(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1及び第2の貼合工程は、前記第1の面材と前記第2の面材とを前記接触面に対して凸の略球面状に湾曲した第1の加圧面に押し付けることにより貼合する工程であることを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
前記第2の貼合工程は、周縁部押圧部材に接続された第2の加圧面を前記第1の加圧面に近付く方向に動かすことにより前記接触面の周縁部を貼合する工程であることを特徴とする請求項2に記載の積層体の製造方法。
前記第1の貼合工程において、第1の面材の貼合面および前記第1の面材と第2の面材との接触面が平面状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
前記第1及び第2の貼合工程を通して前記接触面の周縁部が受ける圧力の平均値が、前記接触面全体が受けた圧力の平均値以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
前記接触面が受ける圧力の測定点を10mm間隔で正方形格子状に設けたとき、前記第1及び第2の貼合工程を通して受けた圧力の最大値が、いずれの前記測定点においても245Pa以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
さらに、前記第1の加圧面の中心軸と、前記第1の面材と前記第2の面材との前記樹脂層を介した接触面の中心軸とを同軸に保つ傾き調整ユニットを有することを特徴とする請求項7または8に記載の積層体の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の基板を反らせておいて樹脂接着剤を押し広げながら貼り合わせる方法では、貼り合わせ後の樹脂接着剤層が均一にならず、貼り合わせが不十分な領域が生じるおそれがある。また樹脂接着剤が多いと基板の外周にはみ出してしまい、逆に不足すると周縁部において密着力が不足して剥離が生じやすくなる。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、面材どうしを樹脂層を介して貼り合わせる際に、貼合面の全面を良好に貼り合わせることができ、貼合面の間に気泡が残り難く、貼り合わせ後に周縁部の剥離が生じ難い、積層体の製造方法、および積層体の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下の1.〜9.に関する。
1.
第1の面材
と第2の面材
とを
、前記第1の面材及び第2の面材の一方または両方の面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わせて積層体を製造する方法であって、
前記第1の面材と第2の面材とを
、前記樹脂層を介して接触させて仮積層体を得る工程と、
前記仮積層体の
中央部に、略球面状に湾曲している凸の加圧面を接触させて、前記第1の面材と前記第2の面材との前記樹脂層を介した接触面の中央部に圧力を加え、前記接触面の中央部を貼合する第1の貼合工程と、
前記接触面の中央部の貼合後、
前記加圧面の形状に前記仮積層体が沿うように、前記第1の面材及び前記第2の面材の周縁部に前記第1の面材と前記第2の面材との距離が縮小する方向の圧力を加えることで
前記仮積層体を略球面状に変形させて前記接触面の周縁部を貼合する第2の貼合工程と、を備え
、
前記積層体としたときに、前記樹脂層の厚さ方向から見て、前記第1の面材、前記第2の面材および前記樹脂層が全て重なる領域を貼合領域とするとき、
前記仮積層体は、前記貼合領域の全体において、前記第1の面材と前記第2の面材とが前記樹脂層を介して接触していることを特徴とする積層体の製造方法。
2.前記第1及び第2の貼合工程は、前記第1の面材と前記第2の面材とを前記接触面に対して凸の略球面状に湾曲した第1の加圧面に押し付けることにより貼合する工程であることを特徴とする1.に記載の積層体の製造方法。
3.前記第2の貼合工程は、周縁部押圧部材に接続された第2の加圧面を前記第1の加圧面に近付く方向に動かすことにより前記接触面の周縁部を貼合する工程であることを特徴とする2.に記載の積層体の製造方法。
4.前記第1の貼合工程において、第1の面材の貼合面および前記第1の面材と第2の面材との接触面が平面状であることを特徴とする1.〜3.のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
5.前記第1及び第2の貼合工程を通して前記接触面の周縁部が受ける圧力の平均値が、前記接触面全体が受けた圧力の平均値以上であることを特徴とする1.〜4.のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
6.前記接触面が受ける圧力の測定点を10mm間隔で正方形格子状に設けたとき、前記第1及び第2の貼合工程を通して受けた圧力の最大値が、いずれの前記測定点においても245Pa以上であることを特徴とする1.〜5.のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
7.
第1の面材
と第2の面材
とを
、前記第1の面材及び第2の面材の一方または両方の面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わせて積層体を製造可能な装置であって、
前記第1
の面材及び第2の面材を、
前記樹脂層を介して接触させた仮積層体の状態で支持可能な支持部と、
前記支持部と同軸に対向する対向部と、
前記支持部と前記対向部との距離を変化させる駆動ユニットとを備え、
前記支持部および前記対向部のいずれか一方が、他方に向かって凸の略球面状に湾曲した第1の加圧面を有し、他方が、前記第1及び第2の面材の周縁部を局部的に押圧可能な周縁部押圧部材を有
し、
前記積層体としたときに、前記樹脂層の厚さ方向から見て、前記第1の面材、前記第2の面材および前記樹脂層が全て重なる領域を貼合領域とするとき、
前記仮積層体は、前記貼合領域の全体において、前記樹脂層を介して前記第1の面材と前記第2の面材とが接触していることを特徴とする積層体の製造装置。
8.前記周縁部押圧部材は、略球面状に湾曲可能な第2の加圧面を有することを特徴とする7.に記載の積層体の製造装置。
9.さらに、第1の加圧面の中心軸と、前記第1の面材と前記第2の面材との前記樹脂層を介した接触面の中心軸とを同軸に保つ傾き調整ユニットを有することを特徴とする7.または8.に記載の積層体の製造装置。
【0008】
また、本発明は以下の[1]〜[9]に関する。
[1]本発明の積層体の製造方法は、第1の面材(A)と、該第1の面材(A)に対して対向配置された第2の面材(B)とが、第1の面材(A)の貼合面上および/または第2の面材(B)の貼合面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わされた積層体を製造する方法であって、
第1の面材(A)と第2の面材(B)とを、貼合面が内側となるように対向させ、第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とを、少なくとも貼合面の中央部で、互いに接触させるとともに、
第1の面材(A)の外側面に、第1の面材(A)に向かって凸の略球面状に湾曲した第1の加圧面(C)を対向させ、第1の面材(A)の外側面のうち、貼合面の中央部に対応する部位のみを第1の加圧面(C)と接触させる工程(1)と、
工程(1)の後、貼合面の周縁部に対応する部位に、第1の加圧面(C)と第2の面材(B)との距離が縮小する方向の圧力を加えることによって、第1の加圧面(C)および/または第2の面材(B)の貼合面を変形させて、第1の加圧面(C)と第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とを互いに密着させ、第1の面材(A)と第2の面材(B)とを貼り合わせる工程(2)を有することを特徴とする。
【0009】
[2]前記工程(2)において、少なくとも第2の面材(B)の貼合面を変形させる方法として、前記工程(1)において、第2の面材(B)の外側面に、略球面状に湾曲可能な第2の加圧面(D)を対向させ、第2の面材(B)の外側面の、少なくとも貼合面の中央部に対応する部位に、第2の加圧面(D)を接触させ、
前記工程(2)において、該第2の加圧面(D)を介して第2の面材(B)に前記圧力を加えることが好ましい。
【0010】
[3]前記工程(1)において、第1の面材(A)の貼合面および第2の面材(B)の貼合面が平面状であることが好ましい。
[4]前記工程(2)において、貼り合わせを完了した時点での、貼合面の周縁部が受ける圧力の平均値が、貼合面全体が受ける圧力の平均値以上であることが好ましい。
[5]前記貼合面が受ける圧力の測定点を10mm間隔で正方形格子状に設けたとき、貼合面全面上の全ての測定点において、前記工程(1)において各部材を接触させた時点から、工程(2)において貼り合わせを完了するまでの間に受けた圧力の最大値が245Pa以上であることが好ましい。
【0011】
[6]本発明の積層体の製造装置は、第1の面材(A)と、該第1の面材(A)に対して対向配置された第2の面材(B)とを、第1の面材(A)の貼合面上および/または第2の面材(B)の貼合面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わせて積層体を製造する装置であって、
第1の面材(A)と第2の面材(B)を、両者の貼合面が内側となるように対向し、第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とが、少なくとも貼合面の中央部で、互いに接触している仮積層体の状態で支持可能な支持部と、
該支持部と、前記仮積層体を挟んで同軸に対向する対向部と
前記支持部と前記対向部との距離を変化させる駆動ユニットとを備え、
前記支持部および前記対向部のいずれか一方が、前記仮積層体に向かって凸の略球面状に湾曲した第1の加圧面(C)を有し、他方が、前記仮積層体の、貼合面の周縁部に対応する部位を局部的に押圧可能な周縁部押圧部材を有することを特徴とする。
【0012】
[7]前記周縁部押圧部材と前記仮積層体の間に、略球面状に湾曲可能で、該仮積層体の外側面に密着可能な第2の加圧面(D)を有する第2の加圧部材が設けられていることが好ましい。
【0013】
[8]または、本発明の積層体の製造装置は、第1の面材(A)と、該第1の面材(A)に対して対向配置された第2の面材(B)とを、第1の面材(A)の貼合面上および/または第2の面材(B)の貼合面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わせて積層体を製造する装置であって、
第1の面材(A)と第2の面材(B)を、両者の貼合面が内側となるように対向し、第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とが、少なくとも貼合面の中央部で、互いに接触している仮積層体の状態で支持可能な支持部と、
該支持部と、前記仮積層体を挟んで同軸に対向する対向部と
前記支持部と前記対向部との距離を変化させる駆動ユニットとを備え、
前記支持部および前記対向部のいずれか一方に、前記仮積層体に向かって凸の略球面状に湾曲しており、かつ曲率半径が変化するように変形可能な第1の加圧面(C)を有する加圧部材、および該加圧部材の、貼合面の周縁部に対応する部位を、前記仮積層体に向かって局部的に押圧可能な周縁部押圧部材が設けられていることを特徴とする。
【0014】
[9]本発明の積層体の製造装置は、さらに、第1の加圧面(C)の中心軸と、貼合面の中心軸とを同軸に保つ傾き調整ユニットを備えることが好ましい。
【0015】
[10]本発明の積層体の製造方法の好ましい実施形態は、上記[6]記載の製造装置を用いて、第1の面材(A)と、該第1の面材(A)に対して対向配置された第2の面材(B)とを、第1の面材(A)の貼合面上および/または第2の面材(B)の貼合面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わせて積層体を製造する方法であって、
前記支持部で、第1の面材(A)と第2の面材(B)を、両者の貼合面が内側となるように対向し、第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とが、少なくとも貼合面の中央部で、互いに接触している仮積層体の状態で、かつ第1の面材(A)の外側面と前記第1の加圧面(C)とが対向するように支持し、第1の面材(A)の外側面のうち、貼合面の中央部に対応する部位のみを第1の加圧面(C)と接触させる工程(1)と、
工程(1)の後、前記支持部と前記対向部との距離が縮小するように前記駆動ユニットを駆動させ、前記周縁部押圧部材により貼合面の周縁部に対応する部位に圧力を加えることによって、第2の面材(B)の貼合面を変形させて、第1の加圧面(C)と第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とを互いに密着させ、第1の面材(A)と第2の面材(B)とを貼り合わせる工程(2)を有することを特徴とする積層体の製造方法である。
【0016】
[11]または、本発明の積層体の製造方法の好ましい実施形態は、上記[8]記載の製造装置を用いて、第1の面材(A)と、該第1の面材(A)に対して対向配置された第2の面材(B)とを、第1の面材(A)の貼合面上および/または第2の面材(B)の貼合面上に設けられた樹脂層を介して貼り合わせて積層体を製造する方法であって、
前記支持部で、第1の面材(A)と第2の面材(B)を、両者の貼合面が内側となるように対向し、第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とが、少なくとも貼合面の中央部で、互いに接触している仮積層体の状態で、かつ第1の面材(A)の外側面と前記第1の加圧面(C)とが対向するように支持し、第1の面材(A)の外側面のうち、貼合面の中央部に対応する部位のみを第1の加圧面(C)と接触させる工程(1)と、
工程(1)の後、前記支持部と前記対向部との距離が縮小するように前記駆動ユニットを駆動させ、前記周縁部押圧部材により、前記加圧部材の、貼合面の周縁部に対応する部位に圧力を加えることによって、第1の加圧面(C)を変形させて、第1の加圧面(C)と第1の面材(A)と樹脂層と第2の面材(B)とを互いに密着させ、第1の面材(A)と第2の面材(B)とを貼り合わせる工程(2)を有することを特徴とする積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の積層体の製造方法を用いて、面材どうしを樹脂層を介して貼り合わせることにより、貼合面の全面を良好に貼り合わせることができ、貼合面の間に気泡が残り難い。また貼り合わせ後に周縁部の剥離が生じ難い。
本発明の積層体の製造装置を用いて、面材どうしを樹脂層を介して貼り合わせることにより、貼合面の全面を良好に貼り合わせることができ、貼合面の間に気泡が残り難い。また貼り合わせ後に周縁部の剥離が生じ難い。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明において面材とは、貼り合わせる面を有する部材を意味し、例えば板状、シート状、またはフィルム状の部材である。
本発明において、面の中心軸とは、面の中心を通り該面に垂直な軸を意味する。曲面の場合は、曲面の中心の接平面に対して垂直な軸を意味する。同軸とは中心軸が一致することを意味する。
本発明において、略球面状に湾曲した面とは、任意の断面が曲線状である面を意味する。
本発明において、2つの面材が樹脂層を介して貼り合わされた積層体において、樹脂層の中心を通り、樹脂層の厚さ方向に平行な方向を積層方向Xとする。
本発明において、貼合面とは、積層体を積層方向Xから見たときに、2つの面材および樹脂層が全て重なっている領域の、樹脂層に接触している面を意味する(以下、第1の面材と第2の面材との接触面ともいう)。
【0020】
本発明において、貼り合わせ工程中に貼合面が受ける圧力は、第1の面材(A)の貼合面と樹脂層とセンサーシートと第2の面材(B)の貼合面とがこの順になるように対向配置して貼り合わせ工程を行い、該工程中の貼合面内の圧力分布を経時的に測定して得られる値である。本発明において、センサーシートは、シート面内の互いに直行する2方向(x方向、y方向)に沿って10mmの等間隔で、圧力センサー(測定点)が正方形格子状に並べられたものを用いる。該正方形格子の格子点の位置に測定点が存在する。センサーシートは面圧分布の測定に用いられる市販のものを用いることができる。
貼合面全体が受ける圧力の平均値は、貼合面の全面に存在する圧力センサー(測定点)の測定値の合計を、該圧力センサー(測定点)の数で割った値である。
貼合面の周縁部が受ける圧力の平均値は、貼合面の周縁部に存在する圧力センサー(測定点)の測定値の合計を、該圧力センサー(測定点)の数で割った値である。貼合面の周縁部とは、貼合面の外縁全周に沿う幅10mmの帯状領域を意味する。
本発明において、貼り合わせを完了した時点とは、貼合面の外縁において第1の加圧面(C)と第2の面材(B)との距離が最も小さくなる時点を意味する。また該貼合面の周縁部において第1の加圧面(C)と第2の面材(B)との距離が最も小さい状態が保持される保持工程がある場合には、該保持工程の終了時を、貼り合わせを完了した時点とする。
【0021】
<第1の実施形態>
図1、2は本発明の積層体の製造方法の第1の実施形態を示す断面図である。
図1は貼り合わせ開始前の状態を示し、
図2は貼り合わせ時の状態を示す。
本実施形態では、表示パネル用の保護板として好適な樹脂層付き透明面材と、表示パネルの代替としてのガラス板とを貼り合わせる方法を例に挙げて説明する。樹脂層付き透明面材については詳述する。
図中符号4は保護板であり、厚さ1.8mmのソーダライムガラスからなる透明面材1(第1の面材(A))の貼合面の全面上に、粘着性を有する厚さ0.4mmの樹脂層2が設けられている。図中符号3はガラス板(第2の面材(B))であり、厚さ1.8mmのソーダライムガラスからなる。保護板4およびガラス板3はいずれも矩形であり、保護板4の方がガラス板3よりもひと回り大きい。
図1、2において積層方向Xは垂直方向である。
【0022】
[積層体の製造装置]
本実施形態で用いる装置は、支持部材10と、該支持部材10を積層方向Xに移動させる下基台受け21とから概略構成されている支持部が、減圧チャンバー40内に収容されている。
減圧チャンバー40は、上端が開口している容器41と該開口部41aを気密に閉じる蓋体42(対向部)を備える。積層方向Xから見たときの開口部41aの形状は、点対称であればよく、円形、楕円計、矩形、多角形等とすることができる。本実施形態では円形である。
蓋体42は、減圧チャンバー40が減圧されたときに、内方に向かって凸の略球面状に湾曲する部材で構成されている。本実施形態ではアクリル樹脂製の、厚さ75mmの板が用いられている。図中符号43は開口部41aを気密に封止するための封止部材であり、例えばゴムパッキンが用いられる。
本実施形態において、蓋体42の内面(蓋体内面)42aが第1の加圧面(C)である。
【0023】
支持部材10は、下基台11上に、ガラス板3の周縁部を押圧するための周縁部押圧部材12を設け、その上に中間板13(第2の加圧部材)を設けて構成されている。中間板13は略球面状に湾曲可能な部材であり、本実施形態ではステンレス(SUS304)製の、厚さ5mmの板で構成されている。中間板13の、下基台11側と反対側の面13aは、ガラス板3の外側面に密着可能な第2の加圧面(D)である。
下基台11と周縁部押圧部材12とは接触しているだけでもよく、接着固定されていてもよい。周縁部押圧部材12と中間板13とは接触しているだけでもよく、接着固定されていてもよい。
なお、例えば中間板13が金属製である場合など、ガラス板3が中間板13と接触することによって傷ついたり割れたりするおそれがある場合には、これを防止するために、中間板13とガラス板3の間に樹脂フィルムなどを介在させてもよい。
【0024】
周縁部押圧部材12は、貼合面の周縁部に加わる圧力が、該周縁部の内方に加わる圧力より大きくなるように、該周縁部を局部的に押圧できるものであればよい。本実施形態において、周縁部押圧部材12を積層方向Xから見たときの形状は、例えば
図3(a)に示す連続した枠状とすることができる。または
図3(b)に示すように、角部のみを押圧する形状でもよく、
図3(c)に示すように、不連続な枠状であってもよい。
周縁部押圧部材12の設置位置は、積層体における剥離を防止するために、貼合面の外縁およびその近傍により高い圧力を付与できるように設計することが好ましい。したがって、積層方向Xから見たときに、周縁部押圧部材12が、貼合面の周縁部とその外側の部分にまたがって存在していることが好ましい。
周縁部押圧部材12の材質は、貼合面の周縁部に加えられる圧力の、周方向における均一性を高くしやすいものが好ましく、積層体を構成する面材(ガラス板3および保護板4の透明面材1)よりも弾性率が低いものが好ましい。例えばスポンジやゴム等が用いられる。
【0025】
下基台受け21は、容器41の底部の中央を気密に貫通し、図示しない駆動ユニットによって積層方向Xに沿って進退可能に構成されている。図中符号44はゴムパッキンである。
本実施形態において、下基台11の上面と中間板13の上面とは同軸に構成されている。また容器41の開口部41a内における蓋体内面42aの中心軸は、下基台受け21の中心軸と一致しており、図中符号Pで示す。
本実施形態では、下基台11は下基台受け21に固定されておらず、下基台11の上面および中間板13の上面の中心軸と、前記蓋体内面42aの中心軸Pとを同軸に保つための傾き調整ユニット(凸部11a、球面座21a、およびバックアップ24)が設けられている。
すなわち、下基台11下面の中央には外面が球面状である凸部11aが設けられるとともに、下基台受け21の上端には、該凸部11aと摺動可能な球面状の凹部からなる球面座21aが設けられている。球面座21aの中心軸はPである。球面座21a内で下基台11下面の凸部11aが摺動することにより、下基台11の上面の傾きが変化するようになっている。球面座21aの内面の曲率半径は、該球面座21aの内面から貼合面までの距離とほぼ等しいことが好ましい。
【0026】
また下基台受け21には、球面座21aの下方に鍔部23が設けられている。鍔部23上には、弾性体(ゴム、スポンジ等)からなるバックアップ24が、鍔部23と下基台11の一方と接触または接着し、他方とは接触または接着しているか、あるいは若干の隙間を有するように設けられている。
このようにバックアップ24を設けることにより、下基台11の上面が極端に傾くのが防止されるようになっている。
バックアップ24は球面座21aの周囲に均等に配置されていればよく、形状や配置等は特に限定されない。
図4は、積層方向Xから見たときの、球面座21a、鍔部23およびバックアップ24の形状および配置の例を模式的に示したものである。
図4(a)は矩形の鍔部23上に、円柱状のバックアップ24を4個、球面座21aの周囲に等間隔で配置した例であり、
図4(b)は矩形の鍔部23上に、四角枠状のバックアップ24を球面座21aの周囲に配置した例である。
図4(c)は円盤状の鍔部23上に、円柱状のバックアップ24を3個、球面座21aの周囲に等間隔で配置した例であり、
図4(d)は円盤状の鍔部23上に、円環状のバックアップ24を球面座21aの周囲に配置した例である。
【0027】
[積層体の製造方法]
本実施形態の装置を用いて積層体を製造するには、まず、支持部材10の中間板13上にガラス板3および保護板4を貼合面が内側となるように載置する。このとき、貼合面の中心軸が中心軸Pと同軸になるようにする。
本実施形態では中間板13上の所定位置にガラス板3を貼合面が上面となるように載せ、その上の所定位置に保護板4を樹脂層2が下面となるように配置して載せる。これにより保護板4の樹脂層2が自重によってガラス板3と接触した仮積層体の状態となる。
また、減圧チャンバー40内を減圧して、蓋体内面42aを所定の曲率の略球面状に湾曲させる(開口部41aが円形であれば軸対称の略球面となる)。該減圧チャンバー40内の減圧は、ガラス板3と樹脂層2とを接触させる前に行ってもよく、接触させる工程と同時に行ってもよく、接触後に行ってもよい。
そして、蓋体内面42aを湾曲させた状態で、下基台受け21を駆動させて支持部材10を上昇させ、保護板4の上面(外側面)を蓋体内面42aに接触させる(工程(1))。
このとき、まず、略球面状に湾曲している蓋体内面42aの頂部が、保護板4の上面の中央に点接触して、蓋体内面42aと保護板4とガラス板3とが互いに接触した状態となる。
続いて、さらに支持部材10が上昇すると、蓋体内面42aと保護板4との接触が面接触になるとともに、中間板13を蓋体内面42aに押し付ける力によって、保護板4およびガラス板3の中央部に圧力が加わる。これにより、まず貼合面の中央部が局部的に貼り合わされた状態となる。
【0028】
この後、
図2に示すように、蓋体内面42aの形状を一定に保ちつつ、支持部材10をさらに上昇させると、周縁部押圧部材12によって、貼合面の周縁部に対応する部位に、ガラス板3と保護板4との距離が縮小する方向の圧力が加えられえる。これによって中間板13、ガラス板3および保護板4が、蓋体内面42aの形状に沿うように変形し、保護板4およびガラス板3が加圧される領域が中央部から周縁に向かって漸次拡大する。したがって、樹脂層2とガラス板3の間に存在する気泡を追い出しながら、両者を密着させて貼り合わせることができる(工程(2))。
これにより、貼合面の中央部から周縁部に向かって順次貼り合わされ、中間板13の上面と蓋体内面42aとが平行になるまで、中間板13を変形させることにより、貼合面の全面を貼り合わせることができる。
【0029】
この後、支持部材10をさらに上昇させて、貼合面の周縁近傍を特に強く密着させて貼り合わせを完了させることが好ましい。
すなわち、中間板13の上面と蓋体内面42aとが平行になった後、支持部材10をさらに上昇させると、中間板13の周縁部が周縁部押圧部材12で局部的に押圧されて、中間板13がさらに変形し、蓋体内面42aの曲率半径よりも中間板13の曲率半径がわずかに小さくなる。これにより、貼合面の周縁部に加わる圧力が、該周縁部の内方に加わる圧力がより大きくなるため、貼合面の周縁部を特に強く密着させて、より剥離し難くすることができる。
貼り合わせの完了後は、支持部材10を降下させて貼合面への圧力を解放する。
【0030】
図15は、本実施形態において、貼合面が受ける圧力の経時変化の例を示した図である。
図15(a)において、符号Aは貼合面の中心にある測定点、符号Cは貼合面の周縁部(例えば貼合面の外縁から5mm内方)にある測定点、符号BはAとCの中間点にある測定点をそれぞれ示す。
図15(b)は、横軸を時間、縦軸を圧力として、A〜Cの各測定点において貼合面が受ける圧力の経時変化を示したグラフである。
このグラフでは、保護板4の上面(外側面)が蓋体内面42aに接触する直前における、A〜Cの各測定点における圧力をそれぞれ基準(ゼロ)としている。
横軸の(i)は、支持部材10の中間板13上に、保護板4とガラス板3が仮積層体の状態で支持されている状態から、下基台受け21を駆動させて支持部材10を上昇させ、蓋体内面42aの頂部が、保護板4の上面の中央に点接触した時点である。
横軸の(i)〜(ii)では、支持部材10がさらに上昇して、蓋体内面42aと保護板4との接触が面接触になり、貼合面の中央部が局部的に貼り合わされた状態となる。
横軸の(ii)は、中間板13、ガラス板3および保護板4が、蓋体内面42aの形状に沿うように変形し始める時点である。
横軸の(ii)〜(iv)では、支持部材10の上昇に伴って、貼合面の中央部から周縁部に向かって順次貼り合わされ、横軸の(iv)で中間板13の上面と蓋体内面42aとが平行になり、貼合面の全面が貼り合わされる。
横軸の(iv)〜(v)では、支持部材10がさらに上昇して、貼合面の周縁部が特に強く密着される。横軸の(v)は貼り合わせ完了の時点であり、この直後に支持部材10が下降して、全部の測定点で圧力が解放される。
【0031】
横軸の(i)〜(ii)〜(iii)〜(iv)〜(v)のそれぞれに要する時間は、貼合面が大きくなるにしたがって長くなるが、例えば貼合面が長辺の長さ50cmの矩形である場合は以下の通りである。
横軸の(i)〜(ii)、すなわち第1の面材(A)と第1の加圧面(C)とが接触した時点から、第1の加圧面(C)および/または第2の面材(B)の貼合面の変形(本実施形態では第2の面材(B)の貼合面の変形)が始まる時点までの時間は0.1〜10秒程度が好ましい。
横軸の(ii)〜(iv)、すなわち前記変形が始まってから、第1の面材(A)と第2の面材(B)とが貼り合わされた領域が、貼合面の全面に達するまでの時間は0.1〜100秒程度が好ましく、0.5〜10秒程度がより好ましい。該貼合の時間が上記範囲の下限値以上であると、第1の面材(A)と第2の面材(B)との間に存在する空気を外側へ向かって確実に追い出して気泡の残留を防止しやすい。該貼合の時間が上記範囲の上限値以下であると工業的に良好な生産効率が得られやすい点で好ましい。
【0032】
また、貼合面の全面が貼り合わされた後、さらに貼合面の周縁部を強く密着させる場合、横軸の(iv)〜(v)、すなわち貼り合わされた領域が貼合面の全面に達してから貼り合わせが完了するまでの時間は0.1〜100秒程度が好ましく、0.5〜10秒程度がより好ましい。該時間が上記範囲の下限値以上であると、貼合面の全面が貼り合わされた後にさらに貼合面の周縁部を押圧することによる、周縁部の密着性向上効果が十分に得られやすい。該時間が上記範囲の上限値以下であると、工業的に良好な生産効率が得られやすい点で好ましい。
この場合、貼り合わせを完了した時点(横軸の(v))において、貼合面の周縁部が受ける圧力の平均値が、貼合面全体が受ける圧力の平均値以上となるようにすることが好ましい。
【0033】
本実施形態において、蓋体内面42aを保護板4に接触させた後、支持部材10を上昇させて中間板13を蓋体内面42aに押し付ける工程において、中間板13の上面の中心軸が、蓋体内面42aの中心軸Pからずれると、すなわち中間板13の上面が、中心軸Pに垂直な面(水平面)に対して傾くと、下基台受け21の球面座21a内で下基台11下面の凸部11aが摺動することにより、該傾きが補正されて、中間板13の上面と蓋体内面42aとが同軸に保たれるようになっている。これにより、貼合面の中心軸を、蓋体内面42aの中心軸と同軸に保つことができ、支持部材10の上昇に伴って、貼りあわされた領域を、貼合面の中央部から周縁部に向かって均等に、再現性良く拡大させることができる。
【0034】
本実施形態において、蓋体内面42aを略球面状に湾曲させた状態での、該蓋体内面42aの曲率半径が小さいほど、まず蓋体内面42aの頂部で保護板4を加圧して、貼合面の中央部を局部的に貼り合わせたときの、貼り合わせ領域が小さくなる。該貼り合わせ領域が小さいほど、気泡を噛みこみ難い。例えば該蓋体内面42aの曲率半径は100,000mm(100m)以下が好ましく、10,000mm(10m)以下がより好ましい。
該蓋体内面42aの曲率半径の下限値は、材質や厚みにもよるが、蓋体42の破損、あるいは蓋体内面42aに沿うように変形される保護板4、ガラス板3または中間板13の破損が生じ難い点で、例えば100mm(0.1m)以上が好ましく、1000mm(1m)以上がより好ましい。
【0035】
また、貼合面に加える圧力は、支持部材10の上昇に伴って、樹脂層2とガラス板3の間に存在する気泡を外側へ向かって確実に追い出すことができ、かつ貼合面の全面を確実に貼り合わせることができるように設定することが好ましい。
例えば、貼合面の全面上に存在する全ての測定点において、蓋体内面42aと保護板4とガラス板3とが互いに接触した時点から、貼り合わせを完了するまでの間に受けた圧力を経時的に測定したときの最大値が、いずれの測定点でも245Pa以上であることが好ましい。
本実施形態において、貼合面に加える圧力は、支持部と対向部との距離を変化させる駆動ユニットで制御することができる。例えば駆動ユニットがエアシリンダーであれば空気圧で制御することができ、サーボモーターであればトルクで制御することができる。
【0036】
本実施形態によれば、保護板4(樹脂層2付き透明面材1)とガラス板3とを、気泡が残留しない状態で確実に貼り合わせることができる。また、周縁部押圧部材を用いて押圧することにより、特にガラス板3の外縁近傍が樹脂層と強く密着されやすく、剥離が生じ難い積層体を得ることができる。
また、本実施形態では、支持部材10上にガラス板3と保護板4を、貼合面が平面状の状態で接触させて仮積層体の状態(接触している状態)とするため、ガラス板3と保護板4の位置合わせを行いやすく、位置あわせ後の位置ずれも生じにくい。
【0037】
なお、本実施形態において、支持部材10を上昇させて中間板13を湾曲させる際に、蓋体内面42aの形状を一定保ったが、中間板13を変形させつつ、貼合面への圧力が低下しない範囲で、蓋体内面42aの形状を略球面状から平坦面に変化する方向に変形させることもできる。すなわち、貼り合わせ時に第1の加圧面(C)と第2の面材(B)の両方を変形させることもできる。
また、本実施形態において、減圧チャンバー40内を減圧する方法で、蓋体内面42aを略球面状に湾曲させたが、これに限らず、蓋体42の外面中央部を加圧して蓋体内面42aを湾曲させることもできる。この場合減圧チャンバー40内は常圧でもよい。
【0038】
<第2の実施形態>
図5は第2の実施形態を示す断面図であり、貼り合わせ開始前の状態を示したものである。
図1、2と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態が第1の実施形態と大きく異なる点は、第1の実施形態では、第1の加圧面(C)である蓋体内面42aを上方に設け、保護板4およびガラス板3を下から押し付けて変形させたのに対して、本実施形態では下定盤71の上面を第1の加圧面(C)とし、保護板4およびガラス板3を上から押し付けて変形させる点である。
本実施形態において、ガラス板3の外側面に、第1の加圧面(C)である下定盤71の上面71aが対向配置されている。すなわち本実施形態においては、ガラス板3が第1の面材(A)であり、保護板4の透明面材1が第2の面材(B)である。
【0039】
[積層体の製造装置]
本実施形態で用いる装置は、減圧チャンバー50内に下定盤71(支持部)、および下定盤71に対向する中間板33を備えた加圧部30と、該加圧部30を積層方向Xに移動させる上基台支持部材61とから概略構成される対向部が収容されている。
減圧チャンバー50は、上端が開口している容器51と該開口部51aを気密に閉じる蓋体52を備える。
減圧チャンバー50の底面上に、保護板4およびガラス板3よりも大面積の下定盤71が設けられている。下定盤71の上面は上方に向かって凸の略球面状に形成されている。本実施形態の下定盤71の材質はアルミニウム合金(A5052)である。
本実施形態において、下定盤71の上面71aが第1の加圧面(C)である。
なお、下定盤71とガラス板3の間に樹脂フィルムなどを介在させてもよい。
【0040】
加圧部30は、上基台31の下面に、ガラス板3の周縁部に対応する部位を押圧するための周縁部押圧部材32が固定されており、その下面に中間板33が固定されている。中間板33は、第1の実施形態における中間板13と同じものである。中間板33の、上基台31側と反対側の面33aは、保護板4の外側面に密着可能な第2の加圧面(D)である。
周縁部押圧部材32は、第1の実施形態の周縁部押圧部材12と同様である。
【0041】
上基台支持部材61は、蓋体52の中央を気密に貫通し、図示しない駆動ユニットによって積層方向Xに沿って進退可能に構成されている。
本実施形態において、上基台31の下面と中間板33の下面とは同軸に構成されている。また下定盤71の上面71aの中心軸は、上基台支持部材61の中心軸と一致しており、中心軸Pである。
本実施形態において、上基台31上面の中央には外面が球面状である凸部31aが設けられるとともに、上基台支持部材61の下端には、該凸部31aと摺動可能な球面状の凹部からなる球面座61aが設けられている。球面座61aの中心軸はPである。
上基台31は上基台支持部材61に固定されておらず、球面座61aの上方に設けられた鍔部63と、上基台31の上面とが、コイルバネ等の弾性接続部材65によって連結され、球面座61a内で上基台31の凸部31aが摺動可能となっている。
球面座61a内で上基台31の凸部31aが摺動することにより、上基台31の下面の傾きが変化するようになっている。また弾性接続部材65は、上基台31の下面が極端に傾くのを防止する役割も果たしている。すなわち、凸部31a、球面座61a、および弾性接続部材65が、上基台31の下面および中間板33の下面の中心軸と、下定盤71の上面71aの中心軸Pとを同軸に保つための傾き調整ユニットを構成している。
球面座61aの内面の曲率半径は、該球面座61aの内面から貼合面までの距離とほぼ等しいことが好ましい。
なお、中間板33と保護板4の間に樹脂フィルムなどを介在させてもよい。
【0042】
[積層体の製造方法]
本実施形態の装置を用いて積層体を製造するには、まず、下定盤71上にガラス板3および保護板4を貼合面が内側となるように載置する。このとき、貼合面の中心軸が中心軸Pと同軸になるようにする。
本実施形態では下定盤71上の所定位置にガラス板3を貼合面が上面となるように載せ、その上の所定位置に保護板4を樹脂層2が下面となるように配置して載せる。これにより少なくとも貼合面の中央部で、保護板4の樹脂層2が自重によってガラス板3と接触した状態となる。
このとき、ガラス板3の下面の中央部のみが、略球面状に湾曲している下定盤71の上面71aの頂部に、自重によって接触した仮積層体の状態となる(工程(1))。
【0043】
そして、上基台支持部材61を駆動させて加圧部30を降下させ、保護板4の上面(外側面)に中間板33を接触させる。
さらに加圧部30を降下させると、中間板33を下定盤71の上面71aに押し付ける力によって、保護板4およびガラス板3の中央部に圧力が加わる。これにより、まず貼合面の中央部が局部的に貼り合わされた状態となる。
この後、加圧部30をさらに降下させると、中間板33、保護板4およびガラス板3が、下定盤71の上面71aの形状に沿うように変形する。
したがって、第1の実施形態と同様に、保護板4およびガラス板3が加圧される領域を中央部から周縁に向かって漸次拡大させて、両者を貼り合わせることができる(工程(2))。
【0044】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、特に本実施形態では、第1の加圧面(C)である下定盤71の上面71aを、機械加工により任意の湾曲面に形成できるため、第1の加圧面(C)の曲率半径を容易にかつ精度良く制御することができる。
また、装置をコンパクトに構成しやすい点では、支持部と対向部との距離を変化させるための昇降機構が下部に配置されている第1の実施形態の方が好ましい。
【0045】
<変形例(1)>
図6は本実施形態の変形例(1)の要部を示す断面図である。本例では、傾き調整ユニットとして、凸部31a、球面座61a、および弾性接続部材65に加えて、鍔部63と上基台31との間に弾性体(ゴム、スポンジ等)からなるバックアップ64が設けられている。
バックアップ64は、鍔部63と上基台31の一方と接触または接着し、他方とは若干の隙間を有するように設けられている。このようにバックアップ64を設けることにより、上基台31の下面が極端に傾くのがさらに防止される。
本例において、バックアップ64は球面座61aの周囲に均等に配置されていればよく、形状や配置等は特に限定されない。
図7は、積層方向Xから見たときの、球面座61a、鍔部63、バックアップ64および弾性接続部材65の形状および配置の例を模式的に示したものである。
図7(a)は矩形の鍔部63上に、円柱状のバックアップ64を4個、球面座61aの周囲に等間隔で配置し、その外側に弾性接続部材65を4個配置した例である。バックアップ64および弾性接続部材65は、鍔部63の対角線上に配置されている。
図7(b)は矩形の鍔部63上に、四角枠状のバックアップ64を球面座61aの周囲に配置し、その外側に弾性接続部材65を4個配置した例である。弾性接続部材65は、鍔部63の対角線上に配置されている。
図7(c)は円盤状の鍔部63上に、円柱状のバックアップ64を3個、球面座61aの周囲に等間隔で配置し、その外側に弾性接続部材65を3個、周方向において等間隔に配置した例である。バックアップ64および弾性接続部材65は、鍔部63の径方向に並んで配置されている。
図7(d)は円盤状の鍔部63上に、円環状のバックアップ64を球面座61aの周囲に配置し、その外側に弾性接続部材65を3個、周方向において等間隔に配置した例である。
本例の構成によっても、上基台31を進退可能に、かつ傾き調整可能に支持することができる。
【0046】
<変形例(2)>
図8は本実施形態の変形例(2)の要部を示す断面図である。本例では、上基台31の上面に、上基台支持部材61の鍔部63を収容する連結部35が設けられている。連結部35は上基台支持部材61の上面に固定された側面35aと、鍔部63と対向する底面35bを備えており、鍔部63と底面35bとが弾性接続部材65によって連結されている。底面35bの中央には貫通孔が設けられており、上基台支持部材61が進退可能に貫通している。
図9は、本例の、積層方向Xから見たときの、球面座61a、鍔部63および弾性接続部材65の配置の例を模式的に示したものである。
本例の構成によっても、上基台31を進退可能に、かつ傾き調整可能に支持することができる。
【0047】
<変形例(3)>
図10は本実施形態の変形例(3)の要部を示す断面図である。本例は、変形例(2)の構成において、鍔部63と上基台31との間にバックアップ64を設けた例である。
バックアップ64は、鍔部63と上基台31の一方と接触または接着し、他方とは若干の隙間を有するように設けられている。
本例において、例えば、弾性接続部材65が、積層方向Xから見たときに
図9と同様に配置されているとき、バックアップ64は弾性接続部材65と重なる位置に配置することが好ましい。
本例の構成によっても、上基台31を進退可能に、かつ傾き調整可能に支持することができる。
【0048】
<変形例(4)>
図11は本実施形態の変形例(4)の要部を示す断面図である。本例は、変形例(2)の構成において、連結部35の底面35bと鍔部63との間において、弾性接続部材65の外側にバックアップ64を設けた例である。
バックアップ64は、連結部35の底面35bおよび鍔部63の一方と接触または接着し、他方とは若干の隙間を有するように設けられている。
図12は、積層方向Xから見たときの、球面座61a、鍔部63、バックアップ64および弾性接続部材65の形状および配置の例を模式的に示したものである。
図12(a)は矩形の鍔部63上に、球面座61aの周囲に等間隔で弾性接続部材65を4個配置し、その外側に円柱状のバックアップ64を4個、等間隔で配置した例である。バックアップ64および弾性接続部材65は、鍔部63の対角線上に配置されている。
図12(b)は矩形の鍔部63上に、球面座61aの周囲に等間隔で弾性接続部材65を4個配置し、その外側に四角枠状のバックアップ64を配置した例である。弾性接続部材65は、鍔部63の対角線上に配置されている。
図12(c)は円盤状の鍔部63上に、弾性接続部材65を3個、球面座61aの周囲に等間隔で配置し、その外側に円柱状のバックアップ64を3個、周方向において等間隔に配置した例である。バックアップ64および弾性接続部材65は、鍔部63の径方向に並んで配置されている。
図12(d)は円盤状の鍔部63上に、球面座61aの周囲に弾性接続部材65を3個、周方向において等間隔に配置し、その外側に円環状のバックアップ64を配置した例である。
本例の構成によっても、上基台31を進退可能に、かつ傾き調整可能に支持することができる。
【0049】
<第3の実施形態>
図13、14は第3の実施形態を示す断面図である。
図13は貼り合わせ開始前の状態を示し、
図14は貼り合わせ時の状態を示す。
図1、2、5と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
本実施形態が第2の実施形態と大きく異なる点は、第2の実施形態では、第1の加圧面(C)である下定盤71の上面71aは変形させず、保護板4およびガラス板3を変形させたのに対して、本実施形態では保護板4およびガラス板3は変形させず、第1の加圧面(C)である中間板73の下面73aを変形させる点である。
本実施形態において、保護板4の外側面に、第1の加圧面(C)である中間板73の下面73aが対向配置されている。すなわち本実施形態においては、保護板4の透明面材1が第1の面材(A)であり、ガラス板3が第2の面材(B)である。
【0050】
[積層体の製造装置]
本実施形態で用いる装置において、下定盤72(支持部)の上面は平面である。
本実施形態における中間板73(加圧部材)は、予め、所望の曲率の略球面状に形成されており、その周縁部を押圧することによって平坦な面に変形可能な部材で構成される。本実施形態ではアルミニウム合金(A5052)製の、厚さ3mmの板を、例えばプレス加工によって略球面状に加工したものが用いられる。
本実施形態において、加圧部30は、上基台31の下面に、中間板73の、貼合面の周縁部に対応する部位を押圧するための周縁部押圧部材32が固定されており、その下面に中間板73が固定されている。
なお、下定盤72とガラス板3の間に樹脂フィルムなどを介在させてもよい。中間板73と保護板4の間に樹脂フィルムなどを介在させてもよい。
【0051】
[積層体の製造方法]
本実施形態の装置を用いて積層体を製造するには、まず、下定盤72上にガラス板3および保護板4を、貼合面が内側となるように載置する。このとき、貼合面の中心軸が中心軸Pと同軸になるようにする。
本実施形態では下定盤72上の所定位置にガラス板3を貼合面が上面となるように載せ、その上の所定位置に保護板4を樹脂層2が下面となるように配置して載せる。これにより保護板4の樹脂層2が自重によってガラス板3と接触した仮積層体の状態となる。
そして、上基台支持部材61を駆動させて加圧部30を降下させ、保護板4の上面(外側面)に中間板73を接触させる(工程(1))。
このとき、まず、略球面状に湾曲している中間板73の下面73aの頂部が、保護板4の上面の中央に点接触して、中間板73の下面73aと保護板4とガラス板3とが互いに接触した状態となる。
続いて、さらに加圧部30を降下させると、中間板73の下面73aと保護板4との接触が面接触になるとともに、中間板73を下定盤71に押し付ける力によって、保護板4およびガラス板3の中央部に圧力が加わる。これにより、まず貼合面の中央部が局部的に貼り合わされた状態となる。
【0052】
この後、
図14に示すように、加圧部30をさらに降下させると、中間板73の下面73aが、略球面状から平面へと徐々に変形する。
これによって保護板4およびガラス板3が加圧される領域が中央部から周縁に向かって漸次拡大する。したがって、第1の実施形態と同様に、樹脂層2とガラス板3の間に存在する気泡を追い出しながら、両者を密着させて貼り合わせることができる(工程(2))。
また、中間板73の下面73aと下定盤72の上面とが平行になった後、加圧部30をさらに降下させて、中間板73の周縁部を周縁部押圧部材32で局部的に押圧することにより、貼合面の周縁部に加わる圧力を、該周縁部の内方に加わる圧力より大きくすることができる。
【0053】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、特に本実施形態は、貼合完了時に貼合面が平面となることから、反りのない積層体を得やすい。
【0054】
[樹脂層付き透明面材]
以下、樹脂層付き透明面材の好ましい構成について説明する。
樹脂層付き透明面材は、保護板(透明面材)と、保護板の表面の周縁部に印刷された遮光部と、遮光部が形成された側の保護板の表面に形成された樹脂層とからなる。樹脂層付き透明面材の製造後、使用前までは、樹脂層の表面が剥離可能な保護フィルムで覆われている。
【0055】
保護板は、表示パネルの画像表示側に設けられて表示パネルを保護するものであり、公知の保護板を用いることができる。保護板の材質としては、ガラス板、または透明樹脂板が挙げられる。特にガラス板は、表示パネルからの出射光や反射光に対する高透明性、高耐光性、低複屈折性、高い平面精度、良好な耐表面傷付性、および高い機械的強度を有する点で好ましい。ガラス板の材料としては、ソーダライムガラス等のガラス材料が挙げられ、鉄分がより低く、青みの少ない高透過ガラス(白板ガラス)がより好ましい。安全性を高めるために強化ガラスを用いてもよい。特に薄いガラス板を用いる場合には、化学強化を施したガラス板を用いることが好ましい。透明樹脂板の材料としては、透明性の高い樹脂材料(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等)が挙げられる。
【0056】
保護板の形状および大きさは、特に限定されず、表示パネルの形状および大きさに応じて決まることが多い。表示パネルおよび保護板の形状は、通常矩形である。保護板は表示パネルより若干大きい矩形であることが好ましい。
本発明は、例えば矩形の保護板であれば、短辺の長さが30mm以上である保護板の貼合に好適に用いられる。保護板が大きいほど本発明を適用することによる効果が大きく、例えば矩形の保護板であれば、短辺の長さが80mm以上である場合に特に好適である。
保護板の大きさの上限は特に限定されず、保護板の用途によっても異なる。一般的な表示部材用の矩形の保護板であれば、例えば短辺の長さが2,500mm以下が好ましく、1,500mm以下がより好ましい。
保護板の厚さは、機械的強度、透明性の点から、ガラス板の場合は通常0.5〜25mmである。屋内で使用するテレビ受像機、PC用ディスプレイ等の用途では、表示装置の軽量化の点から、1〜6mmが好ましく、屋外に設置する公衆表示用途では、3〜20mmが好ましい。化学強化ガラスを用いる場合は、ガラスの厚さは、強度の点で、0.5〜1.5mm程度が好ましい。透明樹脂板の場合は、2〜10mmが好ましい。
【0057】
樹脂層付き透明面材の樹脂層は、硬化後に接着性または粘着性を有する公知の樹脂層を用いることができる。
例えば、25℃におけるせん断弾性率が10
3〜10
7Pa、好ましくは10
4〜10
6Paである樹脂層が好ましい。該せん断弾性率が10
3Pa以上であれば、樹脂層の形状を維持できる。また、樹脂層の厚さが比較的厚い場合であっても、厚さを均一に維持でき、樹脂層付き透明面材と表示パネルとを貼り合わせる際に、表示パネルと樹脂層との界面に空隙が発生しにくい。せん断弾性率が10
7Pa以下であれば、表示パネルと貼合させた場合に良好な密着性を発揮できる。
該25℃におけるせん断弾性率は、レオメーター(アントンパール(Anton paar)社製、モジュラーレオメーター Physica MCR−301)を用い、測定スピンドルと透光性の定盤の隙間を樹脂層の厚みと同一として、その隙間に未硬化の硬化性組成物を配置し、硬化に必要な熱や光を該未硬化の硬化性組成物に加えながら硬化過程のせん断弾性率を測定し、所定の硬化条件における計測値を樹脂層のせん断弾性率とした。
【0058】
樹脂層の厚さは0.03〜2mmが好ましく、0.1〜0.8mmがより好ましい。樹脂層の厚さが0.03mm以上であれば、保護板側からの外力による衝撃等を樹脂層が効果的に緩衝して、表示パネルを保護できる。また、表示パネルと樹脂層付き透明面材との間に樹脂層の厚さを超えない異物が混入しても、樹脂層の厚さが大きく変化することなく、光透過性能への影響が少ない。樹脂層の厚さが2mm以下であれば、樹脂層に空隙が残留しにくく、また、表示装置の全体の厚さが不要に厚くならない。
【0059】
樹脂層付き透明面材の樹脂層が、保護板の表面に沿って広がる層状部と、層状部の周縁に接してこれを囲む堰状部とを有することが好ましい。堰状部の厚さは層状部の厚さよりも厚い。樹脂層が堰状部を有することによって、層状部の周縁部の外方への拡がり、すなわち周縁部における薄肉化を抑えることができ、層状部全体の厚さを均一に保つことができる。
また、樹脂層付き透明面材と表示パネルとの貼り合わせを、減圧雰囲気下にて貼合した後、これを大気圧雰囲気下に戻す方法で行う場合、樹脂層の周縁部において、表示パネルと樹脂層との界面に空隙が発生した場合でも、該空隙が堰状部に遮られることによって、空隙が外部に開放することがなく、独立した空隙となる。よって、減圧雰囲気下にて表示パネルと樹脂層付き透明面材とを貼合した後、これを大気圧雰囲気下に戻した際に、空隙内の圧力(減圧のまま)と樹脂層にかかる圧力(大気圧)との差圧によって空隙の体積が減少し、空隙が消失するという効果が得られる。
堰状部の厚さは、層状部の厚さよりも0.005mm以上厚くされていることが好ましく、0.01mm以上厚くされていることがより好ましい。堰状部の厚さは、堰状部と層状部との段差による空隙の発生を抑える点から、層状部の厚さAよりも0.05mm以下厚くされていることが好ましく、0.03mm以下厚くされていることがより好ましい。
層状部の厚さおよび堰状部の厚さの差は、レーザー変位計(キーエンス社製、LK−G80)を用い、樹脂層付き透明面材とその上に形成された層状部または堰状部の総厚を計測し、その差より求める。また、層状部の厚さは、堰状部に隣接する層状部の周縁部の厚さとする。
なお、層状部の厚さや堰状部の厚さは、透明面材全体にわたって、均一であることが好ましい。
【0060】
堰状部の厚さを層状部の厚さよりも厚くするためには、堰状部を形成する硬化性組成物の硬化時の収縮率が、層状部を形成する硬化性組成物の硬化時の収縮率より小さくなるように設計すればよい。
堰状部を形成する硬化性組成物の硬化時の収縮率より小さくする手段のひとつは、硬化性基の数を少なくすることである。そのためには、(i)分子量の小さい硬化性化合物(モノマー)の含有量を少なくしたり、(ii)分子量の大きい硬化性化合物(オリゴマー)の含有量を多くしたりすればよい。
すなわち、堰状部を形成する硬化性組成物の粘度を、層状部を形成する硬化性組成物の粘度より高くすればよい。
【0061】
<その他の実施形態>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。
例えば、上記第1、第2の実施形態のように、第2の面材(B)の貼合面を変形させる場合に、第2の面材(B)の外側に第2の加圧面(D)(中間板)を用いたが、第2の面材(B)の剛性が十分に高い場合は、該第2の加圧面(D)(中間板)を設けない構成とすることができる。
また、上記第1、第2の実施形態のように、第2の加圧面(D)(中間板)を介して第2の面材(B)の貼合面を変形させる場合に、中間板の剛性を小さくする(弾性率の小さい材料または薄い板を用いる等)ことによっても、貼合面の周縁部に加わる圧力を、該周縁部の内方に加わる圧力より大きくすることが可能である。
【0062】
本発明における第1の面材および第2の面材の材質や大きさは特に限定されず、表示パネルと保護板(樹脂層付き透明面材)との貼り合わせのほかに、例えば建築材料や自動車の合わせガラス、太陽電池パネル等の製造工程における貼り合わせにも好適に用いることができる。
【0063】
本出願は、2012年2月1日出願の日本特許出願2012−020014に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。