(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
JIS K 7361−1に準拠し測定した光線透過率が80%以上、かつJIS K 7136に準拠し測定したヘイズが5%以下であることを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電膜。
【実施例】
【0049】
以下に本発明を実施例により、詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。
【0050】
<ITO微粒子の精製>
得られたITO微粒子分散液は、遠心機(コクサン(株)製、(商品名)H−201F)を使用し、遠心分離を繰り返すことにより精製を行った。
【0051】
<ITO微粒子の紛体作製>
ITO微粒子の水分散液を0.5μmフィルタで濾過した後、80℃減圧中で乾固させ、ITO微粒子紛体を得た。
【0052】
<ITO微粒子の平均粒子径の算出>
ITO微粒子を水に分散させた、濃度0.01%以下の分散液を用意し、これをコロジオン膜展張したカーボンコーティング銅メッシュに落として水を揮発させ、このサンプルを透過型顕微鏡で観察した。また得られた像から、ITO微粒子の粒子径を読み取り、300個以上のITO微粒子について平均した値をITO微粒子の平均粒子径とした。
【0053】
<ITO微粒子中の配位子の配位量分析>
上記ITO紛体を用い、熱重量減少測定により分析した。測定には示差熱熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、(商品名)EXSTAR TG/DTA6200)を使用した。該ITO微粒子紛体を窒素雰囲気中、80℃で60分保持した後、10℃毎分で500℃まで昇温、その後500℃で180分間保持し、80℃から500℃の範囲における重量の減少値を、加熱分解した配位子の配位量として算出した。
【0054】
<配位子交換反応進行確認>
反応液を3mL抜出し、遠心分離を実施してITO微粒子を単離した。沈降性が悪い場合は、反応液と等量のジクロロメタン等のハロゲン系溶媒を添加し、遠心分離を実施した。得られたITO微粒子を重水に分散させ、核磁気共鳴装置(日本電子社製、(商品名)JMN−EC400)を用い、1H NMRもしくは13C NMRを測定した。得られたスペクトルより、交換前の配位子と、交換後の配位子との比率を算出し、比率が8倍以上をもって反応が進行したものと判断した。
【0055】
<ITO微粒子分散液の溶液ヘイズ>
水に対して固形分濃度0.1重量%の割合でITO微粒子を分散させた分散液を、厚さ10mmの溶液セルにとり、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製、(商品名)NDH−5000)を用い、JIS K 7136に準拠して溶液ヘイズの測定を行った。
【0056】
<透明導電膜の導電性の測定>
抵抗率計((商品名)Loresta−AP、三菱油化(株)製)を用い、4探針法にてシート抵抗の測定を行った。
【0057】
<結晶性スズ含有酸化インジウム微粒子の分散液の光線透過率及びヘイズの測定>
日本電色工業社製ヘイズメーター((商品名)NDH−5000、日本電色工業(株)製)を用い、厚み10mmの液体用セル中に該分散液を入れ、JIS K 7361−1に準拠して結晶性スズ含有インジウム微粒子分散液の光線透過率を、JIS K 7136に準拠してヘイズの測定を行った。
【0058】
<透明導電膜の光線透過率及びヘイズの測定>
ヘイズメーター((商品名)NDH−5000、日本電色工業(株)製)を用い、JIS K 7361−1に準拠して透明導電膜の光線透過率を、JIS K 7136に準拠してヘイズの測定を行った。
【0059】
<透明導電膜の基材への密着性の評価>
塗料一般試験方法JIS K 5600に準拠してクロスカット試験を実施し、100個の碁盤目のうち剥離個数が10個以下のものを、密着性良好と判断した。
【0060】
<ITO微粒子前駆体の製造例1(オレイルアミンの配位したITO微粒子)>
100mlフラスコ中に酢酸インジウム(III)315mg、2−エチルヘキサン酸スズ(II)39μl、オレイルアミン3.3ml、1−吉草酸380μl、n−ジオクチルエーテル9mlを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中270℃で2時間加熱還流し、オレイルアミンの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエタノール、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、オレイルアミンの配位したITO微粒子を得た。
【0061】
得られたITO微粒子の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、オレイルアミンの配位したITO微粒子の平均粒子径は13.3nmであった。
【0062】
<ITO微粒子前駆体の製造例2(ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子)>
100mlフラスコ中に2−エチルヘキサン酸インジウム(III)1176mg、酢酸スズ(II)51mg、ヘキサデシルアミン4.5ml、n−オクタン酸700μl、n−ジオクチルエーテル25mlを仕込み、真空中70℃で3時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中270℃で3時間加熱還流し、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエタノール、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子を得た。
【0063】
得られたITO微粒子の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子の平均粒子径は10.5nmであった。
【0064】
<ITO微粒子前駆体の製造例3(1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子)> 100mlフラスコ中に2−エチルヘキサン酸インジウム(III)1176mg、2−エチルヘキサン酸スズ(II)139μl、1−ヘキサデカノール4.8g、n−オクタン酸800μl、1−オクタデセン30mlを仕込み、真空中80℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中150℃で1時間加熱し、次いで窒素雰囲気中250℃で4時間加熱還流し、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にエキネン、分散溶媒にクロロホルムを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子を得た。
【0065】
得られたITO微粒子の一部をクロロホルムに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子の平均粒子径は8.9nmであった。
【0066】
<製造例4(オレイルアルコールの配位したITO微粒子)>
100mlフラスコ中に酢酸インジウム(III)315mg、酢酸スズ(II)36mg、オレイルアルコール2.5ml、1−ペンタン酸300μl、1−オクタデセン10mlを仕込み、真空中70℃で1時間加熱し、その後常圧に戻して窒素雰囲気中170℃で2時間加熱し、次いで窒素雰囲気中280℃で1.5時間加熱還流し、オレイルアルコールの配位したITO微粒子の粗分散液を得た。該粗分散液を、沈殿溶媒にメタノール、分散溶媒にヘキサンを用いて5回遠心分離精製を繰り返し、オレイルアルコールの配位したITO微粒子を得た。
【0067】
得られたITO微粒子の一部をヘキサンに分散させた希薄分散液を作成し、TEM観察したところ、オレイルアルコールの配位したITO微粒子の平均粒子径は7.1nmであった。
【0068】
実施例1
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.5g、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0069】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0070】
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.2倍含有されており、オレイルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0071】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が3.8重量%配位したものであることが確認された。
【0072】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0073】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は13.2nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0074】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率89.8%、ヘイズ1.2%、シート抵抗800Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0075】
実施例2
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、マロン酸0.5g、イソプロパノール30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃7時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0076】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0077】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が9.2倍含有されており、オレイルアミンからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0078】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が4.2重量%配位したものであることが確認された。
【0079】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0080】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は13.3nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0081】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚250nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率90.4%、ヘイズ1.0%、シート抵抗760Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0082】
実施例3
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド30mlを仕込み、窒素雰囲気中100℃7時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0083】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0084】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.3倍含有されており、オレイルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0085】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が4.9重量%配位したものであることが確認された。
【0086】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.0%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0087】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は13.1nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0088】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率88.9%、ヘイズ0.8%、シート抵抗620Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0089】
実施例4
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、シュウ酸1.1g、エタノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0090】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にエタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0091】
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が9.6倍含有されており、ヘキサデシルアミンからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0092】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が6.5重量%配位したものであることが確認された。
【0093】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0094】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は10.5nmであり、配位子交換前の10.5nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0095】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子1.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ50μmのポリカーボネートフイルム(帝人化成(株)製、商品名「ピュアエースWR))に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率86.0%、ヘイズ1.6%、シート抵抗1,600Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0096】
実施例5
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、マロン酸1.2g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中90℃12時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0097】
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0098】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が9.8倍含有されており、ヘキサデシルアミンからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0099】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が6.6重量%配位したものであることが確認された。
【0100】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.5%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0101】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は10.5nmであり、配位子交換前の10.5nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0102】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子1.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ50μmのポリカーボネートフイルム(帝人化成(株)製、商品名「ピュアエースWR」)に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚200nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率87.2%、ヘイズ2.0%、シート抵抗3,100Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0103】
実施例6
100mlフラスコ中に製造例2で得られた、ヘキサデシルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.4mmol)、クエン酸2.3g、エタノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0104】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にエタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0105】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったヘキサデシルアミンに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.7倍含有されており、ヘキサデシルアミンからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0106】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が6.0重量%配位したものであることが確認された。
【0107】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0108】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は10.4nmであり、配位子交換前の10.5nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0109】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子1.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ50μmのポリカーボネートフイルム(帝人化成(株)製、商品名「ピュアエースWR」)に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚250nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率86.1%、ヘイズ1.4%、シート抵抗900Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0110】
実施例7
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、シュウ酸0.9g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃6時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0111】
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0112】
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が8.3倍含有されており、1−ヘキサデカノールからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0113】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が5.9重量%配位したものであることが確認された。
【0114】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0115】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は8.9nmであり、配位子交換前の8.9nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0116】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子3.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ125μmのPENフイルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)に塗工し、窒素雰囲気中180℃で5時間乾燥して、塗工厚150nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率85.5%、ヘイズ2.2%、シート抵抗8,900Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0117】
実施例8
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、マロン酸1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド80mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃6時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0118】
該粗分散液を、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0119】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が8.7倍含有されており、1−ヘキサデカノールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0120】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が6.9重量%配位したものであることが確認された。
【0121】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0122】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は8.7nmであり、配位子交換前の8.9nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0123】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子3.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ125μmのPENフイルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)に塗工し、窒素雰囲気中180℃で5時間乾燥して、塗工厚200nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率85.8%、ヘイズ2.6%、シート抵抗6,800Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0124】
実施例9
100mlフラスコ中に製造例3で得られた、1−ヘキサデカノールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=2.6mmol)、クエン酸1.9g、イソプロパノール80mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃6時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0125】
該粗分散液を、沈殿溶媒にクロロホルム、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であった1−ヘキサデカノールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が8.1倍含有されており、1−ヘキサデカノールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0126】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が7.0重量%配位したものであることが確認された。
【0127】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.0%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0128】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は8.9nmであり、配位子交換前の8.9nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0129】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子3.5重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ125μmのPENフイルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックスQ65FA」)に塗工し、窒素雰囲気中180℃で5時間乾燥して、塗工厚200nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率85.2%、ヘイズ1.9%、シート抵抗7,000Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0130】
実施例10
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、シュウ酸0.6g、メタノール50mlを仕込み、窒素雰囲気中60℃15時間加熱攪拌して、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0131】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にメタノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0132】
得られたITO微粒子を重水に分散させて13C NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるシュウ酸が8.8倍含有されており、オレイルアルコールからシュウ酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0133】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、シュウ酸が8.5重量%配位したものであることが確認された。
【0134】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、シュウ酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、1.2%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、シュウ酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0135】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、シュウ酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は7.0nmであり、配位子交換前の7.1nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0136】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してシュウ酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚350nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率89.8%、ヘイズ1.2%、シート抵抗3,100Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0137】
実施例11
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、マロン酸0.7g、イソプロパノール50mlを仕込み、窒素雰囲気中70℃12時間加熱攪拌して、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0138】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にイソプロパノールを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、マロン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0139】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるマロン酸が9.0倍含有されており、オレイルアルコールからマロン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0140】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、マロン酸が8.9重量%配位したものであることが確認された。
【0141】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、マロン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、2.0%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、マロン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0142】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、マロン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は7.0nmであり、配位子交換前の7.1nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0143】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してマロン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率91.5%、ヘイズ0.9%、シート抵抗3,500Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0144】
実施例12
100mlフラスコ中に製造例4で得られた、オレイルアルコールの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、クエン酸1.3g、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃12時間加熱攪拌して、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の粗分散液を得た。
【0145】
該粗分散液を、沈殿溶媒にジクロロメタン、分散溶媒にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、クエン酸を配位子として有するITO微粒子の沈殿物を得た。
【0146】
得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアルコールに比べ、交換後の配位子であるクエン酸が9.2倍含有されており、オレイルアルコールからクエン酸へ、配位子交換が進行していることが確認された。
【0147】
得られたITO微粒子の一部を乾固させて微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、クエン酸が9.2重量%配位したものであることが確認された。
【0148】
また、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対して、クエン酸の配位したITO微粒子0.1重量%を含む分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、0.9%であり、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したが、ITO微粒子の沈降は確認されなかった。すなわち、クエン酸を配位子として有するITO微粒子が、水に対して十分に高い分散性を示すことが確認された。
【0149】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、クエン酸の配位したITO微粒子の平均粒子径は7.1nmであり、配位子交換前の7.1nmからほとんど変化していないことから、配位子のみが交換されたものと考えられる。
【0150】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む、透明導電膜用水系塗工液を得た。該塗工液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚300nmの透明導電膜を得た。この透明導電膜は、塗膜の基材への密着性も高く、光線透過率90.5%、ヘイズ0.8%、シート抵抗2,200Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していることを確認した。
【0151】
比較例1
製造例1と同様の手法で、平均粒径13.3nmの、オレイルアミンを配位子として有するITO微粒子を製造した。得られた微粒子の一部を乾固して微粒子紛体とし、熱重量減少を測定したところ、オレイルアミンが4.5重量%配位したものであることが確認された。
【0152】
次いで得られたオレイルアミンを配位子として有するITO微粒子に水を添加して、固形分濃度0.1重量%のITO微粒子分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、20.8%と高く、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したところ、ほぼ全量のITO微粒子が沈降した。すなわち、カルボン酸化合物ではなくオレイルアミンを配位子として有するITO微粒子は、水に対して十分な分散性を有していないといえる。
【0153】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、オレイルアミンの配位したITO微粒子2.0重量%を含む分散液を得た。該分散液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚約600nmの塗工膜を得た。この塗工膜は、塗膜の基材への密着性が低く、光線透過率25.6%、ヘイズ59.9%以上、シート抵抗9.9×10
6Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していないものであった。
【0154】
比較例2
100mlフラスコ中に製造例1で得られた、オレイルアミンの配位したITO微粒子(仕込みIn+Sn=1.2mmol)、オレイン酸1.4g、N,N−ジメチルホルムアミド30mlを仕込み、窒素雰囲気中80℃2時間加熱攪拌を実施した。
【0155】
得られた溶液をN,N−ジメチルホルムアミドを用いて3回遠心分離精製を繰り返し、ITO微粒子の沈殿物を得た。得られたITO微粒子を重水に分散させて1H NMRを測定したところ、交換前の配位子であったオレイルアミンに比べ、交換後の配位子であるオレイン酸が5.2倍と8倍未満であることから、得られたITO微粒子は、カルボン酸化合物が配位していないものであった。
【0156】
また、得られた沈降微粒子に水を添加して、固形分濃度0.1重量%のITO微粒子分散液を得た。この分散液の溶液ヘイズを測定したところ、6.5%と高く、さらに、同分散液を回転半径10.1cmにて、3,000回転、30分遠心分離したところ、一部のITO微粒子の沈降が確認されたことから、本ITO微粒子は水に対して十分に高い分散性を有していないものであった。
【0157】
同分散液の一部をさらに10倍に希釈してTEM観察したところ、該ITO微粒子は非常に凝集の強いものであったが、ITO微粒子の平均粒子径は13.2nmであり、配位子交換前の13.3nmからほとんど変化していないことが確認された。
【0158】
次いで、得られた沈降粒子に水を添加し、水100重量%に対してクエン酸の配位したITO微粒子2.0重量%を含む分散液を得た。該分散液を、基材である厚さ150μmのガラス板に塗工し、窒素雰囲気中200℃で5時間乾燥して、塗工厚約600nmの塗工膜を得た。この塗工膜は、塗膜の基材への密着性が低く、光線透過率30.8%、ヘイズ45.1%以上、シート抵抗6.8×10
6Ω/□であり、透明導電膜として十分に高い光学特性と導電特性を有していないものであった。
【0159】
【表1】