特許第6137203号(P6137203)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6137203測定アセンブリ、測定物の特徴を測定する方法、構造を製造する方法、及びポインター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6137203
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】測定アセンブリ、測定物の特徴を測定する方法、構造を製造する方法、及びポインター
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20170522BHJP
   G01B 11/25 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G01B11/24 A
   G01B11/25 H
【請求項の数】21
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-560174(P2014-560174)
(86)(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公表番号】特表2015-521727(P2015-521727A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】JP2013067014
(87)【国際公開番号】WO2013187532
(87)【国際公開日】20131219
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】61/659,885
(32)【優先日】2012年6月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/797,420
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァック, ダブリュー. トーマス
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−340880(JP,A)
【文献】 特開2004−078682(JP,A)
【文献】 特表2011−526706(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/133731(WO,A2)
【文献】 特開2007−094661(JP,A)
【文献】 特開2000−171252(JP,A)
【文献】 特開2011−039052(JP,A)
【文献】 特開昭63−260390(JP,A)
【文献】 特開平11−230725(JP,A)
【文献】 特表2003−532959(JP,A)
【文献】 米国特許第05719622(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0085522(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/061163(WO,A2)
【文献】 特開2000−242427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01C 1/00− 1/14
G01C 5/00−11/34
G01C 13/00−15/14
G01S 7/48− 7/51
G01S 17/00−17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定物の特徴を測定する測定アセンブリであって、
測定光を生成する測定システムと、
測定システムの少なくとも一部を選択的に移動して測定光の方向を移動する移動アセンブリと、
検出可能領域を有し、前記検出可能領域内の前記特徴におけるポインター光のポインタースポットの位置を特定する検出器と、
前記検出器により特定される位置の情報と、前記検出可能領域内に前記ポインター光が入った後に発せられるトリガ信号とを用い、前記検出可能領域内に前記ポインター光が入ったことを検出し、さらにその後に、前記トリガ信号を検知したときに、前記検出器によって特定された位置に基づいて移動アセンブリを制御して測定光の方向を移動することを開始し、前記特徴を測定する制御システムとを有する測定アセンブリ。
【請求項2】
前記制御システムは、前記移動アセンブリを制御して前記測定光の方向を前記特定される位置まで移動する請求項1に記載の測定アセンブリ。
【請求項3】
前記特徴にポインター光を生成するポインターから、前記トリガ信号を発信する請求項1または2に記載の測定アセンブリ。
【請求項4】
前記ポインターは、前記ポインターが前記測定物の特徴に向けられた状態で、前記トリガ信号を発信する請求項3に記載の測定アセンブリ。
【請求項5】
前記制御システムは、ポインタースポットの位置の変化の経路を前記トリガ信号として用い、前記経路により特定される特徴を測定する請求項1または2に記載の測定アセンブリ。
【請求項6】
前記制御システムは、ポインタースポットの形状情報を前記トリガ信号として用い、前記特定される特徴を測定する請求項1または2に記載の測定アセンブリ。
【請求項7】
前記制御システムは、ポインタースポットの発光のパルスを前記トリガ信号として用い、前記特定される特徴を測定する請求項1または2に記載の測定アセンブリ。
【請求項8】
前記ポインタースポットの発光のパルス間隔と、前記検出器のフレームレートとの違いを認識することで、前記トリガ信号として用い、前記特定される特徴を測定する請求項7に記載の測定アセンブリ。
【請求項9】
前記ポインター光のポインタースポットは手持ち装置により、形成される請求項1〜8のいずれか一項に記載の測定アセンブリ。
【請求項10】
前記移動アセンブリは前記測定システムを2回転自由度で移動する請求項1〜9のいずれか一項に記載の測定アセンブリ。
【請求項11】
前記制御システムは、前記検出器により特定される位置の情報に基づいて、前記特定される特徴に前記測定光を向けるための移動アセンブリの移動量を判定する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の測定アセンブリ。
【請求項12】
測定物の特徴を測定する方法であって、
測定システムにより測定光を生成する工程と、
移動アセンブリによって前記測定光の方向を選択的に移動する工程と、
ポインターからのポインター光を前記特徴を特定するために前記特徴に向ける工程と、
検出器により、前記ポインター光のポインタースポットの位置を特定する行程と、
前記検出器により特定される位置の情報と、前記検出器の検出可能領域内に前記ポインター光が入った後に発せられるトリガ信号とを用い、前記検出可能領域内に前記ポインター光が入ったことを検出し、さらにその後に、前記トリガ信号を検知したことをトリガとして、前記検出器によって特定された位置に基づいて移動アセンブリを制御して、前記測定光の向きを、前記測定光が前記特定された特徴を向くまで移動させるように制御システムを制御して測定物の特徴を測定する工程とを有する方法。
【請求項13】
前記ポインター光を向ける工程はポインタースポットを前記測定物の表面上に形成し、前記測定物の特徴を測定する工程は、前記測定光が前記ポインタースポットに向かうまで前記測定光の方向を移動することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定物の特徴を測定する工程は、前記移動アセンブリを制御して、前記測定光が前記測定物の前記表面上の前記ポインタースポットに追従するように前記測定光の方向を移動することを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フィードバック装置によって前記ポインタースポットに関するフィードバック情報を生成する工程を更に含み、前記フィードバック情報は前記制御システムに提供される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記測定物の特徴を測定する工程は前記測定光を前記ポインタースポットに向けるために必要な前記測定光の移動量を決定する工程を含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記ポインター光を向ける工程は、前記特徴を指し示すために、所定の経路上を前記ポインター光を移動することを含む請求項12に記載の方法。
【請求項18】
設計情報に基づいて構造を製造する工程と、請求項12に記載の方法を用いて構造の形状情報を求める工程と、求められた形状情報を前記設計情報と比較する工程とを含む構造を製造する方法。
【請求項19】
前記比較の結果に基づいて前記構造を再処理する工程を更に含む請求項18に記載の構造を製造する方法。
【請求項20】
前記構造を再処理する工程は、前記構造をもう一度製造することを含む請求項18に記載の構造を製造する方法。
【請求項21】
測定システムを使用して測定される測定物の特徴を特定するために選択的に位置づけられるポインター光を生成するポインターであって、
ポインタースポットが前記測定物の特徴に向けられた状態で前記測定システムに選択的に指示するために制御させる指示器と、
前記測定システムにトリガ信号を発信する発信部と、を備え、
前記測定システムは、測定光を生成する測定システムと、前記測定光の方向を移動するために前記測定システムの少なくとも一部を選択的に移動する移動アセンブリと、検出可能領域内の前記特徴におけるポインター光のポインタースポット位置を特定する検出器と、前記検出器により特定される位置の情報及び前記検出可能領域内に前記ポインター光が入った後に発せられる前記トリガ信号を用い、前記検出可能領域内に前記ポインター光が入ったことを検出し、さらにその後に、前記トリガ信号を検知したときに、前記検出器によって特定された位置に基づいて移動アセンブリを制御して測定光の方向を移動することを開始する制御システムとを有し、
前記測定システムは、前記発信部から発信される前記トリガ信号を用い、前記検出器によって特定された位置に基づいて前記移動アセンブリを制御して前記測定光が前記特定された特徴を向くまで前記測定光の方向を移動させるように構成されている、ポインター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測定システムを有する測定アセンブリ、測定物の特徴を測定する方法、構造を製造する方法、及びポインターに関する。
【0002】
本願は、2012年6月14日に出願され「レーザーメトロロジ―測定システムを方向付けるためのレーザーポインター」と題された米国仮出願第61/659,885号の優先権を主張する。許可される限りにおいて、米国仮出願第61/659,885号の内容を参照によりここに組み込む。
【背景技術】
【0003】
レーザ測定システム(レーザーメトロロジ―システム)のような測定システム(メトロロジ―システム)は、様々な目的で使用することができる。例えばレーザ測定システムは精密な寸法計測及び/又は製造された部品の検証のために使用することができる。製造された部品が小さくなればなるほど、そしてまたより入り組んだ細部を含むほど、改良された測定システムの必要性は増す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,733,609号
【特許文献2】米国特許第4,824,251号
【特許文献3】米国特許第4,830,486号
【特許文献4】米国特許第4,969,736号
【特許文献5】米国特許第5,114,226号
【特許文献6】米国特許第7,139,446号
【特許文献7】米国特許第7,925,134号
【特許文献8】日本国特許第2,664,399号
【特許文献9】米国出願公開第2006−0222314号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念ながら、現在利用可能な測定システムは完全に満足できるものではない。例えば、ある測定システムにおいては、操作者がビデオユーザインターフェイススクリーンによって測定対象の特徴を特定して選択する必要がある。そのようなシステムにおいては、選択は、スクリーン上で測定対象の特徴を中心に合わせてボタンを押すことを含むかもしれず、又はタッチスクリーンを使用する場合には、スクリーン上の測定対象の特徴が現れている位置に触れるだけかもしれない。しかしながらこの選択工程は、測定システムが測定対象の特徴を示し又は指示するために作動されなければならないため、いくらか遅いものとなり得る。この選択工程はさらに、正しい特徴が選択されているかを確認するためにカメラをズームすることを含み得る。
【0006】
本発明は測定物の特徴を測定する測定アセンブリに関する。一実施形態において、測定アセンブリは、測定システム、移動アセンブリ、ポインター、及び制御システムを有する。測定システムは測定光を生成し、移動アセンブリは測定システムの少なくとも一部及び測定光の方向を選択的に移動する。ポインターは特徴を指し示すために選択的に位置づけられ得るポインター光を生成する。例えば、表面に向けられたポインター光は、特徴を特定するために使用され得るポインタースポットを表面上に形成する。代替的に、ポインター光は特徴を特定するために所定の経路上を移動され得る。所定の実施形態において、ポインターは扱い及び操作の容易な手持ち装置である。
【0007】
更に、制御システムは、移動アセンブリを制御して、測定光が特定された特徴にほぼ向けられるまで測定光の方向を移動する。例えば、制御システムは、移動アセンブリを制御して、測定光がほぼポインタースポットを向くまで測定光の方向を移動することができる。
【0008】
ある実施形態において制御システムは、移動アセンブリを制御して、測定光が表面上のポインタースポットをほぼ追従するように測定光の方向を移動する。この設計により、ポインターは、次に測定する特徴を素早く且つ容易に指し示して特定するために使用され得る。言い換えれば、特徴から特徴へとポインタースポットを追従又は追跡するように測定システムを制御しながら、ポインタースポットを特徴から特徴へと動かすことができる。
【0009】
さらに、測定アセンブリは、ポインタースポットの相対位置を判定するために制御システムにフィードバック情報を提供するフィードバック装置を有し得る。さらに、この実施形態では、制御システムは、測定光をポインタースポットに向けるために必要な測定光の移動量を決定するためにフィートバック情報を使用し得る。ある実施形態において、フィードバック装置は視野を有する撮像装置(例えばカメラ)である。この実施形態では、カメラは、ポインタースポットが視野内にあるときに、検出のためのフィードバック情報を制御システムに提供することができる。さらにこの実施形態では、制御システムは、測定光をポインタースポットに向けるために必要な測定光の移動量を決定するためにフィードバック情報を使用することができる。
【0010】
更なるその他の実施形態では、本発明は(i)測定システムで測定光を生成する工程、(ii)測定光の方向を移動アセンブリによって選択的に移動する工程、(iii)表面上にポインタースポットを形成するためにポインターからのポインター光を表面に向ける工程、及び(iv)測定光の方向を測定光がほぼポインタースポットを向くまで移動するために制御システムで移動アセンブリを制御する工程とを含む方法に関する。
【0011】
この設計では、ポインターは、測定する単一の又は複数の特徴を素早くかつ容易に特定するために使用され得る。その結果として、測定する特徴を選択するために測定システムを移動する遅く且つ不便な工程が、ポインターの使用により克服される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
発明自体のみならず本発明の新規な特徴を、その構造及びその操作の両方について、関連する記述と共に、添付の図面から良く理解されるであろう。図において類似の参照記号は類似の部分に言及している。
図1図1は、物体、及び測定光が第1位置に向けられポインター光が第1特徴に向けられた状態の、本発明の特徴を有する測定アセンブリの実施形態の簡略化された概略図である。
図2図2は、測定光及びポインター光が第1特徴に向けられた状態の図1の物体及び測定アセンブリの簡略化された概略図である。
図3図3は、測定光が第1特徴に向けられ、ポインター光が第2特徴に向けられた状態の図1の物体及び測定アセンブリの簡略化された概略図である。
図4図4は、測定光がポインター光に追従して移動される図1の物体及び測定アセンブリの簡略化された概略図である。
図5図5は、図1〜3の測定アセンブリの使用の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の特徴を有する構造製造システムのブロック線図である。
図7図7は、図6の構造製造システムの処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、物体10及び物体10の表面16に存在する単一の又は複数の特徴14A、14B、14C、14D(4つのこのような特徴が図1において具体的に図示されている)を測定するために使用できる測定アセンブリ12の第1実施形態の簡略化した概略図である。ある実施形態において、測定アセンブリ12は、物体10の表面16上の単一の又は複数の特徴14A〜14Dの寸法及び/又は位置(例えばX−Y−Z座標)を正確に測定するために、又は物体10の位置又は方向を正確に測定するために使用することができる。
【0014】
測定アセンブリ12の構成要素の設計は、測定アセンブリ12の所望の使用方法に応じて変更することができる。図1において、測定アセンブリ12は、測定光(測定光線)26を生成する測定システム(メトロロジ―システム)18、測定光26を移動する移動アセンブリ19、フィードバック装置20、ポインター光(ポインター光線)22Aを生成するポインタ22、及び制御システム24を備える。ここに提示のとおり、ポインター22は、ポインター光22Aを表面16に向け、ポインタースポット36を表面16上に生成するように操作され得る。さらに制御システム24は、移動アセンブリ19を制御して、測定光26がほぼポインタースポット36に向けられるまで測定光26の方向を移動する。この設計においては、測定される単一又は複数の特徴14A〜14Dを素早く正確に且つ簡単に指し示す(特定する)ためにポインター22を使用し得る。その結果、測定アセンブリ12は素早く且つ正確に特徴14A〜14Dを測定することができ、特徴14A〜14Dの間を素早く移動することができる。さらに、測定する特徴14A〜14Dを選択するために測定システム18を移動する遅く且つ不便な工程は、ポインター22の使用によって克服される。
【0015】
ここに提示するいくつかの図面は、X軸、Y軸、及びZ軸を表す方位系(座標系)を含む。この方位系は単に参考のために示されるものであり変更し得るものであると解されるべきである。更に、これらの軸を代替的に第1軸、第2軸、第3軸と呼び得る。
【0016】
測定される物体10及び/又は物体10上の特徴14A〜14Dの種類は多様であり得る。例えば、特徴14A〜14Dは孔、縁(エッジ)、表面、球、突起、線状部材(ワイヤ)その他であり得る。限定的ではない例示として、物体10は、物体10の品質を評価するために測定を要する単一の又は複数の特徴14A〜14Dを有する製品の部分、自然物、組立て部品であり得る。あるいは、物体10は例えば、製造又は組立て工程の間にモニタ(チェック)される部品又は組立て部品であり得る。測定、製造又は組立て工程の尺度(スケール)は小さくてもよいし(例えば1ミリメートル)、大きくてもよい(例えば数十メートル)。
【0017】
図1における単一の又は複数の特徴14A〜14Dの小さな円としての図示は単に説明用の実演のためのものであって、特徴14A〜14Dは表面16上において任意の寸法及び形状を有し得ることに留意すべきである。
【0018】
図1において、物体10は空間内に無拘束で描かれている。しかしながら、例えば物体10は、測定工程及び又は組立て工程の間に物体10を保持し、操作し、移動する自動移動装置(不図示)によって保持され得る。
【0019】
ある実施形態において、測定システム18は、物体10の表面16上の特徴14A〜14Dの寸法及び/又は位置を正確に測定する、レーザを使用した測定システムである。代替的に、測定システム18は異なる設計を有することが可能であり、及び/又はその他の適切な目的のために使用し得る。
【0020】
ある実施形態において測定システム18は、物体10の表面16に向けられ得る測定光26を生成するレーザ源18A(点線の箱として描かれている)を有する。ある実施形態において、測定光26は赤外線領域の波長を有する。限定的ではない例示として、測定光26は約750nmと2μmとの間の波長を有し得る。あるいは測定光26は、可視領域又は紫外光領域などの赤外線領域の外側の波長を有し得る。
【0021】
図1において、測定光26が現時点で入射する表面16上の位置を測定点28(小さいプラス記号で表されている)と呼び得ることに留意されたい。この時、図1において、測定光26は表面16上の第1位置に向けられており、特徴14A〜14Dのいずれにも向けられていない。
【0022】
ある実施形態において、表面16に向けられた測定光26は、反射及び/又は散乱により、戻り光(戻り光線)26Rとして表面16から測定システム12に向けて戻され得る。この実施形態において、測定システム18は戻り光26Rを受光して検出し、戻り光26Rと測定点28に関する測定信号を制御システム24に提供する検出器18B(点線の箱として描かれている)を有し得る。ある実施形態において、戻り光26Rは、測定信号を生成するために基準光(基準光線)(不図示)と干渉される。
【0023】
適切な測定システム18の例は特許文献1〜8に開示されている。特許文献1〜8の記載を参照によりここに組み入れる。適切な測定システム18のその他の非限定的な例示は、特許文献9(参照によりここに組み入れる)に開示されたレーザートラッカーである。
【0024】
移動アセンブリ19は測定システム18の少なくとも一部を選択的に移動して位置づけ、測定光26の方向を選択的に調節(操舵)する。この設計において移動アセンブリ19は、測定光26が測定される所望の位置(例えば特徴14A〜14D)に向けられるように、選択的に測定システム18を移動することができる。非限定的な例として、移動アセンブリ19は、測定光26が(i)第1特徴14Aを測定するために第1特徴14Aを指し、(ii)第2特徴14Bを測定するために第2特徴14Bを指し、(iii)第3特徴14Cを測定するために第3特徴14Cを指し、(iv)第4特徴14Dを測定するために第4特徴14Dを指すように、順次に測定システム18を移動することができる。
【0025】
ある実施形態において、移動アセンブリ19は測定システム18を2軸回りに、すなわちY軸及びZ軸回りに選択的に移動する。或いは移動アセンブリ19は、測定システム18の一部を3以上又は2未満の回転自由度で移動する設計とすることができ、及び/又は移動アセンブリ19は測定システム18の位置を直線的に調整することができる。
【0026】
移動アセンブリ19は単一の又は複数の回転アクチュエータ、直線アクチュエータ、又はその他の種類のアクチュエータを有し得る。移動アセンブリ19は制御システム24により制御され得る。
【0027】
フィードバック装置20は、測定点28及び/又はポインタースポット36の相対位置を決定するために制御システム24により使用されるフィードバック情報を提供する。さらに、この実施形態では、制御システム24は、測定光26をポインタースポット36に向けるためにどのくらいの移動量が要求されるか、及び/又はポインター22が移動された時でも測定光26をポインタースポット36に向け続けるためにはどのくらいの移動量が要求されるかを決定するためにフィードバック情報を使用することができる。
【0028】
ある実施形態において、フィードバック装置20は視界30(長方形の箱として図示されている)を有する撮像装置(例えばカメラ)である。視界30は、場合により検出可能領域とも呼ばれる。本実施形態において、フィードバック装置(カメラ)20は、ポインタースポット36が視界30内にあるときに、制御システム24にフィードバック情報を提供することができる。ある実施形態ではフィードバック装置20は、測定光26とポインター光22Aの波長に感度を有する撮像センサを有する。適切なセンサは、電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化物半導体(CMOS)を含む。
【0029】
ある実施形態において、フィードバック装置20のレンズは、表面16において測定光26が当たる位置を視野30が常に囲むように配列されている。本設計では、制御システム24は、ポインタースポット36がフィードバック装置20の視野30内にある時に、測定点28の位置及びポインタースポット36の位置を特定するためにフィードバック情報を使用することができる。
【0030】
ある実施形態において、フィードバック装置20は、ビデオスクリーン33(フィードバック装置20から離れて図示されている)に表示されるフィードバック装置20の視野30の像32も連続的に生成する。ビデオスクリーン33は、手動で情報を入力して移動アセンブリ19を制御するためのビデオユーザインターフェイスとしてユーザに使用され得る。
【0031】
図1において、像32は測定点像28Aがポインタースポット像36Aから離れている様子を例示している。制御システム24は、フィードバック情報によって移動アセンブリ19を制御して、測定光26が表面16上のポインタースポット36を指し示すまで、閉ループ方式で測定光28を移動することができる。さらに図1において、特徴の像14AA、14CA、14DAもまた撮像された像32内にある。
【0032】
代替的に、ある実施形態において、移動アセンブリ19はフィードバック装置20を測定光26と同時に移動する。図1において、フィードバック装置20は測定システム18にしっかりと固定されており、測定システム18と共に移動する。
【0033】
ポインター22は、ポインタースポット36を生成するために表面16に向けられ得るポインター光22Aを生成する。ある実施形態においてポインター22は手持ち型であり、ポインター光22Aを表面16に向け、明るく裸眼で見ることのできるポインタースポット36を生成するために、人間の手によって手動で操作され得る。代替的に、ポインター22をポインター台(不図示)の上に載置することができ、及び/又はポインター22を手持ち式とは異なる方法で制御することができる。
【0034】
ポインター22の設計は、測定アセンブリ12及び/又は測定システム18の具体的な設計要求に適合するように変更できる。図1において、ポインター22はポインター筐体40、ポインターレーザ光源42(点線の箱として図示されている)、及び単一の又は複数の制御スイッチ44を有するレーザポインターである。
【0035】
所定の実施形態において、ポインターレーザ光源42は可視波長領域にあるポインター光22Aを生成する。限定されない例示として、ポインター光22Aは約600nmから660nmの範囲の波長を有し得る。さらに、レーザーポインター22の仕様は、そのレーザポインターが使用される国の適切な適用範囲内とすべきである。例えば日本においては、最大出力が1mWを超えるレーザーポインターは日本の法律で禁止されているため、レーザーポインター22は最大出力が1mW(クラス2)に限定されなければならない。
【0036】
制御スイッチ44は、ポインター22と制御システム24の制御を可能とする。例えば、単一の又は複数の制御スイッチ44は、(i)出力オン/オフボタン44A、(ii)ポインター光22Aが測定される表面16上の所望の特徴を指し示したことを制御システム24に示すために使用し得る指示スイッチ44B、及び/又は測定光26がポインタースポット36を追従(追跡)するように移動アセンブリ19を制御すべきであると制御システム24に示す追従スイッチ44Cを含み得る。
【0037】
図1において、ポインタースポット36はユーザ(不図示)によって制御されて第1特徴14Aに向けられている点に留意すべきである。さらに、図1においてポインタースポット36が小さい点として描かれている点にも留意すべきである。ポインタースポット36は、代替的に、異なるサイズ及び形状を有し得る。
【0038】
更に、ある実施形態において、ポインター光22Aは、表面16上のポインタースポット36が制御システム24によって一意的に認識可能なものとなるように暗号化(エンクリプト)される。ある実施形態において、ポインター光22Aは、フィードバック装置20によって容易に特定されるようにパルス化され得る。例えば、ポインター光22Aはフィードバック装置20のフレームレートの約半分のレートでパルス化され得る。もしフィードバック装置20のフレームレートが1秒当たり約30フレーム(順次走査型)であれば、ポインター光22Aは1秒当たり約15フレームでパルス化され得る。この例では、フィードバック装置20の全ての像32がポインタースポット36を含み、制御システム24の電子装置はこのタイミングパターンを認識するようにプログラムされ得る。或いはポインター22のポインター光22Aは他の適切な方法で暗号化(エンクリプト)され得る。
【0039】
制御システム24は測定アセンブリ12の様々な構成要素の動作を制御する。制御システム24は単一の又は複数の電子プロセッサ及び電子回路を有し得る。
【0040】
ある実施形態において、制御システム24はポインター22、測定システム18、移動アセンブリ19、及びフィードバック装置20と電気的に接続されている。非限定的な例として、ポインター22は、無線周波(RF)、赤外線(IR)又は直接配線接続を介して制御システム24と繋がれ得る。更なるその他の実施形態において、ポインター22は、制御システム24と通信するためにポインター光22Aのパルスレートを調整し得る。この実施形態では例えば、指示ボタン44Bが作動された時に、ポインター光22Aのパルスは、ポインター光22Aが測定対象の特徴14A(「指示された特徴」)を強調表示(ハイライト)していることを示すために、変更され得る。例えば、前出の例(1秒当たり約30フレームのフレームレート、及び1秒当たり約15フレームのパルスレート)の続きとして、指示ボタン44Bの作動により、ポインター光22Aのパルスレートは1秒当たり約10フレームで光るように変更され、これにより所望の測定点であるとの信号を送る。
【0041】
ここに提示された通り、所定の実施形態では、制御システム24はフィードバック装置20から情報を受け取り、指示された特徴14A(例えばポインタースポット36の位置)と測定点28との間の相対位置を決定する。さらに、制御システム24は移動アセンブリ19を制御して、測定光26がほぼ指示された特徴14A(すなわちポインタースポット36)を向くまで、測定光26の方向を移動する。さらに制御システム24は、測定光26が表面16上においてポインタースポット36をほぼ追従するように、移動アセンブリ19を制御して測定光26の方向を移動することができる。この設計により、制御システム24を、測定光26のポインタースポット36上への有効且つ連続的なアラインメントを確実とするために使用し得る。
【0042】
図1に描かれた例において、第1特徴14Aを測定するのが望ましい。図1に描かれた時点において、ポインター光22Aは第1特徴14Aに向けられており、測定光26は第1特徴14Aには向けられていない。本発明では、指示ボタン44Bは、制御システム24に指示して移動アセンブリ19を制御し、測定光26を適切に移動するために作動され得る。
【0043】
代替的に、測定することが望まれる特徴14A〜14Dを指示するために、他の適切な方法が使用され得る。一つの非限定的な代替的方法は、測定対象の特徴14Aを特定するために、ポインター光22A(及びポインタースポット36)を所定の経路に沿って移動させることを含む。例えば、使用中に操作者(オペレータ)は、測定対象である特徴14A〜14Dを特定するために、ポインター22及びポインター光22Aを、ポインタースポット36が特徴14A〜14Dで交叉する「X」をたどるように移動することができる。この例では、所定の経路は「X」である。測定アセンブリ12の電子装置、例えば制御システム24は、物体10(ここでは製造された部品)の表面16上に生成された「X」が測定対象である特徴14A〜14Dの記しである(例えば「X」の中心が特徴14A〜14Dを示す)と認識されるようにプログラムされるであろう。
【0044】
代替的に、もし所定の経路が円であれば、オペレータは、測定対象である特徴14A〜14Dを特定するために、ポインター22及びポインター光22Aを、ポインタースポット36が特徴14A〜14Dを囲む「O」をたどるよう移動することができる。この例では、測定アセンブリ12の電子装置、例えば制御システム24は、物体10(ここでは製造された部品)の表面16上に生成された「O」が測定対象である特徴14A〜14Dの記しである(例えば「O」の中心が特徴14A〜14Dを示す)と認識されるようにプログラムされるであろう。この設計では例えば、もし特徴14A〜14Dが測定対象である孔を有せば、ポインター22、ひいてはポインター光22Aは、ポインター光22Aによるポインタースポット36がこの孔を囲む円をたどるように動かされることができ、測定対象である孔を、描かれた円の内側に指し示す。この形態による指示は、その中においてはポインタースポット36が見えなくなるかもしれない特徴を指し示すために具合が良いであろう。より具体的には、ポインタースポット36は孔を直接指し示す時には見えないかもしれない。よって孔は、この孔の周囲の円の輪郭をたどることによって特定され得る。
【0045】
所定の経路は、ここで提示された例とは異なる形状を有し得ることに留意すべきである。例えば所定の経路は、略矩形であり得る。
【0046】
さらに、もし測定対象である特徴14A〜14Dが孔や縁(エッジ)のように特徴的なものであれば、測定システム18は、測定光26を用いて走査することで特徴14A〜14Dの位置を正確に改良することができる。
【0047】
本設計では、使用においてオペレータは、ポインタースポット36が特徴から特徴へと移動して特定の特徴14A〜14Dを正確に指し示すようにポインター22を移動するであろう。いくつかの実施形態において、測定システム18は、指示された特徴14A〜14Dを近似としてのみ認識するようにプログラムされ得る。続いて、全ての特徴14A〜14Dがポインター22を用いて近似的に指示された後、測定システム18は、特徴14A〜14Dの正確な位置を一つ一つ自動的に決定するために使用され得る。
【0048】
本発明により、測定アセンブリ12および測定システム18の調整の容易さを大きく向上することができ、調整時間を現在利用可能な他の測定システムにより可能な程度に比べて格段に早くすることができる。したがって、測定アセンブリ12は物体10上の特徴14A〜14Dを不要な遅れなく素早く且つ正確に測定することを可能とする。
【0049】
図2は、特徴14A、14B、14C、14Dを有する物体10、及び測定システム18、移動アセンブリ19、フィードバック装置20、ポインター22及び制御システム24を有する図1の測定アセンブリ12の簡略化された概略図である。図1図2を比較すると、移動アセンブリ19が、ポインター光22Aと共に第1特徴14Aに向けられるように測定光26を移動させている。この時、測定光26はポインター光22Aと共に第1特徴14A上に調節されており、測定システム18は第1特徴14Aの所望の測定を行うために使用され得る。
【0050】
図3は、特徴14A、14B、14C、14Dを有する物体10、及び測定システム18、移動アセンブリ19、フィードバック装置20、ポインター22及び制御システム24を有する図1の測定アセンブリ12の簡略化された概略図である。図2図3を比較すると、測定システム18が第1特徴14Aの所望の測定を行う一方で、ポインター光22Aは第2特徴14Bを指すように移動されている。この時、使用者は、ポインター22を介して制御システム24に指示して移動アセンブリ19を制御させ、第2特徴14Bを向くように測定光26を移動することができる。
【0051】
図4は、特徴14A、14B、14C、14Dを有する物体10、及び測定システム18、移動アセンブリ19、フィードバック装置20、ポインター22及び制御システム24を有する図1の測定アセンブリ12の簡略化された概略図である。この時、制御システム24は移動アセンブリ19を制御して測定光26を移動し、ポインター光22Aの、表面16上での第2特徴14Bから第3特徴14Cへの移動をたどらせている。言い換えれば、測定光26とポインタースポット36が重ねられたとき、測定システム18は、測定光26が表面16上においてポインタースポット36に連続的に追従するように調整可能である。
【0052】
一旦ポインター22が所望の特徴14A〜14Dを向いたら、使用者は、ポインター22を介して制御システム24に、測定システム18が所望の測定を行うべきであると指示することができる。
【0053】
さらに、上記実施形態におけるポインタースポット36の形状は円形に限定されず、例えば星形、線形、正方形またはその他の形状でもあり得る。フィードバック装置20はポインター22によるポインタースポット36の位置を、ポインタースポット36の形状を認識することにより検出しえる。
【0054】
さらに、フィードバック装置20(例えばカメラ)は、フィルターを含む設計とし得る。フィルターは、ほぼポインター光22Aの波長の光を透過しつつ望ましくない波長の光を遮蔽する設計とし得る。
【0055】
さらに、ポインター光22Aの波長は固定波長に限定されず、例えば可変波長でもあり得る。例えば、ポインター光22Aの波長は、照射されたポインター光22Aの表面16の色に基づいて変更し得る。より具体的には、ポインター光22Aの波長は、フィードバック装置20によるポインター光22Aのポインタースポット36の測定の精度が、例えばポインター光22Aの波長と表面16の色との間の類似性のために低下した時に変更し得る。
【0056】
さらに、フィードバック装置20(例えばカメラ)は、シャッターも有し得る。シャッターは露光時間を制御するために使用され得る。シャッターは、ポインター光22Aの露出値(露光量)が所定のシャッター速度に対し高いときに、露出値の量を制御し得る。
【0057】
さらに、本発明は測定システムと測定目的物、例えばコーナーキューブ、球体、またはその他の基準との間を測定する測定システムに適合させることもできる。適切な測定システム18の一つの限定的でない例示は、特許文献9(参照によりここに組み入れる)に開示されたレーザートラッカーである。
【0058】
さらに、本発明はユーザが人間であることに限定されない。例えば、他の限定的でない実施形態において、ポインター22はヒト型ロボット、例えばロボットアームにより操作され、制御され得る。
【0059】
さらに、ポインター22は、使用者によるポインター22の振動が表面16上のポインタースポット36の位置に与える影響を低減する安定化機能を有するように変更され得る。
【0060】
図5は、ここに提供される測定アセンブリ12の使用の一例を示すフローチャートである。より具体的には、図5は測定アセンブリ12の使用の一例を概説する。ここに提示された工程は具体的な順番で示されるが、工程についてのこのような記載事項はいかなる方法においても工程を限定することを意図するものではないことに留意すべきである。例えば、本発明の意図された広さや範囲を変えることなく、所定の工程を組合せたり取り除いたりすることができ、または工程をここで述べるのとは異なった順番で行うことができる。
【0061】
第1に、工程501において測定することが望まれる単一の又は複数の特徴を有する物体が特定又は選択させる。
【0062】
工程503において、測定光が物体に向けられ、カメラ(フィードバック装置)が物体の像を捉える。カメラは視野の領域を変更することができる。
【0063】
工程505において、使用者はポインターを操作して、ポインター光を測定を所望する第1特徴に向けることができる。言い換えれば、ユーザは手でポインターを動かして、測定を所望する第1特徴に手動でポインター光を向けることができる。ポインターは、使用者の指示、例えば使用者の腕の動きによってポインター光を測定が所望される第1特徴に向ける。
【0064】
工程507において使用者は、ポインターを介して、測定光を移動してポインタースポットに揃えるよう制御システムに指示することができる。次に制御システムは、測定光の向きの移動を自動的に制御する。ある実施形態において制御システムは、使用者からの方向の指示なしに測定光の向きを制御して移動する。本発明は、ポインタースポットに揃えるための光線の移動として数回の移動を採用してもよい。例えば移動の一つは粗調整であり、粗調整の後の他の移動が精密調整である。移動長さは、粗調整と精密調整との間で異なり得る。カメラの視野も粗調整と精密調整との間で異なり得る。ある実施形態では、粗調整のためのカメラの視野は、精密調整のためのカメラの視野よりも広い。
【0065】
工程509において、測定光が特徴上に揃えられた後、測定光は特徴の測定を行い得る。
【0066】
次に工程511において、使用者は、ポインターを介して、ポインタースポットに追従して測定光を次の特徴に移動するように制御システムに指示することができる。
【0067】
次に、ここに記載した測定装置(測定システム18)を備えた構造製造システムについて説明する。
【0068】
図6は、構造製造システム700の非限定的な例のブロック線図である。構造製造システム700は、船、航空機などの少なくともある物の少なくとも一つの構造を製造し、この構造を外形測定装置100で検査するものである。本実施形態の構造製造システム700は、上記の実施形態で説明した外形測定装置100、設計装置610、成形装置620、制御器630(検査装置)、及び修復装置640を有する。コントローラ630は座標記憶部631及び検査部632を有する。
【0069】
設計装置610は構造の形状に関する設計情報を作成し、作成した設計情報を成形装置620に送る。さらに、設計装置610はコントローラ630の座標記憶部631に作成した設計情報を記憶させる。設計情報は、構造の各位置の座標を指し示す情報を含む。
【0070】
成形装置620は、設計装置610から入力された設計情報に基づいて構造を製造する。成形装置620による成形工程は、鋳造、鍛造、切削等を含む。外形測定装置100は製造された構造(測定対象物)の座標を測定し、測定された座標を指示する情報(形状情報)をコントローラ630に送る。
【0071】
コントローラ630の座標記憶部631は設計情報を記憶する。コントローラ630の検査部632は、座標記憶部631から設計情報を読み出す。検査部632は、外形測定装置100から受け取った座標を指し示す情報(形状情報)を座標記憶部631から読み出した設計情報と比較する。比較結果に基づいて、検査部632は、構造が設計情報に従って成形されているか否かを判定する。言い換えれば、検査部632は、製造された構造が非欠陥品であるか否かを判定する。構造が設計情報に従って成形されていないときは、検査部632は構造が修復可能であるか否かを判定する。もし修復可能であれば、検査部632は比較結果に基づいて欠陥部と修復量を算出し、欠陥部を指し示す情報及び修復量を指し示す情報を修復装置640に送る。
【0072】
修復装置640は、コントローラ630から受け取った欠陥部を指し示す情報及び修復量を指し示す情報に基づいて構造の欠陥部の加工を実行する。
【0073】
図7は構造製造システム700の処理フローを示すフローチャートである。構造製造システム700に関して、第1に、設計装置610は構造の形状に関する設計情報を作成する(工程S101)。次に、成形装置620は設計情報に基づいて構造を製造する(工程S102)。次いで、外形測定装置100は製造された構造の形状情報を得るために、製造された構造を測定する(工程S103)。次いで、コントローラ630の検査部632は、外形測定装置100から得られた形状情報を設計情報と比較して、構造が真に設計情報に従って製造されているか否かを検査する(工程S104)。
【0074】
次に、コントローラ630の検査部632は製造された構造が非欠陥品であるか否かを判定する(工程S105)。検査部632が製造された構造が非欠陥品であると判断したとき(工程S105の「YES」)、構造製造システム700は処理を終了する。一方で、検査部632は製造された構造が欠陥品であると判断したときは(工程S105の「NO」)、製造された構造が修復可能であるか否かを判定する(工程S106)。
【0075】
検査部632が製造された構造が修復可能であると判断したとき(工程S106の「YES」)、修復装置640は当該構造に再処理工程を実行し(工程S107)、構造製造システム700は処理を工程S103に戻す。検査部632が製造された構造が修復不能であると判定したとき(工程S106の「NO」)、構造製造システム700は処理を終了する。これにより、構造製造システム700は図7のフローチャートに示された全行程を終了する。
【0076】
本実施形態の構造製造システム700に関して、本実施形態の外形測定装置100は構造の座標を正確に測定することができるため、製造された構造が非欠陥品であるか否かを判定することができる。さらに、構造が欠陥品であるとき、構造製造システム700は、当該構造を修復するために当該構造に再処理工程を実行することができる。
【0077】
さらに、本実施形態の修復装置640によって実行される修復工程は、成形装置620に成形工程をもう一度行わせるような工程に取り替えうる。このような場合には、コントローラ630の検査部632が構造は修復可能であると判断したとき、成形装置620は成形工程(鋳造、切削等)をもう一度実行する。具体的には例えば、成形装置620は、構造の部分であって切削を受けるべきであったが受けていない部分に切削工程を実行する。これにより、構造製造システム700は構造を正確に製造することが可能となる。
【0078】
上記の実施形態では、構造製造システム700は、外形測定装置100、設計装置610、成形装置620、コントローラ630(検査部)、及び修復装置640を有する。しかしながら、本教示はこの構成に限定されない。例えば、本発明に従う構造製造システムは、ここに記述したよりも少ない構成要素を有するものであり得る。
【0079】
測定アセンブリ12の多くの例示的な側面及び例示的な実施形態を上述したが、当業者はこれらの変更、入れ替え、追加、副組合せ(サブコンビネーション)を認識するであろう。ゆえに、以下に添付の請求項及び以下に提示する請求項は、そのような全ての変更、入れ替え、追加及びサブコンビネーションを、請求項の真の精神と範囲の内にあるものとしてこれらを含んで解釈されることを意図している。
【0080】
<人間の指先測定>
上記の実施形態では、測定される物体はポインター22によって測定システム18に指し示されているがこれには限定されない。例えば、測定者(測定を行う人物)が接触位置において物体に接触して又は触れて、測定システム18がこの接触位置を認識し、測定光の方向が当該接触位置に向けられるか又は当該接触位置を指し示すような構成とすることも可能である。
【0081】
あるいは、パターンを有するパターン光線(パターン光、構造光)を所定の空間に投影する以下の構成とすることも可能である。パターンは、パターン光の強度が所定の規則性をもって変化する縞状パターン、又は何らの規則性も有さず光線によって所定の光強度で照射される領域と光線によって照射されない領域とを有するランダムパターンであり得る。
【0082】
この場合、パターンは所定の空間に存在する測定者上に投影される。測定者の表面上に投影されるパターンは、(カメラのような撮像装置によって例示される)フィードバック装置20によって撮像される。所定の空間に向かって投影されたパターンは、測定者とカメラとの間の距離に応じて変化する。測定者とカメラとの間の距離は、測定者上に投影されるべきパターンと測定者の表面に実際に形成されたパターンとの違いに基づいて算出され、算出された距離に基づいて測定者に関する3次元情報が求められる。
【0083】
上記の場合において、所定空間内における測定者の位置が認識され、さらに測定者が測定対象の物体に接触する位置が認識される。例えば、測定者の指(例えば人差し指)が測定対象の物体に接触する接触位置が認識される。測定システム18が測定光を照射する照射方向が接触位置とは異なる場合は(測定光が接触位置に向けられていない場合は)、測定光の照射方向がほぼ接触位置を向くように変更される。
【0084】
代替的に、上記の場合において、測定者が物体に接触しないことも可能である。例えば、測定者が指先を所定の速度で動かす場合に、測定光の照射方向を指先の移動に従って動かすことができる。さらなる代替として、物体を、指先の移動が向かう方向に沿って、指先の10cm前方の位置に設置することができる。
【0085】
<粗移動機構及び精密移動機構>
上記の実施形態において、ポインター22によるポインター光22Aの照射位置と測定システム18により照射される測定光26の照射方向との違いは、(カメラなどの)フィードバック装置20によって得られたポインタースポット像36Aから計算され、測定システム18の測定光26の方向がポインター22のポインター光22Aの照射位置に向けられる。しかしながら、測定システム18の測定光26の照射方向を制御する方法はこれには限られない。
【0086】
例えば、ポインター22上に位置特定ボタン(不図示)を設け、位置特定ボタンが押されたら音波又は電波が測定システム18に照射され、これにより測定システム18が測定光の照射方向と位置特定ボタンの位置との違いを検出し、測定光の照射方向を測定光がほぼ位置特定ボタンの位置を向くように変更することができる。次いでポインター光22Aはフィードバック装置20(カメラ)により、ポインター光22Aによって形成されるポインタースポット36の像を得るように物体上に照射され、測定システム18の測定光の照射方向は、カメラとしてのフィードバック装置20により得られたポインタースポット像に基づいて変更される。
【0087】
言い換えれば、測定システム18からの測定光26の照射方向を制御する方法は、例えば、カメラの視野の外側に配置された、照射方向に沿って測定光が照射される照射位置を特定することができる粗移動機構と、カメラの視野内の照射位置を特定することができる精密移動機構とを備えることによって実現し得る。照射位置を粗移動機構のみによって特定することも可能である。
【符号の説明】
【0088】
12 測定アセンブリ
18 測定システム
19 移動アセンブリ
22 ポインター
22A ポインター光(ポインター光線)
24 制御システム
26 測定光(測定光線)
36 ポインタースポット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7