ること)し得る強度であり、絶縁体層3Aは、厚さ方向の全体に亘って照削されない。したがって、絶縁体層3Aには、このレーザ光の照射によって除去されずに残った部分が光ファイバ収容部30の底面30bとして形成される。
【0058】
第5工程では、第1の実施の形態における第4工程と同様にして、下地導体層24の表面24b及び傾斜面24aの表面にニッケル(Ni)及び金(Au)のメッキを施して、Niメッキ層25及び金メッキ層26を形成する。金メッキ層26の最表面には、反射面22aが形成される。
【0059】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第2の実施の形態においても、第1の実施の形態の(1)の作用及び効果の他に、次の作用及び効果が得られる。
【0060】
突き当て面30aは、絶縁体層3Aに形成された光ファイバ収容部30の一端部に形成されているため、光配線基板10の形成工程における光ファイバ収容部30を形成する工程の中で一緒につきあて面30aを形成することができ、作業性の向上につながる。
【0061】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0062】
[1]樹脂からなる絶縁体層(3,3A)と、前記絶縁体層(3,3A)に積層された金属からなる導体層(2)とを備え、光ファイバ(5)の端部を収容する光ファイバ収容部(20,30)が形成された光配線基板(10,10A)であって、前記導体層(2)には、前記光ファイバ(5)を伝搬する光を反射する反射面(22a)が前記絶縁体層(3,3A)に対して傾斜して形成され、前記光ファイバ収容部(20,30)には、その一端部に、挿入された前記光ファイバ(5)の先端が突き当てられる突き当て面(211a,221a,30a)が形成された光配線基板(10,10A)。
【0063】
[2]前記突き当て面(第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221a)は、前記導体層(2)の一部に形成された、[1]に記載の光配線基板(10)。
【0064】
[3]前記突き当て面(30a)は、前記絶縁体層(3A)の一部に形成された、[1]に記載の光配線基板(10A)。
【0065】
[4][1]乃至[3]の何れか1項に記載の光配線基板(10,10A)と、光電変換素子(11)とを備えた光モジュール(1,1A)。
【0066】
[5][2]に記載の光配線基板(10)の製造方法であって、前記絶縁体層(3)に前記導体層(2)を形成する工程と、前記導体層(2)の一部を除去して配線パターン(第1配線パターン21,第2配線パターン22,半導体回路素子用配線パターン23)及び前記光ファイバ収容部(20)を形成すると共に、前記光ファイバ収容部(20)の一端に前記突き当て面(第1の突き当て面211a及び第2の突き当て面221a)を形成する工程と、前記配線パターン(第2配線パターン22)の一部に前記反射面(22a)を構成する傾斜面(24a)を形成する工程とを有する光配線基板(10)の製造方法。
【0067】
[6][3]に記載の光配線基板(10A)の製造方法であって、前記絶縁体層(3A)に前記導体層(2)を形成する工程と、前記導体層(2)の一部を除去して前記配線パターン(第1配線パターン21,第2配線パターン22,半導体回路素子用配線パターン23)を形成すると共に、前記光ファイバ収容部(30)となる凹部(241)を形成する工程と、前記配線パターン(第2配線パターン22)の一部に前記反射面(22a)を構成する傾斜面(24a)を形成する工程と、前記凹部(241)の底面にあたる前記絶縁体層(3A)を除去して前記光ファイバ収容部(30)を形成すると共に、前記光ファイバ収容部(30)の一端に前記突き当て面(30a)を形成する工程とを有する光配線基板(10A)の製造方法。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0069】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、光配線基板10,10Aに1つの光モジュール1,1Aを搭載した場合について説明したが、これに限らず、光配線基板10,10Aに複数の光モジュール構造を形成してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、光ファイバ5は、クラッド52の外周が、押え部材4の凹部40の内面40a及び絶縁体層3の主面3aに接触していたが、光ファイバ5は凹部40内に充填される接着剤等により固定されるので、クラッド52の外周が押え部材4の凹部40の内面40a及び絶縁体層3の主面3aに接触していなくともよい。
【0071】
また、上記実施の形態では、光配線基板10,10Aは、主に絶縁体層3,3A及び導体層2により構成されていたが、これに限らず、絶縁体層3,3Aの裏面側にも配線パターンが形成された導体層を形成してもよい。この場合、配線の取り回しがよくなる。
【0072】
また、上記実施の形態では、下地導体層24が銅(Cu)である場合について説明したが、これに限らず、下地導体層24の一部又は全部が例えばアルミニウム(Al)であってもよい。また、メッキ層(Niメッキ層25及び金メッキ層26)における材質も、上記したものに限らない。絶縁体層3の材質も、ポリイミドに限らず、例えばPET(Polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタラート)であってもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、光電変換素子11及び半導体回路素子12は光配線基板10にフリップチップ実装されていたが、これに限らず、例えばワイヤボンディングされていてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,1A…光モジュール、2…導体層、3,3A…絶縁体層、3a,3Aa…主面、4…押え部材、5…光ファイバ、5a…先端面、10,10A…光配線基板、10a…実装面、11…光電変換素子、12…半導体回路素子、20…光ファイバ収容部、20a…支持面、21…第1配線パターン、22…第2配線パターン、22a…反射面、23…半導体回路素子用配線パターン、24…下地導体層、24a…傾斜面、24b…表面、24c…裏面、25…Niメッキ層、26…金メッキ層、30…光ファイバ収容部、30a…突き当て面、30b…底面、40…凹部、40a…内面、51…コア、51a…先端面、52…クラッド、52a…先端面、110…本体部、111…電極、112…受発光部、120…本体部、121,121a…パッド電極、211…第1の凸部、211a…第1の突き当て面、211b…第1の対向面、221…第2の凸部、221a…第2の突き当て面、221b…第2の対向面、240…除去部分、241…凹部、L…光路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8