(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面および裏面を有する支持基板と前記支持基板の前記表面上に配置された硬化性シリコーン組成物層とを備える硬化性層付き支持基板を、前記支持基板の前記裏面側から複数の支持ピンにて支持して、前記硬化性層付き支持基板に加熱処理を施し、シリコーン樹脂層を形成する加熱工程と、
前記加熱工程の後に、前記シリコーン樹脂層上にガラス基板を積層する積層工程と、
前記積層工程の後に、または、前記加熱工程の後で前記積層工程の前に、少なくとも前記支持基板の前記裏面に、コロナ処理、プラズマ処理、および、UVオゾン処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理を施す表面処理工程を備える、支持基板とシリコーン樹脂層とガラス基板とをこの順で有するガラス積層体の製造方法。
前記硬化性シリコーン組成物層に、アルケニル基を有するオルガノアルケニルポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとが少なくとも含まれる、請求項1に記載のガラス積層体の製造方法。
前記加熱工程が、第1の温度で加熱処理を施す第1加熱工程と、前記第1の温度よりも高い第2の温度で加熱処理を施す第2加熱工程とをこの順で備える、請求項1または2に記載のガラス積層体の製造方法。
前記表面処理工程において、前記積層工程で得られる前記支持基板と前記シリコーン樹脂層と前記ガラス基板とをこの順で有するガラス積層体の搬送経路を挟んで対向する高圧電極とアース電極とを備える電極対を、前記ガラス積層体の搬送方向に沿って複数配列させ、隣接する前記電極対中の一方の高圧電極を前記搬送経路を挟んだ一方側に、他方の高圧電極を前記搬送経路を挟んだ他方側に配置し、
前記ガラス積層体を、前記搬送経路に沿って搬送しつつ、前記高圧電極に高周波電圧を印加して、前記ガラス積層体にコロナ処理を施す、請求項5に記載のガラス積層体の製造方法。
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法より製造されるガラス積層体の前記ガラス基板の表面上に電子デバイス用部材を形成し、電子デバイス用部材付き積層体を得る部材形成工程と、
前記電子デバイス用部材付き積層体から前記樹脂層付き支持基板を除去し、前記ガラス基板と前記電子デバイス用部材とを有する電子デバイスを得る分離工程と、を備える電子デバイスの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適実施態様について図面を参照して説明するが、本発明は、以下の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
【0010】
本発明者らは、上記問題点について検討を行ったところ、加熱工程後またはガラス積層体作製後(積層工程後)に、支持基板の裏面側にシリコーン樹脂が付着していることが原因の一つであることを見出している。
より具体的には、加熱工程の際に、シリコーン樹脂またはその原料が一部揮発して、支持ピンで支持される支持基板の裏面側にシリコーン樹脂が付着していた。そのため、ガラス積層体の支持基板側を所定の基板側に向けて、ガラス積層体を基板上に載置した際に、該基板とガラス積層体中の支持基板との間に存在するシリコーン樹脂によって基板と支持基板との剥離強度が上昇してしまい、両者が剥離し難くなっていた。そこで、ガラス積層体作製後に、支持基板の裏面側に各種処理を施して、シリコーン樹脂を除去することにより、上記課題が解決できることを見出している。
【0011】
本発明のガラス積層体の製造方法は、硬化性層付き支持基板に加熱処理を施す加熱工程と、ガラス基板を積層する積層工程と、表面処理を行う表面処理工程とを備える。なお、表面処理工程は、上記積層工程の後、または、上記加熱工程の後で上記積層工程の前に実施される。以下では、前者の態様を第1態様、後者の態様を第2態様として述べる。
【0012】
<<第1態様>>
図1は、本発明のガラス積層体の製造方法の第1態様における製造工程を示すフローチャートである。
図1に示すように、第1態様は、加熱工程S102、積層工程S104、および、表面処理工程S106をこの順で備える。
以下に、各工程で使用される材料およびその手順について詳述する。まず、加熱工程S102について詳述する。
【0013】
<加熱工程>
加熱工程S102は、表面および裏面を有する支持基板と支持基板の表面上に配置された硬化性シリコーン組成物層とを備える硬化性層付き支持基板を、支持基板の裏面(硬化性シリコーン組成物層がある側とは反対側の面)側から複数の支持ピンにて支持して、硬化性層付き支持基板に加熱処理を施し、シリコーン樹脂層を形成する工程である。より具体的には、
図2(A)中の支持基板10と硬化性シリコーン組成物層12とを備える硬化性層付き支持基板14に対して、該工程S102を実施することにより、
図2(B)に示すように、支持基板10とシリコーン樹脂層16とを備える樹脂層付き支持基板18が得られる。
【0014】
以下で、まず、本工程S102で使用される部材・材料(支持基板、硬化性シリコーン組成物層)について詳述し、その後工程S102の手順について詳述する。
【0015】
(支持基板)
支持基板10は、表面と裏面との2つの主面を有し、後述するシリコーン樹脂層16と協働して、後述するガラス基板20を支持して補強し、後述する部材形成工程(電子デバイス用部材の製造工程)において電子デバイス用部材の製造の際にガラス基板20の変形、傷付き、破損などを防止する。また、従来よりも厚さが薄いガラス基板を使用する場合、従来のガラス基板と同じ厚さのガラス積層体とすることにより、部材形成工程において、従来の厚さのガラス基板に適合した製造技術や製造設備を使用可能にすることも、支持基板10を使用する目的の1つである。
【0016】
支持基板10としては、例えば、ガラス板、プラスチック板、SUS板、セラミック板などの金属板などが用いられる。支持基板10は、部材形成工程が熱処理を伴う場合、ガラス基板20との線膨張係数の差の小さい材料で形成されることが好ましく、ガラス基板20と同一材料で形成されることがより好ましく、支持基板10はガラス板であることが好ましい。特に、支持基板10は、ガラス基板20と同じガラス材料からなるガラス板であることが好ましい。
【0017】
支持基板10の厚さは、ガラス基板20よりも厚くてもよいし、薄くてもよい。好ましくは、ガラス基板20の厚さ、樹脂層16の厚さ、およびガラス積層体の厚さに基づいて、支持基板10の厚さが選択される。例えば、現行の部材形成工程が厚さ0.5mmの基板を処理するように設計されたものであって、ガラス基板20の厚さと樹脂層16の厚さとの和が0.1mmの場合、支持基板10の厚さを0.4mmとする。支持基板10の厚さは、通常の場合、0.2〜5.0mmであることが好ましい。
【0018】
支持基板10がガラス板の場合、ガラス板の厚さは、扱いやすく、割れにくいなどの理由から、0.08mm以上であることが好ましい。また、ガラス板の厚さは、電子デバイス用部材形成後に剥離する際に、割れずに適度に撓むような剛性が望まれる理由から、1.0mm以下であることが好ましい。
【0019】
支持基板10とガラス基板20との25〜300℃における平均線膨張係数(以下、単に「平均線膨張係数」という)の差は、好ましくは500×10
-7/℃以下であり、より好ましくは300×10
-7/℃以下であり、さらに好ましくは200×10
-7/℃以下である。差が大き過ぎると、部材形成工程における加熱冷却時に、ガラス積層体が激しく反ったり、ガラス基板20と後述する樹脂層付き支持基板18とが剥離したりする可能性がある。ガラス基板20の材料と支持基板10の材料が同じ場合、このような問題が生じるのを抑制することができる。
【0020】
(硬化性シリコーン組成物層)
硬化性シリコーン組成物層は、本工程S102にてシリコーン樹脂層を形成しうる組成物の層である。
硬化性シリコーン組成物層には、硬化してシリコーン樹脂となる硬化性シリコーンが含まれる。このような硬化性シリコーンは、その硬化機構により縮合反応型シリコーン、付加反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーンおよび電子線硬化型シリコーンに分類されるが、いずれも使用することができる。これらの中でも付加反応型シリコーンが好ましい。これは、硬化反応のしやすさ、シリコーン樹脂層を形成した際に剥離性の程度が良好で、耐熱性も高いからである。
【0021】
付加反応型シリコーンは、主剤および架橋剤を含み、白金系触媒などの触媒の存在下で硬化する硬化性の組成物である。付加反応型シリコーンの硬化は、加熱処理により促進される。付加反応型シリコーン中の主剤は、ケイ素原子に結合したアルケニル基(ビニル基など)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノアルケニルポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、アルケニル基などが架橋点となる。付加反応型シリコーン中の架橋剤は、ケイ素原子に結合した水素原子(ハイドロシリル基)を有するオルガノポリシロキサン(すなわち、オルガノハイドロジェンポリシロキサン。なお、直鎖状が好ましい)であることが好ましく、ハイドロシリル基などが架橋点となる。
付加反応型シリコーンは、主剤と架橋剤の架橋点が付加反応をすることにより硬化する。なお、架橋構造に由来する耐熱性がより優れる点で、オルガノアルケニルポリシロキサンのアルケニル基に対する、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した水素原子のモル比が0.5〜2であることが好ましい。
【0022】
硬化性シリコーン組成物層に含まれる硬化性シリコーンが付加反応型シリコーンの場合、硬化性シリコーン組成物層には触媒(特に、白金族金属系触媒)や、反応抑制剤がさらに含まれていてもよい。
白金族金属系触媒(ヒドロシリル化用白金族金属触媒)は、上記オルガノアルケニルポリシロキサン中のアルケニル基と、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中の水素原子とのヒドロシリル化反応を、進行・促進させるための触媒である。白金族金属系触媒としては、白金系、パラジウム系、ロジウム系などの触媒が挙げられ、特に白金系触媒として用いることが経済性、反応性の点から好ましい。
反応抑制剤(ヒドロシリル化用反応抑制剤)は、上記触媒(特に、白金族金属系触媒)の常温での触媒活性を抑制して、硬化性シリコーン組成物の可使時間を長くする所謂ポットライフ延長剤(遅延剤とも呼ばれる)である。反応抑制剤としては、例えば、各種有機窒素化合物、有機リン化合物、アセチレン系化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物などが挙げられる。特に、アセチレン系化合物(例えば、アセチレンアルコール類およびアセチレンアルコールのシリル化物)が好適である。
【0023】
支持基板上に硬化性シリコーン組成物層を形成する方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、上述した硬化性シリコーンを含む硬化性シリコーン組成物を支持基板上に塗布する方法が挙げられる。なお、塗布する方法は特に制限されず、公知の方法を採用し得る。例えば、塗布方法としては、スプレーコート法、ダイコート法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スクリーン印刷法、グラビアコート法などが挙げられる。このような方法の中から、硬化性シリコーン組成物の種類に応じて適宜選択することができる。
硬化性シリコーン組成物には、必要に応じて、溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、各種成分を容易に溶解でき、かつ、容易に揮発除去させることのできる溶媒であることが好ましい。具体的には、例えば、酢酸ブチル、ヘプタン、2−ヘプタノン、1−メトキシ−2−プロパノールアセテート、トルエン、キシレン、THF、クロロホルム、等を例示することができる。なかでも、飽和炭化水素が好ましく、各種の飽和炭化水素(直鎖状飽和炭化水素、分岐鎖状飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素)の1種または2種以上から実質的になる各種の飽和炭化水素溶剤が用いられる。例えば、アイソパーG(エクソンモービル有限会社製)、アイソパーL(エクソンモービル有限会社製)、アイソパーH(エクソンモービル有限会社製)、アイソパーM(エクソンモービル有限会社製)、ノルパー13(エクソンモービル有限会社製)、ノルパー15(エクソンモービル有限会社製、)、エクソールD40(エクソンモービル有限会社製)、エクソールD60(エクソンモービル有限会社製)、エクソールD80(エクソンモービル有限会社製)、ネオチオゾール(中央化成株式会社製)、IPソルベント2028(出光興産株式会社)が挙げられる。
なかでも、後述するように、工程S102を2段階で実施する場合に第1加熱段階において溶媒が揮発しやすい点から、初留点(大気圧下)が210℃以下の溶媒を使用することが好ましい。
なお、硬化性シリコーン組成物層の厚みは特に制限されず、後述する好適な厚みを有するシリコーン樹脂層が得られるように適宜調整される。
【0024】
(工程の手順)
本工程S102では、硬化性層付き支持基板を、支持基板の裏面側から複数の支持ピンにて支持して、加熱処理を施す。つまり、硬化性層付き支持基板を支持ピンにて支持しつつ、加熱を行う。より具体的には、
図3に示すように、支持台50上に複数個離間して配置された支持ピン52の先端(頂部)上に、硬化性層付き支持基板14を配置し、この状態で硬化性層付き支持基板14に加熱処理を施す。なお、支持ピン52は、
図3に示すように、硬化性層付き支持基板14中の支持基板10の裏面10aを支持する。
図3においては、支持ピン52を3本のみ図示するが、その数は特に限定されず、10本以上あってもよい。また、支持ピン52の配置位置は特に制限されず、所定の間隔をあけて配置しても、ランダムに配置してもよい。さらに、支持ピン52の形状は特に制限されず、円柱状、多角形状などいずれの形状であってもよい。
なお、
図3に示すように、支持ピン52は支持基板10の裏面10a側の一部と接触して、支持基板10の裏面10a側には支持ピン52と接触しない領域が存在する。
【0025】
硬化性層付き支持基板に加熱処理を施す方法は、上記支持ピンにて硬化性層付き支持基板を支持した状態で加熱できれば特に制限されず、例えば、支持ピンが加熱チャンバ内に設けられたオーブンなどの公知の加熱処理装置を使用することができる。より具体的には、ホットプレートを備える加熱処理装置を用いる方法(例えば、支持ピン上に配置された硬化性層付き支持基板中の硬化性シリコーン組成物層の上部にホットプレートが設けられた加熱処理装置内において加熱する方法)が挙げられる。
硬化性シリコーン組成物層を熱硬化させる加熱条件は、使用される硬化性シリコーンの種類に応じて適宜最適な条件が選択される。なかでも、硬化性シリコーンの硬化速度および形成されるシリコーン樹脂層の耐熱性などの点から、150〜300℃(好ましくは180〜250℃)で10〜120分間(好ましくは30〜60分間)加熱処理を行うことが好ましい。
【0026】
本工程S102の好適態様としては、異なる温度条件で2段階にて加熱処理を実施する態様が好ましい。つまり、第1の温度で加熱処理を施す工程と、第1の温度よりも高い第2の温度で加熱処理を施す工程とを備えることがより好ましい。加熱処理を2段階で実施することにより、形成されるシリコーン樹脂層16の表面面状がより優れ、後述するガラス基板20との密着性がより向上する。なお、加熱処理を2段階で実施する場合、第1加熱工程と、第2加熱工程とを別々の加熱処理装置で実施してもよい。
なお、硬化性層付き支持基板が、硬化性シリコーンと溶媒とを含む硬化性シリコーン組成物を支持基板上に塗布することにより形成される場合、溶媒の除去性がより優れ、硬化性シリコーン組成物層の表面が平坦になると共に、硬化性シリコーンの分解がより抑制される点で、第1の温度は、溶媒の初留点−30℃〜溶媒の初留点+30℃の範囲内であることが好ましい。言い換えると、第1の温度Xは、以下の関係式を満たすことが好ましい。
式 溶媒の初留点−30℃≦温度X≦溶媒の初留点+30℃
なお、溶媒の初留点とは、JIS K0066(1992)に従って測定される値を意味する。
上記第1の温度と第2の温度との差は特に制限されないが、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。
【0027】
また、第1の温度は、210℃以下であることが好ましい。つまり、210℃以下で加熱処理を施す第1加熱工程と、210℃超で加熱処理を施す第2加熱工程とを備えることが好ましい。210℃以下であれば、溶媒の突沸やシリコーン樹脂の揮発がより抑制され、形成されるシリコーン樹脂層16の表面面状がより優れる。以下、上記温度条件での上記第1加熱工程および上記第2加熱工程について詳述する。
第1加熱工程は、いわゆるプレベーク工程であり、主に、硬化性シリコーン組成物層12中に残存する溶媒などの揮発成分を除去して、後述する第2加熱工程において溶媒が突沸することを防止する。第1加熱工程の温度条件は、210℃以下であり、シリコーン樹脂層16の表面面状がより優れる点で、150〜210℃が好ましい。加熱時間は、使用される材料により適宜最適な条件が選択されるが、生産性および溶媒の除去性の点から、1〜5分間が好ましく、2〜3分間がより好ましい。
第2加熱工程は、いわゆるポストベーク工程であり、主に、硬化性シリコーン組成物層12の硬化を促進させ、シリコーン樹脂層16を形成する。第2加熱工程の温度条件は、210℃超であり、シリコーン樹脂層16の溶媒除去および硬化反応がより優れる点で、210℃超250℃以下が好ましい。加熱時間は、使用される材料により適宜最適な条件が選択されるが、生産性および溶媒の除去性の点から、10〜120分間が好ましく、30〜60分間がより好ましい。
【0028】
本工程S102を経て形成されるシリコーン樹脂層16は、支持基板10上で硬化性シリコーン組成物層12の硬化反応を実施することで支持基板10の片面上に固定されており、また、後述するガラス基板20と剥離可能に密着する。シリコーン樹脂層16は、ガラス基板20と支持基板10とを分離する操作が行われるまでガラス基板20の位置ずれを防止すると共に、分離操作によってガラス基板20から容易に剥離し、ガラス基板20などが分離操作によって破損するのを防止する。また、シリコーン樹脂層16は支持基板10に固定されており、分離操作においてシリコーン樹脂層16と支持基板10とは剥離せず、分離操作によって樹脂層付き支持基板18が得られる。
シリコーン樹脂層16のガラス基板20と接する表面は、ガラス基板20の第1主面に剥離可能に密着する。本発明では、このシリコーン樹脂層16表面の容易に剥離できる性質を易剥離性(剥離性)という。
【0029】
本発明において、上記固定と剥離可能な密着は剥離強度(すなわち、剥離に要する応力)に違いがあり、固定は密着に対し剥離強度が大きいことを意味する。また、剥離可能な密着とは、剥離可能であると同時に、固定されている面の剥離を生じさせることなく剥離可能であることも意味する。具体的には、本発明のガラス積層体において、ガラス基板20と支持基板10とを分離する操作を行った場合、密着された面で剥離し、固定された面では剥離しないことを意味する。したがって、ガラス積層体をガラス基板20と支持基板10に分離する操作を行うと、ガラス積層体はガラス基板20と樹脂層付き支持基板18の2つに分離される。
つまり、シリコーン樹脂層16の支持基板10の表面に対する結合力は、シリコーン樹脂層16のガラス基板20の第1主面に対する結合力よりも相対的に高い。
【0030】
シリコーン樹脂層16の厚さは特に限定されないが、2〜100μmであることが好ましく、3〜50μmであることがより好ましく、7〜20μmであることがさらに好ましい。シリコーン樹脂層16の厚さがこのような範囲であると、シリコーン樹脂層16とガラス基板20との間に気泡や異物が介在することがあっても、ガラス基板20のゆがみ欠陥の発生を抑制することができる。また、シリコーン樹脂層16の厚さが厚すぎると、形成するのに時間および材料を要するため経済的ではなく、耐熱性が低下する場合がある。また、シリコーン樹脂層16の厚さが薄すぎると、シリコーン樹脂層16とガラス基板20との密着性が低下する場合がある。
【0031】
<積層工程>
積層工程S104は、上記工程S102で得られたシリコーン樹脂層16の表面上にガラス基板20を積層し、支持基板10の層とシリコーン樹脂層16とガラス基板20の層とをこの順で備えるガラス積層体100を得る工程である。より具体的には、
図2(C)に示すように、シリコーン樹脂層16の支持基板10側とは反対側の表面16aと、第1主面20aおよび第2主面20bを有するガラス基板20の第1主面20aとを積層面として、シリコーン樹脂層16とガラス基板20とを積層し、ガラス積層体100を得る。なお、後述するように、得られたガラス積層体100は、後述する表面処理工程S106が施される前の処理前ガラス積層体であり、ガラス積層体100の支持基板10のシリコーン樹脂層16側とは反対側の表面には、シリコーン樹脂またはその原料が付着していると推測される。
使用されるガラス基板20については、後段で詳述する。
【0032】
ガラス基板20をシリコーン樹脂層16上に積層する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
例えば、常圧環境下でシリコーン樹脂層16の表面上にガラス基板20を重ねる方法が挙げられる。なお、必要に応じて、シリコーン樹脂層16の表面上にガラス基板20を重ねた後、ロールやプレスを用いてシリコーン樹脂層16にガラス基板20を圧着させてもよい。ロールまたはプレスによる圧着により、シリコーン樹脂層16とガラス基板20の層との間に混入している気泡が比較的容易に除去されるので好ましい。
【0033】
真空ラミネート法や真空プレス法により圧着すると、気泡の混入の抑制や良好な密着の確保が行われるのでより好ましい。真空下で圧着することにより、微小な気泡が残存した場合でも、加熱により気泡が成長することがなく、ガラス基板20のゆがみ欠陥につながりにくいという利点もある。
【0034】
ガラス基板20を積層する際には、シリコーン樹脂層16に接触するガラス基板20の表面を十分に洗浄し、クリーン度の高い環境で積層することが好ましい。クリーン度が高いほど、ガラス基板20の平坦性は良好となるので好ましい。
【0035】
なお、ガラス基板20を積層した後、必要に応じて、プレアニール処理(加熱処理)を行ってもよい。該プレアニール処理を行うことにより、積層されたガラス基板20のシリコーン樹脂層16に対する密着性が向上し、適切な剥離強度とすることができ、後述する部材形成工程の際に電子デバイス用部材の位置ずれなどが生じにくくなり、電子デバイスの生産性が向上する。
プレアニール処理の条件は使用されるシリコーン樹脂層16の種類に応じて適宜最適な条件が選択されるが、ガラス基板20とシリコーン樹脂層16の間の剥離強度をより適切なものとする点から、300℃以上(好ましくは、300〜400℃)で5分間以上(好ましく、5〜30分間)加熱処理を行うことが好ましい。
【0036】
(ガラス基板)
ガラス基板20は、第1主面20aがシリコーン樹脂層16と接し、シリコーン樹脂層16側とは反対側の第2主面20bに電子デバイス用部材が設けられる。
ガラス基板20の種類は、一般的なものであってよく、例えば、LCD、OLEDといった表示装置用のガラス基板などが挙げられる。ガラス基板20は耐薬品性、耐透湿性に優れ、且つ、熱収縮率が低い。熱収縮率の指標としては、JIS R 3102(1995年改正)に規定されている線膨張係数が用いられる。
【0037】
ガラス基板20の線膨張係数が大きいと、後述する部材形成工程は加熱処理を伴うことが多いので、様々な不都合が生じやすい。例えば、ガラス基板20上にTFTを形成する場合、加熱下でTFTが形成されたガラス基板20を冷却すると、ガラス基板20の熱収縮によって、TFTの位置ずれが過大になるおそれがある。
【0038】
ガラス基板20は、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法、フルコール法、ラバース法などが用いられる。また、特に厚さが薄いガラス基板20は、いったん板状に成形したガラスを成形可能温度に加熱し、延伸などの手段で引き伸ばして薄くする方法(リドロー法)で成形して得られる。
【0039】
ガラス基板20のガラスの種類は特に限定されないが、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40〜90質量%のガラスが好ましい。
【0040】
ガラス基板20のガラスとしては、電子デバイス用部材の種類やその製造工程に適したガラスが採用される。例えば、液晶パネル用のガラス基板は、アルカリ金属成分の溶出が液晶に影響を与えやすいことから、アルカリ金属成分を実質的に含まないガラス(無アルカリガラス)からなる(ただし、通常アルカリ土類金属成分は含まれる)。このように、ガラス基板20のガラスは、適用されるデバイスの種類およびその製造工程に基づいて適宜選択される。
【0041】
ガラス基板20の厚さは、ガラス基板20の薄型化および/または軽量化の観点から、0.3mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.15mm以下であり、さらに好ましくは0.10mm以下である。0.3mm以下の場合、ガラス基板20に良好なフレキシブル性を与えることが可能である。0.15mm以下の場合、ガラス基板20をロール状に巻き取ることが可能である。
また、ガラス基板20の厚さは、ガラス基板20の製造が容易であること、ガラス基板20の取り扱いが容易であることなどの理由から、0.03mm以上であることが好ましい。
【0042】
なお、ガラス基板20は2層以上からなっていてもよく、この場合、各々の層を形成する材料は同種材料であってもよいし、異種材料であってもよい。また、この場合、「ガラス基板20の厚さ」は全ての層の合計の厚さを意味するものとする。
【0043】
(ガラス積層体)
ガラス積層体100は、支持基板10の層とガラス基板20の層とそれらの間にシリコーン樹脂層16が存在する積層体である。シリコーン樹脂層16は、その一方の面が支持基板10の層に接すると共に、その他方の面がガラス基板20の第1主面20aに接している。
このガラス積層体100は、後述する部材形成工程まで使用される。即ち、このガラス積層体100は、そのガラス基板20の第2主面20b表面上に液晶表示装置などの電子デバイス用部材が形成されるまで使用される。その後、電子デバイス用部材が形成されたガラス積層体は、樹脂層付き支持基板18と電子デバイスに分離され、樹脂層付き支持基板18は電子デバイスを構成する部分とはならない。樹脂層付き支持基板18には新たなガラス基板20が積層され、新たなガラス積層体100として再利用することができる。
【0044】
支持基板10とシリコーン樹脂層16の界面は剥離強度(x)を有し、支持基板10とシリコーン樹脂層16の界面に剥離強度(x)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、支持基板10とシリコーン樹脂層16の界面が剥離する。シリコーン樹脂層16とガラス基板20の界面は剥離強度(y)を有し、シリコーン樹脂層16とガラス基板20の界面に剥離強度(y)を越える引き剥がし方向の応力が加えられると、シリコーン樹脂層16とガラス基板20の界面が剥離する。
上述したように、ガラス積層体100(後述の電子デバイス用部材付き積層体も意味する)においては、上記剥離強度(x)は上記剥離強度(y)よりも大きい(高い)。したがって、ガラス積層体100に支持基板10とガラス基板20とを引き剥がす方向の応力が加えられると、ガラス積層体100は、シリコーン樹脂層16とガラス基板20の界面で剥離してガラス基板20と樹脂層付き支持基板18に分離する。
つまり、シリコーン樹脂層16は支持基板10上に固定されて樹脂層付き支持基板18を形成し、ガラス基板20はシリコーン樹脂層16上に剥離可能に密着している。
【0045】
剥離強度(x)は、剥離強度(y)と比較して、充分高いことが好ましい。剥離強度(x)を高めることは、支持基板10に対するシリコーン樹脂層16の付着力を高め、かつ加熱処理後においてガラス基板20に対してよりも相対的に高い付着力を維持できることを意味する。
支持基板10に対するシリコーン樹脂層16の付着力を高めるためには、上述したように、硬化性シリコーン組成物層12を支持基板10上で架橋硬化させてシリコーン樹脂層16を形成することによりなされる。架橋硬化の際の接着力で、支持基板10に対して高い結合力で結合したシリコーン樹脂層16を形成することができる。
一方、硬化性シリコーン組成物層12の硬化物のガラス基板20に対する結合力は、上記架橋硬化時に生じる結合力よりも低いのが通例である。
【0046】
ガラス積層体100は、種々の用途に使用することができ、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品を製造する用途などが挙げられる。なお、該用途では、ガラス積層体100が高温条件(例えば、360℃以上)で曝される(例えば、1時間以上)場合が多い。
ここで、表示装置用パネルとは、LCD、OLED、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLEDパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等が含まれる。
【0047】
<表面処理工程>
表面処理工程S106は、少なくとも支持基板の裏面(シリコーン樹脂層がある側とは反対側の面)に、コロナ処理、プラズマ処理、および、UVオゾン処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理を施す工程である。第1態様においては、上記で形成されたガラス積層体中の支持基板の裏面側の面に上記処理を実施することを意図する。より具体的には、
図2(C)の支持基板10の裏面10aに上記処理を実施する。本工程S106を実施することにより、上記加熱工程S102の際に揮発して、支持基板10の裏面10aに付着したシリコーン樹脂やその原料成分などが除去され、支持基板10の裏面10aが清浄化される。つまり、上記積層工程S104で得られたガラス積層体に上記処理を施すことにより、処理済ガラス積層体が得られる。なお、後述するように、本工程S106においては、ガラス積層体中の支持基板の裏面と共に、ガラス積層体中のガラス基板の露出表面に、上記処理をあわせて実施してもよい。
本工程S106で実施されるコロナ処理(コロナ洗浄)としては、公知のコロナ処理が実施される。なお、コロナ処理とは、プラスチックフィルム、紙、および、金属箔等の処理基材の表面を、コロナ放電照射によって改質させる表面処理技術である。高周波電源装置から発振された高周波・高電圧が高圧電極とアース電極との間に印加されるとコロナ放電が生じる。
コロナ処理の方法は特に制限されず、例えば、ガラス積層体を支持する搬送ロールと、これに対向して設置した電極との間に高電圧を掛けてコロナ放電させ、その間にガラス積層体を順次移動させて表面処理する方法が好ましい。具体的なコロナ処理用装置としては、高周波電源(高周波発振機)、高圧トランス、および、放電電極からなり、その前後にガラス積層体を搬送する搬送機を組み込んだ装置が挙げられる。高周波発振機の周波数は特に制限されないが、例えば、0.1〜100kHzが好ましく、最大出力0.5〜50kW程度のものが好ましい。ガラス積層体の搬送速度(処理速度)は特に制限されないが、1〜10m/minが好ましい。
【0048】
なお、本発明においては、積層工程S104の後に、表面処理工程S106を実施する場合は、以下に説明するコロナ処理装置を用いることが好ましい。
図4は、コロナ処理装置の一実施形態を示す側面図である。コロナ処理装置60は、第1高圧電極62と、第1アース電極64と、第2高圧電極66と、第2アース電極68とを少なくとも備える。第1高圧電極62と第1アース電極64とは所定の間隔をあけて対向配置されて第1電極対70を構成し、これら第1高圧電極62と第1アース電極64との間に放電空間が形成される。また、第2高圧電極66と第2アース電極68とは所定の間隔をあけて対向配置されて第2電極対72を構成し、これら第2高圧電極66と第2アース電極68との間に放電空間が形成される。第1電極対70と第2電極対72とは、
図4に示すように、積層工程S104で得られた支持基板とシリコーン樹脂層とガラス基板とをこの順で有するガラス積層体Xが搬送される方向に沿って隣接して配置される。さらに、
図4に示すように、ガラス積層体Xは、搬送ロール74により搬送され、第1高圧電極62と第1アース電極64との間、および、第2高圧電極66と第2アース電極68との間をガラス積層体Xが走行する。
また、第1高圧電極62は、第1高周波電源76と接続し、高周波電圧が印加される。また、第2高圧電極66は、第2高周波電源78と接続し、高周波電圧が印加される。なお、
図4においては、第1高周波電源76と第2高周波電源78の2つを使用しているが、その態様には限定されず、第1高周波電源76と第2高周波電源78は、同一の電源を使用(共用)してもよい。
さらに、第1高圧電極62と第2高圧電極66は、それぞれ、
図4中のガラス積層体Xが搬送される経路(搬送経路)を挟んだ上側(一方側)と下側(他方側)とに配置される。言い換えれば、第1高圧電極62と第2高圧電極66とは、ガラス積層体Xの搬送方向に沿って、互い違いに配置される。
【0049】
搬送ロール74を用いてガラス積層体Xを上記コロナ処理装置60に搬送すると、第1高圧電極62と第2高圧電極66がそれぞれガラス積層体Xの搬送経路の一方側および他方側にそれぞれ配置されているため、搬送されるガラス積層体Xの両面を効率的にコロナ処理できる。つまり、ガラス積層体X中の支持基板の裏面(シリコーン樹脂層側とは反対側の面)、および、ガラス基板の露出表面(シリコーン樹脂層側とは反対側の面)にコロナ処理を施すことができる。
なお、高周波電源の条件や、ガラス積層体Xの搬送速度(処理速度)の条件の好適範囲は、上述の通りである。
また、
図4においては、第1高圧電極62が図面中の上側に、第2高圧電極66が図面中の下側に配置されているが、この態様に限定されずその位置関係が反転していてもよい。
また、ガラス積層体Xの片側面(支持基板の裏面)のみに強力にコロナ処理を施したい場合には、第1高圧電極62および第2高圧電極66を共に図面中の上側、または、下側に配置してもよい。
さらに、
図4においては、第1電極対70と第2電極対72との2つを含むコロナ処理装置が記載されているが、電極対の数はこの態様に限定されない。
【0050】
第1高圧電極62、第2高圧電極66、第1アース電極64、および、第2アース電極68としては、金属電極、または、誘電体で被覆された電極が使用可能であるが、コロナ処理のための放電を安定的に行うためには、対向して配置される第1高圧電極62および第1アース電極64の少なくとも一方、および、対向して配置される第2高圧電極66および第2アース電極68の少なくとも一方が、誘電体で被覆されていることが好ましい。より好ましくは、第1高圧電極62および第1アース電極64の両方、並びに、第2高圧電極66および第2アース電極68の両方が、誘電体でカバーされているものである。これにより、高圧電極とアース電極間の間隔を広げることができ、ガラス積層体Xを安定的に搬送することが容易となる。
【0051】
なお、誘電体で被覆された電極(誘電体被覆電極)としては、ステンレスやアルミニウム等の金属といった導電性の芯材の表面にセラミックスがコートされたセラミックス電極が好ましい。一般的に樹脂フィルムをコロナ処理する場合などは、誘電体被覆電極として、金属芯材にゴム材をコートしたゴム電極が用いられるが、重量と剛性の関係から径が太いため、コロナ処理装置60が大型化し、搬送ロール間が空いてしまって薄いガラス積層体Xの搬送に支障が生じることがある。セラミックス電極は、軽量かつ剛性が高いことから、ゴム電極よりも径が小さいので、このような問題は生じにくい。
また、ゴム電極は放電によってゴム被膜が損傷しやすいため、電極を固定して使用することが難しい。そのため、ゴム電極には回転機構が設けられ、回転させながら使用されるのが一般的であるが、装置が複雑かつ大型化するという問題がある。セラミックス電極は、同じ箇所で放電を繰り返しても傷みにくいので、このような回転機構を設ける必要がない。
【0052】
プラズマ処理(プラズマ洗浄)には、大気圧(または常圧)プラズマ処理、および、低圧低温プラズマ処理がある。
常圧プラズマ処理では、放電エネルギーをガスに印加し、常圧下で電離を行い、プラズマを発生させる。その特徴としては、常圧プロセスのため真空にする必要が無く、設備はシンプルで生産性も高いことが挙げられる。方式として、主に、希ガス系常圧プラズマと、印加電圧を制御してグロー放電させるパルス方式常圧プラズマがあり、いずれを使用してもよい。
低圧低温プラズマ処理においては、減圧可能な低温プラズマ処理装置内にガラス積層体を通し、装置内を無機ガスの雰囲気にして、圧力を0.001〜10Torr、好ましくは0.01〜1Torrに保持した状態で電極間に周波数50Hz〜13.6MHzの電力を印加する。0.1〜50kWの電力を印加し、グロー放電させることにより、無機ガスの低温プラズマを発生させる。その中にガラス積層体を設置して、支持基板を処理する。ガラス積層体を連続して処理する場合は、ガラス積層体を順次移動させながら表面をプラズマ処理する。該無機ガスとしてはヘリウム、ネオン、アルゴンなどの希ガス、および、酸素、窒素、空気、炭酸ガス、アンモニア等が使用できる。これらのガスは1種に限らず、2種以上の混合物でもよい。
常圧プラズマ処理および低圧低温プラズマ処理のいずれにおいても、プラズマ処理時間は0.1〜1,000秒が好ましく、1〜100秒がより好ましい。
【0053】
UVオゾン処理とは、UV(紫外線)を照射し、空気中の酸素をオゾンに変化させ、このオゾンおよび紫外線により被照射面を清浄化する処理である。
UV光源は、UV照射により酸素をオゾンに変化させることができれば、特に制限されない。UV光源としては、低圧水銀ランプが挙げられる。低圧水銀ランプは185nmと254nmのUV光を発生し、185nm線が酸素をオゾンに変化させることができる。照射の際の照度は、用いる光源により異なるが、一般的に数十〜数百mW/cm
2のものが使用されている。また、集光や拡散することで照度を変更することができる。照射時間は、ランプの照度及び未処理層の種類により異なるが、通常、1分〜24時間である。処理温度は、通常、10〜200℃である。また、UVの照射量(即ち、紫外線量)は、通常1mJ/cm
2以上であり、好ましくは1〜100000mJ/cm
2であり、より好ましくは10〜100000mJ/cm
2である。
【0054】
上記工程S106を実施することにより、支持基板10の裏面10a側に付着していた付着物が除去される。
上記工程S106の処理前後における支持基板10の裏面10aの水接触角の差(処理前の水接触角−処理後の水接触角)は、30度以上であることが好ましく、50度以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、70度以下である。
【0055】
<<第2態様>>
図5は、本発明のガラス積層体の製造方法の第2態様における製造工程を示すフローチャートである。
図5に示すように、第2態様は、加熱工程S102、表面処理工程S106、および、積層工程S104をこの順で備える。
上述した第1態様と比較して、表面処理工程S106の実施順が異なる点以外は、上述した第1態様の各工程とその処理の方法は同じである。より具体的には、第2態様においては、加熱工程S102において樹脂層付き支持基板を製造し、次に、該樹脂層付き支持基板中の支持基板の裏面側に上述した表面処理(例えば、コロナ処理)を施し、その後、樹脂層付き支持基板中のシリコーン樹脂層上にガラス基板を積層して、ガラス積層体を得る。本実施態様であっても、所望のガラス積層体を得ることができる。
なお、上述した第1態様と第2態様とを比較すると、第1態様が好ましい。第1態様の場合、シリコーン樹脂層を形成した後に表面処理工程S106の前にガラス基板を積層するため、シリコーン樹脂層上に不純物が付着しにくく、ガラス基板の密着性がより優れる。
【0056】
上述した第1態様および第2態様で得られたガラス積層体を用いて、電子デバイス(ガラス基板と電子デバイス用部材とを含む部材付きガラス基板)が製造される。また、必要に応じて、ガラス積層体のガラス基板には研磨処理が実施される。
以下では、これら研磨工程、および、電子デバイス製造工程(部材形成工程および分離工程)の手順について詳述する。
【0057】
<研磨工程>
研磨工程は、得られたガラス積層体100中のガラス基板20の第2主面20bを研磨する工程である。本工程を設けることにより、ガラス基板20の第2主面20bの微小な凹凸および疵を除去することができ、電子デバイス用部材が形成される面の平坦性を向上することができる。よって、製品である電子デバイスの信頼性を高めることができる。この効果は、本発明で使用される厚みが0.3mm以下のガラス基板に対して顕著である。厚み0.3mm以下のガラス基板は、単独で研磨することが難しく、ガラス積層体100にする前に予め研磨することが難しいからである。
【0058】
研磨の方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができ、メカニカルな研磨(物理研磨)または化学的な研磨(化学研磨)を使用することができる。メカニカルな研磨としては、セラミック砥粒を吹き付けて研削するサンドブラスト方法、ラッピングシートや砥石を用いた研磨、砥粒と化学溶媒を併用した化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法等を用いることができる。
また、化学研磨(ウェットエッチングと呼ぶこともある)としては、薬液を使用してガラス基板の表面を研磨する方法を用いることができる。
なかでも、研磨後のガラス基板20の第2主面20bの平坦性および清浄度がより高い点で、化学的機械研磨が好ましい。なお、化学的機械研磨で使用される砥粒としては、酸化セリウムなどの公知の砥粒を使用することができる。
【0059】
<電子デバイス(部材付きガラス基板)およびその製造方法>
本発明においては、上述したガラス積層体を用いて、ガラス基板と電子デバイス用部材とを含む電子デバイス(部材付きガラス基板)が製造される。
該電子デバイスの製造方法は特に限定されないが、電子デバイスの生産性に優れる点から、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造し、得られた電子デバイス用部材付き積層体からシリコーン樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として電子デバイスと樹脂層付き支持基板とに分離する方法が好ましい。
以下、上記ガラス積層体中のガラス基板上に電子デバイス用部材を形成して電子デバイス用部材付き積層体を製造する工程を部材形成工程、電子デバイス用部材付き積層体からシリコーン樹脂層のガラス基板側界面を剥離面として電子デバイスと樹脂層付き支持基板とに分離する工程を分離工程という。
以下に、各工程で使用される材料および手順について詳述する。
【0060】
(部材形成工程)
部材形成工程は、上記積層工程において得られたガラス積層体100中のガラス基板20上に電子デバイス用部材を形成する工程である。より具体的には、
図6(A)に示すように、ガラス基板20の第2主面20b(露出表面)上に電子デバイス用部材22を形成し、電子デバイス用部材付き積層体24を得る。
まず、本工程で使用される電子デバイス用部材22について詳述し、その後工程の手順について詳述する。
【0061】
(電子デバイス用部材(機能性素子))
電子デバイス用部材22は、ガラス積層体100中のガラス基板20上に形成され電子デバイスの少なくとも一部を構成する部材である。より具体的には、電子デバイス用部材22としては、表示装置用パネル、太陽電池、薄膜2次電池、または、表面に回路が形成された半導体ウェハ等の電子部品などに用いられる部材(例えば、表示装置用部材、太陽電池用部材、薄膜2次電池用部材、電子部品用回路)が挙げられる。
【0062】
例えば、太陽電池用部材としては、シリコン型では、正極の酸化スズなど透明電極、p層/i層/n層で表されるシリコン層、および負極の金属等が挙げられ、その他に、化合物型、色素増感型、量子ドット型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、薄膜2次電池用部材としては、リチウムイオン型では、正極および負極の金属または金属酸化物等の透明電極、電解質層のリチウム化合物、集電層の金属、封止層としての樹脂等が挙げられ、その他に、ニッケル水素型、ポリマー型、セラミックス電解質型などに対応する各種部材等を挙げることができる。
また、電子部品用回路としては、CCDやCMOSでは、導電部の金属、絶縁部の酸化ケイ素や窒化珪素等が挙げられ、その他に圧力センサ・加速度センサなど各種センサやリジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、リジッドフレキシブルプリント基板などに対応する各種部材等を挙げることができる。
【0063】
(工程の手順)
上述した電子デバイス用部材付き積層体24の製造方法は特に限定されず、電子デバイス用部材の構成部材の種類に応じて従来公知の方法にて、ガラス積層体100のガラス基板20の第2主面20b表面上に、電子デバイス用部材22を形成する。
なお、電子デバイス用部材22は、ガラス基板20の第2主面20bに最終的に形成される部材の全部(以下、「全部材」という)ではなく、全部材の一部(以下、「部分部材」という)であってもよい。シリコーン樹脂層16から剥離された部分部材付きガラス基板を、その後の工程で全部材付きガラス基板(後述する電子デバイスに相当)とすることもできる。
また、シリコーン樹脂層16から剥離された、全部材付きガラス基板には、その剥離面(第1主面20a)に他の電子デバイス用部材が形成されてもよい。また、全部材付き積層体を組み立て、その後、全部材付き積層体から支持基板10を剥離して、電子デバイスを製造することもできる。さらに、全部材付き積層体を2枚用いて組み立て、その後、全部材付き積層体から2枚の支持基板10を剥離して、2枚のガラス基板を有する部材付きガラス基板を製造することもできる。
【0064】
例えば、OLEDを製造する場合を例にとると、ガラス積層体100のガラス基板20のシリコーン樹脂層16側とは反対側の表面上(ガラス基板20の第2主面20bに該当)に有機EL構造体を形成するために、透明電極を形成する、さらに透明電極を形成した面上にホール注入層・ホール輸送層・発光層・電子輸送層等を蒸着する、裏面電極を形成する、封止板を用いて封止する、等の各種の層形成や処理が行われる。これらの層形成や処理として、具体的には、例えば、成膜処理、蒸着処理、封止板の接着処理等が挙げられる。
【0065】
また、例えば、TFT−LCDを製造する場合は、ガラス積層体100のガラス基板20の第2主面20b上に、レジスト液を用いて、CVD法およびスパッタ法など、一般的な成膜法により形成される金属膜および金属酸化膜等にパターン形成して薄膜トランジスタ(TFT)を形成するTFT形成工程と、別のガラス積層体100のガラス基板20の第2主面20b上に、レジスト液をパターン形成に用いてカラーフィルタ(CF)を形成するCF形成工程と、TFT形成工程で得られたTFT付き積層体とCF形成工程で得られたCF付き積層体とを積層する貼合わせ工程等の各種工程を有する。
【0066】
TFT形成工程やCF形成工程では、周知のフォトリソグラフィ技術やエッチング技術等を用いて、ガラス基板20の第2主面20bにTFTやCFを形成する。この際、パターン形成用のコーティング液としてレジスト液が用いられる。
なお、TFTやCFを形成する前に、必要に応じて、ガラス基板20の第2主面20bを洗浄してもよい。洗浄方法としては、周知のドライ洗浄やウェット洗浄を用いることができる。
【0067】
貼合わせ工程では、TFT付き積層体の薄膜トランジスタ形成面と、CF付き積層体のカラーフィルタ形成面とを対向させて、シール剤(例えば、セル形成用紫外線硬化型シール剤)を用いて貼り合わせる。その後、TFT付き積層体とCF付き積層体とで形成されたセル内に、液晶材を注入する。液晶材を注入する方法としては、例えば、減圧注入法、滴下注入法がある。
【0068】
(分離工程)
分離工程は、
図6(B)に示すように、上記部材形成工程で得られた電子デバイス用部材付き積層体24から、シリコーン樹脂層16とガラス基板20との界面を剥離面として、電子デバイス用部材22が積層したガラス基板20(電子デバイス)と、樹脂層付き支持基板18とに分離して、電子デバイス用部材22およびガラス基板20を含む電子デバイス26を得る工程である。
剥離時のガラス基板20上の電子デバイス用部材22が必要な全構成部材の形成の一部である場合には、分離後、残りの構成部材をガラス基板20上に形成することもできる。
【0069】
ガラス基板20と支持基板10とを剥離する方法は、特に限定されない。具体的には、例えば、ガラス基板20とシリコーン樹脂層16との界面に鋭利な刃物状のものを差し込み、剥離のきっかけを与えた上で、水と圧縮空気との混合流体を吹き付けたりして剥離することができる。好ましくは、電子デバイス用部材付き積層体24の支持基板10が上側、電子デバイス用部材22側が下側となるように定盤上に設置し、電子デバイス用部材22側を定盤上に真空吸着し(両面に支持基板が積層されている場合は順次行う)、この状態でまず刃物をガラス基板20−シリコーン樹脂層16界面に刃物を侵入させる。そして、その後に支持基板10側を複数の真空吸着パッドで吸着し、刃物を差し込んだ箇所付近から順に真空吸着パッドを上昇させる。そうするとシリコーン樹脂層16とガラス基板20との界面やシリコーン樹脂層16の凝集破壊面へ空気層が形成され、その空気層が界面や凝集破壊面の全面に広がり、支持基板10を容易に剥離することができる。
また、支持基板10は、新たなガラス基板と積層して、本発明のガラス積層体100を製造することができる。
【0070】
なお、電子デバイス用部材付き積層体24から電子デバイス26を分離する際においては、イオナイザによる吹き付けや湿度を制御することにより、シリコーン樹脂層16の欠片が電子デバイス26に静電吸着することをより抑制することができる。
【0071】
上述した電子デバイス26の製造方法は、携帯電話やPDAのようなモバイル端末に使用される小型の表示装置の製造に好適である。表示装置は主としてLCDまたはOLEDであり、LCDとしては、TN型、STN型、FE型、TFT型、MIM型、IPS型、VA型等を含む。基本的にパッシブ駆動型、アクティブ駆動型のいずれの表示装置の場合でも適用することができる。
【0072】
上記方法で製造された電子デバイス26としては、ガラス基板と表示装置用部材を有する表示装置用パネル、ガラス基板と太陽電池用部材を有する太陽電池、ガラス基板と薄膜2次電池用部材を有する薄膜2次電池、ガラス基板と電子デバイス用部材を有する電子部品などが挙げられる。表示装置用パネルとしては、液晶パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネルなどを含む。
【実施例】
【0073】
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0074】
以下の実施例および比較例では、ガラス基板として、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦880mm、横680mm、板厚0.2mm、線膨張係数38×10
-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。また、支持基板としては、同じく無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(縦920mm、横730mm、板厚0.5mm、線膨張係数38×10
-7/℃、旭硝子社製商品名「AN100」)を使用した。
【0075】
<実施例1>
初めに、支持基板の表面をアルカリ水溶液、純水の順に洗浄して清浄化した。
次に、後述する溶液Xをダイコーター(塗布速度:40mm/s、吐出量:8ml)にて支持基板の第1主面上に塗布して、未硬化の架橋性オルガノポリシロキサンを含む層(硬化性シリコーン組成物層)を支持基板上に設けて、硬化性層付き支持基板を得た(塗工量20g/m
2)。
【0076】
(溶液X)
成分(A)として直鎖状ビニルメチルポリシロキサン(「VDT−127」、25℃における粘度700−800cP(センチポアズ):アヅマックス製、オルガノポリシロキサン1molにおけるビニル基のmol%:0.325)と、成分(B)として直鎖状メチルヒドロポリシロキサン(「HMS−301」、25℃における粘度25−35cP(センチポアズ):アヅマックス製、1分子内におけるケイ素原子に結合した水素原子の数:8個)とを、全ビニル基と全ケイ素原子に結合した水素原子とのモル比(水素原子/ビニル基)が0.9となるように混合し、このシロキサン混合物100質量部に対して、成分(C)として下記式(1)で示されるアセチレン系不飽和基を有するケイ素化合物(沸点:120℃)1質量部を混合した。
HC≡C−C(CH
3)
2−O−Si(CH
3)
3 式(1)
次いで成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計量に対して、白金換算で白金金属濃度が100ppmとなるように白金系触媒(信越シリコーン株式会社製、CAT−PL−56)を加えオルガノポリシロキサン組成物の混合液を得た。さらに、得られた混合液に100質量部に対して、IPソルベント2028(初留点:200℃、出光興産製)を150質量部加えて混合溶液を得た。
【0077】
次に、加熱処理装置内の底部に設けられた複数の支持ピンの先端に、上記硬化性層付き支持基板を載置した。なお、支持ピンの先端は、硬化性層付き支持基板中の支持基板の裏面側(硬化性シリコーン組成物層がある側とは反対側)の表面と接触し、支持基板の裏面側には支持ピンと接触しない領域があった。
加熱処理装置内には、硬化性層付き支持基板の硬化性シリコーン組成物層の上部に加熱プレートが配置され、該加熱プレートにより200℃で3分間、硬化性層付き支持基板を加熱(プリベーク加熱)した。
次に、上記加熱処理後の硬化性層付き支持基板に対して、さらに250℃で1450秒間の加熱処理(ポストベーク処理)を実施して、支持基板の第1主面に厚さ8μmのシリコーン樹脂層を形成した。
その後、ガラス基板と、支持基板上のシリコーン樹脂層面とを、室温下で大気圧プレスにより貼り合わせ、ガラス積層体Aを得た。
得られたガラス積層体Aにおいては、支持基板とガラス基板は、シリコーン樹脂層と気泡を発生することなく密着しており、歪み状欠点もなく、平滑性も良好であった。なお、ガラス積層体Aにおいては、シリコーン樹脂層と支持基板の層との界面の剥離強度が、ガラス基板の層とシリコーン樹脂層との界面の剥離強度よりも大きかった。
次に、得られたガラス積層体A中の支持基板の裏面に対して、コロナ処理(電力1kW、処理速度4m/min)を実施した。
【0078】
ガラス積層体A中の支持基板の裏面のコロナ処理前後の水接触角を測定したところ、コロナ処理前は70度であり、コロナ処理後は5度であった。これらの測定結果より、コロナ処理により支持基板の裏面側に付着していたシリコーン樹脂が除去されたことが確認された。
【0079】
(剥離評価)
コロナ処理が施されたガラス積層体A中の支持基板がウレタン製のテーブルパッドと接触するように、該ガラス積層体Aをテーブルパッド上に載置した。次に、ガラス積層体Aを100g/cm
2で120秒間、テーブルパッドに圧着した。圧着後、支持基板とテーブルパッドとの間に、エアーと水を吹き付けながら、両者の剥離を行ったところ、剥離できた。
【0080】
なお、コロナ処理での処理速度を1m/min、6m/minに変更した場合も、上記と同様の結果が得られた。
【0081】
<比較例1>
コロナ処理を実施しなかった以外は、上記実施例1と同様の手順に従って、ガラス積層体Bを得た。
ガラス積層体Aの代わりにガラス積層体Bを用いて上記(剥離評価)を行ったところ、ガラス積層体Bを剥離することができなかった。
【0082】
<実施例2>
本例では、実施例1で得た、コロナ処理が施されたガラス積層体Aを用いてOLEDを製造する。
まず、ガラス積層体Aにおけるガラス基板の第2主面上に、プラズマCVD法により窒化シリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコンの順に成膜する。次に、イオンドーピング装置により低濃度のホウ素をアモルファスシリコン層に注入し、窒素雰囲気下、加熱処理し脱水素処理をおこなう。次に、レーザアニール装置によりアモルファスシリコン層の結晶化処理をおこなう。次に、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングおよびイオンドーピング装置より、低濃度のリンをアモルファスシリコン層に注入し、N型およびP型のTFTエリアを形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、プラズマCVD法により酸化シリコン膜を成膜してゲート絶縁膜を形成した後に、スパッタリング法によりモリブデンを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりゲート電極を形成する。次に、フォトリソグラフィ法とイオンドーピング装置により、高濃度のホウ素とリンをN型、P型それぞれの所望のエリアに注入し、ソースエリアおよびドレインエリアを形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、プラズマCVD法による酸化シリコンの成膜で層間絶縁膜を、スパッタリング法によりアルミニウムの成膜およびフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによりTFT電極を形成する。次に、水素雰囲気下、加熱処理し水素化処理をおこなった後に、プラズマCVD法による窒素シリコンの成膜で、パッシベーション層を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、紫外線硬化性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィ法により平坦化層およびコンタクトホールを形成する。次に、スパッタリング法により酸化インジウム錫を成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより画素電極を形成する。
続いて、蒸着法により、ガラス基板の第2主面側に、正孔注入層として4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン、正孔輸送層としてビス[(N−ナフチル)−N−フェニル]ベンジジン、発光層として8−キノリノールアルミニウム錯体(Alq
3)に2,6−ビス[4−[N−(4−メトキシフェニル)−N−フェニル]アミノスチリル]ナフタレン−1,5−ジカルボニトリル(BSN−BCN)を40体積%混合したもの、電子輸送層としてAlq
3をこの順に成膜する。次に、スパッタリング法によりアルミニウムを成膜し、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより対向電極を形成する。次に、ガラス基板の第2主面側に、紫外線硬化型の接着層を介してもう一枚のガラス基板を貼り合わせて封止する。上記手順によって、ガラス基板上に有機EL構造体を形成する。ガラス基板上に有機EL構造体を有するガラス積層体A(以下、パネルAという。)が、本発明の電子デバイス用部材付き積層体である。
続いて、パネルAの封止体側を定盤に真空吸着させたうえで、パネルAのコーナー部のガラス基板と樹脂層との界面に、厚さ0.1mmのステンレス製刃物を差し込み、ガラス基板と樹脂層の界面に剥離のきっかけを与える。そして、パネルAの支持基板表面を真空吸着パッドで吸着した上で、吸着パッドを上昇させる。ここで刃物の差し込みは、イオナイザ(キーエンス社製)から除電性流体を当該界面に吹き付けながら行う。次に、形成した空隙へ向けてイオナイザからは引き続き除電性流体を吹き付けながら、かつ、水を剥離前線に差しながら真空吸着パッドを引き上げる。その結果、定盤上に有機EL構造体が形成されたガラス基板のみを残し、樹脂層付き支持基板を剥離することができる。
続いて、分離されたガラス基板をレーザーカッタまたはスクライブ−ブレイク法を用いて切断し、複数のセルに分断した後、有機EL構造体が形成されたガラス基板と対向基板とを組み立てて、モジュール形成工程を実施してOLEDを作製する。こうして得られるOLEDは、特性上問題は生じない。